【解決手段】配線基板10は、配線層34と、配線層34を覆う絶縁層33と、配線層50と、絶縁層33と配線層50とを覆う絶縁層51と、ビア配線層35とを備える。配線層50の配線密度は、配線層34の配線密度よりも高く、絶縁層33は、第1樹脂層33Aと、フィラーの含有率が第1樹脂層33Aよりも低い樹脂から構成されて第1樹脂層33Aの上面に位置する第2樹脂層33Bとを備える。第2樹脂層33Bの上面が、絶縁層33の上面SBであり、第1樹脂層33Aの上面が、ビア配線層35の上端面35Sに向けて反り上がる曲面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示す場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
まず、配線構造11の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線構造11は、配線構造12よりも配線密度の低い配線層を備える低密度配線層である。配線構造11の厚さ方向のほぼ中心には、コア基板20が位置する。
【0011】
コア基板20は、例えば、補強材と、補強材に含浸した熱硬化性樹脂の硬化物との複合体であるガラスエポキシ基板である。補強材は、例えば、ガラスクロス(ガラス織布)、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、液晶ポリマ(Liquid Crystal Polymer:LCP)織布、LCP不織布である。熱硬化性の絶縁性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂である。コア基板20は、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーを含有してもよい。コア基板20の厚さは、例えば、80μm以上800μm以下である。
【0012】
コア基板20は、所要の箇所に、複数の貫通孔20Xを備える。各貫通孔20Xは、コア基板20の上面20Aから下面20Bまでを貫通する。貫通孔20Xの内部には、コア基板20を厚さ方向に貫通する貫通電極21が位置する。貫通電極21は、貫通孔20Xに充填されている。貫通孔20Xは、例えば、50μm以上100μm以下の直径を有する円形孔である。貫通孔20Xのピッチは、例えば、100μm以上200μm以下である。貫通電極21の材料は、例えば、銅や銅合金である。
【0013】
コア基板20の上面20Aには、配線層22が位置する。コア基板20の下面20Bには、配線層23が位置する。各配線層22,23は、貫通電極21を介して、相互に電気的接続されている。各配線層22,23の材料は、例えば、銅や銅合金である。配線層22,23の厚さは、例えば、15μm以上35μm以下である。各配線層22,23のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、20μm/20μmである。ラインアンドスペースは、配線層の幅、および、相互に隣り合う配線層の間隔である。
【0014】
コア基板20の上面20Aには、絶縁層31、ビア配線層32、絶縁層33、配線層34、および、ビア配線層35が位置する。絶縁層33は、第1絶縁層の一例である。
【0015】
絶縁層31は、コア基板20の上面20A、および、配線層22を被覆する。絶縁層31は、所要の箇所に、複数の貫通孔31Xを有する。各貫通孔31Xは、絶縁層31を厚さ方向に貫通して、配線層22の上面の一部を露出する。
【0016】
配線層34は、絶縁層31の上面に位置する。配線層34は、貫通孔31Xの内部に充填されたビア配線層32を介して、配線層22と電気的接続されている。配線層34は、貫通孔31Xに充填されたビア配線層32と別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0017】
絶縁層33は、絶縁層31の上面、および、配線層34を被覆する。絶縁層33は、所要の箇所に、複数の貫通孔33Xを備える。各貫通孔33Xは、絶縁層33を厚さ方向に貫通して、配線層34の上面の一部を露出する。
【0018】
絶縁層33の上面SBは、凹凸が少ない平滑面であって低粗度面である。絶縁層33の上面SBでの粗度は、例えば、貫通孔33Xの内面よりも低い。絶縁層33の上面SBでの表面粗さRa値は、例えば、15nm以上40nm以下である。貫通孔33Xの内面での表面粗さRa値は、例えば、300nm以上400nm以下である。表面粗さRa値は、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には、測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0019】
各貫通孔31X,33Xは、
図1において上方(コア基板20から配線構造12に向けた方向)に位置する部位ほど径が大きいテーパ状を有する。各貫通孔31X,33Xは、例えば、上端の開口径が下端の開口径よりも大径となる逆円錐台状を有する。各貫通孔31X,33Xでの上端の開口径は、例えば、60μm以上70μm以下である。
【0020】
各絶縁層31,33の材料は、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂である。各絶縁層31,33は、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーを含有する。
【0021】
配線層34、および、ビア配線層32,35の材料は、例えば、銅や銅合金である。各絶縁層31,33の厚さは、例えば、20μm以上45μm以下である。配線層34の厚さは、例えば、15μm以上35μm以下である。配線層34のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、20μm/20μmである。
【0022】
図1(b)に示すように、貫通孔33Xの内部には、ビア配線層35が位置する。ビア配線層35は、配線層34と、絶縁層33の上面SBに位置する配線層50とに電気的接続されている。ビア配線層35は、低密度配線層を高密度配線層に電気的接続させるための配線層である。配線層34は、第1配線層の一例であり、配線層50は、第2配線層の一例である。
【0023】
