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特開2017-228633補強構造体、真空チャンバー、およびプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-228633(P2017-228633A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】補強構造体、真空チャンバー、およびプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20171201BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20171201BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20171201BHJP
   F16J 13/02 20060101ALI20171201BHJP
   F16J 13/22 20060101ALI20171201BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20171201BHJP
   B01J 3/03 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H01L21/302 101C
   H05H1/46 L
   C23C16/44 B
   F16J13/02
   F16J13/22
   B01J19/08 E
   B01J19/08 H
   B01J3/03 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-123367(P2016-123367)
(22)【出願日】2016年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】笠原 稔大
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【テーマコード(参考)】
2G084
3J046
4G075
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB13
2G084BB31
2G084BB35
2G084BB37
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD25
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD40
2G084DD55
2G084DD62
2G084FF01
2G084FF03
2G084FF07
2G084FF15
2G084FF22
2G084FF39
2G084FF40
3J046AA01
3J046AA13
3J046BB02
3J046BC02
3J046CA01
3J046DA03
4G075AA24
4G075AA30
4G075AA51
4G075BC02
4G075BC04
4G075BC06
4G075CA47
4G075CA65
4G075DA02
4G075EB41
4G075EC25
4G075FA11
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB12
4K030FA04
4K030KA08
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB28
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】所望の軽量化を図ることができる補強構造体、そのような補強構造体を有する真空チャンバー、およびプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】基板に所定の処理を施すための真空チャンバーの蓋体を補強するために蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体4であって、蓋体の上面(天壁3aの上面)の中央部に梁部材(中央部41a、中央部42a)が環状に形成されてなる環状部44と、環状部44から梁部材(端部41b、端部42b、第3の梁部材43)が複数、放射状に延びるように形成された放射状部45とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を施すための真空チャンバーの蓋体を補強するために前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体であって、
前記蓋体の上面の中央部に梁部材が環状に形成されてなる環状部と、
前記環状部から梁部材が複数、放射状に延びるように形成された放射状部とを有することを特徴とする補強構造体。
【請求項2】
前記真空チャンバーは直方体状をなし、前記蓋体の上面は矩形状をなし、前記環状部は、矩形状の枠体からなることを特徴とする請求項1に記載の補強構造体。
【請求項3】
前記放射状部は、前記環状部の各辺から直交する方向に延びる梁部材と、前記環状部の角部から前記蓋体の上面の角部に延びる梁部材とを有することを特徴とする請求項2に記載の補強構造体。
【請求項4】
