特開2018-140404(P2018-140404A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-140404摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-140404(P2018-140404A)
(43)【公開日】2018年9月13日
(54)【発明の名称】摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20180817BHJP
【FI】
   B23K20/12 330
   B23K20/12 344
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-35056(P2017-35056)
(22)【出願日】2017年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【住所又は居所】大阪府吹田市山田丘1番1号
(71)【出願人】
【識別番号】000100838
【氏名又は名称】アイセル株式会社
【住所又は居所】大阪府八尾市跡部北の町一丁目二番一六号
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英俊
【住所又は居所】大阪府吹田市山田丘1番1号 国立大学法人大阪大学内
(72)【発明者】
【氏名】望月 健児
【住所又は居所】大阪府八尾市跡部北の町一丁目二番一六号 アイセル株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】東 武志
【住所又は居所】大阪府八尾市跡部北の町一丁目二番一六号 アイセル株式会社内
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167BG07
4E167BG17
(57)【要約】
【課題】接合ツールの温度上昇を早めることにより被接合材の接合開始までの時間を短くすることが可能な摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供する。
【解決手段】回転する接合ツール2を被接合材Wに押し付けて相対的に移動させて被接合材Wを摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合装置1である。摩擦攪拌接合装置1は、摩擦攪拌接合中に被接合材Wを加熱する加熱部3が接合ツール2の進行方向前方に配設されている。加熱部3には、少なくとも接合ツール2の外周面を隙間S2を有して囲んで接合ツール2を加熱するツール加熱部34が設けられ、ツール加熱部34が摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツール2を予熱する構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する接合ツールを被接合材に押し付けて相対的に移動させて被接合材を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合装置において、
摩擦攪拌接合中に被接合材を加熱する加熱部が接合ツールの進行方向前方に配設され、
加熱部には、少なくとも接合ツールの外周面を隙間を有して囲んで接合ツールを加熱するツール加熱部が設けられ、
ツール加熱部が摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツールを予熱する構成とする摩擦攪拌接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置において、
接合ツールは、被接合材を表裏面から挟み込んで摩擦攪拌接合を行う表側回転体と裏側回転体とを有するボビン型又は対向型の接合ツールであり、
加熱部は、被接合材を表裏面から挟んで対向配置される表側加熱部と裏側加熱部とを有し、
表側加熱部には、少なくとも表側回転体の外周面を隙間を有して囲んで表側回転体を加熱する表側ツール加熱部が設けられ、
裏側加熱部には、少なくとも裏側回転体の外周面を隙間を有して囲んで裏側回転体を加熱する裏側ツール加熱部が設けられている摩擦攪拌接合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置において、
接合ツールは、被接合材の表裏面にそれぞれ配置される一対のショルダを有し、回転主軸が一方のショルダ側に配置されているボビン型接合ツールであり、
加熱部は、被接合材の表裏面のうち回転主軸を配置していない他方のショルダが配置される面側に配設され、
加熱部のツール加熱部は、他方のショルダに覆い被さる収容凹部が設けられている摩擦攪拌接合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の摩擦攪拌接合装置において、
