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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-208636(P2017-208636A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】パワーオンリセット回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20171027BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
   H03K17/22 E
   H03K17/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-98589(P2016-98589)
(22)【出願日】2016年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 征幸
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX23
5J055AX57
5J055BX41
5J055DX01
5J055EY01
5J055EY02
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ01
5J055EZ03
5J055EZ04
5J055EZ07
5J055EZ11
5J055EZ31
5J055EZ65
5J055FX05
5J055FX13
5J055FX18
5J055FX26
5J055FX27
5J055FX38
5J055GX01
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】電源端子や接地端子に混入するノイズの影響を抑制し、且つ安定的にリセット状態を示す信号を出力できるようにする。
【解決手段】電源端子1にソースが接続されゲートが接地端子2に接続されたトランジスタMP1と、トランジスタMP1のドレインに一端が接続されたキャパシタC1と、該キャパシタC1の他端と接地端子2との間に接続された電流源回路10と、キャパシタC1と電流源回路10の共通接続点のノードNxに入力端子が接続され電源端子1と接地端子2の電圧を電源とするインバータINV1とを備え、電流源回路10は、インバータINV1の出力電圧Vrst が“L”のとき小さな電流に設定され、“H”のとき大きな電流に設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源端子にソースが接続されゲートが第2電源端子に接続された第1導電型の第1トランジスタと、該第1導電型の第1トランジスタのドレインに一端が接続されたキャパシタと、該キャパシタの他端と第2電源端子との間に接続された電流源回路と、前記キャパシタと前記電流源回路の共通接続点に入力端子が接続され前記第1電源端子と前記第2電源端子の電圧を電源とする第1インバータとを備え、
前記電流源回路は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のとき小さな電流に設定され、第2論理のとき大きな電流に設定されることを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、
前記電流源回路は、第1カレントミラー回路と第2カレントミラー回路と第2インバータからなり、
前記第1カレントミラー回路は、前記第1電源端子にソースが接続された第1導電型の第2トランジスタと、該第1導電型の第2トランジスタのドレインとゲートが共通接続された第2導電型の第1トランジスタと、該第2導電型の第1トランジスタのソースにドレインが接続された第2導電型の第2トランジスタと、ゲートが該第2導電型の第2トランジスタのゲートとドレインに接続されソースが前記第2電源端子に接続されドレインが前記インバータの入力端子に接続された第2導電型の第3トランジスタとで構成され、
前記第2カレントミラー回路は、前記第1電源端子にソースが接続された第1導電型の第3トランジスタと、該第1導電型の第3トランジスタのドレインとゲートが共通接続された第2導電型の第4トランジスタと、該第2導電型の第4トランジスタのソースにドレインが接続された第2導電型の第5トランジスタと、ゲートが該第2導電型の第5トランジスタのゲートとドレインに接続されソースが第2電源端子に接続されドレインが前記インバータの入力端子に接続された第2導電型の第6トランジスタと、ドレインが該第2導電型の第6トランジスタのゲートに接続され、ソースが前記第2電源端子に接続された第2導電型の第7トランジスタとで構成され、
前記第2インバータは、前記入力端子が前記第1インバータの出力端子に接続され出力端子が前記第2導電型の第7トランジスタのゲートに接続され前記第1電源端子と前記第2電源端子の電圧を電源とする、
