(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-226887(P2017-226887A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/08 20060101AFI20171201BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20171201BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
C23C14/08 A
C23C14/34 S
H01L21/316 Y
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-124478(P2016-124478)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】磯部 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】水野 太平
(72)【発明者】
【氏名】永田 純一
(72)【発明者】
【氏名】小林 大士
(72)【発明者】
【氏名】大久保 裕夫
(72)【発明者】
【氏名】新井 真
【テーマコード(参考)】
4K029
5F058
【Fターム(参考)】
4K029BA44
4K029CA06
4K029DC03
4K029DC05
4K029DC16
4K029DC35
4K029DC39
4K029EA03
5F058BA20
5F058BC03
5F058BD05
5F058BF13
5F058BF29
5F058BF37
(57)【要約】
【課題】所定の成膜レートを維持したまま、応力が所定値以内の酸化アルミニウム膜を効率よく成膜することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】本発明では、真空チャンバ1内に被成膜物Sと、アルミニウム製のターゲット2
1,2
2とを対向配置し、真空雰囲気中の真空チャンバ内に希ガス及び酸素ガスを導入し、ターゲットに所定電力を投入してターゲットをスパッタリングしてアルミニウム原子と酸素との反応生成物を被成膜物の表面に付着、堆積させて酸化アルミニウム膜を成膜する。その際、真空チャンバ内に水蒸気を導入する。水蒸気の分圧は1×10
−3Pa〜0.1Paの範囲にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内に被成膜物と、アルミニウム製または酸化アルミニウム製のターゲットとを配置し、真空雰囲気中の真空チャンバ内に希ガス及び酸素含有の反応ガスまたは希ガスのみを導入し、ターゲットに所定電力を投入してターゲットをスパッタリングすることで被成膜物の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する成膜方法において、
真空チャンバ内に水素ガスまたは水蒸気を導入することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
請求項1記載の成膜方法であって、真空チャンバ内に水蒸気を導入するものにおいて、
前記スパッタリングによる成膜時、真空チャンバ内の前記水蒸気の分圧を1×10−3Pa〜0.1Paの範囲にしたことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法に関し、より詳しくは、スパッタリングにより被成膜物の表面に酸化アルミニウム膜を成膜するものに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化アルミニウム膜は、表示装置や半導体装置にて薄膜トランジスタなどの素子の保護膜(パッシベーション膜)や絶縁膜として従来から用いられる場合がある。このような酸化アルミニウム膜の成膜にはスパッタリング法によるものが一般に知られ(例えば、特許文献1、2参照)、その中でも、所謂反応性スパッタリング法を用いるものが一般に利用されている。この場合、ターゲットとしてアルミニウム製のものを用い、当該ターゲットと被成膜物とを真空チャンバ内に配置して真空引きし、所定圧力に達すると、放電用の希ガスと酸素等の反応ガスとを導入し、ターゲットに例えば負の電位を持った所定電力を投入してターゲットをスパッタリングする。これにより、ターゲットから飛散したアルミニウム原子と酸素との反応生成物が被成膜物に付着、堆積してその表面に酸化アルミニウム膜が成膜される。
【0003】
上記のようにして成膜された酸化アルミニウム膜は、通常、圧縮方向の応力を持つが、その圧縮応力が大きくなると、基板の反りが大きくなる等の問題を招来する。この場合、ターゲットに投入する電力を高くしていくと、これに従い圧縮応力が増加し、また、スパッタリングによる成膜時に放電用の希ガスの流量を減少させて真空チャンバ内の圧力を低くしていくと、同様に圧縮応力が増加する。このため、ターゲットに投入する電力を低くしたり、成膜時の真空チャンバの圧力を高くすれば、応力が所定値(例えば、±500MPa)以内の酸化アルミニウム膜を成膜できるが、これでは、成膜レートが低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−3259号公報
