特開2017-213548(P2017-213548A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルバックの特許一覧

<>
  • 特開2017213548-塗布装置 図000003
  • 特開2017213548-塗布装置 図000004
  • 特開2017213548-塗布装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213548(P2017-213548A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20171110BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171110BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20171110BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   B05C5/02
   H05B33/14 A
   H05B33/04
   H05B33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-111071(P2016-111071)
(22)【出願日】2016年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 伸一
【テーマコード(参考)】
3K107
4F041
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC45
3K107EE55
3K107GG37
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA12
4F041BA35
4F041BA36
4F041BA47
4F041BA48
4F041CA02
(57)【要約】
【課題】接合対象の損傷を抑えることを可能とした塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布装置は、アームを備えるロボットと、アームの先端に支持され、被収容体20を収容する収容部12とを備える。被収容体20は、可視光硬化樹脂を含む組成物21とケース22とを含む。ケース22は、筒状を有し、かつ、可視光に対する遮光性を有する。ケース22は、ケース22の先端に接合対象が接したときにケース22の先端から組成物21を接合対象に吐出するように構成されている。収容部12は、有蓋筒状を有して被収容体20の周りを囲み、可視光に対する遮光性を有する遮光部31と、遮光部31の内部において遮光部31に接続し、ケース22の先端を遮光部31の開口から露出するように被収容体20を支持する支持部31c1と、遮光部31の外側において遮光部31に接続し、アームの先端に支持される被支持部31c2とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端を有したアームを備えるロボットと、
前記アームの前記先端に支持されるとともに被収容体を収容する収容部と、を備え、
前記被収容体は、
可視光硬化樹脂を含む組成物と、
前記組成物を内部に収容するための空間を区画するとともに、先端を有した筒状を有するケースであって、前記ケースの前記先端に接合対象が接したときに前記ケースの前記先端から前記組成物を前記接合対象に吐出するように構成された前記ケースと、を含み、
前記収容部は、
開口を有した有蓋筒状を有して前記被収容体の周りを囲むとともに、可視光に対する遮光性を有する遮光部と、
前記遮光部の内部において前記遮光部に接続し、前記ケースの前記先端を前記遮光部の前記開口から露出するように前記被収容体を支持する支持部と、
前記遮光部の外側において前記遮光部に接続し、前記アームの前記先端に支持される被支持部と、を備える
塗布装置。
【請求項2】
前記遮光部の外側に位置するとともに、前記遮光部を加熱する加熱部をさらに備える
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記遮光部は金属製であり、
前記加熱部は前記遮光部に接している
請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記遮光部は、前記被収容体を収容する空間を区画し、2つの筒端を有した筒状を有するとともに、可視光に対する遮光性を有した筒状部と、前記筒状部における一方の前記筒端を塞ぐとともに、可視光に対する遮光性を有した蓋部とを備え、
