【課題】所定の機能を有効にする論理値側の短絡が発生した場合でも、該短絡を容易に検出することが可能な検査回路、半導体記憶装置、半導体装置、および接続検査方法を提供すること。
【解決手段】第1の制御部26に送る試験信号が入力される入力端子CSと、記憶部へ書き込むデータが入力されるとともに記憶部から読み出されたデータが出力される入出力端子DQと、検査信号が入力される第1の検査部24−1と、入力端子CSと第1の制御部26との間に配置されるとともに第1の検査部24−1の制御に基づいて試験信号を予め定められた論理の制御信号に変換する第2の検査部24−2と、入出力端子DQと第2の制御部28との間に配置されるとともに第1の検査部24−1の制御に基づいて試験信号を第2の制御部28に送る第3の検査部24−3と、を含む。
前記第1の制御部がチップセレクト機能を実行する制御部であるとともに前記制御信号がチップセレクト信号であるか、または、前記第1の制御部がクロックイネーブル機能を実行する制御部であるとともに前記制御信号がクロックイネーブル信号である
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の検査回路。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の検査回路と、前記記憶部と、前記記憶部への記憶に付随する特定の機能が予め定められた論理の制御信号で実行される前記第1の制御部と、前記記憶部へのデータの書き込みおよび前記記憶部からのデータの読み出しを制御する前記第2の制御部と、
を含む半導体記憶素子。
前記半導体素子が、前記試験信号を前記入力端子に送る第1の出力端子、前記検査信号を前記第1の検査部に送る第2の出力端子、および前記入出力端子からのデータを入力するデータ入力端子を備えたマイクロコントローラであり、
前記検査信号により前記検査回路による検査の実行を制御する
請求項8に記載の半導体装置。
データを記憶する記憶部、および前記記憶部への記憶に付随する特定の機能が予め定められた論理の制御信号で実行される制御部を備えた半導体記憶素子に含まれる検査回路による接続検査方法であって、
前記制御部に送る信号を入力する入力端子から試験信号を入力し、
前記記憶部への書き込みのタイミングにおいて、前記試験信号を前記予め定められた論理の制御信号に変換して前記制御部に入力し、
前記記憶部への書き込みのタイミングにおいて前記試験信号を前記記憶部へ書き込み、 前記記憶部へ記憶させた前記試験信号を読み出し、
前記記憶部に書き込んだ前記試験信号と前記記憶部から読み出た前記試験信号とを照合することによって、前記半導体記憶素子の入力端子と、前記半導体記憶素子に接続された半導体素子の前記入力端子に対応する端子との間の接続状態を検査する
接続検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、1つのパッケージ内に複数の半導体素子を含む半導体装置の一形態として、MCP(Multi−Chip Package)を使用した半導体装置が知られている。MCPは複数の半導体素子を内蔵するパッケージの総称であり、複数の半導体素子を縦方向に積層する形態、横方向に並べる形態などの種類がある。MCPを使用した半導体装置のような、内部に複数の半導体素子が実装された半導体装置では、複数の半導体素子間の接続を確認する方法がひとつの技術課題となっている。
【0006】
MCPによって実装された半導体装置の一例として、SDR(Single Data Rate)/DDR(Double Data Rate) synchronous DRAM(Dynamic Random Access Memory。以下、「DRAM」)とコントローラICとを含む半導体素子が実装された半導体装置(以下、「MCPメモリ」)を考えてみる。従来、DRAMとコントローラICとの間の接続の確認は、DRAMとコントローラIC間で書き込み・読み出しをするという方法、あるいは、DRAMの電流値を測定するという方法で行うのが一般的であった。
【0007】
一方、MCPメモリ内の複数の半導体素子間で、一方が他方を制御するための制御信号のやり取りが行われる場合も多い。半導体装置内の回路の制御においては、予め定められた論理(「ハイ」または「ロウ」)の信号で所定の機能を有効とする制御信号を用いる場合も多い。その際、「ハイレベル」で所定の機能を有効とする場合は「アクティブハイ」とよばれ、「ロウレベル」で所定の機能を有効とする場合は「アクティブロウ」とよばれている。