ビア配線層35は、配線構造11における配線層のなかで、最上層の配線層である。ビア配線層35は、絶縁層33を厚さ方向に貫通する。ビア配線層35は、貫通孔33Xと同様に、
図1において上方(配線層34から配線層50に向けた方向)に位置する部位ほど径が大きいテーパ状を有する。ビア配線層35は、例えば、ビア配線層35の上端面35Sが下端面よりも大径である逆円錐台状を有する。ビア配線層35の上端面35Sは、絶縁層33の上面SBにおいて、絶縁層33から露出している。ビア配線層35の上端面35Sは、絶縁層33の上面SBと面一である。ビア配線層35の上端面35Sは、配線層50の下面に直接接合されている。ビア配線層35の外周面は、窪み35Gを備える。窪み35Gは、絶縁層33に含まれるフィラーにおける外表面の一部に追従した形状を有し、例えば半球面状を有する。なお、ビア配線層35の上端面35Sの直径は、例えば、60μm以上70μm以下である。
【0024】
絶縁層33は、第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとを備える。
第1樹脂層33Aは、絶縁層33のなかで配線層34を覆う部分である。第1樹脂層33Aは、絶縁層33のなかでビア配線層35を囲う部分である。第1樹脂層33Aの上面SAは、絶縁層33の上面SBよりも下方(絶縁層33からコア基板20に向けた方向)に位置する。
【0025】
第1樹脂層33Aの上面SAは、ビア配線層35の周囲において、ビア配線層35の上端面35Sに向けて反り上がる曲面である。第1樹脂層33Aの上面SAは、ビア配線層35の周囲において、ビア配線層35との距離が大きい部位ほど、下方(ビア配線層35の上端面35Sから配線層34に向けた方向)に位置する曲面である。第1樹脂層33Aの上面SAは、第1樹脂層33Aの研磨によって形成される研磨面である。第1樹脂層33Aの上面SAは、ビア配線層35の外周面において、窪み35Gよりも下方に位置する。
【0026】
第2樹脂層33Bは、第1樹脂層33Aの上面SAに位置する。第2樹脂層33Bは、絶縁層33のなかでビア配線層35を囲う部分である。第2樹脂層33Bは、ビア配線層35の備える窪み35Gを充填している。第2樹脂層33Bでのフィラーの含有率は、第1樹脂層33Aでのフィラーの含有率よりも低い。第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの密着性が高められる観点において、第1樹脂層33Aの材料と、第2樹脂層33Bの材料とは、相互に同じ成分を備えた熱硬化性の絶縁性樹脂組成物であることが好適である。他方、第2樹脂層33Bと、それの上層となる絶縁層51の密着性が高められる観点において、第2樹脂層33Bの材料と、絶縁層51の材料とは、相互に同じ成分を備えた絶縁性樹脂であることが好適である。また、第2樹脂層33Bの上面でのフィラーの脱粒が抑えられる観点において、第2樹脂層33Bでのフィラーの含有率は、ゼロであることが好適である。第2樹脂層33Bの上面は、絶縁層33の上面SBと同一であり、ビア配線層35の上端面35Sと面一である。
【0027】
絶縁層33の厚さ方向において、第1樹脂層33Aの上面SAと、絶縁層33の上面SBとの距離は、第2樹脂層33Bの厚さであり、第2樹脂厚さD1である。第2樹脂厚さD1は、ビア配線層35の周囲において、ビア配線層35との距離が大きい部位ほど大きい。第2樹脂層33Bの厚さは、ビア配線層35の周囲において、ビア配線層35から離れた部位ほど厚く、ビア配線層35に近い部位ほど薄い。第2樹脂厚さD1の最大値は、例えば、1μm以上5μm以下である。
【0028】
第2樹脂厚さD1のなかの最小値である最小樹脂厚さD2は、ゼロ以上である。第1樹脂層33Aの上面SAのなかで最も上方に位置する部位は、第1樹脂層33Aの上面SAのなかでビア配線層35に最も近い位置である。また、第1樹脂層33Aの上面SAのなかで最も上方に位置する部位は、絶縁層33の厚さ方向において、ビア配線層35の上端面35Sと同一、もしくは、ビア配線層35の上端面35Sよりも下方に位置する。なお、
図1では、最小樹脂厚さD2を示すために、第1樹脂層33Aの上面SAのなかで最も上方に位置する部位を、ビア配線層35の上端面35Sよりも下方に図示する。
【0029】
絶縁層33の厚さ方向において、絶縁層33の上面SBと、配線層34の上面との距離は、ビア厚さD3である。ビア厚さD3は、第2樹脂厚さD1よりも十分に大きい。
【0030】
図1(a)に示すように、コア基板20の下面20Bには、絶縁層41、配線層42、絶縁層43、および、配線層44が位置する。各絶縁層41,43の材料は、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂である。各絶縁層41,43は、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーを含有する。各配線層42,44の材料は、例えば、銅や銅合金である。各絶縁層41,43の厚さは、例えば、20μm以上45μm以下である。各配線層42,44の厚さは、例えば、15μm以上35μm以下である。各配線層42,44のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、20μm/20μmである。
【0031】
絶縁層41は、コア基板20の下面20B、および、配線層23を被覆する。絶縁層41は、所要の箇所に、複数の貫通孔41Xを有する。各貫通孔41Xは、絶縁層41を厚さ方向に貫通して、配線層23の下面の一部を露出する。
【0032】
配線層42は、絶縁層41の下面に位置する。配線層42は、貫通孔41Xの内部に充填されたビア配線層を介して、配線層23と電気的接続されている。配線層42は、例えば、貫通孔41Xの内部に充填されたビア配線層と別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0033】
絶縁層43は、絶縁層41の下面、および、配線層42を被覆する。絶縁層43は、所要の箇所に、複数の貫通孔43Xを有する。各貫通孔43Xは、絶縁層43を厚さ方向に貫通して、配線層42の下面の一部を露出する。
【0034】
各貫通孔41X,43Xは、
図1において下方(コア基板20からソルダレジスト層13に向かう方向)に位置する部位ほど径が大きいテーパ状を有する。例えば、各貫通孔41X,43Xは、下端の開口径が上端の開口径よりも大径となる円錐台状を有する。各貫通孔41X,43Xでの下端の開口径は、例えば、60μm以上70μm以下である。
