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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-142011(P2018-142011A)
(43)【公開日】2018年9月13日
(54)【発明の名称】光変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20180817BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20180817BHJP
【FI】
   G02F1/03 505
   G02F1/035
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-89515(P2018-89515)
(22)【出願日】2018年5月7日
(62)【分割の表示】特願2014-73486(P2014-73486)の分割
【原出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】中田 悠
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】本谷 将之
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA22
2K102BA03
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102DA04
2K102DB05
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA07
2K102EA09
2K102EB22
2K102EB30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】受光素子の検出信号に電気的クロストークなどのノイズが入り込むのを抑制することが可能な光変調器を提供する。
【解決手段】電気光学効果を有する基板1と、基板に形成された光導波路2と、光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極(不図示)とを備えた光変調器において、光導波路内又は基板内を伝搬する光波、あるいは、基板から出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子(PD)を少なくとも2つ以上有し、受光素子の検出信号を光変調器の外部に導出するための電気配線(5,W,PINなど)と、受光素子のアノード端子と電気配線とを結ぶアノード接続線(WA)と、受光素子のカソード端子と電気配線とを結ぶカソード接続線(WC)とを備え、アノード接続線の長さはカソード接続線の長さよりも短く、かつアノード接続線の長さは0.9mm以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極とを備えた光変調器において、
該光導波路内又は該基板内を伝搬する光波、あるいは、該基板から出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子を少なくとも2つ以上有し、
該受光素子の検出信号を光変調器の外部に導出するための電気配線と、
該受光素子のアノード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるアノード接続線と、
該受光素子のカソード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるカソード接続線とを備え、
該アノード接続線の長さは該カソード接続線の長さよりも短く、かつ該アノード接続線の長さは0.9mm以下であることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器において、各受光素子にアノード端子とカソード端子とが設けられ、各アノード端子と各カソード端子に、個別に、アノード接続線とカソード接続線とが接続されていることを特徴とする光変調器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光変調器において、
該受光素子が該基板上に配置され、
該アノード接続線と該カソード接続線は、該基板に形成され、該電気配線の一部を構成する接続パッドに、接続されていることを特徴とする光変調器。
【請求項4】
請求項1に記載の光変調器において、
該光変調器を収容する筐体と、
該電気配線の一部であり、該筐体を貫通し、規格により配置が標準化された複数の信号出力ピンとを有し、
該受光素子は、第1及び第2受光素子の2つの受光素子を備え、
該信号出力ピンは、前記第1受光素子に対応する第1アノード用信号出力ピンと第1カソード用信号出力ピン、及び前記第2受光素子に対応する第2アノード用信号出力ピンと第2カソード用信号出力ピンの4つの信号出力ピンを備え、
該信号出力ピンは、第1カソード用信号出力ピン、第1アノード用信号出力ピン、第2アノード用信号出力ピン、そして第2カソード用信号出力ピンの順番で配置されていることを特徴とする光変調器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器において、該光導波路は、少なくとも一つ以上のマッハツェンダ型光導波路を有していることを特徴とする光変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器に関し、特に、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極とを備えた光変調器において、該光導波路内又は該基板内を伝搬する光波、あるいは、該基板からから出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子を備えた光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
