【解決手段】直列接続された複数の電池セルの各ノードに対応して設けられた複数の主配線を含む半導体装置において、複数の主配線のうち、選択された一対の診断対象配線の間に電圧を印加し、一対の診断対象配線の一方を第1のノードに接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードに接続すると共に、複数の主配線のうちの一対の診断対象配線以外の少なくとも1つの主配線を第1のノードまたは第2のノードに接続した状態で第1のノードと第2のノードとの間の電位差に応じた電圧を取得する。
前記制御部は、前記一対の診断対象配線の一方を前記第1のノードに接続し、前記一対の診断対象配線の他方を前記第2のノードに接続すると共に、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の全ての主配線を前記第1のノードに接続するように前記スイッチ群を制御する
請求項1に記載の半導体装置。
前記制御部は、前記一対の診断対象配線の一方を前記第1のノードに接続し、前記一対の診断対象配線の他方を前記第2のノードに接続すると共に、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の全ての主配線を前記第2のノードに接続するように前記スイッチ群を制御する
請求項1に記載の半導体装置。
前記制御部は、前記一対の診断対象配線の一方を前記第1のノードに接続し、前記一対の診断対象配線の他方を前記第2のノードに接続すると共に、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の全ての主配線を前記複数の電池セルの各ノードのうちの対応するノードに接続するように前記第1のスイッチ群および前記第2のスイッチ群を制御する
請求項5に記載の半導体装置。
前記制御部は、前記一対の診断対象配線の一方を前記第1のノードに接続し、前記一対の診断対象配線の他方を前記第2のノードに接続すると共に、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の一部の主配線を前記第1のノードに接続し、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の他の一部の主配線を前記複数の電池セルの各ノードのうちの対応するノードに接続するように前記第1のスイッチ群および前記第2のスイッチ群を制御する
請求項5に記載の半導体装置。
前記制御部は、前記一対の診断対象配線の一方を前記第1のノードに接続し、前記一対の診断対象配線の他方を前記第2のノードに接続すると共に、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の一部の主配線を前記第2のノードに接続し、前記複数の主配線のうちの前記一対の診断対象配線以外の他の一部の主配線を前記複数の電池セルの各ノードのうちの対応するノードに接続するように前記第1のスイッチ群および前記第2のスイッチ群を制御する
請求項5に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る電池監視システム1の構成を示すブロック図である。電池監視システム1は、直列接続された複数の電池セルC
2、・・・、C
n−1、C
nおよびC
n+1を含む組電池200と、各電池セルC
2、・・・、C
n−1、C
nおよびC
n+1の状態を監視する半導体装置100を含んで構成されている。
【0017】
半導体装置100は、電池セルC
2〜C
n+1の互いに異なる電位を生じるノードの各々に対応して設けられた入力端子T
1〜T
n+1と、入力端子T
1〜T
n+1に接続された検査回路10と、検査回路10に接続された制御部110と、制御部110に接続された記憶部120および出力端子T
outと、を有する。
【0018】
半導体装置100は、入力端子T
1〜T
n+1を介して入力される電池セルC
2〜C
n+1の各セル電圧を測定するセル電圧測定機能と、検査回路10に異常が生じているか否かを診断する自己診断機能を有する。制御部110が、検査回路10に制御信号を供給して検査回路10の動作を制御することにより、上記のセル電圧測定機能および自己診断機能が実現される。制御部110は、検査回路10から出力されるデータを受信する。記憶部120には、制御部110による制御の下で検査回路10から出力されるデータ等が格納される。制御部110は、例えば、図示しない上位システムからの要求に応じて、記憶部120に格納されたデータを読み出して、出力端子T
outから出力する。また、制御部110は、検査回路10から出力されるデータに基づいて検査回路10に異常が生じているか否かを診断し、診断結果を出力端子T
outから出力する。
【0019】
図2は、検査回路10の詳細な構成を示す図である。検査回路10は、入力端子T
1〜T
n+1の各々に対応して設けられた複数の主配線W
1〜W
n+1を有する。すなわち、主配線W
1〜W
n+1は、直列接続された電池セルC
2〜C
n+1の互いに異なる電位を生じるノードの各々に対応して設けられている。また、検査回路10は、電池セル接続用スイッチ群11、第1の電源接続用スイッチ群12、第2の電源接続用スイッチ群13、電池セル選択用スイッチ群20、レベルシフタ30、基準電源40、分圧回路50、ADコンバータ70およびスイッチ61〜65を備えている。
【0020】
電池セル接続用スイッチ群11は、入力端子T
1〜T
n+1の各々および主配線W
1〜W
n+1の各々に対応して設けられた複数のスイッチ11
1〜11
n+1を含んで構成されている。複数のスイッチ11
1〜11
n+1は、それぞれ、一端が対応する入力端子T
1〜T
n+1に接続され、他端が対応する主配線W
1〜W
n+1に接続されている。例えば、スイッチ11
nは、一端が入力端子T
nに接続され、他端が主配線W
nに接続されており、スイッチ11
nがオン状態となることにより、主配線W
nと入力端子T
nとが接続されて主配線W