【0008】
MCPメモリにおいて、DRAMチップの端子とコントローラICの端子とを接続した際にMCP内部でショート(短絡)異常が発生した場合を考える。この場合、アドレス端子(A0等)、コマンド端子(CLK、CK、RAS等)、DQ端子(DQ0等)などは、コントローラICからDRAMに対し書き込み・読み出しを行うことで、容易にショート異常を検出することができる。これらの端子のレベルは固定されておらず、実際上、随時期待値と実際の値との比較が行われているからである。
【0009】
しかしながら、DRAMのチップセレクト(以下、「CS」)端子、やクロックイネーブル(以下、CKE)端子に関しては、CS端子がロウレベル(以下、「Lレベル」)に固定されるショート異常や、CKE端子がハイレベル(以下、「Hレベル」)に固定されるショート異常の場合は、いずれの場合もDRAMが正常に動作するため、CS端子、あるいはCKE端子がショートしていることの検出は困難であった。これは、CS端子がアクティブロウであり、CKE端子がアクティブハイ、すなわち、CS端子、CKE端子ともに、HレベルおよびLレベルのいずれかのレベルで有効となる制御信号であることに起因する。なお、CS端子とCKE端子の制御論理は一例であって、むろん逆の論理であってもよい。
【0010】
この点、特許文献1に係る半導体モジュール、あるいは特許文献2に係る半導体装置も1つのパッケージ内に実装された半導体素子の端子間の接続異常の検出を問題としているが、個々の端子間のレベルに基づく動作の違いについては検討されていない。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、所定の機能を有効にする論理値側の短絡が発生した場合でも、該短絡を容易に検出することが可能な検査回路、半導体記憶装置、半導体装置、および接続検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る検査回路は、データを記憶する記憶部を含む半導体記憶素子と、前記半導体記憶素子に接続される半導体素子との間の接続状態の検査を実行する検査回路であって、第1の制御部に送る試験信号が入力される入力端子と、前記記憶部へ書き込むデータが入力されるとともに前記記憶部から読み出されたデータが出力される入出力端子と、検査信号が入力される第1の検査部と、前記入力端子と前記第1の制御部との間に配置されるとともに前記第1の検査部の制御に基づいて前記試験信号を予め定められた論理の制御信号に変換する第2の検査部と、前記入出力端子と第2の制御部との間に配置されるとともに前記第1の検査部の制御に基づいて前記試験信号を当該第2の制御部に送る第3の検査部と、を含むものである。
【0013】
本発明に係る半導体記憶素子は、上記の検査回路と、記憶部と、記憶部への記憶に付随する特定の機能が予め定められた論理の制御信号で実行される第1の制御部と、記憶部へのデータの書き込みおよび前記記憶部からのデータの読み出しを制御する前記第2の制御部と、を含むものである。
【0014】
本発明に係る半導体装置は、上記の半導体記憶素子と、半導体素子と、を含むものである。
【0015】
一方、本発明に係る接続検査方法は、データを記憶する記憶部、および前記記憶部への記憶に付随する特定の機能が予め定められた論理の制御信号で実行される制御部を備えた半導体記憶素子に含まれる検査回路による接続検査方法であって、前記制御部に送る信号を入力する入力端子から試験信号を入力し、前記記憶部への書き込みのタイミングにおいて、前記試験信号を前記予め定められた論理の制御信号に変換して前記制御部に入力し、前記記憶部への書き込みのタイミングにおいて前記試験信号を前記記憶部へ書き込み、前記記憶部へ記憶させた前記試験信号を読み出し、前記記憶部に書き込んだ前記試験信号と前記記憶部から読み出た前記試験信号とを照合することによって、前記半導体記憶素子の入力端子と、前記半導体記憶素子に接続された半導体素子の前記入力端子に対応する端子との間の接続状態を検査するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の機能を有効にする論理値側の短絡が発生した場合でも、該短絡を容易に検出することが可能な検査回路、半導体記憶装置、半導体装置、および接続検査方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1ないし
