【解決手段】矩形状の外枠10と、外枠10の一方の面S1から側面S3にかけて形成された凹部Cと、外枠10の他方の面S2から側面S3にかけて形成された切欠段差部Gとを含み、凹部Cの側壁と側面S3とが接する部分が曲面状に形成されている。
前記凹部及び前記切欠段差部は、前記外枠の長手方向の両側の前記側面にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリードフレーム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。
【0015】
図1は、予備的事項に係るリードフレームを説明するための図である。予備的事項の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない技術内容を含む。
【0016】
図1(a)に示すように、予備的事項に係るリードフレームは、外形が長方形状の外枠100を備えている。外枠100の内側には複数の製品領域Rが区画されており、各製品領域Rには、外枠100に連結されたダイパッド及びリード(不図示)が配置されている。
【0017】
リードフレームは、半導体装置を構築する製造工程や搬送の間に金属製のフレームストッカ(不図示)に保管される。
【0018】
フレームストッカの対向する側板の内壁には、上下方向に複数のレールが並んで設けられている。そして、フレームストッカの両側のレールの上にリードフレームの長手方向の外枠100の両端部が配置されて、複数のリードフレームがフレームストッカに保管される。
【0019】
リードフレームをフレームストッカに入れたり出したりする際に、リードフレームの長手方向の外枠100の側面がフレームストッカの側板の内壁に接触して擦れる。
【0020】
このため、リードフレームの外枠100の側面及びフレームストッカの側板の内壁からバリが発生しやすい。リードフレームから発生するバリが分離すると、リードフレームのダイパッドやリードが配置された領域に飛散しやすい。
【0021】
バリの長さが、ダイパッドとリードとの間隔及びリード間の間隔よりも長いと、ダイパッドとリード及びリード同士がバリを介して接続されるため、電気ショートが発生する。
【0022】
この対策として、
図1(b)の部分斜視図に示すように、
図1(a)のリードフレームの外枠100の外端部の上面側及び下面側に厚みの途中まで第1凹部C1及び第2凹部C2を形成する。
【0023】
これにより、リードフレームの外枠100の側面の直角部分の長さが短くなるため、バリが発生するとしてもバリの長さが小さくなる。その結果、ダイパッドとリード及びリード同士がバリを介して接続されるリスクを低減させることができる。
【0024】
しかし、第1凹部C1及び第2凹部C2の各内壁と外枠100の側面とが接する部分(
図1(b)のAで示される部分)が直角で尖って形成されるため、その部分からバリが発生しやすい。このため、
図1(b)のリードフレームの外枠100の外端部の側面の構造よりもさらにバリの発生を抑制できる構造が望まれる。
【0025】
以下に説明する実施形態のリードフレームでは、前述した課題を解消することができる。
【0026】
(実施の形態)
図2〜
図8は実施形態のリードフレームを説明するための図、
図9〜
図13は実施形態のリードフレームの製造方法を説明するための図である。
【0027】
図2に示すように、実施形態のリードフレーム1は、外形が長方形状(矩形状)の外枠10と、外枠10に連結する内枠12とによって形成された枠構造を有している。外枠10は、横方向に延びる一対の枠部の長さが縦方向に延びる一対の枠部の長さよりも長い長手形状を有する。
【0028】
外枠10と内枠12とによって区画された各四角領域が一つの製品領域Rとなっている。
各製品領域Rの中央部には四角状のダイパッド20が配置されている。また、ダイパッド20の四隅にサポートバー22がそれぞれ繋がっており、サポートバー22は外枠10及び内枠12に連結されている。
【0029】
このようして、ダイパッド20は、4本のサポートバー22によって外枠10及び内枠12に支持されている。
