【解決手段】発光装置1は、基体部9と、第1配線部21及び該第1配線部21よりも面積が小さい第2配線部22を基体部9側から順に備える配線部20と、を有する基板10と、接合部材30を介して第2配線部22に接合される発光素子40と、接合部材30及び配線部20のそれぞれ少なくとも一部を被覆する光反射性部材60と、を備え、第1配線部21は、接合部材30よりも光反射率が高く、第2配線部22は、最表面に接合部材30と同じ材料を含む。
前記第1配線部の最表面は、Al、Ag、Rh、Pt、Pd、Ruからなる群から選択された金属又はその金属を少なくとも含む合金からなる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光装置を例示するものであって、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定しない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0011】
また、実施形態に係る発光装置において、「上」、「下」、「左」及び「右」等は、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」等は、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0012】
(第1実施形態)
<発光装置の構成>
図1〜
図4に示すように、第1実施形態に係る発光装置1は、基体部9と、第1配線部21及び該第1配線部21よりも面積が小さい第2配線部22を前記基体部9側から順に備える配線部20とを有する基板10と、接合部材30を介して第2配線部22に接合される発光素子40と、接合部材30及び配線部20のそれぞれ少なくとも一部を被覆する光反射性部材60と、を主に備えている。また、第1配線部21は、接合部材30よりも光反射率が高く、第2配線部22は、最表面に接合部材30と同じ材料を含む。以下、各構成について順次説明する。
【0013】
(基板)
基板10は、基体部9と、基体部9の上面に配置された配線部20と、を備えている。
[基体部]
基体部9としては、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックス等の絶縁性部材で構成される基材が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用したものが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト等が挙げられる。また基体部9は、金属部材の表面に絶縁膜を形成したものであってもよい。本実施形態では、基体部9は、平面視矩形状に形成されている。
【0014】
[配線部]
配線部20は、第1配線部21と第2配線部22とを基体部9側から順に備えており、平面視における第2配線部22の面積は、第1配線部21よりも小さい。言い換えると、配線部20は、第1配線部21上に、島状の第2配線部22を備える。島状の第2配線部22上には、後述する発光素子40が接合部材30を介して接合される。
第1配線部21は、接合部材30よりも発光素子40から出射される光に対する光反射率が高く、これにより、発光素子40から出射されて基板10側に向かう光を発光素子40側に反射させることができる。
第2配線部22は、その最表面に接合部材30と同じ材料を含んでおり、これにより、第2配線部22と発光素子40との接合をより強固なものとすることができる。
【0015】
基板10は、基体部9上に複数の配線部20を備える。複数の配線部20とは、例えば発光装置1の外部電極として用いられる一対の配線部20a、20bである。本実施形態の基板10は、
図3に示すように、複数の配線部20として、一対の配線部20a、20bと、一対の配線部20a、20bの間に配置される4つの中継配線部20c〜20fとを備えている。これら複数の配線部20a〜20fは、第1配線部21と第2配線部22とを備えており、第2配線部22上には発光素子40が接続されている。一対の配線部20a、20bの一部は、発光装置1の外部接続部として用いることができる。本実施形態では、これら複数の配線部20a〜20fを跨いで、5個の発光素子40が直列接続されている。
【0016】
一対の配線部20a、20bのそれぞれ一部は、基板10の外縁に向かって延伸する延伸領域を有しており、この延伸領域が、外部から発光装置1への給電のための外部接続部として用いられる。
【0017】
なお、本実施形態では、一対の配線部20a、20bは、第1配線部21上に、後述する第3配線部23及び第4配線部24をさらに備えている。第3配線部23は発光装置1の外部接続部として、第4配線部24は保護素子70を搭載するために用いることができる。第3配線部23及び第4配線部24は、第2配線部22から離間して第1配線部21上に形成されている。