図4を参照して、本実施の形態に係る検査回路、半導体記憶装置、半導体装置、および接続検査方法について説明する。本実施の形態は、DRAMのCS端子に関連するショート(短絡)異常を検出する形態である。
【0020】
図1に示すように本実施の形態に係る半導体装置10は、DRAM12、コントローラIC18を含んで構成され、DRAM12、コントローラIC18はパッケージに実装されている。パッケージの形態に特に制限はないが、本実施の形態に係る半導体装置10では、MCPを用いた形態とされている。半導体装置10は、外部の部品等と接続するための外部端子20を備えている。
【0021】
DRAM12は本実施の形態に係る半導体記憶装置であり、本実施の形態に係る検査回路である検査回路14を含んで構成されている。
図1に示すように、検査回路14はCS(チップセレクト)端子、TEST端子、CKE(クロックイネーブル)端子、およびDQ端子を備え、これらの端子はDRAM12と外部とを接続する端子16の一部を構成している。ここで、本実施の形態は、DRAM12のCS端子に関連するショート(短絡)異常を検出する形態のため、CS端子、TEST端子、およびDQ端子を備えた検査回路14を例示して説明する。
【0022】
コントローラIC18は主としてDRAM12を制御する半導体素子であり、端子22の一部であるC_CS端子、C_TEST端子、C_CKE端子、およびC_DQ端子を備えている。C_CS端子、C_TEST端子、C_CKE端子、およびC_DQ端子は、各々DRAM12のCS端子、TEST端子、CKE端子、およびDQ端子と接続され、DRAM12のこれらの端子を制御する信号の出力端子、あるいはDRAM12からの信号を受け取る入力端子となっている。
【0023】
次に
図2を参照し、本実施の形態に係る検査回路14についてより詳細に説明する。
図2に示すように、検査回路14は、CS端子、TEST端子、DQ端子の他に、ショート検出回路24−1、24−2、24−3(以下、総称する場合は「ショート検出回路24」)を含んで構成されている。なお、
図2におけるCS制御回路26、DQ制御回路28はDRAM12の一部を構成している。
【0024】
CS端子はデバイスの選択信号の入力端子であり、本信号がアサートされている期間他の信号線の入力が有効となる。CS制御回路26は、CS端子への入力信号に応じて本動作を実行する回路である。CS端子はコントローラIC18のC_CS端子に接続されており、コントローラIC18は、C_CS端子からCS信号をDRAM12のCS端子に送ることによりチップセレクト機能を制御する。ここで、本実施の形態に係るCS端子はLレベルで活性化される(有効化される、すなわちアクティブロウ)とされているが、むろんこの論理は逆であってもよい。
【0025】
DQ端子はデータ信号の入出力端子であり、DQ制御回路28は、DQ端子への入力信号に応じてDRAM12内のメモリ(例えば、1ビットメモリ)にデータを書き込み、DQ端子からの制御信号に応じてDQ端子からDRAM12内のメモリから書き込まれたデータを読み出す。DQ端子はコントローラIC18のC_DQ端子に接続されており、コントローラIC18は、C_DQ端子からデータ信号をDQ端子に送り、一方DQ端子から出力されたデータ信号をC_DQ端子から取り込む。
【0026】
TEST端子は検査回路14を制御する制御信号の入力端子であり、ショート検出回路24−1に接続されている。一方ショート検出回路24−2、および24−3の各々は、ショート検出回路24−1に接続され、ショート検出回路24−1を介して制御される。
TEST端子はコントローラIC18のC_TEST端子と接続されており、コントローラIC18は、検査を制御するための制御信号(検査信号)をC_TEST端子から検査回路14に送ることにより検査回路14の制御を実行する。
【0027】
図2において、C_CS端子とCS端子との間、C_DQ端子とDQ端子との間、およびTEST端子とC_TEST端子との間はボンディングワイヤ、プリント板のパターン、あるいはフリップチップ実装の場合のバンプ等の接続手段によって接続されるが、本実施の形態ではボンディングワイヤWで接続する形態としている。ショート検出回路24は該接続手段におけるショート(短絡)異常を検出する回路である。すなわち、本実施の形態に係る検査回路14は、DRAM12とコントローラIC18との間の接続におけるショート異常を検出する回路となっている。
【0028】
