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特開2017-228580半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-228580(P2017-228580A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-121874(P2016-121874)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133776
【弁理士】
【氏名又は名称】三井田 友昭
(72)【発明者】
【氏名】岡田 充弘
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AB02
5F045AC01
5F045AC07
5F045AF07
5F045BB01
5F045DB09
5F045DP19
5F045EE13
5F045EE18
5F045EE19
(57)【要約】
【課題】シリコンを含有する成膜ガスを表面に凹部が形成された被処理体に供給し、凹部内をシリコンで充填してシリコン層を形成するにあたり、当該シリコン層におけるボイドの含有やシームの形成を防ぐことができる技術を提供すること。
【解決手段】成膜ガスを被処理体(ウエハW)に供給して、当該被処理体の表面の凹部42内にシリコン膜44を形成する。次に、シリコン膜44をエッチングするためのハロゲンガスと、当該ハロゲンガスによるエッチング後のシリコン膜44の表面の荒れを抑えるための荒れ抑制ガスと、を含む処理ガスを前記被処理体に供給し、熱エネルギーを与えて活性化して、前記凹部42の側壁に形成された前記シリコン膜44をエッチングして当該凹部42の開口幅を広げる。然る後、成膜ガスを前記被処理体に供給し、前記凹部42内に残留した前記シリコン膜上にシリコンを堆積させ、当該シリコンを充填する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含有する成膜ガスを被処理体に供給して、当該被処理体の表面に形成された凹部内にシリコン膜を形成する工程と、
次に、前記シリコン膜をエッチングするためのハロゲンガスと、当該ハロゲンガスによるエッチング後のシリコン膜の表面の荒れを抑えるための荒れ抑制ガスと、を含む処理ガスを前記被処理体に供給する工程と、
当該処理ガスに熱エネルギーを与えて活性化し、前記凹部の側壁に形成された前記シリコン膜をエッチングして当該凹部の開口幅を広げるエッチング工程と、
然る後、前記成膜ガスを前記被処理体に供給し、前記凹部内に残留した前記シリコン膜上にシリコンを堆積させて当該凹部内にシリコンを充填する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ハロゲンガスは塩素ガスであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング工程は、前記被処理体を250℃〜450℃に加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記処理ガスは、前記荒れ抑制ガスの流量/前記ハロゲンガスの流量が1/4以上となるように当該荒れ抑制ガス及びハロゲンガスを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記荒れ抑制ガスは臭化水素ガスであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチング工程によりエッチングされた前記シリコン膜の表面のヘイズの値/前記処理ガスを構成するハロゲンガス及び荒れ抑制ガスのうち前記ハロゲンガスのみを前記被処理体に供給して前記エッチング工程が行われたときの前記シリコン膜の表面のヘイズの値は、0.8以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
被処理体を収納する真空容器と、
前記被処理体を加熱する加熱部と、
前記処理容器内にシリコンを含有する成膜ガスを供給する成膜ガス供給部と、
前記処理容器内にシリコン膜をエッチングするためのハロゲンガスを供給するエッチングガス供給部と、
当該ハロゲンガスによるエッチング後のシリコン膜の表面の荒れを抑えるための荒れ抑制ガスを供給する荒れ抑制ガス供給部と、
