【実施例】
【0034】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。強熱減量はJIS R3420に準拠し、625℃/1時間の条件で測定したものである。水酸基価は、JIS K 0070−1992に準拠して測定したものである。また、平均分子量は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
【0035】
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0036】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0037】
(合成例1:ビニルエステル樹脂(A−1)の合成)
窒素および空気導入管を設けた2Lの4つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量251)3000質量部、メタクリル酸1029質量部、ハイドロキノン1.1質量部を仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール1.5質量部を入れ、105℃に昇温して10時間反応させ、ビニルエステル樹脂(A−1’)を得た。次に、このビニルエステル樹脂(A−1’)にスチレンを加え、スチレン含有量30質量%のビニルエステル樹脂(A−1)を得た。このビニルエステル樹脂(A−1)の水酸基価は155、水酸基当量は362であった。
【0038】
(合成例2:ビニルエステル樹脂(A−2)の合成)
合成例1と同様にして、ビニルエステル樹脂(A−1’)を得た後、スチレン及びメチルメタクリレートを添加し、スチレン含有量20質量%、メチルメタクリレート含有量10質量%のビニルエステル樹脂(A−2)を得た。このビニルエステル樹脂(A−2)の水酸基価は155、水酸基当量は362であった。
【0039】
(合成例3:ビニルエステル樹脂(A−3)の合成)
合成例1と同様にして、ビニルエステル樹脂(A−1’)を得た後、スチレン及びメチルメタクリレートを添加し、スチレン含有量10質量%、メチルメタクリレート含有量20質量%のビニルエステル樹脂(A−3)を得た。このビニルエステル樹脂(A−3)の水酸基価は155、水酸基当量は362であった。
【0040】
(合成例4:ビニルエステル樹脂(A−4)の合成)
合成例1と同様にして、ビニルエステル樹脂(A−1’)を得た後、メチルメタクリレートを添加し、メチルメタクリレート含有量30質量%のビニルエステル樹脂(A−4)を得た。このビニルエステル樹脂(A−3)の水酸基価は155、水酸基当量は362であった。
【0041】
(実施例1:SMC(1)及び成形品(1)の製造)
合成例1で得られたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部、脂肪族ポリイソシアネート(DIC株式会社製「バーノック DN−902S」、以下、ポリイソシアネート(B−1)と略記する。)10質量部、有機過酸化物(日油株式会社製「パーヘキサHC」)0.6質量部、及び重合禁止剤(メチルハイドロキノン10%イソプロピルアルコール溶液)0.1質量部を混合し、樹脂組成物(1)を得た。この樹脂組成物(1)における当量比(NCO/OH)は0.22であった。
この樹脂組成物(1)80質量部を上下に設置された2枚のポリプロピレン製キャリアフィルム上に均一な厚さになるように塗布し、その上に強熱減量0.81質量%のロービングガラス繊維を25mmにカットしたもの(以下、「ガラス繊維(C−1)」と略記する。)を20質量部散布し、前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂組成物(1)の間に挟み込み、全体を含浸ロールの間に通して圧力を加えて樹脂組成物(1)をガラス繊維(1)に含浸させた後、45℃で48時間養生し、SMC(1)を製造した。得られたSMC(1)を金型投影面積の70%に切断して、プレス成形用金型に投入し、金型温度130℃、圧力11MPa、時間300秒で成形し、長さ300mm、幅300mm、厚さ2mmの平板状の成形品(1)を得た。
【0042】
(実施例2:SMC(2)及び成形品(2)の製造)
実施例1で用いたポリイソシアネート(B−1)10質量部を、脂肪族ポリイソシアネート(旭化成株式会社製「デュラネート 24A−100」、以下、ポリイソシアネート(B−2)と略記する。)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(2)、SMC(2)及び成形品(2)を得た。この樹脂組成物(2)における当量比(NCO/OH)は0.22であった。
【0043】
(実施例3:SMC(3)及び成形品(3)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部を84.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、脂環式ポリイソシアネート(EVONIK社製「VESTANAT IPDI」、以下、ポリイソシアネート(B−3)と略記する。)15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(3)、SMC(3)及び成形品(3)を得た。この樹脂組成物(3)における当量比(NCO/OH)は0.56であった。
【0044】
(実施例4:SMC(4)及び成形品(4)の製造)
