特開2018-146225(P2018-146225A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-146225(P2018-146225A)
(43)【公開日】2018年9月20日
(54)【発明の名称】冷却塔システム
(51)【国際特許分類】
   F28G 13/00 20060101AFI20180824BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20180824BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20180824BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20180824BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20180824BHJP
【FI】
   F28G13/00 A
   C02F1/44 H
   B01D61/12
   B01D61/58
   F28F27/00 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-17459(P2018-17459)
(22)【出願日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-38459(P2017-38459)
(32)【優先日】2017年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝次
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌之
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006KA02
4D006KA03
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KB14
4D006KD06
4D006KD30
4D006KE19P
4D006KE21P
4D006KE21Q
4D006KE22Q
4D006KE23Q
4D006KE24Q
4D006PA01
4D006PB02
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】ブロー水及び補給水を削減することができ、また制御が簡易となる冷却塔システムを提供する。
【解決手段】冷却塔1から熱交換器4へ冷水を循環供給する運転を継続すると、ピット1d内の水位が次第に低下し、電気伝導度が次第に上昇する。電気伝導度が中間値Cにまで上昇すると水中ポンプ8が作動開始する。水中ポンプ8からの送水は、RO装置13にてRO処理され、濃縮水は系外に排出され、透過水はピット1dに導入される。水位が下限値Hまで低下すると、ボールタップ21が開弁し、水位が上限値Hに上昇するまで補給水が供給される。補給水供給に伴って電気伝導度が所定値Cまで低下すると、水中ポンプ8が停止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水の循環ラインが接続された冷却塔と、
該冷却塔内の水をポンプで逆浸透膜装置に送水し、該逆浸透膜装置の透過水を前記冷却塔又は循環ラインに供給する回収手段と、
冷却水の電気伝導度又は比抵抗の測定手段と、
該測定手段で測定された電気伝導度又は比抵抗が所定の中間値Cに上昇するか又は比抵抗が所定の中間値Rに低下した場合に、電気伝導度が所定の中間値C(C<C)に低下するか又は比抵抗が所定の中間値R(R>R)に上昇するまで該回収手段を作動させる制御手段と
を備えたことを特徴とする冷却塔システム。
【請求項2】
請求項1において、前記冷却塔内の水位が所定の下限値Hになると開弁して補給水を冷却塔に供給し、所定の上限値Hにまで上昇すると閉弁するボールタップを備えたことを特徴とする冷却塔システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記循環ラインを冷却水が流れているときに開弁して冷却塔に補給水を供給する強制補給水弁を備えたことを特徴とする冷却塔システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ポンプからの水を除濁手段で除濁してから前記逆浸透膜装置に給水するよう構成されていることを特徴とする冷却塔システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却塔システムに係り、特に開放循環式冷却塔において冷却塔内の冷却水を逆浸透膜装置(RO装置)に供給して処理する機構を備えた冷却塔システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却塔システムにあっては、冷却水の系外への排棄(ブロー)を少なくして高濃縮運転を行う場合、溶解している塩類が濃縮されて、伝熱面が腐食しやすくなるとともに、難溶性の塩となってスケール化する。装置の壁面などにスケールが付着すると、熱効率の低下、配管の閉塞など、ボイラや熱交換器の運転に重大な障害が生じる。近年、節水や省エネルギーを目的に、可能な限り水を有効利用するという動きが顕著になってきているが、更なる高濃縮運転の場合には、スケールの析出を抑制するには限界がある。
【0003】
そこで、冷却塔ブロー水をMF膜又はUF膜に通水してブロー水中の濁質を除去した後、RO膜処理してイオン類、有機物等を除去し、冷却塔に戻すことがある(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−18437号公報
【特許文献2】特開2003−1255号公報
【特許文献3】特開2016−190224号公報
