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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-228690(P2017-228690A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】エッチング処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20171201BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-124600(P2016-124600)
(22)【出願日】2016年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 航
(72)【発明者】
【氏名】戸村 幕樹
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB25
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA03
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA18
5F004DA24
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA30
5F004EA37
(57)【要約】
【課題】高エッチングレートを維持しつつ、サイドエッチングを抑制することを目的とする。
【解決手段】基板の温度が−35℃以下の極低温環境において、第1高周波電源から第1高周波の電力を出力し、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスを供給し、生成されたプラズマにより、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜をエッチングする、エッチング処理方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の温度が−35℃以下の極低温環境において、第1高周波電源から第1高周波の電力を出力し、
フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスを供給し、生成されたプラズマにより、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜をエッチングする、
エッチング処理方法。
【請求項2】
水素含有ガスとしてハイドロカーボン含有ガスを供給する、
請求項1に記載のエッチング処理方法。
【請求項3】
前記ハイドロカーボン含有ガスは、CH(メタン)、C、C(アセチレン)、C(エチレン)、C(エタン)、C(プロピレン)、C(プロパン)、C(プロピン)の少なくともいずれかである、
請求項2に記載のエッチング処理方法。
【請求項4】
水素含有ガスとしてハイドロフルオロカーボン含有ガスを供給する、
請求項1に記載のエッチング処理方法。
【請求項5】
前記ハイドロフルオロカーボン含有ガスは、CH(二フッ化メタン)、CHF(フルオロメタン)、CHF(三フッ化メタン)の少なくともいずれかである、
請求項4に記載のエッチング処理方法。
【請求項6】
前記フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスにフルオロカーボン含有ガスを添加して供給する、
請求項1に記載のエッチング処理方法。
【請求項7】
前記フルオロカーボン含有ガスは、CF(四フッ化炭素)、C(八フッ化プロパン)、C(テトラフルオロエチレン)、C(ヘキサフルオロプロペン)、C(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、C(八フッ化シクロブタン)の少なくともいずれかである、
請求項6に記載のエッチング処理方法。
【請求項8】
前記フッ化硫黄含有ガスは、SF(六フッ化硫黄)である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
【請求項9】
前記積層膜のエッチングが行われる処理容器の内部を、15〜25mTorr(2.0〜3.3Pa)に制御する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン系(CF系)ガスを用いてシリコン含有膜をエッチングする技術が知られている。更にハイドロカーボン系(CH系)ガスを添加し、シリコン含有膜に対するマスク選択比を高くする技術が知られている。
【0003】
また、フルオロカーボン系ガスに替えてフッ化硫黄含有ガスを使用することにより、シリコン含有膜に対するマスク選択比を高くする技術が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−84427号公報
【特許文献2】特開2005−72518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2においては、マスク選択比を向上させることを課題としてエッチングガスが選択されており、サイドエッチングを抑制し、エッチング形状を良好にする観点から適正なエッチングガスやプロセス条件が選択されているわけではない。