前記環状部の角部から前記蓋体の上面の角部に延びる梁部材は、前記蓋体の上面の対角線方向に延びるものであることを特徴とする請求項3に記載の補強構造体。
【請求項5】
前記蓋体の矩形状をなす前記上面は、一対の第1の辺と一対の第2の辺からなり、
前記補強構造体は、前記蓋体の前記矩形状の上面の一対の第1の辺に平行に設けられた2本の第1の梁部材と、一対の第2の辺に平行に設けられた2本の第2の梁部材とを有し、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材が井桁状に配置され、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材の中央部が、前記環状部を構成し、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材の前記中央部の両側に位置する端部が、前記放射状部の梁部材の一部を構成することを特徴とする請求項2に記載の補強構造体。
【請求項6】
前記放射状部は、前記環状部の角部から前記蓋体の上面の角部に延びる梁部材をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の補強構造体。
【請求項7】
前記環状部の角部から前記蓋体の上面の角部に延びる梁部材は、前記蓋体の上面の対角線方向に延びるものであることを特徴とする請求項6に記載の補強構造体。
【請求項8】
前記第1の梁部材と前記第2の梁部材とは、前記蓋体の上面を9分割するように設けられていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の補強構造体。
【請求項9】
前記放射状部を構成する梁部材のうち、隣接するものどうしの間の少なくとも一部に、前記隣接する梁部材を連結するように板状部材が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8いずれか1項に記載の補強構造体。
【請求項10】
基板に所定の処理を施すための真空チャンバーであって、
処理室を形成し、上部に開口部を有するチャンバー本体と、
前記チャンバー本体の前記開口部を開閉する蓋体と、
前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体とを有し、
前記補強構造体は請求項1から請求項9のいずれかに記載されたものであることを特徴とする真空チャンバー。
【請求項11】
前記蓋体は、前記蓋体をクレーンにより開閉する際に、クレーンのフックが直接または間接に係合されるクレーン開閉用治具をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の真空チャンバー。
【請求項12】
基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に形成される処理室を真空排気する排気機構と、
前記処理室に処理のためのガスを供給するガス供給機構と、
前記処理室内にプラズマを生成するプラズマ生成機構と
を有し、
前記真空チャンバーは、
前記処理室を形成し、上部に開口部を有するチャンバー本体と、
前記チャンバー本体の前記開口部を開閉する蓋体と、
前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体とを有し、
前記補強構造体は請求項1から請求項9のいずれかに記載されたものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記蓋体は、前記蓋体をクレーンにより開閉する際に、クレーンのフックが直接または間接に係合されるクレーン開閉用治具をさらに有することを特徴とする請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバーの蓋体を補強する補強構造体、そのような補強構造体を有する真空チャンバー、およびプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造過程においては、FPD用のガラス基板に対して、プラズマエッチング、スパッタリング、プラズマCVD等のプラズマ処理が行われる。
【0003】
このようなプラズマ処理を行うプラズマ処理装置においては、真空処理が必要であるため、処理容器として真空引き可能な真空チャンバーが用いられる。真空チャンバーは、本体部と蓋部とからなり、その内部と外部との圧力差に耐え得るだけの強度を確保するため、これらを肉厚にして強度を確保していた。
【0004】
しかし、近時、FPD基板は大型化が著しく、一辺が2mを超える巨大なものも出現するに至り、それに対応した大型の真空チャンバーでは、大気圧に耐え得る強度を確保するために、単に真空チャンバーの肉厚を増大させた場合には、極めて大きな肉厚が必要となり、重量が大きくなるとともに、材料費や加工費が膨大なものとなる。
【0005】
そこで、このような問題点を解消する技術として、特許文献1には、真空チャンバーの上部容器(蓋体)の外側に梁構造からなる補強構造体を設けることが記載されている。これにより、大気圧に耐え得る十分な強度を維持しつつ、軽量化を図るとともに、材料費および加工費を軽減できるとしている。また、特許文献2には、真空チャンバーの天板部の外側に天板部の変形を抑制するアーチ状のリブからなる補強構造体を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5285403号公報
