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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-227922(P2017-227922A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20171201BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   G02B7/08 C
   H04N5/232 250
   H04N5/232 220
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-182548(P2017-182548)
(22)【出願日】2017年9月22日
(62)【分割の表示】特願2013-39122(P2013-39122)の分割
【原出願日】2013年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100078189
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆男
(72)【発明者】
【氏名】大塚 大
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044DA01
2H044DA02
2H044DC01
5C122EA42
5C122EA59
5C122FD11
5C122FE02
5C122FE03
5C122FE05
5C122FK12
5C122FK37
5C122FK40
5C122FK41
5C122FL03
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよい撮像装置を提供する。
【解決手段】焦点距離を可変するズームレンズが含まれる撮影光学系により結像された被写体像を撮像し画像信号を出力する撮像手段と、前記ズームレンズを光軸方向に駆動するズーム駆動手段と、光学ズーム操作が可能な操作部材と、所定のオペレーティングシステムが動作し、ユーザにより入力された前記オペレーティングシステムにおいて動作するプログラムを実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による前記プログラムの実行中に前記操作部材に対して為された前記光学ズーム操作に応じて、前記ズームレンズを駆動するように前記ズーム駆動手段を制御する第2処理部と、を備える撮像装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点距離を可変するズームレンズが含まれる撮影光学系により結像された被写体像を撮像し画像信号を出力する撮像手段と、
前記ズームレンズを光軸方向に駆動するズーム駆動手段と、
光学ズーム操作が可能な操作部材と、
所定のオペレーティングシステムが動作し、ユーザにより入力された前記オペレーティングシステムにおいて動作するプログラムを実行可能な第1処理部と、
前記第1処理部による前記プログラムの実行中に前記操作部材に対して為された前記光学ズーム操作に応じて、前記ズームレンズを駆動するように前記ズーム駆動手段を制御する第2処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記光学ズーム操作に応じて前記ズームレンズを駆動させた後に前記撮像手段から出力された前記画像信号に基づく画像データを、前記第1処理部に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記撮像手段により出力された前記画像信号を電子ズームの設定値に基づいて拡大した画像データを前記第1処理部に出力し、
前記第1処理部は、前記プログラムからの電子ズーム指令に応じて、前記第2処理部に前記電子ズームの設定値を更新させる電子ズーム制御信号を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の撮像装置において、
前記第1処理部は、前記プログラムから撮影指令を受け付け可能であり、
前記第1処理部は、前記プログラムからの前記撮影指令に応じて、前記第2処理部に前記撮像手段による撮像を行わせる撮影制御信号を出力し、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されていないとき、前記撮影制御信号が入力されたことに応じて前記撮像手段に撮像を行わせることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されているとき、前記撮影制御信号が入力されても前記撮像手段に撮像を行わせないことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されているときに前記撮影制御信号が入力されると、前記ズームレンズの駆動が完了した後に前記撮像手段に撮像を行わせることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮影光学系は、フォーカス位置を調節するフォーカスレンズを含み、
前記フォーカスレンズを光軸方向に駆動するフォーカス駆動手段を備え、
前記第1処理部は、前記プログラムから焦点調節指令を受け付け可能であり、