前記成膜ガスを被処理体に供給して、当該被処理体の表面に形成された凹部内にシリコン膜を形成するステップと、次に、前記ハロゲンガスと前記荒れ抑制ガスとを含む処理ガスを前記被処理体に供給するステップと、当該処理ガスに熱エネルギーを与えて活性化し、前記凹部の側壁に形成された前記シリコン膜をエッチングして当該凹部の開口幅を広げるエッチングステップと、然る後、前記成膜ガスを前記被処理体に供給し、前記凹部内に残留した前記シリコン膜上にシリコンを堆積させて当該凹部内にシリコンを充填するステップと、を実施するように制御信号を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンを含有する成膜ガスを被処理体に供給して、当該被処理体の表面に形成された凹部内にシリコンを充填する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体装置の論理素子を形成するために、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)の表面にシリコンを含む成膜ガスを供給することによって、当該ウエハの表面において下方に向けて形成された凹部内にシリコンを充填することでシリコン層を形成する処理が行われる場合が有る。
【0003】
上記の凹部について、内側の側壁の頂部が膨らみ、凹部内における上部側の開口幅が、下部側の開口幅に比べて小さくなるように形成されている場合が有る。そのような形状の凹部に対して上記の成膜ガスを比較的長く供給すると、凹部内へのシリコンの充填が終了する前に凹部の上部が閉塞されることによって、凹部内に形成されるシリコン層にはボイドが含まれてしまうおそれがあるので、DED(Deposition Etch Deposition)と呼ばれる方式で、凹部へのシリコンの充填が行われる場合が有る。この方式においては、1回目の成膜ガスの供給による成膜処理、エッチングガスの供給によるエッチング処理、2回目の成膜ガスの供給による成膜処理が、この順で行われる。なお、特許文献1には、塩素ガス及び臭化水素ガスの混合ガスであるエッチングガスをプラズマ化して、ウエハ表面のシリコンをエッチングする処理について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3093445号(段落0022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のDED方式についてさらに詳しく説明すると、1回目の成膜処理は上記の凹部の上部の閉塞が起きる前に終了し、凹部内にシリコン膜が形成された状態とする。続くエッチング処理は、凹部内の上部側の開口幅が拡大され、且つ凹部内にシリコン膜が残留するように行われる。このようにエッチングが行われた後の2回目の成膜処理では、上記のボイドの形成が抑制されつつ、凹部内にシリコンが充填される。
【0006】
上記のようなエッチング処理を行うために、エッチングガスとしては凹部の下方側に達する前に凹部の上部側でシリコン膜と反応するように、シリコンに対して反応性が比較的大きいガス、例えば塩素ガスが用いられる。しかし、この塩素ガスによるエッチングを行うことで、シリコン膜の表面の荒れが比較的大きくなる。発明の実施の形態の項目にて詳しく述べるのでここでは簡単に説明すると、そのように荒れが比較的大きいシリコン膜の表面に、2回目の成膜処理時にシリコンが堆積すると、凹部内に形成されるシリコン層には微小なボイドが含まれたり、シームが形成されてしまう懸念が有る。そして、このシリコン層を異方性エッチングするにあたり、ボイドやシームが形成された箇所は他の箇所よりもシリコンの密度が低いためにエッチングが大きく進行してしまう。
【0007】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、その目的は、シリコンを含有する成膜ガスを表面に凹部が形成された被処理体に供給し、凹部内をシリコンで充填してシリコン層を形成するにあたり、当該シリコン層におけるボイドの含有やシームの形成を防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置の製造方法は、シリコンを含有する成膜ガスを被処理体に供給して、当該被処理体の表面に形成された凹部内にシリコン膜を形成する工程と、
次に、前記シリコン膜をエッチングするためのハロゲンガスと、当該ハロゲンガスによるエッチング後のシリコン膜の表面の荒れを抑えるための荒れ抑制ガスと、を含む処理ガスを前記被処理体に供給する工程と、
当該処理ガスに熱エネルギーを与えて活性化し、前記凹部の側壁に形成された前記シリコン膜をエッチングして当該凹部の開口幅を広げるエッチング工程と、
然る後、前記成膜ガスを前記被処理体に供給し、前記凹部内に残留した前記シリコン膜上にシリコンを堆積させて当該凹部内にシリコンを充填する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体製造装置は、被処理体を収納する真空容器と、
前記被処理体を加熱する加熱部と、
前記処理容器内にシリコンを含有する成膜ガスを供給する成膜ガス供給部と、
前記処理容器内にシリコン膜をエッチングするためのハロゲンガスを供給するエッチングガス供給部と、
