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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-85899(P2017-85899A)
(43)【公開日】2017年5月25日
(54)【発明の名称】培養容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20170421BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-215562(P2015-215562)
(22)【出願日】2015年11月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】須田 佳雅
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 亨
(72)【発明者】
【氏名】五味 久
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 成則
(72)【発明者】
【氏名】白岩 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】森 淳
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029BB01
4B029CC01
4B029CC02
4B029DA10
4B029FA01
4B029GA03
4B029GB06
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】培養容器の周縁領域に複数の穴を設け収容部を形成することが可能な領域が大きく確保された内側領域を有する培養容器を搬送する。
【解決手段】培養容器搬送装置は、複数の収容部11が形成された培養容器10と、支持プレート36を有する搬送機構とを含む。複数の収容部11は、培養容器10の周縁領域16よりも内側の内側領域17に形成されている。培養容器10の周縁領域16には、下方に向かって開口し内側領域17を挟む位置に配置された2つの穴12,13が設けられている。支持プレート36には、上面36aから突出し、培養容器10を下方から支持する際に2つの穴12,13と係合することによって水平方向に関して支持プレート36と培養容器10との相対位置を位置決めする2つのガイドピン37,38が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被培養物を収容するための1以上の収容部が形成された培養容器を支持する支持プレートを有し、前記培養容器を前記支持プレートで下方から支持するように前記支持プレートを移動させ、前記支持プレートによって支持された前記培養容器を搬送する搬送機構を備えており、
前記収容部は、前記培養容器の周縁領域よりも内側の内側領域に形成されており、
前記培養容器の前記周縁領域には、下方に向かって開口し前記内側領域を挟む位置に配置された複数の穴が設けられ、
前記支持プレートには、上面から突出し、前記培養容器を下方から支持する際に前記複数の穴と係合することによって前記支持プレートの前記上面の面内方向に関して前記支持プレートと前記培養容器との相対位置を位置決めする複数のガイドピンが形成されていることを特徴とする培養容器搬送装置。
【請求項2】
前記培養容器の少なくとも前記収容部の底部を構成する部分が透明又は半透明であり、
前記支持プレート及び前記培養容器のいずれかには、前記培養容器が前記支持プレートによって支持されたときに、前記収容部の前記底部と前記支持プレートの前記上面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の培養容器搬送装置。
【請求項3】
前記隙間形成部は、前記周縁領域の前記支持プレートと対向する部分から下方に突出する複数の突起から構成されており、
前記複数の突起は、前記内側領域を挟んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の培養容器搬送装置。
【請求項4】
前記ガイドピンは、上端に配置された円錐部と、前記円錐部の下端と接続された円筒又は円柱状の柱状部とを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の培養容器搬送装置。
【請求項5】
前記柱状部の前記支持プレートの前記上面からの突出長さは、前記隙間を構成する前記収容部の前記底部と前記支持プレートの前記上面との鉛直方向に関する離隔距離よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の培養容器搬送装置。
【請求項6】
前記培養容器が長方形平面形状を有し、
前記複数の穴が前記培養容器の長手方向に並んで配置されており、