nに電池セルの各ノードのうちの対応するノードの電位が印加される。
【0021】
第1の電源接続用スイッチ群12は、複数の主配線W
1〜W
n+1のうち、最低電位に対応する主配線W
1以外の主配線の各々に対応して設けられた複数のスイッチを含んで構成されている。第1の電源接続用スイッチ群12を構成する複数のスイッチは、それぞれ、一端が対応する主配線に接続され、他端が高電位側の電源配線W
Hに接続されている。例えば、スイッチ12
nは、一端が主配線W
nに接続され、他端が高電位側の電源配線W
Hに接続されており、スイッチ12
nがオン状態となることにより高電位側の電源配線W
Hの電位が主配線W
nに印加される。
【0022】
第2の電源接続用スイッチ群13は、複数の主配線W
1〜W
n+1のうち、最高電位に対応する主配線W
n+1以外の主配線の各々に対応して設けられた複数のスイッチを含んで構成されている。第2の電源接続用スイッチ群13を構成する複数のスイッチは、それぞれ、一端が対応する主配線に接続され、他端が低電位側の電源配線W
Lに接続されている。例えば、スイッチ13
n−1は、一端が主配線W
n−1に接続され、他端が低電位側の電源配線W
Lに接続されており、スイッチ13
n−1がオン状態となることにより低電位側の電源配線W
Lの電位が主配線W
n−1に印加される。
【0023】
電池セル選択用スイッチ群20は、第1の電池セル選択用スイッチ群21および第2の電池セル選択用スイッチ群22を有する。第1の電池セル選択用スイッチ群21および第2の電池セル選択用スイッチ群22は、それぞれ、主配線W
1〜W
n+1の各々に対応して設けられた複数のスイッチ21
1〜21
n+1および複数のスイッチ22
1〜22
n+1を含んで構成されている。
【0024】
第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成する複数のスイッチ21
1〜21
n+1は、それぞれ、一端が対応する主配線に接続され、他端が第1のノードn
1に接続されている。例えば、スイッチ21
nは、一端が主配線W
nに接続され、他端が第1のノードn
1に接続されており、スイッチ21
nがオン状態となることにより主配線W
nの電位が第1のノードn
1に印加される。第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成する複数のスイッチ22
1〜22
n+1は、それぞれ、一端が対応する主配線に接続され、他端が第2のノードn
2に接続されている。例えば、スイッチ22
n−1は、一端が主配線W
n−1に接続され、他端が第2のノードn
2に接続されており、スイッチ22
n−1がオン状態となることにより主配線W
n−1の電位が第2のノードn
2に印加される。
【0025】
レベルシフタ30は、第1のノードn
1と第2のノードn
2との間の電位差を、接地電位を基準とする電圧に変換して出力する。レベルシフタ30から出力される電圧は、スイッチ63がオン状態となることによりADコンバータ70に供給される。
【0026】
基準電源40は、半導体装置100の自己診断を行う場合に用いられる基準電圧V
Sを出力する。基準電圧V
Sは、分圧回路50およびADコンバータ70に供給されるとともに、スイッチ61がオン状態となることにより高電位側の電源配線W
Hに供給される。
【0027】
分圧回路50は、直列接続された複数の抵抗素子Rと、一端がこれらの抵抗素子同士の接続部の各々に接続され、他端が分圧電圧V
Dの出力ラインW
dに接続された複数のスイッチ51を含んで構成されている。また、抵抗素子Rの一方の終端とグランドラインとの間にはスイッチ65が設けられている。抵抗素子Rの他方の終端は、基準電源40の出力ラインに接続されている。分圧回路50は、スイッチ65がオン状態とされ、複数のスイッチ51のうちのいずれかがオン状態となることにより、基準電圧V
Sを分圧した分圧電圧V
Dを出力ラインW
dに出力する。出力ラインW
dから出力される分圧電圧V
Dの大きさは、複数のスイッチ51のうちオン状態とするスイッチを切り替えることで変化させることが可能である。例えば、診断対象として選択される主配線に対して固有の分圧電圧V
Dが印加されるようにスイッチ51を切り替えてもよい。分圧電圧V
Dは、スイッチ62がオン状態となることにより低電位側の電源配線W
Lに供給され、スイッチ64がオン状態となることによりADコンバータ70に供給される。
【0028】
ADコンバータ70は、入力された電圧の大きさを示すデジタル値を出力する。
【0029】
電池セル接続用スイッチ群11、第1の電源接続用スイッチ群12、第2の電源接続用スイッチ群13および電池セル選択用スイッチ群20を構成する各スイッチ並びにスイッチ51、61〜65は、制御部110から供給される制御信号に基づいてオンオフする。
【0030】
以下に、半導体装置100の動作について説明する。初めに、電池セルのセル電圧を測定する場合の動作について、電池セルC
nのセル電圧を測定する場合を例に説明する。
【0031】
電池セルのセル電圧を測定する場合には、第1の電源接続用スイッチ群12および第2の電源接続用スイッチ群13を構成する各スイッチ並びにスイッチ61、62、64、65はオフ状態とされる。一方、電池セルC
nのセル電圧を測定する場合、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうちのスイッチ11
n−1および11
nがオン状態とされる。これにより、主配線W
nに電池セルC
nの陽極の電位が印加され、主配線W
n−1に電池セルC
nの陰極の電位が印加される。更に、第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
nがオン状態とされると共に、第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
n−1がオン状態とされる。これにより、主配線W
