特開2017-223712(P2017-223712A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-223712可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布検出方法及び検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-223712(P2017-223712A)
(43)【公開日】2017年12月21日
(54)【発明の名称】可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布検出方法及び検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20171124BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20171124BHJP
【FI】
   G01F23/292 Z
   G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-185830(P2017-185830)
(22)【出願日】2017年9月27日
(62)【分割の表示】特願2016-96075(P2016-96075)の分割
【原出願日】2016年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】小西 信行
【テーマコード(参考)】
2F014
2G059
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014FA04
2F014GA01
2G059AA05
2G059BB04
2G059DD12
2G059DD13
2G059DD18
2G059EE02
2G059FF01
2G059FF20
2G059GG02
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM03
(57)【要約】
【課題】凍結濃縮方法に使用される凍結濃縮装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する方法と装置を提案する。
【解決手段】凍結濃縮装置の固液分離カラム内に可視光を照射する光照射手段と、前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影する撮影手段と、前記撮影手段を前記固液分離カラムの上下方向で移動させる移動手段と、前記撮影手段で撮影した画像データを解析する画像解析手段と、前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定する判定手段とを備えている固液分離装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結濃縮装置の固液分離カラム内に可視光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を前記固液分離カラムの上下方向で移動させる移動手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定する判定手段と
を備えている固液分離装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する装置。
【請求項2】
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する
請求項1記載の固液分布検出装置。
【請求項3】
凍結濃縮装置の固液分離カラム内に光照射手段で可視光を照射しつつ、
前記固液分離カラムの上下方向に移動する撮影手段で前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影し、
前記撮影手段で撮影した画像データを画像解析手段で解析して、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定する
固液分離装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する方法。
【請求項4】
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する
請求項3記載の固液分布検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は凍結濃縮技術により流体を固液分離して濃縮する技術に関する。特に、固液分離が行われる固液分離カラム内における固液分布を検出する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を濃縮する方法の一つとして凍結濃縮方法が知られている。凍結濃縮方法では、固液分離カラムに濃縮処理すべき被処理流体を収容して冷却する。冷却によって被処理流体中に氷結晶が生成され、被処理流体は氷結晶が生成されたことによって濃縮される。この氷結晶と、濃縮された被処理流体とを固液分離カラムで分離している。
【0003】
本願出願人もこのような凍結濃縮方法、凍結濃縮装置を利用した濃縮製品の製造方法を提案している(特許文献1、2)。
【0004】
凍結濃縮装置において固液分離カラム内では、氷結晶はカラムの上方に、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体はカラムの下方に移動する。これは、固液分離カラム内における被処理流体の流れや比重の違いによって生じるものと思われる。
【0005】
一般に、氷結晶が集まって充満した部分をアイスベッド層と呼ぶ。凍結濃縮装置の安定した運転を行うには、固液分離カラム内のアイスベッド層の下端の高さを適正に管理することが要求される。
【0006】
アイスベッド層とは、比重差や固液分離カラム内における被処理流体の流れによって固液分離カラム内の上部へと上昇した氷結晶が充満圧縮されてシャーベット様を呈した範囲をいう。
【0007】
アイスベッド層の下方には氷結晶の充満のない濃縮された被処理流体の層があり、アイスベッド下端が濃縮された被処理流体の層の上端と接している。
【0008】
アイスベッドの下端高さの管理幅は基準位置から概ね±10cm程度とされている。
【0009】
例えば、生乳を凍結濃縮方法によって濃縮する場合、固液分離カラム内におけるアイスベッドの下端高さの管理幅が基準位置から±10cm程度の範囲を逸脱すると、アイスベッドが崩壊して乳固形分が分離水側に漏れ出して濃縮操作ができなくなることがある。アイスベッドの一部に上下を貫通する孔があいてしまい、この孔を介してアイスベッドの下側の濃縮乳がアイスベッドの上側に流れ出してしまい、濃縮操作ができなくなるのである。
【0010】
凍結濃縮装置を安定して運転するには、固液分離カラム内のアイスベッド下端高さを適正に管理する必要がある。