加熱部は、ヒータを設けた熱板により構成され、
ヒータは、ボビン型接合ツールの回転中心軸線上に重なる位置であり、熱板におけるツール加熱部の形成部分を含むように配設されている摩擦攪拌接合装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の摩擦攪拌接合装置において、
ボビン型接合ツールは、一方のショルダが被接合材の裏面側に配置され、一方のショルダ側に配置する回転主軸が被接合材の下側に配置される構成とする摩擦攪拌接合装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合装置において、
加熱部は、ヒータを設けた熱板により構成され、
熱板における被接合材の対向面には、接合ツールの進行方向に沿って隆起して被接合材の接合領域と接触して加熱するワーク加熱部が形成され、
熱板における接合ツールの対向面には、被接合材表面との間に隙間が形成される高さ位置で接合ツール側に延びる二つの凸部が形成され、二つの凸部間に形成される凹部内に隙間を有して接合ツールを受け入れる構成の前記ツール加熱部が形成されている摩擦攪拌接合装置。
【請求項7】
回転する接合ツールを被接合材に押し付けて相対的に移動させて被接合材を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法において、
接合ツールの進行方向前方に配設する加熱部により接合ツールの進行方向前方における被接合材の接合領域を加熱しながら、接合ツールにより摩擦攪拌接合を行う工程と、
前記加熱部により摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツールを予熱する工程とを有する摩擦攪拌接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転した接合ツールを被接合材に押し付けて相対的に移動させて被接合材を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌接合は、回転する接合ツールを被接合材に押し付けた際に発生する摩擦熱により、被接合材を軟化させるとともに、回転力により攪拌させることにより被接合材を接合する技術である。従来、摩擦攪拌接合装置において、接合ツールの進行方向前方に予熱機構を配置し、予熱による被接合材の軟化によって接合ツールの進行方向を誘導するものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−182133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、被接合材を予熱することにより、摩擦攪拌接合中においては、接合ツールの回転接触により被接合材が摩擦攪拌可能な温度に上昇するまでの時間を早めることができる。
ところで、接合ツールは、接合開始時に被接合材に回転接触した後、数秒間温度上昇するまで待機して接合を始め、接合完了後には大気等により自然冷却される。そのため、被接合材を交換する等の間に接合ツールが冷却されるため、再び接合を行う際においても、接合ツールが温度上昇するまでの待機時間により、接合開始するまでの時間が長くなる問題が生じ、生産性が向上しない問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接合ツールの温度上昇を早めることにより被接合材の接合開始までの時間を短くすることが可能な摩擦攪拌接合装置及び摩擦攪拌接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る摩擦攪拌接合装置は、
回転する接合ツールを被接合材に押し付けて相対的に移動させて被接合材を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合装置において、
摩擦攪拌接合中に被接合材を加熱する加熱部が接合ツールの進行方向前方に配設され、
加熱部には、少なくとも接合ツールの外周面を隙間を有して囲んで接合ツールを加熱するツール加熱部が設けられ、
ツール加熱部が摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツールを予熱する構成とする。
【0007】
また、本発明に係る摩擦攪拌接合方法は、
回転する接合ツールを被接合材に押し付けて相対的に移動させて被接合材を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法において、
接合ツールの進行方向前方に配設する加熱部により接合ツールの進行方向前方における被接合材の接合領域を加熱しながら、接合ツールにより摩擦攪拌接合を行う工程と、
