【解決手段】半導体装置1において、補強材111の中心位置は、単層の第1絶縁層11の厚さ方向の中心位置よりも第1絶縁層の一方の面側に偏在している。貫通配線12の一端面は、第1絶縁層の一方の面から露出して、配線層14、16、18と絶縁層15、17が積層された積層体1Sの配線層と接続され、第1絶縁層の他方の面から窪んだ位置に露出し、第1絶縁層が内側面をなす第1凹部11xを形成し、外部接続用パッド13のみが形成される。外部接続用パッドは、第1凹部の底面及び内側面に沿って形成され、内側面から第1凹部の周囲に位置する第1絶縁層の他方の面に延在し、外部接続用パッドの第1絶縁層の他方の面に延在する部分の内側には、貫通配線側に窪む第2凹部13xが形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板及び半導体装置の構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図1(a)は断面図、
図1(b)は
図1(a)のA部の部分拡大断面図、
図1(c)は外部接続用パッド近傍の部分縮小底面図である。
【0011】
図1(a)を参照するに、半導体装置1は、配線基板10と、半導体チップ20と、封止樹脂30とを有している。半導体チップ20は、配線基板10上に搭載され、封止樹脂30に封止されている。
【0012】
配線基板10は、絶縁層11と、貫通配線12と、外部接続用パッド13と、配線層14と、絶縁層15と、配線層16と、絶縁層17と、配線層18とを有している。なお、絶縁層11は、本発明に係る第1絶縁層の代表的な一例である。
【0013】
なお、本実施の形態では、便宜上、半導体装置1の半導体チップ20側を上側又は一方の側、外部接続用パッド13側を下側又は他方の側とする。又、各部位の半導体チップ20側の面を上面又は一方の面、外部接続用パッド13側の面を下面又は他方の面とする。但し、半導体装置1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層11の一方の面11aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層11の一方の面11aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
絶縁層11は、補強材111を備えた非感光性樹脂からなる単層の絶縁層である。より詳しくは、絶縁層11は、例えば、ガラスクロス(ガラス織布)等の補強材111にエポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性の非感光性樹脂を含浸させ硬化させた所謂ガラスエポキシ系樹脂である。
【0015】
熱硬化性の非感光性樹脂はエポキシ系樹脂に限らず、例えば、ポリイミド系樹脂やシアネート系樹脂等の絶縁性樹脂を用いてもよい。絶縁層11は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有してもよい。絶縁層11の厚さは、例えば、25〜35μm程度とすることができる。補強材111の中心位置は、絶縁層11の厚さ方向の中心位置よりも絶縁層11の一方の面11a側に偏在している。なお、補強材111の中心位置は、絶縁層11と後述の積層体1Sとを合わせた部分の厚さ方向の中心に位置していることが、配線基板10の反り低減の観点から好ましい。
【0016】
補強材111を構成するガラスクロスは、例えば、所定方向に並設されたガラス繊維束と、所定方向に垂直な方向に並設されたガラス繊維束とが格子状に平織りされた形態とすることができる。ガラス繊維束は、1本が例えば数μm程度のガラス繊維を複数本束ねて例えば数100μm程度の幅にしたものである。
【0017】
ガラス繊維束の織り方は平織りには限定されず、朱子織り、綾織り等であっても構わない。又、ガラス繊維束は90°以外の所定の角度で編み込まれた形態であっても構わない。又、ガラス繊維束を用いたガラスクロスに代えて、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布等を用いてもよい。
【0018】
絶縁層11には、絶縁層11を貫通する貫通配線12が形成されている。貫通配線12は、例えば、直径200〜300μm程度の円柱状とすることができる。貫通配線12は、例えば、金属層121と金属層122とが積層された構造とすることができる。金属層121及び金属層122の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0019】
貫通配線12の一端面(金属層122の一端面)は、絶縁層11の一方の面11aから露出して配線層14と接続されている。貫通配線12の他端面(金属層121の他端面)は、絶縁層11の他方の面11bから窪んだ位置に露出し、貫通配線12の他端面が底面をなし絶縁層11が内側面をなす第1凹部11xを形成している。