前記複数の穴のうち前記内側領域を挟んで配置された一方の穴が円形形状を有し、他方の穴が前記長手方向に長尺な長穴形状を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の培養容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養容器を支持しつつ搬送する培養容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、培養容器を搬送するためのスライドを有するハンドリング機構について記載されている。このハンドリング機構のスライドは、培養容器を載置するための第1スライドを有している。培養容器が載置される第1スライドの上面には、上方に突出した2つのガイドが形成されている。このため、培養容器が第1スライドによって支持される際に、培養容器と第1スライドとの相対的な位置ズレを補正することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−291127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のハンドリング機構においては、2つのガイドが第1スライドの上面の中央領域に形成されている。特許文献1に記載されていないが、培養容器には、培養容器が第1スライドによって支持される際に2つのガイドと係合する2つの穴が形成されていると考えられる。培養容器に形成される2つの穴は、2つのガイドの形成位置から培養容器の周縁領域の内側にある内側領域に配置されている。内側領域に被培養物を収容するための1以上の収容部が形成された培養容器(例えば、マイクロプレート)において、内側領域に2つの穴が形成されていると、内側領域の当該2つの穴部分及び当該内側領域の2つの穴近傍部分には、顕微鏡での観察などを考慮すると収容部が形成できない。このため、培養容器の内側領域において、収容部を形成することが可能な領域が小さくなる。このように上記特許文献1に記載のハンドリング機構においては、2つのガイドが第1スライドの上面の中央領域に形成されているため、収容部を形成することが可能な領域が小さい培養容器しか搬送することができないという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、培養容器の周縁領域に複数の穴を設け収容部を形成することが可能な領域が大きく確保された内側領域を有する培養容器を搬送することが可能な培養容器搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の培養容器搬送装置は、被培養物を収容するための1以上の収容部が形成された培養容器を支持する支持プレートを有し、前記培養容器を前記支持プレートで下方から支持するように前記支持プレートを移動させ、前記支持プレートによって支持された前記培養容器を搬送する搬送機構を備えている。前記収容部は、前記培養容器の周縁領域よりも内側の内側領域に形成されており、前記培養容器の前記周縁領域には、下方に向かって開口し前記内側領域を挟む位置に配置された複数の穴が設けられ、前記支持プレートには、上面から突出し、前記培養容器を下方から支持する際に前記複数の穴と係合することによって前記支持プレートの前記上面の面内方向に関して前記支持プレートと前記培養容器との相対位置を位置決めする複数のガイドピンが形成されている。
【0007】
これによると、培養容器を支持プレートで支持しつつ搬送する際に複数のガイドピンと係合する複数の穴が、培養容器の周縁領域の内側領域を挟む位置に配置される。このように複数の穴が内側領域に形成されないため、収容部を形成することが可能な領域が大きく確保された内側領域を有する培養容器と支持プレートとの相対位置を位置決めしつつ培養容器を搬送機構で搬送することが可能となる。
【0008】
本発明において、前記培養容器の少なくとも前記収容部の底部を構成する部分が透明又は半透明であり、前記支持プレート及び前記培養容器のいずれかには、前記培養容器が前記支持プレートによって支持されたときに、前記収容部の前記底部と前記支持プレートの前記上面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられていることが好ましい。これにより、培養容器が支持プレートによって支持されたときに、収容部の底部と支持プレートの上面とが接触しなくなる。このため、収容部の底部にキズがつきにくくなり、顕微鏡で被培養物の観察がしやすくなる。
【0009】
また、本発明において、前記隙間形成部は、前記周縁領域の前記支持プレートと対向する部分から下方に突出する複数の突起から構成されており、前記複数の突起は、前記内側領域を挟んで配置されていることが好ましい。これにより、隙間形成部が培養容器の周縁領域から突出する複数の突起によって構成される。
【0010】
また、本発明において、前記ガイドピンは、上端に配置された円錐部と、前記円錐部の下端と接続された円筒又は円柱状の柱状部とを有していることが好ましい。これにより、ガイドピンを培養容器の穴に挿入しやすくなる。
