(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-137564(P2018-137564A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/02 20180101AFI20180803BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20180803BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20180803BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20180803BHJP
【FI】
H04W4/02 150
H04W84/10 110
H04W88/04
H04W4/04 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-29711(P2017-29711)
(22)【出願日】2017年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】宮田 学
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067AA41
5K067BB21
5K067DD27
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE25
5K067FF02
5K067FF23
5K067FF31
(57)【要約】
【課題】より利便性が高い通信をより広範囲で行うことが可能であり、かつ低コスト化が図れる通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法を提供すること。
【解決手段】第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた第1の電子機器14と、第2の通信部と通信を行う第2の無線通信方式の第3の通信部、および第2の通信部から送信される起動信号に基づいて予め定められた情報処理を実行する情報処理部を備えた第2の電子機器16と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた第1の電子機器と、
前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および前記第2の通信部から送信される起動信号に基づいて予め定められた情報処理を実行する情報処理部を備えた第2の電子機器と、
を含む通信システム。
【請求項2】
前記第1の通信部に向け標識信号を送信する前記第1の無線通信方式の第4の通信部を備えた第3の電子機器をさらに含み、
前記第1の通信部が前記第4の通信部からの標識信号を受信したことが前記第2の通信部から前記第3の通信部に前記起動信号として送信される
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記情報処理部はGPS受信部、および地図表示機能を備え、
前記第3の通信部が前記起動信号を受信した場合に、前記情報処理部は前記第3の電子機器の位置を前記地図表示機能により地図上に表示する
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の電子機器は監視対象領域の監視データを検知するセンサを備えるとともに監視対象領域内に配置され、
前記第1の通信部からの前記監視データを含む信号を受信し監視データを収集する前記第1の無線通信方式の第5の通信部を備えた第4の電子機器をさらに含む
請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記情報処理部は前記第1の電子機器の保守情報を備え、
前記情報処理部は、前記起動信号に基づいて前記保守情報を前記第3の通信部から前記第2の通信部に送信する
請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第4の電子機器が前記監視データを受信できない場合に、
前記第2の通信部から前記第3の通信部に前記監視データが送信され、
前記情報処理部は、前記第3の通信部によって受信された前記監視データを前記起動信号として前記監視データの収集を行う
請求項4に記載の通信システム。
【請求項7】
第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信回路、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信回路を備えた半導体装置であって、
前記第2の無線通信方式の通信部、および情報処理を実行する情報処理部を備えた電子機器に前記第2の通信回路から前記通信部に起動信号を送信し、前記情報処理部により予め定められた処理を実行させる
半導体装置。
【請求項8】
第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた通信機器の、前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および前記第2の通信部から前記第3の通信部に送信される起動信号に基づいて予め定められた情報処理を実行する情報処理部を備えた
電子機器。
【請求項9】
第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた第1の電子機器から、前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および情報処理を実行する情報処理部を備えた第2の電子機器に前記第2の無線通信方式により起動信号を送信させ、
