【解決課題】触媒金属の利用率が高く、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に特に高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発現することができる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池を提供する。
【解決手段】炭素材料であるカーボンブラックと、触媒金属からなり、カーボンブラックに担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなり、カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とからなる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末であり、カーボンブラックは、BET比表面積が1000m
吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、かつ、触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池である。
炭素材料であるカーボンブラックと、触媒金属からなり、前記カーボンブラックに担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなり、前記カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とからなる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末であり、
前記カーボンブラックは、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、かつ、
前記触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と前記カーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末。
炭素材料であるカーボンブラックに触媒金属からなる触媒金属粒子を担持させ、得られた触媒金属担持カーボンブラックの表面を電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆して触媒粉末を製造する方法であって、
前記カーボンブラックは、BET比表面積が1000m2/g以上であって、このBET比表面積に対してN2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、
このカーボンブラックに前記触媒金属粒子を担持させて得られた触媒金属担持カーボンブラックと前記電解質樹脂とを、前記電解質樹脂(I)と前記カーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内になるように分散媒中に分散させ、温度50〜100℃及び10〜20時間の条件で撹拌下に接触させ、前記触媒金属担持カーボンブラックの表面を前記電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆することを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般的な固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性電解質膜を挟んでアノードとなる触媒層とカソードとなる触媒層とが配置され、更にこれらを挟んで触媒層の外側にガス拡散層が配置され、更にこれらを挟んでガス拡散層の外側にセパレーターが配置された基本構造を有し、通常は、必要な出力を達成するために、上記の基本構造を単位セルとし、必要な数の単位セルをスタックして電池を構成している。
【0003】
このような基本構造の固体高分子形燃料電池から電流を取り出すためには、アノードとカソードの両極に配されたセパレーターのガス流路からガス拡散層を介して、カソード側には酸素あるいは空気等の酸化性ガスを、また、アノード側には水素等の還元性ガスをそれぞれ触媒層まで供給し、各触媒層で起こる還元性ガス及び酸化性ガスの化学反応を利用して電流を取り出す。例えば、還元性ガスが水素ガスであって酸化性ガスが酸素ガスである場合には、アノード側触媒層の触媒上で起こる下記の化学反応(1)と、カソード側触媒層の触媒上で起こる下記の化学反応(2)との間のエネルギー差(電位差)を利用し、電流を取り出している。
H
2 → 2H
++2e
−(E
0=0V)……(1)
O
2+4H
++4e
− → 2H
2O(E
0=1.23V)……(2)
【0004】