【0020】
絶縁層11の他方の面11bには、外部接続用パッド13が形成されている。なお、絶縁層11には、貫通配線12と外部接続用パッド13のみが形成されている。
【0021】
貫通配線12及び外部接続用パッド13は、独立したポスト状に形成されており、貫通配線12の間を電気的に接続するような引き回しのための配線パターンは形成されていない。貫通配線12の間の電気的な接続は、必要に応じて、例えば、配線層14を介して行うことができる。
【0022】
外部接続用パッド13は、第1凹部11xの底面及び内側面に沿って形成され、第1凹部11xの内側面から第1凹部11xの周囲に位置する絶縁層11の他方の面11bの上に延在している。外部接続用パッド13の絶縁層11の他方の面11bに延在する部分の内側には、貫通配線12側に窪む第2凹部13xが形成されている。第1凹部11xの深さD
1及び第2凹部13xの深さD
2は、それぞれ10〜50nm程度とすることができる。
【0023】
外部接続用パッド13の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。外部接続用パッド13の厚さは、例えば、10〜30μm程度とすることができる。絶縁層11の他方の面11b側から視た外部接続用パッド13の形状は、例えば、円形とすることができる。この場合、外部接続用パッド13の直径φ
1は、例えば200〜300μm程度とすることができる。又、第2凹部13xの底面の直径φ
2は、例えば150〜250μm程度とすることができる。外部接続用パッド13の直径は、貫通配線12の直径よりも大きい。
【0024】
絶縁層11の一方の面11aには、配線層14、絶縁層15、配線層16、絶縁層17、及び配線層18が順次積層された積層体1Sが形成されている。積層体1Sを構成する配線層14、16、及び18は、微細配線層(高密度の配線パターンを備えた配線層)である。ここで、微細配線層とは、ライン/スペースが10μm/10μm以下の配線層を指す。
【0025】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μmと記載されていた場合、配線幅が10μmで隣り合う配線同士の間隔が10μmであることを表す。
【0026】
絶縁層11の一方の面11aと貫通配線12の一端面は研磨された面(研磨面)かつ面一である。絶縁層11の一方の面11aの粗度は、例えば、Ra15〜40nm程度とすることができる。これに対して、絶縁層11の他方の面11bの粗度は、例えば、Ra300〜400nm程度である。
【0027】
このように、絶縁層11の一方の面11aは、絶縁層11の他方の面11bよりも平滑である。絶縁層11の一方の面11aの粗度を低減して平滑度を向上することにより、その上に配線層14等の微細配線層を容易に形成することが可能となる。
【0028】
配線層14は、絶縁層11の一方の面11aに形成された配線パターンである。配線層14は、貫通配線12を介して、外部接続用パッド13と電気的に接続されている。配線層14の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層14の厚さは、例えば、1〜3μm程度とすることができる。配線層14のライン/スペースは、例えば、2μm/2μm〜5μm/5μm程度とすることができる。
【0029】
絶縁層15は、絶縁層11の一方の面11aに、配線層14を被覆するように形成されている。絶縁層15の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする絶縁性の感光性樹脂を用いることができる。絶縁層15の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。絶縁層15は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。
【0030】
配線層16は、絶縁層15の一方の側に形成されており、配線層14と電気的に接続されている。配線層16は、絶縁層15を貫通し配線層14の上面を露出するビアホール15x内に充填されたビア配線、及び絶縁層15の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層16の材料や厚さ、配線層16を構成する配線パターンのライン/スペース等は、例えば、配線層14と同様とすることができる。
【0031】
絶縁層17は、絶縁層15の上面に、配線層16を被覆するように形成されている。絶縁層17の材料や厚さは、例えば、絶縁層15と同様とすることができる。絶縁層17は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。