前記支持部は、前記蓋部のうち、前記筒状部が区画する前記空間の内部に位置する部分であり、
前記被支持部は、前記蓋部のうち、前記筒状部が区画する前記空間の外部に位置する部分である
請求項1から3のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記遮光部は、2つの筒端を含み、
前記2つの筒端のうち、一方の前記筒端が前記開口を区画する筒端であり、
前記開口を区画する前記筒端から、前記開口を区画する前記筒端とは異なる前記筒端に向かう方向が第1方向であり、
前記アームの前記先端と前記被支持部との間に位置するとともに、前記第1方向に沿う力が加えられることによって前記第1方向に沿う長さが縮み、かつ、前記力が解除されることによって前記第1方向に沿う長さが伸びることで、前記第1方向に沿う振動を吸収するように構成された吸収部をさらに備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布対象に樹脂を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELデバイスなどのデバイスが備える2枚の基板を接合する接合方法には、2枚の基板の間にフリットペーストを配置する工程と、フリットペーストを加熱して溶解する工程とを含む第1の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、接合方法には、2枚の基板の間に紫外線硬化性樹脂を配置する工程と、紫外線硬化性樹脂に対して、基板を通して紫外線を照射する工程とを含む第2の方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−126782号公報
【特許文献2】特開2013−109836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1の方法では、フリットペーストが加熱されるとき、基板のうち、フリットペーストに触れている部分も加熱されるため、こうした加熱によって、基板の一部が損傷する場合がある。また、第2の方法では、基板に対して紫外線が照射されるため、紫外線に対する吸収性を有する基板、例えば樹脂製の基板は、紫外線の吸収によって損傷する場合がある。そのため、基板などの接合対象に対する損傷がより抑えられた状態で、2枚の接合対象を接合することが可能とすることが求められている。
本発明は、接合対象の損傷を抑えることを可能とした塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する塗布装置は、先端を有したアームを備えるロボットと、前記アームの前記先端に支持されるとともに被収容体を収容する収容部と、を備え、前記被収容体は、可視光硬化樹脂を含む組成物と、前記組成物を内部に収容するための空間を区画するとともに、先端を有した筒状を有するケースであって、前記ケースの前記先端に接合対象が接したときに前記ケースの前記先端から前記組成物を前記接合対象に吐出するように構成された前記ケースと、を含み、前記収容部は、開口を有した有蓋筒状を有して前記被収容体の周りを囲むとともに、可視光に対する遮光性を有する遮光部と、前記遮光部の内部において前記遮光部に接続し、前記ケースの前記先端を前記遮光部の前記開口から露出するように前記被収容体を支持する支持部と、前記遮光部の外側において前記遮光部に接続し、前記アームの前記先端に支持される被支持部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、被収容体が可視光を遮光する遮光部に囲まれた状態で、塗布装置に取り付けられるため、接合対象に塗布される前の組成物がケースの中で硬化することが抑えられ、接合対象に組成物を塗布することができる。これにより、接合対象に塗布された組成物を他の接合対象に接触させた後、組成物に可視光を照射することによって、2つの接合対象を接合することができる。このように、塗布装置によれば、組成物を接合対象に塗布する工程の後段であって、2つの接合対象を接合する工程において、組成物に含まれる可視光硬化樹脂を硬化させることによって2つの接合対象を接合することができる。そのため、接合対象の溶解や、接合対象による紫外線の吸収を伴わずに2つの接合対象を接合することができ、接合対象の損傷を抑えることができる。
【0007】