前記第1処理部は、前記プログラムからの前記焦点調節指令に応じて、前記第2処理部に焦点調節を行わせる焦点調節制御信号を出力し、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されていないとき、前記焦点調節制御信号が入力されたことに応じて前記フォーカス駆動手段に前記フォーカスレンズを駆動させることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されているとき、前記焦点調節制御信号が入力されても前記フォーカス駆動手段に前記フォーカスレンズを駆動させないことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記第2処理部は、前記ズームレンズが駆動されているときに前記焦点調節制御信号が入力されると、前記ズームレンズの駆動が完了した後に前記フォーカス駆動手段に前記フォーカスレンズを駆動させることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記第1処理部は、前記プログラムとして、前記撮像手段に撮像を行わせない第1プログラムと、前記撮像手段に撮像を行わせる第2プログラムと、を切り替えて実行可能であり、
前記第2処理部は、前記第1処理部が前記第1プログラムを実行している場合、前記操作部材が操作されても前記ズームレンズを駆動させないことを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記第1処理部は、前記第1プログラムを実行しているとき、前記操作部材により前記光学ズーム操作が為されたことを実行中の前記第1プログラムに報知することにより、前記第1プログラムに前記光学ズーム操作に応じた処理を実行させることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の撮像装置において、
前記操作部材は、前記光学ズーム操作に応じた操作信号を前記第1処理部および前記第2処理部に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項10または11に記載の撮像装置において、
前記操作部材は、前記光学ズーム操作に応じた第1操作信号を前記第2処理部に出力し、
前記第2処理部は、前記第1操作信号の入力に応じた第2操作信号を前記第1処理部に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
請求項10または11に記載の撮像装置において、
前記操作部材は、前記第1処理部が前記第1プログラムを実行している場合には前記光学ズーム操作に応じた操作信号を前記1処理部に出力し、前記第1処理部が前記第2プログラムを実行している場合には前記操作信号を前記第2処理部に出力することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Android(登録商標)等の汎用OS(オペレーティング・システム)を搭載した撮像装置が知られている。例えば非特許文献1には、出願人により販売されているAndroid OS搭載のデジタルカメラが記載されている。このOSは、カメラ機能を利用するための種々のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を提供している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社ニコン、「クールピクス S800c 使用説明書」、2012年9月27日、p.79−94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載のデジタルカメラには、いわゆる電子ズームを使用するためのAPIを備えたOSが搭載されている。従って、特別に当該デジタルカメラ向けに作成されたわけではなく、当該OSが動作する種々の電子機器に向けて作成されたプログラムを実行する場合、光学ズーム機能を利用することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の撮像装置は、焦点距離を可変するズームレンズが含まれる撮影光学系により結像された被写体像を撮像し画像信号を出力する撮像手段と、前記ズームレンズを光軸方向に駆動するズーム駆動手段と、光学ズーム操作が可能な操作部材と、所定のオペレーティングシステムが動作し、ユーザにより入力された前記オペレーティングシステムにおいて動作するプログラムを実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による前記プログラムの実行中に前記操作部材に対して為された前記光学ズーム操作に応じて、前記ズームレンズを駆動するように前記ズーム駆動手段を制御する第2処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使い勝手のよい撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を模式的に示すブロック図である。
図2】第2種アプリの実行画面の一例を示す図である。
図3】第3種アプリの実行画面の一例を示す図である。
