【解決手段】カセット60から被加工物を搬出入する搬出入手段7は、カセット内の被加工物を把持する把持部と被加工物を所定の位置に規制する規制部材と、該把持部と該規制部材が配設される支持基台72と該支持基台を移動する移動部と、を備える。仮置手段8は、Y軸方向に延在し被加工物を支持する底部と側部とを有し、該底部が開閉可能に構成された一対の第1の支持レール80Aと、直下に配設された一対の第2の支持レール80Bと、両者を上昇および下降する昇降部と、を備える。X軸ガイドレールは、該仮置手段の直下から少なくとも切削手段4の下方領域に至り配設されており、該第1の支持レールと該第2の支持レールとの直下に仮置手段から移送された被加工物を保持する保持手段を位置付ける。
該仮置手段に隣接し該カセット載置手段とは反対側のY軸方向に被加工物を洗浄するスピンナーテーブルを備えた洗浄手段が配設されると共に該洗浄手段の直上で被加工物を仮置きする補助仮置手段が配設され、
該補助仮置手段は、Y軸方向に延在し被加工物を支持する底部と側部とを有し該底部が開閉可能に構成された一対の第1の補助支持レールと、該第1の補助支持レールの直下に配設されY軸方向に延在し被加工物を支持する底部と側部とを有し該底部が開閉可能に構成された一対の第2の補助支持レールと、該第1の補助支持レールと該第2の補助支持レールとを上下動する補助昇降部と、を備え、該補助仮置手段と該仮置手段との間で被加工物の受け渡しが可能に構成されている請求項1に記載の切削装置。
該搬出入手段は、該把持部に加え該補助支持レールに位置付けられた被加工物を把持する補助把持部と、該一対の規制部材に加え該第1の補助支持レールと該第2の補助支持レールに位置付けられた被加工物を所定の位置に規制する一対の補助規制部材と、を備え、
該保持手段に保持された切削済みの被加工物が該仮置手段の直下に位置付けられた際、該底部を開にした該第2の支持レールが下降して該底部が切削済みの被加工物の下部に位置付けられ該底部を閉にして切削済みの被加工物を支持して上昇し、
次に、該搬出入手段の把持部によってカセットに収容された未加工の被加工物を把持すると共に該一対の補助規制部材を該仮置手段に支持された切削済みの被加工物の側面に位置付けて該洗浄手段側に移動しつつ該カセットに収容された被加工物を該第1の支持レールに位置付けると共に切削済みの被加工物を該第2の補助支持レールに位置付け、
次に、該補助昇降部によって該第2の補助支持レールを該第1の補助支持レールと共に下降して該第2の補助支持レールの底部を開にして切削済みの被加工物を該スピンナーテーブルに保持する請求項2に記載の切削装置。
該洗浄手段によって被加工物の洗浄が終了した後、該補助仮置手段は該補助昇降部によって該第1の補助支持レールを該第2の補助支持レールと共に下降して該第1の補助支持レールの底部を開にして洗浄済みの被加工物の下部に該底部を位置付けると共に閉にして洗浄済みの被加工物を該第1の補助支持レールで支持して上昇し、
該仮置手段は、該昇降部によって該第1の補助支持レールに対応する高さ位置に該第1の支持レールを位置付け、
該搬出入手段は、該補助把持部によって該第1の補助支持レールに支持された洗浄済みの被加工物を把持し該第1の支持レールまで搬送し、その後、該規制部材を洗浄済みの被加工物の側面に位置付けてカセット側に移動してカセット内に搬入する請求項3に記載の切削装置。
該洗浄手段は、該スピンナーテーブルの上方に洗浄水を噴射するノズルを備えており、該ノズルは該搬出入手段の支持基台の係合部と選択的に係合可能に構成され、該搬出入手段の支持基台の係合部の移動に伴ってY軸方向に揺動し、少なくとも被加工物の外周から中心に至り切削水を噴射する請求項2乃至4のいずれかに記載の切削装置。
該切削手段は、第1の切削ブレードを回転可能に備えた第1の切削手段と、第2の切削ブレードを回転可能に備えた第2の切削手段と、該第1の切削ブレードと第2の切削ブレードとを対峙させ、該X軸方向と直交するY軸方向に割り出し送り可能に該第1の切削手段と第2の切削手段とを支持するY軸ガイドレールと、該Y軸ガイドレールに沿って該第1の切削手段と該第2の切削手段とを移動する第1の駆動部と第2の駆動部と、を備えている請求項1に記載の切削装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に従って構成された切削装置について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1には、本発明に従って構成された切削装置の好適な実施形態の全体斜視図(一部省略している。)が示されている。図示の実施形態における切削装置は、静止基台2と、該静止基台2上に配設され被加工物を保持する保持手段としての保持テーブル機構3と、該保持テーブル機構3に保持された被加工物を切削する切削手段としての切削機構4とを備えている。
【0018】
保持テーブル機構3は、
図2に示すように、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向(以下、「X軸方向」という。)に沿って配設された2本のX軸ガイドレール31、31と、該2本のX軸ガイドレール31、31上に摺動可能に配設された移動基台32と、該移動基台32上に配設された円筒状の支持部材33に回転可能に支持された被加工物を保持する保持テーブル34と、該保持テーブル34が配設された移動基台32を2本のX軸ガイドレール31、31に沿って加工送り方向(X軸方向)に移動させるための加工送り手段35とを備えている。保持テーブル34は、円筒状の支持部材33に回転可能に支持されたテーブル本体341と、該テーブル本体341の上面に配設された吸着チャック342とを備えている。テーブル本体341は、外径が後述する被加工物としてのウエーハの外径より大きくウエーハを、ダイシングテープを介して支持する環状のフレームの内径より小さく形成されている。吸着チャック342は、ポーラスセラミックスによって形成され図示しない吸引手段に接続されており、適宜負圧が作用させられるようになっている。従って、吸着チャック342上に載置された被加工物は、図示しない吸引手段を作動することにより吸着チャック342上に吸引保持される。また、保持テーブル34は、円筒状の支持部材33内に配設された図示しないパルスモータによって回動させられるようになっている。