そして、上記の化学反応(1)及び(2)に利用されるアノード側及び/又はカソード側の触媒層には、これら必要な化学反応(1)及び(2)を促進する機能を有する触媒金属、具体的には白金、パラジウム、金、タングステン、コバルト、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、モリブデン等の純金属や、これらの金属の炭化物、窒化物等の金属化合物が使用されるが、純金属としてはPtが最も高い反応活性を有することから、一般的には白金(Pt)若しくはPtを主成分とするPt合金が使用されている。ここで、Ptと共に使用される金属元素としては、触媒金属としての活性向上を目的としてCo、Ni、Fe、Pd、Au、Ru、Rh、Ir等があるが、これら金属元素の添加量は、このPt以外の金属元素の添加量が50at%を超えると、触媒金属の粒子表面におけるPt以外の金属元素の存在割合が多くなり、燃料電池の作動下で溶解して発電性能が低下する場合があることから、通常、Ptに対する原子組成百分率として50at%以下である。
【0005】
また、白金(Pt)については、その資源埋蔵量に制約があり、高価であることから、国の産業上の方針として白金触媒の使用量を削減することが挙げられている(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 燃料電池・水素技術開発ロードマップ2010)。従って、固体高分子形燃料電池の低コスト化を達成して普及を図るためには、白金原子の使用量を可及的に低減することができる触媒の開発が必要不可欠になっている。
【0006】
そこで、従来においても、固体高分子形燃料電池において、白金使用量を低減するために、様々な観点で様々な試みがなされている。
例えば、特許文献1及び2においては、触媒金属成分、電解質材料(電解質樹脂)、及び炭素材料を含む触媒層に関して、前記炭素材料については触媒金属成分を担持した触媒金属担体炭素材料と触媒金属成分を担持していないガス拡散炭素材料とで構成し、また、これら触媒金属担体炭素材料とガス拡散炭素材料の保水性を最適化して、触媒層内で電子伝導経路が分断されることなく低加湿時及び高加湿時のあらゆる運転環境下において十分な発電特性を発揮する固体高分子型燃料電池が提案されている。
【0007】
また、特許文献3においては、触媒層において、第1電解質樹脂で被覆されたPt担持カーボン粒子と、第2電解質樹脂で被膜されたPt未担持カーボン粒子とを混在させ、また、第2電解質樹脂として、イオン交換基当量が第1電解質樹脂のイオン交換基当量よりも小さくてより高い保水性を備えた電解質樹脂を用い、発電能力の低下抑制において実効性の高い触媒層及びこれを用いた燃料電池が提案されている。
【0008】
更に、特許文献4においては、触媒と、この触媒が担持された電子伝導体(カーボン粒子)と、電子伝導体を覆う炭化水素系のプロトン伝導性樹脂(電解質樹脂)とを有する燃料電池の触媒電極層(触媒層)において、前記プロトン伝導性樹脂として分子量が異なる少なくとも2種類以上のプロトン伝導性樹脂を用い、電子伝導体側により小さな分子量のプロトン伝導性樹脂を用い、また、その外側により大きな分子量のプロトン伝導性樹脂を用い、これによってカーボンブラック等の電子伝導体の細孔内部にプロトン伝導性樹脂を侵入させ、電子伝導体の細孔内部に存在する触媒金属の有効利用率を改善し、電池出力を改善した燃料電池が提案されている。
【0009】
また、特許文献5においては、水と有機溶媒とを含有する分散媒に、触媒を担持した触媒担体と、プロトン伝導性アイオノマーとを分散させた燃料電池の電極形成用触媒インクであって、この触媒インクによって形成される電極触媒層における三相界面(すなわち、電極触媒層内を通過するガスの流路と、電極触媒層を形成するアイオノマーと、電極触媒層を形成する触媒担体に担持された触媒とが接する界面)での触媒へのガス接触機会を増やすための手法として、触媒への表面積当たりのアイオノマーの吸着量(BI値)と、触媒の周囲に10nm以上の細孔が分布している細孔分布における表面積(CAs)とに着目し、これに基づいて水と有機溶媒との重量比を調整して最適化することにより、高い発電能力を備えた燃料電池を製造できるとされた電極形成用触媒インクの発明が提案されている。
【0010】
更にまた、特許文献6においては、触媒と、この触媒の表面に接する高酸素透過アイオノマー又は高酸素透過ポリマーからなる第1層と、この第1層の表面に接する第2アイオノマーからなる第2層とを備え、前記第1層を形成する高酸素透過アイオノマー又は前記高酸素透過ポリマーが、前記第2層を形成する第2アイオノマーよりも、触媒との界面における酸素移動抵抗が小さいことに特徴を有し、酸素透過性が高く、低コストであって出力性能を低下させることがなく、触媒使用量を低減することが可能な燃料電池用の触媒層が提案されている。
【0011】