図4】ズームボタン24の接続態様の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を模式的に示すブロック図である。デジタルカメラ1は、デジタルカメラ1の各部を制御する制御装置11を備える。制御装置11は、カメラ処理部12とアプリ処理部13とを有する。カメラ処理部12は、デジタルカメラ1が有するカメラ機能に関してのバックエンドに相当し、アプリ処理部13はフロントエンドに相当する。
【0009】
カメラ処理部12およびアプリ処理部13は、それぞれ独立して動作する処理部である。例えば、カメラ処理部12およびアプリ処理部13はそれぞれ異なるマイクロプロセッサおよびメモリ等を有し、それら2つのマイクロプロセッサは互いに異なる2つのプログラムを独立に実行可能である。なお、カメラ処理部12およびアプリ処理部13が単一のプロセッサおよびメモリにより構成されていてもよい。この場合、上述した互いに異なる2つのプログラムは、時分割的に実行されるようにすればよい。
【0010】
デジタルカメラ1は、被写体像を結像させる撮影光学系14と、撮影光学系14により結像された被写体像を撮像する撮像素子15とを備える。撮影光学系14は、フォーカス位置を調節するフォーカスレンズ16と、焦点距離を可変するズームレンズ17とを含む、複数のレンズにより構成される。
【0011】
撮影光学系14を構成する複数のレンズは、不図示のレンズ鏡筒に格納されている。このレンズ鏡筒は、コンパクトに収納され撮影不可能な縮筒状態と、被写体に向けて繰り出され撮影可能な伸筒状態と、を切替可能に構成される。
【0012】
フォーカスレンズ16およびズームレンズ17はそれぞれ、レンズ駆動部18により光軸Oに沿った方向に駆動される。レンズ駆動部18は、例えばステッピングモータ等の不図示のアクチュエータによって、フォーカスレンズ16およびズームレンズ17を光軸O方向に駆動する。
【0013】
フォーカスレンズ16およびズームレンズ17の不図示の駆動機構には、レンズ位置検出部19が組み付けられている。レンズ位置検出部19は、例えばエンコーダ等によってフォーカスレンズ16およびズームレンズ17の現在位置を検出し、レンズ位置信号を出力する。
【0014】
撮像素子15は、例えばCCDやCMOS、光電変換膜等の固体撮像素子であり、被写体像を撮像し撮像信号を出力する。撮像素子15が出力した撮像信号は、画像処理部20に入力される。画像処理部20は、入力された撮像信号に対し種々の画像処理を行い、画像信号(画像データ)を出力する。
【0015】
レンズ位置検出部19が出力したレンズ位置信号、および、画像処理部20が出力した画像信号(画像データ)は、カメラ処理部12に入力される。カメラ処理部12は、デジタルカメラ1の撮像に関する部材を司る処理部であり、レンズ駆動部18、撮像素子15、画像処理部20、レンズ位置検出部19を制御する。カメラ処理部12は、制御装置11の内部でアプリ処理部13と制御信号(制御指示等の種々のデータ)の授受が可能に構成されている。
【0016】
アプリ処理部13は、カメラ処理部12により制御されない部材を制御する処理部である。アプリ処理部13には、液晶ディスプレイ21、タッチセンサ22、メモリカード23が接続される。
【0017】
液晶ディスプレイ21は、例えばデジタルカメラ1の背面に設けられた表示装置である。タッチセンサ22は、液晶ディスプレイ21の表示画面に重畳して設けられた操作部材である。ユーザが指等により液晶ディスプレイ21の表示画面に接触すると、タッチセンサ22は指等の接触した位置に関する情報(例えば接触位置の座標など)を含む操作信号をアプリ処理部13に出力する。メモリカード23は、可搬性の記憶媒体である。アプリ処理部13は、メモリカード23に画像データ等の種々のデータを書き込んだり、メモリカード23から画像データ等の種々のデータを読み出したりする。
【0018】
デジタルカメラ1は、ズームボタン24とレリーズボタン25とを有する。ズームボタン24は、所定の光学ズーム操作が可能に構成された操作部材である。光学ズーム操作には、少なくともズームイン操作とズームアウト操作とが含まれる。例えば、ズームボタン24をいわゆるシーソースイッチにより構成した場合、ズームイン操作は当該シーソースイッチの一端を押下する操作、ズームアウト操作は当該シーソースイッチの他端を押下する操作とすればよい。ズームボタン24はカメラ処理部12に接続される。ユーザがズームボタン24を用いて光学ズーム操作を行うと、当該光学ズーム操作に応じた操作信号がズームボタン24からカメラ処理部12に出力される。
【0019】
レリーズボタン25は、所定の半押し操作と所定の全押し操作とが可能に構成された操作部材である。レリーズボタン25はアプリ処理部13に接続される。ユーザがレリーズボタン25を用いて半押し操作や全押し操作を行うと、当該操作に応じた操作信号がレリーズボタン25からアプリ処理部13に出力される。
【0020】
なお、デジタルカメラ1はズームボタン24およびレリーズボタン25以外にも、例えば電源スイッチ等の操作部材を有しているが、以下では説明を省略する。
【0021】
(アプリ処理部13において提供されるAPIの説明)
アプリ処理部13は、例えばAndroid等のOSを不図示の記憶媒体から読み込んで実行すると共に、当該OS上で動作するアプリ(プログラム)を不図示の記憶媒体から読み込んで実行する。ユーザは、その記憶媒体に、上記OS上で動作する任意のアプリを入力することが可能である。上記OSは、OS上で動作するアプリ向けに種々のAPIを提供する。以下、それらのAPIのうち、カメラ機能に関する7つのAPIについて説明する。なお以下では、実際のAPIを一部簡略化して(例えば引数を省略する等)説明している。