光計測技術分野や光通信技術分野において、ニオブ酸リチウム等の電気光学効果を有する基板を用いた光変調器が多用されている。電気光学効果を有する基板を用いた光変調器では、焦電効果により温度ドリフトやDCドリフトなど、駆動に係る変調動作点がシフトする現象が生じる。このため、常に一定の変調動作点に調整するため、DCバイアス制御が行われている。
【0003】
変調動作点を調整する際には、特許文献1に示すように、光導波路を伝搬する光波の一部を受光素子に導入し、光波をモニタすることが行われている。しかも、特許文献1のように複数のマッハツェンダー型光導波路を有する場合には、各マッハツェンダー型光導波路毎に、変調状態をモニタにすることことも行われている。
【0004】
図1は、特許文献1のような、複数のマッハツェンダー型光導波路を備えた光変調器の例を示している。電気光学効果を有する基板1に光導波路2が形成され、光導波路2はメイン・マッハツェンダー型光導波路(MMZ)の分岐導波路にサブ・マッハツェンダー型光導波路(SMZ1,SMZ2)を入れ子型に配置して形成されている。図1の場合では、サブ・マッハツェンダー型光導波路(SMZ1,SMZ2)から出射する光波をモニタするため、サブ・マッハツェンダー型光導波路(SMZ1,SMZ2)から導出され出力用導波路の上に受光素子3を配置している。LIは入射光を、LOは出射光を示している。
【0005】
受光素子3の検出信号を導出するため、受光素子に設けられた端子と基板1に形成された接続パッド5とが金線ワイヤ4などでワイヤボンディングされている。基板1に形成された接続パッドは基板に形成された電気配線により、当該検出信号を基板外に導出するよう構成されている。基板上の電気配線を用いずに、受光素子の端子と信号出力ピンとを直接ワイヤで接続する方法もある。
【0006】
受光素子に係る配線については、特許文献2にも示されているように、一般的に、受光素子の電極端子と、基板上のリード端子等をボンディングワイヤで接続しているが、そのワイヤ(接続線)の長さについては、特段の配慮もされていない。
【0007】
また、従来のバイアス制御は、光波に含まれる低周波のディザ信号を検出して制御していたが、図1のようなネスト構造をもつ光変調器では、バイアス制御にRF信号の検出をすることもある。また、複数のモニタ用の受光素子を内蔵する必要のある集積構造の光変調器、例えば、DP−QPSK型(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)の光変調器では、モニタ用の受光素子が互いに近接して配置されるため、受光素子間の電気的クロストークが発生し易くなり、検出信号にノイズが含まれるという問題を生じる。
【0008】
しかも、光変調器は金属筐体内に収容され、金属筐体を貫通する信号出力ピンで筐体の内部と外部とを電気的に接続している。この信号出力ピンの配置は規格により標準化されているため、受光素子や電気接続パッド(PAD)の配線配置が限定されることとなる。これにより、ボンディングワイヤ(接続線)が長くなり、電気的クロストークがより発生し易くなる。
【0009】
また、受光素子や電気接続パッド(PAD)の配線配置が限定されることにより、基板に形成された信号電極などの制御電極と受光素子に接続されるボンディングワイヤ(接続線)との距離が短くなることもあり、電気的クロストークがより発生し易くなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2008/038795号
【特許文献2】特開2009−105240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、受光素子の検出信号に電気的クロストークなどのノイズが入り込むのを抑制することが可能な光変調器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の光変調器は以下のような技術的特徴を備えている。
(1) 電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極とを備えた光変調器において、該光導波路内又は該基板内を伝搬する光波、あるいは、該基板から出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子を少なくとも2つ以上有し、該受光素子の検出信号を光変調器の外部に導出するための電気配線と、該受光素子のアノード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるアノード接続線と、該受光素子のカソード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるカソード接続線とを備え、該アノード接続線の長さは該カソード接続線の長さよりも短く、かつ該アノード接続線の長さは0.9mm以下であることを特徴とする。
【0013】
(2) 上記(1)に記載の光変調器において、各受光素子にアノード端子とカソード端子とが設けられ、各アノード端子と各カソード端子に、個別に、アノード接続線とカソード接続線とが接続されていることを特徴とする。
【0014】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の光変調器において、該受光素子が該基板上に配置され、該アノード接続線と該カソード接続線は、該基板に形成され、該電気配線の一部を構成する接続パッドに、接続されていることを特徴とする。
【0015】
(4) 上記(1)に記載の光変調器において、該光変調器を収容する筐体と、該電気配線の一部であり、該筐体を貫通し、規格により配置が標準化された複数の信号出力ピンとを有し、該受光素子は、第1及び第2受光素子の2つの受光素子を備え、該信号出力ピンは、前記第1受光素子に対応する第1アノード用信号出力ピンと第1カソード用信号出力ピン、及び前記第2受光素子に対応する第2アノード用信号出力ピンと第2カソード用信号出力ピンの4つの信号出力ピンを備え、該信号出力ピンは、第1カソード用信号出力ピン、第1アノード用信号出力ピン、第2アノード用信号出力ピン、そして第2カソード用信号出力ピンの順番で配置されていることを特徴とする。