ことを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項3】
請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、
前記電流源回路は可変抵抗からなり、該可変抵抗は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のときに大きな抵抗値に設定され、第2論理のときに小さな抵抗値に設定されることを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項4】
請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、
前記電流源回路は、第1抵抗と第2導電型の第8トランジスタの並列接続回路からなり、前記第2導電型の第8トランジスタは前記第1インバータの出力信号が第1論理のときはOFFし、第2論理のときONすることを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項5】
請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、
前記電流源回路は、電流源と前記インバータの出力信号の論理に応じて前記電流源の電流を切り替えるフリップフロップ回路とからなり、
該フリップフロップ回路は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のとき前記電流源の電流を小さな値に設定し、第2論理のとき前記電流源の電流を大きな値に設定することを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載のパワーオンリセット回路において、
前記第1導電型の第1トランジスタを第2抵抗に置き換えたことを特徴とするパワーオンリセット回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充分なリセット時間を得ることができ且つノイズによる誤作動も抑制したパワーオンリセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路を構成するフリップフロップ回路等の内部回路は、電源投入時に論理状態が定まらないため、動作開始前に所定の状態に初期化する必要がある。そのため、半導体集積回路には、電源投入時に内部回路をリセット状態にするパワーオンリセット回路が組み込まれている。
【0003】
<第1従来例>
図7に、第1従来例のパワーオンリセット回路を示す。このパワーオンリセット回路は、一端が電源端子1に接続されたキャパシタC11と、そのキャパシタC11の他端と接地端子2との間に接続されたダイオード接続のNMOSトランジスタMN11と、キャパシタC11とトランジスタMN11のドレインの共通接続点のノードNxに入力端子が接続されたインバータINV11とで構成されている。キャパシタC11の容量値またはトランジスタMN11のON抵抗値を大きくすることでノードNxの電圧Vxの上昇の時定数を大きくして、リセット時間を十分確保することが一般的に行われている。
【0004】
図8に、図7のパワーオンリセット回路の動作特性図を示す。時刻t0において、電源が投入されると、電源端子1の電圧VDDが上昇を開始し、ノードNxの電圧VxもキャパシタC11とトランジスタMN11の寄生キャパシタとの容量分割で、上昇を開始する。このとき、インバータINV11は不定状態である。
【0005】
時刻t1において、電圧VxがトランジスタMN11の閾値電圧Vth(MN11)を超えると、トランジスタMN11が線形領域で動作を開始し、電圧VDDの上昇によるキャパシタC11への充電量とトランジスタMN11を経由しての放電量の差分だけ、その電圧Vxが上昇する。その後、電圧Vxが上昇を続け、時刻t2において、キャパシタC11への充電量とトランジスタMN11による放電量が一致すると、電圧Vxが一定となる。時刻t4において、電圧VDDが一定となると、キャパシタC11の充電がなくなるため、そのキャパシタC11の電荷がトランジスタMN11から接地端子2へ緩やかに放電して、電圧Vxが低下を開始する。
【0006】
インバータINV11は、時刻t1において不定状態を脱出し、このときは、電圧VxがインバータINV11の閾値電圧Vth(INV11)を超えているので、出力端子3の出力電圧Vrst を“L”にして、半導体集積回路の内部回路をリセット状態にする。
【0007】
さらに、電圧VDDの上昇に比例して上昇しているインバータINV11の閾値電圧Vth(INV11)が電圧Vxを超える時点(時刻t3)で、出力端子3の出力電圧Vrst を“H”にして、リセット解除状態になる。
【0008】
