特開2017-226552(P2017-226552A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧
特開2017-226552ニッケル−マンガン複合物の製造方法
<>
  • 特開2017226552-ニッケル−マンガン複合物の製造方法 図000003
  • 特開2017226552-ニッケル−マンガン複合物の製造方法 図000004
  • 特開2017226552-ニッケル−マンガン複合物の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226552(P2017-226552A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】ニッケル−マンガン複合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20171201BHJP
   H01M 4/505 20100101ALN20171201BHJP
   H01M 4/525 20100101ALN20171201BHJP
【FI】
   C01G53/00 A
   H01M4/505
   H01M4/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-121816(P2016-121816)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健二
(72)【発明者】
【氏名】山本 和明
(72)【発明者】
【氏名】山下 三貴
(72)【発明者】
【氏名】松永 敬浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD03
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA12
5H050GA14
5H050GA15
5H050HA02
(57)【要約】
【課題】 ニッケルとマンガンの比率を自由に設定でき、かつ、ニッケルとマンガンが均一に分布した、リチウム二次電池用正極活物質原料に好適な、ニッケル−マンガン複合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 化学組成式がNiMn(1−X)OOH(但し、0.225≦X≦0.775である)で表されるニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗を行うことを特徴とするニッケル−マンガン複合物の製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学組成式がNiMn(1−X)OOH(但し、0.225≦X≦0.775である)で表されるニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗を行うことを特徴とするニッケル−マンガン複合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池の正極材料として適するリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物等の、ニッケルとマンガンを有する正極材料の原料として好適な、ニッケルとマンガンが均一に分布した、ニッケル−マンガン複合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池用正極活物質として、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物や、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物が、高エネルギー材として注目されている。
【0003】
これらの複合酸化物は、ニッケルとマンガンが均一に分布したニッケル−マンガン複合原料を用いて製造することが好ましく、例えば、リチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の前駆体として、酸化剤を用いた共沈法により得られた、化学組成式がNi0.25+αMn0.75−αOOH(但し、−0.025≦α≦0.025である)で表されるニッケル−マンガン複合物が開示された(特許文献1)。当該ニッケル−マンガン複合物は、水酸化カドミウム構造の単一結晶相からなり、大気中で安定であり、共沈、洗浄、乾燥といった一般的な工程でマンガン成分の偏析を生じない優れた前駆体である旨が開示されている。
【0004】
一方、リチウム二次電池用正極活物質としてのリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物は、ニッケルとマンガンの比率が、モル比で1:1〜5:3と幅広い組成が検討されており、ニッケルとマンガンの比率を自由に設定できるニッケル−マンガン複合原料が望まれていた。
【0005】
また、前記ニッケル−マンガン複合物は、製造途中で不純物としてSOを0.5wt%より多く含有する場合がある。このまま用いても十分な性能を有するリチウム二次電池用正極活物質を得ることができるが、SOを0.5wt%以下にするとサイクル特性などがより一層向上する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2015/008863