【0011】
固液分離カラム内におけるアイスベッドの下端付近は氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とが入り混じったシャーベット状になっている。
【0012】
このため、アイスベッド下端は人の目では非常に見難く、目視で監視しているのでは測定精度に限界があり、凍結濃縮装置の運転自動化のネックとなっている。アイスベッド下端は非常に見分けにくく、測定誤差や人による測定値のばらつきが大きいなど、測定精度が悪い。このため、アイスベッド下端高さの制御は作業者の手動操作で行われており、凍結濃縮装置は未だ運転自動化が図れていない。
【0013】
アイスベッド下端高さの自動測定は世界でも実施例がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2015/030161
【特許文献2】WO2015/030162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、凍結濃縮方法に使用される凍結濃縮装置において、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とを分離する固液分離カラム内における固液分布を検出する方法と装置を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[1]
凍結濃縮装置の固液分離カラム内に可視光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を前記固液分離カラムの上下方向で移動させる移動手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定する判定手段と
を備えている固液分離装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する装置。
【0017】
[2]
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が、前記上下方向で、所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する
[1]の固液分布検出装置。
【0018】
[3]
凍結濃縮装置の固液分離カラム内に光照射手段で可視光を照射しつつ、
前記固液分離カラムの上下方向に移動する撮影手段で前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影し、
前記撮影手段で撮影した画像データを画像解析手段で解析して、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定する
固液分離装置の固液分離カラム内における固液分布を検出する方法。
【0019】
[4]
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が、前記上下方向で、所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する
[3]の固液分布検出方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、凍結濃縮方法に使用される凍結濃縮装置において、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とを分離する固液分離カラム内における固液分布を検出する方法と装置を提供することができる。
【0021】
凍結濃縮装置の固液分離カラム内の氷結晶の分布状態を適切に把握し、アイスベッド下端高さを適切、迅速に検出することができる。
【0022】
凍結濃縮方法に使用される凍結濃縮装置の固液分離カラム内の氷結晶や被処理流体に直接触れることなく、固液分離カラムの外側から非接触で固液分離カラム内の氷結晶の分布状態、アイスベッド下端高さを適切、迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る固液分布検出装置の概略構成を説明する図。
図2】本発明の一実施形態に係る固液分布検出方法で測定を行った結果を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の発明者は、凍結濃縮装置において、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とを分離する固液分離カラムに存在する氷結晶の分布を、画像解析技術を応用して検出、判定することを検討した。そして、画像解析技術を用いた氷結晶分布の自動測定が可能であることを見出して本願発明を完成させたものである。
【0025】
本発明の発明者は、凍結濃縮装置の固液分離カラム内の氷結晶に光を照射した場合に、固液分離カラムに収容されている被処理流体から生成された氷結晶などの粒子に前記光が照射されると影が生じることに注目した。
【0026】
そして、画像解析で、画像内の影のカウント量(影の総数)を求めることで、氷結晶の分布状態を測定、検出することを検討した。
【0027】
そして、固液分離カラムの上下方向に移動する撮影手段で光が照射されている固液分離カラム内を撮影し、この撮影手段で撮影した画像データについて所定の画像解析処理を行うことで、その解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定することが可能であることを見出した。
【0028】
これによって、凍結濃縮方法に使用される凍結濃縮装置の固液分離カラム内の氷結晶や被処理流体に直接触れることなく、固液分離カラムの外側から非接触で固液分離カラム内の氷結晶の分布状態、アイスベッド下端高さを適切、迅速に検出することを可能にしたものである。
【0029】
本発明に適用する凍結濃縮装置の固液分離カラムは、可視光が透過する材質と色味(透明など)を持つ部分を固液分離カラムの上下方向で備えている。
【0030】
なお、本発明の対象は、凍結濃縮装置の固液分離カラム内のアイスベッド下端高さの自動測定に限らない。本発明は、可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布の測定にも有効である。
【0031】
本発明の一実施形態の固液分離カラム内における固液分布を検出する装置は、光照射手段と、撮影手段と、移動手段と、画像解析手段と、判定手段とを備えている。
【0032】
光照射手段としては、LED照明を採用できる。これによって、凍結濃縮装置の固液分離カラム内に可視光を照射することができる。
【0033】
撮影手段としては、CCDカメラを採用できる。これによって、前記光照射手段により可視光が照射されている前記固液分離カラム内を撮影することができる。
【0034】
移動手段は、前記撮影手段を前記固液分離カラムの上下方向で移動させることができる。
