【解決手段】下層電極(202)と、下層電極(202)上に形成された第1の絶縁膜(203)と、第1の絶縁膜(203)の表面の一部に形成された上層電極(204)と、上層電極(204)と表面と下層電極(202)とを被覆する第2の絶縁膜(205)と、を備えることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
半導体装置におけるキャパシタ素子としてMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタが知られている。
図10および
図11は、従来技術に係るMIMキャパシタCを含む半導体装置90の製造プロセスを概略的に示す断面図である(特許文献1)。
【0003】
MIMキャパシタCの形成に際しては、
図10(a)に示すように、半導体基板300上に、層間絶縁膜301を形成した後、下層電極302であるTi/TiN/Al/Ti膜(下から順にTi(チタン)膜302a、TiN(窒化チタン)膜302b、Al(アルミニウム)膜302c、およびTi(チタン)膜302dを重ねた積層膜)を、スパッタ法等を用いて形成する。
【0004】
つぎに、下層電極302上に、絶縁膜303であるSiON膜(シリコンオキシナイトライド膜)を、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。絶縁膜303は、MIMキャパシタCにおけるキャパシタ絶縁膜を構成し、絶縁膜303の膜厚は、MIMキャパシタCの静電容量等に応じて設定する。次に、
図10(b)に示すように、絶縁膜303上に、上層電極304としてのTiN膜を、スパッタ法を用いて形成する。
【0005】
つぎに、
図10(c)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、上層電極304のパターニングを行う。このパターニングにおいては、上層電極304のうちの、MIMキャパシタCを形成したい領域(MIMキャパシタ形成領域330)以外の部分を除去するが、絶縁膜303は残留させるので、下層電極302はエッチングされない。
【0006】
ここで、絶縁膜303を残留させず下層電極302を露出させると、上記ドライエッチングの際に発生する反応性生物が、MIMキャパシタ形成領域330の側壁部分に付着して耐圧不良等の原因となる。そのため、絶縁膜303は残留させるのが好ましい。
【0007】
つぎに、絶縁膜303の表面全面に、以下で述べる下層電極302を加工する際のリソグラフィー工程における反射防止膜の一部となる絶縁膜305を成膜する。本従来技術では、絶縁膜305としてSiON膜、すなわち絶縁膜303と同じ膜種を用いている。したがって、MIMキャパシタ形成領域330以外の領域では、絶縁膜が、絶縁膜303および絶縁膜305の積層構造となる。
【0008】
つぎに、
図10(d)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、下層電極302をパターニングする。上記の絶縁膜305としてのSiON膜と絶縁膜303としてのSiON膜とからなる積層構造が、本リソグラフィーの露光工程における反射防止膜として作用する。
【0009】
つぎに、
図11(e)に示すように、層間絶縁膜306(本従来技術ではSiO
2膜(シリコン酸化膜))を形成し、その後ビア(via)322、ビア322内を埋めるプラグ307、およびプラグ307に電気的に接続された上層配線308を形成する。
【0010】
以上のプロセスにより、キャパシタ絶縁膜である絶縁膜303(SiON膜)を、2つの電極である下層電極302および上層電極304で挟んだ構造のMIMキャパシタCが形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1に開示された半導体装置の製造プロセスでは、キャパシタ絶縁膜である絶縁膜303と反射防止膜である絶縁膜305とは、どちらもSiON膜で形成されている。
【0013】
SiON膜は比誘電率が比較的小さく、キャパシタ絶縁膜である絶縁膜303として用いた場合、MIMキャパシタCの静電容量を大きくするためには膜厚を薄くする必要がある。しかしながら、絶縁膜303を薄くすると耐圧不良の問題が発生しやすくなる。
【0014】
一方、反射防止膜である絶縁膜305で用いるSiON膜は反射率が膜厚に強く依存しており、膜厚を所定の値に管理する必要がある。さらに、上述したように、MIMキャパシタ形成領域330以外の領域では、反射防止膜が絶縁膜305と絶縁膜303との積層構造となるので、静電容量と反射率の双方を勘案する必要が生じ、膜厚の管理は更に困難となる。
【0015】
以上のように、キャパシタ絶縁膜の絶縁膜および反射防止膜の絶縁膜としてSiON膜を用いた従来技術では、MIMキャパシタCの静電容量と耐圧がトレードオフとなるので、両方の機能を満たすことが困難となり、また、両絶縁膜の膜厚の管理も困難となる。
【0016】