図2に示すように、ショート検出回路24−2はCS端子とCS制御回路26との間に配置され、CS制御回路26に対する入力を制御する。ショート検出回路24−3は、DQ端子とDQ制御回路28との間に配置され、DQ制御回路28に対する入出力を制御する。一方、ショート検出回路24−1は、TEST端子、およびショート検出回路24−2、24−3に接続され、TEST端子を介して入力された検査信号に応じてショート検出回路24−2、24−3を制御する。
【0029】
次に、検査回路14の動作について説明する。検査回路14は、通常状態の動作である通常モードと検査時の動作である検査モードとを有している。通常モードにおいては記号<1>の付された点線矢印で示すように、C_CS端子からCS端子に送られた信号はCS制御回路26に入力され、CS制御回路26を制御する。同様に、記号<1>の付された点線矢印で示すように、C_DQ端子からDQ端子に送られたデータ信号はDQ制御回路28に入力される。また、DRAM12からの読み出されたデータ信号は、記号<4>の付された点線矢印で示すように、DQ制御回路28からDQ端子を介してコントローラIC18のC_DQ端子に送られる。ここで、以下の説明において図中の<X>で示す記号は、図中の当該箇所を示す記号としている。
【0030】
一方、検査モード時には、コントローラIC18がC_TEST端子からDRAM12のTEST端子にTEST信号を送ることによりショート検出回路24−1、24−2、24−3を活性化させる(動作させる)。すると、ショート検出回路24−2においてCS端子とCS制御回路26との間が分断される。つまり、CS制御回路26にはショート検出回路24−2から
図2の<3>の経路でLレベルの信号が与えられ、DRAM12の内部はWRTコマンド状態となる。ここで、上述したように、本実施の形態に係るCS端子はアクティブロウである。
【0031】
同時に、DQ端子とDQ制御回路28との間はショート検出回路24−3内で分断され、
図2の<2>の経路でDQ制御回路28にCS端子へ入力された信号(試験信号)がDRAM12に書き込まれる。DRAM12に書き込まれたデータは、
図2の<4>の経路を介してDQ端子からコントローラIC18によって読み出される。以上の動作によって、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生しているか否か検査することができる。つまり、検査モードでは、点線矢印<3>で示される経路の信号がCS制御回路26の入力信号となり、点線矢印<2>で示される信号がDQ制御回路28への入力(書き込み)データ信号となる。
【0032】
図3および
図4を参照して、検査回路14の動作についてより詳細に説明する。
図3は、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生していない場合の検査回路14の動作を示すタイミングチャートであり、コントローラIC18からDRAM12に対して送られるコマンドと、各部波形とを示している。また
図4は、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生している場合の検査回路14の動作を示すタイミングチャートであり、コントローラIC18からDRAM12に対して送られるコマンドと、各部波形とを示している。
【0033】
図3の<1>で示すように、本動作例では、書き込みと読み出しとをこの順で行っている。書き込み動作ではコマンドとして、ACT(アクティブ)コマンド、WRT(書き込み)コマンド、PRE(プリチャージ)コマンドがこの順にコントローラIC18からDRAM12に送られ、DRAM12のメモリセルに1ビットのデータが書き込まれる。本実施の形態では、このメモリセルを一例として1ビットセルとしている。ACTコマンドとWRTコマンドとの間のTEST INコマンドと、WRTコマンドとPREコマンドの間のTEST OUTコマンドが、本実施の形態における検査動作時のコマンドである。すなわち、TEST INコマンドとTEST OUTコマンドによって検査回路14が制御され、TEST INコマンドは検査回路14を活性化させる(動作を開始させる)コマンドであり、TEST OUTコマンドは検査回路14を非活性化させる(動作を停止させる)コマンドである。一方、読み出し動作では、ACT(アクティブ)コマンド、RED(読み出し)コマンド、PRE(プリチャージ)コマンドがこの順にコントローラIC18からDRAM12に送られ、DRAM12の1ビットセルから1ビットのデータが読み出される。