【0011】
また、本発明において、前記柱状部の前記支持プレートの前記上面からの突出長さは、前記隙間を構成する前記収容部の前記底部と前記支持プレートの前記上面との鉛直方向に関する離隔距離よりも大きいことが好ましい。これにより、培養容器が支持プレートによって支持されたときに、柱状部が穴に挿入された状態となる。このため、培養容器と支持プレートとの位置決め精度が安定する。
【0012】
また、本発明において、前記培養容器が長方形平面形状を有し、前記複数の穴が前記培養容器の長手方向に並んで配置されており、前記複数の穴のうち前記内側領域を挟んで配置された一方の穴が円形形状を有し、他方の穴が前記長手方向に長尺な長穴形状を有することが好ましい。これにより、複数の穴にガイドピンを挿入しやすくなるとともに、一方の穴とガイドピンとで高精度の位置決めを行うことが可能となる。ここでいう穴は、上下に貫通している穴及び貫通していない穴を含む。さらに長穴形状の穴は側壁が長手方向に向かって部分的に開いている穴も含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の培養容器搬送装置によると、培養容器を支持プレートで支持しつつ搬送する際に複数のガイドピンと係合する複数の穴が、培養容器の周縁領域の内側領域を挟む位置に配置される。このように複数の穴が内側領域に形成されないため、収容部を形成することが可能な領域が大きく確保された内側領域を有する培養容器と支持プレートとの相対位置を位置決めしつつ培養容器を搬送機構で搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である培養容器搬送装置が採用された培養装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1に示す培養装置の概略構成を示す側面図である。
図3】支持プレートで培養容器を下方から支持した状態を示す平面図である。
図4図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。
図5】(a)は支持プレートが載置部の下方で培養容器と対向して配置されたときの状況を示す状況図であり、(b)は支持プレートが載置部に載置された培養容器を支持したときの状況を示す状況図である。
図6】支持プレート上の培養容器を検出するセンサの検出状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である培養容器搬送装置が採用された培養装置100について、図1図4を参照しつつ以下に説明する。
【0016】
培養装置100は、培養容器10に細胞(被培養物)と培養液を入れ、未分化、分化の細胞培養を行うための装置であり、図1に示すように、培養容器搬送装置1と、第1処理装置2と、第2処理装置3とを含む。本実施形態における被培養物としては、細胞を採用したがこれ以外の、例えば、菌やウイルスなどであってもよい。培養容器搬送装置1と各処理装置2,3は、外部と遮断された密閉空間を構成する筐体1a,2a,3aを有する。各処理装置2,3は、培養容器搬送装置1に設けられた接続部1bを介して培養容器搬送装置1と着脱可能に接続されている。培養容器搬送装置1と各処理装置2,3の密閉空間は、培養容器搬送装置1と各処理装置2,3との接続後は、連続した1つの密閉空間となる。
【0017】
各処理装置2,3は、図1及び図2に示すように、筐体2a,3aの側壁の内面から突設して設けられた載置部2b,3bを有する。載置部2b,3bは、U字平面形状を有する板状部材から構成されており、水平な上面2b1,3b1を有する。載置部2b,3bは、培養容器10の長手方向A(図1中左右方向)と直交する幅方向B(図1中上下方向)の両端をそれぞれ支持する一対の支持部2b2,3b2と、これら一対の支持部2b2,3b2の一端(図1中左端部)を接続する接続部2b3,3b3とを有する。一対の支持部2b2,3b2は、培養容器10の長手方向Aに長尺に延在する。接続部2b3,3b3は、培養容器10の幅方向Bに長尺に延在する。なお、各処理装置2,3は、載置部2b,3bを有し、細胞培養の処理を行うための装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0018】
培養容器搬送装置1は、図1に示すように、培養容器10と、培養容器10を搬送する搬送機構20とを含む。培養容器10は、図3に示すように、長手方向Aに長尺な長方形平面形状を有し、透明な合成樹脂から構成されている。培養容器10は、細胞(被培養物)などを収容するための複数の収容部11と、2つの穴12,13と、隙間形成部15とを有する。また、培養容器10は、周縁領域16と、周縁領域16の内側にある内側領域17(図3中二点鎖線で囲まれた領域)とを有しており、複数の収容部11は内側領域17に形成されている。また、複数の収容部11は、上方に向かって開口した凹形状を有する。
【0019】