【0018】
上述したように、各配線部20a〜20fは、第1配線部21と、第1配線部21よりも面積が小さい第2配線部22と、を基体部9側から順に備える。第1配線部21、第2配線部22、第3配線部23、第4配線部24の材料は、例えばCu、Al、Au、Ag、Pt、Ti、W、Pd、Fe、Ni、Rh、Ru、Mo、Cr等の金属又はこれらを含む合金等によって形成することができる。以下、本実施形態に係る各配線部の層構成について、詳細に説明する。
【0019】
(i)第1配線部
第1配線部21は、接合部材30よりも発光素子40から出射される光に対する光反射率が高い。第1配線部21が接合部材30よりも発光素子40から出射される光に対する光反射率が高いことにより、発光素子40から基板10の側に向かう光を効率よく反射させることができる。
第1配線部21は接合部材30よりも光反射率の高い材料からなる層の単層構造としてもよいし、
図5に示すように、複数の層からなる積層構造としてもよい。第1配線部21を複数構造とする場合、少なくとも第1配線部21の最表面に設けられる層を接合部材30よりも光反射率が高い光反射層とすることで、発光素子40から基板10側に向かう光を効率よく反射させることができる。
図5に示すように、第1配線部21は、基体部9の側から、密着層211と、光反射層212と、をこの順に備えている。
光反射層212は、第1配線部21の最表面に設けられる。光反射層212は、例えば接合部材30としてAuを用いる場合、Auよりも光反射率の高いAl、Ag、Rh、Pt、Pd、Ruからなる群から選択された金属又はその金属を少なくとも含む合金等の単層又は積層構造で形成される。本実施形態では、光反射層212は、一例として、Alの単層で構成されているものとする。また、光反射層212は、厚膜に形成されて電気抵抗を低減した主導体層として機能させることができる。この際の光反射層212の膜厚は、電気抵抗を考慮して2.5μm〜3.5μm程度とすることが好ましい。なお、基体部9と密着層211との間に、例えば厚膜のAuからなる主導体層を設け、代わりに光反射層212を薄く形成するようにしても構わない。
【0020】
密着層211は、基体部9と光反射層212との密着性を強固にするために基体部9と光反射層212との間に設けられる層である。密着層211の材料としては、例えば、Ti、W、Cr、Mo、Mn、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等が適している。本実施形態では、密着層211は、一例としてTiで構成されているものとする。
第1配線部21の総膜厚は、上述した電気抵抗を考慮して2.5μm以上とすることが好ましい。また成膜時間及び材料費等を考慮すると10.0μm程度以下とすることが好ましい。
【0021】
(ii)第2配線部
第2配線部22は、最表面に接合部材30と同じ材料を含む。第2配線部22が最表面に接合部材30と同じ材料を含むことにより、接合部材30と第2配線部22との接合性が向上するため、接合部材30を介して接続される発光素子40と基板10との接合強度を高めることができる。
第2配線部22は接合部材30と同じ材料からなる層の単層構造としてもよいし、
図5に示すように、複数の層からなる積層構造としてもよい。第2配線部22を複数構造とする場合、少なくとも第2配線部22の最表面に設けられる層を接合部材30と同じ材料を用いた接合層とすることで、発光素子40と基板10との接合強度を高めることができる。
【0022】
図5に示すように、本実施形態における第2配線部22は、第1配線部21の側から、密着層221と、拡散防止層222と、接合層223と、をこの順に備えている。
接合層223は、第2配線部22の最表面に配置されている。接合層223は、発光素子40を接合する接合部材30に直接接合する部分となる。この接合層223の材料としては、接合部材30の材料と接合性がよい材料が使用される。例えば、接合部材30としてAuバンプを用いる場合、接合層223をAu又はAuを含む層とすることで、接合部材30と接合層223との接合性が向上する。
【0023】
拡散防止層222は、接合層223と第1配線部21との間に設けられる層である。拡散防止層222を間に設けることにより、例えば接合層223に含まれるAuと、光反射層212に含まれるAlと、が接して配置される際の、AuのAlへの拡散を防止することができる。拡散防止層222の材料としては、例えば、白金族元素(Pt、Pd,Ru、Rh、Os、Ir)及びその同族元素である鉄族元素(Fe、Co、Ni)等が適している。本実施形態では、拡散防止層222は、一例としてPtで構成されているものとする。