【0035】
配線層44は、絶縁層43の下面に位置する。配線層44は、配線構造11における配線層のなかで、最下層の配線層である。配線層44は、貫通孔43Xに充填されたビア配線層を介して配線層42と電気的接続されている。配線層44は、例えば、貫通孔43Xの内部に充填されたビア配線層と別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0036】
次に、配線構造12の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線構造12は、配線構造11よりも配線密度の高い配線層を備える高密度配線層である。配線構造12は、絶縁層33の上面SBに位置する配線層50、絶縁層51、配線層52、絶縁層53を備える。配線層50は、第2配線層の一例であり、絶縁層51は、第2絶縁層の一例である。配線層50は、配線構造11における配線層のなかで、最下層の配線層である。配線構造12の厚さ、具体的には、絶縁層33の上面SBから絶縁層53の上面までの厚さは、例えば、20μm以上40μm以下である。
【0037】
各配線層50,52の材料は、例えば、銅や銅合金である。各絶縁層51,53の材料は、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などを主成分とする感光性の絶縁性樹脂である。各絶縁層51,53は、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーを含有する。
【0038】
各配線層50,52は、配線構造11の配線層よりも微細に形成された配線層である。各配線層50,52のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、10μm/10μm未満である。各配線層50,52は、配線構造11の配線層よりも薄い配線層である。各配線層50,52の厚さは、例えば、1μm以上3μm以下である。各絶縁層51,53は、配線構造11の絶縁層よりも薄い絶縁層である。各絶縁層51,53の厚さは、例えば、5μm以上10μm以下である。
【0039】
各配線層50,52の表面粗度は、配線構造11の配線層における表面粗度よりも低い。各配線層50,52の表面粗さRa値は、例えば、1nm以上10nmである。配線構造11の配線層22,34の表面粗さRaは、例えば、100nm以上300nm以下である。
【0040】
図1(b)に示すように、配線層50は、ビア配線層35の上端面35Sと接続するように、絶縁層33の上面SBに位置する。配線層50における下面の一部は、ビア配線層35の上端面35Sと接触し、配線層50とビア配線層35とが電気的接続されている。配線層50とビア配線層35とは電気的接続されているが、一体ではない。例えば、配線層50は、ビア配線層35の上端面35Sに位置するシード層50Aと、シード層50Aの上面に位置する金属層50Bとを備える。金属層50Bは、シード層50Aを介して、ビア配線層35に電気的接続されている。
【0041】
シード層50Aは、ビア配線層35の上端面35Sを被覆し、かつ、上端面35Sの周囲に位置する絶縁層33の上面SBを被覆する。シード層50Aは、金属層50Bと絶縁層33の上面SBとの間、および、金属層50Bとビア配線層35の上端面35Sとの間、に介在している。シード層50Aは、例えば、チタン層と、チタン層の上面に位置する銅層との積層構造を有する。チタン層の厚さは、例えば、20nm以上50nm以下であり、銅層の厚さは、例えば、100nm以上300nm以下である。チタン層は、絶縁層33と金属層50Bとの密着性を確保するための密着層として機能する。密着層の材料は、チタンの他に、窒化チタン、窒化タンタル、タンタル、クロムなどである。金属層50Bは、シード層50Aにおける上面の全面を被覆する。金属層50Bは、例えば、電解めっき法によって形成された金属層である。金属層50Bの材料は、例えば、銅や銅合金である。
【0042】
絶縁層51は、所要の箇所に、複数の貫通孔51Xを有する。各貫通孔51Xは、絶縁層51を厚さ方向に貫通して、配線層50の上面の一部を露出する。
配線層52は、絶縁層51の上面に位置する。配線層52は、貫通孔51Xの内部に充填されたビア配線層を介して、配線層50と電気的接続されている。配線層52は、例えば、貫通孔51Xの内部に充填されたビア配線層と別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0043】
絶縁層51の上面には、配線層52を被覆する絶縁層53が位置する。絶縁層53は、所要の箇所に、複数の貫通孔53Xを有する。各貫通孔53Xは、絶縁層53を厚さ方向に貫通して、配線層52の上面の一部を露出する。
【0044】
絶縁層53の上面には、複数のパッドP1が位置する。各パッドP1は、貫通孔53Xの内部に充填されたビア配線層を介して、別々の配線層52と電気的接続されている。各パッドP1は、半導体チップなどの電子部品と電気的接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0045】
各貫通孔51X,53Xは、
図1において上方(配線構造11から絶縁層53に向かう方向)に位置する部位ほど径が大きいテーパ状を有する。各貫通孔51X,53Xは、上端の開口径が下端の開口径よりも大径となる逆円錐台状を有する。各貫通孔51X,53Xでの上端の開口径は、例えば、10μm以上20μm以下である。
【0046】
パッドP1の平面形状は、任意の形状、および、任意の大きさとすることができる。例えば、パッドP1の平面形状は、直径が20μm以上30μm以下の円形状である。パッドP1のピッチは、例えば、40μm以上60μm以下である。
【0047】
ソルダレジスト層13は、配線基板10の最下層となる最外絶縁層である。ソルダレジスト層13は、配線構造11の最下層に位置する絶縁層43の下面、および、最下層の配線層44を被覆する。ソルダレジスト層13は、複数の開口部13Xを有する。各開口部13Xは、最下層の配線層44の一部を外部接続用パッドP2として露出させる。各外部接続用パッドP2は、はんだボールやリードピンなどの外部接続端子が接続される。