【特許文献2】特開2015−22806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のプラズマ処理装置においては、真空チャンバーの蓋体を開閉する開閉機構が設けられているが、2mを超える大型基板に対応した大型の真空チャンバーでは、上記特許文献1や特許文献2に記載された補強構造体により強度は確保されるものの、補強構造体の重量がそれぞれ例えば約1.5tonおよび2.0tonと軽量化が十分とはいえず、開閉機構が大がかりなものとならざるを得ない。また、最近では、コスト削減の観点から、開閉機構を用いずにユーザーの工場に設置された天井クレーンにより蓋体を開閉することが試みられているが、上記特許文献1や特許文献2ではこのように補強構造体の重量が大きいため、蓋体の重量が天井クレーンの許容範囲を超えた重量となって適用が困難な場合もある。
【0008】
したがって、本発明は、所望の軽量化を図ることができる補強構造体、そのような補強構造体を有する真空チャンバー、およびプラズマ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、基板に所定の処理を施すための真空チャンバーの蓋体を補強するために前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体であって、前記蓋体の上面の中央部に梁部材が環状に形成されてなる環状部と、前記環状部から梁部材が複数、放射状に延びるように形成された放射状部とを有することを特徴とする補強構造体を提供する。
【0010】
上記第1の観点に係る補強構造体において、前記真空チャンバーは直方体状をなし、前記蓋体の上面は矩形状をなし、前記環状部は、矩形状の枠体からなるものとすることができる。
【0011】
前記放射状部は、前記環状部の各辺から直交する方向に延びる梁部材と、前記環状部の角部から前記蓋体の角部に延びる梁部材とを有するものとすることができる。
【0012】
前記環状部の角部から前記蓋体の角部に延びる梁部材は、前記蓋体の対角線方向に延びるものとすることができる。
【0013】
また、前記蓋体の矩形状をなす前記上面は、一対の第1の辺と一対の第2の辺からなり、前記補強構造体は、前記蓋体の前記矩形状の上面の一対の第1の辺に平行に設けられた2本の第1の梁部材と、一対の第2の辺に平行に設けられた2本の第2の梁部材とを有し、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材が井桁状に配置され、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材の中央部が、前記環状部を構成し、前記第1の梁部材および前記第2の梁部材の前記中央部の両側に位置する端部が、前記放射状部の梁部材の一部を構成するものとすることができる。この場合に、前記放射状部は、前記環状部の角部から前記蓋体の角部に延びる梁部材をさらに有するものとすることができる。また、前記第1の梁部材と前記第2の梁部材とは、前記蓋体の上面を9分割するように設けられる構成とすることができる。
【0014】
前記放射状部を構成する梁部材のうち、隣接するものどうしの間の少なくとも一部に、前記隣接する梁部材を連結するように板状部材が配置されている構成とすることができる。
【0015】
本発明の第2の観点は、基板に所定の処理を施すための真空チャンバーであって、処理室を形成し、上部に開口部を有するチャンバー本体と、前記チャンバー本体の前記開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体とを有し、前記補強構造体は上記第1の観点に記載されたものであることを特徴とする真空チャンバーを提供する。
【0016】
本発明の第3の観点は、基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に形成される処理室を真空排気する排気機構と、前記処理室に処理のためのガスを供給するガス供給機構と、前記処理室内にプラズマを生成するプラズマ生成機構とを有し、前記真空チャンバーは、前記処理室を形成し、上部に開口部を有するチャンバー本体と、前記チャンバー本体の前記開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の上面に設けられた、複数の梁部材の組み合わせからなる補強構造体とを有し、前記補強構造体は上記第1の観点に記載されたものであることを特徴とするプラズマ処理装置を提供する。
【0017】
上記第2の観点および第3の観点において、前記蓋体は、前記蓋体をクレーンにより開閉する際に、クレーンのフックが直接または間接に係合されるクレーン開閉用治具をさらに有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蓋体の上面の中央部に梁部材が環状に形成されてなる環状部と、環状部から梁部材が複数、放射状に延びるように形成された放射状部とを有するので、補強効果が大きく、梁部材を従来よりも細く構成しても所望の強度を確保でき、かつ構造的にシンプルであるため梁部材の使用量自体も少なくてすむため、補強構造体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る補強構造体を備えたプラズマ処理装置を示す断面図である。