【0024】
密着層221は、光反射層212と拡散防止層222との密着性を強固にするために設けられる層である。この密着層221には、上述した第1配線部21の密着層211の材料として例示した材料を用いることができる。本実施形態では、密着層221は、一例としてTiで構成されているものとする。なお、密着層221も、接合層223からAuが光反射層212に拡散することを防止する機能を有している。
【0025】
なお、接合部材30の具体的な材料としては、好ましくは、共晶合金膜が挙げられ、例えば、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金、SnとCuとを主成分とする合金等が挙げられる。本実施形態では、接合部材30及び接合層223は、一例として、Auで構成されているものとする。
【0026】
本実施形態において、配線部20a〜20fは、
図3及び
図4に示すように、実装される発光素子40の面積よりも小さい面積の第2配線部22を複数備える。より具体的には、本実施形態の発光装置1は、発光素子40の直下の領域に複数の第2配線部22を備える。複数の第2配線部22間には、第1配線部21が露出しているため、発光素子40の直下の領域においても、発光素子40から基板10側に向かう光を効率よく反射させることができる。
【0027】
さらに、
図5に示すように、第2配線部22の上面の面積は下面の面積より小さくなるように形成されている。つまり、第2配線部22は上方に向かってテーパー形状となっている。これにより、発光素子40が発した光のうち、第1配線部21で反射した光の一部は、
図5に破線の矢印で示すように、第2配線部22の側面で反射して上方に取り出し易くなる。
【0028】
配線部20は、第1配線部21上に、第1配線部21よりも小さい面積の第2配線部22を複数備える。第2配線部22は、その最表面に、接合部材30との接合の相性のよい材料からなる接合層223を備える。また、配線部20は、第2配線部22よりも反射率の高い材料を含む第1配線部21を、第2配線部22の周囲に配置している。そのため、配線部20では、発光素子40との接合強度を維持して、発光素子40から基板10側に向かう光を効率よく反射させることができる。なお、第2配線部22は、平面視で略円形、略楕円形とすることが好ましい。通常、接合部材30の平面視形状は略円形、又は略楕円形状となるため、第2配線部22の平面視形状も略円形又は略楕円形とすることが好ましい。このように、接合部材30と接続される第2配線部22を、接合部材30と同形状とすることにより、第2配線部22の面積を小さくして、光反射層212の露出面積を大きくすることができる。これにより、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0029】
第2配線部22の総膜厚は、素子実装時の衝撃による剥がれ等を考慮して、0.5μm以上とすることが好ましく、1.0μm以上がより好ましい。また成膜時間及び材料費等を考慮すると10.0μm程度以下とすることが好ましい。
【0030】
(iii)第3配線部
第3配線部23は、光反射性部材60から露出する外部接続部として、第1配線部21の延伸領域上に形成されている。第3配線部23は、最表面に例えばAuを含む導体膜を有していることが好ましい。ここでは、平面視において、第3配線部23の面積は、外部接続部における第1配線部21の面積より小さく形成されているが、第3配線部23の面積を外部接続部における第1配線部21の面積より大きく形成してもよい。この場合、例えば、外部接続部において、第3配線部23から第1配線部21が露出しないように、第1配線部21を第3配線部23で被覆してしまっても構わない。
【0031】
(iv)第4配線部
第4配線部24は、配線部20a、20bの端部が対向する位置において、第1配線部21上に形成されている。この第4配線部24には保護素子70を接続することができる。ここでは各第4配線部24は平面視で正方形に形成されている。第4配線部24は、保護素子等の電子部品を接続するため、第2配線部22と同様に、最表面に例えばAuを含む導体膜を有していることが好ましい。
【0032】
(v)貫通孔
さらに、本実施形態では、配線部20a、20bは、基板10の基体部9の表面が露出する貫通孔29a、29bを備える。貫通孔29a、29bは、後述する光反射性部材60と基板10との密着性の向上のため、また、製造時に透光性部材50及び発光素子40の位置を認識する目印として用いることができる。
なお、配線部20a〜20f以外にも基板10上には、電力を供給する配線から独立したアノードマーク81や位置認識のためのパターン82が形成されている。