上記塗布装置において、前記遮光部の外側に位置するとともに、前記遮光部を加熱する加熱部をさらに備えることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、遮光部からの輻射熱によって組成物を加熱することができるため、組成物の温度が低下することによって、組成物の粘度が、組成物がケースの先端から吐出されない程度に高まることが抑えられる。
【0009】
上記塗布装置において、前記遮光部は金属製であり、前記加熱部は前記遮光部に接していることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、例えば樹脂製の遮光部などを備える構成と比べて、熱伝導性の高い金属製の遮光部を有するため、加熱部の設定温度が所定の温度であるときに、輻射によって組成物に与える熱量をより大きくすることができる。それゆえに、加熱部によって組成物を加熱する効率を高めることができる。
【0011】
上記塗布装置において、前記遮光部は、前記被収容体を収容する空間を区画し、2つの筒端を有した筒状を有するとともに、可視光に対する遮光性を有した筒状部と、前記筒状部における一方の前記筒端を塞ぐとともに、可視光に対する遮光性を有した蓋部とを備え、前記支持部は、前記蓋部のうち、前記筒状部が区画する前記空間の内部に位置する部分であり、前記被支持部は、前記蓋部のうち、前記筒状部が区画する前記空間の外部に位置する部分であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、1つの蓋部が、アームに支持される被支持部と、被収容体を支持する支持部との2つの機能を有するため、収容部が、被支持部と支持部とを各別に有する構成と比べて、収容部を構成する部品の点数を少なくすることができる。
【0013】
上記塗布装置において、前記遮光部は、2つの筒端を含み、前記2つの筒端のうち、一方の前記筒端が前記開口を区画する筒端であり、前記開口を区画する前記筒端から、前記開口を区画する前記筒端とは異なる前記筒端に向かう方向が第1方向であり、前記アームの前記先端と前記被支持部との間に位置するとともに、前記第1方向に沿う力が加えられることによって前記第1方向に沿う長さが縮み、かつ、前記力が解除されることによって前記第1方向に沿う長さが伸びることで、前記第1方向に沿う振動を吸収するように構成された吸収部をさらに備えることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、吸収部によって第1方向に沿う振動が吸収されるため、接合対象のうち、組成物の塗布される面が凹凸面であっても、接合対象への接触によってケースの先端に与えられる圧力が変わることが抑えられ、接合対象に組成物が塗布されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の塗布装置を具体化した一実施形態における概略構成を示すブロック図。
図2】収容部の断面構造を被収容体の断面構造とともに示す断面図。
図3】収容部の構成を収容部が支持されるアームの一部とともに拡大して示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図3を参照して、本発明の塗布装置を具体化した一実施形態を説明する。
図1が示すように、塗布装置10は、ロボット11と収容部12とを備えている。ロボット11は、先端11a1を有したアーム11aを備え、収容部12は、アーム11aの先端11a1に支持されるとともに、被収容体20を収容している。
【0017】
塗布装置10は、箱状を有したチャンバ13を備え、チャンバ13は、収容部12を支持したロボット11が配置される空間を区画している。チャンバ13は、ガス供給口13aと、搬出入口13bとを有している。ガス供給口13aには、ガス供給部14が接続され、ガス供給部14はチャンバ13が区画する空間内に所定のガスを供給する。ガス供給部14は、例えば窒素ガスなどの不活性ガスであって、所定の露点を有するように水の含有量が調節されたガスを供給する。
【0018】
なお、チャンバ13は、チャンバを貫通するガス排気口を有し、ガス排気口には、バルブを介して真空排気装置が接続されていてもよい。こうした構成によれば、チャンバ13が区画する空間内にガス供給部14から所定のガスを供給しつつ、ガス排気口からガスを排気することによって、チャンバ13内を大気圧もしくは大気圧よりも減圧された雰囲気に維持することができる。
【0019】
塗布装置10における処理の対象が接合対象Sである。処理前の接合対象Sは、搬出入口13bを介してチャンバ13の内部に搬入され、また、処理後の接合対象Sは、搬出入口13bを介してチャンバ13の外部に搬出される。塗布装置10は、接合対象Sの搬出および搬入を行うロボットをチャンバ13の外部に備えてもよい。あるいは、塗布装置10がこうしたロボットを備えていない構成では、接合対象Sの搬出および搬入が手動によって行われてもよい。