他方、MIMキャパシタCの静電容量を増加させる観点から、SiON膜よりも比誘電率の高いSiN膜(シリコン窒化膜)をキャパシタ絶縁膜として使用すると、MIMキャパシタCの静電容量と耐圧とを両立させることがより容易となる。
【0017】
しかしながら、この場合には、SiN膜が露光工程で用いる光を透過するので、反射防止膜としてのSiON膜を別途SiN膜上に形成する必要が生ずる。そのため、反射防止膜がSiN膜とその上に積層されたSiON膜の2層構造となり、パターニングする膜が増えるとともに反射防止膜としての機能が落ちるため、下層電極302のパターニングが困難になってしまう。
【0018】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、静電容量が増加されるとともに耐圧の劣化が抑制された半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る半導体装置は、下層電極と、前記下層電極上に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜の表面の一部に形成された上層電極と、前記上層電極と前記表面と前記下層電極とを被覆する第2の絶縁膜と、を備えることを特徴とするものである。
【0020】
一方、本発明に係る半導体装置の製造方法は、層間絶縁膜上に導電部材を形成する導電部材形成工程と、前記導電部材の表面に第1絶縁部材を形成する第1絶縁部材形成工程と、前記第1絶縁部材の表面に上層電極を形成する上層電極形成工程と、前記上層電極が被覆する前記第1絶縁部材からなる第1の部分と、前記第1の部分から延在する前記第1絶縁部材からなる第2の部分と、を有する第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、前記導電部材の表面と前記上層電極と前記第2の部分とを被覆する第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、前記導電部材と前記第2絶縁膜とをパターニングし、下層電極を形成する下層電極形成工程と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、静電容量が増加されるとともに耐圧の劣化が抑制された半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施の形態]
図1ないし
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る半導体装置10の概略構成を示しており、
図2ないし
図4は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法における主要なプロセスを概略的に示している。なお、本実施の形態に係る半導体装置10では、MIMキャパシタとともにトランジスタ等の能動素子、抵抗等の受動素子等の他の素子も形成される場合があるが、以下の図では、他の素子の図示を省略しMIMキャパシタの周辺部のみを図示している。また、本実施の形態においてある層が「他の層上」あるいは「基板上」に形成されるとは、ある層が他の層上または基板上に直接形成される場合に限らず、第3の層を介して形成される場合を含む。
【0025】
図1に示すように、半導体装置10は、半導体基板100、層間絶縁膜101、下層電極102、絶縁膜105、絶縁膜103、上層電極104、プラグ107、および上層配線108を含んで構成されている。
【0026】
下層電極102、絶縁膜103、上層電極104を主要部として本実施の形態に係るMIMキャパシタCが構成されており、絶縁膜103がMIMキャパシタCのキャパシタ絶縁膜(キャパシタの誘電体層)となっている。また、本実施の形態では、絶縁膜103としてSiN膜を採用しており、当該絶縁膜103の膜厚は、MIMキャパシタCの静電容量等に応じて決定される。
【0027】
さらに、本実施の形態に係るMIMキャパシタCの絶縁膜103および上層電極104の端部は端部以外の領域に比べて厚く、かつ絶縁膜105より厚く形成されている。つまり、絶縁膜103および上層電極104は、半導体装置10の表面側(半導体基板100とは反対側)に屈曲したL型部Lを有している。
【0028】
つぎに、
図2ないし
図4を参照して、半導体装置10の製造方法について述べる。
本実施の形態に係るMIMキャパシタCの形成に際しては、半導体基板100上に、まず、層間絶縁膜101を形成する。本実施の形態では、半導体基板100としてシリコン基板、層間絶縁膜101としてSiO
2膜を採用している。なお、層間絶縁膜101は必須のものではなく、半導体基板100上に直接MIMキャパシタCを形成してもよい。
【0029】
つぎに、
図2(a)に示すように、層間絶縁膜101上に、下層電極102を形成する。下層電極102は、AlとTi化合物の積層膜、たとえば、Ti/TiN/Al/Ti膜であり、たとえば、スパッタ法を用いて形成される。Ti/TiN/Al/Ti膜は、Ti膜102a、TiN膜102b、Al膜102c、およびTi膜102dを、下から順に重ねた積層膜である。