図2図1のプラズマ処理装置の真空チャンバーの外観を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る補強構造体示す平面図である。
図4】真空チャンバーの蓋体をクレーンで開閉する際の状態を説明するための図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る補強構造体を示す平面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態に係る補強構造体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る補強構造体を備えたプラズマ処理装置を示す断面図、図2図1のプラズマ処理装置の真空チャンバーの外観を示す斜視図、図3は本発明の一実施形態に係る補強構造体示す平面図である。
【0021】
図1に示すように、このプラズマ処理装置100は、矩形状をなすFPD用のガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Gに対してプラズマ処理、例えばプラズマエッチング処理を行う誘導結合型プラズマ処理装置として構成されている。FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0022】
このプラズマ処理装置100は、導電性材料、例えば、内壁面が陽極酸化処理されたアルミニウムからなり、外観が略直方体状をなし、断面が矩形状の真空チャンバー1を有する。この真空チャンバー1は、接地線1aにより接地されている。真空チャンバー1は、チャンバー本体2と、蓋体3と、補強構造体4とを有している。
【0023】
チャンバー本体2は、底壁2aと側壁2bとを有し、上部が開口部となっており、開口部は蓋体3により開閉可能となっている。そして、上部開口部が蓋体3により閉塞されることにより、内部に処理室5が形成される。
【0024】
処理室5の底部には、チャンバー本体2の底壁2a上に、アルミナ等の絶縁性セラミックスまたは樹脂からなる絶縁部材9を介して、基板Gを載置する基板載置台10が設けられている。基板載置台10は、金属、例えばアルミニウムからなる基材11と、基材11の周囲に設けられた絶縁リング12とを備えている。図示していないが、基板載置台10の表面には基板Gを静電吸着する静電チャックが設けられ、基板載置台10の内部には、基板Gの搬送に用いられる昇降ピンが挿通されている。また、やはり図示しないが、基板載置台10内には、基板Gの温度を制御するための温調機構と、温度センサーとが設けられている。
【0025】
チャンバー本体2の底壁2aには、複数の排気口13が設けられており、各排気口13には排気管14が接続されている。この排気管14には、自動圧力制御弁と真空ポンプとからなる排気機構15が接続されている。排気機構15により処理室5内を真空排気するとともに、処理室5内を所定の圧力に制御するようになっている。
【0026】
チャンバー本体2の側壁2bには、基板Gを処理室5内に搬入出するための搬入出口16が設けられており、搬入出口16はゲートバルブ17によって開閉可能となっている。チャンバー本体2に隣接して図示しない搬送室が設けられており、ゲートバルブ17を開にすることにより、搬送室内に設けられた搬送機構(図示せず)により搬入出口16を介して基板Gの処理室5に対する搬入出が可能となる。
【0027】
基板載置台10の基材11には、整合器18を介してイオン引き込み用の高周波バイアスを印加するためのバイアス用高周波電源19が接続されている。
【0028】
蓋体3は、天壁3a、側壁3b、および底壁となる誘電体壁21を有している。誘電体壁21は、チャンバー本体2の天壁を兼ねている。そして、これらに囲まれた空間がアンテナ室6となっている。誘電体壁21は、Al23等のセラミックス、石英等で構成されている。
【0029】
側壁3bの下には内側に突出するリング状支持部22aを有するリング状支持部材22が取り付けられており、このリング状支持部22aに誘電体壁21が支持されている。誘電体壁21とリング状支持部材22とはシールリング23によりシールされている。
【0030】
誘電体壁21の下側部分には、金属、例えばアルミニウムからなる処理ガス供給用のシャワー筐体24が嵌め込まれている。シャワー筐体24は十字状に設けられており、誘電体壁21を下から支持する構造、例えば梁構造となっている。誘電体壁21は複数の分割片に分割されており、隣接する分割片の当接部において梁としてのシャワー筐体24が分割片を支持する。誘電体壁21を支持するシャワー筐体24は、複数本のサスペンダ25により天壁3aに吊された状態となっている。リング状支持部材22およびシャワー筐体24は誘電体部材で被覆されていてもよい。
【0031】
シャワー筐体24には水平に伸びるガス流路26が形成されており、このガス流路26には、下方に向かって延びる複数のガス吐出孔26aが連通している。一方、誘電体壁21の上面中央には、このガス流路26に連通するようにガス供給管27が設けられている。ガス供給管27は、天壁3aまたは側壁3bからその外側へ貫通し、処理ガス供給源およびバルブシステム等を含む処理ガス供給機構28に接続されている。したがって、プラズマ処理においては、処理ガス供給機構28から供給された処理ガスがガス供給管27を介してシャワー筐体24内のガス流路26に供給され、その下面のガス吐出孔26aから処理室5内へ吐出される。