【0034】
また、
図3の<1>には、クロック信号CLK(CK)と、テスト信号TESTの波形も示している。テスト信号TESTは、検査動作時にコントローラIC18のC_TEST端子からDRAM12のTEST端子に入力される信号であり、このTEST信号をHレベルにすることによって検査回路14が検査モードに移行し(検査回路14が活性化し)、ショート検出回路24が動作する。
【0035】
図3の<2>を参照して、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生していない場合に、コントローラIC18のC_CS端子からDRAM12のCS端子にHレベルが入力された場合の動作を説明する。本動作では、コントローラIC18のC_CS端子からDRAM2のCS端子を介してHレベルが書き込まれ、このHレベルがDRAM12から読み出される。
【0036】
まず、CS端子の入力信号は、
図3の<3>に示すような波形となる。すなわち、CS端子の入力信号はアクティブロウなので、各コマンドに対応するタイミングでLレベルとすることにより、CS制御回路26が動作する。一方、DRAM12にHレベルを書き込むためにWRTコマンドのタイミングでCS端子にはHレベルを入力するが、CS制御回路26は通常に動作させたいため、
図3の<4>で示すように、WRTコマンドのタイミングにおいてショート検出回路24−2によりCS制御回路26の入力をLレベルに変換する。
【0037】
図3の<5>に示すように、WRTコマンドのタイミングにおけるDQ制御回路28の入力信号は、HレベルのCS信号がショート検出回路24−2、24−1、24−3を介して入力されることにより、Hレベルとなる。すなわち、DRAM12にはHレベルが書き込まれる。そのため読み出し動作においては、
図3の<6>に示すように、DQ端子を介してHレベルが読み出され、DRAM12への書き込みデータの論理と読み出しデータの論理がいずれもHレベルで一致しているので、コントローラIC18は、C_CS端子とCS端子との間の接続が正常であると判断する。
【0038】
次に、
図3の<7>を参照して、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生していない場合に、コントローラIC18のC_CS端子からDRAM12のCS端子にLレベルが入力された場合の動作を説明する。本動作では、コントローラIC18のC_CS端子からDRAM12のCS端子を介してLレベルが書き込まれ、このLレベルがDRAM12から読み出される。
【0039】
まず、CS端子の入力信号は、
図3の<8>に示すような波形となる。すなわち、DRAM12にLレベルを書き込むために、WRTコマンドのタイミングでCS端子にはLレベルを入力する。CS制御回路26はLレベルで通常に動作するため、
図3の<9>で示すように、WRTコマンドのタイミングにおいて、ショート検出回路24−2によりLレベルの信号がCS制御回路28に入力される。
【0040】
図3の<10>に示すように、WRTコマンドのタイミングにおけるDQ制御回路28の入力信号は、LレベルのCS信号がショート検出回路24−2、24−1、24−3を介して入力されることにより、Lレベルとなる。すなわち、DRAM12にはLレベルが書き込まれる。そのため読み出し動作においては、
図3の<11>に示すように、DQ端子を介してLレベルが読み出されるので、DRAM12への書き込みデータの論理と読み出しデータの論理がいずれもLレベルで一致し、コントローラIC18は、C_CS端子とCS端子との間の接続が正常であると判断する。
【0041】
次に、
図4を参照して、C_CS端子とCS端子との間にショート異常が発生している場合の検査回路14の動作について説明する。本例では、C_CS端子とCS端子との間でLレベル側、例えば電源VSSに短絡したショート異常が発生しているものとする。
図4の<1>に示すコマンド、CLK(CK)信号、TEST信号は
図3の<1>と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0042】
図4の<2>に示すように、本例では、コントローラIC18はWRTコマンドのタイミングにおいて、C_CS端子からDRAM12のCS端子に検査のための入力信号(試験信号)であるHレベルを送る。しかしながら、C_CS端子とCS端子との間にLレベル側のショートが発生しているので、