前記第3の通信部が受信する前記起動信号に基づいて予め定められた情報処理を前記情報処理部に実行させる
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法、特に携帯端末と連携し通信距離の拡大を図る通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の人物や動物等(以下、「探索対象」)の位置を特定するシステム(以下、「位置特定システム」)の実現が求められている。例えば、高齢化社会の到来に伴う要介護老人の徘徊の問題が挙げられる。すなわち、徘徊する老人の位置が特定可能なシステムが実現されれば、介護者の負担軽減に資する。また、近年のペットブームを背景とするペットの逃走が挙げられる。逃走するペットの位置が特定されれば、飼い主の心理的負担が軽減される。
【0003】
一方、上記のような位置特定システムにおいては、GPS(Global Positioning System)や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、地図情報等のさまざまな資源の利用も検討されてきている。
【0004】
上記のような位置特定システムの従来技術として、特許文献1に開示されたGPSと無線を利用した徘徊予防装置が知られている。特許文献1に開示された徘徊予防装置では、老人が携帯する老人用端末と、介護者が携帯する探索者用端末からなる。老人用端末はGPSレシーバと無線送信機から構成され、老人が自宅から一定距離離れた場合に無線送信機が自動的に起動し、老人の位置等が探索者用端末に送信される。探索者用端末は、無線受信機と地図画面を備え、老人用端末から送信された位置等を受信し老人の位置を地図画面に表示する。
【0005】
また、Bluetooth(登録商標)から派生した通信方式であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を利用した従来技術として、特許文献2に開示された徘徊防止システムが知られている。特許文献2に開示された徘徊防止システムは、BLE通信におけるスレーブとしての機能を有する1つ以上の発信装置と、BLE通信におけるマスタとしての機能を有する携帯端末とを有し、発信装置は被介護者に保持され、携帯端末は受信した1つ以上のブロードキャスト信号に対応する発信装置について、その固有情報および発信装置との間の距離の情報をブロードキャスト信号の内容から取得し、固有情報に基づいて発信装置を保持する被介護者を特定する情報を取得し、被介護者が所定の領域に所在するものと判断して、その旨を携帯端末の画面上に出力する。
【0006】
一方、広範な監視領域内に種々のセンサを配置し、監視領域のセンサ情報を収集し、所定の処理系に送ってセンサ情報の解析等を行うセンシングシステムの開発も、近年盛んになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−357268号公報
【特許文献2】特開2016−033812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のような位置特定システムの実現において、既存の設備を有効に利用できれば位置特定システムの利便性を高め、かつ低コスト化を図ることができると考えられる。例えば、スマートフォンに搭載されたBLE機能を利用して、探索対象の発するビーコン(無線標識)を受信し、受信信号に基づいてスマートフォンの地図アプリケーションに表示することが考えられる。また、サブギガヘルツ帯の電波を用い、探索対象の位置を矢印で表示する専用端末を用いる方法がある。
【0009】
しかしながら、スマートフォンに搭載されたBLE機能を利用する方法では、スマートフォンに搭載されているBLE機能の電波の到達距離が20mから30mと短いため、広範囲の探索にはむかず、また、スマートフォンのBLE機能は無指向性のため、対象の方向は検出できないという問題があった。
【0010】
また、専用端末を用いる方法では、電波の到達距離は1km程度と広範囲で、かつ、指向性アンテナを搭載し、距離に加えて対象の方向もある程度検出できる。しかしながら、スマートフォンとの連携は取れないため、スマートフォンの資源や、スマートフォンを介して接続されるクラウド等の各種資源(GPS情報、地図情報、計算能力等)を使用できないという問題があった。
【0011】
さらに、上記のセンシングシステム等の広範な監視領域を有するシステムにおいても携帯端末を用いながら通信距離を拡大できれば、利便性の向上とともに低コスト化も図れると考えられる。すなわち、位置特定システムやセンシングシステム等に共通に用いることが可能な汎用的な通信システムが実現できれば至便である。
【0012】
この点、特許文献1に開示されたGPSと無線を利用した徘徊予防装置も、特許文献2に開示された徘徊防止システムも専用端末を用いるものであり、既存の設備の有効利用により低コスト化を図るという観点から検討されたものではなく、また通信システムの汎用化を図ろうとするものでもない。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より利便性が高い通信をより広範囲で行うことが可能であり、かつ低コスト化が図れる通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る通信システムは、第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた第1の電子機器と、前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および前記第2の通信部から送信される起動信号に基づいて予め定められた情報処理を実行する情報処理部を備えた第2の電子機器と、を含むものである。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信回路、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信回路を備えた半導体装置であって、前記第2の無線通信方式の通信部、および情報処理を実行する情報処理部を備えた電子機器に前記第2の通信回路から前記通信部に起動信号を送信し、前記情報処理部により予め定められた処理を実行させるものである。