【0032】
アンテナ室6内には、高周波(RF)アンテナ30が配設されている。高周波アンテナ30は、銅やアルミニウム等の良導電性の金属からなるアンテナ線31を環状や渦巻状等の従来用いられる任意の形状に配置して構成される。複数のアンテナ部を有する多重アンテナであってもよい。
【0033】
アンテナ線31の端子32にはアンテナ室6の上方へ延びる給電部材33が接続されている。給電部材33には整合器34が接続されており、整合器34には給電線35を介して高周波電源36が接続されている。なお、高周波アンテナ30のアンテナ線31は絶縁部材からなるスペーサ17により誘電体壁21から離間している。
【0034】
高周波アンテナ30に、高周波電源36から所定の周波数、例えば周波数が13.56MHzの高周波電力が供給されることにより、処理室5内に誘導電界が形成され、この誘導電界によりシャワー筐体24から供給された処理ガスがプラズマ化され、誘導結合プラズマが生成される。
【0035】
なお、蓋体3はチャンバー本体2に装着される際には、図示しないネジによりねじ止めされるようになっており、チャンバー本体2と蓋体3との間はシールリング37によりシールされる。
【0036】
補強構造体4は、図2および図3に示すように、蓋体3の天壁3aにおける矩形状をなす上面に設けられた、例えばH型鋼からなる複数の梁部材の組み合わせにより構成されている。具体的には、図3に示すように、補強構造体4は、蓋体3の天壁3aの一対の長辺301に平行に全長に亘って設けられた、直線状をなす2本の第1の梁部材41と、蓋体3の天壁3aの一対の短辺302に平行に全長に亘って設けられた、直線状をなす2本の第2の梁部材42とを有し、これらが井桁状に配置されている。また、補強構造体4は、さらに第1の梁部材41および第2の梁部材42の交点から対角線方向に延びる4本の第3の梁部材43を有している。これら梁部材は、ボルト等の締結手段により天壁3aに締結されている。
【0037】
第1の梁部材41および第2の梁部材42は、蓋部材3の天壁3aの上面を9分割(略9等分)するように配置されており、2本の第1の梁部材41の2つの中央部41aと2本の第2の梁部材42の2つの中央部42aで矩形状の枠体をなす環状部44を構成する。また、第1の梁部材41における中央部41aの両側に位置する端部41b、第2の梁部材42における中央部42aの両側に位置する端部42b、および第3の梁部材43は、環状部44から外側に向かって放射状に延び、これら梁部材は放射状部45を構成する。すなわち、補強構造体4は、蓋体3の天壁3a上面の中央に設けられた、梁部材が枠状に組み合わされてなる環状部44と、環状部44から複数の梁部材が外側向けて放射状に延びる放射状部45とを有している。
【0038】
放射状部45を構成する梁部材である第1の梁部材41の端部41bは、環状部44を構成する第2の梁部材42の中央部42aに直交するように設けられている。また、放射状部45を構成する梁部材である第2の梁部材42の端部42bは、環状部44を構成する第1の梁部材41の中央部41aに直交するように設けられている。また、放射上部を構成する梁部材である第3の梁部材43は、環状部44の角部から対角線方向に延びるように設けられている。
【0039】
放射状部45を構成する梁部材(端部41b、端部42b、第3の梁部材43)のうち、隣接するものの間には、これら梁部材を連結するように、板状部材46が設けられている。板状部材46は、補強構造体4の補強効果を高めるために設けられる。本実施形態では、放射状部45の隣接する梁部材の間の全てに板状部材46が設けられているが、全てに設ける必要はなく、隣接する梁部材の間の少なくとも一部に設ければよい。少なくとも一部に設ける場合、理想的には対称的に設けられるのがよいが、構造上、蓋体3に強度的な偏りがある場合には、対称的でなく、強度的に弱い部分に設けられてもよい。また、板状部材46の奥行長さは、それによる補強効果と重量増加との兼ね合いで適宜設定される。板状部材46の奥行長さは、それが隣接して設けられる放射状部45の梁部材の長さの20〜80%程度が好ましい。さらには、40〜60%程度にすることがより好ましい。
【0040】
また、2本の第1の梁部材41の対向する2つの端部41bの間、および2本の第2の梁部材42の対向する2つの端部42bの間の板状部材46の外側部分には補助的な梁部材47が設けられている。
【0041】
補強構造体4は、このような環状部44と放射状部45が組み合わされていることにより、補強効果を高く維持することができ、軽量化を図ることができる。
【0042】
また、環状部44は、上述したように、天壁3a上面の中央部分に設けられているが、その各辺の長さは、天壁3aの縦および横の全長に対して30〜80%程度であることが好ましい。これにより、蓋体3の補強効果を高く維持することができる。また、環状部44は内部に空間を有しており、その中に大型機器である整合器34が挿入されるようになっている。これにより、省スペース化を図ることができる。なお、環状部44に配置する大型機器は整合器34に限らない。
【0043】
プラズマ処理装置100は、さらに、プラズマ処理装置100の各構成部を制御するためのマイクロプロセッサ(コンピュータ)を有する制御部50を備えている。