しかしながら、炭素材料、触媒金属、及び電解質樹脂を含む触媒層において電解質樹脂に着目してみると、この電解質樹脂には、触媒金属を被覆し三相界面を形成して触媒金属の利用率を高める役割と、触媒を形成する触媒粒子の粒子間を接着して形成される触媒層においてプロトン伝導経路となる役割と、この触媒層を多孔性に形成して触媒層に還元性ガスや酸化性ガスのガス拡散経路となる役割とがあり、触媒金属の利用率を高めるという観点から精査してみると、触媒層を構成する炭素材料の種類が異なる場合に、作製された固体高分子形燃料電池においてその電池性能が低下することがあり、上述した特許文献1〜6においても、特に高加湿条件下及び低加湿条件下での電池性能の安定化という点で必ずしも十分であるとは言えないことが判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明者らは、触媒層を構成する炭素材料の種類に応じて触媒金属の利用率が低下し、電池性能が低下することの原因について鋭意検討した結果、意外なことには、炭素材料、触媒金属、及び電解質樹脂で触媒粉末を形成し、この触媒粉末を用いて触媒層を形成するに際し、触媒粉末を形成する際に使用される炭素材料の種類に応じて、この炭素材料における全体のBET比表面積に対する外表面積の割合、及び触媒粉末を形成する際の電解質樹脂と炭素材料との質量比率に大きな違いがあり、それぞれ適切な範囲が存在することを突き止めた。
【0014】
そして、更にこの問題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、炭素材料としてBET比表面積1000m
2/g以上のカーボンブラックを用いた場合には、このBET比表面積に対してN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、また、電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内である場合に触媒金属の利用率が高くなり、高加湿条件下及び低加湿条件下での発電性能を安定化できることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
従って、本発明の目的は、触媒金属の利用率が高く、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に特に高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発現することができる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を用いて製造された固体高分子形燃料電池を提供することにある。
【0016】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 炭素材料であるカーボンブラックと、触媒金属からなり、前記カーボンブラックに担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなり、前記カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とからなる固体高分子形燃料電池用の触媒粉末であり、前記カーボンブラックは、BET比表面積が1000m
2/g以上であって、このBET比表面積に対してN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、かつ、前記触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)と前記カーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末。
(2) 炭素材料であるカーボンブラックに触媒金属からなる触媒金属粒子を担持させ、得られた触媒金属担持カーボンブラックの表面を電解質樹脂で被覆して触媒粉末を製造する方法であって、
前記カーボンブラックは、BET比表面積が1000m
2/g以上であって、このBET比表面積に対してN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、
このカーボンブラックに前記触媒金属粒子を担持させて得られた触媒金属担持カーボンブラックと前記電解質樹脂とを、前記電解質樹脂(I)と前記カーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内になるように分散媒中に分散させ、温度50〜100℃及び10〜20時間の条件で撹拌下に接触させ、前記触媒金属担持カーボンブラックの表面を前記電解質樹脂からなる触媒被覆部で被覆することを特徴とする固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法。
(3) プロトン伝導性電解質膜を挟んだ一対のアノード触媒層及びカソード触媒層を有する固体高分子形燃料電池であり、少なくとも前記カソード触媒層を形成する触媒粉末が、炭素材料であるカーボンブラックと、触媒金属からなると共に前記カーボンブラックに担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂からなると共に前記カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とを有し、前記触媒粉末を形成するカーボンブラックは、BET比表面積が1000m
2/g以上であって、このBET比表面積に対してN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合が20〜40%の範囲内であり、かつ、前記触媒粉末を形成する触媒被覆部の電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2〜0.6の範囲内であることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