nに印加されている電池セルC
nの陽極の電位が第1のノードn
1に印加されると共に、主配線W
n−1に印加されている電池セルC
nの陰極の電位が第2のノードn
2に印加される。
【0032】
レベルシフタ30は、第1のノードn
1と第2のノードn
2との間の電位差、すなわち、電池セルC
nのセル電圧に相当する電圧を出力する。検査回路10において電池セルのセル電圧を測定する場合には、スイッチ63はオン状態とされ、レベルシフタ30から出力された電圧は、ADコンバータ70に供給される。ADコンバータ70は、レベルシフタ30から供給された電池セルC
nのセル電圧に相当するデジタル値を出力し、これを制御部110に供給する。制御部110は、ADコンバータ70から受信した電池セルC
nのセル電圧に相当するデジタル値を記憶部120に格納する。
【0033】
次に、半導体装置100において検査回路10の異常を検出する自己診断を行う場合の動作について説明する。
図3は、半導体装置100の自己診断を行う場合の動作の流れを示すフローチャートである。自己診断においては、複数の主配線W
1〜W
n+1のうち、2つの主配線が診断対象として選択される。以下では、主配線W
nおよびW
n−1を診断対象として選択する場合を例に説明する。
【0034】
ステップS1において、高電位側の電源配線W
Hに基準電圧V
Sを印加する。具体的には、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチ11
1〜11
n+1は全てオフ状態とされる一方、スイッチ61がオン状態とされる。
【0035】
ステップS2において、低電位側の電源配線W
Lに分圧電圧V
Dを印加する。具体的には、スイッチ62および65がオン状態とされる。更に、分圧電圧V
Dのレベルが所望のレベルとなるように、複数のスイッチ51のうちの1つが選択的にオン状態とされる。
【0036】
ステップS3において、診断対象として選択された一方の主配線W
nに基準電圧V
Sを印加するとともに、診断対象として選択された他方の主配線W
n−1に分圧電圧V
Dを印加する。具体的には、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。
【0037】
ステップS4において、主配線W
nを第1のノードn
1に接続するとともに主配線W
n−1を第2のノードn
2に接続する。具体的には、第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
nがオン状態とされ、第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
n−1がオン状態とされる。これにより、第1のノードn
1に基準電圧V
Sが印加され、第2のノードn
2に分圧電圧V
Dが印加される。
【0038】
ステップS5において、レベルシフタ30が第1のノードn
1と第2のノードn
2との間の電位差に応じた電圧を出力する。すなわち、レベルシフタ30は、基準電圧V
Sと分圧電圧V
Dとの差分(V
S−V
D)に相当する電圧を出力する。
【0039】
ステップS6において、ADコンバータ70がレベルシフタ30の出力電圧に相当するデジタル値Aを出力する。具体的には、スイッチ63がオン状態とされ、ADコンバータ70は、レベルシフタ30から出力された基準電圧V
Sと分圧電圧V
Dとの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値Aを出力し、これを制御部110に供給する。
【0040】
ステップS7において、制御部110は、ADコンバータ70から出力されたデジタル値Aを記憶部120に格納する。
【0041】
ステップS8において、ADコンバータ70が分圧回路50から出力された分圧電圧V
Dに相当するデジタル値Bを出力する。具体的には、スイッチ63がオフ状態とされ、スイッチ64がオン状態とされて分圧電圧V
Dの出力ラインW
dがADコンバータ70に接続される。ADコンバータ70は、分圧電圧V
Dに相当するデジタル値Bを出力し、これを制御部110に供給する。
【0042】
ステップS9において、制御部110は、ADコンバータ70から出力されたデジタル値Bを記憶部120に格納する。
【0043】
ステップS10において、制御部110は、記憶部120に格納されたデジタル値Aおよびデジタル値Bを読み出してこれらの合算値C(=A+B)を算出する。
【0044】
ステップS11において、制御部110は、合算値Cが基準電圧V
Sに相当する値であるか否かを判定し、合算値Cが基準電圧V
Sに相当する値であると判定した場合には処理をステップS12に移行し、合算値Cが基準電圧V
Sに相当する値ではないと判定した場合には処理をステップS13に移行する。
【0045】
ステップS12において、制御部110は、診断対象として選択された主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常はないものと判定する。すなわち、主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常がない場合には、C=A+B=(V
S−V
D)+V
D=V
Sとなるため、合算値Cは、基準電圧V
Sに相当する値となる。
【0046】
ステップS13において、制御部110は、診断対象として選択された主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常があるものと判定する。
【0047】
ステップS14において、制御部110は、ステップS12またはステップS13における判定結果を出力端子T
OUTから出力する。
【0048】
本実施形態に係る半導体装置100および電池監視システム1においては、自己診断を行う場合に検査回路10において以下に示す接続状態を形成することにより、診断対象として選択された主配線に生じている異常のみならず、診断対象として選択された主配線と診断対象として選択されていない主配線との間に生じているリークや、電池セル選択用スイッチ群20を構成するスイッチのうちオフ状態とされているスイッチに生じているリーク(オフリーク)についても検出可能としている。