当該ハロゲンガスによるエッチング後のシリコン膜の表面の荒れを抑えるための荒れ抑制ガスを供給する荒れ抑制ガス供給部と、
前記成膜ガスを被処理体に供給して、当該被処理体の表面に形成された凹部内にシリコン膜を形成するステップと、次に、前記ハロゲンガスと前記荒れ抑制ガスとを含む処理ガスを前記被処理体に供給するステップと、当該処理ガスに熱エネルギーを与えて活性化し、前記凹部の側壁に形成された前記シリコン膜をエッチングして当該凹部の開口幅を広げるエッチングステップと、然る後、前記成膜ガスを前記被処理体に供給し、前記凹部内に残留した前記シリコン膜上にシリコンを堆積させて当該凹部内にシリコンを充填するステップと、を実施するように制御信号を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エッチングガスであるハロゲンガスとエッチング後の膜の表面を平坦化するための荒れ抑制ガスとを含む処理ガスに熱エネルギーを供給して、被処理体の凹部内に形成されたシリコン膜のエッチングを行った後、成膜ガスを供給して残留したシリコン膜上にシリコンを堆積させて凹部内にシリコンを充填する。それによって、当該凹部内にて成長するシリコン膜の表面の平坦性を高くすることができる。その結果、このシリコン膜から形成されるシリコン層がボイドを含んだり、当該シリコン層にシームが形成されたりすることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の半導体製造装置に係る縦型熱処理装置の縦断側面図である。
図2】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図3】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図4】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図5】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図6】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図7】前記縦型熱処理装置によって処理されるウエハの縦断側面図である。
図8】比較例の処理を受けたウエハの縦断側面図である。
図9】比較例の処理を受けたウエハの縦断側面図である。
図10】比較例の処理を受けたウエハの縦断側面図である。
図11】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図12】評価試験の結果を示すグラフ図である。
図13】評価試験の結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る半導体製造装置の一実施形態である縦型熱処理装置1について、図1の縦断側面図を参照しながら説明する。この縦型熱処理装置1は半導体装置の論理素子を基板であるウエハWに形成するために、背景技術の項目及び発明が解決しようとする課題の項目において説明したDEDを行う。つまり、成膜処理及びエッチング処理をウエハWに対して行う。この成膜処理は、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)による処理であり、エッチング処理はエッチングガスに熱エネルギーを供給して行われる反応性ガスエッチングである。
【0013】
縦型熱処理装置1は、長手方向が垂直方向に向けられた略円筒状の真空容器である反応管11を備えている。反応管11は、内管12と、当該内管12を覆うとともに内管12と一定の間隔を有するように形成された有天井の外管13とから構成された二重管構造を有する。内管12及び外管13は、耐熱材料、例えば、石英により形成されている。
【0014】
外管13の下方には、筒状に形成されたステンレス鋼(SUS)からなるマニホールド14が配置されている。マニホールド14は、外管13の下端と気密に接続されている。また、内管12は、マニホールド14の内壁から突出するとともに、マニホールド14と一体に形成された支持リング15に支持されている。
【0015】
マニホールド14の下方には蓋体16が配置され、ボートエレベータ10により蓋体16は上昇位置と、下降位置との間で昇降自在に構成される。図1では、上昇位置に位置する状態の蓋体16を示しており、この上昇位置において蓋体16は、マニホールド14の下方側の反応管11の開口部17を閉鎖し、当該反応管11内を気密にする。蓋体16には、例えば、石英からなるウエハボート3が載置されている。ウエハボート3は、被処理体である多数枚のウエハWを、垂直方向に所定の間隔をおいて水平に保持可能に構成されている。反応管11の周囲には、反応管11を取り囲むように断熱体18が設けられ、その内壁面には、例えば、加熱部である抵抗発熱体からなるヒーター19が設けられており、反応管11内を加熱することができる。