【発明の効果】
【0017】
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末によれば、触媒金属の利用率が高く、また、触媒層を形成して固体高分子形燃料電池に組み込んだ際に特に高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発現することができ、これによって固体高分子形燃料電池において白金原子の使用量を可及的に低減することができる。
また、本発明によれば、上記の如き固体高分子形燃料電池用の触媒粉末の製造方法を提供することができ、また、このような固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を用いて製造され、白金原子の使用量を可及的に低減した固体高分子形燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びにこの触媒粉末を用いた固体高分子形燃料電池について詳細に説明する。
先ず、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末は、
図1及び
図2に示すように、炭素材料であるカーボンブラック1と、前記カーボンブラック1に担持された触媒金属からなる触媒金属粒子2と、電解樹脂であって前記カーボンブラック1及び触媒金属粒子2を被覆する触媒被覆部3とからなり、これらカーボンブラック1と触媒金属粒子2と触媒被覆部3との間には、前記触媒金属粒子2が前記カーボンブラック1及び触媒被覆部3の電解質樹脂に接触する界面(三相界面)4が形成され、この三相界面における触媒金属粒子2の表面が燃料電池における反応場として機能する。なお、
図2において、「e
-」は触媒金属粒子2からカーボンブラック1へと電子が移動する様子を示し、また、「H
+」は触媒金属粒子2の表面で生成した水素イオンが電解質樹脂からなる触媒被覆部3中へと拡散する様子を示している。
【0020】
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末は、上記の
図1及び
図2に示すような触媒粉末において、炭素材料としてのカーボンブラックと、白金(Pt)若しくはこのPtを主成分としてCo、Ni、Fe、Pd、Au、Ru、Rh、Ir等の金属元素が活性向上等を目的として原子組成百分率50at%以下の割合で添加された白金合金(Pt合金)からなる触媒金属であって前記カーボンブラックに担持された触媒金属粒子と、電解質樹脂であって前記カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部とを備えているものである。
【0021】
そして、本発明において、炭素材料としてのカーボンブラックについては、その全体のBET比表面積が通常1000m
2/g以上、好ましくは1000m
2/g以上1800m
2/g以下、より好ましくは1200m
2/g以上1600m
2/g以下であり、また、このBET比表面積に対してN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合(以下、単に「外表面積割合」ということがある。)が20%以上40%以下、好ましくは20%以上30%以下の範囲内である。ここで、全体のBET比表面積が1000m
2/gより小さいと、触媒金属粒子が担持されるサイトが小さくなって触媒金属粒子が密集して担持され、燃料電池運転条件下(例えば、燃料電池自動車のアクセルのON/OFFの際に0.6〜1.0Vの範囲で電位変動が発生する。)において触媒金属粒子が凝集し粗大化して電池性能が低下する虞がある。また、前記BET比表面積に対する外表面積の割合(外表面積割合)が20%より小さいと、たとえ後述する触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)を適切な値の範囲内に調整しても、触媒被覆部を介したプロトン(H
+)伝導経路の確保が難しくなり、所望の数の三相界面を形成することが困難になって触媒金属の利用率が低下し、反対に、この外表面積割合が60%を超えると、この触媒被覆部の厚さが増してカーボンブラックに担持された触媒金属粒子へのガス拡散性が低下して触媒金属の利用率が低下し、結果として電池性能が低下する虞がある。
【0022】
また、このカーボンブラックについては、好ましくは、そのDBP給油量が300ml/100g以上700ml/100g以下、好ましくは350ml/100g以上650ml/100g以下であるのがよく、300ml/100g未満では、必要なBET比表面積1000m
2/g以上のカーボンブラックとすることが困難であり、反対に、700ml/100gを超えると、カーボンブラック同士のアグリゲートが発達し過ぎて、均一に電解質樹脂で被覆され難くなり、触媒粉末を調製した際に三相界面が効率良く形成されなくなって、電池性能が低下する虞がある。