【0019】
上記加工送り手段35は、2本のX軸ガイドレール31、31の間に配設されX軸方向に延在するX軸リニアレール351と、該X軸リニアレール351に移動可能に嵌挿され保持テーブル34が配設された移動基台32に装着されたX軸コイル可動子352とからなっている。X軸リニアレール351は、例えば複数の円柱状の永久磁石のN極とS極とを交互に接合して軸状に構成し、この軸状に構成された複数の円柱状の永久磁石をステンレス鋼の非磁性材からなる円筒状のケースに配設して構成されている。このように構成されたX軸リニアレール351は、その両端部に
図2に示すように支持部材353、353が装着されており、この支持部材353、353を介して上記静止基台2に取り付けられる。X軸リニアレール351とX軸コイル可動子352とからなる加工送り手段35は、所謂リニアシャフトモータを構成しており、X軸コイル可動子352に電流が流れると磁力による吸引力、反発力を繰り返して推力が発生する。従って、X軸コイル可動子352に印加する電流の方向を変えることにより、X軸コイル可動子352がX軸リニアレール351に沿って移動する方向を変更することができる。このように構成された加工送り手段35は、保持テーブル34が配設された移動基台32を、
図2に示す後述するカセット60の前方領域に位置する被加工物着脱領域と切削機構4が上方に配設された加工領域との間を移動させる。なお、図示の実施形態における加工送り手段35は所謂リニアシャフトモータによって構成した例を示したが、当該構成はこれに限定されず、例えば、ボールねじ機構によっても構成してもよい。
【0020】
次に、上記切削機構4について説明する。
切削機構4は、
図2に示すように、上記静止基台2上に固定された門型の支持フレーム41を有している。この門型の支持フレーム41は、間隔をおいて配設された第1の柱部411および第2の柱部412と、該第1の柱部411と第2の柱部412の上端を連結し矢印Xで示す加工送り方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設された支持部413とからなり、上記2本のX軸ガイドレール31、31を跨ぐように配設されている。なお、本願明細書においては、
図1、2に示されているように、直交するX軸方向とY軸方向とで水平面をなし、該X、Y軸方向と直交し上下方向に向かう方向をZ軸方向と定義付ける。
【0021】
上記門型の支持フレーム41を構成する支持部413の
図1および
図2において背面側には、第1の切削手段5aと第2の切削手段5bが配設されている。第1の切削手段5aおよび第2の切削手段5bについて、
図3および
図4を参照して説明する。第1の切削手段5aおよび第2の切削手段5bは、それぞれ割り出し送り移動基台51と切り込み移動基台52およびスピンドルユニット53を備えている。第1の切削手段5aの割り出し移動基台51および第2の切削手段5bの割り出し送り基台51は、それぞれ上記支持部413の
図4において左方の側面に設けられた2本のY軸ガイドレール413a、413aと嵌合する被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を2本のY軸ガイドレール413a、413aに嵌合することにより、割り出し送り移動基台51は、2本のY軸ガイドレール413a、413aに沿って移動可能に構成される。なお、第1の切削手段5aの割り出し送り移動基台51および第2の切削手段5bの割り出し送り移動基台51の一方の面には、それぞれ後述する割り出し送り手段が配設される凹部513が形成されている。また、第1の切削手段5aの割り出し移動基台51および第2の切削手段5bの割り出し送り基台51の他方の面には、それぞれ
図4に示すように矢印Zで示す切り込み送り方向に沿って一対の案内レール512、512(
図4には一方の案内レールのみが示されている。)が設けられている。
【0022】
上記第1の切削手段5aの切り込み移動基台52および第2の切削手段5bの切り込み送り移動基台52は、それぞれ上下方向に延びる被支持部521と、該被支持部521の下端から直角に水平に延びる装着部522からなっている。
図4に示すように被支持部521における装着部522側の面には上記割り出し移動基台51の他方の面に設けられた一対のZ軸ガイドレール512、512と嵌合する被案内溝523、523(
図4には一方の案内溝のみが示されている)が設けられており、この被案内溝523、523を2本のZ軸ガイドレール512、512に嵌合することにより、切り込み移動基台52は2本のZ軸ガイドレール512、512に沿って矢印Zで示す切り込み送り方向に移動可能に構成される。このようにして割り出し送り移動基台51に装着された切り込み移動基台52は、
図1および
図2に示すように装着部522が門型の支持フレーム41を構成する支持部413の下側に突出して配置される。
【0023】
上記スピンドルユニット53は、第1の切削手段5aと第2の切削手段5bの切り込み移動基台52を形成する装着部522の下面にそれぞれ装着されている。この第1の切削手段5aのスピンドルユニット53および第2の切削手段5bのスピンドルユニット53は、それぞれ
図3および
図4に示すようにスピンドルハウジング531と、該スピンドルハウジング531に回転可能に支持された回転スピンドル532と、該回転スピンドル532の一端に装着された切削ブレード533と、切削水を供給する切削水供給管534および回転スピンドル532を回転駆動する図示しないサーボモータを備えており、回転スピンドル532の軸線方向が矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って配設されている。そして、第1の切削手段5aのスピンドルユニット53を構成する切削ブレード533と第2の切削手段5bのスピンドルユニット53を構成する切削ブレード533は、互いに対向して配設されている。
【0024】