【0049】
以下に、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態について説明する。なお、以下の説明においても、主配線W
nおよびW
n−1を診断対象として選択する場合を例示する。
【0050】
<第1の接続状態>
図4は、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態の一例を示す図である。なお、
図4に示す第1の接続状態は、主配線W
nに印加された基準電圧V
Sと主配線W
n−1に印加された分圧電圧V
Dの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値AをADコンバータ70に出力させる段階の接続状態であり、
図3に示すフローチャートのステップS1〜ステップS6を実行する場合に形成される接続状態である。
【0051】
第1の接続状態では、スイッチ61、62、63、65がオン状態とされ、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。これにより、基準電圧V
Sが、診断対象として選択された主配線W
nに印加されると共に、分圧電圧V
Dが診断対象として選択された主配線W
n−1に印加される。
【0052】
また、第1の接続状態では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nがオン状態とされるとともに、診断対象として選択されない全ての主配線に対応するスイッチがオン状態とされる。すなわち、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、スイッチ21
n−1以外の全てのスイッチがオン状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
nのみならず、診断対象として選択されない全ての主配線が第1のノードn
1に接続される。従って、診断対象として選択された主配線W
nのみならず、診断対象として選択されない全ての主配線に対しても基準電圧V
Sが印加される。
【0053】
また、第1の接続状態では、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n―1がオン状態とされ、それ以外のスイッチはオフ状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
n−1のみが第2のノードn
2に接続される。なお、
図4には、検査回路10において基準電圧V
Sが印加されるラインに沿って実線が描画され、分圧電圧V
Dが印加されるラインに沿って破線が描画されている。
【0054】
第1の接続状態を形成する場合、制御部110は、診断対象として選択された一対の主配線(以下、診断対象配線ともいう)の一方を第1のノードn
1に接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードn
2に接続すると共に、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの診断対象配線以外の全ての主配線を第1のノードn
1に接続するように第1の電池セル選択用スイッチ群21および第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成する各スイッチを制御する。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1自体の異常のみならず、以下の異常も検出することが可能となる。すなわち、第1の接続状態を形成することにより、(1)主配線W
n−1と、主配線W
n−1以外の全ての主配線との間のリーク、(2)第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n−1のオフリーク、(3)第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
n−1以外の全てのスイッチのオフリークについても検出することが可能である。
【0055】
なお、上記の例では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nをオン状態とすると共に、診断対象として選択されない全ての主配線に対応するスイッチをオン状態とすることとしたが、この態様に限定されるものではない。例えば、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nをオン状態とすると共に、診断対象として選択されない主配線の少なくとも1つをオン状態としてもよい。
【0056】
<第2の接続状態>
図5は、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態の他の例を示す図である。なお、
図5に示す第2の接続状態は、第1の接続状態の場合と同様、主配線W
nに印加された基準電圧V
Sと主配線W
n−1に印加された分圧電圧V
Dの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値AをADコンバータ70に出力させる段階の接続状態であり、
図3に示すフローチャートのステップS1〜ステップS6を実行する場合に形成される接続状態である。
【0057】
第2の接続状態では、第1の接続状態と同様、スイッチ61、62、63、65がオン状態とされ、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。これにより、基準電圧V
Sが、診断対象として選択された主配線W
nに印加されると共に、分圧電圧V
Dが診断対象として選択された主配線W
n−1に印加される。