【0006】
特に、3D NANDフラッシュメモリ等の三次元積層半導体メモリの製造において、プラズマを用いて、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜に深穴や深溝を形成するエッチング工程においては、アスペクト比の高いエッチングが必要になる。例えば、組成の異なるシリコン含有膜を16層や32層に積層した積層膜のすべての膜を貫通し、下地膜まで連通するための穴や溝を形成するためには、特に、エッチング形状の垂直性が重要になる。
【0007】
上記課題に対して、一側面では、本発明は、高エッチングレートを維持しつつ、サイドエッチングを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板の温度が−35℃以下の極低温環境において、第1高周波電源から第1高周波の電力を出力し、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスを供給し、生成されたプラズマにより、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜をエッチングする、エッチング処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
一の側面によれば、高エッチングレートを維持しつつ、サイドエッチングを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置の縦断面を示す図。
図2】比較例1、2及び第1実施形態に係るガスによる積層膜のエッチング結果の一例を示す図。
図3】比較例1、2及び第2実施形態に係るガスによる積層膜のエッチング結果の一例を示す図。
図4】変形例に係るエッチング処理の一例を示すフローチャート。
図5】一実施形態に係る極低温環境におけるウェハ温度の一例を示す図。
図6】一実施形態に係る極低温環境における積層膜のエッチング結果の一例を示す図。
図7】蒸気圧曲線を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0012】
[プラズマ処理装置の全体構成]
まず、プラズマ処理装置1の一例について、図1を参照しながら説明する。本実施形態にかかるプラズマ処理装置1は、平行平板型のプラズマ処理装置であり、略円筒形の処理容器10を有している。処理容器10の内面には、アルマイト処理(陽極酸化処理)が施されている。処理容器10の内部は、プラズマによりエッチング処理や成膜処理等のプラズマ処理が行われる処理室となっている。
【0013】
載置台20は、基板の一例であるウェハWを載置する。載置台20は、たとえばアルミニウム(Al)やチタン(Ti)、炭化ケイ素(SiC)等から形成されている。載置台20は下部電極としても機能する。
【0014】
載置台20の上側には、ウェハWを静電吸着するための静電チャック106が設けられている。静電チャック106は、絶縁体106bの間にチャック電極106aを挟み込んだ構造になっている。チャック電極106aには直流電圧源112が接続されている。直流電圧源112からチャック電極106aに直流電圧が印加されると、クーロン力によってウェハWが静電チャック106に吸着される。
【0015】
静電チャック106の外周上部には、ウェハWの外縁部を囲うように円環状のフォーカスリング108が載置される。フォーカスリング108は、例えば、シリコンから形成され、処理容器10においてプラズマをウェハWの表面に向けて収束し、プラズマ処理の効率を向上させるように機能する。
【0016】
載置台20は、支持体104により処理容器10の底部に保持される。支持体104の内部には、冷媒流路104aが形成されている。チラー107から出力された例えば冷却水やブライン等の冷却媒体(以下、「冷媒」ともいう。)は、冷媒入口配管104b、冷媒流路104a、冷媒出口配管104cと流れ、循環する。このようにして循環する冷媒により、載置台20は抜熱され、冷却される。
【0017】
伝熱ガス供給源85は、ヘリウムガス(He)やアルゴンガス(Ar)等の伝熱ガスをガス供給ライン130に通して静電チャック106上のウェハWの裏面に供給する。かかる構成により、静電チャック106は、冷媒流路104aに循環させる冷媒と、ウェハWの裏面に供給する伝熱ガスとによって温度制御される。この結果、ウェハWを所定の温度に制御することができる。
【0018】
載置台20には、2周波重畳電力を供給する電力供給装置30が接続されている。電力供給装置30は、第1周波数のプラズマ生成用の高周波電力HF(第1高周波電力)を供給する第1高周波電源32を有する。また、電力供給装置30は、第1周波数よりも低い第2周波数の、バイアス電圧発生用の高周波電力LF(第2高周波電力)を供給する第2高周波電源34を有する。第1高周波電源32は、第1整合器33を介して載置台20に電気的に接続される。第2高周波電源34は、第2整合器35を介して載置台20に電気的に接続される。第1高周波電源32は、例えば、40MHzの高周波電力HFを載置台20に印加する。第2高周波電源34は、例えば、3.2MHzの高周波電力LFを載置台20に印加する。
【0019】