【0022】
(1)open
アプリは、カメラ機能の利用を開始する際にこのAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13へのカメラ機能利用開始指令である。以下で説明する全てのAPIは、このAPIを呼び出した後でなければ呼び出すことができない。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12にレンズ鏡筒を伸筒状態にするよう指示する。カメラ処理部12はこの指示を受けて、レンズ鏡筒を伸筒状態にすると共に、ズームレンズ17を所定位置(例えば広角端)に駆動する。更に、カメラ処理部12はズームボタン24からの操作信号の受付を開始する。これ以降、ズームボタン24が操作されると、カメラ処理部12はその操作に応じて、レンズ駆動部18にズームレンズ17を駆動させる。
【0023】
(2)release
アプリは、カメラ機能の利用を終了する際にこのAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13へのカメラ機能利用終了指令である。このAPIを呼び出した後は、以下で説明する全てのAPIを呼び出すことができない。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12にレンズ鏡筒を縮筒状態にするよう指示する。カメラ処理部12はこの指示を受けて、レンズ鏡筒を縮筒状態にすると共に、ズームボタン24からの操作信号の受付を終了する。これ以降、ズームボタン24が操作されても、カメラ処理部12はズームレンズ17を駆動させない。
【0024】
(3)setZoom
アプリは、電子ズームの設定を行いたいとき、設定したいズーム値を引数としてこのAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13への電子ズーム指令である。ズーム値は例えば0〜10の範囲の整数で、0が広角端すなわち電子ズームが行われない状態を、10が望遠端を表す。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、引数の整数に応じた値に電子ズームの設定値を更新するようカメラ処理部12に指示する電子ズーム制御信号を、カメラ処理部12に出力する。カメラ処理部12は電子ズーム制御信号が入力されたことに応じて、電子ズームの設定値を更新する。本APIの呼び出し以降、カメラ処理部12からアプリ処理部13に引き渡される画像データ(スルー画および撮影画像)は、新たな電子ズームの設定値が反映されたものになる。カメラ処理部12は、画像処理部20により出力された画像データを、電子ズームの設定値に基づいて拡大し、必要に応じてトリミングを行った後、アプリ処理部13に出力する。
【0025】
なお、このAPIは、電子ズームを前提としたAPIである。従って、ズームレンズ17による光学ズームをこのAPIに適合させるのは困難である。仮にこのAPIがデジタルカメラ1において光学ズームを操作するAPIとして機能させてしまうと、このAPIは呼び出し後、ズームレンズ17の駆動完了を待たずに、すぐに制御をアプリに戻してしまう。つまり、アプリが認識する現在のズーム状態と、実際のズーム状態とが異なる期間が発生してしまう。また、ズームレンズ17の駆動が完了するまで制御がアプリに戻らないようにしてしまうと、ズームレンズ17の駆動が完了するまでアプリが一切の処理を行えないため、その間、アプリがフリーズしてしまう。
【0026】
(4)autoFocus
アプリは、自動焦点調節を行いたいとき、このAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13への焦点調節指令である。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12に自動焦点調節を行うよう指示する焦点調節制御信号を、カメラ処理部12に出力する。カメラ処理部12は焦点調節制御信号が入力されたことに応じて、自動焦点調節処理を実行する。例えば、レンズ駆動部18にフォーカスレンズ16を駆動させながら、所定周期ごとに撮像素子15による撮像を行い、その撮像により得られた各画像データのコントラストに基づいて、コントラストが極大になる位置でフォーカスレンズ16を停止させる、いわゆるコントラスト検出方式の自動焦点調節処理を実行する。
【0027】
(5)startPreview
アプリは、液晶ディスプレイ21にスルー画を表示させたいとき、このAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13へのスルー画表示開始指令である。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12にスルー画を出力するよう指示する。カメラ処理部12はこの指示を受けて、所定期間(例えば60分の1秒)ごとに撮像素子15に被写体像を撮像させ、画像処理部20から画像データを出力させる。そして、この画像データをアプリ処理部13に引き渡す。アプリ処理部13は、所定期間ごとに引き渡されるこの画像データを、液晶ディスプレイ21の表示画面の所定位置に所定サイズで表示する。