図示の実施形態における第1の切削手段5aと第2の切削手段5bは、
図3に示すように、上記割り出し送り移動基台51、51を2本のY軸ガイドレール413a、413aに沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動するための割り出し送り手段54を備えている。割り出し送り手段54は、上記2本のY軸ガイドレール413a、413aに沿って配設された共通のY軸リニアレール540と、該共通のY軸リニアレール540に移動可能に嵌挿され第1の切削手段5aの割り出し送り基台51に装着された第1のY軸コイル可動子544aと、共通のY軸リニアレール540に移動可能に嵌挿され第2の切削手段5bの割り出し送り移動基台51に装着された第2のY軸コイル可動子544bとからなっている。共通のY軸リニアレール540は例えば複数の円柱状の永久磁石のN極とS極とを交互に接続して軸状に構成し、この軸状に構成された複数の円柱状の永久磁石をステンレス鋼等の非磁性材からなる円筒状のケースに配設して構成されている。このように構成された共通のY軸リニューアル540は、その両端部に
図3に示すように、支持部材543、543が装着されており、この支持部材543、543を介して上記支持フレーム41の支持部413に取り付けられる。この共通のY軸リニアレール540に移動可能に嵌挿された第1のコイル可動子544aおよび第2のコイル可動子544bは、それぞれ第1の切削手段5aの割り出し送り移動基台51および第2の切削手段5bの割り出し移動基台51に設けられた凹部513に配設され、それぞれ割り出し送り移動基台51の一方の面に装着される。
【0025】
上記のように共通のY軸リニアレール540と第1のコイル可動子544aおよび第2のコイル可動子544bとからなる割り出し送り手段54は、上記X軸リニアレール361とX軸コイル可動子362とからなる加工送り手段35と同様に所謂シャフトモータを構成しており、第1のコイル可動子544aおよび第2のコイル可動子544bに電流が流れると磁力による吸引力、反発力を繰り返して推進力が発生する。従って、第1のコイル可動子544aおよび第2のコイル可動子544bに印加する電流の方向を変えることにより、第1のコイル可動子544aおよび第2のコイル可動子544bが共通のY軸リニアレール540に沿って移動する方向を変更することができる。なお、図示の実施形態における割り出し送り手段54は所謂リニアシャフトモータによって構成した例を示したが本発明はこれに限定されず、ボールねじ機構によって構成してもよい。
【0026】
また、図示の実施形態における第1の切削手段5aと第2の切削手段5bは、
図4に示すように上記切り込み移動基台52、52を2本のZ軸ガイドレール512、512に沿って矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動するための切り込み送り手段55、55を備えている。切り込み送り手段55、55は、それぞれ2本のZ軸ガイドレール512、512と平行に配設された雄ねじロッド551と、雄ねじロッド551の一端部を回転可能に支持する軸受け552と、雄ねじロッド551の他端に連結され該雄ねじロッド551を正転または逆転駆動するパルスモータ553とからなっている。このように構成された切り込み送り手段55、55は、それぞれ雄ねじロッド551が上記切り込み送り移動基台52の被支持部521に形成された雄ねじ521aに螺合される。従って、切り込み送り手段55、55は、それぞれパルスモータ553を駆動して雄ねじロッド551を正転または逆転駆動することにより、切り込み移動基台52を2本のZ軸ガイドレール512、512に沿って
図4において矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動することができる。
【0027】
図1を参照して説明を続けると、上記静止基台2には、半導体ウエーハ等の複数の被加工物を収容するカセット60が載置されるカセット載置手段としてのカセット載置機構6と、該カセット載置機構6に載置されたカセット60から被加工物を搬出すると共に切削済みの被加工物をカセット60に搬入する搬出入手段としての搬出・搬入機構7と、該搬出・搬入機構7によって搬出された被加工物を仮置きする仮置手段としての仮置き機構8と、該仮置き機構8と隣接して配設された補助仮置手段としての補助仮置き機構9と、切削後の被加工物を洗浄する洗浄機構10と、を備えている。カセット載置機構6は、図示しない制御手段から出力される駆動信号に基づき駆動される昇降部によって昇降させられるカセットテーブル61上に、カセット60が載置されるようになっている。カセット60には環状のフレームFに装着されたダイシングテープTの表面に貼着された半導体ウエーハWが収容されている。なお、環状のフレームFの外周には、後述する規制部材としての規制ピンが係合するノッチF−1およびフラット面F−2が設けられている。
【0028】
搬出・搬入機構7は、
図1に示すように上記門型の支持フレーム41を構成する支持部413の表面側に配設された移動部としての搬送移動手段71と、該搬送移動手段71によってY軸方向に移動させられる支持基台72と、該支持基台72と搬送移動手段71とを連結する連結部材73とからなっている。搬送移動手段71は支持基台72が連結された連結部材73をY軸方向に移動させるベルト機構からなっている。
図5および6を参照して説明を続けると、搬出・搬入機構7を構成する支持基台72には、カセット載置機構6に載置されたカセット60に収容された半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFを把持するための把持部としての把持部材74と、該把持部材74を上下方向に移動するエアーシリンダ740と、把持部材74の両側に配設され上記環状のフレームFに設けられたノッチF−1およびフラット面F−2と係合して環状のフレームFを所定の位置に規制する一対の規制部材としての規制ピン75と、が取付けられている(