図4の<3>に示すように、CS端子入力はLレベルのままである。CS制御回路26は正常に動作させたいため、
図3の<4>に示すように、ショート検出回路24−2はCS制御回路26にLレベルを送る。
【0043】
一方、本例ではDRAM12の1ビットメモリにHレベルを書き込もうとしているところ、CS端子の入力信号がLレベルのままなので、
図4の<5>に示すように、ショート検出回路24−3はDQ制御回路28に対しLレベルを送る。そのため、
図4の<6>に示すように、コントローラIC18は、DRAM12からDQ端子を介してLレベルを読み出す。Hレベルを書き込んでも、DRAM12から読み出されるのは必ずLレベルであり、書き込みデータと読み出しデータが一致していないため、コントローラIC18は、C_CS端子とCS端子との間の接続において、Lレベル側へのショート異常が発生していると判断する。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係る検査回路、半導体記憶素子、半導体装置、および接続検査方法によれば、コントローラIC18のC_CS端子と、DRAM12のCS端子との間の接続において短絡異常が発生した場合、該短絡異常を容易に検出することが可能となる。
【0045】
[第2の実施の形態]
図5ないし
図7を参照して、本実施の形態に係る検査回路、半導体記憶装置、半導体装置、および接続検査方法について説明する。本実施の形態は、DRAMのCKE端子に関連するショート(短絡)異常を検出する形態である。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態に係る検査回路14aは、CKE端子、TEST端子、DQ端子、ショート検出回路24−4、24−5、24−6(以下、総称する場合は「ショート検出回路24」)を含んで構成されている。
図5において、CKE制御回路30、DQ制御回路28はDRAM12の一部を構成している。ここで、本実施の形態は、DRAM12のCKE端子に関連するショート(短絡)異常を検出する形態のため、検査回路14aは、端子としてCKE端子、TEST端子、およびDQ端子を備えているものとする。
【0047】
CKE端子はクロックイネーブル信号の入力端子であり、本信号がアサートされている期間クロックの入力が有効となる。CKE制御回路30は、CKE端子への入力信号に応じて本動作を実行する回路である。CKE端子はコントローラIC18のC_CKE端子に接続されており、コントローラIC18は、C_CKE端子からCKE信号をDRAM12のCKE端子に送ることによりクロックイネーブル機能を制御する。ここで、本実施の形態に係るCKE端子はHレベルで活性化される(Hレベルで有効となる、すなわちアクティブハイ)とされているが、むろんこの論理は逆であってもよい。DQ端子、DQ制御回路28については
図2と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0048】
TEST端子は検査回路14aを制御する制御信号の入力端子であり、ショート検出回路24−4に接続されている。TEST端子はコントローラIC18のC_TEST端子と接続されており、コントローラIC18はC_TEST端子から制御信号を検査回路14aに送ることにより、検査回路14aの制御を実行する。
【0049】
図5において、C_CKE端子とCKE端子との間、C_DQ端子とDQ端子との間、およびTEST端子とC_TEST端子との間はボンディングワイヤ、プリント板のパターン等の接続手段によって接続されるが、本実施の形態ではボンディングワイヤWで接続する形態としている。ショート検出回路24は該接続手段におけるショート(短絡)を検出する回路である。すなわち、本実施の形態に係る検査回路14aは、DRAM12とコントローラIC18との間の接続におけるショート異常を検出する回路となっている。
【0050】
図5に示すように、ショート検出回路24−5はCKE端子とCKE制御回路30との間に配置され、CKE制御回路30に対する入力を制御する。ショート検出回路24−6は、DQ端子とDQ制御回路28との間に配置され、DQ制御回路28に対する入出力を制御する。一方、ショート検出回路24−4は、TEST端子、およびショート検出回路24−5、24−6に接続され、TEST端子からの入力信号(検査信号)に応じてショート検出回路24−5、24−6を制御する。
【0051】