【0032】
配線層18は、絶縁層17の一方の側に形成されており、配線層16と電気的に接続されている。配線層18は、絶縁層17を貫通し配線層16の上面を露出するビアホール17x内に充填され、絶縁層17の上面から突出する金属ポスト又はパッドである。配線層18の材料は、例えば、銅(Cu)等とすることができる。配線層18の絶縁層17の上面からの突出量は、例えば、50μm程度とすることができる。
【0033】
なお、配線層18の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、配線層18の表面(上面及び側面)に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
【0034】
半導体チップ20は、配線基板10の積層体1S上にフェースダウン状態(回路形成面を配線基板10側に向けて)でフリップチップ実装されている。半導体チップ20は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極201が形成されている。
【0035】
半導体チップ20の電極201は、バンプ40を介して、配線基板10の積層体1Sの最上の配線層である配線層18と電気的に接続されている。バンプ40は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0036】
配線基板10の積層体1S上には、配線基板10の積層体1Sの上面及び半導体チップ20を被覆する封止樹脂30が形成されている。但し、半導体チップ20の背面(回路形成面とは反対側の面)は、封止樹脂30から露出している。これにより、半導体チップ20の放熱性を向上できる。封止樹脂30の材料としては、例えば、剛性に優れたエポキシ系樹脂等(所謂モールド樹脂)を用いることができる。エポキシ系樹脂等の剛性は、例えば、樹脂自体の組成や含有するフィラーの種類や量等により調整することができる。
【0037】
なお、配線基板10上に複数の半導体チップを搭載してもよいし、半導体チップ以外に受動素子(抵抗、コンデンサ、インダクタ等)を搭載してもよい。
【0038】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図2〜
図5は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、単品の半導体装置を形成する工程を示すが、半導体装置となる複数の部分を作製後、個片化して各半導体装置とする工程としてもよい。
【0039】
まず、
図2(a)に示す工程では、支持体300を準備し、支持体300の一方の面にスパッタ法や電解めっき法等により金属層310及び金属層121を順次積層する。支持体300の厚さは、例えば、35〜70μm程度とすることができる。支持体300としては、例えば、金属板や金属箔等を用いることができるが、本実施の形態では支持体300として銅箔を用いる例を示す。
【0040】
金属層310の材料としては、例えば、チタン、ニッケル、クロム等を用いることができるが、ここではチタンを用いる例を示す。金属層310の厚さは、例えば、10〜50nm程度とすることができる。金属層121の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。金属層121の厚さは、例えば、100〜500nm程度とすることができる。なお、金属層310は、支持体300と金属層121との密着性を向上するために設ける密着層である。
【0041】
次に、
図2(b)に示す工程では、金属層121上に、貫通配線12の形成領域に開口部320xを有するレジスト層320(ドライフィルムレジスト等)を形成する。そして、金属層121を給電層に利用した電解めっき法により、開口部320x内に露出する金属層121上に、銅等からなる金属層122を形成する。金属層122の厚さは、例えば、10〜60μm程度とすることができる。金属層122を形成後、レジスト層320を剥離液により除去する。
【0042】
次に、
図2(c)及び
図2(d)に示す工程では、例えば、金属層122をマスクとするエッチングにより金属層122に被覆されていない部分の金属層121及び310を除去する。これにより、支持体300の一方の面の所定領域に、金属層310と、金属層121及び122を備えた貫通配線12とが積層形成される。なお、
図2(d)は、
図2(c)の貫通配線12近傍の部分縮小平面図である。
【0043】
貫通配線12は、独立したポスト状に形成されており、貫通配線12の間を電気的に接続するような引き回しのための配線パターンは形成されていない。貫通配線12の間の電気的な接続は、必要に応じて、例えば、後述の配線層14を介して行うことができる。