【特許文献2】特開2010−114413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、所定の成膜レートを維持したまま、応力が所定値以内の酸化アルミニウム膜を効率よく成膜することができる成膜方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、真空チャンバ内に被成膜物と、アルミニウム製または酸化アルミニウム製のターゲットとを配置し、真空雰囲気中の真空チャンバ内に希ガス及び酸素含有の反応ガスまたは希ガスのみを導入し、ターゲットに所定電力を投入してターゲットをスパッタリングすることで被成膜物の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する成膜方法において、真空チャンバ内に水素ガスまたは水蒸気を導入することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ターゲットへの投入電力、成膜時における真空チャンバ内の希ガス及び反応ガスの分圧(スパッタガスの導入量)を変えずに水素ガスまたは水蒸気を導入することで、所定の成膜レートを維持したまま、水素ガスまたは水蒸気を導入しない場合と比較して低い応力の酸化アルミニウム膜を成膜することができる。
【0008】
本発明においては、真空チャンバ内に水蒸気を導入する場合、前記スパッタリングによる成膜時、真空チャンバ内の前記水蒸気の分圧を1×10
−3Pa〜0.1Paの範囲にすることが好ましい。これによれば、所定の成膜レートを維持したまま、酸化アルミニウム膜の応力を確実に低下させることができ、水蒸気の分圧が1×10
−2Paのときには、圧縮応力を約−50MPaにできることが確認された。なお、水蒸気の分圧が1×10
−3Paより低くなると、効果的に応力を小さくした状態で酸化アルミニウム膜を成膜することができず、また、水蒸気の分圧が0.1Paより高くなると、例えば異常放電が誘発されて酸化アルミニウム膜を成膜することができない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の成膜方法を実施できるスパッタリング装置の模式断面図。
【
図2】本発明の効果を示す実験例の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、ターゲットをアルミニウム製、被成膜物を矩形のガラス基板(以下、基板Sという)とし、反応性スパッタリングにより酸化アルミニウム膜を成膜する場合を例に本発明の実施形態の成膜方法を説明する。
【0011】
図1を参照して、SMは、本発明の成膜方法を実施することができるマグネトロン方式のスパッタリング装置である。スパッタリング装置SMは成膜室11を画成する真空チャンバ1を備える。以下においては、「上」、「下」といった方向を示す用語は、
図1に示すスパッタリング装置SMの姿勢を基準にする。真空チャンバ1の側壁には排気口12が開設され、排気口12には、ロータリーポンプ、ドライポンプ、ターボ分子ポンプなどで構成される真空排気手段Pからの排気管13が接続され、成膜室11内を真空引きして所定圧力(例えば、1×10
−5Pa)に保持できるようになっている。
【0012】
真空チャンバ1の下部には、アルミニウム製(例えば、純度99.999%)のターゲット2
1,2
2と磁石ユニット3
1,3
2とで構成される2個のカソードユニットCuが設けられている。各ターゲット2
1,2
2は、同一の略直方体形状に夫々形成されたものであり、その下面には、スパッタリングによる成膜中、当該ターゲット2
1,2
2を冷却する銅製のバッキングプレート22がインジウムなどのボンディング材(図示せず)を介して夫々接合されている。そして、バッキングプレート22に接合した状態で各ターゲット2
1,2
2が真空チャンバ1の下部内面に真空シール兼用の絶縁体23を介して設置される。この場合、各ターゲット2
1,2
2は、成膜室11の左右方向に所定の間隔を置いて、かつ、未使用時のターゲット2
1,2
2の上面が、後述の基板Sに平行な同一平面内に位置するようになっている。各ターゲット2
1,2
2には、交流電源Psからの出力Pkが夫々接続され、交流電源Psにより各ターゲット2
1,2
2間に所定周波数(例えば、1kHz〜100kHz)の交流電力が投入されるようになっている。
【0013】
各バッキングプレート22の下方(真空チャンバ1の外側)に位置させて夫々配置された磁石ユニット3
1,3
2は同一の形態を有し、磁石ユニット3
1,3
2は、バッキングプレート22に平行に設けられ、磁性材料製の平板から構成される支持板31(ヨーク)を備える。支持板31上には、当該支持板31の中心線上に位置させて配置した中央磁石32と、この中央磁石32の周囲を囲うように、支持板31の上面外周に沿って環状に配置した周辺磁石33とがターゲット2
1,2
2側の極性をかえて設けられている。この場合、例えば、中央磁石32の同磁化に換算したときの体積をその周囲を囲う周辺磁石33の同磁化に換算したときの体積の和(周辺磁石:中央磁石:周辺磁石=1:2:1(
図1参照))程度になるように設計される。これにより、各ターゲット2
1,2
2の上方で釣り合ったトンネル状の漏洩磁場(図示せず)が夫々形成される。中央磁石32及び周辺磁石33は、ネオジム磁石等の公知のものであり、これらの中央磁石及び周辺磁石は一体のものでも、または、所定体積の磁石片を複数列設して構成してもよい。なお、例えばターゲット2