【0044】
このように構成されるプラズマ処理装置100においては、まず、排気機構15によって処理室5内を排気して所定の圧力とし、ゲートバルブ17を開放して搬入出口16から図示しない搬送手段によって基板Gを搬入し、基板載置台10上に基板Gを載置させる。搬送手段を処理室5から退避させた後、ゲートバルブ17を閉じる。
【0045】
この状態で、真空排気しつつ圧力調整弁(図示せず)により処理室5内の圧力を所定の真空度に調整するとともに、処理ガス供給機構28から、ガス供給管27およびシャワー筐体24を介して所定の処理ガスを処理室5内に供給する。
【0046】
次いで、高周波電源36から所定周波数(例えば13.56MHz)の高周波電力を所定パワーで高周波アンテナ30に印加し、これにより誘電体壁21を介して処理室5内に均一な誘導電界を形成する。このようにして形成された誘導電界により、処理室5内で処理ガスがプラズマ化し、高密度の誘導結合プラズマが生成される。このプラズマにより、基板Gに対して所定のプラズマ処理、例えば成膜処理やエッチング処理が行われる。
【0047】
基板Gが2mを超えるような大型のものの場合は、真空チャンバー1も大型化するため、処理室5内を真空にした際に大気圧に耐え得る十分な強度を維持しつつ、蓋体3の軽量化を図るべく、補強構造体4を設けている。
【0048】
補強構造体により蓋体を補強する技術としては特許文献1および特許文献2に記載されたものがあるが、大型装置への適用を考慮した場合、特許文献2の技術では強度確保を重視しているため、補強構造体の重量が約2tonと極めて大きくなり、また、強度確保のみならず軽量化も指向している特許文献1の補強構造体でさえも1.5tonと軽量化が不十分であった。
【0049】
これに対し、本実施形態の補強構造体4は、蓋体3の天壁3aにおける矩形状をなす上面に、複数の梁部材の組み合わせにより構成されており、天壁3a上面中央部に設けられた、梁部材が枠状に組み合わされてなる環状部44と、環状部44から複数の梁部材が外側に向けて放射状に延びる放射状部45とを有している。このとき、中央部に設けられた環状部44によりある程度の強度を確保することができ、さらに複数の梁部材を環状部44から放射状に設けることにより、十分な強度を得ることができる。
【0050】
このように、中央部の環状部44と放射状部45が合わさった構造は、補強効果が大きく、梁部材を従来よりも細く構成しても所望の強度を確保でき、かつ構造的にシンプルであるため梁部材の使用量自体も少なくてすむため、補強構造体4自体の軽量化を図ることができる。このとき、中央部を構成する環状部44の各辺の長さは、蓋体3の補強効果を高く維持する観点から、天壁3aの縦および横の全長に対して30〜80%程度であることが好ましい。
【0051】
また、中央部に環状部44を設けることにより、蓋体3の上方の中央部にスペースを確保することができ、そこに整合器34等の大型機器を配置することができるので、省スペース化を図ることもできる。
【0052】
また、放射状部45を構成する梁部材である第1の梁部材41の端部41bは、環状部44を構成する第2の梁部材42の中央部42aに直交するように設けられ、また、放射状部45を構成する梁部材である第2の梁部材42の端部42bは、環状部44を構成する第1の梁部材41の中央部41aに直交するように設けられているので、放射状部45の補強強化を高めることができ、さらに、放射状部45として、第1の梁部材41および第2の梁部材42の交点から対角線方向に延びる4本の第3の梁部材43を設けたので、蓋体3の環状部44の内側部分が強化され、補強効果を一層高めることができる。このような構成により、軽量化効果をより高めることができる。
【0053】
さらにまた、補強構造体4は、蓋体3の天壁3aの一対の長辺301に平行に全長に亘って設けられた、直線状をなす2本の第1の梁部材41と、蓋体3の天壁3aの一対の短辺302に平行に全長に亘って設けられた、直線状をなす2本の第2の梁部材42とを有し、これらが井桁状に配置されて、環状部44および放射状部を構成するので、基本的に長い梁部材の組み合わせからなる。このような長い梁部材の組み合わせは、短い梁部材の組み合わせよりも補強効果が大きいので、補強効果をさらに一層高めることができ、軽量化効果をさらに高めることができる。また、2本の第1の梁部材41と2本の第2の梁部材42とにより、蓋体3の天壁3aの上面を略9等分するように配置されていることによっても、補強効果および軽量化効果をより一層高くすることができる。
【0054】
さらにまた、放射状部45を構成する梁部材のうち、隣接するものの間に、板状部材46を設けることにより、補強構造体4の補強効果を高めることができる。板状部材46は板状であるため、重量増加をさほどもたらすことなく、補強効果を高めることができるので、環状部44と放射状部45の組み合わせによる補強効果をさらに高める必要がある場合に有利である。このとき、板状部材46の奥行長さは、それによる補強効果と重量増加との兼ね合いで適宜設定することができる。すなわち、板状部材46の奥行長さが長くなると補強強化は高くなるが、その効果は飽和していき、ある長さ以上になると、板状部材46の重量増加による悪影響が大きくなってしまう。このような観点から、板状部材46の奥行長さは、それが設けられる梁部材の長さの20〜80%程度が好ましく、40〜60%程度がより好ましい。なお、板状部材46は、隣接する梁部材の間の全てに設ける必要はなく、少なくとも隣接する梁部材の間の一部に設ければ、一定の効果を得ることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、所望の軽量化を図ることができる補強構造体4を得ることができる。本実施形態の補強構造体4は、大型基板に適用される大型のプラズマ処理装置に適用した場合に、特許文献1では約1.5ton、特許文献2では約2tonの重量であったものを、約1tonまで軽量化することができる。