本実施形態における培養容器10は、その全体が透明な合成樹脂から構成されているが、少なくとも各収容部11の底部11aが透明又は半透明となる材料から構成されておればよく、特に限定するものではない。要するに、培養容器10の各収容部11の底部11aが所定の光の透過率を有する構成であればよい。こうすれば、顕微鏡で収容部11内の細胞などの被培養物を観察することが可能となる。
【0020】
2つの穴12,13は、図3及び図4に示すように、周縁領域16において、下方に向かって開口して形成されている。また、2つの穴12,13は、培養容器10の幅方向Bの中央において、長手方向Aに沿って並んで配置され、内側領域17を挟んでいる。図3に示すように、穴12(一方の穴)は円形形状を有し、穴13(他方の穴)は長手方向Aに長尺な長穴形状を有する。なお、穴13は、下方のみならず右方に向かって部分的に開いていてもよい。つまり、穴13を画定する側壁の長手方向(右方)の一部が除去されて、穴13が長手方向に向かって部分的に開いていてもよい。また、2つの穴12,13は、上下に貫通していてもよい。
【0021】
隙間形成部15は、4つの突起15aから構成されており、搬送機構20の支持プレート36(後述する)によって培養容器10が支持されたときに、支持プレート36の上面36aと培養容器10の下面10a(各収容部11の底部11a)との間に隙間Sを構成する。4つの突起15aは、図3及び図4に示すように、下面10aにおいて、培養容器10の周縁領域16の支持プレート36と対向する部分から下方に突出して形成されている。また、4つの突起15aは、長手方向Aに関して、内側領域17を挟んで2つずつ配置されている。このように隙間形成部15が培養容器10に形成された複数の突起15aによって構成されている。
【0022】
搬送機構20は、図1及び図2に示すように、スカラロボット21と、スカラロボット21を第1及び第2処理装置2,3の並び方向(本実施形態においては、培養容器10の幅方向Bと平行であり、以下、並び方向Bと称することもある)に移動可能に支持する支持部22とを有する。スカラロボット21は、走行部31と、昇降部32と、3つのアーム33〜35と、支持プレート36と、走行部31、昇降部32及び3つのアーム33〜35を駆動する駆動部(不図示)とを有する。支持部22は、並び方向Bに沿って長尺な直方体形状を有し、その上面にレール23が形成されている。レール23は、並び方向Bに沿って長尺に形成されている。
【0023】
走行部31は、レール23上に配置されている。また、走行部31は、駆動部によって駆動されることで、並び方向Bに沿ってレール23上を移動する。つまり、スカラロボット21全体が並び方向Bに沿って移動する。昇降部32は、走行部31上に設けられており、アーム33と連結されている。昇降部32は、駆動部によって駆動されることで、アーム33を上下方向に沿って昇降させる。つまり、昇降部32は、3つのアーム33〜35及び支持プレート36を上下方向に沿って昇降させる。
【0024】
アーム33は、一端部が昇降部32の上面に回転可能に連結されている。また、アーム33は、他端部がアーム34の一端部に回転可能に連結されている。アーム34は、他端部がアーム35の一端部に回転可能に連結されている。これら3つのアーム33〜35は、駆動部の駆動により、水平な回転方向に沿って回動し、支持プレート36を長手方向Aに平行な方向に移動させる。アーム35の他端部には、支持プレート36が固定されている。
【0025】
支持プレート36は、図3及び図4に示すように、培養容器10を下方から支持する板状部材である。支持プレート36は、長手方向Aに長尺な長方形平面形状を有している。また、支持プレート36は、長手方向Aの長さが培養容器10よりも長く、幅方向Bの長さ(幅)が培養容器10よりも短い。
【0026】
支持プレート36は、上面36aから上方に突出した2つのガイドピン37,38を有する。図3及び図4に示すように、2つのガイドピン37,38は、支持プレート36で培養容器10を下方から支持する際に、2つの穴12,13に挿入されて係合することによって水平方向(上面36aの面内方向)に関して支持プレート36と培養容器10との相対位置を位置決めするものである。つまり、支持プレート36で培養容器10を下方から支持する際に、2つのガイドピン37,38のうち、ガイドピン37が穴12と鉛直方向に対向して配置され、ガイドピン38が穴13と鉛直方向に対向して配置される。
【0027】
2つのガイドピン37,38は、同形状、同サイズであり、ともに上端に配置された円錐部37a,38aと、円錐部37a,38aの下端に接続された柱状部37b,38bとを有する。このようにガイドピン37,38が円錐部37a,38aを有していることで、支持プレート36で培養容器10を下方から支持する際に、2つの穴12,13にガイドピン37,38を挿入しやすくなる。本実施形態における柱状部37b,38bは、円柱形状に形成されているが、円筒形状であってもよい。柱状部37b,38bの直径は、穴12,13の直径より僅かに小さい。円錐部37a,38aの直径と柱状部37b,38bの直径とが同じであり、中心同士が一致して接続されている。