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、SO含有量が低いニッケル−マンガン複合物の新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記課題のために、鋭意検討した結果、ニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗を行うことで、SO含有量が低いニッケル−マンガン複合物を製造可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、化学組成式がNiMn(1−X)OOH(但し、0.225≦X≦0.775である)で表されるニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗を行うことを特徴とするニッケル−マンガン複合物の製造方法である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のニッケル−マンガン複合物の製造方法に用いるニッケル−マンガン複合物は、NiMn(1−X)OOH(但し、0.225≦X≦0.775である)であれば、特に制限はなく、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造の単相からなっても良いし、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造とハイドロタルサイト様構造が混在していてもよい。
【0011】
前記ニッケル−マンガン複合物は、例えば、硫酸ニッケルを含む水溶液、硫酸マンガンを含む水溶液、苛性アルカリ水溶液及び酸化剤、又は、硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを含む水溶液、苛性アルカリ水溶液並びに酸化剤を混合し、ニッケルとマンガンの組成がNi:Mn=X:(1−X)(但し、0.225≦X≦0.775である)で表されるニッケル−マンガン複合物のスラリーを得、前記ニッケル−マンガン複合物スラリーをろ過、水洗を行うことで得られる。
【0012】
未水洗のニッケル−マンガン複合物ケークを用いると、本発明の効果は不十分となる。また、ろ過、水洗し、乾燥させたニッケル−マンガン複合物を用いることもできるが、苛性アルカリ水溶液接触後に再度乾燥が必要であり、苛性アルカリ水溶液接触前に乾燥することは、乾燥エネルギーが無駄となるため、好ましくない。
【0013】
本発明で用いる苛性アルカリ水溶液は、例えば、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液、苛性カリ(水酸化カリウム)水溶液等があげられる。その濃度に特に制限はないが、液量や粘度を適切にして、接触を十分とするため、好ましくは、1〜48wt%であり、さらに好ましくは、5〜15wt%である。
【0014】
ニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させる方法に特に制限はなく、ニッケル−マンガン複合物粒子の表面が苛性アルカリ水溶液に接触させられれば、如何なる方法も好ましく適用可能である。通常、ろ過、洗浄に用いる装置を利用し、ニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液と接触させることができる。
【0015】
例えば、スラリーのろ過、水洗は、フィルタープレス型ろ過装置や、吸引ろ過装置等が用いられるが、これらの装置でろ過、水洗を行った後に、水洗用の洗浄液に替えて、苛性アルカリを供給し、ニッケル−マンガン複合物ケークに苛性アルカリ水溶液を通過させ、ろ過を実施後に、洗浄液で水洗を行えばよい。これによりニッケル−マンガン複合物中のSO量を低減することが可能である。
【0016】
苛性アルカリ水溶液は、用いるニッケル−マンガン複合物の重量に対し、0.8〜2倍量とすればよい。苛性アルカリ水溶液が少ないと、本発明の効果が不十分となる場合が有り、多すぎると経済性が悪化する。
【0017】
苛性アルカリ水溶液と接触させ、ろ過、水洗後に、乾燥し、ニッケル−マンガン複合物を得る。乾燥方法としては、例えば、湿潤ニッケル−マンガン複合物を110〜150℃で2〜15時間で乾燥すること等が挙げられる。
【0018】
一方、例えば、図2に示した参考例2で得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンでは、水酸化カドミウム構造のニッケル−マンガン複合物に帰属されるピークに加え、ハイドロタルサイト様構造のピーク(図中の矢印で示したピークである)が観察され、水酸化カドミウム構造のニッケル−マンガン複合水酸化物とハイドロタルサイト様構造のニッケル−マンガン複合物との混合物と判定された。ハイドロタルサイト様構造は、2価のNiと3価のMnからなり、化学組成式:NiMn(1−Y)(OH)(SO(1−Y)/2で示される。発明者らは、ニッケル比率が高いほど、ハイドロタルサイト様構造が増加する結果、SO量が増えると推察している。
【0019】
この、水酸化カドミウム構造とハイドロタルサイト様結晶相を有するニッケル−マンガン複合物を、苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗を行うと、SO量が0.5wt%未満になる。さらに、苛性アルカリ水溶液と接触させ、次いで、ろ過、水洗後は、図2に示した実施例2で得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンの様に、ハイドロタルサイト様構造に起因するピークは観測されず、水酸化カドミウム構造のニッケル−マンガン複合物単相を示した。
【0020】
ニッケル−マンガン複合物を苛性アルカリ水溶液を接触させることでSO量が低減できる理由は、必ずしも明確ではないが、前記より、発明者らは次のように考えている。
【0021】
ハイドロタルサイト様結晶相の混在によりニッケル−マンガン複合物中にSO2−が増えるが、苛性アルカリ水溶液と接触することで、SO2−が速やかにOHに置換され、SO量が低減すると同時に、ハイドロタルサイト様結晶相が消失する。
【発明の効果】
【0022】
本発明を適用することにより、ニッケルとマンガンの比率が所定の比率に設定され、かつ、SO量が低い、ニッケル−マンガン複合物が得られる。本発明で得られるニッケル−マンガン複合物は、リチウム二次電池用正極活物質の原料に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1及び参考例1のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである。