【0048】
外部接続用パッドP2、および、開口部13Xの平面形状は、任意の形状、および、任意の大きさとすることができる。外部接続用パッドP2、および、開口部13Xの平面形状は、例えば、直径が200μm以上300μm以下の円形状である。ソルダレジスト層13の材料は、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などを主成分とする感光性の絶縁性樹脂である。ソルダレジスト層13は、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーを含有してもよい。
【0049】
ソルダレジスト層13の厚さは、例えば、配線構造12の厚さと等しい、または、配線構造12の厚さよりも厚い。ソルダレジスト層13の厚さは、配線基板10の反り量を低減することを目的として適宜変更される。
【0050】
次に、配線基板10の製造方法を説明する。
なお、上記絶縁層43、および、配線層44は、
図3に示す工程を再度繰り返すことによって形成されるため、
図4から
図9では、絶縁層43、および、貫通孔43Xの図示を割愛する。
【0051】
まず、
図2(a)に示す工程では、コア基板20となる銅張積層板(Copper Clad Laminate:CCL)に貫通孔20Xを形成し、電解めっきやペースト充填などの方法によって貫通孔20Xの内部に貫通電極21を形成する。その後、サブトラクティブ法によって、コア基板20の上面20Aに配線層22を形成すると共に、コア基板20の下面20Bに配線層23を形成する。
【0052】
次に、
図2(b)に示す工程では、コア基板20の上面20A、および、配線層22を被覆する絶縁層31を形成すると共に、コア基板20の下面20B、および、配線層23を被覆する絶縁層41を形成する。
【0053】
例えば、樹脂フィルムから各絶縁層31,41を形成する場合には、コア基板20の上面20A、および、下面20Bに樹脂フィルムをラミネートする。そして、樹脂フィルムを押圧しながら、例えば130以上200℃以下となる硬化温度以上の温度で、ラミネートされた構造体を熱処理し、樹脂フィルムを硬化させることによって、各絶縁層31,41を形成する。なお、樹脂フィルムを真空雰囲気中でラミネートする方法は、ボイドの巻き込みを抑制する効果を有する。樹脂フィルムは、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂のフィルムである。
【0054】
また、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂から各絶縁層31,41を形成する場合には、コア基板20の上面20A、および、下面20Bに、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法などによって塗布する。そして、塗布された絶縁性樹脂を硬化温度以上の温度で熱処理して硬化させることによって、各絶縁層31,41を形成する。なお、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂である。
【0055】
なお、各絶縁層31,41を形成する前に、各配線層22,23に対して粗化処理を施してもよい。粗化処理によって表面を粗化された各配線層22,23は、各絶縁層31,41と各配線層22,23との密着性を高める。なお、粗化処理は、例えば、黒化処理、エッチング処理、めっき、ブラストなどである。
【0056】
次に、
図3(a)に示す工程では、配線層22の上面の一部が露出されるように、絶縁層31の所定箇所に、複数の貫通孔31Xを形成すると共に、配線層23の下面の一部が露出されるように、絶縁層41の所定箇所に、複数の貫通孔41Xを形成する。各貫通孔31X,41Xは、例えば、炭酸ガスレーザやUV‐YAGレーザなどによるレーザ加工法によって形成される。各貫通孔31X,41Xを形成した後に、デスミア処理を行い、それによって、各貫通孔31X,41Xの底部に露出する各配線層22,23の露出面から、その露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
【0057】
次に、
図3(b)に示す工程では、絶縁層31の貫通孔31Xに充填されたビア配線層32を形成する。また、ビア配線層32を介して配線層22と電気的接続され、かつ、絶縁層31の上面に位置する配線層34を形成する。また、絶縁層41の貫通孔41Xに充填されたビア配線層を形成する。また、ビア配線層を介して配線層23と電気的接続され、かつ、絶縁層41の下面に位置する配線層42を形成する。各配線層34,42は、例えば、セミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0058】
次に、
図4(a)に示すように、絶縁層31の上面、および、配線層34を被覆する第1樹脂層33Aを形成する。また、配線層34の上面の一部が露出されるように、第1樹脂層33Aの所定箇所に、複数の貫通孔33Xを形成する。各貫通孔33Xは、例えば、炭酸ガスレーザやUV‐YAGレーザなどによるレーザ加工法によって形成される。各貫通孔33Xを形成した後に、デスミア処理を行い、それによって、各貫通孔33Xの底部に露出する各配線層34の露出面から、その露出面に付着した樹脂スミアを除去する。このデスミア処理によって、貫通孔33Xの内面、および、第1樹脂層33Aの上面SAは粗化される。そして、第1樹脂層33Aの上面SAに、複数の窪みGAが形成される。
この際、貫通孔33Xの内面は、絶縁性樹脂が形成する面と、フィラー33Fの外表面とを含む。シリカやアルミナなどの無機材料を主成分とするフィラー33Fは、絶縁性樹脂と比べて、レーザ加工法による処理やデスミア処理によって加工され難い。そのため、貫通孔33Xの内面は、絶縁性樹脂が形成する面から、フィラー33Fの外表面が突き出るような、凹凸面となる。
【0059】
次に、