【0044】
金属層121が銅からなる場合には、例えば、硫酸過水液(硫酸と過酸化水素水の混合水溶液)等の酸性水溶液により除去できる。チタンからなる金属層310は、例えば、四フッ化炭素(CF
4)等のエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去できる。又、金属層121及び支持体300が銅からなる場合には、チタンからなる金属層310は、水酸化カリウム(KOH)系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより、金属層121及び支持体300に対して選択的に除去できる。この場合、支持体300がエッチングストッパー層となる。
【0045】
次に、
図2(e)に示す工程では、支持体300の一方の面に、補強材111を備えた非感光性樹脂からなる単層の絶縁層11を、金属層310の側面並びに貫通配線12の一端面及び側面を被覆するように形成する。絶縁層11は、例えば、支持体300の一方の面に金属層310の側面並びに貫通配線12の一端面及び側面を被覆するように樹脂フィルムをラミネートした後、樹脂フィルムを押圧しながら加熱して硬化させることにより形成できる。ここで、樹脂フィルムとしては、ガラスクロス等の補強材111にエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂フィルムを用いることができる。この段階では、補強材111の厚さ方向の中心位置は、絶縁層11の厚さ方向の中心位置と略一致している。
【0046】
次に、
図2(f)に示す工程では、絶縁層11の一方の面11a側と貫通配線12の一端面側を研磨して、絶縁層11の一方の面11aから貫通配線12の一端面を露出させる。これにより、補強材111の中心位置は、絶縁層11の厚さ方向の中心位置よりも絶縁層11の一方の面11a側に偏在する。なお、後工程で積層体1Sを形成した際に、補強材111の中心位置が絶縁層11と積層体1Sとを合わせた部分の厚さ方向の中心に位置するように、絶縁層11の研磨量を調整することが好ましい。
【0047】
研磨は、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)等により行うことができる。絶縁層11の一方の面11a(研磨面)の粗度はCMP法等を実行する前(研磨前)は、例えば、Ra300〜400nm程度であり、CMP法等を実行することによりRa15〜40nm程度とすることができる。
【0048】
次に、
図2(g)に示す工程では、配線層14を形成する。配線層14は、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まずスパッタ法や無電解めっき法により、絶縁層11の一方の面11a及び貫通配線12の一端面を連続的に被覆するシード層を形成する。シード層の材料としては、例えば、チタン(Ti)膜上に銅(Cu)膜が形成された積層膜を用いることができる。シード層の厚さは、例えば、100〜200nm程度とすることができる。
【0049】
次に、シード層上に感光性レジストを塗布し、露光及び現像し、配線層14に対応する開口部を備えたレジスト層を形成する。次に、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる電解めっき層を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層14が形成される。配線層14の厚さは、例えば、1〜3μm程度とすることができる。配線層14のライン/スペースは、例えば、2μm/2μm〜5μm/5μm程度とすることができる。
【0050】
次に、
図3(a)に示す工程では、絶縁層11の一方の面11aに、配線層14を被覆するように絶縁層15を形成する。絶縁層15の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする絶縁性の感光性樹脂を用いることができる。絶縁層15の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。絶縁層15は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層15の材料として、液状又はペースト状の樹脂を用いた場合には、配線層14を被覆するように絶縁層15の一方の面15aに液状又はペースト状の樹脂をスピンコート法等により塗布する。絶縁層15の材料として、フィルム状の樹脂を用いた場合には、配線層14を被覆するように絶縁層15の一方の面15aにフィルム状の樹脂をラミネートする。
【0051】
次に、
図3(b)に示す工程では、絶縁層15を露光及び現像し、絶縁層15を貫通し配線層14の上面を露出するビアホール15xを形成する。