前記加熱部により摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツールを予熱する工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中は、接合ツールが予熱・保温されているので、摩擦攪拌接合開始時における接合ツールの温度上昇を早めることができる。従って、被接合材の摩擦攪拌接合開始までの時間を短くすることができる。よって、摩擦攪拌接合の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1による摩擦攪拌接合装置の主要構成部分を示す断面図である。
図2】実施形態1による摩擦攪拌接合装置における接合ツールを示す側面図(図2(a))及び底面図(図2(b))である。
図3】実施形態1による摩擦攪拌接合装置における加熱部を示す側面図(図3(a))及び底面図(図3(b))である。
図4】実施形態2による摩擦攪拌接合装置の主要構成部分を示す断面図である。
図5】実施形態3による摩擦攪拌接合装置の主要構成部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1の摩擦攪拌接合装置1は、被接合材Wを摩擦攪拌接合する接合ツール2と、接合ツール2の進行方向前方に配設する加熱部3とを備える。この摩擦攪拌接合装置1では、回転した接合ツール2を被接合材Wに押し付けて相対的に移動させることにより被接合材Wを摩擦攪拌接合し、この摩擦攪拌接合中に加熱部3により接合ツール2の進行方向前方における被接合材Wの接合領域を加熱して予熱を行うようにしている。被接合材Wをその素材の融点の60%以下の温度(例えば、アルミ素材であれば融点660℃であるので、396℃以下の温度)で予熱することにより、被接合材Wの接合領域が軟化して接合ツール2が受ける荷重を軽減することができ、従って、接合ツール2の移動速度を上げて摩擦攪拌接合を早く行うことができる。この摩擦攪拌接合装置1では、例えば、二枚の被接合材Wの端部同士を突き合わせた突き合せ部分の接合や、二枚の被接合材Wの各端部を重ね合わせた重ね合わせ部分の接合等を行うことができる。
【0011】
接合ツール2は、図2(a)(b)も参照して、円柱状のショルダ21と、ショルダ21の下面中央に突設する円柱状の攪拌ピン22と、ショルダ21の外周面に設けるフランジ状の工具取付部23とを有する。工具取付部23には、取付穴24が設けられ、取付穴24を介してスピンドル等の回転主軸25が接続される。この接合ツール2は、回転させて被接合材Wに押し付けることにより、ショルダ21により被接合材W表面で摩擦熱を発生させ、被接合材Wに侵入した攪拌ピン22により被接合材Wを塑性流動化して攪拌し、二枚の被接合材Wの突き合わせ部分等を一体化して接合する。接合ツール2の材質は、公知の種々の金属材、超硬合金、セラミックス材等を用いることができ、例えば、機械的特性や加工性等を考慮すると、SKD等の工具鋼等を用いることが好ましい。また、被接合材Wは、アルミニウム、鉄等の金属板が用いられる他に、プラスチック板等を用いることもできる。
【0012】
加熱部3は、図示しない支柱に取り付けられて接合ツール2の進行方向前方に配設される。加熱部3は、接合ツール2と一定間隔を保って一緒に移動するように構成されている。例えば、加熱部3を取り付ける支柱が接合ツール2を取り付ける回転主軸25の移動装置等に接続され、この移動装置により接合ツール2を移動させると一緒に加熱部3も移動させることができる。つまり、加熱部3は、接合ツール2と一緒に被接合材W上を水平移動したり上下移動したり等する。なお、加熱部3は、接続ツール2とは別に上下移動する機構を設けても良い。
【0013】
加熱部3は、図3も参照して、ヒータ31を設けた矩形ブロック状の熱板32により構成され、ヒータ31で加熱した熱板32により被接合材Wだけでなく接合ツール2も加熱することができ、被接合材Wと接合ツール2の両方の予熱を行うように構成されている。この場合、接合ツール2は、被接合材Wの予熱温度と同じ温度で予熱される。熱板32は、例えば、銅などの熱伝導率の良い金属により形成されている。ヒータ31は、熱板32内部に埋設されているが、これに限らず、熱板32表面にヒータ31を添設等するようにしてもよい。このヒータ31は、例えば、シーズヒータ等で構成することができる。
【0014】
熱板32の下面(すなわち、被接合材Wの対向面)には、接合ツール2の進行方向に沿って下方に隆起させたワーク加熱部33が形成されている。ワーク加熱部33は、被接合材Wの接合領域と接触するように形成されている。このワーク加熱部33は、摩擦攪拌接合中の被接合材Wに対して走行する接合ツール2の進行方向前方の接合領域を接合前に加熱して予熱を行う。また、ワーク加熱部33は、摩擦攪拌接合開始前の被接合材Wに対して走行停止している接合ツール2の進行方向前方の接合領域を接合前に加熱して予熱することもできる。ワーク加熱部33の幅(接合ツール2の進行方向に対する左右方向の幅)は、例えば、接合ツール2におけるショルダ21の直径の1/2以上2倍以下の範囲に設定するのが好ましい。これにより、ワーク加熱部33による予熱で被接合材Wが軟化することによって接合ツール2の進行方向を誘導することができる。