【0023】
ここで、炭素材料として用いるカーボンブラックの「N
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積」とは、一般的な窒素(N
2)吸着法により全体のBET比表面積を測定し、得られたBET比表面積からミクロ孔(直径2nm未満の細孔)由来の比表面積を差し引いて得られたメソ孔(直径2〜50nmの細孔)以上の細孔を含む比表面積のことであり、窒素(N
2)吸着法により得られた相対圧(p/p
0)と吸着量(v)との関係を示す吸着等温線を、Lippensとde-Boreの式を用いて相対圧(p/p
0)を吸着膜の平均厚さ(t)に変換してT-plot解析を実施し、得られた結果から全体のBET比表面積をミクロ孔由来の表面積と外表面積とに区別して得られる値である〔近藤精一、石川達雄、安部郁夫著、丸善(株)平成13年2月25日発行「吸着の科学」48〜50参照〕。このような窒素吸着法の測定や、BET比表面積及び外表面積は、例えば自動比表面積測定装置(日本ベル社製BELSORP36)等の吸着測定装置を用いて実施することができる。そして、このカーボンブラックのBET比表面積及び外表面積については、例えばボールミル等を用いた粉砕による平均粒子径の調整や、各種の賦活方法等により調節することができる。
【0024】
また、本発明の触媒粉末において前記カーボンブラック及び触媒金属粒子を被覆する触媒被覆部を形成するための電解質樹脂としては、プロトン伝導性を有する電解質樹脂であれば特に制限されるものではなく、従来から固体高分子形燃料電池の分野で用いられてきた各種のプロトン伝導性電解質樹脂を用いることができ、例えば、パーフルオロアルキレン基を主鎖骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテルの側鎖の末端にスルホン基を有するパーフルオロスルホン酸系プロトン伝導性電解質樹脂や,スチレンジビニルベンゼンスルホン酸等のイオン交換樹脂や、ポリイミド系スルホン酸、ポリエーテル系スルホン酸等の樹脂等を用いることができる。
【0025】
更に、本発明においては、触媒粉末において触媒被覆部を形成する電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C: g-ionomer/g-carbon)が0.2以上0.6以下、好ましくは0.4以上0.5以下の範囲内であることが必要であり、この電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)が0.2より低いと、燃料電池の触媒層において反応場として機能する三相界面(カーボンブラックと電解質樹脂と接触している触媒金属粒子の表面)における電解質樹脂の量が不足してH
+伝導経路の形成が貧弱になり、また、三相界面の数が少なくなり、触媒金属粒子の利用率が低下する虞があり、反対に、0.6よりも大きくなると、触媒粉末において電解質樹脂からなる触媒被覆部の厚みが必要以上に厚くなり、カーボンブラック上の触媒金属粒子への酸素の拡散性が低下し、この場合にも触媒金属粒子の利用率が低下する虞がある。
なお、従来においては、事前に炭素材料であるカーボンブラックに電解質樹脂を被覆することが無いため、本発明の電解質樹脂量と比べ使用量が少ない状態で触媒層を構成することとなる。具体的には、従来技術では触媒層を構成している全体の電解質樹脂(I
ca)とカーボンブラック(C
ca)とのI
ca/C
ca質量比が0.7〜1.5程度である。これに対して、本発明においては、触媒粉末での電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比(I/C)が0.2〜0.6であり、その後に、触媒層形成時に添加される電解質樹脂を加えた触媒層を構成している全体の電解質樹脂(I
ca)とカーボンブラック(C
ca)とのI
ca/C
ca質量比は2.2〜3.1程度となり、従来の触媒層に比べて電解質樹脂量が多くなる。
【0026】
本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を製造する方法については、以下の通りである。
すなわち、先ず、本発明で用いるカーボンブラックとして、BET比表面積が1000m
2/g以上であって外表面積割合が20〜40%のカーボンブラックを用意する。このようなカーボンブラックについては、上記のBET比表面積1000m
2/g以上及び外表面積割合20〜40%の条件を満たせば、市販品をそのまま用いてもよく、また、必要により下記に示す方法で賦活処理して調製してもよい。
【0027】
上記の条件を満たす市販品のカーボンブラックとしては、例えばライオンスペシャリティーケミカルズ社製商品名:ケッチェンブラックEC600JDを例示することができる。