【0016】
マニホールド14において、上記の支持リング15の下方側には、処理ガス導入管21及びパージガス導入管31が挿通され、各ガス導入管21、31の下流端は、内管12内のウエハWにガスを供給できるように配設されている。例えば処理ガス導入管21の上流側は分岐して分岐路22A〜22Eを形成し、分岐路22A〜22Eの各上流端は、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)ガスの供給源23A、ジシラン(Si)ガスの供給源23B、モノアミノシラン(SiH)ガスの供給源23C、塩素(Cl)ガスの供給源23D、臭化水素(HBr)ガスの供給源23Eに接続されている。そして分岐路22A〜22Eには、各々ガス供給機構24A〜24Eが介設されている。ガス供給機構24A〜24Eは各々バルブやマスフローコントローラを備えており、ガス供給源23A〜23Eから処理ガス導入管21へ供給される処理ガスの流量を各々制御できるように構成されている。
【0017】
SiHガスは、ウエハWにシリコン(Si)膜を成膜するための成膜ガスであり、ガス供給源23C及びガス供給機構24Cは成膜ガス供給部を構成する。ClガスはSi膜をエッチングするためのエッチングガスであり、ガス供給源23D、ガス供給機構24Dはエッチングガス供給部を構成する。HBrガスはこのエッチングされるSi膜の表面の平坦性を高くするための荒れ抑制ガスであり、ガス供給源23E及びガス供給機構24Eは荒れ抑制ガス供給部を構成する。
【0018】
また、パージガス導入管31の上流側は、パージガスである窒素(N)ガスの供給源32に接続されている。パージガス導入管31には、ガス供給機構33が介設されている。ガス供給機構33はガス供給機構24A〜24Eと同様に構成され、導入管31の下流側へのパージガスの流量を制御する。
【0019】
またマニホールド14には、支持リング15の上方における側面に排気口25が開口しており、内管12で発生した排ガス等は内管12と外管13との間に形成された空間を通って当該排気口25に排気される。排気口25には排気管26が気密に接続されている。排気管26には、その上流側からバルブ27と、真空ポンプ28とがこの順に介設されている。バルブ27の開度が調整されることによって、反応管11内の圧力が所望の圧力に制御される。
【0020】
この縦型熱処理装置1には、コンピュータにより構成された制御部30が設けられており、制御部30はプログラムを備えている。このプログラムは、ウエハWに対して後述の一連の処理動作を行うことができるように、縦型熱処理装置1の各部に制御信号を出力して、当該各部の動作を制御することができるようにステップ群が組まれている。具体的には、ボートエレベータ10による蓋体16の昇降、ヒーター19の出力(即ちウエハWの温度)、バルブ27の開度、ガス供給機構24A〜24E、33による各ガスの反応管11内への供給流量などが制御されるように、制御信号が出力される。このプログラムは例えばハードディスク、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカード等の記憶媒体に格納された状態で制御部30に格納される。
【0021】
次に、この縦型熱処理装置1で処理されるウエハWの表面部について、図2の縦断側面図を参照しながら説明する。ウエハWの表面部はシリコン(Si)層41を備えている。このSi層41には多数の凹部42が形成されており、各凹部42を構成する側壁の頂部は横方向に膨らんでいる。従って、凹部42の下部側(底部側)の開口幅L1に比べて、上部側の開口幅L2は小さい。また、Si層41の表層は酸化されており、酸化シリコン膜43として構成されている。そして、図中では凹部42内の高さをH1として示しており、凹部42についてのアスペクト比(高さH1/上部側の開口幅L2)は、例えば2以上である。
【0022】
続いて、縦型熱処理装置1にて実施される処理について、ウエハWの縦断側面が変化する様子を示す図3図6を参照しながら説明する。先ず、図2で説明したウエハWが図示しない搬送機構によってウエハボート3に搬送されて保持される。その後、ウエハボート3が下降位置に位置する蓋体16上に配置される。そして蓋体16が上昇位置に向けて上昇し、ウエハボート3が反応管11内に搬入され、蓋体16によって反応管11の開口部17が閉鎖されて、当該反応管11内が気密となる。続いて、反応管11内にパージガスの供給が行われると共に反応管11内が排気されて所定の圧力の真空雰囲気とされると共に、ヒーター19によってウエハWが所定の温度になるように加熱される。
【0023】