図6参照)。このように構成された搬出・搬入機構7は、支持基台72をカセット載置機構6に載置されたカセット60に向けて移動し、一対の規制ピン75をカセット60に収容された半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFに設けられたノッチF−1およびフラット面F−2と係合することにより、半導体ウエーハWを所定の位置に位置規制する。そして、エアーシリンダ740によって把持部材74を上方に移動することにより、環状のフレームFを支持基台72と把持部材74との間に把持する。
【0029】
また、搬出・搬入機構7を構成する支持基台72には、下側に配設され後述する切削済みの半導体ウエーハWを、ダイシンテープTを介して支持する環状のフレームFを把持するための補助把持部としての補助把持部材76と、該補助把持部材76を上下方向に移動するエアーシリンダ760と、補助把持部材76の両側に配設され上記環状のフレームFと係合して環状のフレームFを所定の位置に規制する一対の補助規制部材としての補助規制ピン77が取付けられている(
図6参照)。更に、搬出・搬入機構7を構成する支持基台72には、後述する洗浄機構の噴射ノズル13と選択的に係合する係合手段78が配設されている。この係合手段78は、支持基台72の下面より下方に向けて進退可能に配設された係合ロッド781と、該係合ロッド781を進退させるエアーシリンダ782とからなっている。さらに、支持基台72の把持部材74が配設された領域と、補助把持部材76とが配設された領域とは、傾斜連結部79を介して連結されており、把持部材74によって環状のフレームFが把持される高さは、補助把持部材76によって環状のフレームFが把持される高さよりも高く、すなわち、把持部材74が配設された領域と、補助把持部材76とが配設された領域との間には段差が設定されている。なお、当該傾斜連結部79により段差を設ける理由については追って説明する。
【0030】
上記仮置手段としての仮置き機構8について、
図1、7および8を参照して説明する。仮置き機構8は、上記カセット載置機構6とY軸方向に隣接して上記保持テーブル34の被加工物着脱領域の直上に配設されている。この仮置き機構8は、一対の第1の支持レール80Aと、該第1の支持レール80Aの直下に配設された一対の第2の支持レール80Bから構成される。該第1の支持レール80Aは、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部をX軸方向で支持するための底部81a、81bと側部82a、82bとを有し、該底部81a、81bは、開閉手段85a、85bにより開閉可能に構成されている。また、該第2の支持レール80Bも、第1の支持レール80Aと略同様の構成を有しており、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部をX軸方向で支持するための底部86a、86bと側部87a、87bとを有し、該底部86a、86bは、開閉手段88a、88bにより開閉可能に構成されている。なお、
図7では開閉手段88aは作図上見えていないが、開閉手段85aの直下に位置付けられる。
【0031】
上記した第1、第2の支持レール80A、80Bは、上下に位置付けられ一体化されており、両者を上下方向に移動させる昇降部89を備えている。なお、該一対の第1の支持レール80Aを構成する側部82a、82bの上端には、互いに内側に突出するフランジ部83a、83bが設けられており、該フランジ部83a、83bの一端部側が、連結部84によって連結されている。開閉手段85a、85b、88a、88bは図示の実施形態においてはエアーモータからなっており、第1、第2の支持レール80A、80Bの底部81a、81b、86a、86bのすべてを閉位置とする状態(
図8(a)を参照)、底部81a、81b、86a、86bのすべてを開位置とする状態(
図8(b)を参照)、底部81a、81bを閉位置に維持し、底部86a、86bを開位置とする状態(
図8(c)を参照)にそれぞれ作動させることが可能になっている。上記昇降部89は、図示しない固定部材に取り付けられたエアーシリンダ891からなっており、該エアーシリンダ891のピストンロッド862の先端が上記連結部84に連結されている。
【0032】
上記補助仮置き機構9は、上記仮置き機構8とY軸方向に隣接し上記カセット載置機構6に対してY軸方向反対側において後述する洗浄手段としての洗浄機構10の直上に配設されている。この補助仮置き機構9は、上記仮置き機構8と同様の構成であり、
図7に示すように一対の第1の補助支持レール90Aと、該第1の補助支持レール90Aの直下に配設された一対の第2の補助支持レール90Bから構成される。該第1の補助支持レール90Aは、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部をX軸方向で支持するための底部91a、91bと側部92a、92bとを有し、該底部91a、91bは、開閉手段95a、95bにより開閉可能に構成されている。また、該第2の補助支持レール90Bも、第1の補助支持レール90Aと同様の構成を有しており、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部をX軸方向で支持するための底部96a、96bと側部97a、97bとを有し、該底部96a、96bは、開閉手段98a、98bにより開閉可能に構成されている。
【0033】
第1、第2の補助支持レール90A、90Bは、上下に位置付けられ一体化されており、両者を上下方向に移動させる補助昇降部99を備えている。なお、該一対の第1の補助支持レール90Aを構成する側部92a、92bの上端には、互いに内側に突出するフランジ部93a、93bが設けられており、該フランジ部93a、93bの一端部側が、連結部94によって連結されている。開閉手段95a、95b、98a、98bは図示の実施形態においてはエアーモータからなっており、一対の第1、第2の補助支持レール90A、90Bの底部91a、91b、96a、96bのすべてを閉位置とする状態、底部91a、91b、96a、96bのすべてを開位置とする状態、底部91a、91bを閉位置に維持し、底部96a、96bを開位置とする状態にそれぞれ作動させることが可能になっている。上記補助昇降部99は、図示しない固定部材に取り付けられたエアーシリンダ991からなっており、該エアーシリンダ991のピストンロッド992が上記連結部94に連結されている。