【0028】
(6)stopPreview
アプリは、液晶ディスプレイ21へのスルー画の表示を中止させたいとき、このAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13へのスルー画表示終了指令である。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12にスルー画の出力を中止するよう指示する。カメラ処理部12はこの指示を受けて、上述したstartPreviewの呼び出しにより開始した所定期間ごとの撮像を中止する。つまり、これ以降、所定期間ごとに撮像素子15に被写体像を撮像させない。アプリ処理部13は、このAPIの呼び出し以降、液晶ディスプレイ21へのスルー画の表示を行わない。
【0029】
(7)takePicture
アプリは、撮影を行いたいとき、このAPIを呼び出す。つまり、このAPIは、アプリからアプリ処理部13への撮影指令である。アプリ処理部13は、このAPIが呼び出されると、カメラ処理部12に撮影を行うよう指示する撮影制御信号を、カメラ処理部12に出力する。カメラ処理部12は撮影制御信号が入力されたことに応じて、撮像素子15に被写体像を撮像させ、画像処理部20から画像データを出力させる。そして、この画像データをアプリ処理部13に引き渡す。アプリ処理部13は、引き渡された画像データをメモリカード23に書き込む。
【0030】
(アプリ処理部13上で動作するアプリの説明)
アプリ処理部13が実行するOS上では、(1)カメラ機能を利用しない第1種アプリ、(2)汎用のカメラ機能のみを利用する第2種アプリ、(3)デジタルカメラ1に特有のカメラ機能を利用する第3種アプリ、の3種類のアプリを切り替えて実行可能である。以下、各アプリを実行したときのデジタルカメラ1の動作について説明する。
【0031】
(1)カメラ機能を利用しない第1種アプリ
カメラ機能を利用しない第1種アプリとは、上述したカメラ機能に関するAPIを呼び出さないアプリである。例えば第1種アプリは、撮像素子15に撮像を行わせない。第1種アプリが実行されているとき、レンズ鏡筒は縮筒状態である。カメラ処理部12は、アプリ処理部13により第1種アプリが実行されているとき、撮像素子15に撮像を行わせず、レンズ駆動部18にレンズ駆動を行わせない。また、ズームボタン24がユーザにより操作されても、カメラ処理部12はこれに応じたズームレンズ17の駆動を行わない。
【0032】
(2)汎用のカメラ機能のみを利用する第2種アプリ
汎用のカメラ機能のみを利用する第2種アプリとは、上述したAPIを用いてカメラ機能を利用するアプリである。第2種アプリはOSにより予め用意された上述のAPIを用いてカメラ機能を利用するため、同OSが動作しカメラ機能を有する他の電子機器(例えばカメラ付き携帯電話等)でも実行することができる、移植性の高い(ポータブルな)アプリである。第2種アプリの実行開始時、レンズ鏡筒は縮筒状態である。第2種アプリが上述したopenを呼び出すと、アプリ処理部13はこの呼び出しに応じてカメラ処理部12にカメラ機能の利用開始を指示する。カメラ処理部12はこの指示に応じてレンズ鏡筒を伸筒状態にする。その後、第2種アプリは上述した各APIを適宜呼び出してカメラ機能を利用する。例えば、takePictureを呼び出して撮像素子15に撮像を行わせる。
【0033】
図2は、第2種アプリの実行画面の一例を示す図である。なお、図2に示した実行画面は一例であり、全ての第2種アプリがこのような画面表示を行うわけではない。
【0034】
画面100には、スルー画表示領域110、第1ズームバー120、撮影ボタン130、ズームアウトボタン140、およびズームインボタン150が表示されている。スルー画表示領域110には、アプリ処理部13がスルー画を表示する。第2種アプリはopenの呼び出し後にstartPreviewを呼び出し、アプリ処理部13にスルー画表示領域110へのスルー画の表示を開始させる。第1ズームバー120は、電子ズームの状態を表示する表示部材であり、第1ズームバー120に重畳してカーソル121が表示される。カーソル121の表示位置は、電子ズームの設定値と対応している。例えば、第1ズームバー120の上端125が望遠端に、下端124が広角端に、それぞれ対応している。ユーザがズームアウトボタン140やズームインボタン150をタッチすると、第2種アプリはカーソル121の位置を上下方向に移動させると共に、setZoomを呼び出してカーソル121の位置に応じたズーム値に電子ズームを設定する。アプリ処理部13はこの呼び出しに応じてカメラ処理部12に電子ズームの設定を指示し、その結果として、スルー画表示領域110におけるスルー画の表示倍率や、撮影画像の倍率が変化する。
【0035】
ユーザが指等によりスルー画表示領域110をタッチすると、第2種アプリは上述したautoFocusを呼び出す。アプリ処理部13はこの呼び出しに応じてカメラ処理部12に自動焦点調節を指示する。これにより、フォーカスレンズ16が駆動され、撮影光学系14の焦点調節状態が変化する。ユーザが指等により撮影ボタン130をタッチすると、第2種アプリは上述したtakePictureを呼び出す。アプリ処理部13はこの呼び出しに応じてカメラ処理部12に撮影を指示し、カメラ処理部12から画像信号(画像データ)を受け取る。そして、メモリカード23にこの撮影画像データを書き込む。
