【課題】コストを低減した発光素子等の消費電力の大きな半導体素子載置用配線基体の製造方法、並びに放熱性の良い発光素子載置用配線基体及びそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 隔壁12によって区画された複数の領域14を備え、隔壁12に開口部16を有することで隣接する領域14が連結されてなる絶縁部材20を準備する絶縁部材準備工程と、複数の領域14のそれぞれに、導電部材17を配置する導電部材配置工程と、
前記配線基体の上面及び/又は下面に、前記導電部材の少なくとも一部が露出するように絶縁性の保護膜を形成する保護膜形成工程を有する請求項1または2に記載の配線基体の製造方法。
前記配置工程の後、前記導電部材に上方及び/又は下方から圧力をかけて前記導電部材と前記隔壁を接触させる工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する配線基体及び発光装置の製造方法は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。他の実施形態において説明した構成のうち同一の名称については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を容易にするため、誇張していることがある。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る発光素子載置用配線基体の製造方法について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態に係る配線基体の製造方法は、隔壁12によって区画された複数の領域14を備え、隔壁12に開口部16を有することで隣接する前記領域が連結されてなる絶縁部材20を準備する絶縁部材準備工程と、複数の領域14それぞれに、導電部材17を配置する導電部材配置工程と、隔壁12を介して隣接する導電部材17同士を、開口部16で接合する接合工程と、を備える。導電部材17が隔壁12に設けられた開口部16にて接続されることで、配線パターンが形成されて配線基体となる。
【0012】
(絶縁部材準備工程)
本実施形態の製造方法において、絶縁部材準備工程では、
図1に示すように、隔壁12によって区画された複数の領域14を備える絶縁部材20を準備する。複数の領域14は、隔壁12に開口部16を有することで隣接する領域14が連結されてなる部分と、開口部16を有さない隔壁12のみによって区画された部分を有する。隔壁12により形成される領域の上面形状は、
図1に示すような六角形のほか、
図1に示されるハニカム構造体を長手方向に引っ張り六角形が四角形となるとき上面形状が長方形となることからもわかるが、三角形、四角形、八角形等であってもよい。
【0013】
配線基体は半導体素子等を搭載する際にリフロー炉等で熱を加えられるため、絶縁部材20は耐熱性を有することが好ましい。また、さらに難燃性を有することが好ましく、難燃性UL94規格におけるV―0程度又はVTM−0程度の難燃性特性を有していることが好ましい。例えば、絶縁性樹脂フィルム(絶縁性樹脂膜、絶縁性樹脂シートと呼ばれることもある。例えば、具体的には、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムなど)、LTCC用セラミックグリーンシートなどである。隔壁12の厚さは、例えば10〜200μm、好ましくは10〜100μmとすることができる。
【0014】
絶縁部材としては、例えば、特開2014−87816に開示されるハニカムコアや、特開2007−98930に開示されるハニカム構造体を使用することができる。隔壁の配置をハニカム構造とすることにより、軽量化と強度を両立させることが出来る。特開2014−87816に開示されるハニカムコアを使用する場合、絶縁部材20は、ハニカム構造体の作製しやすさなどのため、その表面に接着性を備えていてもよい。
【0015】
開口部16は、隔壁12の一部を除去するような形で形成される。隣接する領域を区画する隔壁の全てを除去するような形で開口部16が形成されていてもよいし、例えば、
図1に示すように、隣接する領域を区画する隔壁のうち、一部が切り欠かれたような形で開口部16が形成されていてもよい。絶縁部材の強度を維持するために、隔壁12は上部、下部あるいは中間部で繋がっていることが好ましい。
図1においては絶縁部材20の下部で隔壁12は繋がっており、所定の領域のみ上部に開口部が形成されている。隔壁12の上部及び下部が繋がっており、中間部に開口部として、例えば矩形(又は円形)の貫通孔が形成されていてもよいし、中間部で繋がり上部及び下部に開口部が形成されていてもよい。