出力電圧Vrst が“L”であるリセット時間(t1〜t3)は、キャパシタC11の容量と、トランジスタMN11のサイズと、インバータINV11の閾値電圧Vth(INV11)とを適宜設定することで、任意の時間に設定できる。このようにして、電源投入時に自動的に“L”の出力電圧Vrst を生成して、半導体集積回路の内部回路をリセットすることで、半導体集積回路に正常な動作を行わせることができる。上述した技術は、例えば特許文献1、2に記載されている。
【0009】
しかしながら、図7に記載のパワーオンリセット回路は、電源端子1あるいは接地端子2にノイズが混入した場合、誤動作が発生する問題がある。
【0010】
電源端子1に正パルスノイズが混入した時は、キャパシタC11とトランジスタMN11によってハイパスフィルタが構成されているので、その正パルスノイズが電圧Vxに減衰することなく加算される。このため、リセット解除状態において、電圧Vxがその正パルスによって上昇して、インバータINV11の閾値電圧Vth(INV11)より大きくなり、出力電圧Vrst を“L”にして、リセット解除状態からリセット状態に変化させる誤動作が生じる。
【0011】
同様に接地端子2に負パルスノイズが混入した場合、キャパシタC11とトランジスタMN11によってローバスフィルタが構成されているが、接地端子2の電圧が下降すると、リセット状態において、電圧VxがインバータINV11の閾値電圧Vth(INV11)より低下すると、出力電圧Vrst を“H”にして、リセット状態からリセット解除状態に変化させる誤動作が生じる。
【0012】
<第2従来例>
図9に、このような正、負のパルスノイズによる影響を抑制したパワーオンリセット回路として、第2従来例のパワーオンリセット回路を示す。このパワーオンリセット回路は、ソースが電源端子1に接続されたPMOSトランジスタMP11と、そのトランジスタMP11のドレインとドレインが接続されたデブレッション型のNMOSトランジスタDMN1と、それらトランジスタMP11,DMN1の共通ドレインのノードNxに入力端子が接続されたインバータINV11と、トランジスタDMN1のソースと接地端子2との間に直列接続された抵抗R11,R12と、ドレインが抵抗R11,R12の共通接続点に接続されソースが接地端子2に接続されゲートがインバータINV11の出力端子3に接続されたNMOSトランジスタMN12とで構成されている。インバータINV11はPMOSトランジスタMP12とNMOSトランジスタMN13で構成されている。トランジスタMP11,DMN1のゲートは接地端子2に接続されている。このパワーオンリセット回路は、トランジスタDMN1と抵抗R11,R12で電流源回路が構成されており、この電流源回路の電流は、インバータINV11の出力電圧Vrst で制御されるトランジスタMN12によって切り替えられる。
【0013】
図10に、図9のパワーオンリセット回路の動作特性図を示す。時刻t0において電源が投入されると、電源端子1の電圧VDDが上昇を開始する。ノードNxの電圧Vxは常時ON状態のトランジスタDMN1と直列抵抗R11,R12を経由して接地端子2に接続されているので、低電圧になっている。
【0014】
時刻t1において、インバータINV11が不定状態を脱出すると、そのとき、インバータINV11のトランジスタMP12のソース・ゲート間に、すでにそのトランジスタMP12の閾値電圧Vth(MP12)を超える電圧が印加しているので、そのインバータINV11がONして、出力端子3の出力電圧Vrst を“H”にし、リセット状態(図7の回路とは論理が逆)が設定される。これにより、トランジスタMN12がONして抵抗R12が短絡されるため、ノードNxと接地端子2の間の抵抗値が減少して電圧Vxが低下し、出力電圧Vrst の“H”状態をより強くする。つまり、ヒステリシスがかかり、正パルスノイズがリセット状態に及ぼす影響が抑制される。
【0015】
時刻t2において、電圧VDDの上昇によってトランジスタMP11のソース・ゲート間にそのトランジスタMP11の閾値電圧Vth(MP11)を超える電圧が印加すると、そのトランジスタMP11がONするので、電圧Vxが一挙に持ち上げられて、インバータINV11の閾値Vth(INV11)(この閾値はトランジスタMN13の閾値)を超えるため、そのインバータINV11が反転して、出力端子3の出力電圧Vrst を“L”にし、リセット解除状態(図7の回路とは論理が逆)になる。また、このため、トランジスタMN12がOFFするので、抵抗R12が接続されるため、電圧Vxが持ち上げれら、出力電圧Vrst の“L”状態をより強くする。つまり、ヒステリシスがかかり、負パルスノイズがリセット解除状態に及ぼす影響が抑制される。
【0016】
このように、図9のパワーオンリセット回路はヒステリシス特性を有するので、電源端子1や接地端子2に混入するパルスノイズへの耐性が向上し、誤動作を防止することが可能となる。上述した技術は、例えば特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2002−335148号公報
【特許文献2】特開2014−116729号公報