【0035】
画像解析手段は、前記撮影手段で撮影した画像データを解析することができる。
【0036】
判定手段は、前記画像解析手段の解析結果に基づいて固液分離カラム内における固液分布状態を判定することができる。
【0037】
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、例えば、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理である。
【0038】
前記判定手段による判定は、例えば、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が、前記上下方向で、所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定するものである。
【0039】
例えば、CCDカメラが上下方向で所定の距離移動する間における上述した小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値の平均値の総量を、上下方向で前後する前記所定の距離移動の間における上述した小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値の平均値の総量と比較し、前記平均値の総量が所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定するものである。
【0040】
上述した画像解析手段が行う画像データの解析は、例えば、検査対象物の表面の異物やピンホール等の異物、キズ、欠陥検出にCCD(Charge Coupled Device)カメラが使用される際に採用される解析手法の一つである。キズや汚れで発生する画像上の濃度(すなわち、光の強さを数値化したもの)が変化する点を抽出する画像解析手法である。
【0041】
CCDカメラを使って傷や汚れの検査を行う場合、一般には取得した画素毎に単純な2値化を行い、隣り合う画素の明暗差を比較する。しかし、照明照射部の乱反射などで画像の照度が変化すると、2値化状態が変動して検査が不安定になる。
【0042】
それに対して上述した画像解析手段が行う、検査対象物の表面の異物や欠陥等の検出に用いられる画像データの解析手法は、1画素ごとではなく、画素の任意の小領域を平均化して2値化している。そこで、全体の照度が変化しても安定した検査ができ、特に反射対象物の傷や汚れの検査に有効である。
【0043】
本実施形態の固液分離カラム内における固液分布検出方法では、凍結濃縮装置の固液分離カラムの外側から固液分離カラム越しに、内部にLED照明などの可視光を照射する。
【0044】
同時に、固液分離カラムの外側でCCDカメラを固液分離カラムの上下方向に移動させながら、固液分離カラムの外側から固液分離カラム越しに内部をCCDカメラで撮影する。
【0045】
固液分離カラムに収容されている被処理流体に氷結晶が生成されていると、氷結晶などの粒子に前記可視光が照射されることになる。氷結晶などの粒子に前記可視光が照射されると影が生じる。
【0046】
この粒子にできた影を傷と見立てて、画像解析により総傷量を求める。
【0047】
上述した、前記画像解析手段が行う、画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する画像データ解析処理により、当該任意の小領域における、氷結晶粒子の数に対応する影の数(すなわち、傷の数)の平均値を求めることができる。
【0048】
固液分離カラム内において、粒子の多い箇所ほど発生する影の数も多くなり、総傷量も多くなる。
【0049】
そこで、CCDカメラで撮影した画像内の影のカウント量(影の総数)を指標にすれば、固液分離カラム内の内容物に直接触れることなく、非接触で内部の氷結晶などの粒子の分布状態を知ることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、上述した画像解析手段が行う画像データの解析手法で計測された影の総数、すなわち、傷に相当する箇所のカウント数の総和を総傷量と呼ぶことがある。
【0051】
(実施例1)
図1は本発明の概略構成を説明するものである。
【0052】
本実施形態では、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とを分離する固液分離カラムは、可視光が透過する材質と色味(透明など)を持つ部分を上下方向で備えている。図示の実施例では、幅90mm×高さ800mmの透明部分からなる「画像取得範囲」である。
【0053】
固液分離カラムの「画像取得範囲」の外側に、固液分離カラムに近接させて光照射手段(例えば、白色LED照明)と、撮影手段(CCDカメラ)とが設置されている。
【0054】
光照射手段(例えば、白色LED照明)が「画像取得範囲」を介して分離カラム内に可視光を照射する。
【0055】
撮影手段(CCDカメラ)が、「画像取得範囲」を介して光が照射されている固液分離カラム内を撮影する。
【0056】
光照射手段(例えば、白色LED照明)と、撮影手段(CCDカメラ)とは、移動手段である昇降装置によって、「画像取得範囲」に相当する上下800mmの範囲を上下動可能になっている。
【0057】
撮影手段(CCDカメラ)で撮影された、光が照射されている固液分離カラム内の画像データは画像処理コントローラへ送られ、ここで、画像解析と、判定が行われる。
【0058】
所定の時間毎に、昇降装置を作動させ、液分離カラム内の画像を縦方向に連続して取得する。
【0059】
画像処理コントローラにおいて、画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理を行う。
【0060】
画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する画像データ解析処理により、当該任意の小領域における、氷結晶粒子の数に対応する影の数(すなわち、傷の数)の平均値を求めることができる。
【0061】
そして、画像処理コントローラにおいて、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が、前記上下方向で、所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する処理を行う。
【0062】
例えば、CCDカメラが上下方向で所定の距離移動する間における上述した小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値の平均値の総量を、上下方向で前後する前記所定の距離移動の間における上述した小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値の平均値の総量と比較する。この比較により、前記平均値の総量が所定の範囲を超えて変動する領域で固液分布状態が変動したと判定する。