【0020】
接合対象Sは、樹脂製のフィルムあるいは樹脂製のシートであってもよいし、ガラス基板であってもよい。接合対象Sが樹脂製であるときには、接合対象Sは矩形板状を有してもよいし、帯状を有してもよい。
【0021】
なお、接合対象Sが矩形板状を有するときには、上述したロボットによって接合対象Sを搬送することが可能である。一方で、接合対象Sが帯状を有するときには、塗布装置10は、チャンバ13の外部に位置する送り出しローラと、チャンバ13の内部に位置する巻き取りローラとを備えることが好ましい。こうした構成によれば、帯状を有した接合対象Sが、送り出しローラと巻き取りローラとに巻き回された状態で、接合対象Sがチャンバ13の内部と外部との間で搬送される。
【0022】
塗布装置10は、チャンバ13の底面に固定されたステージ15をさらに備え、ステージ15は、チャンバ13の内部に搬入された接合対象Sを支持する支持面15Sを有している。
【0023】
ステージ15の内部には、ヒータ16が位置し、ヒータ16は支持面15Sに位置する接合対象Sを加熱する。ヒータ16は、例えば、接合対象Sの耐熱温度よりも低い温度であって、かつ、被収容体20が備える組成物が硬化する温度よりも高い温度に支持面15Sを加熱する。
【0024】
ロボット11は、上述したアーム11aを支持する基台11bを備え、基台11bはチャンバ13の底面に固定されている。なお、チャンバ13が有する壁面のうち、ステージ15の固定された底面と対向する面が頂面であり、基台11bは頂面に固定されてもよい。あるいは、基台11bは、チャンバ13の内部におけるロボット11の位置を移動させる移動部に固定されてもよい。
【0025】
図2が示すように、被収容体20は、可視光硬化樹脂を含む組成物21と、ケース22とを含んでいる。ケース22は、組成物21を内部に収容するための空間を区画するとともに、先端を有した筒状を有している。ケース22は、ケース22の先端に接合対象Sが接したときに、ケース22の先端から組成物21を接合対象Sに吐出するように構成されている。
【0026】
より詳しくは、ケース22は、ケース用筒状部22aと、ボール22bと、ケース用蓋部22cとを備えている。ケース用筒状部22aは上述した空間を区画し、2つの筒端を有している。2つの筒端のうち、一方の筒端が吐出口22a1を区画し、他方の筒端が取付口22a2を区画している。ボール22bは、ケース用筒状部22aの吐出口22a1を塞ぎ、ケース22の先端の一例である。ボール22bに接合対象Sが接すると、ボール22bとケース用筒状部22aとの間に隙間が形成され、隙間から組成物21が接合対象Sに吐出される。ケース用蓋部22cは、ケース用筒状部22aの取付口22a2を塞いでいる。
【0027】
ここで、ケース22は、可視光に対する遮光性を有してもよい。あるいは、ケース22は、可視光に対する遮光性を有しなくてもよく、言い換えれば、可視光に対する透過性を有してもよい。ケース22が可視光に対する遮光性を有している場合には、接合対象Sに塗布される前の組成物21が、塗布装置10に取り付けられる前にケース22の中で硬化することが抑えられる。
【0028】
また、ケース22が可視光に対する遮光性を有していない場合には、塗布装置10に取り付けられる前の被収容体20を、可視光に対する遮光性を有する他の収容体に収容することで、接合対象Sに塗布される前の組成物21がケース22の中で硬化することが抑えられる。
【0029】
ケース用筒状部22a、ボール22b、および、ケース用蓋部22cの各々の形成材料は、例えば、金属であってもよいし、可視光に対する遮光性を有した樹脂であってもよいし、可視光に対する透過性を有する樹脂であってもよい。例えば、透明もしくは半透明の樹脂は、ケース22の内部に収容された組成物21の残量を容易に確認することができる点で、ケース22の形成材料として好ましい。
【0030】
組成物21は可視光硬化性樹脂を含み、可視光硬化性樹脂以外の材料、例えば可視光硬化性樹脂を分散させる分散媒などを含んでもよい。可視光硬化性樹脂は、可視領域の光、例えば380nm以上780nm以下の波長を有する光の照射によって硬化する樹脂である。
【0031】
収容部12は、遮光部31を備え、遮光部31は、開口31aを有した有蓋筒状を有して被収容体20の周りを囲むとともに、可視光に対する遮光性を有している。
【0032】