【0030】
さらに、各製品領域Rのダイパッド20の四辺に対向する外枠10及び内枠12には4本のリード24がそれぞれ連結されている。各製品領域Rにおいて、リード24は外枠10及び内枠12の内壁から内側のダイパッド20側に向かって延在している。
【0031】
図2のリードフレーム1の例では、製品領域Rが2×4個で設けられているが、一つのリードフレーム1に設けられる製品領域Rの数や配置は任意に設定することができる。
【0032】
実施形態のリードフレーム1は、金属板が両面側からウェットエッチングされてパターン化されて製造される。リードフレーム1は、銅、銅合金、又は鉄・ニッケル合金などの金属板から形成される。好適には、リードフレーム1の上面、下面及び側面を含む全体に、電解めっきにより、下から順に、ニッケル(Ni)層/パラジウム(Pd)層/金層(Au)が形成されている。
【0033】
あるいは、ワイヤボンディングされるリード24の上面のみに、下から順に、ニッケル(Ni)層/パラジウム(Pd)層/金層(Au)が形成されるようにしてもよい。
【0034】
また、ニッケル(Ni)層/パラジウム(Pd)層/金層(Au)の代わりに、単層の銀(Ag)層を電解めっきにより形成してもよい。
【0035】
図3は、
図2のリードフレーム1の外枠10の外端部10aの側面(Bで示される部分)を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【0036】
本実施形態では、リードフレーム1の外枠10の一方の面を上面とし、外枠10の他方の面を下面として説明する。あるいは、逆に、外枠の10の一方の面を下面とし、外枠10の他方の面を上面としてもよい。
【0037】
図3に示すように、リードフレーム1の外枠10は、上面S1、下面S2及び側面S3を備えている。そして、リードフレーム1の外枠10の外端部10aの上面S1から側面S3にかけて複数の凹部Cが形成されている。
【0038】
凹部Cは、外枠10の外端部10aの上面S1から厚みの途中まで形成され、水平方向の開口端が外枠10の側面S3から露出している。複数の凹部Cが外枠10の外端部10aの側面S3に沿って所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0039】
また、リードフレーム1の外枠10の外端部10aの下面S2から側面S3にかけて切欠段差部Gが形成されている。切欠段差部Gは、
図2のリードフレーム1の外枠10の長手方向の一端E1から他端E2までの全体に一体的に形成されている。
【0040】
図3の切欠段差部Gを横方向からみると、切欠段差部Gは逆L字状に形成されている。切欠段差部Gは、外枠10の側面S3より内側に後退した切欠側面G1と、切欠側面G1の上端に接する切欠上面G2とにより形成される。
【0041】
切欠段差部Gは、外枠10の側面S3の下部から幅方向の途中まで形成され、外枠10の側面S3から露出している。
【0042】
外枠10の側面S3の下部に切欠段差部Gが形成されることで、外枠の10の外端部10aの側面S3の下端が内側に後退している。
【0043】
図4(a)は
図3を上面側からみた部分平面図であり、
図4(b)は
図3を下面側からみた部分平面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、凹部Cは、平面視で曲面状の凹部に形成され、一例として平面視で半円状の凹部が示されている。
【0044】
図3に
図4(a)を加えて参照すると、凹部Cの側壁と外枠10の外端部10aの側面とが接する部分が丸みを帯びたR形状面Csとなって曲面状に形成されている。このように、凹部Cの水平方向の開口端の側壁部分が丸みを帯びたR形状面Csになっている。
図4(a)では、図示を簡易にするため、凹部Cの底面のラインが省略されている。
【0045】
また、
図3に
図4(b)を加えて参照すると、切欠段差部Gは、
図2の外枠10の側面下部の長手方向の一端E1から他端E2まで一括して繋がって形成されている。あるいは、
図2の外枠10の側面下部の長手方向の一端E1から他端E2までの領域に、切欠段差部Gを複数に分割して配置してもよい。