図4(b)に示す工程では、貫通孔33Xの内面を含め、第1樹脂層33Aの表面の全面を被覆するように、シード層を形成し、そのシード層を給電層とする電解めっき法を施す。例えば、第1樹脂層33Aの表面の全面を被覆するシード層を、無電解銅めっき法によって形成し、そのシード層を給電層とする電解銅めっき法を施して、導電層35Aを形成する。これによって、各貫通孔33X、および、各窪みGAを充填すると共に、第1樹脂層33Aの上面SAを被覆する導電層35Aを形成する。貫通孔33Xを充填する導電層35Aの外周面は、貫通孔33Xの内面である凹凸面に追従した形状を有する。例えば、導電層35Aの外周面は、絶縁性樹脂から構成される面に追従した形状、すなわち、粗化された面に追従した形状を有する。また、貫通孔33Xの内面でフィラー33Fの外表面が突き出る場合、導電層35Aの外周面は、フィラー33Fの外表面に追従した形状を有する。
【0060】
なお、導電層35Aの体積は、上述した配線層50の体積と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、導電層35Aは、第1樹脂層33Aにおける上面SAの全体に形成されてもよい。上記導電層35Aの体積は、配線基板10の製造過程において、コア基板20の反り量を低減させることを目的として適宜変更される。
【0061】
次に、
図5(a)に示すように、研磨の一例であるCMP法(Chemical Mechanical Polishing)を用いて、第1樹脂層33Aの上面SAから突出する導電層35Aを研磨する。そして、複数の窪みGAを有した第1樹脂層33Aの上面SAの一部を研磨する。これによって、貫通孔33Xに充填されたビア配線層35が形成される。また、ビア配線層35の上端面35Sが形成されると共に、第1樹脂層33Aの上面SAが、平滑化された第1研磨面として加工される。この際、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、ビア配線層35の上端面35Sによって、その進行を抑制される。そのため、ビア配線層35の周囲においては、第1樹脂層33Aの上面SAが、ビア配線層35の上端面35Sに向けて反り上がる。
【0062】
研磨前における第1樹脂層33Aの上面SAは、窪みGAや、窪みGAに埋め込まれた導電性材料を有する。これに対して、研磨後における第1樹脂層33Aの上面SAからは、窪みGAや、窪みGAに埋め込まれた導電性材料が除去される。あるいは、研磨後における第1樹脂層33Aの上面SAが窪みGAを有するとしても、窪みGAの大きさは、研磨前よりも十分に小さい。このように、本工程では、ビア配線層35の上端面35Sが露出した後に、窪みGAや、窪みGAに埋め込まれた導電性材料が除去されるように、第1樹脂層33Aの上面SAが研磨され、第1樹脂層33Aの上面SAが平滑化される。なお、貫通孔33Xの内面は、依然として粗面化された状態のままであるため、第1樹脂層33Aの上面SAは、貫通孔33Xの内面よりも表面粗度が低い。
【0063】
第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、最小樹脂厚さD2がゼロとなる範囲で、その処理を終了してもよいし、最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きくなるように、その処理が続けられてもよい。なお、第1樹脂層33Aの上面SAに形成された窪みGAを上面SAから除去できる観点において、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きくなるように続けられることが好適である。また、窪みGAに埋め込まれた導電性材料を除去できる観点においても、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きくなるように続けられることが好適である。最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きくなるように、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨が行われると、ビア配線層35における外周面の一部は、第1樹脂層33Aの上面SAから露出する。この際、第1樹脂層33Aの上面SAから露出するビア配線層35の外周面は、フィラー33Fの外表面に追従した形状、すなわち、フィラー33Fの脱粒した窪み35Gを有する。
【0064】
次に、
図5(b)に示すように、第1樹脂層33Aの上面SA、および、ビア配線層35の上端面35Sを覆うように、樹脂ワニスが塗布される。そして、塗布膜の乾燥と硬化とを経て、第2樹脂層33Bが形成される。樹脂ワニスは、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂を溶剤に溶解した液状体である。樹脂ワニスでのフィラーの含有率は、第1樹脂層33Aでのフィラーの含有率よりも低く、第2樹脂層33Bでのフィラーの含有率と同じである。
【0065】
樹脂ワニスの塗布によって形成された第2樹脂層33Bの下面は、第1樹脂層33Aの上面SAに追従する形状を有する。また、樹脂ワニスの塗布によって形成された第2樹脂層33Bの下面は、ビア配線層35の上端面35Sに追従する形状を有する。さらに、ビア配線層35の外周面に追従するように、第2樹脂層33Bが窪み35Gを埋める。これによって、第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの境界が、フィラーの含有率の境界として形成される。なお、第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの密着性が高められる観点において、第2樹脂層33Bを形成するための樹脂ワニスは、第1樹脂層33Aの材料と同じ成分を備えることが好適である。なお、金属材料によって形成されたビア配線層35と、熱硬化性樹脂によって形成された第2樹脂層33Bとの密着性は、通常、金属層同士の密着性や、樹脂層同士の密着性よりも低い。一方、ビア配線層35の窪み35Gを第2樹脂層33Bが埋める構造は、第2樹脂層33Bのなかで窪み35Gを充填する部分を、楔として機能させる。結果として、ビア配線層35と第2樹脂層33Bとの密着性を確保することが可能ともなる。
【0066】
次に、
図6(a)に示すように、研磨の一例であるCMP法や機械研磨法を用いて、第2樹脂層33Bの上面を研磨する。第2樹脂層33Bの上面に対する研磨は、ビア配線層35の上端面35Sが第2樹脂層33Bの上面から露出するまで行われる。これによって、第2樹脂層33Bの上面と、ビア配線層35の上端面35Sとが面一となり、第2樹脂層33Bの上面は、平滑化された第2研磨面として加工される。そして、第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの積層体として、絶縁層33が形成される。