【0058】
また、第2の接続状態では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nがオン状態とされ、それ以外のスイッチはオフ状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
nのみが第1のノードn
1に接続される。
【0059】
また、第2の接続状態では、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n−1がオン状態とされるとともに、診断対象として選択されない全ての主配線に対応するスイッチがオン状態とされる。すなわち、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、スイッチ22
n以外の全てのスイッチがオン状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
n−1のみならず、診断対象として選択されない全ての主配線が第2のノードn
2に接続される。従って、診断対象として選択された主配線W
n−1のみならず、診断対象として選択されない全ての主配線に対しても分圧電圧V
Dが印加される。なお、
図5には、検査回路10において基準電圧V
Sが印加されるラインに沿って実線が描画され、分圧電圧V
Dが印加されるラインに沿って破線が描画されている。
【0060】
第2の接続状態を形成する場合、制御部110は、一対の診断対象配線の一方を第1のノードn
1に接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードn
2に接続するとともに、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の全ての主配線を第2のノードn
2に接続するように第1の電池セル選択用スイッチ群21および第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成する各スイッチを制御する。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1自体の異常のみならず、以下の異常も検出することが可能となる。すなわち、第2の接続状態を形成することにより、(1)主配線W
nと、主配線W
n以外の全ての主配線との間のリーク、(2)第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
nのオフリーク、(3)第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n以外の全てのスイッチのオフリークについても検出することが可能である。
【0061】
なお、上記の例では、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n−1をオン状態とすると共に、診断対象として選択されない全ての主配線に対応するスイッチをオン状態とすることとしたが、この態様に限定されるものではない。例えば、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n−1をオン状態とすると共に、診断対象として選択されない主配線の少なくとも1つをオン状態としてもよい。
【0062】
<第3の接続状態>
図6は、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態の他の例を示す図である。なお、
図6に示す第3の接続状態は、主配線W
nに印加された基準電圧V
Sと主配線W
n−1に印加された分圧電圧V
Dの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値AをADコンバータ70に出力させる段階の接続状態であり、
図3に示すフローチャートのステップS1〜ステップS6を実行する場合に形成される接続状態である。
【0063】
第3の接続状態では、第1の接続状態と同様、スイッチ61、62、63、65がオン状態とされ、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。これにより、基準電圧V
Sが、診断対象として選択された主配線W
nに印加されると共に、分圧電圧V
Dが診断対象として選択された主配線W
n−1に印加される。
【0064】
また、第3の接続状態では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nがオン状態とされ、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n−1がオン状態とされる。
【0065】
また、第3の接続状態では、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうち、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1に対応するスイッチ11
nおよび11
n−1以外の全てのスイッチがオン状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1以外の全ての主配線に対して、電池セルの各ノードのうち対応するノードの電位が印加される。なお、
図6には、検査回路10において基準電圧V
Sが印加されるラインに沿って実線が描画され、分圧電圧V
Dが印加されるラインおよび電池セルの電位が印加されるラインに沿って破線が描画されている。
【0066】
第3の接続状態を形成する場合、制御部110は、一対の診断対象配線の一方を第1のノードn
1に接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードn
2に接続するとともに、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の全ての主配線を、複数の電池セルC
2〜C