【0030】
つぎに、
図2(b)に示すように、下層電極102上に、絶縁膜105を形成する。絶縁膜105は一例としてSiON膜であり、当該SiON膜は、たとえば、CVD法により堆積する。
【0031】
つぎに、
図2(c)に示すように、リソグラフィーおよびエッチングを用いて、下層電極102をパターニングし、開口120を形成する。先述の絶縁膜105は、このパターニングの際の反射防止膜としての機能を有する。つまり、上記リソグラフィーにおいて、レジストをパターニングする際の露光時に、該露光光が下層電極102で、特にAl膜102cで反射するのを防止する反射防止膜として機能する。
【0032】
なお、本実施の形態では、
図2(c)に示す、上記下層電極102のパターニングにより分離された下層電極E1および下層電極E2のうち下層電極E1がMIMキャパシタCの下層電極となる。下層電極E2は、他のMIMキャパシタCの下層電極としてもよいし、また下層配線の一部としてもよい。
【0033】
つぎに、
図2(d)に示すように、開口120を埋め込みつつ層間絶縁膜106を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法、もしくは表面全面に対するエッチングによって、上記下層電極102のパターニングによって生じた段差を平坦化する。本実施の形態に係る層間絶縁膜106は、一例として、CVD法により堆積されたSiO
2膜を用いている。
【0034】
つぎに、
図3(e)に示すように、リソグラフィーおよびエッチングを用いて、下層電極102上の層間絶縁膜106および絶縁膜105の一部をパターニングして除去する。つまり、層間絶縁膜106および絶縁膜105の端部を下層電極102上に残留させて、層間絶縁膜106および絶縁膜105の一部を除去する。この層間絶縁膜106および絶縁膜105を除去した領域が、MIMキャパシタ形成領域130となる。
【0035】
つぎに、
図3(f)に示すように、下層電極102上および層間絶縁膜106上全面に絶縁膜103を形成し、絶縁膜103上に上層電極104を形成し、上層電極104上に有機系犠牲膜109を形成する。
【0036】
本実施の形態に係る絶縁膜103は、一例としてSiN膜であり、たとえば、CVD法により堆積する。このSiN膜はSiON膜よりも比誘電率が高く、一例として、SiON膜の比誘電率が約5.4であるのに対し、SiN膜の比誘電率は約8.0である。したがって、このSiN膜をキャパシタ絶縁膜として用いた本実施の形態に係る半導体装置10のMIMキャパシタCは、SiON膜をキャパシタ絶縁膜として用いた従来技術に係るMIMキャパシタCと比べて、キャパシタ絶縁膜の膜厚の管理が容易になるとともに、静電容量を増加させることが可能となる。すなわち、従来技術ではキャパシタ膜と反射防止膜を積層にした状態で下部電極のパターニングを行うのに対して、本実施の形態ではキャパシタ膜の形成前に下層電極のパターニングを行うので、キャパシタ膜と反射防止膜とがそれぞれ独立に管理できるため、膜厚の管理が容易になる。また、同じ静電容量でもSiN膜はSiON膜に比べて膜厚を厚くできるので、耐圧も向上する。なお、本実施の形態に係る上層電極104は、一例として、スパッタ法を用いて形成されたTiN膜である。
【0037】
つぎに、
図3(g)に示すように表面全面に対してエッチングを行い、MIMキャパシタ形成領域130以外の有機系犠牲膜109、上層電極104、および絶縁膜103を除去して、層間絶縁膜106を露出させる。つまり、
図3(g)に示す工程は、MIMキャパシタ形成領域130に残留する有機系犠牲膜109をマスクとして表面全面をエッチングする工程となっている。
【0038】
つぎに、
図3(h)に示すように、MIMキャパシタ形成領域130に残留している有機系犠牲膜109をアッシングして除去する。その後、表面全面(上層電極104、絶縁膜103、および層間絶縁膜106の上)に層間絶縁膜111を形成する。
【0039】
つぎに、
図4(i)に示すように、たとえば、リソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、層間絶縁膜106および層間絶縁膜111に、ビア122A、122B、および122Cを形成する。
図4(i)の例では、ビア122Aは、上層電極104に達する開口を含み、ビア122Bおよび122Cは、下層電極102のTi膜102dに達する開口を含む。この際、ビア122Bおよび122Cは、下層電極102のAl膜102cに達しないように形成する。
【0040】
つぎに、
図4(j)に示すように、ビア122A、122B、および122C内に、各々導電部としてのプラグ107A、107Bおよび107C(以下、各プラグを区別しない場合には、単に「プラグ107」という)を埋め込む。プラグ107は、たとえば、タングステン(W)で形成される。