【0016】
本発明に係る電子機器は、第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた通信機器の、前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および前記第2の通信部から前記第3の通信部に送信される起動信号に基づいて予め定められた情報処理を実行する情報処理部を備えたものである。
【0017】
一方、本発明に係る通信方法は、第1の通信距離を有する第1の無線通信方式により通信を行う第1の通信部、および前記第1の通信距離よりも短い第2の通信距離を有する第2の無線通信方式により通信を行う第2の通信部を備えた第1の電子機器から、前記第2の通信部と通信を行う前記第2の無線通信方式の第3の通信部、および情報処理を実行する情報処理部を備えた第2の電子機器に前記第2の無線通信方式により起動信号を送信させ、前記第3の通信部が受信する前記起動信号に基づいて予め定められた情報処理を前記情報処理部に実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より利便性が高い通信をより広範囲で行うことが可能であり、かつ低コスト化が図れる通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】(a)は第1の実施の形態に係る送信機側のタグの構成の一例を示すブロック図、(b)は受信機側のタグの構成の一例を示すブロック図、(c)は携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る通信システムの通信手順を示すシーケンス図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施の形態に係るセンサノードの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1から
図3を参照して、本実施の形態に係る通信システムとしての位置特定システム、半導体装置、電子機器および通信方法について説明する。本実施の形態に係る位置特定システムは探索対象の位置を特定するシステムであるが、探索対象としては特に限定されない。例えば、人(徘徊老人)や動物(ペット)の他、登山者、あるいは駐車場に駐車した移動体等であってもよい。以下では、徘徊老人等の要介護者を例示して説明する。また、以下の説明では探索対象を探索する者を「探索者」という。本実施の形態では、探索者として要介護者を介護する介護者を例示して説明する。さらに、本実施の形態では、探索対象と探索者の存する環境についての制限もないが、本実施の形態では要介護者と介護者(家族等)が居住する居宅を例示して説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る位置特定システム10の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る位置特定システム10は、タグ12、タグ14、および携帯端末16を含んで構成されている。
図2(a)はタグ12の構成の一例を、
図2(b)はタグ14の構成の一例を、
図2(c)は携帯端末16の構成の一例を、各々示している。タグ14、携帯端末16が各々本発明に係る「半導体装置」、「電子機器」に対応している。
【0023】
位置特定システム10では、要介護者がタグ12を保持し、介護者がタグ14および携帯端末16を保持する。タグ12は所定の電波を発信し、タグ14は当該電波を受信するとともに受信したことを通信機能を介して携帯端末16に送信する。本実施の形態では、タグ12とタグ14との間の電波が比較的長距離に対応した周波数帯とされ、タグ14と携帯端末16との間の通信機能が比較的短距離に対応した標準的な方式とされている。
【0024】
要介護者が保持する発信機であるタグ12は、介護者に向けて所定の電波を発する機能を有する。介護者に送る電波の形態は、比較的長距離に対応した電波であれば特に限定されないが、本実施の形態では、サブギガヘルツ帯(以下、「サブG」)の電波としている。通信方式としては、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)等の920MHz帯の無線通信方式を用いることができる。
図2(a)に示すように、本実施の形態に係るタグ12はサブG送信機20およびサブG送信用のアンテナAT1を備えている。サブG送信機20は、サブGのビーコン信号をアンテナAT1を介して定期的(間欠的)発信する。
【0025】
介護者が保持する受信機であるタグ14は、要介護者の保持するタグ12から発信された電波を受信し、介護者の保持する携帯端末16に当該電波の受信情報を送信する機能を有する。
図2(b)に示すように、本実施の形態に係るタグ14は、タグ12からの電波を受信するサブG受信機22、サブG受信用のアンテナAT1、携帯端末16との通信を行うBLE通信部24、およびBLE通信用のアンテナAT2を備えている。携帯端末16に送信する場合の通信方式は特に限定されないが、本実施の形態では近距離無線通信として標準的なBLE方式としている。