【0036】
カメラ機能の利用が終了すると、第2種アプリは上述したreleaseを呼び出す。アプリ処理部13はこの呼び出しに応じて、カメラ処理部12にカメラ機能の利用終了を指示する。カメラ処理部12はこの指示に応じて、レンズ鏡筒を縮筒状態に戻す。第2種アプリによりopenが呼び出されてからreleaseが呼び出されるまでの間、カメラ処理部12はズームボタン24が操作されるたび、当該操作に応じて、レンズ駆動部18にズームレンズ17を駆動させる。すなわち、第2種アプリによるカメラ機能の利用時、ユーザはズームボタン24による光学ズーム機能を利用することができる。なお、ズームレンズ17が広角端にある状態でズームボタン24によりズームアウト操作が為された場合や、ズームレンズ17が望遠端にある状態でズームボタン24によりズームイン操作が為された場合には、カメラ処理部12はレンズ駆動部18にズームレンズ17を駆動させない。
【0037】
ズームボタン24が操作されたとき、カメラ処理部12は更に、アプリ処理部13へ所定のキーコード(操作信号)を送信する。換言すると、ズームボタン24が操作されたことを示すキーコード(操作信号)がアプリ処理部13に送信される。このキーコードはアプリ処理部13で動作するOSが未定義としているキーコードであり、通常は使用されないキーコードである。つまり、このキーコードとズームボタン24との対応関係は、デジタルカメラ1に特有のものであり、デジタルカメラ1がそのように定めたに過ぎない。他の電子機器でも動作するように作られているポータブルな第2種アプリは、このキーコードがズームボタン24に対応していることを知らないため、このキーコード(未定義のキーコード)を無視する。
【0038】
また、カメラ処理部12は、光学ズームの状態等をアプリ処理部13には送信しないので、第2種アプリは、光学ズームの状態を知ることはない。つまり、光学ズームは第2種アプリとは独立に機能する。例えば、スルー画表示領域110の表示内容は光学ズームの状態によって変化するが、第2種アプリには光学ズームの状態が変化したことや、スルー画の画角が光学ズームの状態の変化によって変化したことは通知されない。
【0039】
カメラ処理部12は、ズームボタン24の操作によりレンズ駆動部18がズームレンズ17を駆動している間、アプリ処理部13による自動焦点調節指示を無視する。つまり、ズームレンズ17の駆動中に第2種アプリが上述したautoFocusを呼び出しても、カメラ処理部12は自動焦点調節を行わない。これは、ズームレンズ17を動かしている最中に自動焦点調節を行っても、望ましい焦点調節結果が得られないためである。
【0040】
同様に、カメラ処理部12は、ズームボタン24の操作によりレンズ駆動部18がズームレンズ17を駆動している間、アプリ処理部13による撮影指示を無視する。つまり、ズームレンズ17の駆動中に第2種アプリが上述したtakePictureを呼び出しても、カメラ処理部12は撮影を行わない。これは、ズームレンズ17を動かしている最中に撮影を行ってしまうと、ユーザにとって望ましい撮影結果が得られないためである。
【0041】
(3)デジタルカメラ1に固有のカメラ機能を利用する第3種アプリ
アプリ処理部13で動作しているOSには、デジタルカメラ1に固有の機能を利用するための特別なインタフェースが設けられている。例えばAndroidやLinux(登録商標)であれば、デジタルカメラ1特有のデバイスドライバと、そのデバイスドライバに対応するデバイスファイルとを設け、そのデバイスファイルに対して所定の制御コードを読み書きしたり、ioctlシステムコールを呼び出すことで、デジタルカメラ1に固有の機能を利用することができる。
【0042】
アプリ処理部13は、上述した特別なインタフェースとして、ズームレンズ17の現在のズーム位置を取得するインタフェース、ズームレンズ17を指定した方向(広角方向および望遠方向)に駆動するインタフェース、カメラ処理部12によるズームレンズ17の駆動可否を設定するインタフェースを有している。第3種アプリは、上述した各APIに加えて、上記の各インタフェースを用いることで、例えば光学ズーム状態の情報を画面に表示したり、ズームボタン24以外の操作(例えばタッチ操作)による光学ズームを行ったりすることができる。
【0043】
図3は、第3種アプリの実行画面の一例を示す図である。なお、図3に示した実行画面は一例であり、第3種アプリが図3とは異なる画面表示を行うものであってもよい。
【0044】
画面200には、第2種アプリの実行画面と同様のスルー画表示領域110、撮影ボタン130、ズームアウトボタン140、およびズームインボタン150が表示されているが、図2に示した第1ズームバー120の代わりに第2ズームバー220が表示されている。
【0045】
第2ズームバー220は、光学ズームおよび電子ズームの状態を表す表示部材であり、光学ズームに対応する第1領域222と、電子ズームに対応する第2領域223とを含んでいる。第1領域222の上端226(第2領域223と接する端部)は光学ズームの望遠端に、下端225は光学ズームの広角端に、それぞれ対応している。同様に、第2領域223の上端227は電子ズームの望遠端に、下端226(第1領域222と接する端部)は電子ズームの広角端に、それぞれ対応している。第2ズームバー220に重畳して、現在のズーム位置を表すカーソル121が表示される。
【0046】