【特許文献3】特開2014−207615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、図9に記載のパワーオンリセット回路は、電源端子1や接地端子2に混入したノイズによる誤動作については耐性を有するが、リセット状態のパルス時間が短いという問題がある。
【0019】
図9のパワーオンリセット回路では、時刻t1において、インバータINV11のトランジスタMP12のソース・ゲート間電圧が、その閾値電圧Vth(MP12)を超えることで、インバータINV11が動作して出力端子3の出力電圧Vrst を“H”にする。その後、時刻t2において、トランジスタMP11のソース・ゲート間電圧がそのトランジスタMP11の閾値電圧Vth(MP11)を超えることで、インバータINV11が反転して出力電圧Vrst を“L”にする。
【0020】
このように、トランジスタMP11の閾値電圧Vth(MP11)と、インバータINV11のトランジスタMP12の閾値電圧Vth(MP12)の差分に応じてリセット状態である時刻t1〜t2の期間が決まる。ところが、トランジスタMP11、MP12を同一プロセスで形成するときは、Vth(MP11)≒Vth(MP12)となるので、時刻t1〜t2の期間は極めて短くなる問題がある。
【0021】
さらに、素子バラツキにより、Vth(MP11)<Vth(MP12)となった場合は、先にトランジスタMP11がONし、その後にインバータINV11のトランジスタMP12がONすることになるので、出力電圧Vrst =“H”の状態を発生できない。つまり、安定してリセット状態を設定することができない。
【0022】
本発明の目的は、上記問題点を解消し、電源端子や接地端子に混入するノイズの影響を抑制し、且つ安定的にリセット状態を示す信号を出力することができるようにしたパワーオンリセット回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明のパワーオンリセット回路は、第1電源端子にソースが接続されゲートが第2電源端子に接続された第1導電型の第1トランジスタと、該第1導電型の第1トランジスタのドレインに一端が接続されたキャパシタと、該キャパシタの他端と第2電源端子との間に接続された電流源回路と、前記キャパシタと前記電流源回路の共通接続点に入力端子が接続され前記第1電源端子と前記第2電源端子の電圧を電源とする第1インバータとを備え、前記電流源回路は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のとき小さな電流に設定され、第2論理のとき大きな電流に設定されることを特徴とする。
【0024】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、前記電流源回路は、第1カレントミラー回路と第2カレントミラー回路と第2インバータからなり、前記第1カレントミラー回路は、前記第1電源端子にソースが接続された第1導電型の第2トランジスタと、該第1導電型の第2トランジスタのドレインとゲートが共通接続された第2導電型の第1トランジスタと、該第2導電型の第1トランジスタのソースにドレインが接続された第2導電型の第2トランジスタと、ゲートが該第2導電型の第2トランジスタのゲートとドレインに接続されソースが前記第2電源端子に接続されドレインが前記インバータの入力端子に接続された第2導電型の第3トランジスタとで構成され、前記第2カレントミラー回路は、前記第1電源端子にソースが接続された第1導電型の第3トランジスタと、該第1導電型の第3トランジスタのドレインとゲートが共通接続された第2導電型の第4トランジスタと、該第2導電型の第4トランジスタのソースにドレインが接続された第2導電型の第5トランジスタと、ゲートが該第2導電型の第5トランジスタのゲートとドレインに接続されソースが第2電源端子に接続されドレインが前記インバータの入力端子に接続された第2導電型の第6トランジスタと、ドレインが該第2導電型の第6トランジスタのゲートに接続され、ソースが前記第2電源端子に接続された第2導電型の第7トランジスタとで構成され、前記第2インバータは、前記入力端子が前記第1インバータの出力端子に接続され出力端子が前記第2導電型の第7トランジスタのゲートに接続され前記第1電源端子と前記第2電源端子の電圧を電源とする、ことを特徴とする。
【0025】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、前記電流源回路は可変抵抗からなり、該可変抵抗は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のときに大きな抵抗値に設定され、第2論理のときに小さな抵抗値に設定されることを特徴とする。
【0026】
請求項4にかかる発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、前記電流源回路は、第1抵抗と第2導電型の第8トランジスタの並列接続回路からなり、前記第2導電型の第8トランジスタは前記第1インバータの出力信号が第1論理のときはOFFし、第2論理のときONすることを特徴とする。