n+1の各ノードのうち対応するノードに接続するように第1の電池セル選択用スイッチ群21、第2の電池セル選択用スイッチ群22および電池セル接続用スイッチ群11を構成する各スイッチを制御する。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1自体の異常のみならず、以下の異常も検出することが可能となる。すなわち、第3の接続状態を形成することにより、(1)主配線W
nと、主配線W
n以外の全ての主配線との間のリーク、(2)主配線W
n−1と、主配線W
n−1以外の全ての主配線との間のリーク、(3)第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n以外の全てのスイッチのオフリーク、(4)第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
n−1以外の全てのスイッチのオフリークについても検出することが可能である。
【0067】
なお、上記の例では、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうち、診断対象として選択された主配線に対応するスイッチ以外の全てのスイッチをオン状態とする場合について例示したが、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうち、診断対象として選択された主配線に対応するスイッチ以外の少なくとも1つのスイッチをオン状態としてもよい。
【0068】
<第4の接続状態>
図7は、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態の他の例を示す図である。なお、
図7に示す第4の接続状態は、主配線W
nに印加された基準電圧V
Sと主配線W
n−1に印加された分圧電圧V
Dの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値AをADコンバータ70に出力させる段階の接続状態であり、
図3に示すフローチャートのステップS1〜ステップS6を実行する場合に形成される接続状態である。
【0069】
第4の接続状態では、第1の接続状態と同様、スイッチ61、62、63、65がオン状態とされ、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。これにより、基準電圧V
Sが、診断対象として選択された主配線W
nに印加されると共に、分圧電圧V
Dが診断対象として選択された主配線W
n−1に印加される。
【0070】
また、第4の接続状態では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nがオン状態とされるとともに、診断対象として選択されない主配線のうち、主配線W
1を除く全ての主配線に対応するスイッチがオン状態とされる。すなわち、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、スイッチ21
n−1および21
1以外の全てのスイッチがオン状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
nのみならず、診断対象として選択されない主配線のうちの主配線W
1を除く全ての主配線が第1のノードn
1に接続される。従って、診断対象として選択された主配線W
nのみならず、診断対象として選択されない主配線のうちの主配線W
1を除く全ての主配線に対しても基準電圧V
Sが印加される。
【0071】
また、第4の接続状態では、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n―1がオン状態とされ、それ以外のスイッチはオフ状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
n−1のみが第2のノードn
2に接続される。
【0072】
また、第4の接続状態では、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうち、主配線W
1に対応するスイッチ11
1がオン状態とされる。これにより、主配線W
1に対して電池セルの各ノードのうちの対応するノードの電位が印加される。なお、
図7には、検査回路10において基準電圧V
Sが印加されるラインに沿って実線が描画され、分圧電圧V
Dが印加されるラインおよび電池セルの電位が印加されるラインに沿って破線が描画されている。
【0073】
第4の接続状態を形成する場合、制御部110は、一対の診断対象配線の一方を第1のノードn
1に接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードn
2に接続すると共に、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の一部の主配線を第1のノードn
1に接続し、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の他の一部の主配線を複数の電池セルC
2〜C
n+1の各ノードのうちの対応するノードに接続するように第1の電池セル選択用スイッチ群21、第2の電池セル選択用スイッチ群22および電池セル接続用スイッチ群11を構成する各スイッチを制御する。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1自体の異常のみならず、以下の異常も検出することが可能となる。すなわち、第4の接続状態を形成することにより、(1)主配線W
n−1と、主配線W
n−1以外の全ての主配線との間のリーク、(2)第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n−1および21
1のオフリーク、(3)第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