【0041】
つぎに、
図4(j)に示すように、プラグ107に電気的に接続される上層配線108A、108B、および108C(以下、各上層配線を区別しない場合には、単に「上層配線108」という)を形成する。上層配線108の構造は、下層電極102の構造(すなわち、Ti/TiN/Al/Tiの積層構造)と同じ構造としてもよい。また、上層配線108の形成後全面に、たとえばプラズマSiN膜等による表面保護膜を形成してもよい。
【0042】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、キャパシタ絶縁膜として比誘電率の高いSiN膜を採用したので、キャパシタ絶縁膜としてSiON膜を用いた従来技術に係るMIMキャパシタと比較して、静電容量を増加させることができるとともに、膜厚の管理がより容易となった。
【0043】
また、上層電極104のパターニングより前に下層電極102のパターニングを行うことにより、キャパシタ絶縁膜の材料と無関係に反射防止膜の材料を決めることが可能となった。そのため、反射防止膜を、たとえばSiON膜(絶縁膜105)の単層とすることができるので、開口120を形成する際のパターニングが精度よく行える。
【0044】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、MIMキャパシタCの上層電極104から下層側に電界集中が発生しにくくなるので、従来技術と比較して耐圧が向上する。
【0045】
この点について、
図5および
図6を参照して、より詳細に説明する。
図5(a)、(b)は、従来技術に係る半導体装置90の上層電極304における電界集中を説明するための図であり、各々
図10(c)、
図11(e)に対応する図である。
【0046】
図5(a)の点線円で示すように、従来技術に係る半導体装置90の上層電極304のドライエッチングにおいては、エッチングガスの広がりにより、上層電極304が側面に対して平行に削れずに斜めに削れる場合がある。このような工程を経て出来上がった半導体装置90の場合、
図5(b)の点線円で示す鋭角に削れた上層電極304の角の部分に電界が集中し、耐圧が低下する虞がある。
【0047】
一方、
図6(a)、(b)は、本実施の形態に係る半導体装置10の上層電極104の形成工程を説明するための図であり、各々
図3(e)、
図1に対応する図である。半導体装置10における上層電極104を形成する工程では、
図6(a)に示すように、エッチングは上層電極104を形成する前の層間絶縁膜106および絶縁膜105に対して行われる。したがって、層間絶縁膜106および絶縁膜105はテーパ状に削れて鋭角部分を有するものの、出来上がった半導体装置10では、
図6(b)の点線円に示すように、上層電極104の端部(角の部分)は鈍角に形成され、電界の集中が緩和される。その結果、半導体装置90におけるような耐圧の低下は抑制される。
【0048】
本実施の形態に係る半導体装置10では、さらに、エッチングガスを選択することにより、積極的に上層電極104の端部を鈍角にしてもよい。
【0049】
すなわち、上記エッチングにおけるエッチングガスは、通常C
4F
8/Ar(アルゴン)/O
2ガス等のより異方性の強い(広がりの少ない)ガスを用いる。これを、たとえば、より異方性の弱い(広がりの大きい)CHF
3/COガスに変えて、層間絶縁膜106および絶縁膜105のエッチングを行うようにする。このようにすることにより、上層電極104の端部は精度よく鈍角に形成され、電界の集中がより確実に緩和されるので、半導体装置10の耐圧の低下がより確実に抑制される。
【0050】
[第2の実施の形態]
図7ないし
図9を参照して、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について説明する。
図7は、本実施の形態に係る半導体装置50の概略構成を、
図8および
図9は、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法における主要なプロセスを概略的に示している。
【0051】
図7に示すように、半導体装置50は、半導体基板200、層間絶縁膜201、下層電極202、絶縁膜203、絶縁膜205、上層電極204、プラグ207、および上層配線208を含んで構成されている。
【0052】
下層電極202、絶縁膜203、上層電極204を主要部として本実施の形態に係るMIMキャパシタCが構成されている。絶縁膜203がMIMキャパシタCのキャパシタ絶縁膜であり、本実施の形態では、絶縁膜203としてSiN膜を採用している。絶縁膜203の膜厚は、MIMキャパシタCの静電容量等に応じて決定される。
【0053】
つぎに、
図8および
図9を参照して、半導体装置50の製造方法について述べる。
本実施の形態に係るMIMキャパシタCの形成に際しては、半導体基板200上に、まず、層間絶縁膜201を形成する。本実施の形態では、半導体基板200としてシリコン基板、層間絶縁膜201としてSiO