【0027】
請求項5にかかる発明は、請求項1に記載のパワーオンリセット回路において、前記電流源回路は、電流源と前記インバータの出力信号の論理に応じて前記電流源の電流を切り替えるフリップフロップ回路とからなり、該フリップフロップ回路は、前記第1インバータの出力信号が第1論理のとき前記電流源の電流を小さな値に設定し、第2論理のとき前記電流源の電流を大きな値に設定することを特徴とする。
【0028】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のパワーオンリセット回路において、前記第1導電型の第1トランジスタを第2抵抗に置き換えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第1導電型の第1トランジスタとキャパシタの直列接続や、電流源回路と第1インバータのヒステリシス特性によって、第1及び第2電源端子に混入するパルスノイズによる影響を抑制できる。さらに、第1導電型の第1トランジスタのソース・ゲート間には第1電源端子と第2電源端子に印加する電源電圧が印加し、その電源電圧は第1インバータを構成するトランジスタのソース・ゲート間に印加する電圧よりも大きいため、安定的にリセット状態を示す信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図2図1のパワーオンリセット回路の動作特性図である。
図3図1のパワーオンリセット回路の詳細な回路図である。
図4】本発明の第2実施例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図5】本発明の第3実施例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図6】本発明の第4実施例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図7】第1従来例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図8図7のパワーオンリセット回路の動作特性図である。
図9】第2従来例のパワーオンリセット回路の回路図である。
図10図9のパワーオンリセット回路の動作特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例のパワーオンリセット回路を示す。このパワーオンリセット回路は、電源端子1にソースが接続されゲートが接地端子2に接続されたPMOSトランジスタMP1と、そのトランジスタMP1のドレインに一端が接続され他端が電流源回路10の一端に接続されたキャパシタC1と、キャパシタC1と電流源回路10の共通接続点のノードNxに入力端子が接続されたインバータINV1とで構成されている。電流源回路10の他端は接地端子2に接続されている。インバータINV1はPMOSトランジスタMP01とNMOSトランジスタMN01で構成されている。そして、電流源回路10はインバータINV1の出力端子3の電圧Vrst によって、その電流Iaが切り替えられるようになっている。つまり、後記するように、電流源回路10の電流Iaは、出力電圧Vrst =“L”のときは途中から電流Ia1となり、出力電圧Vrst =“H”のときは電流Ia2(Ia2>Ia1)に切り替わる。
【0032】
図2に、図1のパワーオンリセット回路の動作特性図を示す。時刻t0において電源が投入されると、電源端子1の電圧VDDが上昇を開始するが、ノードNxの電圧Vxは上昇しない。このとき、インバータINV1は不定状態にある。
【0033】
時刻t1において、トランジスタMP1のソース・ゲート間の電圧がそのトランジスタMP1の閾値電圧Vth(MP1)を超えると、そのトランジスタMP1がONするので、ノードNxの電圧Vxが一挙に上昇し、そのときインバータINV1が不定状態を脱出していると、そのときの電圧VxはインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)より高くなっており、インバータINV1が動作して、出力端子3から出力する電圧Vrst は“L”となり、リセット状態となる。
【0034】
時刻t2において、電圧VDDが電圧値Vaに達すると、後記するように電流源回路10が動作を開始して電流Ia1が流れ始め、電圧Vxが低下を開始する。
【0035】
時刻t3になると、電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)を下回って、インバータINV1の出力電圧Vrst は“H”となり、リセット解除状態となる。そして、このときは出力電圧Vrst によって、後記するように電流源回路10が電流Ia1より大きな電流Ia2を流すので、電圧Vxはさらに低下し、インバータINV1が反転することを防止するヒステリシス動作が実現される。