【0016】
図2は、
図1に示すようなハニカム構造体を形成するために用いる絶縁フィルムの一例を示す図である。太線はスリットを、細線は山折り線を、点線は谷折線をそれぞれ示している。
図2に示すように、絶縁フィルムのx方向に所定の周期でx方向に垂直なy方向に沿って山折り線と谷折り線を交互に入れ、山折り線と谷折り線の所定位置にスリットを設ける。さらに、山折り線と谷折り線の所定位置に接して(又は交差して)貫通孔22を設け、x方向に平行に所定の周期で山折り線2本と谷折り線2本を交互に入れる。山折り線2本と谷折り線2本の繰り返しを120°に折り曲げ、x方向に垂直な山折り線と谷折り線で折り返す(180°折り曲げ)ことで、
図1に示すような、ハニカム構造体を形成することができる。なお、絶縁部材の形成方法はこのようなフィルムを折り曲げる形成方法に限らず、その他の方法で形成されていてもよい。例えば、波形の絶縁フィルムの山の領域と谷の領域を接着し積層する形成方法(特開2010−83079、特開2010−125637)や金型で押し出し成形する形成方法(特開2013−14134)などにより形成してもよい。
【0017】
(導電部材配置工程)
絶縁部材準備工程の後、
図3に示すように配線経路となる予定の領域14のそれぞれに、導電部材17を配置する。さらに、配線基体の軽量化を図るために、導電部材17を配置しない領域14それぞれにスペーサ部材27を配置することができる。
【0018】
導電部材17は形状として、球、角柱、管状などを取り得る。例えば、リード部品(基板やソケットに差し込むリード線を有するアキシャル部品やラジアル部品など。具体的には、砲弾型LED、キャンパッケージ、DIPなど。)を実装する貫通孔を有する配線基体を作製する際には、所定の位置に管状の導電部材を配置する。導電部材17は、例えば球の場合、直径0.4mmから5mmの大きさのものを用いることができる。導電部材17は電気伝導性及び伝熱性が良好であることを要し、具体的には銅、銀、アルミニウム、スズ、金、白金、各種半田などの材料を含む。導電部材17は、高い伝熱性が必要な場合は均一材料から構成されることが好ましく、高い伝熱性が不要な場合は、導電部材17は均一材料から構成されなくてもよく、層構造を備えていてもよいし、団粒構造のような小さな粒の導電部材が集まり結合した集合体から成っていてもよい。層構造を備える場合、表層は電気伝導性が良好な材料で、内部は電気伝導性に関わらず軽量な材料(例えば、アルミニウム、樹脂)、あるいは空隙であることが、配線基体の軽量化に好ましい。導電部材17の外表面は平滑であることで、導電部材17の外表面の表面積が減ることによる酸化物等の導電性を阻害する物質の形成抑制ができるため、電気的接続に望ましい。酸化物等の導電性阻害物質の形成抑制のための表面メッキがほどこされていてもよい。配線基体の上面の一部となる導電部材17の表面は搭載される発光素子から発せられる光に対する反射性が高いことが光取り出し効率が高くなるため好ましい。また、導電部材17は半田付け性が高いと発光素子との電気接続が良好となる。
【0019】
半導体発光素子等の発熱の大きな半導体素子を載置する位置の導電部材及びその周囲の導電部材は、全体が熱伝導性の高い部材から形成されていることが好ましい。放熱性がさほど必要とされない位置では、電気伝導性を確保しつつ配線基体の軽量化を図るために、例えば金属メッキを表面に施した樹脂球のような、軽量な部材の表面にメッキ等の導電体膜を形成したものを導電部材として用いることができる。
【0020】
スペーサ部材27は、配線基体を構成する部材で、通電する配線となる導電部材17が配置される領域14以外の領域に配置される。スペーサ部材27は、通電しないため絶縁性でも導電性でもよいが、絶縁部材との接着性が良好で、かつ、所定の機械的強度があることが配線基体の機械的強度の確保のため好ましい。スペーサ部材27は、導電部材17より密度が低い(すなわち軽量である)ことが配線基体の軽量化に寄与するため好ましい。例えば、スペーサ部材27として熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる部材を用いることができる。発光素子載置用の配線基体の場合、発光素子載置領域近傍のスペーサ部材27は発光素子からの光を吸収しにくく、光劣化および熱劣化しにくい材料でからなることが好ましい。例えば、スペーサ部材27が樹脂材料である場合、フィラー等を含有し遮光性、特に光反射性を備えることが好ましい。載置される半導体素子(例えば、パッケージングされたLED等)が底面に通電されないヒートシンクを備える場合、ヒートシンクに熱的に接続されるスペーサ部材27及び/またはそれに隣接するスペーサ部材27は熱伝導性がよいものであることが半導体素子の放熱のために好ましい。