【0026】
サブG受信機22はタグ12から送信されたサブGの電波をアンテナAT1を介して受信する機能を有する。BLE通信部24は、タグ12からの電波を受信したことをアンテナAT2を介して携帯端末16に送信する機能を有する。
【0027】
介護者が保持する携帯端末16はハードウエアとしては既存のものを用いることが可能であり、本実施の形態では一例としてスマートフォンとしている。しかしながらこれに限られず、例えばタブレット端末等を用いてもよい。
図2(c)に示すように、本実施の形態に係る携帯端末16は、BLE通信部26、BLE通信用のアンテナAT2、GPS受信部28、GPS受信用のアンテナAT3、制御部30、およびメモリ32を備えている。
【0028】
BLE通信部26は、アンテナAT2を介してタグ14から送信されたBLE信号を受信する機能を有する。GPS受信部28は、GPS受信用のアンテナAT3を介しGPS衛星(図示省略)からGPS位置情報を受信する。メモリ32は後述するアプリケーション等が格納される記憶媒体であり、例えばROM(Read Only Memory)等が用いられる。制御部30は、携帯端末16の全体を統括制御する機能を有する、例えばCPU(Central Processing Unit)等を含んで構成されている。
【0029】
携帯端末16は介護者によって保持されるが、本実施の形態でいう保持とは携行に限られず、例えば居宅内に配置しておくことも含む。また、介護者により保持されるタグ14は小型のものであり、携帯端末16と同時に携行されてもよいし、携帯端末16と同じ場所に配置されてもよい。さらには、タグ14を携帯端末16のストラップとして構成し、携帯端末16に常時付随させておくようにしてもよい。
【0030】
次に、
図3を参照して、位置特定システム10の動作について説明する。
図3のステップS1に示すように、介護者は保持する携帯端末16(
図3では「スマホ」と表記)にインストールされている位置特定システム10のアプリケーションプログラム(
図3では、「アプリケーション」と表記)を起動させておく。アプリケーションプログラムの内容について特に制限はないが、本実施の形態では一例として要介護者の位置を表示する地図アプリケーションとしている。
【0031】
図3に示すように、要介護者の保持するタグ12(
図3では「ビーコン送信機」と表記)は定期的にサブGのビーコンを送信している(
図3で、番号1、3、5が付された信号)。介護者の保持するタグ14(
図3では「ビーコン受信機」と表記)はこのビーコンを受信し、受信電波の強度データをBLE通信部24を介して携帯端末16のBLE通信部26に送信する(
図3で、番号2、4、6が付された信号)。
【0032】
携帯端末16は、この受信電波の強度データをBLE通信部26を介して受信している。介護者は必要に応じて携帯端末16に指示を与え、アプリケーションプログラムを実行させる。この指示により携帯端末16は、ステップS2に示すように、要介護者の位置までの距離や位置を推定し、ステップS3に示すように要介護者の位置を地図上に表示する。要介護者の距離や位置は、携帯端末16が受信するGPS情報により特定される携帯端末16の位置に基づいて推定される。介護者は地図上に表示された要介護者の距離、位置を確認し、必要に応じて探索に向かう等の対策を講ずる。本実施の形態では、携帯端末16が備えるGPS受信部28により要介護者の距離、位置を推定する形態を例示して説明するが、むろん要介護者が保持するタグ12にGPS受信機能を設け、GPS位置情報を含む情報を介護者が保持するタグ14に送信する形態としてもよい。
【0033】
以上のように、本実施の形態に係る位置特定システムによれば、探索対象と探索者との間はサブGの専用機でビーコンの送受信を行っているので、電波の到達距離も大きくでき広範囲の探索が可能となる。また、専用の受信機を使うことで電波の到来方向も推定できる。加えて、スマートフォン(携帯端末)との間をスマートフォンに多く搭載されているBLEで通信を行っているので、スマートフォンやクラウド上の各種資源(現在の位置情報、地図情報、処理能力等)を使用でき、探索対象の位置特定における利便性の向上が期待できる。すなわち、本実施の形態に係る位置特定システムによれば、より利便性が高い通信をより広範囲で行うことが可能であり、かつ低コスト化が図れる通信システム、半導体装置、電子機器および通信方法を提供することが可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態では要介護者のタグ12が間欠的にビーコンを発信する形態を例示して説明したが、これに限られず、常時ビーコンを発信する形態としてもよい。また、本実施の形態では介護者が携帯端末16に指示を与えて要介護者の位置を地図上に表示させる形態を例示して説明したが、これに限られず常時要介護者の位置を地図上に表示させておく形態としてもよい。さらに、携帯端末16にタグ14から受信する電波強度に対する予め定められた閾値を設定しておき、受信する電波が該閾値より低下した場合に携帯端末16がアラームを発出するような機能を本実施の形態に係る位置特定システム10に付加してもよい。
【0035】
[第2の実施の形態]
図4および
図5を参照して、本実施の形態に係る通信システムについて説明する。本実施の形態は、本発明に係る通信システムをセンシングシステムにおける設置・保守システムとして実現した形態である。本実施の形態に係るセンシングシステムにおいてセンシングする場所、対象等に特に制限はないが、本実施の形態では畑において気温や湿度をセンシングするシステムを例示して説明する。