【0036】
リセット状態の期間t1〜t3(Vrst =“L”)は、キャパシタC1の容量と電流源回路10の電流Iaによって自由に設定できる。例えば、キャパシタC1の容量を大きくすれば、時刻t2から開始する電圧Vxの低下が緩やかとなり、時刻t3に至るまでの時間が長くなって、期間t1〜t3が長くなる。また、電流源回路10の電流Iaを大きくすれば、逆に時刻t3に至るまでの時間が短くなって、期間t1〜t3が短くなる。
【0037】
さらに、トランジスタMP1の閾値電圧Vth(MP1)とインバータINV1のトランジスタMP12の閾値電圧Vth(MP01)について、Vth(MP01)≒Vth(MP1)であっても、あるいはバラツキが多少あっても、問題は発生しない。すなわち、時刻t1〜t3の期間において、トランジスタMP1のソース・ゲート間電圧Vsg(MP1)は電源電圧VDDと接地GNDの電位差であるのに対して、トランジスタMP01のソース・ゲート間電圧Vsg(MP01)は電源電圧VDDと電圧Vxの電位であり、必ず後者が小さいので、トランジスタMP1がONする前にトランジスタMP01がオンする事態は発生しない。以上から、リセット状態の期間t1〜t3(Vrst =“L”)として適度の時間幅設定ができ、しかも安定したリセットパルスを供給できるメリットがある。
【0038】
また、リセット解除状態(Vrst =“H”)のとき、電源端子1に正パルスノイズが混入した場合は、トランジスタMP1のオン抵抗によりノイズが減衰されてノードNxに到達するが、このときは、電流源回路10に電流Ia2(>Ia1)が流れている。したがって、正パルスノイズによってキャパシタC1を充電する電荷が電流源回路10の電流Ia2によって吸収され、ノードNxの電圧Vxの上昇が抑制される。この結果、その電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)を超えることが防止される。
【0039】
さらに、リセット解除状態(Vrst =“H”)のとき、接地端子2に負パルスノイズが混入した場合は、電流源回路10の電流Ia2(>Ia1)によって、ノードNxの電圧Vxが接地端子2の電圧低下に追随して低下することで、その電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)を超えることが防止される。
【0040】
以上のように、本実施例では、安定したパルス幅をもったリセット状態を示すパルス(t1〜t3)を生成することができる。また、電源端子1や接地端子2に混入するノイズによる誤動作も抑制することができる。
【0041】
図3図1のパワーオンリセット回路の詳細図を示す。電流源回路10は、第1カレントミラー回路11と第2カレントミラー回路12とインバータINV2とで構成されている。第1カレントミラー回路11は、ドレインとゲートが共通接続されたPMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN1と、トランジスタMN1のソース電流を入力するカレントミラー接続のNMOSトランジスタMN2,MN3とで構成され、トランジスタMN3のドレイン電流が前記した電流Ia1となる。
【0042】
第2カレントミラー回路12は、ドレインとゲートが共通接続されたPMOSトランジスタMP3及びNMOSトランジスタMN4と、トランジスタMN4のソース電流を入力するカレントミラー接続のNMOSトランジスタMN5,MN6と、ドレインがトランジスタMN5,MN6のゲート及びトランジスタMN5のドレインに接続され、ソースが接地端子に接続されたNMOSトランジスタMN7とで構成されている。そして、トランジスタMN7がOFFのときにトランジスタMN6に電流Ia3が流れる。よって、前記したIa2はIa2=Ia1+Ia3となる。これにより、Ia1<Ia2が実現されている。
【0043】
インバータINV2は、入力端子がインバータINV1の出力端子3に接続され、出力端子がトランジスタMN7のゲートに接続されている。このため、トランジスタMN7は出力電圧Vrst =“L”のときONし、出力電圧Vrst =“H”のときOFFする。
【0044】
前記したように、VDD>Vaとなったとき(図2の時刻t2)に、第1カレントミラー回路11に電流Ia1が流れる。この電圧Vaは、トランジスタMP2の閾値電圧をVth(MP2)、トランジスタMN1の閾値電圧をVth(MN1)、トランジスタMN2の閾値電圧をVth(MN2)とすると、Va=Vth(MP2)+Vth(MN1)+Vth(MN2)である。なお、トランジスタMN3の閾値電圧Vth(MN3)は、閾値電圧Vth(MN2)と同じである。
【0045】