また、下記の賦活処理を行うことにより上記の条件を満たすカーボンブラックを調製することができるカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック(ライオンスペシャリティーケミカルズ社製商品名:EC300J)、ケッチェンブラック(ライオンスペシャリティーケミカルズ社製商品名:ライオナイトEC200L)等を挙げることができる。そして、このようなカーボンブラックを賦活処理する方法としては、例えば、空気、酸素等の酸化性雰囲気中での酸化処理する方法、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等を用いて500〜800℃の温度で反応させるアルカリ賦活の方法、水蒸気を用いて750〜1100℃の温度で反応させる水蒸気賦活の方法、炭酸ガスを用いて750〜1100℃の温度で反応させる炭酸ガス賦活の方法、塩化亜鉛を用いて400〜1000℃の温度で処理し反応させる塩化亜鉛賦活の方法等を挙げることができる。更に、このような賦活処理の後に、不活性ガス、還元性ガス、アンモニアガス、酸化性ガス等のガスを各々単独で用い、あるいは、複数のガスの混合ガスとして用い、ガス雰囲気中常圧又は加圧下に熱処理を行い、カーボンブラックの表面における官能基の種類やその量を選択的に付与しまた制御し、水蒸気吸着特性や窒素ガス吸着特性を制御してもよい。
【0028】
次に、以上のように炭素材料として用意したカーボンブラックに触媒金属粒子を担持させ、触媒金属担持カーボンブラックを調製するが、この際の方法については、特に制限はなく、炭素材料に触媒金属を担持させる従来の方法をそのまま採用することができる。
【0029】
更に、このようにして作製した触媒金属担持カーボンブラックを用いて本発明の触媒粉末を調製するには、触媒金属担持カーボンブラックをエタノール、1-プロパノ―ル、2-プロパノ―ル等の適当な分散媒中に均一に分散させ、得られた分散溶液中に所定の電解質樹脂を、この電解質樹脂(I)と触媒金属担持カーボンブラック中のカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)が0.2〜0.6の範囲内になるように添加し、撹拌下に混合し、その後、温度50℃以上及び10時間以上の条件で、好ましくは温度50℃以上100℃以下及び10時間以上20時間以下、より好ましくは温度50℃以上70℃以下及び10時間以上15時間以下の条件で撹拌下に保持して接触させ、その後、分散媒を蒸発させて乾固物を得る。この得られ乾固物を所定の温度及び減圧下に乾燥させ、表面が電解質樹脂で被覆された本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を調製する。前記触媒粉末調製時の条件については、温度が50℃より低いと電解質樹脂のネットワークが十分に広がりを持たない状態で触媒金属担持カーボンブラックを被覆してしまうため、電解質樹脂中に含まれる親水性基(例えば、スルホン基)が均一に分散しない虞があり、反対に、100℃を超えても性能的には問題ないが、70℃を超えて高くしても性能が更に改善されるというものではなく、高温に加熱できる加熱装置が必要になってコスト高になり、また、時間が10時間より短いと電解質樹脂のネットワークが十分に広がりを持たない状態で触媒金属担持カーボンブラックを被覆してしまうため、電解質樹脂中に含まれる親水性基(例えば、スルホン基)が均一に分散しない虞があり、反対に、20時間を超えても性能的には問題ないが、15時間を超えても性能が更に改善されるというものではなく、生産性が低下する。
【0030】
このようにして調製された触媒粉末を用いて固体高分子形燃料電池用の触媒層を調製する方法についても、特に制限されるものではなく、従来から知られている方法と同様の方法で、固体高分子形燃料電池用の触媒層を形成し、また、この触媒層を用いて固体高分子形燃料電池を製造することができる。そして、この触媒層の調製に際して用いる電解質樹脂については、特に制限されるものではなく、従来から固体高分子形燃料電池の分野で用いられてきた各種のプロトン伝導性電解質樹脂を用いることができる。なお、この触媒層の調製に際して用いる電解質樹脂については、触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂との関係で、例えば電解質樹脂の単位質量当りに含まれるスルホン酸基当量(EW)を勘案し、この触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂と同じ又は異なるEWを有する電解質樹脂を用いてもよく、必要により、例えば、触媒粉末の触媒被覆部を形成する電解質樹脂のEWを低くし(保水性を高くし)、また、触媒層を形成する際に用いる電解質樹脂のEWを高くし(保水性を低くし)、これによって、水の少ない低電流密度領域では触媒金属粒子近傍に必要最小限の水を保持できるようにし、また、水の多い大電流密度領域では触媒層内の保水性を下げて排水性を向上させるようにしてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、実験例(実施例及び比較例)に基づいて、本発明の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末及びその製造方法、並びに固体高分子形燃料電池について、より具体的に説明する。
【0032】