【0067】
例えば、研磨前における第2樹脂層33Bの上面の表面粗さRa値が300nm以上400nm以下であることに対し、研磨後における第2樹脂層33Bの上面の表面粗さRa値は15nm以上40nm以下となる。言い換えれば、本工程では、ビア配線層35の上端面35Sが露出すると共に、第2樹脂層33Bの上面が平滑化されるように、第2樹脂層33Bの上面が研磨される。なお、貫通孔33Xの内面は、依然として粗面化された状態のままであるため、第2樹脂層33Bの上面は、貫通孔33Xの内面よりも表面粗度が低い。
以上の各製造工程によって、配線構造11に対応する構造体が製造される。
【0068】
次に、
図6(b)に示す工程では、まず、絶縁層33の上面SB、および、ビア配線層35の上端面35Sを被覆するように、シード層50Aを形成する。シード層50Aは、例えば、スパッタ法や無電解めっき法によって形成する。本工程では、絶縁層33の上面SBが平滑面であるため、その上面SBに対するスパッタ法によってシード層50Aを均一に形成することができ、シード層50Aの上面を平滑に形成することができる。このため、粗化面に対するスパッタ法によってシード層50Aを形成する場合と比べて、シード層50Aを薄く形成することができる。
【0069】
例えば、スパッタ法によってシード層50Aを形成する場合には、まず、絶縁層33の上面SB、および、ビア配線層35の上端面35Sを被覆するように、上面SB、および、上端面35Sに、スパッタリングによってチタンを堆積させて、チタン層を形成する。その後、スパッタリングによってチタン層に銅を堆積させて、銅層を形成する。これによって、2層構造のシード層50Aを形成することができる。このとき、チタン層の厚さは、例えば20nm以上50nm以下とすることができ、銅層の厚さは、例えば100nm以上300nm以下とすることができる。
【0070】
このように、シード層50Aの下層にチタン層を形成することによって、絶縁層33とシード層50Aとの密着性を向上させることができる。なお、チタン層を窒化チタン層に変更し、窒化チタン層と銅層とからなる2層構造のシード層50Aを形成してもよい。チタンや窒化チタンは、銅よりも耐腐食性の高い金属であり、銅よりも絶縁層33との密着性が高い金属である。また、無電解めっき法によってシード層50Aを形成する場合には、例えば、無電解銅めっき法によって銅層のみからなるシード層50Aを形成することができる。
【0071】
次に、シード層50Aの上面における所定の箇所に、開口部101Xを有したレジスト層101を形成する。開口部101Xは、配線層50の形成される領域に、シード層50Aを露出する。レジスト層101の材料は、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性を有する。レジスト層101の材料は、例えば、感光性のドライフィルムレジストや液状のフォトレジストである。
【0072】
次に、
図7(a)に示す工程では、レジスト層101をめっきマスクとして、シード層50Aの上面に、シード層50Aをめっき給電層に利用した電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層101の開口部101Xから露出されたシード層50Aの上面に電解めっき法を施す。これによって、開口部101Xから露出されたシード層50Aの上面に、金属層50Bが形成される。
【0073】
次に、
図7(b)に示す工程では、例えばアルカリ性の剥離液によってレジスト層101を除去する。次いで、金属層50Bをエッチングマスクとして、金属層50Bの隙間から露出する不要なシード層50Aを、エッチングによって除去する。これによって、ビア配線層35の上端面35S、および、絶縁層33の上面SB上に、配線層50が形成される。
【0074】
次に、
図8(a)に示す工程では、絶縁層33の上面SBに、配線層50を覆う絶縁層51を形成する。また、
図8(b)に示すように、配線層50における上面の一部を露出する貫通孔51Xを絶縁層51に形成する。
【0075】
例えば、絶縁層51として樹脂フィルムを用いる場合には、絶縁層33の上面SBに樹脂フィルムを熱圧着によりラミネートし、その樹脂フィルムをフォトリソグラフィ法でパターニングすることによって、絶縁層51を形成する。このとき、樹脂フィルムを真空雰囲気中でラミネートすることによって、ボイドの巻き込みを抑制する。なお、樹脂フィルムとしては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂のフィルムを用いることができる。また、絶縁層51として、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂を用いる場合には、例えば、絶縁層33の上面SBに、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法などによって塗布し、その絶縁性樹脂をフォトリソグラフィ法でパターニングすることによって、絶縁層51を形成する。なお、液状、または、ペースト状の絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を用いることができる。
【0076】
なお、感光性樹脂からなる絶縁層51における上面の表面粗さRa値は、例えば、2nm以上10nm以下とすることができる。すなわち、絶縁層51の上面は、貫通孔33Xの内面よりも表面粗度が低い。
【0077】
次に、
図9に示す工程では、貫通孔51Xに充填されたビア配線層を形成し、また、ビア配線層を介して配線層50と電気的接続され、絶縁層51の上面に位置する配線層52を形成する。配線層52、および、ビア配線層は、貫通孔51Xの内面、および、貫通孔51Xの周辺における絶縁層51の上面を被覆するシード層と、そのシード層上に形成された金属層とから構成される。配線層52は、例えば、
図6(b)〜
図7(b)に示した工程と同様に、セミアディティブ法を用いて形成することができる。次に、絶縁層51の上面に、各配線層52の上面の一部を露出する貫通孔53Xを有した絶縁層53を形成する。また、各貫通孔53Xに充填されたパッドP1を形成する。