【0046】
凹部CのR形状面Csの丸みは、R0.01mm〜R0.1mmに設定される。R0.01mmとは、半径が0.01mmの円の円弧の形状に相当し、R0.1mmとは、半径が0.1mmの円の円弧の形状に相当する。
【0047】
また、
図4(a)に示すように、隣り合う凹部C同士の間の外枠10の側面の上端が平面視で直線状の平坦部Exとなっており、平坦部Exの幅W1は、例えば、0.01mm〜0.1mmである。外枠10の側面の上端は、側面と上面とが接する部分である。凹部Cの幅W2は、例えば、0.1mm〜0.2mmに設定される。
【0048】
また、凹部Cの奥行の長さL1は、例えば、0.1mm〜0.2mmに設定される。また、切欠段差部Gの奥行の長さL2は、例えば、0.05mm〜0.2mmに設定される。
【0049】
ここで、本実施形態と違って、凹部C同士の間の外枠10の側面の上端を平面視でR形状面Csに繋がる半円状に形成する場合について言及する。この場合、金属板をウェットエッチングしてリードフレームを得る際に、外枠10の側面の先端の位置が内部に後退してばらつきやすく、設計スペックの幅が安定して得られない。
【0050】
さらには、画像認識でリードフレームの幅を測定する際に、外枠10の外端ラインの認識が不鮮明になり、精度よく幅を測定できないことがある。
【0051】
本実施形態では、凹部C同士の間の外枠10の側面の上端が平面視で直線状の平坦部Exとなっている。このため、金属板をウェットエッチングしてリードフレーム1を得る際に、平面視でリードフレーム1の外枠10の両側の側面に直線部分が多くなるため、安定した幅を有するリードフレームが得られる。
【0052】
また、リードフレーム1の外枠10の外端ラインを鮮明に画像認識できるため、信頼性よく幅の測定を行うことができる。
【0053】
図5は
図4(a)の凹部Cの変形例を示す部分平面図である。
図5に示すように、凹部Cを平面視で曲面状の凹部に形成すると共に、凹部Cの奥行の長さL1よりも幅W2を長くすることによってR形状面Csを穏やか曲面状としやすい。このため、バリ発生を抑制する観点からより好適な構造となる。
【0054】
また、
図6(a)は
図3の凹部Cの奥行の途中位置のI−Iに沿った断面図である。
図6(a)に示すように、凹部Cを断面視すると、外枠10の厚みの途中までU字状に形成され、凹部C同士が連通しないように独立して形成される。
【0055】
また、
図6(b)は
図3のII−IIに沿った断面図、
図6(c)は
図3のIII−IIIに沿った断面図である。後述するように、多面取り用の大型の金属板が両面側からウェットエッチングされて複数のリードフレームが得られる。
【0056】
このため、
図6(b)に示すように、凹部C及びその下の切欠段差部Gの各内面は凹状曲面になって形成される。
【0057】
また同様に、
図6(c)に示すように、凹部C同士の間の側面及びその下の切欠段差部Gの内面が凹状曲面になって形成される。
【0058】
また、
図2のリードフレーム1の上側の外枠10の側面にも同様な凹部C及び切欠段差部Gが形成されている。このように、凹部C及び切欠段差部Gは、外枠10の長手方向の両側の一対の外端部10aにそれぞれ形成されている。
【0059】
あるいは、
図7の変形例に示すように、
図3の構造と逆に、外枠10の下面から側面にかけて凹部Cを形成し、外枠10の上面から側面にかけて一括した切欠段差部Gを形成してもよい。
図7の変形例では、切欠段差部Gは切欠側面G1と切欠下面G3とにより形成される。
【0060】
図7の変形例では、前述した
図3の凹部Cと切欠段差部Gとが上下の配置位置が逆になって形成されている。よって、
図7の変形例の凹部C及び切欠段差部Gの各形状は、上下反転させると、前述した
図3の凹部C及び切欠段差部Gの各形状と同じであるため、詳しい説明は省略する。
【0061】
図8には、本実施形態のリードフレーム1が保管されるフレームストッカ30が示されている。フレームストッカ30は、底板32、天板34及び側板36から構築される箱体38を備えている。箱体38は正面が開口されており、箱体38の対向する側板36の内壁に複数のレール36aが設けられている。
