【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
<化合物1aの合成>
≪工程1;1−(4−アリルオキシ−3−メトキシフェニル)エタノンの合成≫
300mLナスフラスコに、4−ヒドロキシ−3−メトキシアセトフェノン(5.00g,30.1mmol)を入れてアセトン(50mL)に溶解し、炭酸カリウム(6.24g,45.1mmol)を加え、室温で5分間撹拌した後、臭化アリル(5.46g,45.1mmol)を添加し、室温で24時間撹拌した。濃縮後、酢酸エチル(50mL×2)と純水(50mL)を加えて抽出、有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL×3)、飽和食塩水(50mL×2)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、淡黄色オイル(中間体化合物11;1−(4−allyloxy−3−methoxyphenyl)ethanone)6.09g(29.5mmol,98%)を得た。
【0098】
得られた中間体化合物11の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 2.57 (3H, s), 3.94 (3H, s), 4.69 (2H, dt, J = 5.4, 1.5 Hz), 5.33 (1H, dq, J = 11, 1.3 Hz), 5.43 (1H, dq, J = 17, 1.5 Hz), 6.09 (1H, ddt, J = 17, 11, 5.4 Hz), 6.89 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.52−7.56 (2H, m).
【0099】
【化16】
【0100】
≪工程2;1−(4−アリルオキシ−5−メトキシ−2−ニトロフェニル)エタノンの合成≫
50mLナスフラスコに、上記中間体化合物11 (497mg,2.41mmol)を入れて酢酸(3mL)に溶解し、氷浴上で発煙硝酸(1mL,24.1mmol)をゆっくり滴下し、0°Cで30分間撹拌した。冷水(10mL)を加えて酢酸エチル(10mL×3)で抽出、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和食塩水(10mL×2)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:1)、黄白色固体(中間体化合物12;1−(4−allyloxy−5−methoxy−2−nitrophenyl)ethanone)345mg(1.37mmol,57%)を得た。
【0101】
得られた中間体化合物12の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 2.50 (3H, s), 3.98 (3H, s), 4.71 (2H, dt, J = 5.5, 1.4 Hz), 5.39 (1H, dq, J = 11, 1.3 Hz), 5.48 (1H, dq, J = 17, 1.3 Hz), 6.07 (1H, ddt, J = 17, 11, 5.4 Hz), 6.76 (1H, s), 7.62 (1H, s).
【0102】
【化17】
【0103】
≪工程3;1−(4−アリルオキシ−5−メトキシ−2−ニトロフェニル)エタノールの合成≫
50mLナスフラスコに、上記工程で得られた中間体化合物12 (1.41g,5.61mmol)、テトラヒドロフラン(10 mL)、メタノール(10mL)を入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(637mg,16.8mmol)を少しずつ添加した。0℃で20分間撹拌し、さらに室温で40分間撹拌した。濃縮後、クロロホルム(10mL×3)と純水(30mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、黄白色固体(中間体化合物13;1−(4−allyloxy−5−methoxy−2−nitrophenyl)ethanol)1.40g(5.54mmol,99%)を得た。
【0104】
得られた中間体化合物13の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 1.56 (3H, d, J = 6.3 Hz), 2.29 (1H, d, J = 3.7 Hz), 4.00 (3H, s), 4.67 (2H, dt, J = 5.5, 1.4 Hz), 5.36 (1H, dq, J = 11, 1.3 Hz), 5.46 (1H, dq, J = 17, 1.5 Hz), 5.57 (1H, qd, J = 6.3, 3.7 Hz), 6.07 (1H, ddt, J = 17, 11, 5.4 Hz), 7.31 (1H, s), 7.59 (1H, s).