【0016】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光変調器において、該光導波路は、少なくとも一つ以上のマッハツェンダ型光導波路を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極とを備えた光変調器において、該光導波路内又は該基板内を伝搬する光波、あるいは、該基板から出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子を少なくとも2つ以上有し、該受光素子の検出信号を光変調器の外部に導出するための電気配線と、該受光素子のアノード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるアノード接続線と、該受光素子のカソード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるカソード接続線とを備え、該アノード接続線の長さは該カソード接続線の長さよりも短く、かつ該アノード接続線の長さは0.9mm以下であるため、電気的クロストーク等の高周波ノイズが該アノード接続線を介して、検出信号に入り込むことが抑制され、受光素子からの検出信号を精度良く検出することが可能な光変調器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の光変調器を説明する概略図である。
図2】本発明の光変調器に係る実施例を説明する概略図である。
図3】台座を備えた受光素子を示す斜視図である。
図4】本発明の光変調器に係る他の実施例を説明する概略図である。
図5】アノード接続線の長さに対する電気的クロストークのノイズレベル変化の様子を示すグラフである。
図6】本発明の光変調器に適用可能な受光素子の配置を説明する図である。
図7】本発明の光変調器に適用可能な電気配線の一例を説明する図である。
図8】本発明の光変調器に適用可能な電気配線の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の光変調器について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明では、図2に示すように、電気光学効果を有する基板1と、該基板に形成された光導波路2と、該光導波路内を伝搬する光波を制御する制御電極(不図示)とを備えた光変調器において、該光導波路内又は該基板内を伝搬する光波、あるいは、該基板から出射された光波の少なくとも一部の光波を検出する受光素子(PD)を少なくとも2つ以上有し、該受光素子の検出信号を光変調器の外部に導出するための電気配線(5,W,PINなど)と、該受光素子のアノード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるアノード接続線(WA)と、該受光素子のカソード端子と該電気配線とを結ぶボンディングワイヤであるカソード接続線(WC)とを備え、該アノード接続線の長さは該カソード接続線の長さよりも短いことを特徴とする。
【0020】
光変調器を構成する基板は、ニオブ酸リチウム(LN)などの電気光学効果を有する基板が用いられる。基板には光導波路が形成され、具体的には、Tiなどの熱拡散やリッジの形成により光導波路が構成されている。光導波路を伝搬する光波を制御するための制御電極は、基板上に直接又はバッファ層を介してTi・Auの電極パターンの形成及び金メッキ方法などで、形成される。
【0021】
受光素子が検出する光波には、図1のように光導波路2を伝搬している光波や、光導波路の合波部からの放射モード光のように基板内を伝搬する光波、さらには、図2に示すように、基板1からから出射された光波などいずれかの光波の一部を受光する。光導波路や基板内を伝搬している光波については、基板1の表面に接触又は近接して受光素子を配置することにより、伝搬している光波の一部を受光素子側に吸い上げて検出している。基板1から出射した光波は、図2のように、基板外に配置された受光素子PDにより検出される。
【0022】
基板外に配置される受光素子は、図3に示すように、受光素子を構成するチップ(PDC)が台座(PDP)の上に配置固定され、該チップ内のアノード電極とカソード電極は、台座(PDP)の電極端子50として引き出されている。図面では、チップ上の電極と電極端子50との電気配線は省略されている。受光素子から検出信号を出力するには、該電極端子にワイヤボンディングが施される。また、チップ上の電極に直接ワイヤボンディングできる場合には、台座は、チップを支持するだけの構成で良い。
【0023】
図2では、光変調器を構成する光導波路は、4つのマッハツェンダー型光導波路(MZ1〜MZ4)を並列に配置し、それらを入れ子状に組み込むようにサブマッハツェンダー型光導波路(SMZ1,SMZ2)、メインマッハツェンダー型光導波路(MMZ1)が配置されている。各マッハツェンダー型光導波路(MZ1〜MZ4,SMZ1〜2,MMZ1)のいずれかには、光導波路を伝搬す光波を制御するための制御電極(不図示)が形成されている。
【0024】
基板1の下流側(光波の伝搬方向の下流側)には、偏波合成部20が配置されている。偏波合成部は光変調器の種類により必ずしも必須の構成部品ではない。偏波合成部20は、例えば、平面光回路(PLC)などの基板上に形成された光回路部品で構成したり、マイクロオプティクス等の空間光学系で構成することが可能である。なお、後述する受光素子については、基板1から外部に放出された光波を受光するだけでなく、偏波合成部20から放出される光波を受光するよう構成することも可能である。
【0025】
基板1を含む光変調器のチップ自体は、金属等で構成される筐体6内に収容される。筐体の内外を光学的又は電気的に接続するため、光ファイバ(OF1,OF2)や信号出力ピン(PIN)が、筐体6を貫通するように配置されている。光変調器の制御電極に変調信号等を印加するための信号用ピンも配置されているが、図面では省略している。