【0062】
フレームストッカ30の箱体38及びレール36aは、ステンレス鋼などの金属から形成される。
【0063】
そして、
図2のリードフレーム1がフレームストッカ30に保管される。リードフレーム1の長手方向の外枠10の両側の外端部10aがフレームストッカ30の両側のレール36aの上に配置される。
【0064】
図8の部分斜視図に示すように、リードフレーム1をフレームストッカ30に入れたり出したりする際に、リードフレーム1の外枠10の外端部10aの側面がフレームストッカ30の側板36の内壁に接触して擦れる。
【0065】
このとき、本実施形態のリードフレーム1では、前述したように、リードフレーム1の外枠10の外端部10aの上面側に凹部Cを形成し、下面側に切欠段差部Gを一体的に形成している。さらに、凹部Cの内壁と外枠10の側面とが接する部分が丸みを帯びたR形状面Csになっている。
【0066】
これにより、凹部Cの水平方向の開口端の各側壁部分からバリが発生することが防止される。また、外枠10の側面下部に切欠段差部Gを一体的に形成することで、外枠10の側面下部が内側の位置に後退して配置される。
【0067】
これにより、フレームストッカ30の側板36の内壁に接触する外枠10の側面の面積が半分以下に減少する。さらには、外枠10の側面の下端の直角部分がフレームストッカ30の側板36の内壁に接触しなくなる、このため、リードフレーム1の外枠10の側面からのバリの発生が抑制される。
【0068】
また、リードフレーム1の外枠10の外端部10aの上面側に凹部Cを形成しているため、リードフレーム1の外枠10の側面の上端に直角部分が少なくなる。
【0069】
これにより、リードフレーム1から発生するバリの量を低減させることができる。また、リードフレーム1からバリが生じるとしても、凹部C同士の間に配置される外枠10の側面の上端の直角部分から発生するだけである。凹部C同士の間隔を小さくすることにより、バリの長さを小さくすることができる。
【0070】
好適には、
図4(a)及び(b)の平坦部Exの幅W1が、
図2のリードフレーム1のダイパッド20とリード24との間隔、及びリード24同士の間隔よりも小さく設定される。
【0071】
これにより、リードフレーム1の平坦部Exからバリが発生してリードフレーム1の内部に飛散するとしても、ダイパッド20とリード24との間隔、及びリード24同士の間隔よりもバリの長さが小さくなる。これにより、ダイパッド20とリード24との電気ショート、及びリード24同士の電気ショートの発生が防止される。
【0072】
また、リードフレーム1の外枠10の側面の面積が減少すると共に、外枠10の側面の直角部分が少なくなるため、フレームストッカ30の側板36の内壁からのバリの発生も抑制することができる。
【0073】
図2のリードフレーム1をフレームストッカ30に保管する際には、リードフレーム1の短手方向の一対の外枠10の側面は、フレームストッカの内壁と擦れないため、凹部C及び切欠段差部Gを形成しなくてもよい。
【0074】
あるいは、後述するように、リードフレーム1を用いた電子部品装置のアセンブリ工程において、外枠10の長手方向の側面だけではなく短手方向の側面にも各種の製造装置の搬送機構が接触することがある。この際、リードフレーム1の外枠10の短手方向からもバリが発生する場合がある。
【0075】
このため、必要に応じて、外枠10の短手方向にも凹部C及び切欠段差部Gを形成してもよい。これにより、リードフレーム1の短手方向からのバリの発生を防止することができる。
【0076】
次に、前述した
図2のリードフレーム1の製造方法について説明する。
【0077】
図9に示すように、まず、多面取り用の大型の金属板5を用意する。金属板5は銅、銅合金、又は鉄・ニッケル合金などから形成され、厚みは0.1mm〜0.25mmである。
【0078】
金属板5には複数のフレーム領域Fが区画されており、各フレーム領域Fから前述した
図2のリードフレーム1が得られる。
【0079】