実施例1で用いたポリイソシアネート(B−1)10質量部を、脂肪族ポリイソシアネート(旭化成株式会社製「デュラネート TPA−100」、以下、ポリイソシアネート(B−4)と略記する。)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(4)、SMC(4)及び成形品(4)を得た。この樹脂組成物(4)における当量比(NCO/OH)は0.22であった。
【0045】
(実施例5:SMC(5)及び成形品(5)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部をビニルエステル樹脂(A−2)84.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、ポリイソシアネート(B−3)15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(5)、SMC(5)及び成形品(5)を得た。この樹脂組成物(5)における当量比(NCO/OH)は0.55であった。
【0046】
(実施例6:SMC(6)及び成形品(6)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部をビニルエステル樹脂(A−3)84.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、ポリイソシアネート(B−3)15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(6)、SMC(6)及び成形品(6)を得た。この樹脂組成物(6)における当量比(NCO/OH)は0.55であった。
【0047】
(実施例7:SMC(7)及び成形品(7)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部をビニルエステル樹脂(A−4)84.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、ポリイソシアネート(B−3)15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(7)、SMC(7)及び成形品(7)を得た。この樹脂組成物(7)における当量比(NCO/OH)は0.55であった。
【0048】
(比較例1:SMC(R1)及び成形品(R1)の製造)
実施例1で用いたポリイソシアネート(B−1)10質量部を、芳香族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネート MTL」、液状ジフェニルエタンジイソシアネート、以下、ポリイソシアネート(RB−1)と略記する。)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(R1)、SMC(R1)及び成形品(R1)を得た。この樹脂組成物(R1)における当量比(NCO/OH)は0.29であった。
【0049】
(比較例2:SMC(R2)及び成形品(R2)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部を98.1質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製「キョーワマグ40」1.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(R2)、SMC(R2)及び成形品(R2)を得た。
【0050】
(比較例3:SMC(R3)及び成形品(R3)の製造)
実施例1で用いたビニルエステル樹脂(A−1)89.3質量部を79.3質量部に変更し、ポリイソシアネート(B−1)10質量部を、ポリメタクリル酸エステル系有機微粒子(アイカ工業株式会社製「ゼフィアック F303」)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(R3)、SMC(R3)及び成形品(R3)を得た。
【0051】
(比較例4:SMC(R4)及び成形品(R4)の製造)
実施例3で用いたガラス繊維(1)を強熱減量2.1質量%のロービングガラス繊維を25mmにカットしたもの(以下、「ガラス繊維(C−2)」と略記する。)に変更した以外は、実施例3と同様にして、SMC(R4)及び成形品(R4)を得た。
【0052】
[成形品の透明性の評価]
上記で得られた各成形品から切り出した各試験片(長さ100mm、幅70mm、厚み2mm)について、日本電色工業株式会社製「NDH5000」を使用し、全光線透過率(%)及びヘイズを測定した。全光線透過率(%)の値が高いほど透明性が高く、ヘイズの値が低いほど透明性が高い。
【0053】
上記で得られたSMC(1)〜(7)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
上記で得られたSMC(R1)〜(R4)の組成及び評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例1〜7のSMC(1)〜(7)から得られた成形品は、全光線透過率が高く、ヘイズが低いことから、優れた透明性を有することが確認された。
【0058】
比較例1は、増粘剤として、芳香族ポリイソシアネートを用いた例であるが、透明性が不十分であることが確認された。
【0059】
比較例2は、増粘剤として、酸化マグネシウムを用いた例であるが、透明性が不十分であることが確認された。
【0060】
比較例3は、増粘剤として、ポリメタクリル酸エステル系有機微粒子を用いた例であるが、透明性が不十分であることが確認された。
【0061】
比較例4は、強熱減量が1%以上のガラス繊維を用いた例であるが、透明性が不十分であることが確認された。