n−1以外の全てのスイッチのオフリークについても検出することが可能である。
【0074】
なお、上記の例では、主配線W
1に電池セルの電位を印加すると共に診断対象として選択されない主配線のうち、主配線W
1を除く全ての主配線に基準電圧V
Sを印加する場合を例示したが、複数の主配線に対して電池セルの電位を印加してもよい。また、電池セルの電位を印加する主配線および基準電圧V
Sを印加する主配線の選択を適宜変更することが可能である。
【0075】
<第5の接続状態>
図8は、半導体装置100の自己診断を行う場合に検査回路10において形成される接続状態の他の例を示す図である。なお、
図8に示す第5の接続状態は、主配線W
nに印加された基準電圧V
Sと主配線W
n−1に印加された分圧電圧V
Dの差分(V
S−V
D)に相当するデジタル値AをADコンバータ70に出力させる段階の接続状態であり、
図3に示すフローチャートのステップS1〜ステップS6を実行する場合に形成される接続状態である。
【0076】
第5の接続状態では、第1の接続状態と同様、スイッチ61、62、63、65がオン状態とされ、第1の電源接続用スイッチ群12を構成するスイッチのうちのスイッチ12
nがオン状態とされ、第2の電源接続用スイッチ群13を構成するスイッチのうちのスイッチ13
n−1がオン状態とされる。これにより、基準電圧V
Sが、診断対象として選択された主配線W
nに印加されると共に、分圧電圧V
Dが診断対象として選択された主配線W
n−1に印加される。
【0077】
また、第5の接続状態では、第1の電池セル選択用スイッチ群21において、診断対象として選択された主配線W
nに対応するスイッチ21
nがオン状態とされ、それ以外のスイッチはオフ状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
nのみが第1のノードn
1に接続される。
【0078】
また、第5の接続状態では、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、診断対象として選択された主配線W
n−1に対応するスイッチ22
n−1がオン状態とされるとともに、診断対象として選択されない主配線のうち、主配線W
1を除く全ての主配線に対応するスイッチがオン状態とされる。すなわち、第2の電池セル選択用スイッチ群22において、スイッチ22
nおよび22
1以外の全てのスイッチがオン状態とされる。これにより、診断対象として選択された主配線W
n−1のみならず、診断対象として選択されない主配線のうちの主配線W
1を除く全ての主配線が第2のノードn
2に接続される。従って、診断対象として選択された主配線W
n−1のみならず、診断対象として選択されない主配線のうち主配線W
1を除く全ての主配線に対しても分圧電圧V
Dが印加される。
【0079】
また、第5の接続状態では、電池セル接続用スイッチ群11を構成するスイッチのうち、主配線W
1に対応するスイッチ11
1がオン状態とされる。これにより、主配線W
1に対して電池セルの各ノードのうちの対応するノードの電位が印加される。なお、
図8には、検査回路10において基準電圧V
Sが印加されるラインに沿って実線が描画され、分圧電圧V
Dが印加されるラインおよび電池セルの電位が印加されるラインに沿って破線が描画されている。
【0080】
第5の接続状態を形成する場合、制御部110は、一対の診断対象配線の一方を第1のノードn
1に接続し、一対の診断対象配線の他方を第2のノードn
2に接続すると共に、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の一部の主配線を第2のノードn
2に接続し、複数の主配線W
1〜W
n+1のうちの一対の診断対象配線以外の他の一部の主配線を複数の電池セルC
2〜C
n+1の各ノードのうちの対応するノードに接続するように第1の電池セル選択用スイッチ群21、第2の電池セル選択用スイッチ群22および電池セル接続用スイッチ群11を構成する各スイッチを制御する。これにより、診断対象として選択された主配線W
nおよびW
n−1自体の異常のみならず、以下の異常も検出することが可能となる。すなわち、第4の接続状態を形成することにより、(1)主配線W
nと、主配線W
n以外の全ての主配線との間のリーク、(2)第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n以外の全てのスイッチのオフリーク、(3)第2の電池セル選択用スイッチ群22を構成するスイッチのうちのスイッチ22
nおよび22
1のオフリーク、についても検出することが可能である。
【0081】
なお、上記の例では、主配線W
1に電池セルの電位を印加すると共に診断対象として選択されない主配線のうち、主配線W
1を除く全ての主配線に分圧電圧V
Dを印加する場合を例示したが、複数の主配線に対して電池セルの電位を印加してもよい。また、電池セルの電位を印加する主配線および分圧電圧V
Dを印加する主配線の選択を適宜変更することが可能である。
【0082】
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る検査回路10Aの構成を示す図である。第2の実施形態に係る検査回路10Aにおいて、第1の実施形態に係る検査回路10におけるスイッチ63および64が削除され、ADコンバータ70がスイッチを介さずにレベルシフタ30に接続されている。また、第2のノードn
2とグランドラインとの間にスイッチ66が設けられている。上記以外の構成は、第1の実施形態に係る検査回路10と同様である。
【0083】
図10は、検査回路10Aを含む半導体装置100の自己診断を行う場合の動作の流れを示すフローチャートである。自己診断においては、複数の主配線W
1〜W
n+1のうち、2つの主配線が診断対象として選択される。以下では、主配線W
nおよびW
n−1を診断対象として選択する場合を例に説明する。また、第2の実施形態に係る自己診断におけるステップS21〜ステップS27の処理は、