【0021】
(接合工程)
接合工程は、絶縁部材20の隔壁12に設けた開口部16において隣接する領域14に配置された導電部材17同士を電気的及び機械的に接続する工程である。圧接、融着、半田付け、導電性接着剤による接着などの接続方法を適宜用いることが出来る。接続方法に応じて、加圧、加熱、乾燥など適宜接続条件を選べばよい。例えば、半田ペーストや銀ペースト等の導電性接合材を、開口部を含む導電部材17同士の間に配置した後に、加熱あるいは乾燥して導電部材17同士を電気的に接続することもできるし、あるいは、プレス機により上方及び/又は下方から圧力をかけて導電部材17を変形させ、導電部材17を隔壁12と接触させるとともに開口部16越しに隣接する導電部材17と圧接することや圧接した後に加熱し導電部材17の表面近傍領域を溶融させて導電部材17同志を融着させることもできる。導電部材17同士が開口部16で接合されることにより、
図4に示すように、配線基体の配線の一部を形成する。
【0022】
本実施形態によれば、例えば、導電部材17を絶縁樹脂フィルムの開口部16を通して接続するところ、電流通路となる開口部16の面積を従来のPWBの配線層の断面積より大きくすることが容易であるため、従来のPWBの配線に比較して電気抵抗を低くすることができる。これは、従来のPWBの配線は、数十ミクロン厚程度の銅箔等が用いられ、薄膜であるのに対し、開口部はこれよりも大きく形成することが容易であるためである。また、体積が大きくなることで配線の機械的強度も向上する。配線基体の機械的強度や放熱性を増すために、隔壁12の両側のスペーサ部材27同士を、隔壁12に設ける開口部を介して接合してもよい。
【0023】
絶縁部材20の隔壁12に設ける開口部16の大きさは、例えば、縦1mm横0.1mmの0.1mm
2、あるいは縦0.5mm横2mmの1mm
2、といったものにすることができる。配線抵抗は、配線の断面積に反比例し長さに比例するが、本実施の形態において、開口部16が配線の断面積が最も小さくなる場所であるので、開口部16の断面積が、配線抵抗に影響する。本実施の形態において、従来のPWBの銅箔からなる配線の断面積より開口部16の面積を大きくすることが容易で、消費電力の大きな半導体素子を組み込んだ回路における電流値が大きな場合の配線抵抗による電圧降下や電力消費を抑制することができる。厚み12μmから50μmの絶縁性樹脂フィルムで隔壁12に必要な絶縁性が得られるため、隔壁12の厚さは数十μmもあれば通常十分である。配線抵抗を下げるために隔壁12の厚さは薄い方が好ましいが、隔壁12の厚さが100μm程度までの範囲ではその寸法より大きな導電部材17が配線の長さの大半を占めるため配線の抵抗値への隔壁12の厚さによる影響は少ない。
【0024】
(金属膜形成工程)
配線基体の半導体素子載置側の面(上面)あるいはその裏面(下面)の所定の領域に、導電部材17の電気接続性や光反射性等を向上させるために、メッキやスパッタ等、又は金属箔の貼り付け等によって、
図5に示すような金属膜18を形成してもよい。
【0025】
金属膜18は、単層膜でも多層膜でもよい。金属膜18が半導体素子又は発光装置の外部と接続端子(コネクタ)等を介して接続されることから、金属膜の材料としては導電性や伝熱性の高いものや、機械的及び/または電気的な接続性が高いものが好ましく、具体的には銅、銀、アルミニウム、スズ、金、白金、各種半田などを最も外側の膜に含むことが好ましい。また、半導体素子が発光素子の場合は、金属膜には光反射性の高い材料(例えばAg等)を用いることが好ましい。金属膜18は全ての導電部材17に形成しなくてもよく、例えば半導体素子もしくは外部接続端子の載置領域あるいはその周囲などの金属膜18が必要な導電部材17に形成されていればよい。金属膜18の形成は任意であり、導電部材17の材質や構成によっては形成されなくてもよい。また、光反射性の高い金属膜18は、導電部材17の表面のみならず、スペーサ部材27の表面に形成されていてもよい。これによって、スペーサ部材27の上でも発光素子からの光をより反射することができる。
【0026】
(保護膜形成工程)
配線基体の半導体素子載置側の面(上面)及び/又はその裏面(下面)の半導体素子を載置する若しくは外部接続端子と接続する予定の導電部材17若しくは所定の金属膜18以外の領域に、配線基体として必要な絶縁距離(沿面距離および空間距離)等を確保するため、例えば塗布又は貼り付け等によって
図6に示すように絶縁性の保護膜38を形成することが好ましい。
【0027】