遮光部31は、筒状部31bと蓋部31cとを備えている。筒状部31bは、被収容体20を収容する空間を区画し、2つの筒端を有した筒状を有するとともに、可視光に対する遮光性を有している。蓋部31cは、筒状部31bにおける一方の筒端を塞ぐとともに、可視光に対する遮光性を有している。筒状部31bのうち、一方の筒端が上述した開口31aを区画し、開口31aを区画する筒端とは反対側の筒端が、蓋部31cが取り付けられる取付口31dを区画している。
【0033】
蓋部31cは、支持部31c1と、被支持部31c2とを含んでいる。支持部31c1は、蓋部31cのうち、筒状部31bが区画する空間の内部に位置する部分である。支持部31c1は、遮光部31の内部において遮光部31に接続し、ケース22の先端を遮光部31の開口31aから露出するように被収容体20を支持する。
【0034】
被支持部31c2は、蓋部31cのうち、筒状部31bが区画する空間の外部に位置する部分である。被支持部31c2は、遮光部31の外側において遮光部31に接続し、アーム11aの先端11a1に支持される。
【0035】
蓋部31cは、筒状部31bに対する取り付け、および、筒状部31bからの取り外しが可能である。蓋部31cのうち、被支持部31c2は、蓋部31cが筒状部31bに取り付けられることによって、筒状部31bの外部において筒状部31bに接続し、支持部31c1は、蓋部31cが筒状部31bに取り付けられることによって、筒状部31bの内部において筒状部31bに接続する。
【0036】
例えば、蓋部31cと筒状部31bとは、互いに嵌合する形状を有し、蓋部31cが筒状部31bに対して嵌合することによって蓋部31cが筒状部31bに取り付けられてもよい。また例えば、蓋部31cの外周面が凹凸面を含み、かつ、筒状部31bの内周面が凹凸面を含み、蓋部31cの外周面と筒状部31bの内周面とにおいて、互いの凹凸面が螺合されることによって、蓋部31cが筒状部31bに取り付けられてもよい。
【0037】
例えば、支持部31c1は、蓋部31cが筒状部31bに取り付けられた状態で、開口31aと対向する凹部を有し、支持部31c1の凹部と、被収容体20のケース用蓋部22cとが、互いに嵌合することのできる形状を有していればよい。また例えば、支持部31c1は、被収容体20に対する粘着性を有し、支持部31c1の粘着性によって、被収容体20を支持してもよい。
【0038】
塗布装置10では、被収容体20が可視光を遮光する遮光部31に囲まれた状態で、塗布装置10に取り付けられる。そのため、接合対象Sに塗布される前の組成物21がケース22の中で硬化することが抑えられ、接合対象Sに組成物21を塗布することができる。これにより、接合対象Sに塗布された組成物21を他の接合対象Sに接触させた後、組成物21に可視光を照射することによって、2つの接合対象Sを接合することができる。
【0039】
このように、塗布装置10によれば、組成物21を接合対象Sに塗布する工程の後段であって、2つの接合対象Sを接合する工程において、組成物21に含まれる可視光硬化樹脂を硬化させることによって2つの接合対象Sを接合することができる。そのため、接合対象Sの溶解や、接合対象Sによる紫外線の吸収を伴わずに2つの接合対象Sを接合することができ、接合対象Sの損傷を抑えることができる。
【0040】
収容部12では、1つの蓋部31cが、被収容体20を支持する支持部31c1と、アーム11aに支持される被支持部31c2との2つの機能を有する。そのため、収容部12が、被支持部と支持部とを各別に有する構成と比べて、収容部12を構成する部品の点数を少なくすることができる。
【0041】
塗布装置10では、収容部12に被収容体20が収容されている。そのため、被収容体20が備える組成物21の全てが被収容体20の外部に吐出されたときには、収容部12から被収容体20を取り外し、新たな被収容体20を取り付けることで、塗布装置10が、接合対象Sに対して組成物21を塗布することが可能になる。
【0042】
なお、ケース22が可視光に対する遮光性を有する場合であれ、可視光に対する遮光性を有しない場合であれ、被収容体20が塗布装置10に取り付けられた状態では、被収容体20を囲む収容部12が可視光を遮光するため、収容部12によって組成物21の硬化が抑えられる。
【0043】
図3が示すように、塗布装置10は、吸収部17をさらに備えている。遮光部31は2つの筒端を含み、2つの筒端のうち、一方の筒端が開口31aを区画する筒端であり、この筒端とは異なる筒端に向かう方向が第1方向である。吸収部17は、アーム11aの先端11a1と被支持部31c2との間に位置している。吸収部17は、第1方向に沿う力が加えられることによって、第1方向に沿う長さが縮み、かつ、力が解除されることによって、第1方向に沿う長さが伸びることで、第1方向に沿う振動を吸収するように構成されている。