第3種アプリは、所定周期(例えば30分の1秒)ごとに、上述した特別なインタフェースを介して、ズームレンズ17の現在のズーム位置を取得する。そして、カーソル121を、第1領域222中の、現在の光学ズーム状態に対応する位置に移動させる。
【0047】
ユーザがズームボタン24を操作すると、カメラ処理部12には、当該操作に応じた操作信号が入力される。前述の通り、カメラ処理部12はこの操作信号に応じて、ズームレンズ17が駆動されるようレンズ駆動部18を制御すると共に、アプリ処理部13へ所定のキーコード(操作信号)を送信する。
【0048】
第3種アプリは、デジタルカメラ1のために作成されたアプリであるため、このキーコードがズームボタン24の操作に対応するキーコードであるということを知っている。第3種アプリは、通常、このキーコードを無視する。ズームレンズ17が光学ズーム範囲の望遠端に位置したとき(すなわちカーソル121が第1領域222の上端226に位置したとき)、第3種アプリは、上述した特別なインタフェースによりカメラ処理部12によるズームレンズ17の駆動を禁止する。そして、その状態から更にズームボタン24によりズームイン操作が為された場合、第3種アプリは、ズームレンズ17を望遠端に置いたまま、電子ズームの状態をよりズームインした状態にする。このときカーソル121は、第2領域223中の、現在の電子ズーム状態に対応する位置に移動される。
【0049】
第3種アプリは、電子ズームが再び広角端に設定されたとき(すなわちカーソル121が第2領域223の下端226に位置したとき)、上述した特別なインタフェースによりカメラ処理部12によるズームレンズ17の駆動を許可する。つまり第3種アプリは、電子ズームを、光学ズームで可能な量以上にズームするために利用する。
【0050】
ユーザはズームボタン24のみならず、画面に表示されているズームアウトボタン140やズームインボタン150をタッチすることでも、光学ズームおよび電子ズームを操作することができる。例えば指等によりズームインボタン150がタッチされると、第3種アプリは当該操作に応じて、ズームボタン24のズームイン操作と同一の機能が実現されるよう、上述した特別なインタフェースによる光学ズームの駆動制御や、電子ズームの制御を行う。
【0051】
上述した第1の実施の形態によるデジタルカメラによれば、次の作用効果が得られる。
(1)デジタルカメラ1は、焦点距離を可変するズームレンズ17が含まれる撮影光学系14と、撮影光学系14により結像された被写体像を撮像し画像信号を出力する撮像素子15と、ズームレンズ17を光軸O方向に駆動するレンズ駆動部18と、光学ズーム操作が可能なズームボタン24と、所定のオペレーティングシステムが動作し、ユーザにより入力されたオペレーティングシステムにおいて動作するプログラムを実行可能なアプリ処理部13と、撮像素子15により出力された画像信号を電子ズームの設定値に基づいて拡大した画像データをアプリ処理部13に出力するカメラ処理部12とを備え、アプリ処理部13は、プログラムからの電子ズーム指令に応じて、カメラ処理部12に電子ズームの設定値を更新させる電子ズーム制御信号を出力し、カメラ処理部12は、アプリ処理部13によるプログラムの実行中にズームボタン24に対して為された光学ズーム操作に応じて、ズームレンズ17を駆動するようにレンズ駆動部18を制御する。このようにしたので、OSがサポートする電子ズーム機能のみならず、光学ズーム機能を利用可能な、使い勝手のよい撮像装置を提供することができる。
【0052】
(2)アプリ処理部13は、プログラムからtakePictureの呼び出しを受け付け可能であり、アプリ処理部13は、プログラムからのtakePictureの呼び出しに応じて、カメラ処理部12に撮像素子15による撮像を行わせる撮影制御信号を出力し、カメラ処理部12は、ズームレンズ17が駆動されていないとき、撮影制御信号が入力されたことに応じて撮像素子15に撮像を行わせる。このようにしたので、使い勝手のよい撮像装置を提供することができる。
【0053】
(3)カメラ処理部12は、ズームレンズ17が駆動されているとき、撮影制御信号が入力されても撮像素子15に撮像を行わせない。このようにしたので、常に品質のよい撮影結果を得ることができる。
【0054】
(4)撮影光学系14は、フォーカス位置を調節するフォーカスレンズ16を含み、フォーカスレンズ16を光軸O方向に駆動するレンズ駆動部18を備え、アプリ処理部13は、プログラムからautoFocusの呼び出しを受け付け可能であり、アプリ処理部13は、プログラムからのautoFocusの呼び出しに応じて、カメラ処理部12に焦点調節を行わせる焦点調節制御信号を出力し、カメラ処理部12は、ズームレンズ17が駆動されていないとき、焦点調節制御信号が入力されたことに応じてレンズ駆動部18にフォーカスレンズ16を駆動させる。このようにしたので、使い勝手のよい撮像装置を提供することができる。
【0055】
(5)カメラ処理部12は、ズームレンズ17が駆動されているとき、焦点調節制御信号が入力されてもレンズ駆動部18にフォーカスレンズ16を駆動させない。このようにしたので、常に最適な焦点調節結果を得ることができる。
【0056】