【0056】
このため、プラズマ処理装置100が蓋体3の開閉機構を有する場合に、開閉機構が大がかりなものとなることを抑制でき、開閉機構のコストアップを防止することができる。
【0057】
また、補強構造体4をこのように軽量化することができるので、蓋体3の重量を通常の天井クレーンの許容範囲内にすることができ、開閉機構を用いずに、ユーザーの工場に設置された天井クレーンにより蓋体を開閉する構造にすることができる。このため、装置コストを削減することができる。
【0058】
クレーンにより蓋体3を開閉する場合は、例えば図4に示すように、蓋体3にクレーン開閉用治具61を取り付け、クレーン開閉用治具61に直接または間接にクレーンのフックを係合させてクレーン開閉動作を行う。本例では、蓋体の複数個所にクレーン開閉用治具61を設け、これらにロープ62を取り付け、ロープ62をクレーンのフック63に係合させ、クレーンにより蓋体3を昇降して蓋体3の開閉を行う。もちろん、蓋体3にクレーンのフックが直接係合されるクレーン開閉用治具を設けてもよい。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく本発明の思想の範囲内で種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、本発明を処理室を形成するチャンバー本体の天壁として誘電体壁を用いた誘導結合プラズマ処理装置に適用した例を示したが、誘電体壁の代わりに金属壁を用いた誘導結合プラズマ処理装置であってもよく、また、容量結合型の平行平板プラズマ処理装置やマイクロ波プラズマ処理装置等の他のプラズマ処理装置であってもよい。また、プラズマ処理装置に限らず、熱CVD等のプラズマを用いない真空処理の真空チャンバーに適用してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、第3の梁部材43が対角方向に延びるように配置される例を示したが、これは天壁3aと環状部44とが、縦横比が同じ相似形であることが前提となっている。しかしながら、天壁3aと環状部44は必ずしも相似形でなくてもよく、この場合、第3の梁部材43は、環状部44の角部と、これに対応する天壁3aの角部とを結ぶように配置されればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、補強構造体として、蓋体3の天壁3aの一対の長辺301および一対の短辺にそれぞれ平行に設けられた、直線状をなす2本の第1の梁部材41および2本の第2の梁部材42とを井桁状に配置して、環状部44と放射状部45を形成した例を示したが、これに限るものではない。
【0062】
例えば図5に示すように、長辺に対応する第1の梁部材81および短辺に対応する第2の梁部材82を組み合わせたものを環状部44′として、環状部44′を構成する第2の梁部材82の途中から垂直に外側に向かって延びる第3の梁部材83と、第1の梁部材81の途中から垂直に外側に向かって延びる第4の梁部材84と、環状部44′の角部から斜め外側に延びる第5の梁部材85とにより放射状部45′とした補強構造体4′であってもよい。
【0063】
さらに、上記実施形態では、本発明を、矩形状の基板を処理するための断面矩形状の真空チャンバーに適用した例を示したが、これに限らず、例えば円形の基板を処理するための断面が円形の真空チャンバーに適用してもよい。この場合には、図6に示すように、円形状をなす蓋体上面に対し、その中央部分に梁部材91を円形に配置して円筒状の環状部44″を設け、円筒状の環状部44″から外側に向かうように複数の直線状の梁部材92を配置して放射状部45″を設けて構成した補強構造体4″が例示される。
【0064】
さらにまた、上記実施形態では、補強構造体を構成する梁部材としてH型鋼を使用した場合を例にとって説明したが、これに限らず、断面L字(アングル)や断面C字(チャネル)等の他の型鋼であってもよく、また角材、中空パイプ、板材等、種々の形状のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1;真空チャンバー
2;チャンバー本体
3;蓋体
4,4′,4″;補強構造体
5;処理室
6;アンテナ室
10;基板載置台
15;排気機構
21;誘電体壁
24;シャワー筐体
25;サスペンダ
28;ガス供給機構
30;高周波アンテナ
34;整合器
36;高周波電源
41〜43,81〜85,91,92;梁部材
44,44′,44″;環状部
45,45′,45″;放射状部
46;板状部材
50;制御部
61;クレーン開閉用治具
62;ロープ
63;フック
G;基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6