第1整合器33は、第1高周波電源32の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。第2整合器35は、第2高周波電源34の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。第1整合器33は、処理容器10内にプラズマが生成されているときに第1高周波電源32の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。第2整合器35は、処理容器10内にプラズマが生成されているときに第2高周波電源34の内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。なお、本実施形態では、第1高周波電力は載置台20に印加されるが、ガスシャワーヘッド25に印加されてもよい。
【0020】
ガスシャワーヘッド25は、その外縁部を被覆するシールドリング40を介して処理容器10の天井部の開口を閉塞するように取り付けられている。ガスシャワーヘッド25には、可変直流電源70が接続され、可変直流電源70から負のDC(直流電圧)が出力される。ガスシャワーヘッド25は、シリコンにより形成されてもよい。ガスシャワーヘッド25は、載置台20(下部電極)に対向する対向電極(上部電極)としても機能する。
【0021】
ガスシャワーヘッド25には、ガスを導入するガス導入口45が形成されている。ガスシャワーヘッド25の内部にはガス導入口45から分岐したセンター側の拡散室50a及びエッジ側の拡散室50bが設けられている。ガス供給源15から出力されたガスは、ガス導入口45を介して拡散室50a、50bに供給され、拡散室50a、50bにて拡散されて多数のガス供給孔55から載置台20に向けて導入される。
【0022】
処理容器10の底面には排気口60が形成されており、排気口60に接続された排気装置65によって処理容器10内が排気される。これにより、処理容器10内を所定の真空度に維持することができる。処理容器10の側壁にはゲートバルブGが設けられている。ゲートバルブGは、処理容器10からウェハWの搬入及び搬出を行う際に開閉する。
【0023】
プラズマ処理装置1には、装置全体の動作を制御する制御部100が設けられている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)105、ROM(Read Only Memory)110及びRAM(Random Access Memory)115を有している。CPU105は、RAM115等の記憶領域に格納されたレシピに従って、エッチング等の所望の処理を実行する。レシピにはプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種ガス流量、処理容器内温度(上部電極温度、処理容器の側壁温度、ウェハW温度、静電チャック温度等)、チラー107から出力される冷媒の温度などが記載されている。なお、これらのプログラムや処理条件を示すレシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されてもよい。また、レシピは、CD−ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で所定位置にセットされ、読み出されるようにしてもよい。
【0024】
プラズマ処理が実行される際には、ゲートバルブGの開閉が制御され、ウェハWが処理容器10に搬入され、載置台20に載置される。直流電圧源112からチャック電極106aに直流電圧が印加されると、ウェハWが静電チャック106に吸着され、保持される。
【0025】
ガス供給源15から処理容器10内に処理ガスが供給される。第1高周波電源32から載置台20に第1高周波電力が印加され、第2高周波電源34から載置台20に第2高周波電力が印加される。可変直流電源70から負のDC(直流電圧)がガスシャワーヘッド25に印加される。これにより、ウェハWの上方にプラズマが生成され、生成されたプラズマによりウェハWにプラズマ処理が施される。
【0026】
プラズマ処理後、直流電圧源112からチャック電極106aにウェハWの吸着時とは正負が逆の直流電圧が印加され、ウェハWの電荷が除電される。これにより、ウェハWは、静電チャック106から剥がされ、ゲートバルブGから処理容器10の外部に搬出される。以上に説明したプラズマ処理装置1を使用して、ガス供給源15から所定のエッチングガスを供給し、極低温におけるエッチング処理が実行される。
<第1実施形態>
[極低温におけるエッチング]
以下では、第1実施形態に係る極低温におけるエッチング処理について説明し、そのエッチング処理の結果の一例を、比較例1,2に係るエッチング処理の結果の一例と比較する。
【0027】
(比較例1)
比較例1では、以下のプロセス条件にてシリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(SiN)とを積層させた積層膜12がエッチングされる。積層膜12は、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜の一例である。積層膜12の上部にはアモルファスカーボン膜11が形成され、マスクとして機能する。ただし、マスクは、アモルファスカーボン膜に限らず、有機膜であってもよい。
・プロセス条件(比較例1)