【0033】
(発光素子)
本実施形態では、基体部9上に5個の発光素子40が実装されている。発光素子40は同一面側に正負一対の電極として外部接続用電極41を有している。発光素子40は、一対の電極がAu等の接合部材30によって第2配線部22にフリップチップ実装されており、電極の形成された下面と対向する上面を主な光出射面としている。なお、発光素子40が備える外部接続用電極41は、複数の接合部材30を介して第2配線部22と接合されている。本実施形態では、複数の接合部材30がそれぞれ複数の第2配線部22に接合されている。
発光素子40が備える正負一対の電極は最表面がAuであることが好ましい。Auは化学的に安定であり、電気的接続の長期にわたる信頼性を確保することができる。さらに、接合部材30及び第2配線部22の最表面をAuを含む層とすることで、より信頼性の高い接続を実現することができる。
【0034】
発光素子40としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子40は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子40としては、ZnSeや窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたもの、赤色の発光素子40としては、GaAlAs、AlInGaPを用いたものが挙げられる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子40の組成や発光色、大きさや、個数等は目的に応じて適宜選択することができる。
【0035】
(透光性部材)
図1及び
図4に示すように、本実施形態では、発光装置1は、発光素子40の上面に接合された透光性部材50を備えている。透光性部材50は、発光素子40の上面を覆う部材である。透光性部材50は板状であり、平面視で略長方形状に形成されている。
透光性部材50は、発光素子40からの光を入射する面となる下面と、発光素子40からの光を出射する面となる上面50a(つまり発光装置1の発光面)とを有している。
【0036】
透光性部材50は、発光素子40から出射される光を透過して外部に放出することが可能な材料で構成されている。透光性部材50は、光拡散材や、発光素子40から入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有させてもよい。蛍光体を含有する透光性部材50は、例えば、蛍光体の焼結体や、樹脂、ガラス、他の無機物等に蛍光体粉末を含有させたものが挙げられる。
【0037】
透光性部材50に含有させることができる蛍光体としては、この分野で用いられる蛍光体を適宜選択することができる。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えばCaO−Al
2O
3−SiO
2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体(例えば(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu)、β サイアロン蛍光体、CASN系蛍光体(例えばCaAlSiN
3:Eu)、SCASN系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu)等の窒化物系蛍光体、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウム系蛍光体(例えばK
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子との組み合わせにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を得ることができる。白色に発光可能な発光装置1とする場合、透光性部材50に含有される蛍光体の種類、濃度によって白色となるよう調整される。蛍光体の濃度は、例えば、5〜50質量%程度である。
透光性部材50に含有させることができる光拡散材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を用いることができる。
【0038】
(光反射性部材)
光反射性部材60は、接合部材30及び配線部20のそれぞれ少なくとも一部を被覆するものである。本実施形態では、光反射性部材60は、発光素子40と配線部20との間に配置されている。光反射性部材60は、透光性部材50の周囲にも配置されており、平面視で略長方形環状に形成されている。光反射性部材60は、透光性部材50の上面を露出し、透光性部材50の他の表面と、発光素子40の側面とを被覆している。