【0044】
より詳しくは、遮光部31は開口31aを区画する筒端と、蓋部31cの被支持部31c2によって構成される筒端とを含み、開口31aを区画する筒端から被支持部31c2によって構成される筒端に向かう方向が第1方向である。すなわち、第1方向は、接合対象Sから吸収部17に向かう方向である。
【0045】
吸収部17によって第1方向に沿う振動が吸収される。そのため、接合対象Sのうち、組成物21の塗布される面が凹凸面であっても、接合対象Sへの接触によってケース22の先端に与えられる圧力が変わることが抑えられ、接合対象Sに組成物21が塗布されやすくなる。
【0046】
吸収部17は、ショックアブソーバーであり、空圧式のショックアブソーバーでもよいし、油圧式のショックアブソーバーでもよい。
【0047】
収容部12において、蓋部31cの被支持部31c2が吸収部17に取り付けられている。すなわち、収容部12は、吸収部17を介してアーム11aの先端11a1に支持されている。被支持部31c2は吸収部17に固定されてもよいし、吸収部17からの取り外しが可能な状態で、吸収部17に取り付けられてもよい。
【0048】
被支持部31c2が吸収部17に固定される場合には、被支持部31c2は例えば接着剤によって吸収部17に固定されればよい。一方で、被支持部31c2が吸収部17に対する取り付けと、吸収部17からの取り外しが可能な場合には、例えば、被支持部31c2と吸収部17とは、互いに嵌合する形状を有し、被支持部31c2が吸収部17に対して嵌合することによって被支持部31c2が吸収部17に取り付けられてもよい。また例えば、被支持部31c2の外周面は凹凸面を含み、かつ、吸収部17の外周面は凹凸面を含み、被支持部31c2の外周面と吸収部17の外周面とにおいて、互いの凹凸面が螺合されることによって、被支持部31c2が吸収部17に取り付けられてもよい。
【0049】
塗布装置10は、加熱部18をさらに備え、加熱部18は、遮光部31の外側に位置するとともに、遮光部31を加熱する。遮光部31は金属製であり、加熱部18は遮光部31に接している。遮光部31の形成材料は、例えばステンレス鋼などであればよい。
【0050】
これにより、遮光部31からの輻射熱によって組成物21を加熱することができる。そのため、組成物21の温度が低下することによって、組成物21の粘度が、組成物21がケース22の先端から吐出されない程度に高まることが抑えられる。
【0051】
また、例えば樹脂製の遮光部などを備える構成と比べて、熱伝導性の高い金属製の遮光部31を有するため、加熱部18の設定温度が所定の温度であるときに、輻射によって組成物21に与える熱量をより大きくすることができる。それゆえに、加熱部18によって組成物21を加熱する効率を高めることができる。
【0052】
加熱部18は、延在方向に沿って、遮光部31の外周面に螺旋状に巻き回されている。これにより、遮光部31のうち、加熱部18が巻き回された部分の全体が、輻射熱によって被収容体20を加熱することができる。それゆえに、被収容体20が加熱されやすくなる。
【0053】
加熱部18は、例えば抵抗加熱式の加熱部である。加熱部18は、金属製のワイヤーを含み、可撓性を有している。加熱部18が可撓性を有する構成によれば、上述したように、遮光部31の外周面を取り囲むように加熱部18を位置させることが容易である。
【0054】
加熱部18にはケーブル19が接続され、ケーブル19は、加熱部18と加熱部18に電力を供給する電源とに接続し、加熱部18に電源の出力した電力を供給する。
【0055】
以上説明したように、塗布装置の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)塗布装置10は、接合対象Sに可視光硬化性樹脂を含む組成物21を塗布するため、組成物21を塗布する構成の後段において、接合対象Sの溶解や、接合対象Sによる紫外線の吸収を伴わずに2つの接合対象Sを接合することができるため、接合対象Sの損傷を抑えることができる。
【0056】
(2)遮光部31からの輻射熱によって組成物21を加熱することができるため、組成物21の温度が低下することによって、組成物21の粘度が、組成物21がケース22の先端から吐出されない程度に高まることが抑えられる。
【0057】
(3)熱伝導性の高い金属製の遮光部31を有するため、加熱部18の設定温度が所定の温度であるときに、輻射によって組成物21に与える熱量をより大きくすることができる。それゆえに、加熱部18によって組成物21を加熱する効率を高めることができる。