そして、金属板5の各フレーム領域Fの両面側に、前述した
図2のリードフレーム(フレーム部材)を得るためのレジスト層のパターン(不図示)をフォトリソグラフィに基づいてパターニングする。
【0080】
図10(a)及び(b)は、
図9の縦方向で隣り合う2つのフレーム領域Fの境界領域(Cで示される部分)のレジスト層の外枠パターンの外端部を示す部分拡大平面図である。
図10(a)は金属板5の上面側の第1レジスト層15を示す部分拡大平面図であり、
図10(b)は金属板5の下面側の第2レジスト層17を示す部分拡大平面図である。
【0081】
図10(a)に示すように、金属板5の上面側の各フレーム領域Fに
図2のリードフレーム1のパターンを得るための第1レジスト層15がパターン化される。
【0082】
第1レジスト層15は、外形が長方形状の外枠パターンと、外枠パターンの開口部15aの側面に配置された複数の半円状の切欠部Nとを含む。複数の切欠部Nが所定の間隔を空けて長手方向に並んで配置される。
【0083】
第1レジスト層15の切欠部Nの間の開口部15aの側面が平坦部Eyになっている。第1レジスト層15の外枠パターンの全体は図示しないが、前述した
図2のリードフレーム1の外枠に対応する形状で形成される。
【0084】
また同様に、
図10(b)に示すように、金属板5の下面側の各フレーム領域Fに
図2のリードフレーム1のパターンを得るための第2レジスト層17がパターン化される。第2レジスト層17は、
図2のリードフレーム1の外枠10の側面下部に一体的な切欠段差部Gが形成されるようにパターン化される。
【0085】
図9の各フレーム領域Fにおいて、
図10(a)の第1レジスト層15の切欠部Nの奥行の先端に対応する位置に、第2レジスト層17の開口部17aの側面が直線状に配置される。
【0086】
第1レジスト層15の切欠部Nは、前述したリードフレーム1の外枠10に凹部Cを形成するために配置される。
【0087】
ここで、
図10(a)に示すように、前述した
図4(a)のように、凹部Cの開口端の側壁部分を十分なR形状面Csにするため、切欠部Nの側壁と第1レジスト層15の開口部15aの側面とが接する角度θが90°を超え、135°以下の範囲に設定される。
【0088】
また、第1レジスト層15の隣り合う切欠部Nの間の開口部15aの側面は平面視で平坦部Eyとなっている。
【0089】
あるいは、
図10(a)の変形例のように、切欠部Nの側壁と第1レジスト層15の開口部15aの側面とが接する部分が丸みを帯びた曲面Cxになるように、第1レジスト層15をパターニングしてもよい。
【0090】
特に図示しないが、
図9の金属板5の各フレーム領域Fの内部では、前述したリードフレーム1の外枠10、内枠12、ダイパッド20、サポートバー22及びリード24が得られるように、金属板5の両面に第1、第2レジスト層15,17がパターン化される。
【0091】
次いで、金属板5の両面側の第1、第2レジスト層15,17をマスクにして、それらの開口部15a,17aを通して、金属板10を両側からウェットエッチングする。
【0092】
金属板5として銅を使用する場合は、エッチング液として、塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、又は塩化アンモニウム銅溶液などが使用される。エッチング装置としては、スプレーエッチング装置が好適に使用される。
【0093】
このとき、
図11(a)に示すように、金属板5の上面側の第1レジスト層15の切欠部N(
図10(a))からのエッチング面と、下面側の第2レジスト層17の開口部17aの側面(
図10(b))からのエッチング面とが連通して、金属板5が貫通加工される。
【0094】
図11(a)は、
図10(a)の第1レジスト層15の切欠部Nから内部の領域の金属板5のエッチング断面である。
【0095】
また同時に、
図11(b)に示すように、金属板5の上面側の第1レジスト層15の平坦部Ey(
図10(a))からのエッチング面と、下面側の第2レジスト層17の開口部17aの側面(