図2】実施例2及び参考例2のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである(図中の矢印はハイドロタルサイト様構造のピークを示す)。
図3】実施例3及び参考例3のニッケル−マンガン複合物のXRDパターンである(図中の矢印はハイドロタルサイト様構造のピークを示す)。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0025】
<粉末X線回折測定>
X線回折装置(試料水平型多目的X線回折装置、商品名:UltimaIV、Rigaku製)を使用し、試料の粉末X線回折測定を行った。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定モードはステップスキャン、スキャン条件は毎秒0.04°、計測時間は8秒、及び、測定範囲は2θとして5〜90°の範囲で測定した。
【0026】
<結晶相の同定>
上記の条件のXRD測定で得られたXRDパターンにおいて、2θ=19.0±0.5°にシャープなピークを有し、36.9±1.5°にブロードなXRDピークを有することをもって、水酸化カドミウム構造であるとした。最低角以外のピーク形状がブロードであるのは積層欠陥の影響である。
【0027】
また、10〜12°の比較的シャープなピークと21〜24°のブロードなピークはハイドロタルサイト様構造であるとした。
【0028】
<化学組成の測定>
ニッケル−マンガン複合物中の化学組成の測定は、塩酸、過酸化水素の混合溶液に溶解させ、ニッケルはニッケル濃度計(Ni−5Z、笠原理化工業株式会社製)により定量を行い、マンガンは電位差自動滴定装置(AT−610、京都電子工業株式会社製)により定量を行い、S量及びNa量は誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA5300DV、PERKIN ELMER製)を用いて定量を行うことで、ニッケル−マンガン複合物中のNiとMnの比率、及びS量とNa量を算出した。なお、SO量はS量から換算した。
【0029】
実施例1
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、0.5mol/Lの硫酸ニッケル及び1.5mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=1:3(mol比))。
【0030】
内容積10Lの反応容器に純水をオーバーフローレベルまで投入後、撹拌機で撹拌回転数800rpmにて撹拌しながら70℃まで昇温、維持した。なお、当該反応容器は液量6Lを超えるとオーバーフローにより液が排出される構造である。
【0031】
前記金属塩水溶液を0.45L/Hで反応容器に添加し、同時に、酸化剤として空気を供給速度1.8NL/minで反応容器中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加し、ニッケル−マンガン複合物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器から排出した。
【0032】
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄し、ニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークを得た。
【0033】
得られたニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークをブフナロート上で、湿潤ケーク中の固形分と同重量の10wt%苛性ソーダ水溶液を上から注いだ。
【0034】
注いだ苛性ソーダ水溶液がろ過された後、水洗し、次いで、115℃で5時間乾燥し、ニッケルとマンガンが1:3(mol比)のニッケル−マンガン複合物を得た。
【0035】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有し、構造欠陥を有する水酸化カドミウム構造のNi0.25Mn0.75OOHと判定した。
【0036】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは、0.2wt%で、Naは680ppmであった。
【0037】
実施例2
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、1.0mol/Lの硫酸ニッケル及び1.0mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=1:1(mol比))以外は、実施例1と同様にニッケル−マンガン複合物スラリーを製造した。
【0038】
得られたニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークをブフナロート上で、湿潤ケーク中の固形分と同重量の10wt%苛性ソーダ水溶液を上から注いだ。
【0039】
注いだ苛性ソーダ水溶液がろ過された後、水洗し、次いで、115℃で5時間乾燥し、ニッケルとマンガンが1:1(mol比)のニッケル−マンガン複合物を得た。
【0040】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有し、構造欠陥を有する水酸化カドミウム構造のNi0.5Mn0.5OOHと判定した。
【0041】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは、0.2wt%で、Naは280ppmであった。
【0042】
実施例3
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、1.25mol/Lの硫酸ニッケル及び0.75mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=5:3(mol比))以外は、実施例1と同様にニッケル−マンガン複合物スラリーを製造した。
【0043】
得られたニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークをブフナロート上で、湿潤ケーク中の固形分と同重量の10wt%苛性ソーダ水溶液を上から注いだ。