以上の製造工程によって、配線構造11に配線構造12を積層する。
【0078】
次に、配線基板10、および、配線基板10の製造方法による作用を説明する。
なお、
図10は、上記配線基板10の作用を明りょうにするため、絶縁層33に相当する層を第1樹脂層33Aのみによって構成した参考例となる配線基板を例示する。すなわち、ビア配線層35の上端面35Sに向けて反り上がるように上面SAを研磨する工程、および、第2樹脂層33Bを形成する工程を割愛することによって得られる配線基板を例示する。
【0079】
図10に示すように、第1樹脂層33Aの上面SAは、デスミア処理によって形成された複数の窪みGAを有する。各窪みGAの内部には、ビア配線層35の形成によって埋め込まれた導電性材料が位置する。ビア配線層35の上端面35Sを形成するための研磨は、結局のところ、導電性材料を研磨するための加工であるため、第1樹脂層33Aの窪みGAに埋め込まれた導電性材料は、ビア配線層35の上端面35Sを形成する工程を経た後も、このように窪みGAのなかに残り続ける。
【0080】
窪みGAに導電性材料が埋め込まれた状態で配線層50が形成されると、相互に隣り合う配線層50の間隙に窪みGAが位置する場合がある。相互に隣り合う配線層50の間隙に窪みGAが位置する場合、相互に隣り合う配線層50の下面は、窪みGAのなかの導電性材料によって電気的接続されやすくなる。結果として、相互に隣り合う配線層50を短絡させて、配線基板の製造における歩留まりの向上を妨げてしまう。
【0081】
これに対して、
図1(b)に示したように、配線基板10における第1樹脂層33Aの上面SAは、第1樹脂層33Aに対する研磨によって、ビア配線層35の上端面35Sから窪むように加工される。そして、第1樹脂層33Aの上面SAに形成された窪みに第2樹脂層33Bが埋め込まれ、第2樹脂層33Bに対する研磨によって、第2樹脂層33Bの上面と、ビア配線層35の上端面35Sとが面一となる。その結果、第1樹脂層33Aの上面SAに位置する窪みGA、および、窪みGAに埋め込まれた導電性材料は除去され、相互に隣り合う配線層50の下面は、第2樹脂層33Bによって電気的に絶縁される。
【0082】
なお、第1樹脂層33Aの上面SAに位置する窪みGAは、デスミア処理による上面SAの粗化の他に、例えば、第1樹脂層33Aが含むフィラーの脱粒によっても形成される。ビア配線層35を形成する前にフィラーの脱粒が生じた場合には、デスミア処理による上面SAの粗化と同様に、脱粒後の窪みに導電性材料が埋め込まれる。結果として、相互に隣り合う配線層50を短絡させて、配線基板の製造における歩留まりの向上を妨げてしまう。また、ビア配線層35を形成した後にフィラーの脱粒が生じる場合には、脱粒後の窪みにシード層50Aが形成され難くなる。結果として、上面SAに脱粒後の窪みが残った状態では、配線層50が形成され難くなり、これもまた、配線基板の製造における歩留まりの向上を妨げてしまう。また、相互に隣り合う配線層50の間隙でフィラーの脱粒が生じた場合には、脱粒後の窪みが絶縁層51によって埋められるとしても、相互に隣り合う配線層50では、マイグレーションが生じやすくなる。
【0083】
この点、配線基板10の第2樹脂層33Bは、それのフィラーの含有率が、第1樹脂層33Aの含有率よりも低い。それゆえに、デスミア処理による窪みGAの形成に起因した歩留まりの低下、および、フィラーの脱粒に起因した歩留まりの低下の少なくとも一方を軽減することが可能ともなる。
【0084】
次に、半導体装置70の構成を説明する。
図11に示すように、半導体装置70は、配線基板10と、1または複数の半導体チップ80と、アンダーフィル樹脂85と、外部接続端子86とを備える。
半導体チップ80は、配線基板10にフリップチップ実装されている。半導体チップ80の下面である回路形成面は、複数のバンプ82を備える。各バンプ82は、配線基板10のパッドP1に接合する。半導体チップ80は、バンプ82を介して配線層52と電気的接続される。
【0085】
半導体チップ80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップである。また、半導体チップ80は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップである。なお、配線基板10に複数の半導体チップ80を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとの組み合わせが、配線基板10に搭載される。
【0086】
半導体チップ80の大きさは、例えば、平面視で3mm×3mm〜12mm×12mmである。また、半導体チップ80の厚さは、例えば、50μm以上100μm以下である。
【0087】
バンプ82は、例えば、金バンプやはんだバンプである。はんだバンプの材料は、例えば、鉛を含む合金、錫と金との合金、錫と銅との合金、錫と銀との合金、錫と銀と銅の合金などである。
【0088】
アンダーフィル樹脂85は、配線基板10と半導体チップ80との隙間を充填する。アンダーフィル樹脂85の材料は、例えば、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂である。
【0089】
外部接続端子86は、配線基板10における外部接続用パッドP2の下面に位置する。外部接続端子86は、例えば、マザーボードなどの実装基板に設けられたパッドと電気的接続される。外部接続端子86は、例えば、はんだボールやリードピンである。なお、本例では、外部接続端子86として、はんだボールを図示する。
【0090】
次に、半導体装置70の製造方法について説明する。
まず、外部接続用パッドP2にはんだボールを搭載し、例えば、240℃以上260℃以下の温度でリフローして固定する。次に、配線基板10に半導体チップ80を実装する。具体的には、配線基板10のパッドP1に、半導体チップ80のバンプ82をフリップチップ接合する。続いて、フリップチップ接合された半導体チップ80と配線基板10との間に、アンダーフィル樹脂85を充填して、そのアンダーフィル樹脂85を硬化する。
以上の製造工程により、半導体装置70を製造することができる。