図10(b))からのエッチング面とが連通して、金属板5が貫通加工される。
【0096】
図11(b)は、
図10(a)の第1レジスト層15の平坦部Eyから内部の領域の金属板5のエッチング断面である。
【0097】
これにより、矩形状の外枠10が形成されると同時に、外枠10の外端部10aの上面から側面にかけて凹部Cが形成され、外端部10aの下面から側面にかけて切欠段差部Gが形成される。
【0098】
図12(a)及び(b)では、金属板5を両側からウェットエッチングして貫通加工し、第1、第2レジスト層15,17を除去した後の様子が示されている。
【0099】
図12(a)はフレーム部材1xの外枠10の外端部10aの上面側を示す部分拡大平面図であり、
図12(b)はフレーム部材1xの外枠10の外端部10aの下面側を示す部分拡大平面図である。
【0100】
図12(a)に示すように、金属板5がパターニングされて、
図9の各フレーム領域Fに外枠10を含むフレーム部材1xがそれぞれ得られる。
【0101】
図12(a)に示すように、外枠10の外端部10aの上面側に複数の凹部Cが並んで形成される。このとき、上記した
図10(a)を参照すると、第1レジスト層15の切欠部Nの側壁と開口部15aの側面とが接する角度θが90°より大きく設定されている。そして、
図10(a)の第1レジスト層15の切欠部Nの開口端の下端から金属板5が等方的にエッチングされる。
【0102】
これにより、
図12(a)に示すように、凹部Cの水平方向の開口端の側壁部分が面取りされるようにエッチングされて、丸みを帯びたR形状面Csとなって曲面状に形成される。
【0103】
図10(a)の第1レジスト層15の切欠部Nの開口端の角度θを90°以下に設定すると、面取りされにくく丸みの小さいR形状面となるため、十分な丸みのR形状面を得るために角度θが90°を超えるように設定されることが好ましい。
【0104】
あるいは、前述した
図10(a)の変形例の第1レジスト層15のパターンを使用する場合は、第1レジスト層15の切欠部Nの開口端の曲面Cxに対応して、凹部Cの開口端の側壁部分が十分な丸みを帯びたR形状面Csで形成される。
【0105】
また、
図12(b)に示すように、外枠10の外端部10aの下面側には一体的な切欠段差部Gが形成される。切欠段差部Gは外枠10の長手方向の外端部10aの一端E1から他端E2(
図2)まで一体的に形成される。
【0106】
また、
図12(a)に示すように、凹部C同士の間の外枠10の側面の上端は、第1レジスト層15の側面の平坦部Eyに対応して平面視で直線状の平坦部Exとなって形成される。これにより、前述したように、所望の幅を有するリードフレームを安定して形成することができる。
【0107】
また、凹部Cは、第1レジスト層15の切欠部Nから金属板5が厚みの途中まで等方的にエッチングされて外枠10の側面に配置される。このため、凹部Cの開口端側(外枠10の側面側)の深さが奥側(外枠10の内部側)の深さよりも深くなって形成される(
図11(a)を参照)。
【0108】
特に図示しないが、
図9の金属板5の各フレーム領域Fの内部では、両面側の第1、第2レジスト層15,17のパターンをマスクにして金属板5が両面側からウェットエッチングされて同時に貫通加工される。
【0109】
これにより、金属板5の各フレーム領域Fの内部に、内枠12、ダイパッド20、サポートバー22、及びリード24が外枠10に連結されて形成される。
【0110】
このようにして、
図13に示すように、
図9の金属板5の各フレーム領域Fに
図2のリードフレーム1と同じ構造のフレーム部材1xがそれぞれ形成される。この時点では、各フレーム領域Fに配置された各フレーム部材1xは連結部14によって相互に繋がった状態で外周枠11に連結されている。
【0111】
図13のフレーム部材1xでは、外枠10、内枠12、ダイパッド20、サポートバー22及びリード24の各パターンが省略されている。
【0112】
その後に、
図13の金属板5の連結部14を切断して、複数のフレーム領域Fに配置されたフレーム部材1xを分離して、個々のリードフレーム1を得る。
【0113】
以上により、前述した