次に、検査回路14aの動作について説明する。検査回路14aは、検査回路14と同様、通常モードと検査モードとを有している。通常モードにおいては記号<5>の付された点線矢印で示すように、C_CKE端子からCKE端子に送られた信号はCKE制御回路30に入力され、CKE制御回路30を制御する。同様に、記号<5>の付された点線矢印で示すように、C_DQ端子からDQ端子に送られたデータ信号はDQ制御回路28に入力され、DRAM12に書き込まれる。また、DRAM12からの読み出し信号は、記号<8>の付された点線矢印で示すように、DQ制御回路28からDQ端子を介してコントローラIC18のC_DQ端子に送られる。
【0052】
一方、検査モード時には、コントローラIC18のC_TEST端子からDRAM12のTEST端子にTEST信号を送ることによりショート検出回路24−4、24−5、24−6が活性化される。すると、ショート検出回路24−5においてCKE端子とCKE制御回路30との間が分断される。つまり、CKE制御回路30にはショート検出回路24−5から
図5の<7>の経路でHレベルの信号が与えられ、DRAM12の内部はWRTコマンド状態となる。ここで、上述したように、本実施の形態に係るCKE端子はアクティブハイであるが、むろんこの論理は逆であってもよい。
【0053】
同時に、DQ端子とDQ制御回路28との間はショート検出回路24−6内で分断され、
図5の<6>の経路でCKE端子へ入力された信号がDQ制御回路28に送られ、DRAM12に書き込まれる。DRAM12に書き込まれたデータは、
図5の<8>の経路を介してDQ端子からコントローラIC18によって読み出される。以上の動作によって、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生しているか否か検査することができる。つまり、検査モードでは、点線矢印<7>で示される経路の信号がCKE制御回路30の入力信号となり、点線矢印<6>で示される信号がDQ制御回路28への入力(書き込み)データ信号となる。
【0054】
図6および
図7を参照して、検査回路14aの動作についてより詳細に説明する。
図6は、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生していない場合の検査回路14aの動作を示すタイミングチャートであり、コントローラIC18からDRAM12に対して送られるコマンドと、各部波形とを示している。また
図7は、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生している場合の検査回路14aの動作を示すタイミングチャートであり、コントローラIC18からDRAM12に対して送られるコマンドと、各部波形とを示している。
【0055】
図6の<1>で示す、各コマンド、クロック信号CLK(CK)、TEST信号については
図3の<1>と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0056】
図6の<2>を参照して、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生していない場合に、コントローラIC18のC_CKE端子からDRAM12のCKE端子にHレベルが入力された場合の動作を説明する。本動作では、コントローラIC18のC_CKE端子からDRAM12のCKE端子を介してHレベルが書き込まれ、このHレベルがDRAM12から読み出される。
【0057】
まず、CKE端子の入力信号は、
図6の<3>に示すような波形となる。すなわち、CKE端子の入力信号は、DRAM12にHレベルを書き込むために、WRTコマンドのタイミングにおいてHレベルとされている。この際、CKE端子の入力信号はアクティブハイなので、CKE制御回路30の入力は、
図6<4>に示すように、ショート検出回路24−5によりHレベルとされる。これによりCKE制御回路30が動作する。一方、
図6<5>に示すように、WRTコマンドのタイミングにおいて、ショート検出回路24−6により、DQ制御回路28にCKE端子に入力されたHレベルが入力される。すなわち、DRAM12にはHレベルが書き込まれる。
【0058】
そのため読み出し動作においては、
図6の<6>に示すように、DQ端子を介してHレベルが読み出され、DRAM12への書き込みデータの論理と読み出しデータの論理がいずれもHレベルで一致しているので、コントローラIC18は、C_CKE端子とCKE端子との間の接続が正常であると判断する。