図7に示したように、仮置き機構8、補助仮置き機構9は、平面視でコ字状をなし、開口側が互いに向き合うように配設されており、一方側に保持されたフレームFに保持されたウエーハを、両機構の底部に沿って他方側に移送可能になっている。なお、補助仮置き機構9の該底部の作動については、
図8に示した第1、第2の支持レール80A、80Bの動作と同様であるので図示は省略するが、以降、補助仮置き機構9の作動について
図8を参照する場合は、仮置き機構8の構成部材に基づいて付与された数字を、該補助仮置き機構9の構成部材の数字に置き換えて参照するものとする。
【0034】
次に、上記洗浄手段としての洗浄機構10について、
図1および
図10を参照して説明する。図示の実施形態における洗浄機構10は、上記仮置き機構8に隣接しカセット載置機構6に対してY軸方向反対側に配設される。この洗浄機構10は、洗浄ハウジング11を備えている。この洗浄ハウジング11は、前壁111と後壁112と側壁113および114と低壁(図示せず)とからなっており、上方が解放されている。このように構成された洗浄ハウジング11内には、スピンナーテーブル12が配設されている。スピンナーテーブル12は、テーブル本体121と、該テーブル本体121の上面に配設された吸着チャック122と、テーブル本体121を回転駆動するサーボモータ123とからなっている。テーブル本体121は、外径が上記ウエーハWの外径より大きくウエーハWを、ダイシングテーブルTを介して支持する環状のフレームFの内径よりも小さく形成されている。吸着チャック122は、ポーラスセラミックスによって形成され図示しない吸引手段に接続されており、適宜負圧が作用させられるようになっている。従って、吸着チャック122上に載置された被加工物は、図示しない吸引手段を作動することにより吸着チャック122上に吸引保持される。
【0035】
図1および
図10を参照して説明を続けると、洗浄ハウジング11の前壁111にはY軸方向に沿って形成された案内孔111aが設けられており、この案内孔111aに上記スピンナーテーブル12に保持された被加工物に洗浄水を噴射する噴射ノズル13がY軸方向に移動可能に配設されている。この噴射ノズル13には、一端に錘14が連結されたワイヤー15の他端がプーリー16を介して連結され、錘14の重力によって矢印Y1で示す方向に移動するように構成されている。上記搬出・搬入機構7を構成する支持基台72に配設された係合手段78は、支持基台72の下面より下方に向けて進退可能に配設された係合ロッド781を備えており、噴射ノズル13には、該係合ロッド781が進出した状態で噴射ノズル13における錘14の重力によって移動する矢印Y1で示す方向から接触させられる。なお、噴射ノズル13は、図示しない洗浄水供給手段に接続させられる。
【0036】
図示の実施形態における切削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
先ず、
図11に示すように、仮置き機構8のエアーシリンダ891を作動して一対の第1の支持レール80Aを上部位置に位置付けるとともに、搬出・搬入機構7の把持部材74(
図6参照)および一対の規制ピン75(
図5、
図6を参照)が配設された支持基台72を図示の位置(待機位置)に位置付ける。
【0037】
次に、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71(
図1および
図5を参照)を作動して
図12に示すように把持部材74および一対の規制ピン75が配設された支持基台72をカセット載置機構6側に移動し、一対の規制ピン75を、カセット60に収容された半導体ウエーハWをダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFに設けられたノッチF−1およびフラット面F−2(
図1参照)と係合することにより半導体ウエーハWを所定の位置に位置規制する。そして、エアーシリンダ740を作動することにより、環状のフレームFを支持基台72と把持部材74(
図6参照)との間に把持する。
【0038】
環状のフレームFを支持基台72と把持部材74とによって把持したならば、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71を作動して支持基台72をカセット載置機構6と反対側に移動し、
図13に示すように環状のフレームFを仮置き機構8の上段側に位置する一対の第1の支持レール80Aに搬送し把持部材74による把持状態を解除して仮置きする。
【0039】
環状のフレームFを仮置き機構8の一対の第1の支持レール80Aに搬送し仮置きしたならば、
図14に示すように、エアーシリンダ891を作動して一対の第1の支持レール80Aを下降して下部位置に位置付ける。この結果、環状のフレームFに装着された半導体ウエーハWが貼着されているダイシングテープTが、保持テーブル機構3における被加工物着脱位置に位置付けられている保持テーブル34の上面に載置される。そして、上記開閉手段85a、85b、88a、88bを作動して一対の第1、第2の支持レール80A、80Bの底部81a、81b、86a、86bを、
図8(b)に実線で示す開位置に位置付ける。
【0040】
次に、図示しない吸引手段を作動することにより、
図15に示すように保持テーブル34の上面にダイシングテープTを介して半導体ウエーハWを吸引保持する。そして、仮置き機構8のエアーシリンダ891を作動して、底部81a、81b、86a、86bを、開位置に維持したまま、一対の第1、第2の支持レール80A、80Bを共に上昇させる。
【0041】
図15に示すように保持テーブル34の上面にダイシングテープTを介して半導体ウエーハWを吸引保持したならば、保持テーブル機構3を構成する加工送り手段35を作動して半導体ウエーハWを吸引保持した保持テーブル34を