保護膜としては、単層膜でも多層膜でもよく、ワニス、ソルダーレジスト、永久レジスト等の塗膜や半硬化材(フィルムやシート)を用いることが出来る。保護膜を配線基体の裏面に設け、一部の導電部材を裏面に露出させる場合、感光性(感光性フィルムレジスト)を備えていてもよい。必要に応じ、保護膜38として光反射性を有する絶縁性光反射膜を用いることができる。発光素子載置用配線基体の場合、配線基体の上面は発光素子の発光波長に対して反射率が高いことが好ましく、例えば搭載する発光素子からの出射光に対する反射率が70%以上となるように設定されることが好ましい。また、発光素子からの出射光に対する導電部材17の反射率よりも保護膜38の反射率が高いことが好ましい。例えば、白色フィラーを配合したBステージエポキシ樹脂、白色ワニスや、接着層付白色ポリイミドフィルムなどの白色フィラーを配合した耐熱性樹脂フィルム(アラミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム、等)に接着性を付加したもの等を用い、配線基体の半導体素子載置側の面の所定の領域に保護膜38を兼ねる絶縁性光反射膜を形成することができる。
【0028】
(半導体素子を搭載する工程)
上記の工程を経て形成された配線基体に例えば半導体素子として発光素子200を搭載する。本実施形態においては、正負一対の電極を一つの面に備える表面実装型の発光素子200を、
図7に示すように配線基体の上面に実装する。この時、導電部材17若しくはその上に形成される一つの金属膜18と一つの発光素子200の正又は負の電極がそれぞれ電気的に接続される。発光素子載置用の配線基体と発光素子との間の導電接続手段としては、半田や異方性導電ペースト等を用いることができる。
【0029】
発光素子200としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、発光トランジスタ等の半導体発光素子を用いることができる。発光素子200は、パッケージされたものであってもよいし、又は、例えば、片面に電極を有する発光ダイオードチップでもよい。発光ダイオードチップを搭載する場合、フェイスダウンマウント(ジャンクションダウンマウント)とすることもできるし、フェイスアップマウント(ジャンクションアップマウント)とすることもできる。
【0030】
(個片化工程)
そして、発光素子200を搭載した配線基体100を所定の切断線に沿って切断/分割し、個片化して、
図8に示すように発光装置300とする。切断/分割線がとおる領域に、スペーサ部材27を多く配置もしくはスペーサ部材27のみを配置すると、例えば、金型で打抜く方法又はダイサーで切断する方法などでは、刃物の消耗が金属の場合より遅くなるため、生産性を高くすることができる。
【0031】
また、例えば、絶縁部材をLTCC用セラミックグリーンシートとしスペーサ部材27をガラエポのようなブレーキング可能な素材とすることで、ブレーキングにより分割し個片化することもでき、切断/分割の工具の消耗抑制あるいは切断/分割の高速化を図ることにより、生産性を高くすることができる。以上説明したとおり、本実施形態における配線基体の製造方法においては、配線パターンの形成にエッチングや湿式メッキを用いないため、製造時にレジスト廃液やエッチング廃液、メッキ廃液が排出されない。よって、配線基体の製造コストを低減することができる。
【0032】
<第2実施形態>
本実施形態に係る配線基体の製造方法は、絶縁部材準備工程、導電部材配置工程、接合工程、金属膜形成工程(
図9)、及び保護膜形成工程(
図11、
図12、及び
図13)までは、実施形態1と同様である。本実施形態では、
図11乃至
図13に示されるように半導体素子及び外部端子接続箇所を除き、絶縁性の保護膜37又は光反射性を有する保護膜38で配線基体の表面が覆われており、配線基体の表面ではなく内部で開口部にて接続された導電部材が配線となる。
【0033】
本実施形態における半導体素子として例えば発光素子を搭載する工程では、
図10に示すように発光素子200として表面実装タイプのパッケージされた発光ダイオードを搭載する。表面実装タイプのパッケージされた発光ダイオードの裏面のカソードとアノードが隔壁12で絶縁された隣接する一つの金属膜18(若しくは導電部材17)とそれぞれ電気的に接続される。
配線基体を切断する工程を設けてもよいが、絶縁部材準備工程で所望の配線基体形状にすることが廃棄部材を減らすことができるため好ましい。
【実施例1】
【0034】
絶縁部材として、絶縁性樹脂フィルムから形成され、特開2014−87816に記載の方法で形成されるハニカムコアを準備する。具体的には、