【0091】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)配線層34と配線層50とを電気的接続するための貫通孔33Xの形成は、第1樹脂層33Aに対して行われる。すなわち、貫通孔33Xを形成するためのデスミア処理は、第1樹脂層33Aの上面SAに対して行われる。一方、デスミア処理の実施によって上面SAに形成される窪みGAは、ビア配線層35の上端面35Sを形成する際に、研磨によって除去される。そして、配線層50の下地となる絶縁層33の上面SBは、第2樹脂層33Bの上面によって構成され、第2樹脂層33Bの上面の形成は、貫通孔33Xを形成するためのデスミア処理の後に行われる。それゆえに、配線層50の下地である絶縁層33の上面SBに、窪みGAや、窪みGAに埋め込まれた導電性材料などが残ることが抑えられる。結果として、配線基板の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0092】
(2)第2樹脂層33Bでのフィラーの含有率が、第1樹脂層33Aでのフィラーの含有率よりも低いため、絶縁層33からフィラーが脱粒することによる歩留まりの低下を低減させることもできる。
【0093】
(3)最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きい場合には、第1樹脂層33Aでの上面SAの研磨量を大きくできる。そのため、第1樹脂層33Aの上面SAに形成された窪みGAを除去しやすくできる。結果として、第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの間に導電性材料が残存することを抑えられる。
【0094】
(4)ビア配線層35と配線層50との電気的接続を確保することを目的として、配線層50の下面は、通常、ビア配線層35の上端面35Sよりも、所定の余裕寸法を有して大きく設計される。相互に隣り合う配線層50での短絡は、こうした配線層50の下面間での短絡であり、ビア配線層35の上端面35Sから余裕寸法以上離れた部位での短絡である。この点、第2樹脂層33Bの厚さは、ビア配線層35に近い部位ほど薄く、ビア配線層35から遠い部位ほど厚い。窪みGAに埋め込まれた導電性材料の除去は、第2樹脂層33Bのなかで厚さが厚い部位ほど、より確実に行われる。結果として、窪みGAに埋め込まれた導電性材料の除去は、相互に隣り合う配線層50での短絡が生じやすい部位に対して、より確実に行われる。第1樹脂層33Aと第2樹脂層33Bとの間に位置する導電性材料は、配線層50との直接的な接続が無いとはいえ、配線層50における信号の伝達に影響を及ぼす場合がある。そのため、第2樹脂層33Bの厚さがビア配線層35から遠い部位ほど厚い構成であれば、上記(1)に準じた歩留まりを向上させる効果を、より顕著に得ることが可能ともなる。
【0095】
なお、上記実施形態は、以下の態様にて実施することもできる。
・第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、窪みGAの大きさを縮小する処理である。すなわち、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨は、研磨後の第1樹脂層33Aでの上面SAに、縮小された窪みGAが残ることを妨げるものではない。縮小された窪みGAは、導電性材料を埋められた状態、あるいは、第2樹脂層33Bを埋められた状態であってもよい。こうした構成であっても、絶縁層33の上面SBにおいて窪みGAの形成が抑えられる以上、上記(1)から(4)に準じた効果は得られる。
【0096】
・シード層50Aを形成する前に、絶縁層33の上面SBに、酸素プラズマアッシングなどのプラズマ処理を施すように変更できる。プラズマ処理は、絶縁層33の上面SBを粗化する。絶縁層33の上面SBを粗化することによって、シード層50Aと絶縁層33との密着性を高めることができる。ただし、絶縁層33の上面SBの粗度を低減して平滑度を向上することによって、上面SBに微細配線を形成することが可能となる。そのため、プラズマ処理では、後工程での微細配線の形成に支障のない程度に、絶縁層33の上面SBを粗化する。こうした方法であっても、配線層50以外の導電性材料が絶縁層33の上面SBに残ることは抑えられる。そのため、上記(1)から(4)に準じた効果は得られる。
【0097】
・絶縁層33と対向する方向から見て、単位面積あたりでのビア配線層35の密度は、均一であってもよいし、単位領域ごとに区々であってもよい。単位面積あたりでのビア配線層35の密度が不均一である場合、第1樹脂層33Aの上面SAが有する形状は、例えば、単位領域ごとに異なるように変更される。例えば、単位面積あたりでのビア配線層35の密度が高い単位領域では、最小樹脂厚さD2が小さい。一方で、単位面積あたりでのビア配線層35の密度が低い単位領域では、最小樹脂厚さD2が大きい。
【0098】
・各絶縁層31,33の材料は、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などを主成分とする感光性の絶縁性樹脂に変更される。
・貫通孔33Xを形成するとき、貫通孔33Xの内面が、フィラー33Fの外表面を含むとは限らない。貫通孔33Xの内面が、フィラー33Fの外表面を含まない場合、その貫通孔33Xを充填するビア配線層35の外周面は、窪み35Gを含まない連続面であり、また、第2樹脂層33Bは、窪み35Gを充填する部分を含まない。なお、最小樹脂厚さD2がゼロとなるように、第1樹脂層33Aの上面SAに対する研磨が行われる場合には、ビア配線層35の外周面に食い込んだフィラー33Fは、ビア配線層35の外周面から脱粒し難い。そのため、窪み35Gを利用してビア配線層35と第2樹脂層33Bとの密着性を高める観点においては、最小樹脂厚さD2がゼロよりも大きいことが好ましい。
【0099】
・第1樹脂層33A、および、第2樹脂層33Bからなる積層構造は、絶縁層31に適用できる。第1樹脂層33A、および、第2樹脂層33Bからなる積層構造が、各絶縁層31,33に適用される構成であれば、絶縁層33の上面SBにおける平坦性を確保することが容易ともなる。なお、窪みGAの形成やフィラーの脱粒によって、配線層の信頼性が低下することは、配線層間の間隙が小さい高密度配線層において著しい。そのため、第1樹脂層33A、および、第2樹脂層33Bからなる積層構造が、絶縁層33に適用される構成であれば、上記(1)から(4)に準じた効果が、より顕著に得られる。