【0105】
【化18】
【0106】
≪工程4;1−(4−アリルオキシ−5−メトキシ−2−ニトロフェニル)エチルN−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
200mL二口ナスフラスコに、中間体化合物13(2.50g,9.85mmol)を入れてドライアセトニトリル(35mL)に溶解し、ジ(N−スクシンイミジル)カーボネート(6.36g,24.8mmol)、トリエチルアミン(4.05g,40.1mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で17時間撹拌した。濃縮後、クロロホルム(150mL,60mL×2)、純水(200mL)と2N塩酸(10mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100 mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)、黄白色固体(中間体化合物14;1−(4−allyloxy−5−methoxy−2−nitrophenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)2.97g(7.54 mmol,77%)を得た。
【0107】
得られた中間体化合物14の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 1.76 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.80 (4H, s), 4.06 (3H, s), 4.67 (2H, dt, J = 5.5, 1.4 Hz), 5.37 (1H, dq, J = 11, 1.3 Hz), 5.47 (1H, dq, J = 17, 1.5 Hz), 6.07 (1H, ddt, J = 17, 11, 5.4 Hz), 6.51 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.08 (1H, s), 7.65 (1H, s).
【0108】
【化19】
【0109】
本実施例においては、中間体化合物14を上記の方法により合成したが、例えばH. Nakayama et al., Colloids Surf. B, 2010, 76, 88−97に記載されている方法により合成した中間体化合物14を用いてもよい。
【0110】
≪工程5;1−(5−メトキシ−2−ニトロ−4−(3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ)フェニル)エチル N−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
30mL二口ナスフラスコに、中間体化合物14 (300mg, 0.761mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、トリス(トリメチルシロキシ)シラン(677mg,2.28mmol)、カーステッド触媒(5滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=60:20:1→50:50:1)、黄色粘体(化合物1a;1−(5−methoxy−2−nitro−4−(3−tris(trimethylsiloxy)silylpropoxy)phenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)281mg(0.407mmol,53%)を得た。
【0111】
得られた化合物1aの同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.10 (27H, s), 0.55−0.60 (2H, m), 1.76 (3H, d, J = 6.5 Hz), 1.85−1.94 (2H, m), 2.80 (4H, s), 3.98−4.03 (2H, m), 4.04 (3H, s), 6.51 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.07 (1H, s), 7.62 (1H, s).
【0112】
【化20】
【0113】
<化合物1bの合成>
≪中間体化合物13の合成≫
上記<化合物1aの合成>≪工程1〜3≫と同様の方法により、中間体化合物13を合成した。
【0114】
≪中間体化合物15;1−(4−(3−(1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサニル)プロポキシ)−5−メトキシ−2−ニトロフェニル)エタノールの合成≫
100mL二口ナスフラスコに、中間体化合物13(512mg,2.02mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン (1.36g,6.09mmol)、カーステッド触媒(5滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=15:1,1%テトラメトキシシラン)、黄色粘体(中間体化合物15;1−(4−(3−(1,1,3,3,5,5,5−heptamethyltrisiloxanyl)propoxy)−5−methoxy−2−nitrophenyl)ethanol)627mg(1.02mmol,50%)を得た。
【0115】
得られた中間体化合物15の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ0.03 (6H, s), 0.08 (9H, s), 0.12 (6H, s), 0.63−0.68 (2H, m), 1.56 (3H, d, J = 6.2 Hz), 1.86−1.95 (2H, m), 2.28 (1H, d, J = 3.7 Hz), 3.99 (3H, s), 4.02 (2H, t, J = 7.2 Hz), 5.52−5.60 (1H, m), 7.29 (1H, s), 7.56 (1H, s).