【0058】
(4)蓋部31cが、支持部31c1と被支持部31c2との2つの機能を有するため、収容部12を構成する部品の点数を少なくすることができる。
【0059】
(5)吸収部17によれば、接合対象Sのうち、組成物21の塗布される面が凹凸面であっても、接合対象Sに組成物21が塗布されやすくなる。
【0060】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・塗布装置10は吸収部17を有していなくてもよい。この場合には、収容部12は、アーム11aの先端11a1に直接支持されればよく、収容部12は、アーム11aの先端11a1に固定されてもよいし、収容部12は、アーム11aに対する取り付けと、アーム11aからの取り外しとが可能な状態で、アーム11aの先端に取り付けられてもよい。こうした構成であっても、上述した(1)から(4)と同等の効果を得ることはできる。
【0061】
・収容部12は、被収容体20を支持する支持部と、アームに支持される被支持部とを各別に備える構成であってもよい。こうした構成であっても、上述した(1)から(3)、および、(5)と同等の効果を得ることはできる。
【0062】
・支持部31c1は蓋部31cでなくともよく、収容部12は、蓋部31cとは異なる部分として支持部を備えてもよい。すなわち、支持部31c1は、遮光部31の一部でなくてもよく、遮光部31とは異なる部分として収容部12が備えてもよい。例えば、支持部は、筒状部31bの内周面に位置して、被収容体20を支持する構成であってもよい。
【0063】
・被支持部31c2は蓋部31cでなくともよく、収容部12は、蓋部31cとは異なる部分として被支持部を備えてもよい。すなわち、被支持部31c2は、遮光部31の一部でなくてもよく、遮光部31とは異なる部分として収容部12が備えてもよい。例えば、被支持部は、遮光部31の外周面に位置して、アーム11aの先端11a1によって支持される構成であってもよい。
【0064】
・遮光部31の形成材料は、上述した金属に限らず、可視光に対する遮光性を有するプラスチックであってもよい。また、上述したように、遮光部31が筒状部31bと蓋部31cとを備える構成では、筒状部31bの形成材料と蓋部31cの形成材料とが互いに異なる材料であってもよい。これらの場合にも、遮光部31が可視光を遮光することが可能である以上、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0065】
・加熱部18は、遮光部31に接していなくてもよく、加熱部18は、遮光部31から離れていてもよい。こうした構成であっても、加熱部18が輻射によって被収容体20を加熱することが可能であれば、上述した(2)と同等の効果を得ることはできる。
【0066】
・加熱部18は、遮光部31に巻き回された構成に限らず、遮光部31の内部に位置する、言い換えれば、遮光部31の内部に埋め込まれてもよいし、遮光部31によって区画される空間の内部に位置してもよい。こうした構成であっても、被収容体20を加熱することが可能であるため、上述した(2)と同等の効果を得ることはできる。
【0067】
なお、加熱部18が遮光部31の外側に位置する構成は、加熱部18に接続するケーブル19の引き回しが容易である点で、上述した2つの構成と比べて好ましい。
【0068】
・塗布装置10は加熱部を備えていなくてもよい。こうした構成では、塗布装置10が、例えば、組成物21の粘度が、組成物21がケース22から吐出されにくくなる程度に高まらない温度に、チャンバ13によって区画される空間の全体を加熱することのできる構成であってもよい。
【0069】
なお、加熱部18を備える構成は、塗布装置10の内部に位置する構成の全てが、チャンバ13が区画する空間の温度に対する耐熱性を有する必要がない点、および、被収容体20の加熱に必要なエネルギーを抑えることができる点で、上述した構成よりも好ましい。
【符号の説明】
【0070】
10…塗布装置、11…ロボット、11a…アーム、11a1…先端、11b…基台、12…収容部、13…チャンバ、13a…ガス供給口、13b…搬出入口、14…ガス供給部、15…ステージ、15S…支持面、16…ヒータ、17…吸収部、18…加熱部、19…ケーブル、20…被収容体、21…組成物、22…ケース、22a…ケース用筒状部、22a1…吐出口、22a2,31d…取付口、22b…ボール、22c…ケース用蓋部、31…遮光部、31a…開口、31b…筒状部、31c…蓋部、31c1…支持部、31c2…被支持部、S…接合対象。
図1
図2
図3