図3に示すフローチャートと同様であるため、説明を省略し、ステップS28以降の処理について説明する。
【0084】
ステップS28において、主配線W
n−1を第1のノードn
1に接続する。具体的には、第1の電池セル選択用スイッチ群21を構成するスイッチのうちのスイッチ21
n−1がオン状態とされる。これにより、第1のノードn
1に分圧電圧V
Dが印加される。
【0085】
ステップS29において、第2のノードn
2に接地電位V
GNDを印加する。具体的には、スイッチ66をオン状態とすることにより、第2のノードn
2をグランドラインに接続する。
【0086】
ステップS30において、レベルシフタ30が第1のノードn
1と第2のノードn
2との間の電位差に応じた電圧を出力する。すなわち、レベルシフタ30は、分圧電圧V
Dと接地電位V
GNDとの差分(V
D−V
GND)に相当する電圧を出力する。
【0087】
ステップS31において、ADコンバータ70がレベルシフタ30の出力電圧に相当するデジタル値Dを出力する。すなわち、ADコンバータ70は、レベルシフタ30から出力された分圧電圧V
Dと接地電位V
GNDとの差分(V
D−V
GND)に相当するデジタル値Dを出力し、これを制御部110に供給する。
【0088】
ステップS32において、制御部110は、ADコンバータ70から出力されたデジタル値Dを記憶部120に格納する。
【0089】
ステップS33において、制御部110は、記憶部120に格納されたデジタル値Aおよびデジタル値Dを読み出してこれらの合算値E(=A+D)を算出する。
【0090】
ステップS34において、制御部110は、合算値Eが基準電圧V
Sから接地電位V
GNDを差し引いた大きさに相当する値であるか否かを判定し、合算値Eが基準電圧V
Sから接地電位V
GNDを差し引いた大きさ相当する値であると判定した場合には処理をステップS35に移行し、合算値Eが基準電圧V
Sから接地電位V
GNDを差し引いた大きさに相当する値ではないと判定した場合には処理をステップS36に移行する。
【0091】
ステップS35において、制御部110は、診断対象として選択された主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常はないものと判定する。すなわち、主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常がない場合には、E=A+D=(V
S−V
D)+V
D−V
GND=V
S−V
GNDとなるため、合算値Eは、基準電圧V
Sから接地電位V
GNDを差し引いた大きさに相当する値となる
【0092】
ステップS36において、制御部110は、診断対象として選択された主配線W
n、W
n−1およびこれらに対応するスイッチ21
n、21
n−1、22
n、22
n−1に異常があるものと判定する。
【0093】
ステップS37において、制御部110は、ステップS35またはステップS36における判定結果を出力端子T
OUTから出力する。
【0094】
上記の構成を有する検査回路10Aを備えた半導体装置100および電池監視システム1においても、自己診断を行う場合に検査回路10Aにおいて、
図4〜
図8に示す第1の接続状態〜第5の接続状態に相当する接続状態を形成することにより、診断対象として選択された主配線に生じている異常のみならず、診断対象として選択された主配線と診断対象として選択されない主配線との間に生じているリークや、電池セル選択用スイッチ群20を構成するスイッチのオフリークについても検出可能である。
【0095】
なお、上記の各実施形態において、検査回路10(10A)、制御部110および記憶部120を単一の半導体チップに形成する場合について例示したが、例えば
図11に示すように、電池監視システムは、検査回路10(10A)を備えた第1の半導体チップ100Aと、制御部110および記憶部120を備えた第1の半導体チップ100Aとは別体の第2の半導体チップ100Bと、複数の電池セルを含む組電池200と、を含んで構成されていてもよい。
【0096】
また、上記の各実施形態の検査回路10および10Aの電池セル選択用スイッチ群20は、複数の主配線W
1〜W
n+1の各々に対応して設けられ、一端が対応する主配線に接続され、他端が第1のノードn
1に接続された複数のスイッチ21
1〜21
n+1を含む第1の電池セル選択用スイッチ群21および、複数の主配線W
1〜W
n+1の各々に対応して設けられ、一端が対応する主配線に接続され、他端が第2のノードn
2に接続された複数のスイッチ22
1〜22
n+1を含む第2の電池セル選択用スイッチ群22を含んで構成されるものであった。電池セル選択用スイッチ群20は、
図12に示す構成の電池セル選択用スイッチ群20Aに置換することが可能である。
【0097】
電池セル選択用スイッチ群20Aは、複数の主配線W
1〜W
n+1の各々に対応して設けられた複数のスイッチ23
1〜23
n+1を含んで構成されている。スイッチ23
1〜23
n+1は、それぞれ接点a、bおよびcを有する3接点スイッチであり、接点aが対応する主配線に接続され、接点bが第1のノードn
1に接続され、接点cが第2のノードn
2に接続されている。複数のスイッチ23
1〜23
n+1は、制御部110からの制御に基づいて、接点aが接点bおよび接点cのいずれかに接続された状態および接点aが接点bおよび接点cのいずれにも接続されていない状態のいずれかに切り替えることが可能である。
【0098】
検査回路10および10Aにおいて、電池セル選択用スイッチ群20Aを適用する場合でも、電池セル選択用スイッチ群20を適用した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、電池セル選択用スイッチ群は、複数の主配線W
1〜W
n+1の各々の第1のノードn
1または第2のノードn
2への接続および非接続を切り替えるものであれば、いかなる構成を有していてもよい。