【0063】
すなわち、取得した各画像を画像解析して総傷量を求め、予め設定したアイスベッド下端の総傷量以上であれば、その画像、すなわちその高さをアイスベッド下端高さと認識する。
【0064】
(実施例2)
実施例1で説明した固液分布検出装置を用いて、凍結濃縮装置において、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された被処理流体とを分離する固液分離カラム内における固液分布を検出する方法を行った。
【0065】
実施例1で説明した固液分離カラム内に生乳を投入し、冷却を進めて生乳内に氷結晶を生成させ、氷結晶と、氷結晶が生成されたことによって濃縮された濃縮乳とに分離させた。
【0066】
固液分離カラムの「画像取得範囲」を介して固液分離カラム内を観察したところ、図1に示したように、上部のアイスベッド層と、その下側の濃縮乳層とに分離されていることを確認できた。
【0067】
実施例1で説明したように、昇降装置を作動させ、CCDカメラを縦方向に50mmずづ移動させた高さ(基準高さ)で固液分離カラム内の画像を撮影した。各基準高さの上下30mm、幅60mmを検査範囲として固液分離カラム内の画像を撮影した。
【0068】
この実施例では、撮影した各画像データを4画素角のセグメントの小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理を行った。そして、前記小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値の平均値の前記検査範囲での総量を求めた。
【0069】
測定1ではカラムの基準高さ200mmにおいて、総傷量は2266、カラムの基準高さ500mmにおいて総傷量は2052で、カラムの基準高さ550mmにおいて総傷量は6897であった。実際のアイスベッドの下端高さはカラム高さで550mmであった。そこで、測定1ではアイスベッド下端を含む画像を境に総傷量が大きく変化していた。
【0070】
これを5回繰り返して行ったところ図2の結果になった。図2の下側が5回の測定結果を表す表であり、図2の上側がこの結果をグラフ化したものである。
【0071】
いずれの場合にも、氷結晶が充満したアイスベッド層では氷結晶によって出来た影が多く、濃縮乳層では影が少なくなった。総傷量の変化をグラフにすると、アイスベッド下端を含む画像を境に、総傷量は大きく変化することがわかった。
【0072】
5回繰り返した測定でいずれも同傾向が見られ、再現性が確認できた。
【0073】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態、実施例を説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2017年9月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光が外部から内部に透過する槽内に可視光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により可視光が照射されている前記内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を前記の上下方向で移動させる移動手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて内における粒度分布状態を判定する判定手段と
を備えている可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布を検出する装置。
【請求項2】
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で粒度分布状態が変動したと判定する
請求項1記載の粒度分布検出装置。
【請求項3】
可視光が外部から内部に透過する槽内に光照射手段で可視光を照射しつつ、
前記の上下方向に移動する撮影手段で前記光照射手段により可視光が照射されている前記内を撮影し、
前記撮影手段で撮影した画像データを画像解析手段で解析して、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて内における粒度分布状態を判定する
可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布を検出する方法。
【請求項4】
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で粒度分布状態が変動したと判定する
請求項3記載の粒度分布検出方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
[1]
可視光が外部から内部に透過する槽内に可視光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により可視光が照射されている前記内を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段を前記の上下方向で移動させる移動手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて内における粒度分布状態を判定する判定手段と
を備えている可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布を検出する装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
[2]
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で粒度分布状態が変動したと判定する
[1]の粒度分布検出装置。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
[3]
可視光が外部から内部に透過する槽内に光照射手段で可視光を照射しつつ、
前記の上下方向に移動する撮影手段で前記光照射手段により可視光が照射されている前記内を撮影し、
前記撮影手段で撮影した画像データを画像解析手段で解析して、
前記画像解析手段の解析結果に基づいて内における粒度分布状態を判定する
可視光が外部から内部に透過する槽内における粒度分布を検出する方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
[4]
前記撮影手段がCCDカメラで、
前記画像解析手段が行う画像データの解析は、前記画像データを任意の小領域に分割し、当該分割された小領域ごとの画素データの濃淡を示す数値を平均する処理であり、
前記判定手段による判定は、前記小領域における画素データの濃淡を示す数値の平均が前記上下方向で所定の範囲を超えて変動する領域で粒度分布状態が変動したと判定する
[3]の粒度分布検出方法。