【0116】
【化21】
【0117】
≪化合物1b;1−(4−(3−(1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサニル)プロポキシ)−5−メトキシ−2−ニトロフェニル)エタノール N−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
30mL二口ナスフラスコに、中間体化合物15(618mg,1.30mmol)を入れてドライアセトニトリル(11mL)に溶解し、ジ(N−スクシンイミジル)カーボネート(860mg,3.36mmol)とトリエチルアミン(540mg,5.34mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。濃縮後、クロロホルム(20mL×3)、純水(30mL)と2N塩酸(2mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=5:1,1%テトラメトキシシラン)、黄色粘体(化合物1b;1−(4−(3−(1,1,3,3,5,5,5−heptamethyltrisiloxanyl)propoxy)−5−methoxy−2−nitrophenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)326mg(0.529mmol,41%)を得た。
【0118】
得られた化合物1bの同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.03 (6H, s), 0.09 (9H, s), 0.12 (6H, s), 0.62−0.69 (2H, m), 1.76 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.86−1.95 (2H, m), 2.80 (4H, s), 3.99−4.05 (2H, m), 4.04 (3H, s), 6.51 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.07 (1H, s), 7.63 (1H, s).
【0119】
【化22】
【0120】
<化合物2aの合成>
≪工程1;1−(4,5−(メチレンジオキシ)−2−ニトロフェニル)エタノンの合成≫
200mLナスフラスコに、3,4−(メチレンジオキシ)アセトフェノン(5.04g,30.7mmol)を入れてトリフルオロ酢酸(50mL)に溶解し、亜硝酸ナトリウム (6.30g,91.4mmol)を少しずつ添加し、20時間撹拌した。純水(100mL)を加えてジクロロメタン(100mL×3)で抽出、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、黄色固体(中間体化合物21;1−(4,5−(methylenedioxy)−2−nitrophenyl)ethanone)2.35g(11.2mmol,36%)を得た。
【0121】
得られた中間体化合物21の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 2.49 (3H, s), 6.18 (2H, s), 6.75 (1H, s), 7.55 (1H, s).
【0122】
【化23】
【0123】
≪工程2;1−(4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)エタンノンの合成≫
300mL二口ナスフラスコに、AlCl
3(6.55g,49.1 mmol)、ジクロロメタン (48.2mL)を入れて懸濁液とし、0℃に冷却して、ジクロロメタン(70.2mL)に溶解した中間体化合物21(3.00g,14.4mmol)を1時間かけてゆっくり滴下し、窒素雰囲気下、−10℃で2時間撹拌した。次いで、冷水(98mL)を加え、窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌した。飽和食塩水(100mL)と2N塩酸(6mL)を加えて酢酸エチル(100mL×3)で抽出、有機層を飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物をクロロホルムで洗浄、吸引ろ過、真空乾燥し、黄緑色固体(中間体化合物22;1−(4,5−dihydroxy−2−nitrophenyl)ethanone)1.53g 7.74 mmol,54%)を得た。
【0124】
得られた中間体化合物22の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CD
3OD/ TMS, 400 MHz): δ 2.44 (3H, s), 6.78 (1H, s), 7.49 (1H, s).
【0125】
【化24】
【0126】
≪工程3;1−(4,5−ジアリルオキシ−2−ニトロフェニル)エタノンの合成≫
100mL二口ナスフラスコに、中間体化合物22(1.03g,5.21mmol)を入れてアセトン(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.88 g,20.8mmol)を加え、室温で30分間撹拌した後、臭化アリル(2.98g,24.6mmol)を加えて2.5時間還流した。濃縮後、酢酸エチル(100mL×3)と純水(100mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、淡黄色固体(中間体化合物23;1−(4,5−diallyloxy−2−nitrophenyl)ethanone)1.27g(4.59mmol,88%)を得た。
【0127】
得られた中間体化合物23の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 2.49 (3H, s), 4.68−4.72 (4H, m), 5.35−5.40 (2H, m), 5.42−5.51 (2H, m), 6.00−6.12 (2H, m), 6.76 (1H, s), 7.62 (1H, s).