(6)アプリ処理部13は、プログラムとして、撮像素子15に撮像を行わせない第1種アプリと、撮像素子15に撮像を行わせる第2種アプリおよび第3種アプリと、を切り替えて実行可能であり、カメラ処理部12は、アプリ処理部13が第1種アプリを実行している場合、ズームボタン24が操作されてもズームレンズ17を駆動させない。このようにしたので、カメラ機能とは関係のないアプリの実行時に光学ズームが作動してしまうことがなく、ユーザに煩わしさを感じさせない。
【0057】
(7)ズームボタン24は、光学ズーム操作に応じた操作信号(第1操作信号)をカメラ処理部12に出力し、カメラ処理部12は、操作信号(第1操作信号)の入力に応じたキーコード(第2操作信号)をアプリ処理部13に出力する。このようにしたので、アプリ処理部13で実行中の第1種アプリが、光学ズーム操作を光学ズーム以外の機能に利用することが可能となる。また、アプリ処理部13で実行中の第3種アプリが、光学ズームの作動を検知することができる。
【0058】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0059】
(変形例1)
上述した実施形態では、ズームレンズ17の駆動中にカメラ処理部12へ撮影制御信号や焦点調節制御信号が入力された場合、カメラ処理部12はそれらの信号を無視していた。つまり、それらの信号が入力されても、ズームレンズ17が駆動中であった場合には、カメラ処理部12は撮影や焦点調節を行わなかった。これを、単に無視するのではなく、キューイングするようにしてもよい。つまり、撮影制御信号や焦点調節制御信号が入力されたことを記憶しておき、ズームレンズ17の駆動が完了した時点で(もしくはズームレンズ17の駆動が完了するために十分な時間が経過した時点で)それら入力された信号に応じた処理を実行するように、カメラ処理部12を構成してもよい。
【0060】
このように構成されたカメラ処理部12は、ズームレンズ17が駆動されているときに撮影制御信号が入力されると、ズームレンズ17の駆動が完了した後に撮像素子15に撮像を行わせる。また、ズームレンズ17が駆動されているときに焦点調節制御信号が入力されると、ズームレンズ17の駆動が完了した後にレンズ駆動部18にフォーカスレンズ16を駆動させる。このようにすることで、デジタルカメラ1の操作性を更に向上させることができる。
【0061】
(変形例2)
光学ズーム操作に応じてカメラ処理部12からアプリ処理部13に出力されるキーコード(操作信号)は、アプリ処理部13が実行するOSにおいて未定義とされるキーコードでなくてもよい。例えば、光学ズーム操作に応じてアプリ処理部13に周知のキーコードが出力されるようにすると、第1種アプリが、ズームボタン24を汎用の操作部材として利用することができるようになる。つまり、アプリ処理部13は、第1種アプリを実行しているとき、ズームボタン24により光学ズーム操作が為されたことを実行中の第1種アプリに報知することにより、第1種アプリに光学ズーム操作に応じた処理を実行させる。このようにすることで、デジタルカメラ1の操作性を更に向上させることができる。
【0062】
(変形例3)
上述した実施形態では、ズームボタン24はカメラ処理部12にのみ接続され、光学ズーム操作に応じた操作信号はまずカメラ処理部12に送られた後、カメラ処理部12からアプリ処理部13に出力されていた。本発明は、このような実施の形態に限定されない。以下、第1の実施の形態とは異なるズームボタン24の接続態様を例示する。
【0063】
図4は、ズームボタン24の接続態様の変形例を示す図である。図4(a)では、ズームボタン24は、光学ズーム操作に応じた操作信号をカメラ処理部12およびアプリ処理部13の両方に出力する。また、図4(b)では、ズームボタン24にカメラ処理部12とアプリ処理部13との一方を択一的に接続するスイッチ26を設け、アプリ処理部13が第1種アプリを実行している場合には光学ズーム操作に応じた操作信号をアプリ処理部13に、アプリ処理部13が第2種アプリおよび第3種アプリを実行している場合には操作信号をカメラ処理部12に、それぞれ出力するようズームボタン24を構成している。このようにしても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
なお、上述した各実施形態では、ズームボタン24を機械的なボタン(いわゆるシーソースイッチ)として説明を行ったが、ズームボタン24をこれとは異なる形態の操作部材としてもよい。例えば液晶ディスプレイ21に特定のシンボル(アイコンやボタンの画像)を表示し、タッチセンサ22により当該シンボルへの接触が検知されたことで動作する、いわゆるタッチ式の操作部材としてもよい。
【0065】
(変形例4)
アプリ処理部13が実行するOSは、上述の実施形態において説明したものに限定されない。例えば、OSとしてiOS(登録商標)やWindows(登録商標)を利用してもよい。また、APIの名称や種別、機能等は、上述の実施形態において説明したものに限定されず、それらと異なっていてもよい。
【0066】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…デジタルカメラ、11…制御装置、12…カメラ処理部、13…アプリ処理部、14…撮影光学系、15…撮像素子、16…フォーカスレンズ、17…ズームレンズ、18…レンズ駆動部、19…レンズ位置検出部、20…画像処理部、21…液晶ディスプレイ、22…タッチセンサ、23…メモリカード、24…ズームボタン、25…レリーズボタン
図1
図2
図3
図4