図16に示すように切削機構4が配設された加工領域に移動する。そして、第1の切削手段5a、と第2の切削手段5bとによって保持テーブル34に保持された半導体ウエーハWに所定の切削加工が施される。なお、保持テーブル34は上述したように外径が半導体ウエーハWの外径より大きく環状のフレームFの内径より小さく形成されているので、環状のフレームFが自重によって僅かに垂れ下がり、切削加工において第1の切削手段5aと第2の切削手段5bの切削ブレード533と干渉することがないとともに、フレーム押え機構を必要とせずコスト低減になる。
【0042】
上述したように、保持テーブル34に保持された半導体ウエーハWに所定の切削加工を施したならば、加工送り手段35を作動して切削済みの半導体ウエーハWを吸引保持した保持テーブル34を
図17に示す被加工物着脱位置に位置付ける。この状態で、保持テーブル34に保持された切削済みの半導体ウエーハWは、仮置き機構8の直下に位置付けられる。
【0043】
保持テーブル34に保持された切削済みの半導体ウエーハWを仮置き機構8の直下に位置付けたならば、少なくとも仮置き機構8の下段側に位置する一対の第2の支持レール80Bの底部86a、86bを開位置にある状態に維持した状態でエアーシリンダ891を作動して、
図18に示すように、一対の第2の支持レール80Bを下降して下部位置に位置付ける。そして、一対の第2の支持レール80Bの底部86a、86bを閉位置に位置付けて環状のフレームFを支持するとともに、保持テーブル34により半導体ウエーハWの吸引保持を解除する。
【0044】
次に、仮置き機構8のエアーシリンダ891を作動して環状のフレームFを支持した一対の第2の支持レール80Bを上昇させ、
図19に示すように、上記した上部位置よりも下方で搬出・搬入機構7の把持部材76および一対の規制ピン77が一対の第2の支持レール80Bに支持された切削済み半導体ウエーハWの上方を移動できる中間位置に一対の第2の支持レール80Bを位置付ける。
【0045】
そして、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71を作動して、
図20に示すように支持基台72をカセット載置機構6側に移動し、一対の規制ピン75(
図5、
図6を参照)をカセット60に収容された未加工の半導体ウエーハWに対して近接させ、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFに設けられたノッチF−1およびフラット面F−2(
図1を参照)と係合することにより、半導体ウエーハWを所定の位置に位置規制する。そして、エアーシリンダ740を作動することにより新たな半導体ウエーハWを支持した環状のフレームFを支持基台72と把持部材74(
図6を参照)との間に把持する。この動作は、把持部材74と一対の規制ピン75を、該第2の支持レール80Bに支持されている切削済みの半導体ウエーハWの上方を移動しつつ実行される。
【0046】
次に、仮置き機構8のエアーシリンダ891を作動して切削済み半導体ウエーハWを支持している一対の第2の支持レール80Bを僅かに上昇させることにより、切削済み半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFにおけるカセット載置機構6側の端面を支持基台72に配設された一対の補助規制ピン77と対向する位置に位置付ける。上述したように、支持基台72のカセット載置機構6側の領域には、傾斜連結部79を介し段差を持って把持部材74が設置された領域と補助把持部材76が設置された領域が接続されており、補助規制ピン77が配設された位置は、把持部材74が配設された位置に対して段差を持って低い位置になるように形成されている。そして、その段差は、ちょうど、第1の支持レール80Aの底部と、第2の支持レール80Bの底部との距離に相当するように設定されている。よって、その後、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71を作動して
図21に示すように支持基台72をカセット載置機構6と反対側移動することにより、支持基台72と把持部材74によって把持された新たな半導体ウエーハWを支持した環状のフレームFを仮置き機構8の上段側に位置する一対の第1の支持レール80Aに搬送して把持部材74による把持状態を解除すると共に、一対の補助規制ピン77が当接される切削済みの半導体ウエーハWを支持した環状のフレームFを補助仮置き機構9の下段側に位置する一対の第2の補助支持レール90Bに搬送する。
【0047】
切削済み半導体ウエーハWを支持した環状のフレームFを補助仮置き機構9の下段側に位置する一対の第2の補助支持レール90Bに搬送したならば、
図22に示すようにエアーシリンダ991を作動して一対の第2の補助支持レール90Bを下降して下部位置に位置付ける。なお、上述したように、補助仮置き機構9も、仮置き機構8と同様に、上部に位置する第1の補助支持レール90Aと、第2の補助支持レール90Bとは一体的に構成されているため、一体的に下降させられる。この状態で環状のフレームFに装着された半導体ウエーハWが貼着されているダイシングテープTが、洗浄機構10のスピンナーテーブル12の上面に接触する。そして、一対の第2の補助支持レール90Bの底部96a、96bを閉位置から開位置に位置付けることにより(
図8(c)を参照)、切削済みの半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介してスピンナーテーブル12の上面に載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、スピンナーテーブル12の上面にダイシングテープTを介して切削済みの半導体ウエーハWを吸引保持する。
【0048】
なお、本実施形態では、環状のフレームFに装着された半導体ウエーハWが貼着されているダイシングテープTを、洗浄機構10のスピンナーテーブル12の上面に接触させて、一対の第2の補助支持レール90Bの底部96a、96bのみを閉位置から開位置に位置付けることにより、半導体ウエーハWをスピンナーテーブル12の上面に載置したが、必ずしもこのように制御する必要はなく、