ウェハ温度 −40℃以下(チラー温度 −60℃)
ガス CF(四フッ化炭素)/CH(メタン)/O(酸素)
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、連続波
(比較例2)
比較例2では、以下のプロセス条件にて積層膜12がエッチングされる。
・プロセス条件(比較例2)
ウェハ温度 −40℃以下(チラー温度 −60℃)
ガス H(水素)/CF(四フッ化炭素)/CHF(三フッ化メタン)
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、連続波
図2(a)は、比較例1のエッチング結果の一例を示す。図2(b)は、比較例2のエッチング結果の一例を示す。図2(a)及び図2(b)のそれぞれの結果は、アモルファスカーボン膜11をマスクとして積層膜12をエッチングしたときのホールの縦断面のエッチング形状と、アモルファスカーボン膜11を上方から見たときのアモルファスカーボン膜11の間口の形状を示す。また、各形状の下の数値は、エッチングの深さ(Depth)、マスク選択比、エッチングレート(ER)、ボーイング(Bowing)を示す。ボーイングは、ホールの横方向の幅が最も広い部分の数値である。
【0028】
これによれば、図2(a)及び図2(b)のエッチング結果のいずれにおいても、エッチングの深さ(Depth)とエッチングレート(ER)とを維持しつつ、良好なマスク選択比が確保されている。一方、図2(a)及び図2(b)のエッチング結果のいずれにおいても、サイドエッチングが促進され、ボーイングが発生している。また、図2(b)では、アモルファスカーボン膜11の間口が閉塞されている。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態では、以下のプロセス条件にて積層膜12のエッチングが行われる。
・プロセス条件(第1実施形態)
ウェハ温度 −40℃以下(チラー温度 −60℃)
ガス SF(六フッ化硫黄)/H(水素)
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、連続波
処理容器内の圧力 15〜25mTorr(2.0〜3.3Pa)
なお、第1実施形態及び後述する実施形態のプロセス条件では、第1高周波電力HF及び第2高周波電力LFが印加されているが、これに限らず、第1高周波電力HFのみを印加するようにしてもよい。
【0030】
図2(c)は、第1実施形態のエッチング結果の一例を示す。図2(c)に示す第1実施形態のエッチング結果では、図2(a)及び図2(b)の比較例1,2と比べて、エッチングの深さ(Depth)とエッチングレート(ER)とを維持しつつ、サイドエッチングが抑制され、エッチング形状が改善されている。また、図2(c)に示す第1実施形態におけるエッチング処理の結果では、アモルファスカーボン膜11の間口が閉塞されておらず良好な形状を維持できている。これにより、積層膜12へのパターンの転写精度を高め、良好なエッチングを実現することができる。なお、マスク選択比は比較例1,2と比べて減少しているが、アモルファスカーボン膜11が消失する前に必要な深さのホールが形成されている。ただし、マスク選択比は、後述する第2実施形態のエッチング結果に示すように、5.0以上が好ましい。
【0031】
以上に説明したように、第1実施形態に係るエッチング処理方法によれば、フッ化硫黄含有ガスの一例としてSFガスが供給され、水素含有ガスの一例としてHガスが供給される。そして、主に第1高周波電力HFのエネルギーにより供給されたガスから生成されたプラズマによって積層膜12がエッチングされる。これによれば、SFの主にF成分によりエッチングが促進されるとともに、SFの主にS成分によりエッチングされたホールの側壁に保護膜が形成され、サイドエッチングを抑制することができる。また、ウェハWの温度が−35℃以下の極低温環境におけるエッチングにより高エッチングレートを維持し、これにより、エッチング形状が良好な深いホールを形成することができる。
【0032】
エッチングしたホールの底面にも硫黄Sは付着し保護膜を形成するが、本実施形態では、処理容器10内を低圧(15〜60mTorr(2.0〜8.0Pa)程度)に制御しているため、プラズマ中の直進性が高いイオンが底面まで到達することにより、ホールの底面及びアモルファスカーボン膜11のマスク表面はエッチングが促進される。
【0033】
これにより、高エッチングレートを維持しつつ、サイドエッチングを抑制し、エッチング形状を良好にすることができる。また、アモルファスカーボン膜11の形状を良好にすることができる。
【0034】
また、第1実施形態に係るエッチング処理方法によれば、供給するガスにC(カーボン)ガスを含まない。これにより、エッチングにより生成される反応生成物に含まれるカーボンの量を減らすことができ、反応生成物の内壁等への付着を低減することができる。また、カーボンによるアモルファスカーボン膜11のマスク形状の荒れを抑制することができる。
【0035】
また、ウェハWの温度を−40℃(−35℃以下)に維持することで、エッチングにより形成されたホールの内壁の硫黄Sは、揮発せずに固体のまま保護膜として残り、処理容器10の内壁へ付着した硫黄Sは、内壁の温度を70℃以上にすることで硫黄Sを揮発させて排気することにより除去し、処理容器10の内壁への硫黄Sの付着を抑制することができる。