1,2
2の利用効率を高めるために、磁石ユニット3
1,3
2に駆動手段(図示せず)を接続し、スパッタリングによる成膜中、上下方向または左右方向の少なくとも一方向に所定のストロークで往復動させるようにしてもよい。
【0014】
また、真空チャンバ1の側壁にはガス供給口41a,41bが開設され、ガス供給口41a,41bにはガス管42a,42bが夫々接続されている。ガス管42a,42bは、マスフローコントローラ43a,43bを介して、図示省略のアルゴン等の希ガスのガス源と、酸素ガスやオゾン等の酸素含有の反応ガスのガス源とに夫々連通し、成膜室11内に流量制御された希ガスと反応ガスとを導入できるようにしている。
【0015】
上記スパッタリング装置SMにより各ターゲット2
1,2
2をスパッタリングして基板S表面に反応性スパッタリングにより酸化アルミニウム膜を成膜する場合、図外の真空搬送ロボットにより、並設した各ターゲット2
1,2
2に対向する成膜室11上部の所定位置に基板Sをセットし、成膜室11を所定圧力まで真空引きする。成膜室11が所定圧力に達すると、マスフローコントローラ43a,43bを制御して希ガス及び反応ガスを導入し、交流電源Psにより各ターゲット2
1,2
2の間に交流電力を投入する。これにより、各ターゲット2
1,2
2の上方にレーストラック状に高密度のプラズマが発生する。そして、プラズマ中の希ガスのイオンでターゲット2
1,2
2が夫々スパッタされる。これにより、ターゲット2
1,2
2から飛散したアルミニウム原子と酸素との反応生成物が基板S表面に付着、堆積して酸化アルミニウム膜が成膜される。
【0016】
ここで、上記のようにして成膜された酸化アルミニウム膜は、通常、圧縮方向の応力を持つが、その圧縮応力が大きくなると、基板の反りが大きくなる等の問題を招来する。このため、所定の成膜レートを維持したまま、応力が所定値(例えば、±500MPa)以内の酸化アルミニウム膜を成膜することができるようにする必要がある。本実施形態では、真空チャンバ1の側壁に更にガス供給口41cを開設し、ガス供給口41cに、マスフローコントローラ43cを介在させたガス管42cを接続し、成膜室11内に流量制御された水蒸気を導入できるようにした。そして、例えばスパッタリングによる成膜時、マスフローコントローラ43cを制御して成膜室11に水蒸気を導入することとした。この場合、成膜時の成膜室11内の水蒸気の分圧が1×10
−3Pa〜0.1Paの範囲となるようにマスフローコントローラ43cにより水蒸気の流量を制御することが好ましい。
【0017】
以上によれば、ターゲット2
1,2
2への投入電力、成膜時の希ガスと酸素ガスとの分圧(即ち、マスフローコントローラ43a,43bの制御による希ガスと反応ガスとの導入量)を変えずに水蒸気を導入することで、所定の成膜レートを維持したまま、水蒸気を導入しない場合と比較して低い応力の酸化アルミニウム膜を成膜することができる。このとき、水蒸気の分圧を1×10
−3Pa〜0.1Paの範囲にすれば、酸化アルミニウム膜の応力を確実に低下させることができ、例えば、水蒸気の分圧が1×10
−2Paのときには、圧縮応力を約−50MPaにできることが確認された。なお、水蒸気の分圧が1×10
−3Paより低くなると、効果的に応力を小さくした状態で酸化アルミニウム膜を成膜することができず、また、水蒸気の分圧が0.1Paより高くなると、例えば異常放電が誘発されて酸化アルミニウム膜を成膜することができない場合がある。
【0018】
以上の効果を確認するために、
図1に示すスパッタリング装置SMを用い、基板Sの表面に酸化アルミニウム膜を成膜する実験を行った。先ず、比較実験として、各ターゲット2
1,2
2と基板Sとの間の距離を180mm、交流電源Psによるターゲット2
1,2
2間への投入電力(交流電力)を40kW、スパッタ時間を271秒に設定し、また、真空排気されている成膜室11内の圧力が0.5Paに保持されるように、マスフローコントローラ43a,43bを制御して希ガスとしてのアルゴンと酸素ガスとを8:2の流量比で導入した。そして、基板Sの中央において、基板S表面に成膜された酸化アルミニウム膜の成膜レートと応力を測定したところ、成膜レートは10.56nm/minであり、応力は約−1000MPa(圧縮応力)であった。なお、膜厚は、エリプソメータを用いて、また、応力は、薄膜応力測定装置を用いて夫々測定した。
【0019】
次に、本発明の効果を示す実験として、スパッタ条件を上記と同様にし、成膜時、マスフローコントローラ43cを制御して水蒸気も所定の流量で導入した。この場合、水蒸気の分圧を5×10
−4Pa〜1Paの範囲で変化させ、そのときの酸化アルミニウム膜の応力(MPa)の変化を
図2に示す。これによれば、水蒸気を導入すると、酸化アルミニウム膜の応力が低下し、水蒸気の分圧が1×10
−3Paのとき、酸化アルミニウム膜の応力を約−500MPa近くまで低下できたことが判る。このときの成膜レートは10.48nm/minであり、成膜レートが殆ど変化しないことが確認された。そして、水蒸気の分圧が1×10
−2Paまでは、当該水蒸気の分圧に逆比例して酸化アルミニウム膜の応力がより低下し、水蒸気の分圧が1×10