図8(b)に示すように、底部91a、91bと底部96a、96bとを常に同時に開位置、閉位置に制御するようにしてもよく、その場合は、4つで構成される開閉手段95a、95b、98a、98bを2つに集約することができ、制御ロジックもシンプルに構成することができる。
【0049】
次に、仮置き機構8の第1、第2の支持レール80A、80Bと補助仮置き機構9の第1、第2の補助支持レール90A、90Bを
図23(a)に示すように上方に移動させて、スピンナーテーブル12を回転するとともに、
図23(b)に示すように図示しない洗浄水供給手段を作動することにより噴射ノズル13から洗浄水130を噴射する。このとき、搬出・搬入機構7の支持基台72に配設された係合手段78の係合ロッド781を進出して噴射ノズル13と係合する位置に位置付け、搬送移動手段71を作動して係合ロッド781をY軸方向に往復動させる。従って、噴射ノズル13に対して別個の駆動機構を追加せずに、連結されたワイヤー15の一端に連結された錘14の重力と協働して噴射ノズル13をY軸方向に往復動させることができる。なお、噴射ノズル13の往復動範囲は、少なくとも切削済みの半導体ウエーハWの外周から中心までの範囲でよい。この結果、スピンナーテーブル12にダイシングテープTを介して吸引保持された切削済みの半導体ウエーハWはスピンナー洗浄される。そして、上記噴射ノズル13のY軸方向への往復動においても、搬出・搬入機構7が駆動源となっているので、小型化が可能になるとともに、コストの低減を図ることができる。また、スピンナーテーブル12は上述したように外径が半導体ウエーハWの外径より大きく環状のフレームFの内径より小さく形成されているので、環状のフレームFが自重によって僅かに垂れ下がり半導体ウエーハWに供給された洗浄水が円滑に排出されるとともに、フレーム押え機構が不要となり、コスト低減になる。
【0050】
上述したように、切削済みの半導体ウエーハWを洗浄したならば、搬出・搬入機構7を上記待機位置に位置付けるとともに、補助仮置き機構9の上段側に位置する一対の第1の補助支持レール90Aの底部91a、91b、および下段側に位置する第2の補助支持レール90Bの底部96a、96bを開位置に位置付けた状態(
図8(b)を参照)で、補助昇降部99を作動して下降させて第1の補助支持レール90Aの該底部91a、91bを、半導体ウエーハを支持する環状のフレームFの高さ位置に位置付け、
図24に示すように、第1の補助支持レール90A、第2の補助支持レール90Bの該底部91a、91b、96a、96bを閉位置にして洗浄済みの半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFを支持する。そして、スピンナーテーブル12により半導体ウエーハWの吸引補助を解除する。
【0051】
次に、
図25に示すように洗浄済みの半導体ウエーハWを支持する一対の補助支持レール90Aを、補助昇降部99を作動することにより上昇させて上部位置に位置付ける。そして、搬出・搬入機構7の支持基台72を移動し、補助把持部材76を作動して環状のフレームFを把持する。
【0052】
補助把持部材76を作動して環状のフレームFを把持したならば、
図26に示すように、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71を作動して、洗浄済みの半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFを補助仮置き機構9の上段側に位置する一対の第1の補助支持レール90Aから、Y軸方向に隣接する仮置き機構8の上段側に位置する一対の第1の支持レール80Aまで移送し、補助把持部材76による把持状態を解除する。
【0053】
次に、
図27に示すように昇降部89を作動して仮置き機構8の一対の第1の支持レール80Aを下降させて中間位置に位置付けるとともに、搬送移動手段71を作動して、搬出・搬入機構7の支持基台72に配設された把持部材74および一対の規制ピン75を待機位置に位置付ける。さらに、昇降部89を作動して一対の第1の支持レール80Aを上昇させ、該補助把持部材76、補助規制ピン77よりも上段側に位置する規制ピン75の位置が半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFと一致する高さに合わせる。
【0054】
規制ピン75の位置が半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFと一致する高さに合わせられたら、搬出・搬入機構7の搬送移動手段71を作動して、
図28に示すように、支持基台72をカセット載置機構6のカセット60まで移動することにより、洗浄済みの半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFをカセット60の所定の位置に収容する。洗浄済みの半導体ウエーハWをカセット60に収容する際は、予め当該洗浄済みの半導体ウエーハWが収容されるべきカセット60の収容位置に収容されるようにカセットテーブル61の高さ位置が調節される。
【0055】
なお、上述したように、切削加工済みの半導体ウエーハWを洗浄するとともにカセット60に収容する作業を実施している際に、カセット60から仮置き機構8の一対の第1の支持レール80Aに搬出された新たな半導体ウエーハWは、上述したように保持テーブル機構3を構成する保持テーブル34に搬送され吸引保持される。そして、保持テーブル34に吸引保持された新たな半導体ウエーハWは、加工送り手段35によって切削機構4が配設された加工領域に移動させられ、第1の切削手段5aと第2の切削手段5bによって所定の切削加工が施される。
【0056】