【0036】
なお、SFガスとともにHガスを供給することで、処理容器10の外部へのガスの排気を高めることができる。本実施形態では、Hガスに替えて、HF(フッ化水素)ガス又はNH(アンモニア)ガスを供給してもよい。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態では、以下のプロセス条件にて積層膜12がエッチングされる。
・プロセス条件(第2実施形態)
ウェハ温度 −40℃以下(チラー温度 −60℃)
ガス SF(六フッ化硫黄)/CH(メタン)
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、連続波
処理容器内の圧力 15〜25mTorr(2.0〜3.3Pa)
図3(c)は、第2実施形態のエッチング結果の一例を示す。図3(a)及び図3(b)は、図2(a)及び図2(b)の比較例1,2と同じエッチング結果を図示している。図3(c)に示す第2実施形態のエッチング結果では、図3(a)及び図3(b)の比較例1,2と比べて、エッチングの深さ(Depth)とエッチングレート(ER)とを維持しつつ、サイドエッチングが抑制され、エッチング形状が改善されている。
【0038】
図2(c)に示す第1実施形態のエッチング結果と比較すると、第1実施形態のエッチング結果よりもエッチングレート(ER)が高くなり、エッチングの深さがより深くなっている。また、第1実施形態のエッチング結果よりも更にサイドエッチングが抑制され、エッチング形状の更なる改善が図られている。また、第2実施形態におけるエッチング処理の結果においても、アモルファスカーボン膜11の間口が閉塞されておらず良好な形状を維持できている。これにより、積層膜12へのパターンの転写精度を高め、良好なエッチングを実現することができる。
【0039】
加えて、マスク選択比が、5.0以上になっている。これは、本実施形態では、炭化水素ガスの一例であるCHガスを供給しているため、アモルファスカーボン膜11の上にカーボンが堆積し、マスク選択比が向上したと考えられる。
【0040】
以上に説明したように、第2実施形態に係るエッチング処理方法によれば、フッ化硫黄含有ガスの一例としてSFガスが供給され、水素含有ガスの一例としてCHガスが供給される。そして、供給されたガスから生成されたプラズマにより積層膜12がエッチングされる。これによれば、SFの主にF成分によりエッチングが促進されるとともに、SFの主にS成分によりエッチングされたホールの側壁に保護膜が形成され、サイドエッチングを抑制することができる。また、ウェハWの温度が−35℃以下の極低温環境におけるエッチングにより高エッチングレートを維持し、これにより、エッチング形状が良好な深いホールを形成することができる。
【0041】
また、アモルファスカーボン膜11の形状を良好にし、積層膜12へのパターンの転写精度を高め、良好なエッチングを実現することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、CHガスに限らず、その他の炭化水素ガスを供給してもよい。その他の炭化水素ガスの一例としては、−35℃以下の極低温に冷却されたウェハWに付着可能な炭化水素ガス(C)を供給する。具体的には、炭化水素ガス(C)は、堆積性が強く、カバレッジの悪いガスを用い、ホールの底面に堆積し難いガスが好ましい。
【0043】
[極低温におけるエッチング処理]
次に、変形例に係るエッチング処理の一例について、図4を参照して説明する。図4は、変形例に係るエッチング処理の一例を示すフローチャートである。本処理が開始されると、制御部100は、ウェハ表面の温度を−35℃以下の極低温に制御する(ステップS10)。次に、制御部100は、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスを処理容器10の内部に供給する(ステップS12)。ここで供給するガスは、例えば、第1実施形態において供給した六フッ化硫黄(SF)ガス及び水素(H)ガスであってもよいし、第2実施形態において供給した六フッ化硫黄(SF)ガス及びCH(メタン)ガスであってもよい。
【0044】
次に、制御部100は、第1高周波電源32から第1高周波電力HFを出力し、プラズマ励起用の高周波電力を載置台20に印加(オン)し、積層膜12をエッチングする(ステップS14)。このとき、第1高周波電力HFは、連続波であってもよく、パルス波であってもよい。本変形例では、第2高周波電源34から第2高周波電力LFを出力していないが、第2高周波電源34から第2高周波電力LFを出力し、バイアス用の高周波電力を載置台20に印加してもよい。また、第2高周波電力LFを出力するタイミングは、第1高周波電力HFと同期してもよい。
【0045】
次に、制御部100は、所定時間経過後、第1高周波電力HFの印加を停止(オフ)し、極低温状態を維持できるようにする(ステップS16)。次に、制御部100は、第1高周波電力HFのオン・オフを繰り返す回数が所定回数を超えたかを判定する(ステップS18)。所定回数は、予め定められた2回以上の回数である。第1高周波電力HFの繰り返し回数が所定回数を超えていないと判定された場合、制御部100は、再び第1高周波電力を印加し、積層膜12をエッチングする(ステップS20)。第1高周波電力HFの繰り返し回数が所定回数を超えるまで、ステップS16〜S20の処理を繰り返し、第1高周波電力HFの繰り返し回数が所定回数を超えたと判定された場合、本処理を終了する。