【0044】
注いだ苛性ソーダ水溶液がろ過された後、水洗し、次いで、115℃で5時間乾燥し、ニッケルとマンガンが5:3(mol比)のニッケル−マンガン複合物を得た。
【0045】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有し、構造欠陥を有する水酸化カドミウム構造であり、Ni0.625Mn0.375OOHと判定した。
【0046】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは0.3wt%で、Naは80ppmであった。
【0047】
参考例1
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、0.5mol/Lの硫酸ニッケル及び1.5mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=1:3(mol比))。
【0048】
内容積10Lの反応容器に純水をオーバーフローレベルまで投入後、撹拌機で撹拌回転数800rpmにて撹拌しながら70℃まで昇温、維持した。なお、当該反応容器は液量6Lを超えるとオーバーフローにより液が排出される構造である。
【0049】
前記金属塩水溶液を0.45L/Hで反応容器に添加し、同時に、酸化剤として空気を供給速度1.8NL/minで反応容器中にバブリングした。金属塩水溶液及び空気供給の際、pHが9.25となるように、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ水溶液)を断続的に添加し、ニッケル−マンガン複合物スラリーを製造し、オーバーフロー方式で連続的に反応容器から排出した。
【0050】
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄し、ニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークを得た。
【0051】
得られたニッケル−マンガン複合物の湿潤ケークを、115℃で5時間乾燥し、ニッケルとマンガンが1:3(mol比)のニッケル−マンガン複合物を得た。
【0052】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは2θ=19.0°にシャープなピークを有し、2θ=40°以降にブロードなピークを有し、構造欠陥を有する水酸化カドミウム構造であり、Ni0.25Mn0.75OOHと判定した。
【0053】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは、0.6wt%で、Naは930ppmであった。
【0054】
参考例2
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、1.0mol/Lの硫酸ニッケル及び1.0mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=1:1(mol比))以外は、参考例1と同様にニッケル−マンガン複合物スラリーを製造した。
【0055】
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し、ニッケルとマンガンが1:1(mol比)のニッケル−マンガン複合物(Ni0.5Mn0.5OOH)を得た。
【0056】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造と、ハイドロタルサイト様構造が混在したものであり、水酸化カドミウム構造のNi0.5Mn0.5OOHとハイドロタルサイト様構造のNi0.5Mn0.5(OH)(SO0.25との混合物と判定した。
【0057】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは、4.6wt%で、Naは320ppmであった。
【0058】
参考例3
硫酸ニッケル及び硫酸マンガンを純水に溶解し、1.25mol/Lの硫酸ニッケル及び0.75mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした(金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L、ニッケル:マンガン=5:3(mol比))以外は、参考例1と同様にニッケル−マンガン複合物スラリーを製造した。
【0059】
反応開始から50時間経過後に、反応容器から排出されたニッケル−マンガン複合物スラリーを分取し、ろ過、洗浄、乾燥し、ニッケルとマンガンが5:3(mol比)のニッケル−マンガン複合物を得た。
【0060】
得られたニッケル−マンガン複合物のXRDパターンは、積層欠陥を有する水酸化カドミウム構造と、ハイドロタルサイト様構造が混在したものであり、水酸化カドミウム構造のNi0.625Mn0.375OOHとハイドロタルサイト様構造のNi0.625Mn0.375(OH)(SO0.1875との混合物と判定した。
【0061】
さらに、得られたニッケル−マンガン複合物のSOは、6.9wt%で、Naは80ppmであった。
【0062】
実施例1〜3及び参考例1〜3の結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
表1から、本発明の製造方法(洗浄方法)を適用することによって、SOが除去され、より一層リチウム二次電池用正極活物質の原料に適したものになると判明した。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のニッケル−マンガン複合物の製造方法で得られたニッケル−マンガン複合物は、リチウム二次電池の正極活物質などに用いられるリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物の原料に最適であり、そのリチウム−ニッケル−マンガン系複合酸化物を電池用正極として使用した高性能なリチウム二次電池を構成することが可能となる。
図1
図2
図3