【0039】
光反射性部材60としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含む樹脂又はハイブリッド樹脂からなる樹脂部材に光反射性物質を含有させることで形成することができる。光反射性物質としては、Ti、Zr、Nb、Al、Siのいずれかを含む酸化物、又は、AlN、MgF、BN等を用いることができる。また光反射性物質として、母材の屈折率と異なる粒子を母材中に分散させてもよい。光反射性物質の含有濃度、密度により光反射性部材60の光の反射量、透過量が異なるため、光反射性物質の含有濃度や密度は発光装置1の形状、大きさに応じて、適宜調整するとよい。光反射性部材60における光反射性物質の含有量は、例えば、樹脂部材100重量部に対し、光反射性物質は20〜60重量部含有されていることが好ましい。
【0040】
光反射性部材60として樹脂部材を用いる場合、発光装置1は樹脂部材を保持するための枠体61を有していてもよい。枠体61は、例えば、セラミックや樹脂等で形成することができる。本実施形態では、枠体61と、枠体61中に充填される充填部材62とがともに光反射性物質を含有する樹脂部材で形成されており、枠体61と充填部材62とが一体となって光反射性部材60を形成している。
枠体61は、透光性部材50を取り囲むように、透光性部材50と離間して、基板10上に配置されている。本実施形態では、
図8に示すように、枠体61は平面視で略長方形環状に形成されており、枠体61の短辺が透光性部材50の短辺と並行、かつ枠体61の長辺が透光性部材50の長辺と並行に配置されている。
充填部材62は、枠体61と透光性部材50との間、及び、枠体61と発光素子40との間に設けられて、透光性部材50の側面及び発光素子40の側面を覆っている。
【0041】
(その他)
本実施形態の発光装置1は、ツェナーダイオード等の保護素子70を備えてもよい。保護素子70は、第4配線部24上に配置され、光反射性部材60中に埋設されている。
【0042】
<発光装置の動作>
次に、発光装置の動作について説明する。
発光装置1は、配線部20を介して外部電源から発光素子40に電流が供給されると、発光素子40が発光する。発光素子40の上面から出射された光は、透光性部材50の下面から入射し、透光性部材50の上面50aから外部へと放出される。なお、発光素子40の側面から出射された光は、光反射性部材60により、発光素子40と光反射性部材60との界面、及び、透光性部材50と光反射性部材60との界面で、発光素子40及び透光性部材50内に反射される。このように、発光素子40及び透光性部材50内を光が伝播し、最終的に発光装置1の発光面として、透光性部材50の上面50aから、外部へと出射される。
【0043】
発光装置1は、発光素子40と基板10との間(つまり、発光素子40の直下の領域)にも光反射性部材60を備える。このため、発光素子40内にて下方向に伝播する光は、外部接続用電極41および光反射性部材60によって上方向に反射され、発光素子40の上面から出射される。
【0044】
しかしながら、発光素子40から下方向に出射された光の一部は光反射性部材60内を透過し、基板10の表面に到達することがある。特に、発光素子40と基板10との距離が短いと、その間に充填される光反射性部材60の厚みが薄くなるため、下方向に向かう全ての光を反射させることが難しくなる。
本実施形態の発光装置1では、基板10の最表面において、発光素子40の直下となる領域にAl等の光反射率が高い第1配線部21が設けられているので、基板10の表面に到達した光は、第1配線部21で反射して、
図5に矢印で示すように上方に出射される。したがって、基板10の表面における光吸収を低減することが可能となり、より優れた光取り出し効率を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態の発光装置1は、基板10の配線部20において、接合部材30を介して発光素子40と接合される第2配線部22が、第1配線部21よりも上側に位置している。このため、発光素子40と第1配線部21との距離が、第2配線部22の厚みの分だけ長くなる。これにより、発光素子40と第1配線部21との間に配置される光反射性部材60の厚みを厚くすることができ、より多くの光を光反射性部材60により反射させることができる。
【0046】
[発光装置の製造方法]
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。本実施形態の発光装置1の製造方法は、主に、基板準備工程と、発光素子実装工程と、光反射性部材形成工程と、を有し、この順に行う。なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置1の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0047】