【0046】
図4に示したエッチング処理方法では、第1高周波電力HFのオン・オフを繰り返すことで第1高周波電力が間欠的に印加される。このときの第1高周波電力HFを印加している時間(オン時間)を「Ton」とし、第1高周波電力HFを印加していない時間(オフ時間)をToffとする。この場合、1/(Ton+Toff)の周波数の第1高周波電力HFのパルス波が印加される。また、Duty比は、オン時間Ton及びオフ時間Toffの総時間に対するオン時間Tonの比率、すなわち、Ton/(Ton+Toff)にて示される。
【0047】
[極低温プロセス中のウェハ温度の推移]
図5は、図4の第1高周波電力HFのオン・オフを繰り返して行われる間欠エッチングにおけるウェハW表面の温度の遷移の一例を示す。ウェハWが静電チャック106に保持された状態で第1高周波電力HFを印加すると、プラズマが生成され、エッチング処理が開始される。このようにして第1高周波電力HFを印加し、プラズマが生成されると、そのプラズマからの入熱(プラズマオン)によりウェハWの温度は緩やかに上昇する。しかしながら、チラー107の温度を−60℃以下に制御することでウェハWの温度を−35℃以下に維持できることがわかる。
【0048】
エッチング中に第1高周波電力HFの印加を停止すると、ウェハWの温度が急激に降下する。なお、図5に示すウェハW表面の温度遷移では、第1高周波電力HFをオフした後、ウェハWは搬出される。このため、第1高周波電力HFをオフした後のウェハW表面の温度は上昇している。なお、変形例に係る間欠エッチングでは、第1高周波電力HFのオン・オフに応じて図5のプラズマオン・オフが繰り返される。
【0049】
[極低温プロセス]
図6(c)は、チラー107の温度を−70℃に制御することで、ウェハWの温度を−40℃以下に制御したときの一実施形態に係る極低温プロセスにおけるエッチング結果の一例を示す。本実施形態では、以下のプロセス条件にて、アモルファスカーボン膜11をマスクとして、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを積層した積層膜12のエッチングが行われる。
・プロセス条件(第1実施形態)
ウェハ温度 −40℃以下(チラー温度 −70℃)
ガス SF(六フッ化硫黄)/H(水素)/CH(メタン)
第1高周波電力HF 2500W、連続波
第2高周波電力LF 4000W、連続波
処理容器内の圧力 15〜25mTorr(2.0〜3.3Pa)
【0050】
図6(a)は、チラー107の温度を25℃に制御したときのエッチング結果の一例を示し、図6(b)は、チラー107の温度を−40℃に制御したときのエッチング結果の一例を示す。
【0051】
図6(a)及び図6(b)では、ウェハWの温度を−40℃以下に維持できない。つまり、図6(a)及び図6(b)は、極低温プロセス環境でないときのエッチング結果の一例である。
【0052】
エッチングした結果、図6(a)及び図6(b)と比較して、図6(c)のウェハW温度が−40℃以下の極低温環境では高エッチングレートが得られ、マスク選択比が向上することがわかる。
【0053】
具体的には、図6(c)に示す極低温環境下におけるエッチングでは、図6(a)に示す常温環境下におけるエッチングと比較して、エッチングレートが約3倍、マスク選択比が約2倍となり、図6(b)に示す低温環境下におけるエッチングと比較して、エッチングレートが約1.7倍、マスク選択比が約1.5倍となった。
【0054】
よって、以上に説明した各実施形態及び変形例では、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスを供給し、生成されたプラズマによりウェハWにエッチング処理を施す際に、ウェハWの温度が−35℃以下の極低温環境にてエッチングを行うことが、上記効果を得るための必須の条件となる。
【0055】
[蒸気圧曲線]
上記各実施形態及び変形例に係るエッチング処理では、水素含有ガスの一例としてHガス及びCHガスの少なくともいずれかが供給され、フッ化硫黄含有ガスの一例としてSFガスが供給された。その結果、Hガス及びCHガスに含まれるH(水素)と、積層膜12中のシリコン酸化膜に含まれるO(酸素)により、HOが反応生成物として発生される。
【0056】
図7に蒸気圧曲線を示す。蒸気圧曲線上は液体と気体とが混在した状態になっている。図7の水HOの蒸気圧曲線によれば、HOの飽和蒸気圧は低い。例えば、エッチング時の圧力を3.3Pa(25mTorr)に保持し、チラー温度を−60℃〜−70℃程度の極低温にすると、飽和して積層膜12の表面のHOは、液体の状態で存在していると考えられる。
【0057】
積層膜12の表面に存在する液体には、反応生成物の水の他に、SFガスから反応して生成されたFラジカルが含有されている。このため、F系ラジカルとHO(水)とによってフッ化水素酸(HF)が発生する。これにより、シリコン酸化膜の表面で水に溶けているフッ化水素酸によって主に化学反応によるエッチングが促進され、エッチングレートが特異的に上昇する。すなわち、極低温環境にてエッチングを行うことで、シリコン酸化膜の表面に存在するフッ化水素酸の液体の作用により主に化学反応によってエッチングレートが、図6(a)の常温環境下におけるエッチングの約3倍になり、図6(b)の低温環境下におけるエッチングの約1.7倍になることがわかる。