【0052】
次に、
図3(c)に示す工程では、絶縁層15の一方の側に配線層16を形成する。配線層16は、配線層14と同様にセミアディティブ法により形成できる。配線層16は、絶縁層15を貫通し配線層14の上面を露出するビアホール15x内に充填されたビア配線、及び絶縁層15の上面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層16の材料や厚さ、配線層16を構成する配線パターンのライン/スペース等は、例えば、配線層14と同様とすることができる。
【0053】
次に、
図3(d)に示す工程では、
図3(a)と同様の方法により、絶縁層15の一方の面に、配線層16を被覆するように絶縁層17を形成する。
【0054】
次に、
図3(e)に示す工程では、
図3(b)と同様の方法により、絶縁層17にビアホール17xを形成する。そして、絶縁層17の一方の側に配線層18を形成する。以上の工程により、絶縁層11の一方の面11aに積層体1Sが形成される。
【0055】
配線層18は、配線層14と同様にセミアディティブ法により形成できる。配線層18は、絶縁層17を貫通し配線層16の上面を露出するビアホール17x内に充填され、絶縁層17の上面から突出する金属ポスト又はパッドとなる。配線層18の材料は、例えば、銅(Cu)等とすることができる。配線層18の絶縁層17の上面からの突出量は、例えば、50μm程度とすることができる。
【0056】
なお、配線層18の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に無電解めっき法等により前述の表面処理層を形成してもよい。又、配線層18の表面(上面及び側面)に、OSP処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
【0057】
次に、
図4(a)に示す工程では、半導体チップ20を、配線基板10上にフェースダウン状態でフリップチップ実装する。例えば、配線基板10の配線層18の上面と、半導体チップ20の電極201の下面とを、バンプ40となるはんだを介して位置合わせし、リフロー処理を行ってはんだを溶融後凝固させてバンプ40を形成する。これにより、配線層18と電極201とがバンプ40を介して電気的に接続される。
【0058】
次に、
図4(b)に示す工程では、配線基板10の積層体1S上に、配線基板10の積層体1Sの上面及び半導体チップ20を被覆する封止樹脂30を形成する。例えば、封止樹脂30の材料として熱硬化性を有した所謂モールド樹脂を用いる場合には、
図4(a)に示す構造体を金型内に収容し、金型内に所定の圧力を印加し、流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を所定の温度で加熱して硬化させることで封止樹脂30を形成する。なお、モールド樹脂を充填する方法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等の方法を用いることができる。
【0059】
次に、
図4(c)に示す工程では、封止樹脂30を上面側から研削して半導体チップ20の背面を封止樹脂30の上面から露出する。研削には、例えば、バックグラインダー等を用いることができる。この際、封止樹脂30と共に半導体チップ20の背面も研削し、半導体チップ20を薄化してもよい。封止樹脂30の上面と半導体チップ20の背面とは略面一となる。
【0060】
次に、
図5(a)に示す工程では、
図4(c)に示す支持体300を除去する。銅箔である支持体300は、例えば、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。この際、チタンからなる金属層310がエッチングストッパー層として機能する。
【0061】
次に、
図5(b)に示す工程では、金属層310を除去する。これにより、貫通配線12の他端面が絶縁層11の他方の面11bから窪んだ位置に露出し、貫通配線12の他端面が底面をなし絶縁層11が内側面をなす第1凹部11xが形成される。
【0062】
チタンからなる金属層310は、例えば、四フッ化炭素(CF
4)等のエッチングガスを用いたドライエッチングにより除去できる。又、チタンからなる金属層310は、水酸化カリウム(KOH)系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより除去できる。この場合、金属層121が銅からなる場合にはエッチングストッパー層となる。
【0063】
次に、