(基板準備工程)
基板準備工程は、基体部9上に配線部20が形成された基板10を準備する工程である。本実施形態では、
図3乃至
図5に示すように、発光素子40の直下の領域に、発光素子40が備える外部接続用電極41の数よりも多くの第2配線部22が形成されている基板10を準備する。
配線部20は、当該分野で公知の方法を利用して形成することができる。例えば、第1配線部21及び第2配線部22を構成する導電膜は、蒸着、スパッタリング、電解めっき、無電解めっき等で成膜することができる。所望の電極形状への加工は、フォトリソグラフィ及び印刷等により形成されたマスクを用いて、エッチング、リフトオフ等により形成することができる。
【0048】
(発光素子実装工程)
発光素子実装工程は、接合部材30を介して発光素子40を第2配線部22上にフリップチップ実装する工程である。詳細には、発光素子実装工程は、接合部材形成工程と、発光素子接合工程と、を有する。
【0049】
<接合部材形成工程>
接合部材形成工程は、発光素子40の電極面に複数の接合部材30を形成する工程である。接合部材30として、バンプを形成することが好ましい。バンプとしては、従来公知のものを用いればよく、例えば、めっきバンプやスタッドバンプが挙げられる。
バンプの材質としてはAuのみ、若しくはCu、又はNiをベースに表面をAuとした積層構造が用いられる。また積層構造の場合はバリア層として、Pd等が用いられる。更にリフロー実装等に対応するために、表面にAu−Sn等の共晶材料を形成する場合もある。
【0050】
<発光素子接合工程>
発光素子接合工程は、発光素子40の電極面に形成された接合部材30を、基板10上の第2配線部22に位置合わせして、超音波により発光素子40を振動させることで、電極面に形成された複数の接合部材30を第2配線部22に接合する工程である。これにより、
図6に示すように、発光素子40をフリップチップ実装することができる。5個の発光素子40は一列に配置され、上記したように配線部20a,20c,20d,20e,20f,20bによって基板10上に直列接続される。複数の発光素子40を実装する場合、複数の発光素子40が整列され、全体として平面視で略長方形状に実装されることが好ましい。なお、同様に、保護素子70を接合部材30によって第4配線部24に実装することができる。
【0051】
(透光性部材接合工程)
本実施形態に係る発光装置の製造方法は、光反射性部材60を形成する工程の前に、透光性部材接合工程を有する。
透光性部材接合工程は、基板10上に実装された発光素子40の上面に透光性部材50を接合する工程である。本実施形態では、
図7に示すように、平面視で略長方形の板状の透光性部材50を発光素子40の上面に接合する。発光素子40と透光性部材50は、接着材を介して接合することができる。また、発光素子40と透光性部材50との接合には、圧着、焼結、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合による直接接合等も採用できる。
【0052】
(光反射性部材形成工程)
光反射性部材形成工程は、接合部材30と配線部20とを光反射性部材60で被覆する工程である。本実施形態では、光反射性部材60を発光素子40と第1配線部21との間に形成する。また、透光性部材50の上面50aを露出させて発光素子40及び透光性部材50の側面をそれぞれ覆うように、平面視で角丸の長方形状の光反射性部材60を形成する。詳細には、光反射性部材形成工程は、枠体形成工程と、充填部材形成工程と、を有する。
【0053】
[枠体形成工程]
枠体形成工程は、透光性部材50の周囲に枠体61を形成する工程である。
図8に示すように、枠体形成工程では、光反射性部材を保持するための枠体61を形成する。枠体61を先に形成することで、後述する充填部材を所望の形状で配置することができる。このような枠体61は、例えば、空気圧で液体樹脂を連続的に吐出可能な吐出装置(樹脂吐出装置)を用いて形成することができる(特開2009−182307号公報参照)。また、樹脂の成形体やセラミックス等からなる枠体を樹脂材料で接着することができる。ただし、枠体61の形成時に樹脂材料を用いることにより、樹脂材料から樹脂成分が染み出すことがある。
しかしながら、
図1に示すように、本実施形態に係る発光装置1は、外部電源と接続される外部接続部となる第3配線部23が、その周りに配置されている第1配線部21よりも上方に形成されている。したがって、第1配線部21と第3配線部23との間の段差により、枠体61から染み出た樹脂成分の、第3配線部23の上面への這い上がりを抑制し、樹脂成分による第3配線部23の表面汚染を抑制することができる。