【0058】
また、図7の硫黄Sの蒸気圧曲線によれば、処理容器内10を、例えば15〜25mTorr(2.0〜3.3Pa)の高真空に制御し、ウェハWの温度を0℃以下にすることで硫黄Sは固体のままエッチング壁に留まることがわかる。加えて、図7の硫黄Sの蒸気圧曲線によれば、処理容器10の内壁の温度を70℃程度にすると硫黄Sが揮発することがわかる。これにより、ホール内では硫黄Sの保護膜によりサイドエッチングの抑制を図り、かつ、処理容器10の内壁に付着した硫黄Sを揮発させ、排気することで内壁に付着した硫黄を除去することができる。
【0059】
以上、各実施形態及び変形例に係るエッチング処理方法によれば、−35℃以下の極低温環境においてマスク形状を良好に保持し、かつ高エッチングレートを維持しつつ、サイドエッチングを抑制し、良好なエッチング形状を得ることができる。これにより、各実施形態及び変形例に係るエッチング処理方法によれば、例えばアスペクト比が20以上の細いホールをエッチングするプロセスにも好適である。
【0060】
以上、エッチング処理方法を上記各実施形態及び変形例により説明したが、本発明にかかるエッチング処理方法は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態及び変形例に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0061】
例えば、エッチングに使用するフッ化硫黄含有ガスは、SFガスが好ましいが、これに限らず、Sのガスを利用できる。フッ化硫黄含有ガス(S)の例としては、S、SF、SF、SF、S10が挙げられる。
【0062】
また、水素含有ガスとしてハイドロカーボン含有ガスを供給してもよい。このとき、ハイドロカーボン含有ガスは、CH(メタン)、C、C(アセチレン)、C(エチレン)、C(エタン)、C(プロピレン)、C(プロパン)、C(プロピン)の少なくともいずれかであってもよい。
【0063】
また、水素含有ガスとしてハイドロフルオロカーボン含有ガスを供給してもよい。このとき、ハイドロフルオロカーボン含有ガスは、CH(二フッ化メタン)、CHF(フルオロメタン)、CHF(三フッ化メタン)の少なくともいずれかであってもよい。
【0064】
また、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスにフルオロカーボン含有ガスを添加して供給してもよい。このとき、フルオロカーボン含有ガスは、CF(四フッ化炭素)、C(八フッ化プロパン)、C(テトラフルオロエチレン)、C(ヘキサフルオロプロペン)、C(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、C(八フッ化シクロブタン)の少なくともいずれかであってもよい。
【0065】
また、シリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(SiN)とを積層させた積層膜は、組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜の一例であり、これに限定されず、例えば、ポリシリコンとSiOとの積層膜であってもよい。
【0066】
また、本発明に係るエッチング処理方法は、図1の平行平板型2周波印加装置装置に適用可能であるが、その他のプラズマ処理装置にも適用可能である。その他のプラズマ処理装置としては、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)処理装置、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置、表面波プラズマ処理装置等が挙げられる。
【0067】
本明細書では、エッチング対象の基板として半導体ウェハWについて説明したが、これに限らず、LCD(Liquid Crystal Display)、FPD(Flat Panel Display)等に用いられる各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等であっても良い。
【0068】
特に、本発明のエッチング処理方法は、例えばアスペクト比が20以上の3D NANDフラッシュメモリ等の三次元積層半導体メモリの製造において、フッ化硫黄含有ガス及び水素含有ガスから生成したプラズマを用いて組成の異なるシリコン含有膜を積層した積層膜に深穴や深溝を形成するエッチング工程に好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 プラズマ処理装置
10 処理容器
11 アモルファスカーボン膜
12 積層膜
15 ガス供給源
20 載置台
25 ガスシャワーヘッド
32 第1高周波電源
34 第2高周波電源
65 排気装置
70 可変直流電源
100 制御部
104 支持体
104a 冷媒流路
106 静電チャック
106a チャック電極
107 チラー
108 フォーカスリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7