【0015】
熱板32の後面(すなわち、接合ツール2の対向面)には、接合ツール2の外周面を囲むツール加熱部34が形成されている。具体的に、ツール加熱部34は、熱板32の後面において接合ツール2側(後方)に延びる二つの凸部35が形成され、この二つの凸部35間に形成される凹部36内に接合ツール2を受け入れる構成とされている。凸部35は、被接合材W表面との間に隙間S1が形成される高さ位置に形成されている。すなわち、凸部35は、ワーク加熱部33の下面より高い位置に形成されている。凸部35と被接合材Wとの間に隙間S1を設けることにより、凸部35は、被接合材Wと接触しないので、接合ツール2の移動に伴って凸部35や被接合材Wが互いの接触によって損傷することがない。凹部36は、接合ツール2の外周面を囲むように、接合ツール2の外周面形状に沿って断面略円弧形状に形成されている。凹部36は、少なくとも接合ツール2の外周の1/4以上の範囲を囲み、好ましくは、1/2以上の範囲を囲むように形成される。また、凹部36と接合ツール2との間には、隙間S2が設けられている。この隙間S2により、凹部36は、接合ツール2と接触しないので、接合ツール2の回転に伴って凹部36や接合ツール2が互いの接触によって損傷することがない。
【0016】
以上の摩擦攪拌接合装置1による摩擦攪拌接合方法では、回転する接合ツール2を被接合材Wに押し付けて相対的に移動させて被接合材Wを摩擦攪拌接合する際、加熱部3のワーク加熱部33により接合ツール2の進行方向前方における被接合材Wの接合領域を加熱しながら、接合ツール2により摩擦攪拌接合を行う。そして、摩擦攪拌接合が完了すると、接合ツール2は回転停止され、また、加熱部3のツール加熱部34により摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中の接合ツール2を加熱して予熱を行う。
【0017】
以上より、本実施形態1では、接合ツール2は、ツール加熱部34により摩擦攪拌接合完了後に被接合材Wを交換している間に大気等で自然冷却されることがなく、所定温度以上に予熱・保温される。このツール加熱部34によれば、接合ツール2の外周面を凹部36で囲んだ状態とするので、接合ツール2を良好に且つ効率よく予熱・保温する効果が得られる。従って、接合ツール2において摩擦攪拌接合完了後から次の摩擦攪拌接合開始時までの待機中は、予熱・保温されているので、次の摩擦攪拌接合開始時に被接合材Wと回転接触させた際に接合ツール2の温度上昇を早めることができる。よって、次に被接合材Wの摩擦攪拌接合を開始するまでの時間を短くすることができる。その結果、摩擦攪拌接合の生産性を向上することができる。
【0018】
(実施形態2)
実施形態2の摩擦攪拌接合装置1Aでは、図4に示すように、接合ツール2Aは、被接合材Wを表裏面から挟み込んで摩擦攪拌接合を行うように被接合材Wの表面側に配設される表側回転体20Aと、被接合材Wの裏面側に配設される裏側回転体20Bとを有する対向型接合ツール2Aとする。表側回転体20Aは、実施形態1の接合ツール2と同様の構成を有する。裏側回転体20Bは、攪拌ピン22を有さず、ショルダ21における被接合材Wの接触面が平滑面とされている以外は、実施形態1の接合ツール2と同様の構成を有する。なお、裏側回転体20Bも攪拌ピン22を有するものとしてもよい。表側回転体20Aと裏側回転体20Bとは、別々の回転主軸25A,25Bが接続されている。従って、表側回転体20Aと裏側回転体20Bとは、ともに同方向に回転させたり、異なる方向に回転させたりすることができる。
【0019】
また、加熱部3も、表側回転体20Aと裏側回転体20Bとのそれぞれに対応して表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとを有する。表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとは、対応した各回転体20A,20Bの進行方向前方に配設されるともに、被接合材Wを表裏面から挟んで対向配置されている。表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとは、ともに実施形態1の加熱部3と同様の構成を有する。そして、表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとは、実施形態1の加熱部3の場合と同様に被接合材Wと対向型接合ツール2Aとを加熱し予熱を行う。
【0020】