その後、パージガスの供給が停止し、反応管11内にDIPASガスが供給される。このDIPASガスが、ウエハWの酸化シリコン膜43の表面に堆積し、酸化シリコン膜43を被覆するように第1のシード層が形成される。然る後、DIPASガスの供給が停止し、反応管11内にパージガスが供給されて、反応管11内からDIPASガスがパージされた後、反応管11内にSiガスが供給される。このSiガスが第1のシード層上に堆積して、当該第1のシード層を被覆するように第2のシード層が形成される。その後、Siガスの供給が停止し、反応管11内にパージガスが供給されて、反応管11内からSiガスがパージされる。
【0024】
その後、パージガスの供給が停止し、反応管11内にSiHガスが供給される。SiHガスは第2のシード層上に堆積し、Si膜44が第2のシード層を被覆するようにウエハWの表面全体に形成される。そして、SiHガスの堆積が続けられ、Si膜44が成長する。つまり、Si膜44の膜厚が上昇する。そして、例えば図3に示すように、凹部42内の上部側がこのSi膜43によって閉塞される前に、SiHガスの供給が停止する。なお、第1のシード層及び第2のシード層については、その厚さが微小であるため、この図3を含む各図で表示を省略している。
【0025】
上記のSiHガスの供給停止後に、反応管11内にパージガスが供給され、反応管11内からSiHガスがパージされる。このパージが行われる一方で、例えばウエハWの温度が250℃〜450℃、例えば400℃とされると共に反応管11内の圧力が例えば2Pa(0.15Torr)〜5.33×10Pa(4Torr)とされる。そして、処理ガス導入管21にClガス及びHBrガスが供給され、当該処理ガス導入管21内で混合されて、反応管11内のウエハWに供給される(図3)。後述するClガスによるエッチング効果及びHBrガスによるSi膜44の荒れの抑制効果を共に確実に得るために、例えばHBrガスの流量/Clガスの流量が1/4以上となるように供給される。より具体的には、例えばClガスが1000sccm、HBrガスが250sccm〜1000sccmで夫々反応管11内に供給される(図4)。
【0026】
ClガスはSi膜43のエッチングガスであり、反応管11内において加熱されて熱エネルギーが供給されることで、Clのラジカルなどの活性種を生じる。この活性種はSiに対する反応性が比較的高いため、ウエハWの凹部42内の下部へ達するまでに凹部42の外側及び凹部42内の上部側のSiと反応してSiCl(四塩化ケイ素)を生じ、Si膜43がエッチングされる。従って、凹部42内の下部側のSi膜44の膜厚の減少に比べて、凹部42内の上部側のSi膜44の膜厚の減少が大きくなるようにエッチングが行われ、凹部42内の上部側の開口幅が拡大する。また1モルのClから、2モルのClラジカルが生成する。つまり比較的多くの活性種が生成するため、この開口幅の拡大を比較的大きな速度で進行させることができる。
【0027】
ところで、HBrガスは、このClガスによりエッチングされるSi膜43の表面を平坦化するための平坦化用の処理ガスである。発明が解決しようとする課題の項目で述べたように、HBrガス及びClガスのうち、ClガスをウエハWに供給してエッチングを行うと、エッチング終了後のSi膜43の表面の荒れが比較的大きいが、後述する評価試験で説明するように、HBrガス及びClガスをウエハWに供給してエッチングを行うことで、Si膜44の表面の荒れを抑えることができる。このようにSi膜44の表面の荒れを抑えることができるのは、加熱されたHBrガスそのものがSi膜44に作用しているか、あるいはHBrガスが加熱されて生じるHラジカル及びBrラジカルのうちのHラジカルと、上記のClガスから生じたClラジカルとが反応して生成するHCl(塩酸)が、Si膜44に作用していることによると考えられる。
【0028】
然る後、反応管11内へのClガス及びHBrガスの供給が停止してエッチング処理が終了する(図5)。上記のようにエッチング処理中において凹部42内の下部側ではSi膜44のエッチングが抑えられているため、このエッチング終了時には図5に示すように、凹部42内にSi膜44が残留している。そして、上記のように、このように残留したSi膜44の表面の平坦性は比較的高い。
【0029】
パージガスが供給されて、混合ガスが反応管11から除去される一方で、ウエハWの温度が所定の温度とされると共に、反応管11内が所定の真空圧力とされる。そして、パージガスの供給が停止し、反応管11内にSiHガスが供給されてSi膜44上にSiHガスが堆積して、Si膜44が成長する。平坦性が比較的高いSi膜44の表面に対してそのようにガスが堆積するため、図6に示すように成長中におけるSi膜44の表面の平坦性も比較的高い。さらにSi膜44の成長が進み、凹部42内では当該凹部の側面から成長したSi膜44の表面同士が接合し、Si層45が形成される(図7)。互いに接合されるSi膜44の表面の平坦性が比較的高いので、この接合部にボイドが含まれたり、シームが形成されることが抑制される。
【0030】