【0054】
[充填部材形成工程]
充填部材形成工程は、枠体61と透光性部材50との間に透光性部材50の側面を覆う充填部材62を設ける工程である。
図9に示すように、枠体61の内側に、充填部材62として光反射性材料(例えば光反射性物質を含む樹脂)を充填する。本実施形態では、充填部材62は、発光素子40及び透光性部材50の側面を覆い、充填部材62から露出した透光性部材50の上面50aを発光装置1の発光面とする。また、充填部材62の上面(上端)の高さが、透光性部材50の上面50aの高さ以下となるように形成する。
【0055】
充填部材62を構成する樹脂の充填量は、発光素子40及び透光性部材50の側面を覆うことができる程度に調整する。各部材の表面状態や樹脂の粘度にもよるが、充填部材62の高さは、例えば基体部9の表面から透光性部材50の上面50aまでの高さの半分以上とする。光漏れを防止するためには、特に発光源である発光素子40の側面において光反射性部材60を厚く形成することが好ましい。例えば、発光素子40の側面における光反射性部材60の厚みは400μm以上であることが好ましく、このため、充填部材62の表面のうち最も低い部分が発光素子40の上面より高くなるように、枠体61を少なくとも発光素子40の上面より高く形成し、充填部材62を構成する樹脂の充填量を調整することが好ましい。
【0056】
また、保護素子70による光吸収を防止するため、保護素子70は光反射性部材60によって完全に覆われることが好ましい。さらに、枠体61及び充填部材62によって、発光素子40の近傍や保護素子70の近傍等、配線部20aの一端と配線部20bの一端とが対面する部分が覆われるように形成することが好ましく、これによって塵の付着等による短絡を防止することができる。
【0057】
光反射性部材60として、充填部材62とは別に、アンダーフィル材を設けてもよい。アンダーフィル材は、主に基板10と発光素子40との間に配置される。基板10と発光素子40との間に充填しやすいように、充填部材62よりも流動性の高い、つまり、より粘度の低い光反射性材料(例えば光反射性物質を含む樹脂)を用いることが好ましい。アンダーフィル材を設けることにより、発光素子40と基体部9との熱膨張率の差による応力を吸収したり、放熱性を高めたりすることができる。アンダーフィル材が光反射性を有することにより、上述したように、発光素子40から基板10側へ出射される光を反射することができ、発光装置の光取り出し効率を高めることができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る発光装置について、
図10及び
図11を参照して説明する。
本実施形態に係る発光装置は、第1実施形態に係る発光装置1に対して、第2配線部22の形状が相違している。以下では、第1実施形態に係る発光装置1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。なお、
図11は、
図5に対応させて第2実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す断面図である。つまり、
図2のIV−IV線における断面に対応した断面の一部を拡大して示している。
【0059】
本実施形態に係る発光装置では、基板10B上の第2配線部22は、平面視において、一方向の長さが一方向に直交する方向の長さに比べて長い形状を有しており、1つの第2配線部22上には複数の接合部材30が接合される点が第1実施形態に係る発光装置とは異なっている。ここで、一方向とは、第2配線部22上に発光素子40をフリップチップ実装するときに超音波を印加する際の振動方向である。このように、第2配線部22の形状を、接合時に用いる超音波の振動方向に長い形状とすることで、振動時の位置ずれによる接合不良を低減することができる。
【0060】
以上、本開示に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本開示の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0061】
例えば、基板10上において発光素子40の実装個数は1個以上であればよく、所望とする発光装置1の大きさや必要とされる輝度に応じて適宜変更することができる。また、配線部20(20a〜20f)は、第1配線部21と第2配線部22の位置及び面積の関係が保たれていることと、発光素子40が実装できる配線パターンであれば、その形状や個数や配置を適宜変更することができる。