(1) カーボンブラックの諸物性値の測定方法
〔BET比表面積とN
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合〕
BET比表面積(m
2/g)の測定は、試料約50mgを測り採り、これを90℃で真空乾燥し、得られた乾燥後の試料について、自動比表面積測定装置(日本ベル製、BELSORP36)を使用し、窒素ガスを用いたガス吸着法にて測定し、BET法に基づく1点法にて比表面積を決定した。
また、N
2吸着のT-plot解析で得られる外表面積の割合(以下、「外表面積割合」という。)については、BET比表面積の測定で得られた吸着等温線を用い、T-plot解析を実施して外表面積を求め、先に求められたBET比表面積に対する外表面積割合〔%:(外表面積/BET比表面積)×100〕として求めた。
【0033】
〔DBP吸油量〕
DBP吸油量(cm
3/100g)は、アブソープトメーター(Brabender社製)を用いて、最大トルクの70%の時のDBP添加量を試料100g当りのDBP吸油量に換算して決定した。
【0034】
(2) カーボンブラックの準備及び調製
以下に示す各実験例では、カーボンブラックとして、ライオンスペシャリティーケミカルズ株式会社製商品名:ケッチェンブラックEC600JD(試料名:A)、ライオンスペシャリティーケミカルズ株式会社社製商品名:EC300(試料名:B)、ライオンスペシャリティーケミカルズ社製商品名ライオナイトEC200L(試料名:C)、及び電気化学工業製商品名:デンカブラック粒状品(試料名:D)の市販のカーボンブラックを用いた。
また、炭素材料として用いたカーボンブラックのBET比表面積及び外表面積割合の調整については、炭酸ガス(CO
2)を用い850〜1000℃の範囲での温度と処理時間とを調節する炭酸ガス賦活方法により実施した。この賦活処理をして得られたカーボンブラックについては試料名の前に「賦活」の文字を付して示す。
カーボンブラックとして用意され、あるいは、調製されたカーボンブラックの試料名と、BET比表面積、外表面積割合及びDBP吸油量についての測定結果を下記の表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(3) 白金粒子担持カーボンブラックの調製
以上のようにして用意され、あるいは、調製されたカーボンブラックを蒸留水中に分散させ、この分散液にホルムアルデヒドを加え、40℃に設定したウォーターバスにセットし、分散液の温度がバスと同じ40℃になってから、撹拌下にこの分散液中にジニトロジアミンPt錯体硝酸水溶液をゆっくりと注ぎ入れた。その後、約2時間撹拌を続けた後、濾過し、得られた固形物の洗浄を行った。このようにして得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、乳鉢で粉砕し、触媒金属粒子として白金粒子を担持した各白金粒子担持カーボンブラック(Pt担持カーボンブラック)を作製した。
なお、各Pt担持カーボンブラックの白金担持量については、カーボンブラックと白金粒子の合計質量に対して白金粒子の質量が40質量%となるように調整し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES: Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)により測定して確認した。
【0037】
(4) 各実験例の触媒粉末の調製
このようにして作製された上記の各Pt担持カーボンブラックをエタノール(分散媒)中に分散させ、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテ―社製UH-50)を用いて分散液中に超音波を5分間照射(パワーコントローラーのボリュームを10とし、振動子の先端から最も気泡が出ている状態で)し、その後、直径1mmの硝子ビーズと撹拌子とを分散溶液中に入れ、また、表2〜表5に示す触媒粉末形成時の電解質樹脂としてDupont社製ナフィオン〔登録商標「Nafion」:パースルホン酸系イオン交換樹脂DE2020CS(スルホン酸基当量EW:1050)、DE2021CS(スルホン酸基当量EW:1100)〕及び旭硝子社製フレミオン(スルホン酸基当量EW:900)(触媒被覆部の樹脂)を、この電解質樹脂(I)とPt担持カーボンブラック中のカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)が表2〜表5に示す割合になるように前記分散溶液中に加え、マグネチックスターラ―で撹拌子を600rpmの速度で回転させて撹拌し、表2〜表5に示す触媒粉末調製時の条件〔調製時の条件(温度及び時間)〕で撹拌下に保持した。その後、エバポレータ―を用いて80℃に保持しながら分散媒のエタノールを蒸発させ、乾固物を得た。その後、得られ乾固物を90℃に保持して真空(減圧)下に乾燥させ、表面が電解質樹脂で被覆されて触媒被覆部を有する各実験例の固体高分子形燃料電池用の触媒粉末を得た。
【0038】
(5) 触媒層インクの調製