2膜を採用している。
【0054】
つぎに、
図8(a)に示すように、層間絶縁膜201上に、下層電極202を形成する。下層電極202は、AlとTi化合物の積層膜、たとえば、Ti/TiN/Al/Ti膜であり、たとえば、スパッタ法を用いて形成される。Ti/TiN/Al/Ti膜は、Ti膜202a、TiN膜202b、Al膜202c、およびTi膜202dを、下から順に重ねた積層膜である。
【0055】
つぎに、
図8(b)に示すように、下層電極202上に、絶縁膜203を形成し、絶縁膜203上に上層電極204を形成する。絶縁膜203は、本実施の形態では、一例として、SiN膜であり、たとえば、CVD法により堆積する。先述したように、このSiN膜はSiON膜よりも比誘電率が高い。したがって、キャパシタ絶縁膜としてSiN膜を用いた本実施の形態に係るMIMキャパシタCの静電容量は、SiON膜を用いた従来技術に係るMIMキャパシタよりも大きくすることができる。また、同じ静電容量でもSiN膜はSiON膜に比べて膜厚を厚くできるので、耐圧も向上する。なお、本実施の形態に係る上層電極204は、一例として、スパッタ法を用いて形成されたTiN膜としている。
【0056】
つぎに、
図8(c)に示すように、リソグラフィーおよびエッチングを用いて、上層電極204をパターニングし、MIMキャパシタ形成領域230を形成する。この際、MIMキャパシタ形成領域230以外の部分にも絶縁膜203を残留させて、上記エッチングの際に発生する反応性生物がMIMキャパシタCの側壁部分に付着して耐圧不良の原因となるのを防止している。
【0057】
つぎに、
図8(d)に示すように、リソグラフィーおよびエッチングを用いて、MIMキャパシタ形成領域230以外の領域の絶縁膜203の一部をパターニングして除去する。この際、絶縁膜203の外周が、MIMキャパシタ形成領域230の外周より十分広くなるように、つまり、絶縁膜203が、MIMキャパシタ形成領域230を十分広く覆ようにして絶縁膜203をパターンニングする。このようにすることにより、絶縁膜203のエッチングで反応する反応性生物が、上層電極204に付着して耐圧を低下させることを抑制できる。
【0058】
つぎに、表面全面(上層電極204、絶縁膜203、および下層電極202の上)に絶縁膜205を形成する。本実施の形態では、絶縁膜205の一例として、SiON膜を採用している。
【0059】
つぎに、
図9(e)に示すように、リソグラフィーおよびエッチングを用いて開口220を形成し、下層電極202をパターンニングする。当該リソグラフィーにおける反射防止膜は、絶縁膜205としてのSiON膜単層となるので、従来技術と比較して膜厚の管理が容易である。また、エッチングで削られることがないので膜厚ばらつきを抑えることができ、リソグラフィーの仕上がりばらつきを大幅に低減することができる。
【0060】
つぎに、層間絶縁膜206を形成後、
図9(f)に示すように、リソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、層間絶縁膜206に、ビア222A、222B、および222Cを形成する。
図9(f)の例では、ビア222Aは、上層電極204に達する開口を含み、ビア222Bおよび222Cは、下層電極202のTi膜202dに達する開口を含む。この際、ビア222B、および222Cは、下層電極202のAl膜202cに達しないように形成する。
【0061】
つぎに、
図9(f)に示すように、ビア222A、222B、および222C内に、各々導電部としてのプラグ207A、207Bおよび207C(以下、各プラグを区別しない場合には、単に「プラグ207」という)を埋め込む。プラグ207は、たとえば、タングステン(W)で形成される。
【0062】
つぎに、
図9(f)に示すように、プラグ207に電気的に接続される上層配線208A、208B、および208C(以下、各上層配線を区別しない場合には、単に「上層配線208」という)を形成する。上層配線208の構造は、下層電極202の構造(すなわち、Ti/TiN/Al/Tiの積層構造)と同じ構造としてもよい。
【0063】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、キャパシタ絶縁膜として比誘電率の高いSiN膜を採用したので、キャパシタ絶縁膜としてSiON膜を用いた従来技術に係るMIMキャパシタと比較して、静電容量を増加さかつ耐圧の劣化を抑制させることが可能となった。
【0064】
また、下層電極202のパターニングの際に使用する反射防止膜である絶縁膜205をSiON膜単層とし、かつこのSiON膜が製造工程で削れることがない構成とした。その結果、絶縁膜205の膜厚の管理が容易となるので、絶縁膜205の膜厚のばらつきが従来よりも大幅に小さくなり、その結果リソグラフィーのばらつきが小さくなり、より高精度の配線パターニングが可能となった。