図5(c)に示す工程では、絶縁層11の他方の面11bに外部接続用パッド13を形成する。外部接続用パッド13は、配線層14と同様にセミアディティブ法により形成できる。外部接続用パッド13は、第1凹部11xの底面及び内側面に沿って形成され、第1凹部11xの内側面から第1凹部11xの周囲に位置する絶縁層11の他方の面11bに延在する。そして、外部接続用パッド13の絶縁層11の他方の面11bに延在する部分の内側には、貫通配線12側に窪む第2凹部13xが形成される。以上の工程で、
図1に示す半導体装置1が完成する。
【0064】
このように、半導体装置1を構成する配線基板10は、ガラスクロス等の補強材111を備えた非感光性樹脂からなる単層の絶縁層11の一方の面11aに、微細配線層を有する積層体1Sが形成された上下非対称の構造である。しかしながら、絶縁層11に補強材111を設け、補強材111の中心位置を絶縁層11の厚さ方向の中心位置よりも絶縁層11の一方の面11a側に偏在させている。
【0065】
これにより、剛性の高いガラスクロス等の補強材111の位置を、配線基板10の厚さ方向の中心に近づけることができる。そのため、配線基板10を補強材111を中心として上下対称の構造に近づけることが可能となり、配線基板10の反りを低減できる。特に、補強材111の中心位置を、絶縁層11と積層体1Sとを合わせた部分の厚さ方向の中心に位置させると、反りを低減する効果が顕著となる。
【0066】
又、非感光性樹脂からなる絶縁層11を1層のみとし、絶縁層11には貫通配線12と外部接続用パッド13のみを形成することにより、積層体1Sに占める配線(銅)の体積割合に、絶縁層11に占める配線(銅)の体積割合を近づかせることができ、反りを低減する効果をより向上させることができる。
【0067】
又、非感光性樹脂からなる絶縁層11を1層のみとすることにより、配線基板10の総厚を薄くすることができる。
【0068】
又、半導体装置1では、外部接続用パッド13は、第1凹部11xの底面及び内側面に沿って形成され、第1凹部11xの内側面から第1凹部11xの周囲に位置する絶縁層11の他方の面11bに延在している。そして、絶縁層11の他方の面11bに延在する部分の内側に、貫通配線12側に窪む第2凹部13xが形成されている。これにより、半導体装置1をはんだにより実装基板に接続する際の接続信頼性を向上させることができる。これに関して、
図6を参照して詳しく説明する。
【0069】
図6(a)は比較例に係る半導体装置である。比較例に係る半導体装置1xでは、絶縁層130上に外部接続用パッド131が形成され、更に外部接続用パッド131を選択的に露出するソルダーレジスト層132が形成されている。ここで、半導体装置1xを、はんだ400により、実装基板500に実装する場合を考える。実装基板500では、絶縁層510上にパッド520が形成され、更にパッド520を選択的に露出するソルダーレジスト層530が形成されている。
【0070】
半導体装置1xに
図6(a)のような反りがある場合、外部接続用パッド131の中心位置P
1とパッド520の中心位置P
2とがずれるため、外部接続用パッド131とパッド520とをはんだ400で接続することが困難となる。
【0071】
一方、仮に配線基板10に多少の反りが生じたとしても、本実施の形態により、半導体装置1と実装基板500との接続信頼性の低下を抑制可能である。すなわち、
図6(b)に示すように、外部接続用パッド13を、外部接続用パッド13の第2凹部13xがはんだ400の受け皿になると共に、絶縁層11の他方の面11bに延在する外部接続用パッド13の表面に第2凹部13x内からはんだ400が濡れ広がるような形状とする。これにより、仮に配線基板10に多少の反りが生じて外部接続用パッド13の中心位置とパッド520の中心位置とがずれたとしても、はんだ400が外部接続用パッド13及びパッド520と広い面積で接合される。その結果、半導体装置1と実装基板500との接続信頼性を十分に向上できる。
【0072】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、貫通配線12の側面、絶縁層11の第1凹部11xの内側面、及び絶縁層11の他方の面11bを粗化する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0073】
図7は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照するに、半導体装置2は、貫通配線12の側面、絶縁層11の第1凹部11xの内側面、及び絶縁層11の他方の面11bが粗化面である点が、半導体装置1と相違する。
【0074】
図8は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。まず、
図8(a)に示す工程では、第1の実施の形態の
図2(a)〜
図2(d)と同様の工程を実行し、支持体300の一方の面の所定領域に、金属層310と、金属層121及び122を備えた貫通配線12とを積層する。