−2Paのときに、酸化アルミニウム膜の応力を約−50MPaにできたことが確認された。このときの成膜レートは11.00nm/minであった。更に、水蒸気の分圧を増加させると、酸化アルミニウム膜は引張方向の応力(引張応力)を持つようになり、水蒸気の分圧が0.1Paのときでも、酸化アルミニウム膜の応力を約+100MPaにできたことが確認された。このときの成膜レートは11.20nm/minであった。但し、分圧が0.1Paより高くなると、異常放電が誘発され、酸化アルミニウム膜を正常に成膜することができなかった。
【0020】
以上、本発明の成膜方法の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、スパッタリングによる成膜中、水蒸気を所定の分圧で導入する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、水素ガスを所定の分圧で導入する場合にも、酸化アルミニウム膜の応力を低下できることが確認された。なお、上記実施形態では、真空チャンバ1の側壁に開設したガス供給口41a,41b,41cから希ガス、酸素ガス及び水蒸気を導入するものを例に説明したが、これに限定されるものではない。特に図示して説明しないが、例えば真空チャンバ1の底璧にガス管を貫装し、ターゲット2
1,2
2の周囲に位置するガス管の先端から、希ガス、酸素ガスや水蒸気を噴出するようにしてもよい。
【0021】
また、上記実施形態でも、ターゲット2
1,2
2をアルミニウム製としたものを例に説明したが、ターゲット2
1,2
2を酸化アルミニウム製として、希ガスのみ、または、希ガスに加えて酸素を導入しながら、高周波電力を投入してターゲット2
1,2
2をスパッタリングし、成膜する場合にも本発明は適用できる。更に、複数枚のターゲット2
1,2
2を並設し、対をなすものに交流電源Psにより交流電力を投入するものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、ターゲットを一枚とし、DC電源にて直流電力を投入するような場合にも本発明は適用し得る。更に、上記実施形態では、被成膜物をガラス基板とした場合を例に説明したが、例えば被成膜物を樹脂製の基材としてもよい。この場合、シート状の基材を駆動ローラと巻取りローラとの間で一定の速度で移動させながら基材の片面にスパッタリングにより酸化アルミニウム膜を成膜するようなものにも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0022】
SM…スパッタリング装置、1…真空チャンバ、2
1,2
2…ターゲット、42a…ガス管(希ガス用)、43a…マスフローコントローラ(希ガス用)、42b…ガス管(反応ガス用)、43b…マスフローコントローラ(反応ガス用)、42c…ガス管(水蒸気用)、43c…マスフローコントローラ(水蒸気用)、S…基板(被成膜物)。
【手続補正書】
【提出日】2017年9月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内に被成膜物と、アルミニウム製または酸化アルミニウム製のターゲットとを配置し、真空雰囲気中の真空チャンバ内に希ガス及び酸素含有の反応ガスまたは希ガスのみを導入し、ターゲットに所定電力を投入してターゲットをスパッタリングすることで被成膜物の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する成膜方法において、
真空チャンバ内に水素ガスまたは水蒸気を導入し、スパッタリングによる成膜時、真空チャンバ内に水蒸気が所定の分圧で存在する状態とし、応力が所定値以内の酸化アルミニウム膜を得ることを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記水蒸気の分圧が、2×10−3Pa〜0.1Paの範囲であることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
真空チャンバ内に、前記ターゲットの少なくとも2枚を設け、対をなすターゲット間に所定周波数の交流電力を投入して各ターゲットをスパッタリングすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の成膜方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、真空チャンバ内に被成膜物と、アルミニウム製または酸化アルミニウム製のターゲットとを配置し、真空雰囲気中の真空チャンバ内に希ガス及び酸素含有の反応ガスまたは希ガスのみを導入し、ターゲットに所定電力を投入してターゲットをスパッタリングすることで被成膜物の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する成膜方法において、真空チャンバ内に水素ガスまたは水蒸気を導入
し、スパッタリングによる成膜時、真空チャンバ内に水蒸気が所定の分圧で存在する状態とし、応力が所定値以内の酸化アルミニウム膜を得ることを特徴とする。
この場合、前記水蒸気の分圧を2×10−3Pa〜0.1Paの範囲にすることがより好ましい。また、真空チャンバ内に、前記ターゲットの少なくとも2枚を設け、対をなすターゲット間に所定周波数の交流電力を投入して各ターゲットをスパッタリングすることが好ましい。