このとき、トランジスタMP3の閾値電圧をVth(MP3)、トランジスタMN4の閾値電圧をVth(MN4)、トランジスタMN5閾値電圧をVth(MN5)とすると、Vth(MP3)+Vth(MN4)+Vth(MN5)=Vaであるが、インバータINV1の出力電圧Vrst =“L”であるので、インバータINV2の出力電圧は“H”になっており、トランジスタMN7がONしているので、トランジスタMN5、MN6はOFFしていて、電流Ia3は流れない。
【0046】
そして、電流Ia1が流れることで電圧Vxが下降してインバータINV1が反転すると、出力電圧Vrst =“H”になってリセット解除状態になる。これにより、インバータINV2の出力が“L”になるので、トランジスタMN7がOFFし、トランジスタMN6に電流Ia3が流れる。このため、ノードNxからは、電流Ia2=Ia1+Ia3が引き抜かれるので、電圧Vxが低い電圧にホールドされ、ヒステリシス特性が発揮されるようになる。
【0047】
<第2実施例>
図4に第2実施例のパワーオンリセット回路を示す。この図4では、図1で説明した電流源回路10に代えて、可変抵抗R1を電流源回路20として使用するものである。この可変抵抗R1の値は、出力端子3の出力電圧Vrst =“L”のとき大きな値を示し、出力電圧Vrst =“H”になると小さな値を示すように切り替えられる。このため、第1実施例と同様にヒステリシス特性を実現でき高いノイズ耐性を実現できる。また、トランジスタMP1とキャパシタC1の回路は第1実施例と同様であるので、安定的にリセット状態を示す信号を出力することもできる。
【0048】
なお、第2実施例では電流源回路20が可変抵抗R1であるので、ノードNxの電圧Vxは、トランジスタMP1がONしたときに一気に上昇し、その後、徐々に低下していく。そして、電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)より低下すると、そのインバータINV1の出力電圧Vrst が“H”に反転する。
【0049】
<第3実施例>
図5に第3実施例のパワーオンリセット回路を示す。この図5では、図1で説明した電流源回路10に代えて、抵抗R2とNMOSトランジスタMN8を並列接続して構成した電流源回路30を使用するものである。トランジスタMN8は、出力端子3の出力電圧Vrst =“L”のときOFFとなって、ノードNxと接地端子2の間に抵抗R2が接続される。また、出力電圧Vrst =“H”になるとトランジスタMN8がONとなってそのトランジスタMN8のON抵抗が抵抗R2に並列接続される。このため、出力電圧Vrst =“H”のとき、全体の抵抗値が抵抗R2の抵抗値より小さくなるように切り替えられる。
【0050】
よって、第1実施例と同様にヒステリシス特性を実現でき高いノイズ耐性を実現できる。また、トランジスタMP1とキャパシタC1の回路は第1実施例と同様であるので、安定的にリセット状態を示す信号を出力することもできる。
【0051】
なお、第3実施例では電流源回路30が当初は抵抗R2のみとなるので、ノードNxの電圧Vxは、トランジスタMP1がONしたときに一気に上昇し、その後、徐々に低下していく。そして、電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)より低下すると、そのインバータINV1の出力電圧Vrst が“H”に反転する。
【0052】
<第4実施例>
図6に第4実施例のパワーオンリセット回路を示す。この図6では、電流源41と、その電流源41の電流値をインバータINV1の出力電圧Vrst によって制御するフリップフロップ回路42で構成される電源源回路40を、図1の電流源回路10に代えて使用している。
【0053】
電流源41は、フリップフロップ回路42のQ端子が“L”のとき電流値を小さくし、“H”のときに高くする。フリップフロップ回路42は、インバータINV1の出力電圧Vrst が“L”のときリセットされてそのQ端子を“L”にし、出力電圧Vrst が“H”のときセットされてD端子を“H”にする。
【0054】
よって、第1実施例と同様にヒステリシス特性を実現でき高いノイズ耐性を実現できる。また、トランジスタMP1とキャパシタC1の回路は第1実施例と同様であるので、安定的にリセット状態を示す信号を出力することもできる。
【0055】
なお、第4実施例では電流源回路40が当初は小さい電流を吸い込む電流源41であるので、ノードNxの電圧Vxは、トランジスタMP1がONしたときに一気に上昇し、その後、徐々に低下していく。そして、電圧VxがインバータINV1の閾値電圧Vth(INV1)より低下すると、そのインバータINV1の出力電圧Vrst が“H”に反転する。
【0056】
<その他の実施例>
なお、図1図4図5図6のパワーオンリセット回路において、トランジスタMP1はこれを固定抵抗に置き換えても、同様に動作する。
【符号の説明】
【0057】
10,20,30,40:電流源回路、11:第1カレントミラー回路、12:第2カレントミラー回路、41:電流源、42:フリップフロップ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10