【0128】
【化25】
【0129】
≪工程4;1−(4,5−ジアリルオキシ−2−ニトロフェニル)エタノールの合成≫
200mLナスフラスコに、中間体化合物23(1.09g,3.94mmol)を入れてテトラヒドロフラン(5.0ml)に溶解し、メタノール(5.0mL)を入れ、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(0.52g,13.9mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌した。濃縮後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(100mL)と2N塩酸(5mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄、吸引ろ過、真空乾燥し、黄色固体(中間体化合物24;1−(4,5−diallyloxy−2−nitrophenyl)ethanol)0.90g(3.22mmol,82%)を得た。
【0130】
得られた中間体化合物24の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 1.54 (3H, d, J = 6.3 Hz), 2.27 (1H, d, J = 3.6 Hz), 4.64−4.76 (4H, m), 5.32−5.38 (2H, m), 5.42−5.50 (2H, m), 5.51−5.57 (1H, m), 6.02−6.13 (2H, m), 7.30 (1H, s), 7.59 (1H, s).
【0131】
【化26】
【0132】
≪工程5;1−(4,5−ジアリルオキシ−2−ニトロフェニル)エチルN−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
100mL二口ナスフラスコに、中間体化合物24(0.80g,2.87mmol)を入れてドライアセトニトリル(10.0mL)に溶解し、ジ(N−スクシンイミジル)カーボネート(1.25g,4.90mmol)、トリエチルアミン(0.904g,8.93mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で19時間撹拌した。濃縮後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(100mL)と2N塩酸(5mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:1)、黄白色固体(中間体化合物25;1−(4,5−diallyloxy−2−nitrophenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)0.846g(2.01mmol,70%)を得た。
【0133】
得られた中間体化合物25の同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 1.74 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.80 (4H, s), 4.65−4.69 (2H, m), 4.73−4.86 (2H, m), 5.33−5.41 (2H, m), 5.43−5.54 (2H, m), 6.01−6.16 (2H, m), 6.50 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.10 (1H, s), 7.65 (1H, s).
【0134】
【化27】
【0135】
≪工程6;1−(2−ニトロ−4,5−ビス(3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ)フェニル)エチル N−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
30mL二口ナスフラスコに、中間体化合物25(0.426g,1.01mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン (7.0mL)に溶解し、トリス(トリメチルシロキシ)シラン(1.21g,4.09mmol)、カーステッド触媒(10滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=8:1,1%テトラメトキシシラン)、黄色粘体(化合物2a;1−(2−nitro−4,5−bis(3−tris(trimethylsiloxy)silylpropoxy)phenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)0.11g(0.11mmol,11%)を得た。
【0136】
得られた化合物2aの同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.10−0.11 (54H, m), 0.54−0.65 (4H, m), 1.75 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.83−1.97 (4H, m), 2.80 (4H, s), 3.97−4.17 (4H, m), 6.52 (1H, q, J = 6.6 Hz), 7.05 (1H, s), 7.61 (1H, s).
【0137】
【化28】
【0138】
<化合物2bの合成>
≪中間体化合物25の合成≫
上記<化合物2aの合成>と同様の方法により、中間体化合物25を合成した。
【0139】
≪化合物2b;1−(4,5−ビス(3−(1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサニル)プロポキシ)−2−ニトロフェニル)エチル N−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
20mL二口ナスフラスコに、中間体化合物25(0.31g,0.75mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(6.0mL)に溶解し、1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン(0.66g,2.98mmol)、カーステッド触媒(10滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製し(ヘキサン:酢酸エチル=10:1,1%テトラメトキシシラン)、黄色粘体(化合物2b;1−(4,5−bis(3−(1,1,3,3,5,5,5−heptamethyltrisiloxanyl)propoxy)−2−nitrophenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)0.15g(0.17mmol,23%)を得た。
【0140】
得られた化合物2bの同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.03 (6H, s), 0.04 (6H, s), 0.08 (9H, s), 0.09 (9H, s), 0.12 (6H, s), 0.12 (6H, s), 0.63−0.73 (4H, m), 1.75 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.84−1.96 (4H, m), 2.80 (4H, s), 3.97−4.21 (4H, m), 6.48−6.55 (1H, m), 7.05 (1H, s), 7.61 (1H, s).