【0075】
次に、
図8(b)に示す工程では、金属層310の側面、貫通配線12の一端面及び側面、並びに支持体300の一方の面を粗化する。粗化は、例えば、ケミカルエッチングにより行うことができる。粗化後の金属層310の側面、貫通配線12の一端面及び側面、並びに支持体300の上面の粗度は、例えば、Ra0.1〜0.4nm程度とすることができる。
【0076】
次に、
図8(c)に示す工程では、第1の実施の形態の
図2(e)及び
図2(f)と同様の工程を実行する。この工程では、絶縁層11の一方の面11a側と貫通配線12の一端面側を研磨するので、貫通配線12の一端面は粗化面から平坦面となる。金属層310の側面、貫通配線12の側面、及び支持体300の一方の面は粗化面のままである。
【0077】
次に、
図8(d)に示す工程では、第1の実施の形態の
図2(g)〜
図4(c)と同様の工程を実行する。次に、
図8(e)に示す工程では、
図5(a)に示す工程と同様にして、
図8(d)に示す支持体300を除去する。これにより、
図8(b)に示す工程で支持体300の一方の面に形成された凹凸(粗化面)が絶縁層11の他方の面11bに転写され、絶縁層11の他方の面11bも粗化面となる。
【0078】
次に、
図9(a)及び
図9(b)に示す工程では、第1の実施の形態の
図5(b)及び
図5(c)と同様の工程を実行することで、
図7に示す半導体装置2が形成される。
【0079】
このように、半導体装置2は、貫通配線12の側面、絶縁層11の第1凹部11xの内側面、及び絶縁層11の他方の面11bが粗化面である。これにより、貫通配線12の側面と絶縁層11との密着性を向上できる。又、外部接続用パッド13と絶縁層11との密着性を向上できる。又、外部接続用パッド13と絶縁層11との密着性が向上するため、外部接続用パッド13に熱ストレスがかかった場合に外部接続用パッド13にクラックが入ることを防止できる。
【0080】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、貫通配線12の一部が逆円錐台形状である例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0081】
図10は、第3の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、
図10(a)は断面図、
図10(b)は
図10(a)のA部の部分拡大断面図である。
図10を参照するに、半導体装置3は、貫通配線12を構成する金属層122が逆円錐台形状である点が、半導体装置1と相違する。
【0082】
半導体装置3では、B部に示すように、金属層121の上面外周側が金属層122の周囲に露出している。そして、金属層122の周囲に露出する金属層121の上面外周側は絶縁層11と接している。
【0083】
図11及び
図12は、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。まず、
図11(a)に示す工程では、支持体300を準備し、支持体300の一方の面の貫通配線12の形成領域に開口部330xを有するレジスト層330(ドライフィルムレジスト等)を形成する。
【0084】
次に、
図11(b)に示す工程では、支持体300を給電層に利用した電解めっき法により、開口部330x内に露出する支持体300の一方の面に金属層310及び金属層121を順次積層する。次に、
図11(c)に示す工程では、レジスト層330を剥離液により除去する。
【0085】
次に、
図11(d)に示す工程では、
図2(e)に示す工程と同様にして、支持体300の一方の面に、補強材111を備えた非感光性樹脂からなる単層の絶縁層11を、金属層310の側面並びに金属層121の上面及び側面を被覆するように形成する。この段階では、補強材111の厚さ方向の中心位置は、絶縁層11の厚さ方向の中心位置と略一致している。
【0086】
次に、
図12(a)に示す工程では、絶縁層11に、絶縁層11を貫通し金属層121の上面を露出させるビアホール11zを形成する。ビアホール11zは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成することができる。ビアホール11zは、金属層121とは反対側に開口する開口部の径が、金属層121の上面により形成される底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部となる。
【0087】
次に、