その後、反応管11内へのSiHガスの供給が停止して成膜処理が終了する。そして、パージガスが供給されてSiHガスが反応管11から除去される。また、その一方でウエハWが降温する。続いて、蓋体16が下降して反応管11からウエハボート3が搬出された後、図示しない搬送機構によってウエハボート3からウエハWが取り出される。半導体装置の論理素子を製造するための後のプロセスにおいて、例えば凹部42内に形成されたSi層45は下方に向けて、異方性エッチングされて除去される。このSi層45のエッチングは、例えば凹部42の底部を構成していたSi層41がエッチングされないように行われる。そして、このSi層45のエッチング時に、Si層45にはボイド及びシームが形成されていないため、当該Si層45のエッチングは各部で均一性高く進行することで、Si層41がエッチングされてしまうことを防ぐことができる。
【0031】
上記の図3図7で説明した処理(以下、実施例の処理と記載する場合が有る)による効果を明確に示すために、比較例の処理について、ウエハWの縦断側面が変化する様子を示す図8図10を用いて説明する。この比較例の処理では、Si膜44のエッチング時にClガス及びHBrガスの混合ガスをウエハWに供給する代わりにClガスのみを供給すること以外は、実施例の処理と同様の処理であるものとする。先ず上記の第1のシード層及び第2のシード層の形成後にSi膜44が形成される。然る後、ウエハWにClガスが供給されてSi膜44がエッチングされる。図8はこのエッチング終了時のウエハWを示しており、既述のように残留するSi膜44の表面の荒れが比較的大きい。なお、この図5と上記の図8において、矢印の先の点線の円枠内には、拡大したSi膜44の断面を示している。
【0032】
その後、ウエハWにSiHガスが供給され、凹部42内に残留しているSi膜44の表面にSiHガスが堆積し、当該Si膜44が成長するが、成長前のSi膜44の荒れが大きいため、図9に示すように成長中におけるSi膜44の表面の平坦性も比較的低くなる。その結果、凹部42内の側面から成長したSi膜44の表面同士が接合し、凹部42内にSi層45が形成されたときに、この接合部に微小なボイド46及びシームが形成されてしまう(図10)。
【0033】
以上の比較例の処理を参照して明らかなように、上記の実施例の処理によれば、Clガス及びHBrガスをウエハWに供給してエッチングを行うことで、凹部42内に残留するSi膜44の平坦性を高くすることができる。それによってSi膜44上にSiHガスを堆積させることで凹部42内にSi層45を形成するにあたり、Si層45中にボイド及びシームが形成されることを抑制することができる。
【0034】
上記の実施例の処理で図5に示したようにエッチング後、凹部42内にシリコンを埋込む前のSi膜44の表面粗さRaをA1とする。また、比較例の処理で図8に示したようにエッチング後、凹部42内にシリコンを埋込む前のSi膜44の表面粗さRaをB1とする。例えばA1/B1は、0.8以下であることが好ましい。なお、ある実験を行った結果によれば、A1は0.18nmであり、B1は0.25nmであった。つまり、A1/B1は0.72であった。
【0035】
なお、本発明は上記の実施例の処理に限られず、種々の変形態様で行うことができる。例えば、上記の実施例の処理では、反応管11に供給される前にClガス及びHBrガスが互いに混合されているが、反応管11内に別々の経路からClガス及びHBrガスが供給され、ウエハW表面でこれらのガスが混合されるようにしてもよい。また、上記の処理では酸化シリコン膜43上に成膜処理を行い、Si膜44を形成した後は、エッチング処理、成膜処理を1回ずつ行うことで凹部42にシリコンを埋込んでいるが、Si膜44の形成後、エッチング処理及び成膜処理を複数回繰り返し行うことで、凹部42にシリコンを埋込んでもよい。
【0036】
さらに、既述のHClの作用によりSi膜44の表面が平坦化される場合は、HBrガスの代わりに当該HClガスを荒れ抑制ガスとして反応管11内に供給して、Clガスによるエッチング処理を行ってもよい。また、HI(ヨウ化水素)ガスは、HBrガスと同様にハロゲンと水素とからなる化合物であり、Br(臭素)、I(ヨウ素)の各電気陰性度は互いに近い値を示すので、HBrガス、HIガスは互いに類似した性質を示す。従って、HBrガスの代わりに当該HIガスを反応管11内に供給してもHBrガスを供給した場合と同様の効果が得られると考えられるので、HIガスを荒れ抑制ガスとして供給することができる。また、エッチングに用いられるハロゲンガスとしてはClガスに限られず、例えばF(フッ素)ガスやBr(臭素)ガスであってもよい。
【0037】
(評価試験)