以上のようにして調製された各実験例の触媒粉末を用い、また、触媒層形成時の電解質樹脂としてDupont社製ナフィオン〔登録商標「Nafion」:パースルホン酸系イオン交換樹脂DE2020CS(スルホン酸基当量EW:1050)、DE2021CS(スルホン酸基当量EW:1100)〕及び旭硝子社製フレミオン(スルホン酸基当量EW:900)を用い、Ar雰囲気下でこれら各触媒粉末とナフィオンとを表1に占示す割合で配合し、軽く撹拌した後、得られた固形分を超音波で解砕し、更にエタノールを加えて各実験例の触媒粉末と新たに添加された電解質樹脂とを合わせた合計の固形分濃度が1.1質量%となるように調整し、各実験例の触媒粉末と新たに添加された電解質樹脂とが混合した各実験例の触媒層インクを調製した。
【0039】
(6) 触媒層の調製
このようにして調製された各実験例の触媒層インクを用い、白金の触媒層単位面積当りの質量(以下、「白金目付量という。)が0.2mg/cm
2となるようにスプレー条件を調節し、上記スプレー塗布用触媒層インクをテフロン(登録商標)シート上にスプレーした後、アルゴン中120℃で60分間の乾燥処理を行い、各実験例の触媒層を作製した。
【0040】
(7) 膜電極複合体(MEA)の調製
以上のようにして作製した上記各実験例の触媒層を用い、以下の方法でMEA(膜電極複合体)を作製した。
ナフィオン膜(Dupont社製NR211)から一辺6cmの正方形状の電解質膜を切り出した。また、テフロン(登録商標)シート上に塗布されたアノード及びカソードの各触媒層については、それぞれカッターナイフで一辺2.5cmの正方形状に切り出した。
【0041】
このようにして切り出されたアノード及びカソードの各触媒層の間に、各触媒層が電解質膜の中心部を挟んでそれぞれ接すると共に互いにずれが無いように、この電解質膜を挟み込み、120℃、100kg/cm
2で10分間プレスし、次いで室温まで冷却した後、アノード及びカソード共にテフロン(登録商標)シートのみを注意深く剥ぎ取り、アノード及びカソードの各触媒層が電解質膜に定着した触媒層−電解質膜接合体を調製した。
【0042】
次に、ガス拡散層として、カーボンペーパー(SGLカーボン社製35BC)から一辺2.5cmの大きさで一対の正方形状カーボンペーパーを切り出し、これらのカーボンペーパーの間に、アノード及びカソードの各触媒層が一致してずれが無いように、上記触媒層−電解質膜接合体を挟み、120℃、50kg/cm
2で10分間プレスしてMEAを作製した。
【0043】
(8) 燃料電池の性能の評価試験
作製した各実験例のMEAについては、それぞれセルに組み込み、燃料電池測定装置にセットして、次の手順で燃料電池の性能評価を行った。
ガスについては、カソードに空気を、また、アノードに純水素を、それぞれ利用率が35%と70%となるように、0.2メガパスカルに加圧して供給した。また、セル温度は80℃に設定した。供給するガスについては、高加湿条件での評価ではカソード、アノードの相対湿度が100%に、また、低加湿条件での評価ではカソード、アノードの相対湿度が50%になるように、蒸留水を用いた加湿器中でバブリングし、改質水素相当の水蒸気を含ませてセルに供給した。
【0044】
このような設定の下にセルにガスを供給した条件下で、負荷を徐々に増やし、電流密度が200mA/cm
2及び500mA/cm
2におけるセル端子間電圧を出力電圧として燃料電池の性能評価を実施した。
得られた燃料電池の性能評価については、高加湿条件下及び低加湿条件下での測定結果について、それぞれ“200mA/cm
2での出力電圧0.80V以上”及び“500mA/cm
2での出力電圧0.75V以上”を満たす場合を「◎」とし、また、“200mA/cm
2での出力電圧0.75V以上0.80V未満”及び“500mA/cm
2での出力電圧0.70V以上0.75V未満”を満たす場合を「〇」とし、更に、上記以外の場合を不合格の「×」として評価した。
そして、これら高加湿条件下及び低加湿条件下での4つの評価結果を基に、総合評価として、◎が3個以上である場合を「◎」とし、○が2個以上であって×がない場合を「○」とし、×が1つでもある場合を不合格の「×」とした。
【0045】
カーボンブラックとして試料名「A」、「賦活A」、及び「賦活B」を用いた場合の結果をそれぞれ表2、表3、及び表4に示す。
また、カーボンブラックとして試料名「賦活C」、「B」、「C」、「D」、及び「賦活D」を用い、また、触媒粉末調製時の電解質樹脂(I)とカーボンブラック(C)との質量比率(I/C)を0.2、0.4、又は0.6とした場合の結果を表5に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
表2〜表5に示す結果から明らかなように、本発明の実施例1〜51においては、比較例1〜24の場合に比べて、カソード、アノードの相対湿度が100%の高加湿条件及び50%の低加湿条件において、また電流密度が200mA/cm
2時のセル電圧及び500mA/cm
2時のセル電圧が共にバランス良く高いことから、触媒金属粒子として用いた白金粒子の利用率が高く、しかも、高加湿条件下及び低加湿条件下で安定した発電性能を発揮していることが判明した。