図12(b)に示す工程では、ビアホール11zを充填すると共に、絶縁層11の一方の面に延在して絶縁層11の一方の面全体を被覆する金属層122を形成する。金属層122は、例えば、セミアディティブ法を用いて形成できる。具体的には、まずスパッタ法や無電解めっき法により、絶縁層11の一方の面及びビアホール11zの内壁面及び底面を連続的に被覆するシード層を形成する。次に、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、シード層上に、ビアホール11zを充填すると共に、絶縁層11の一方の面に延在して絶縁層11の一方の面全体を被覆する電解めっき層を形成する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された金属層122が形成される。
【0088】
次に、
図12(c)に示す工程では、
図2(f)に示す工程と同様にして、金属層122の上面側を研磨して、絶縁層11の一方の面11aに延在する金属層122を除去し、各ビアホール11z内に金属層122の上面を露出させる。絶縁層11の一方の面11aと金属層122の上面とは略面一となる。これにより、補強材111の中心位置は、絶縁層11の厚さ方向の中心位置よりも絶縁層11の一方の面11a側に偏在する。なお、後工程で積層体1Sを形成した際に、補強材111の中心位置が絶縁層11と積層体1Sとを合わせた部分の厚さ方向の中心に位置するように、絶縁層11の研磨量を調整することが好ましい。
【0089】
次に、第1の実施の形態の
図2(g)〜
図5(c)と同様の工程を実行することで、
図10に示す半導体装置3が形成される。
【0090】
このように、半導体装置3では、金属層121の上面外周側が金属層122の周囲に露出して絶縁層11と接している。そのため、金属層121と絶縁層11との接触面積が増えて、金属層121と絶縁層11との剥離を防止できる。その他の効果については、第1の実施の形態と同様である。
【0091】
[シミュレーション]
図1に示した配線基板10(
図13では実施例として示す)と、比較例に係る配線基板について、反り量のシミュレーション(25℃)を行った。配線基板10の貫通配線12と外部接続用パッド13の材料は銅とした。
【0092】
比較例に係る配線基板は、非感光性樹脂からなる絶縁層(配線基板10の絶縁層11に相当)を3層積層した上に、配線基板10の積層体1Sに相当する積層体を形成した構造である。但し、配線基板10とは異なり、非感光性樹脂からなる絶縁層には、それぞれ貫通配線(銅)と配線パターン(銅)が形成されている。
【0093】
シミュレーションの結果、
図13に示すように、配線基板10(実施例)では、反り量が約0.4mmであったのに対して、比較例に係る配線基板では、反り量が約0.75mmであった。
【0094】
この結果により、非感光性樹脂からなる絶縁層11を1層のみとし、絶縁層11には貫通配線12と外部接続用パッド13のみを形成した構造(配線基板10)は、非感光性樹脂からなる絶縁層を多層にして各絶縁層に貫通配線と配線パターンを形成した構造(比較例)に比べて、反り量が低減することが確認された。
【0095】
比較例に係る配線基板のように、積層体1Sを構成する絶縁層(感光性樹脂層)に比べて層厚が厚い非感光性樹脂からなる絶縁層に貫通配線と配線パターンを形成すると、必然的に非感光性樹脂からなる絶縁層の方が銅の体積割合が高くなる。銅の体積割合が高い絶縁層が多層になれば、積層体1Sを構成する絶縁層(感光性樹脂層)に占める銅の体積割合との差が大きくなり、その結果、比較例に係る配線基板の反りが大きくなったと推測される。
【0096】
言い換えれば、配線基板10では、非感光性樹脂からなる絶縁層11を1層のみとし、絶縁層11には貫通配線12と外部接続用パッド13のみを形成することにより、積層体1Sに占める配線(銅)の体積割合に、絶縁層11に占める配線(銅)の体積割合を近づかせることができ、反りを低減できたと考えられる。
【0097】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0098】
例えば、
図3(e)の工程後、
図4(a)〜
図4(c)の工程を実行することなく、
図5(a)〜
図5(c)の工程を実行することで、配線基板10のみを製造することができる。この際、
図5(a)の工程で、支持体300を除去する前に、積層体1S上に第2の支持体を設けてもよい。
【0099】
又、例えば、半導体チップ20の背面は封止樹脂30によって覆われていてもよい。
【0100】
又、貫通配線12は円柱状の他に、例えば、絶縁層11の一方の面11a側の直径が他方の面11b側の直径よりも小さい円錐台形状であってもよい。
【0101】
又、絶縁層15や絶縁層17の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする絶縁性の感光性樹脂の他に、例えば、エポキシ樹脂等を主成分とする絶縁性の非感光性樹脂を用いることができる。