本発明に関連して行われた評価試験について説明する。上記の縦型熱処理装置1を用いて、ウエハWの表面に形成されたSi膜44について、上記の実施例の処理中のエッチング処理と同様のエッチング処理を行った。処理条件として、ウエハWの温度は400℃、反応管11内の圧力は26.6Pa、Clガスの流量は1000sccmに夫々設定した。そして、HBrガスの流量については処理を行う毎に0〜1000sccmの範囲で変更した。エッチング処理された各ウエハWについては、Si膜44のエッチングレート((単位時間あたりのエッチング量))、ウエハWに残留したSi膜44の表面のHaze(ヘイズ)、WinWについて測定した。
【0038】
上記のヘイズの測定は、暗視野検査装置にてレーザー光をウエハWに照射し、散乱した光を当該装置内の受光部にて受光して生成された低周波信号を測定することにより行った。また、上記のWinWについては、ウエハWの面内の多数の箇所にてエッチングレートを測定し、下記の式1に従って計算を行うことで算出しており、この値の絶対値が低いほどウエハWの面内におけるエッチングの均一性が高いことを表している。
WinW(±%)=±(エッチングレートの最大値−エッチングレートの最小値)/(エッチングレートの平均値)×100/2・・・式1
【0039】
図11図13は、評価試験の結果を示すグラフである。各図のグラフとも横軸は、HBrガスの流量(単位:sccm)を示している。図11のグラフの縦軸はエッチングレート(単位:Å/分)、図12のグラフの縦軸はHaze(単位:ppm)、図13のグラフの縦軸はWinW(単位:±%)を夫々示している。図11のグラフに示すように、HBrガスの流量として設定された0sccm〜1000sccmの範囲において、HBrガスの流量が大きいほどエッチングレートが低い。しかし、HBrガスが0sccmであるときのエッチングレートは37.05Å/分であり、HBrガスが1000sccmであるときのエッチングレートは28.96Å/分であり、これらのエッチングレートの間に大きな差は見られない。つまり、HBrガスをClガスと共に供給しても、ClガスのSi膜44に対するエッチング作用は大きく影響されないことが分かる。
【0040】
また、図12のグラフからは、HBrガスの流量が大きいほどHazeの値が小さい値を示すことが分かる。即ち、HBrガスの流量が大きいほど、エッチング後のSi膜44の平坦性が高い。具体的に、HBrガスの流量が0sccmであるときのHazeは0.809ppmであり、HBrガスの流量が1000sccmであるときのエッチングレートは0.440ppmであった。従って、この評価試験の結果からHBrガスをClガスと共に供給してエッチングを行うことで、Si膜44の平坦性を高くすることができることが確認された。また、グラフより、HBrガスの流量が250sccm以上、つまりHBrガスの流量/Clガスの流量が1/4以上となる範囲では、Hazeの値は大きく変化せず、0.5ppm以下であった。つまり、当該範囲において、Hazeを特に低く抑えることができている。
【0041】
上記のようにこの評価試験において、HBrガスの流量が0sccmのときのHazeは概ね0.8ppmであり、HBrガスの流量が250sccm〜1000sccmのときのHazeは概ね0.5ppmである。この結果から、上記の実施例の処理において、Si膜44のエッチング処理の終了後における当該Si膜44の表面のHazeをAppmとし、比較例の処理について、1回目のSi膜44の成膜処理及びSi膜44のエッチング処理の終了後における当該Si膜44の表面におけるHazeをBppmとすると、A/B=0.5/0.8=0.625であるときには、Si膜44の表面の荒れが略限界まで抑制されていることになるので、A/Bが0.8以下であるときには、十分にSi膜44の表面の粗さが抑制されていると言え、A/Bが0.7以下であるときには、さらに十分にSi膜44の表面の粗さが抑制されていると言える。上記の実施例の処理では、そのような値になるようにHBrガスが供給されることがより好ましい。
【0042】
さらに図13のグラフに示されるように、HBrガスの流量が0sccmである場合、つまりHBrガスを供給しない場合のWinWの値よりも、HBrガスを供給した場合のWinWの値の方が小さい。つまり、HBrガスを供給することで、エッチングの面内における均一性が高くなっている。具体的に、HBrガスが0sccmであるときのWinWは3.19%であり、HBrガスが1000sccmであるときのWinWは2.58%であった。従って、Clガスと共にHBrガスをウエハWに供給してエッチングを行うことで、Si膜44の荒れを抑える他に、エッチングの面内均一性も高くすることができる効果も得られることが確認された。
【符号の説明】
【0043】
W ウエハ
1 縦型熱処理装置
11 反応管
19 ヒーター
21、31 ガス導入管
23A〜23E、32 ガス供給源
24A〜24E、33 ガス供給機構
27 バルブ
30 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13