【0036】
図4に示すように、本実施の形態に係るセンシングシステム60は、ゲートウエイ40、センサノード42−1、42−2(以下、総称する場合は「センサノード42」)、および設置・保守システム70を含んで構成されている。
【0037】
図5は、本実施の形態に係るセンサノード42の構成の一例を示している。
図5に示すように、センサノード42は、センサ62、サブG送信機44、サブGの電波を送信するアンテナAT1、BLE通信部46、BLE信号の送受信を行うアンテナAT2を含んで構成されている。サブG送信機44はサブG送信機20と同様の機能を有し、BLE通信部46はBLE通信部24と同様の機能を有しているので、詳細な説明は省略する。センサ62は、上述したように気温、湿度等のセンサである。サブG送信機44およびアンテナAT1が、センシングシステム60の通常の(稼働時の)機能を担い、BLE通信部46およびアンテナAT2が設置・保守システムの機能を担っている。
【0038】
センサノード42は畑の必要な箇所に配置されている。本実施の形態ではセンサノード42を2つ配置する形態を例示して説明するが、むろんセンサノード42は畑の大きさ等に応じて1つ配置する形態としてもよいし、3つ以上配置する形態としてもよい。
【0039】
ゲートウエイ40はサブG受信機(図示省)およびサブGの電波を受信するアンテナAT1を備え、センサノード42からの監視データを収集し、インターネットを介してクラウド50等の処理系に送信する機能を有している。
【0040】
センシングシステム60は、通常時(稼働時)においては、センサ62で測定された監視データがサブGの電波によりゲートウエイ40に定期的に送信される。つまり、センサノード42は定期的に監視データを含むビーコン信号をゲートウエイ40に向けて発信している。
【0041】
一方、設置・保守システム70は、センサノード42のBLE通信部46と携帯端末16Aを含んで構成されている。携帯端末16Aは携帯端末16と同じものでもよい。本実施の形態では以下同じものとして説明する。本携帯端末16Aは、センシングシステム60の運用者(以下、「運用者」)によって携行される。
【0042】
以上の構成を有する設置・保守システム70の設置時の動作について説明する。設置時において畑の各箇所に配置されたセンサノード42に対し、運用者は初期設定を行う必要がある。初期設定とは、各センサノード42に対して、例えばID(IDentification)、緯度、経度等の位置情報、通信のためのIP(Internet Protocol)アドレス等を付与する設定である。むろん初期設定情報としてはこれら以外にさまざまな情報を設定してもよい。なお、初期設定情報のうち緯度、経度の情報はGPS受信部28から取得することもできる。
【0043】
この初期設定において、運用者は、各センサノード42の初期設定情報を格納した携帯端末16Aを携行して畑に赴き、BLE通信経由でセンサノード42と接続する。そして、BLE通信部26、アンテナAT2を介してセンサノード42のBLE通信部46に初期設定情報を送信する。初期設定の内容は、一例として各々のセンサノード42へのID、IPアドレス等の付与、緯度、経度の設定、対応するゲートウエイ40の設定等である。これにより、各センサノード42の初期設定が実行される。
【0044】
上記の処理手順を有する、本実施の形態に係る設置・保守システム70の設置手順によれば、以下の効果を奏する。すなわち、通常は各センサノード42は工場等において予め初期設定を行った上で出荷され、畑では初期設定で設定された位置に配置される。しかしながら、本実施の形態に係る設置手順によれば畑等の現場で、センサノード42が設置された環境に応じて初期設定を行うことができるので、より簡易で融通性のある設置手順を実現することができる。
【0045】
一方、設置・保守システム70は、保守時には以下のように動作する。例えば、センシングシステム60の通常動作で障害、例えばセンサノード42からの監視データがゲートウエイ40で受信できない等の障害が発生した場合、運用者は保守用アプリケーションを格納した携帯端末16Aを携行して畑に赴き、BLE通信経由でセンサノード42と接続する。そして、BLE通信部26、アンテナAT2を介してセンサノード42における監視データを直接収集する。このことにより、監視データの喪失等に対して迅速に対応することが可能となる。
【0046】
以上のように本実施の形態に係る設置・保守システムによれば、ネットワーク設定前や、障害発生時においてクラウド経由でセンサノードの情報が取得できない場合や、あるいは設定ができない場合でも、BLE経由で直接センサノードの情報にアクセスでき、整備性の向上が期待できる。
【0047】
なお、本実施の形態では保守時の機能として監視データの直接収集を例示して説明したが、これに限られない。例えば上記保守用アプリケーションとしてセンサノード42自体の動作状態を診断するプログラムを備えさせ、BLE経由で診断し、例えばセンサノード42の交換時期等を報知するような機能を設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 位置特定システム
12 タグ
14 タグ
16、16A 携帯端末
20 サブG送信機
22 サブG受信機
24 BLE通信部
26 BLE通信部
28 GPS受信部
30 制御部
32 メモリ
40 ゲートウエイ
42、42−1、42−2 センサノード
44 サブG送信機
46 BLE通信部
50 クラウド
60 センシングシステム
62 センサ
70 設置・保守システム
AT1、AT2、AT3 アンテナ