【0028】
図4に示すように、柱状部37b,38bの上面36aからの突出長さT1は、突起15aの下面10aからの突出長さT2よりも長い。つまり、柱状部37b,38bの突出長さT1は、培養容器10が支持プレート36によって下方から支持されたときに形成される隙間Sを構成する上面36aと下面10a(収容部11の底部11a)との鉛直方向に関する離隔距離(すなわち、突出長さT2)よりも、大きい。これにより、培養容器10が支持プレート36によって支持されたときに、柱状部37b,38bが穴12,13に挿入された状態となる。このため、培養容器10と支持プレート36との位置決め精度が安定する。
【0029】
続いて、培養容器搬送装置1の動作について、以下に説明する。第1処理装置2から第2処理装置3へ、培養容器10を搬送機構20で搬送する際は、駆動部が走行部31を駆動し、図1に示す位置にスカラロボット21を配置させる。次に、駆動部が3つのアーム33〜35を駆動し、図5(a)に示すように、支持プレート36を第1処理装置2内に挿入し、支持プレート36が培養容器10の下方で培養容器10と対向させる。このとき、支持プレート36は、ガイドピン37が穴12と、ガイドピン38が穴13と対向する位置に配置される。
【0030】
次に、駆動部が昇降部32を駆動し、図5(a)中矢印で示すように、3つのアーム33〜35とともに支持プレート36を上方に移動させる。こうして、2つのガイドピン37,38が、図5(b)に示すように、2つの穴12,13に挿入され、水平方向に関して支持プレート36と培養容器10との相対位置が位置決めされる。このとき、支持プレート36を、載置部2bに載置された培養容器10が載置部2bから上方に離れるまで、上昇させる。これにより、培養容器10が支持プレート36によって下方から支持された状態となる。このとき、4つの突起15aが支持プレート36の上面36aと接触しており、当該上面36aと培養容器10の下面10aとの間に隙間Sが形成される。このため、上面と36aと収容部11の底部11aとが接触しなくなる。したがって、底部11aにキズがつきにくくなり、顕微鏡で細胞などの被培養物の観察がしやすくなる。
【0031】
次に、駆動部が3つのアーム33〜35を駆動し、培養容器10を支持する支持プレート36を第1処理装置2から培養容器搬送装置1内に移動させる。この後、駆動部が走行部31を駆動し、スカラロボット21が第2処理装置3と長手方向Aに対向する位置まで移動させる。そして、駆動部が3つのアーム33〜35を駆動し、支持プレート36を第2処理装置3内に挿入する。このとき、支持プレート36に支持された培養容器10の幅方向Bの端部(周縁領域16)が、載置部3bよりも上方において、一対の支持部3b2と対向するように、支持プレート36を配置させる。
【0032】
次に、駆動部が昇降部32を駆動し、3つのアーム33〜35とともに支持プレート36を下方に移動させる。このとき、培養容器10の周縁領域16であって培養容器10の幅方向Bの端部が載置部3bの一対の支持部3b2により支持され、2つのガイドピン37,38が2つの穴12,13から抜ける位置まで支持プレート36を移動させる。この後、駆動部が3つのアーム33〜35を駆動し、支持プレート36を第2処理装置3から培養容器搬送装置1内に移動させる。こうして、第1処理装置2から第2処理装置3への培養容器10の搬送が終了する。
【0033】
ここで、支持プレート36上に培養容器10が載置されているか否かを検知する検知構成について図6を参照しつつ以下に説明する。
【0034】
搬送機構20には、図6に示すように、発光部41と、発光部41からの照射光を受光する受光部42とを有するセンサ40が設けられている。センサ40の発光部41と受光部42は、支持プレート36によって支持された培養容器10の周縁領域16の一部を挟むように配置されている。また、発光部41は、発光部41からの照射光が培養容器10を通過する際に屈折するように配置されている。なお、受光部42は、発光部41からの照射光が培養容器10を通過してもしなくても受光することが可能な位置に配置されている。
【0035】
このようなセンサ40が設けられていることで、図6に示すように、支持プレート36上に培養容器10が載置されている場合、発光部41からの照射光の一部(図6中破線で示す矢印)が、培養容器10の側面10bに反射する。このため、受光部42での受光量が減少する。一方、支持プレート36上に培養容器10が載置されていない場合、発光部41からの照射光は反射せずにそのまま受光部42に受光される。このため、受光部42での受光量がほとんど減少しない。センサ40は、受光部42での受光量を培養容器搬送装置1の制御部(不図示)に出力する。このため、培養容器搬送装置1の制御部がセンサ40から出力された受光量の差によって支持プレート36上に培養容器10が載置されているか否かを判定することが可能となる。
【0036】