図2に示すような、厚み36μmの絶縁性透明ポリイミドフィルムの送り方向(x方向)に3.35mm周期でx方向に垂直なy方向に沿って山折り線と谷折り線を交互に入れ、山折り線と谷折り線の所定位置にスリットを設け、山折り線と谷折り線の所定位置に接して(又は交差して)穴を設け、x方向に平行に3.2mm周期で山折り線2本と谷折り線2本を交互に入れる(〔山折り線(間隔3.2mm)山折り線(間隔3.2mm)谷折り線(間隔3.2mm)谷折り線(間隔3.2mm)〕の繰り返し)。山折り線2本と谷折り線2本の繰り返しを120°に折り曲げ、x方向に垂直な山折り線と谷折り線で折り返し(180°折り曲げ)、
図1に示すような、ハニカム構造体を形成する。
【0035】
直径5.54mmの光沢スズメッキ銅球をハニカム構造体の隔壁12によって区画された複数の領域14に差し込む。光沢スズメッキ銅球のメッキ厚みは10μmである。
【0036】
上下から圧力をかけ、銅球をつぶし六角柱とする。235℃程度に加熱し、スズメッキを開口部16の所定箇所で融着させた後、冷却し、
図9に示すような配線基体100とする。加熱融着時に、水素1〜4%含有窒素雰囲気にすることが融着箇所の電気的導通をよくするために好ましい。
【0037】
図11に示すように、配線基体100の上面に、所定領域に開口を備えた絶縁性及び光反射性を有する保護膜38を形成する。さらに
図12に示すように、配線基体100の下面に保護膜37として、厚さ18μmのポリイミドフィルムを貼る。
光反射性を有する保護膜38と保護膜37の形成順序は、逆順でもよいし、同時でもよい。
【0038】
このように形成される配線基体は、六角柱の金属片が所定位置で融着されて配線パターンを形成し、絶縁フィルムが金属片の周囲に配され金属片同士を電気的に絶縁することで構成される。折り紙の手法を応用することにより、長尺の配線基体を作ることができる。
【実施例2】
【0039】
絶縁部材として、特開2007−98930に記載の絶縁性樹脂フィルムから形成される底面を備えるハニカム構造体を準備する。具体的には、千鳥配置に凹部を配列した板の上に、前記凹部を埋めずに空間ができるように熱硬化性樹脂塗膜あるいは紫外線硬化性樹脂塗膜を形成する。凹部の中心間距離Dは0.5mm、絶縁性熱硬化性樹脂塗膜の厚みは0.154mmとする。
【0040】
次に、熱硬化性樹脂塗膜を備えた板の周囲を減圧するとともに、熱硬化性樹脂塗膜を備えた板(板と樹脂膜の両方)を熱硬化温度以下に加熱し、凹部の気泡を膨張させ、ハニカム材料である熱硬化性樹脂塗膜を変形させる。変形後のサイズは、高さ0.33mm、凹部深さ0.25mm、隔壁厚0.08mmとする。本実施例の方法によれば、配線基体の一面を被覆する保護膜を絶縁部材準備工程で予め作ることができ、工程の簡略化が図れる。
【0041】
加熱し硬化(紫外線硬化性樹脂を用いた場合は、紫外光照射し硬化)させた後、冷却し、固化した有底のハニカム構造体を板から剥離する(
図14)。
【0042】
所定箇所のハニカム隔壁を一部切除(切削加工(エンドミル加工)、あるいはレーザ加工)して開口部を形成する。開口は、横0.2mm、縦0.16mmとする。このようにして、開口を備えた隔壁により複数の領域に区画された絶縁部材を得ることができる。
【0043】
ハニカム構造体の隔壁で区画された領域のそれぞれに、半田メッキした銅クラッドアルミ球(径0.41mm)を差し込む。上下から圧力をかけ、球をつぶし六角柱とする。加熱し半田メッキを所定箇所で融着させた後、冷却する。
【0044】
上面に保護被膜を形成する。以上の製造方法により、六角柱の金属片が所定位置で融着されて配線パターンを形成し、絶縁樹脂膜が前記金属片の周囲に配され前記金属片同士を電気的に絶縁し、配線基体を構成する。
【0045】
なお、上記では絶縁性樹脂膜から形成される底を備えたハニカム構造を特開2007−98930に記載のものとしたが、3Dプリンター(3D printer、積層造形法(additive manufacturing)、熱溶解積層法(fused deposition modeling (FDM)))で作製したものとしてもよい。3Dプリンターで作製すると所定箇所の隔壁を一部切除する工程が省け、廃棄材料が削減されるので好ましい。
【0046】
また、
図15Aに示すように、絶縁性樹脂フィルム上にレーザーコーティングにより金属粉末から金属厚膜を所定の形状に形成しこれを導電部材17とし、
図15Bに示すように金属膜間(例えば、100μm)を絶縁性樹脂で充填しこれを隔壁12とすることもできる。
【0047】
以上では、単層片面の配線基体の製造方法を述べたが、所定の単層の配線基体を複数枚貼り合わせてもよい。例えば、単層片面の配線基体の向きを逆に貼り合せて両面基体としてもよいし、あるいは単層片面の配線基体の向きをそろえて貼り合せることで2層以上の多層配線基体としてもよい。