【0026】
光ファイバOF1は、基板1の光波入射部に接続され、入射光LIを基板1内の光導波路に導入するよう構成される。また、光ファイバOF2は、光変調器の光波出射部に接続さ、光変調器の出力信号LOを外部に導出するよう構成されている。
【0027】
図2では、サブマッハツェンダー型光導波路(SMZ1,SMZ2)の各合波部からの放射光を、放射光用光導波路(21,22)により基板1の導出し、受光素子PDで検出するよう構成している。
【0028】
受光素子PDの電極端子には、ワイヤボンディング(WA,WC)が接続され、中継基板7に形成された電気配線5に接続されている。特に、電気配線のワイヤボンディングが接続される部分は、接続作業を確実に行うための面積が若干広く設定された電気接続パッドが形成されている。中継基板の電気配線は、信号出力ピンPINと金線や金リボンなどのワイヤWで接続される。複数の信号出力ピンの内、一部のピンは、図2に示すように接地用の端子(GND)として使用される。
【0029】
中継基板7は必ずしも必須では無く、受光素子PDの電極端子と信号出力ピンPINとを直接接続するよう構成しても良い。
【0030】
受光素子の電極端子には、アノード端子とカソード端子とがあり、これらの各端子に接続されるボンディングワイヤもアノード接続線とカソード接続線が存在する。本発明の研究者は、鋭意研究を行った結果、当該アノード接続線の長さが、該カソード接続線の長さより短い場合には、接続線が電気的クロストーク等のノイズを拾うことが抑制され、精確な検出信号の出力が可能となる。特に、当該アノード接続線の長さが、0.9mm以下の場合には、ノイズレベルを極めて低く抑えることができる。
【0031】
図4は、本発明の光変調器の他の実施例を説明する図である。図2の実施例との違いは、受光素子PDが基板1の光導波路(21,22)上に配置され、受光素子PDに接続されたアノード接続線WAとカソード接続線WCとは、基板1上に形成された電気配線(5,8)に接続されている。特に、図4の符号5は、電気接続パッドを示している。
【0032】
図4の実施例においても、アノード接続線WAの長さは、カソード接続線WCの長さより短くなるように設定されている。
【0033】
図5は、アノード接続線の長さに対する電気的クロストークのノイズレベルを調べたグラフである。測定系としては、図4に示す光変調器を用意し、光L1を入力しない状態で各マッハツェンダーMZ1〜4に形成された信号電極にランダムパルス列(PRBS)を入力し、その時に受光素子で得られるRFパワーを検出した。その際、アノードに接続されるワイヤボンディングの長さを変化させ、それぞれの長さにおけるRFパワーを検出することでワイヤボンディングの長さに対するクロストーク量を測定した。
【0034】
接続線の長さが1.15mm以上で感じるクローストークのノイズレベルが、約10dB以下(図5のRFパワーが1.05[a.u.]以下)に下がる領域を調べたところ、アノード接続線の長さが0.9mm以下であれば、ノイズレベルが通常の約10dB以下となることが確認できた。この結果は以下に示す図6のような構成においても同様の傾向を示す。
【0035】
図6は、基板1の上に配置される受光素子(PD1,PD2)について、配置に係る応用例を示したものである。図6(a)は、マッハツェンダー型光導波路(MZ1、MZ2)から放出される放射光を、放射光用光導波路(21,21’,22,22’)を用いて、その一部を受光するように受光素子(PD1,PD2)を配置したものである。図6(a)の場合は、2つの受光素子を比較的離して配置することが可能であるため、お互いの電気的クロストークの影響は低い。
【0036】
しかしながら、図6(b)のように、一つのマッハツェンダー型光導波路(MZ1又はMZ2)から放射される2つの放射光を一つの受光素子(PD1又はPD2)で受光する場合には、互いの受光素子(PD1,PD2)が近接して配置される可能性が高くなる。このため、お互いの検出信号が電気的クロストークを発生させ、検出信号に多くのノイズが入り込み易くなる。このため、本発明の光変調器の構成は、図6(b)の場合には、特に、好適に適用が可能となる。
【0037】
ボンディングワイヤが接続された電気配線は、ノイズ放射を抑制した構成が望ましい。このためには、電気配線を、コプレーナ導波路、マイクロストリップライン、差動ストリップライン等の高周波線路を使用することが可能である。例えば、図7のようにアノード用の配線とカソード用の配線とを並列に配置し、差動ストリップライン構成を採用することができる。
【0038】
また、図8のように、2つの受光素子(PD1,PD2)が近接して配置されている場合には、電気配線Lも互いに近接する必要がある。2つのアノード接続線WAの長さを短くするには、アノード用の電気配線(LA1,LA2)の両側にカソード用の電気配線(LC1,LC2)を配置することが好ましい。これに合わせて、信号出力ピンについても同様の順序で配置することが好ましい。なお、図2又は図4のように、接地するピンを設ける場合には、カソード用信号出力ピンのさらに外側に設けることが好ましいが、カソード用信号出力ピンの内側の任意の場所に配置することを妨げるものではない。
【0039】
図8のような構成は、図2の中継基板7や図4の基板1に形成された電気配線に限られない。例えば、受光素子と信号出力ピンとを直接ワイヤボンディングする場合にも同様の配配列を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、受光素子の検出信号に電気的クロストークなどのノイズが入り込むのを抑制することが可能な光変調器を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 基板
2 光導波路
6 筐体
PD 受光素子
PIN 信号出力ピン
WA アノード接続線
WC カソード接続線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8