以上に述べたように、本実施形態の培養容器搬送装置1によると、培養容器10を支持プレート36で支持しつつ搬送する際に2つのガイドピン37,38と係合する2つの穴12,13が、培養容器10の内側領域17を挟む位置に配置される。このように2つの穴12,13が内側領域17に形成されないため、培養容器10の内側領域17に多くの収容部11を形成することが可能となる。このため、収容部11を形成することが可能な領域が大きく確保された内側領域17を有する培養容器10と支持プレート36との相対位置を位置決めしつつ培養容器10を搬送機構20で搬送することが可能となる。
【0037】
2つの穴12,13のうちの一方の穴12が円形形状を有し、他方の穴13が長穴形状を有していることで、2つの穴12,13にガイドピン37,38を挿入しやすくなるとともに、穴12とガイドピン37とで高精度の位置決めを行うことが可能となる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態における培養容器10は、長方形平面形状を有していたが、培養容器はどのような平面形状を有していてもよいが、矩形平面形状が好ましい。
【0039】
また、2つの穴12,13は、入れ替わって形成されていてもよいし、周縁領域16の支持プレート36と対向する領域において、内側領域17を挟む位置であればどこに配置されていてもよい。また、穴が3以上形成されていてもよい。この場合、ガイドピンも穴の数に対応して形成されていることが好ましい。
【0040】
上述の実施形態における搬送機構20は、長手方向Aと平行な方向、幅方向Bと平行な方向、及び、上下方向に支持プレート36を移動させることが可能であれば、スカラロボット21以外の搬送ロボットを採用してもよい。この搬送ロボットにおいても、支持プレート36と同様の支持プレートを有しておればよい。
【0041】
上述の実施形態における隙間形成部15は4つの突起15aから構成されているが、突起15aは2、3又は5以上であってもよいし、隙間形成部は培養容器10の下面10aの周縁全体から突出する環状の突出部から構成されていてもよい。また、隙間形成部は、支持プレート36の培養容器10の内側領域17と対向する領域が周縁領域16と対向する領域よりも鉛直方向に培養容器10から離れた段差部から構成されていてもよい。また、隙間形成部15は、支持プレート36の培養容器10の周縁領域16と対向する領域から突出する複数の突出部によって構成されていてもよい。要するに、隙間形成部は、支持プレート36で培養容器10を支持したときに、収容部11の底部11aと支持プレート36の上面36aとの間に隙間Sが形成することが可能であれば、どのような構成でもよい。
【0042】
培養容器10の周縁領域16であって、載置部2b,3bの一対の支持部2b2,3b2と対向する領域に、内側領域17を挟んで配置される複数の穴が形成されていてもよい。この場合、載置部2b,3bの一対の支持部2b2,3b2には、培養容器10を載置部2b,3bで支持する際に複数の穴と係合する複数のガイドピンが形成されておればよい。こうすれば、載置部2b,3bにおいても、水平方向の位置決めを行うことができる。
【0043】
上述の実施形態における支持プレート36は、長方形平面形状を有していたが、載置部2bと同様な平面形状を有していてもよい。この場合、培養容器10の周縁領域16であって、一対の支持部と対向する領域に、内側領域17を挟んで配置される複数の穴を形成する。そして、一対の支持部には、支持プレートで培養容器を下方から支持する際に穴と係合することによって位置決めを行うガイドピンを設ければよい。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、このときの載置部は、支持プレート36と同様な長方形平面形状を有しておればよい。
【0044】
また、上述の載置部2bは、U字平面形状を有する板状部材から構成されていたが、一対の支持部2b2を構成する2枚の板状部材が筐体2aの幅方向Bに対向する各側壁の内面から突設して構成されていてもよい。この場合、載置部2bに接続部2b3を設けなくてもよい。さらに、この場合、第1処理装置2の接続部1bを、長手方向Aにおいて載置部2bを挟むように2つ設けてもよい。こうすることで、いずれの接続部1bからも、載置部2bに載置された培養容器10を取り出す、及び、載置部2bに培養容器10を載置することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1 培養容器搬送装置
10 培養容器
10a 下面
11 収容部
11a 底部
12 穴(一方の穴)
13 穴(他方の穴)
15 隙間形成部
15a 突起
16 周縁領域
17 内側領域
20 搬送機構
36 支持プレート
36a 上面
37,38 ガイドピン
37a,38a 円錐部
37b,38b 柱状部
100 培養装置
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6