以上のようにして、図示の実施形態における切削装置は、被加工物を保持する保持テーブルが被加工物着脱領域に位置付けられている際に、搬出・搬入機構7によってカセット60に収容された半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFを搬出して仮置き機構8の上段側に位置する一対の第1の支持レール80Aに仮置きし、昇降部89によって一対の第1の支持レール80Aを下降して環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持された半導体ウエーハWを保持テーブル34に載置し、開閉手段85a、85b、88a、88bによって、底部81a、81b、86a、86bを開くことによりダイシングテープTを介して半導体ウエーハWを保持テーブル34に保持するので、被加工物としての半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFを搬送する搬送手段は実質的に搬出・搬入機構7のみであるため、部品点数が低減してコストが低減するとともに、装置の小型化を図ることができる。また、搬出・搬入機構7は、洗浄機構10のスピンナーテーブル12の直上に配設された補助仮置き機構9にも切削済みの半導体ウエーハWを、ダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFを搬送する機能を有しているので、更に装置の小型化を図ることができる。
【0057】
また、搬出・搬入機構7の支持基台72には、進退自在な係合ロッド781を備えた係合手段78が配設されており、当該係合ロッド781を洗浄機構10のスピンナーテーブル12に吸引保持された半導体ウエーハWに対して洗浄水を供給する噴射ノズル13に係合させて噴射ノズル13のY軸方向における往復動の駆動源となっており、別途の駆動源を用意する必要がない。
【0058】
さらにいえば、本実施形態における仮置手段としての仮置き機構8は、第1の支持レール80A、第2の支持レール80Bを、補助仮置き機構9は第1の補助支持レール90A、第2の補助支持レール90Bを備えており、未加工あるいは洗浄後で汚れが付着していない半導体ウエーハWを支持する場合は、専ら第1の支持レール80A、第1の補助支持レール90Aを用いて仮置きし、切削済みで汚染物質が付着した半導体ウエーハWの搬送については、専ら第2の支持レール80B、第2の補助支持レール90Bに仮置きするように使い分けし、搬送経路を区別しているので、洗浄された後の半導体ウエーハWが、再び汚染物質等により汚染されることが防止される。
【0059】
本発明は、以上説明したような実施形態により実現されるが、これに限定されるものではなく、種々の変形例が含まれ得る。例えば、上述した仮置手段としての仮置き機構8、補助仮置手段としての補助仮置き機構9は、
図7、
図8に示したように、開閉手段85a、85b、88a、88bによって底部81a、81b、86a、86bを外方に向けて開く構成を備えることにより、底部が開閉可能な構成を実現していたが、これに替えて、
図9(a)、(b)に示すような形態とすることもできる。以下に、上述した仮置き機構8の別実施形態としての仮置き機構8´についいて、
図1、
図9を参照しながら説明する。なお、当該仮置き機構8´は、そのままの構成で、補助仮置き機構9を代替する補助仮置き機構9´として採用することができる。
【0060】
仮置き機構8´は、
図1に示された仮置き機構8と同様の位置に配設され、該カセット載置機構6とY軸方向に隣接して保持テーブル34の被加工物着脱領域の直上に配設される。
図9(a)に示すように、この仮置き機構8´は、上段側に位置する一対の第1の支持レール80A´と、該第1の支持レール80A´の直下に一体的に配設された一対の第2の支持レール80B´から構成される。該第1の支持レール80A´は、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部を支持するための底部81a´、81b´と側部82a´、82b´とを有している。また、該第2の支持レール80B´も、第1の支持レール80A´と略同様の構成を有しており、Y軸方向に延在し環状のフレームFの両側部を支持するための底部86a´、86b´と側部87a´、87b´とを有している。
【0061】
上記した第1、第2の支持レール80A´、80B´は、上下方向で一体的に形成されており、該一対の第1の支持レール80A´を構成する側部82a´、82b´の上端には、互いに内側に突出するフランジ部83a´、83b´が設けられ、該フランジ部83a´、83b´の一端部を連結するように連結部84´が配設されている。該フランジ部83a´、83b´は、該連結部84´に対して矢印X1で示す方向にスライド可能に構成されている。仮置き機構8´は、第1、第2の支持レール80A´、80B´を上下方向に移動させる昇降部89´を備えており、該昇降部89´は、図示しない固定部材に取り付けられたエアーシリンダ891´からなっており、該エアーシリンダ891´のピストンロッド892´が上記連結部84´に連結される。また、該連結部84´には、
図9(a)、(b)に示すように、エアーシリンダ85a´、85b´が配設されており、該エアーシリンダ85a´、85b´に配設された進退自在の係合ロッド851a´、851b´の先端は、該フランジ部83a´、83b´上に配設された支持部材852a´、852b´に連結されている。矢印Xで示す方向において、該係合ロッド851a、851bを進退自在に作動させることにより、
図9(b)に実線で示す底部81a´、81b´と底部86a´、86b´とが近接する閉位置にある状態から、2点鎖線で示す底部81a´、81b´と底部86a´、86b´とが離間して開位置となる状態に任意に制御することが可能になっている。仮置き機構8の別実施形態として仮置き機構8´を示したが、補助仮置き機構9の別実施形態として同様の構成にすることも当然に可能である。
【0062】
また、上述した実施形態では、搬出入手段に備えられた被加工物を所定の位置に規制する一対の規制部材として、一対の規制ピン75を配設する例を示したが、規制部材としては必ずしも図示したようなピン形状に限定されるものではなく、半導体ウエーハWを支持する環状のフレームFに係合して支持レール上を移動させる機能を奏する部材であれば、どのような形状であってもよい。