【0141】
【化29】
【0142】
<化合物2cの合成>
≪中間体化合物25の合成≫
上記<化合物2aの合成>と同様の方法により、中間体化合物25を合成した。
≪化合物2c;1−(4,5−ビス(3−(ポリジメチルシロキサニル)プロポキシ)−2−ニトロフェニル)エチル N−スクシンイミジルカーボネートの合成≫
20mL二口ナスフラスコに、中間体化合物25(49.8mg,0.12mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(3.0mL)に溶解し、ポリジメチルシロキサン(2.51g,0.31mmol)、カーステッド触媒(5滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で16.5時間撹拌した。濃縮し、粗生成物(化合物2c、1−(4,5−bis(3−(polydimethylsiloxanyl)propoxy)−2−nitrophenyl)ethyl N−succinimidyl carbonate)3.23 gを得た。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.01−0.20 (1288H, m), 0.61−0.75 (4H, m), 0.96 (6H, t, J = 7.6 Hz), 1.25−1.41 (8H, m), 1.75 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.82−2.00 (4H, m), 2.79 (4H, s), 3.95−4.22 (4H, m), 6.44−6.56 (1H, m), 7.05 (1H, s), 7.61 (1H, s).
【0143】
得られた化合物2cの同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl
3/ TMS, 400 MHz): δ 0.01−0.20 (1288H, m), 0.61−0.75 (4H, m), 0.96 (6H, t, J = 7.6 Hz), 1.25−1.41 (8H, m), 1.75 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.82−2.00 (4H, m), 2.79 (4H, s), 3.95−4.22 (4H, m), 6.44−6.56 (1H, m), 7.05 (1H, s), 7.61 (1H, s).
【0144】
【化30】
【0145】
<表面修飾>
熱酸化膜付シリコンウェハ(SiO
2/Si基板)を純水、アセトン、メタノール、クロロホルムで各5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した後、UV−オゾンクリーナーにてUVを1時間照射して前処理した。
次に、3−アミノプロピルトリメトキシシランをドライトルエンに溶解して0.1mM溶液を調製し、上記の前処理した基板を入れ、窒素雰囲気下、室温で1時間浸漬した。基板をメタノールとクロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した(下記工程1)。
続いて、上記方法により得られた化合物1a、1b、2a、2bをそれぞれアセトニトリルに、2cをトルエンに溶解して1.0mM溶液を調製し、トリエチルアミン(3.0mM)を添加し、上記のアミノ化基板を入れ、窒素雰囲気下、室温で18時間浸漬した。基板をメタノールとクロロホルムでリンスし、窒素気流で乾燥した(下記工程2)。
修飾した基板に、超高圧水銀灯でフィルターを介して波長365nm、照度15J(化合物2cのみ60Jとした)の光を大気中で照射した。基板をクロロホルムで5分間超音波洗浄し、窒素気流で乾燥した(下記工程3)。
【0146】
【化31】
【0147】
【化32】
【0148】
【化33】
【0149】
<接触角測定>
接触角計(協和界面科学株式会社)を用いて液滴法・θ/2法に従って、光照射前後の水の静的接触角を測定した。また、プローブ液体に水、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレンをそれぞれ用いて静的接触角を測定した。その結果を表1に記載する。下記表1において、「(MeO)
3Si(CH
2)
3NH
2」は上記工程1の直後を、「光照射前」は上記工程2の直後を「光照射後」は上記工程3の直後を、それぞれ意味する。
【0150】
【表1】
【0151】
上記表1に示した結果の通り、フッ素を含まないいずれの化合物も、光照射後に接触角が小さくなることが確認された。
また、シロキサン構造が分岐型の化合物1aと、直鎖型の化合物1bとを比較すると、分岐型の化合物1aのほうが光照射前後の接触角が大きかった。
また、1置換の化合物1aと、2置換の化合物2aとを比較すると、2置換の化合物2aのほうが接触角が大きかった。
さらに、2置換鎖状型の化合物2cは、光照射前はジヨードメタン、1−ブロモナフタレンに対する接触角が最も高かった。