この実施形態2の摩擦攪拌接合装置1Aによれば、対向型接合ツール2Aの表側回転体20Aと裏側回転体20Bのそれぞれに対して表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとが設けられているので、対向型接合ツール2Aの予熱・保温効果を増大することができ、被接合材Wの摩擦攪拌接合を開始するまでの時間をさらに短くすることができる。また、表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとによって被接合材Wを表裏両面から加熱するので、被接合材Wをムラ無く予熱・保温することができるとともに、入熱量が増えるから被接合材Wを予熱温度まで早く上昇させることができる。
なお、この実施形態2のように表側加熱部3Aと裏側加熱部3Bとを配設する形態は、対向型接合ツール2Aに限らず、ボビン型接合ツールに対しても適用することができる。
【0021】
(実施形態3)
実施形態3の摩擦攪拌接合装置1Bでは、図5に示すように、接合ツール2Bは、被接合材Wの表裏面にそれぞれ配置される一対のショルダ21A,21Bを有し、回転主軸25Cが一方のショルダ21A側に配置されているボビン型接合ツール2Bとする。回転主軸25Cは、外スピンドル251と、外スピンドル251の内部に配設する内スピンドル252とを有する内外二重構造となっている。外スピンドル251は、一方のショルダ21Aに接続されている。内スピンドル252は、他方のショルダ21Bに接続されている。他方のショルダ21Bは、被接合材Wに当接されるショルダ面中央部から延設された軸221を有し、この軸221が一方のショルダ21Aの中央部に設けた貫通孔を通して内スピンドル252に接続されている。軸221は、攪拌ピン22の機能も有する。外スピンドル251と内スピンドル252とは、独立に回転駆動してショルダ21Aとショルダ21Bとを独立に回転させることができるが、外スピンドル251と内スピンドル252とが連動して回転駆動するものでもよい。
この実施形態3では、ボビン型接合ツール2Bは、一方のショルダ21Aが被接合材Wの裏面側に配置され、回転主軸25Cが被接合材Wの下側に配置されている。従って、ボビン型接合ツール2Bの移動装置等も被接合材Wの支持テーブル等とともに装置下部に設置することができるので、装置上部を小さくして高さの低いコンパクトな装置とすることができる。
【0022】
また、加熱部3Cは、回転主軸25を配設していない他方のショルダ21Bを配置した被接合材Wの表面側に配置されている。この加熱部3Cでは、熱板32で形成されたツール加熱部34が他方のショルダ21Bの全体を含む範囲にまで設けられ、このツール加熱部34の下面(被接合材Wの対向面)に他方のショルダ21Bに覆い被さる収容凹部37が設けられている。これにより、収容凹部37が他方のショルダ21Bの上部を全体的に囲い込むので、ボビン型接合ツール2Bの予熱・保温を効率よく行うことができ、また、他方のショルダ21Bが摩擦攪拌接合中に破損した際その破片の飛散を防止することができる。また、収容凹部37と他方のショルダ21Bとの間には、他方のショルダ21Bが収容凹部37と接触しないように隙間S3が設けられており、このボビン型接合ツール2Bの回転に伴って収容凹部37や他方のショルダ21Bが互いの接触によって損傷することがない。
【0023】
加熱部3Cの熱板32に設けるヒータ31は、ボビン型接合ツール2Bの回転中心軸線上に重なる位置であり、熱板32におけるツール加熱部34の形成部分を含むようにツール加熱部34側寄りに配設されている。これにより、熱板32は、接合ツール2Bの進行方向に沿った前方の長さをワーク加熱部33を設ける範囲までに短縮することができる。従って、加熱部3Cは、長さが短くコンパクトに構成することができる。
なお、ボビン型接合ツールとして、図5に示したように一対のショルダ21A,21Bが各々独立して回転可能な別体型に限られず、一対のショルダ21A,21Bが攪拌ピン22によって連結されたダンベル状の一体型でもよい。この一体型のボビン型接合ツールの場合、一対のショルダ21A,21Bのどちらか一方(例えば、一方のショルダ21A)に1つの回転主軸25が接続される構造とすることができる。
【0024】
なお、本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 摩擦攪拌接合装置
2 接合ツール
2A 対向型接合ツール
2B ボビン型接合ツール
3 加熱部
3A 表側加熱部
3B 裏側加熱部
3C 加熱部
20A 表側回転体
20B 裏側回転体
21 ショルダ
21A 一方のショルダ
21B 他方のショルダ
22 攪拌ピン
23 工具取付部
24 取付穴
25,25A,25B,25C 回転主軸
31 ヒータ
32 熱板
33 ワーク加熱部
34 ツール加熱部
35 凸部
36 凹部
37 収容凹部
221 軸
251 外スピンドル
252 内スピンドル
S1,S2,S3 隙間
W 被接合材
図1
図2
図3
図4
図5