【0059】
次に、
図6の<7>を参照して、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生していない場合に、コントローラIC18のC_CKE端子からDRAM12のCKE端子にLレベルが入力された場合の動作を説明する。本動作では、コントローラIC18のC_CKE端子からDRAM12のCKE端子を介してLレベルが書き込まれ、このLレベルがDRAM12から読み出される。
【0060】
まず、CKE端子の入力信号は、
図6の<8>に示すような波形となる。すなわち、WRTコマンドのタイミングにおいて、コントローラIC18はCKE端子にLレベルを入力する。CKE制御回路30はHレベルで通常に動作するため、
図6の<9>で示すように、WRTコマンドのタイミングにおいて、ショート検出回路24−5はCKE端子に入力されたLレベルの信号をHレベルに変換してCKE制御回路30に入力させる。
【0061】
図6の<10>に示すように、WRTコマンドのタイミングにおけるDQ制御回路28の入力信号は、LレベルのCKE信号がショート検出回路24−5、24−4、24−6を介して入力されることにより、Lレベルとなる。すなわち、DRAM12にはLレベルが書き込まれる。そのため読み出し動作においては、
図6の<11>に示すように、DQ端子を介してLレベルが読み出されるので、DRAM12への書き込みデータの論理と読み出しデータの論理がいずれもLレベルで一致し、コントローラIC18は、C_CKE端子とCKE端子との間の接続が正常であると判断する。
【0062】
次に、
図7を参照して、C_CKE端子とCKE端子との間にショート異常が発生している場合の検査回路14aの動作について説明する。本例では、C_CKE端子とCKE端子との間でHレベル側、例えば電源VDDに短絡したショート異常が発生しているものとする。
図7の<1>に示すコマンド、CLK(CK)信号、TEST信号は
図3の<1>と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0063】
図7の<2>に示すように、本例では、コントローラIC18は検査のための入力信号(試験信号)として、C_CKE端子からDRAM12のCKE端子にLレベルを送る。
しかしながら、C_CKE端子とCKE端子との間にHレベル側のショートが発生しているので、
図7の<3>に示すように、CKE端子入力はHレベルのままである。CKE制御回路30は正常に動作させたいため、
図7の<4>に示すように、ショート検出回路24−5はCKE制御回路30にHレベルを送る。
【0064】
一方、本例ではDRAM12の1ビットメモリにLレベルを書き込もうとしているところ、CKE端子の入力信号がHレベルのままなので、
図7の<5>に示すように、ショート検出回路24−6はDQ制御回路28に対しHレベルを送る。これによりDRAM12にはHレベルが書き込まれる。そのため、
図7の<6>に示すように、コントローラIC18は、DRAM12からDQ端子を介してHレベルを読み出す。Lレベルを書き込んでも、DRAM12から読み出されるのは必ずHレベルであり、書き込みデータと読み出しデータが一致していないため、コントローラIC18は、C_CKE端子とCKE端子との間の接続において、Hレベル側へのショート異常が発生していると判断する。
【0065】
以上のように、本実施の形態に係る検査回路、半導体記憶素子、半導体装置、および接続検査方法によれば、C_CKE端子とCKE端子との間の接続において短絡異常が発生した場合、該短絡異常を容易に検出することが可能となる。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、コントローラIC18のC_CS端子とDRAM12のCS端子との間の接続検査、コントローラIC18のC_CKE端子とDRAM12のCKE端子との間の接続検査を別々に行う半導体装置の形態として説明したがこれに限られず、例えば両方の接続検査の機能を有する半導体装置として構成してもよい。この場合、基本的に
図2に示す検査回路14と
図5に示す検査回路14aとの両方の検査回路を具備することになるが、ショート検出回路24−1とショート検出回路24−4とは兼用化させ、コントローラIC18のC_TEST端子、DRAM12のTEST端子は各々ひとつずつ配置させる形態としてもよい。