図2の実施形態のリードフレーム1が製造される。
【0114】
次に、前述した
図2のリードフレームを使用して電子部品装置を構築する方法について説明する。
図14に示すように、表面に接続端子42を備えた半導体チップ40を用意する。そして、
図2のリードフレーム1の各製品領域Rのダイパッド20の上に接着剤44により半導体チップ40の背面を接着する。
【0115】
次いで、ワイヤボンディング法により、金や銅などの金属ワイヤ46で半導体チップ40の接続端子42とリード24とを接続する。
【0116】
さらに、リードフレーム1の全体に、各製品領域Rのダイパッド20、半導体チップ40、金属ワイヤ46及びリード24などを封止する封止樹脂50を形成する。封止樹脂50はリードフレーム1の上面側を被覆し、リードフレーム1の下面側が露出するように形成される。
【0117】
その後に、各製品領域Rが得られるように、封止樹脂50及びリードフレーム1を切断して、サポートバー22及びリード24から外枠10及び内枠12を分離する。
【0118】
これにより、実施形態の電子部品装置2が得られる。半導体チップ40としては、例えば、メモリ、電源コントローラ、又はCPUなどのLSIチップが使用されるが、各種の電子部品を搭載してもよい。
【0119】
図15には、実施形態の変形例のリードフレーム1aが示されている。変形例のリードフレーム1aのように、
図2のリードフレーム1においてダイパッド20を省略してもよい。
【0120】
図16には、
図15の変形例のリードフレーム1aを使用した変形例の電子部品装置2aが示されている。
図16に示すように、変形例の電子部品装置2aでは、
図14の電子部品装置2において、ダイパッド20が省略されており、半導体チップ40の背面が封止樹脂50の下面から露出している。半導体チップ40の背面に絶縁シートが設けられていてもよい。
【0121】
図17(a)〜(c)は、リードフレーム1内の複数の製品領域Rの配置のバリエーションを示す平面図である。
【0122】
図17(a)の例では、複数の製品領域Rがリードフレーム1内に分散して配置される。製品領域R同士の間の内枠12が幅広に設定される。そして、
図17(a)のリードフレーム1から
図14の電子部品装置2を構築する際に、各製品領域Rが個別に封止樹脂50で封止される。さらに、封止樹脂50から露出する内枠12に切断加工及び打ち抜き加工などを施して、個々の電子部品装置が得られる。
【0123】
また、
図17(b)では、複数の製品領域Rが隣接して設けられたブロックが複数で配置される。
図17(b)の例では、リードフレーム1内に3つのブロックA,B,Cが配置されている。各ブロックA,B,C内の内枠12は幅狭に設定され、各ブロックA,B,C間の内枠12は幅広に設定される。
【0124】
そして、
図17(b)のリードフレーム1から
図14の電子部品装置2を構築する際に、各ブロックA,B,Cがそれぞれ一括して封止樹脂50で封止される。さらに、各ブロックA,B,Cにおいて、封止樹脂50及びリードフレーム1を各製品領域Rの境界で切断して、個々の電子部品装置が得られる。
【0125】
また、
図17(c)では、複数の全ての製品領域Rがリードフレーム1内に隣接して配置される。そして、
図17(c)のリードフレーム1から
図14の電子部品装置2を構築する際に、全ての製品領域Rが一括して封止樹脂50で封止される。さらに、封止樹脂50及びリードフレーム1を各製品領域Rの境界で切断して、個々の電子部品装置が得られる。
【0126】
前述した
図14の構造の電子部品装置2は、
図17(b)及び(c)のリードフレーム1の内部の製品領域Rから得られる。
【0127】
前述した実施形態では、リードフレーム1,1a及び電子部品装置2,2aは、QFN(Quad Flat Non-Leaded Package)の構造に適用された形態が例示されている。
【0128】
この他に、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)などに使用される各種のリードフレームの外枠に適用することができる。