【特許文献4】特開2015−174030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ブロー水及び補給水を削減することができ、また制御が簡易となる冷却塔システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷却塔システムは、冷却水の循環ラインが接続された冷却塔と、該冷却塔内の水をポンプで逆浸透膜装置に送水し、該逆浸透膜装置の透過水を前記冷却塔又は循環ラインに供給する回収手段と、冷却水の電気伝導度又は比抵抗の測定手段と、該測定手段で測定された電気伝導度又は比抵抗が所定の中間値Cに上昇するか又は比抵抗が所定の中間値Rに低下した場合に、電気伝導度が所定の中間値C(C<C)に低下するか又は比抵抗が所定の中間値R(R>R)に上昇するまで該回収手段を作動させる制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の一態様では、前記冷却塔内の水位が所定の下限値Hになると開弁して補給水を冷却塔に供給し、所定の上限値Hにまで上昇すると閉弁するボールタップを備えている。
【0008】
本発明の一態様では、前記循環ラインを冷却水が流れているときに開弁して冷却塔に補給水を供給する強制補給水弁を備えている。
【0009】
本発明の一態様では、前記ブロー水槽内の水を除濁手段で除濁してから前記逆浸透膜装置に給水するよう構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷却塔システムでは、冷却水の電気伝導度が高くなるか又は比抵抗が低くなった場合、冷却水をRO装置で処理して冷却水として利用することにより、冷却塔の水回収率を高くすることができる。本発明では、回収手段を冷却水の電気伝導度又は比抵抗に応じて制御するので制御が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る冷却塔システムを示すフロー図である。
図2】実施の形態に係る冷却塔システムの作動を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0013】
図1の通り、この冷却塔システムの冷却塔1は、散水管1aから散水された冷却水が充填材層1bを流下する間にルーバ1cから導入される空気と接触して冷却されて、ピット1d(冷却塔下部水槽)に貯留され、蒸気を含む空気はファン1eにより大気中に排気されるように構成されている。冷却塔1のピット1dの冷水は、ポンプ2、配管3を介して熱交換器4に供給され、熱交換器4からの戻り水が配管5を介して冷却塔1の散水管1aに返送される。
【0014】
ピット1dにはオーバーフロー管7が設けられており、ピット1d内の水位が該オーバーフロー管7の上端の流入口7aよりも高くなると、ピット1d内の冷却水がオーバーフロー管7を介して流出する。冷却塔1にはピット1d内の冷却水の電気伝導度を測定する電気伝導度計24が設けられている。また、充填材層1bを流下する水を検出するセンサ26が設けられている。
【0015】
ピット1dには、ピット1d内の水を送水するための水中ポンプ8が設けられている。電気伝導度計24の信号がポンプ制御器10に入力され、このポンプ制御器10からの信号により水中ポンプ8が制御される。水中ポンプ8からの送水は、配管9、除濁器11及び配管12を介してRO装置(逆浸透膜装置)13に供給される。除濁器11としては、濾過器、MF膜装置、UF膜装置などを用いることができる。
【0016】
RO装置13の濃縮水は系外に排出され、透過水は配管14を介してピット1dに供給される。なお、配管14は配管3に接続されてもよい。
【0017】
冷却塔1に補給水を供給するために補給水配管18が設置されている。補給水としては、工業用水、水道水、地下水などが用いられる。配管18の末端は、配管19,20に分岐している。一方の配管19の末端は、ピット1dのボールタップ(又はフロート弁装置)21に接続されている。このボールタップ(又はフロート弁装置)は、ピット1d内の水位が所定の下限値Hにまで低下すると開弁し、所定の上限値Hにまで上昇すると閉弁する動作特性を有している。
【0018】
他方の配管20の末端は、ピット1d内に臨んでいる。この配管20に強制補給水弁22が設けられている。該強制補給水弁22は制御器23によって制御される。制御器23には、ピット1dに設けられた電気伝導度計24の検出値が入力されている。
【0019】
次に、この冷却塔システムの動作について、図1,2を参照して説明する。
【0020】
ピット1d内の水位が下限値Hよりも高い状態において、冷却塔1から熱交換器4へ冷水を循環供給する運転を継続すると、図2の通り、冷却水の蒸発等に伴ってピット1d内の水位が次第に低下し、また電気伝導度が次第に上昇する。電気伝導度が所定の中間値Cに到達するまでは水中ポンプ8は停止している。電気伝導度が中間値Cに到達すると(時刻t)、制御器10からの信号により水中ポンプ8が作動開始する。水中ポンプ8からの送水は、除濁器11を通った後、RO装置13にてRO処理され、濃縮水は系外に排出され、透過水はピット1dに導入される。
【0021】
冷却水の一部がRO処理されて戻されることにより、ピット1d内の冷却水の電気伝導度の上昇は緩慢になるが、補給水配管18から補給水が供給されないため、時刻t後も電気伝導度は徐々に上昇し、ピット1d内の水位も徐々に低下する。水中ポンプ8は作動を継続する。
【0022】
時刻tになると、ピット1d内の水位が下限値Hに到達するので、ボールタップ21が開弁し、補給水がピット1dに供給される。これにより、ピット1d内の冷却水の電気伝導度は低下し始める。ボールタップ21は、水位が上限値Hに到達する時刻tまで開となっている。このt〜tの間、電気伝導度は徐々に低下する。
【0023】
〜tの間の時刻tで、電気伝導度は所定の中間値Cにまで低下する。そうすると、制御器10からの信号により、水中ポンプ8が停止する。ボールタップ21は時刻t後も開となっているので、補給水がピット1d内に供給され、水位がさらに上昇し、電気伝導度がさらに低下する。時刻tで水位が上限値Hに到達するので、ボールタップ21が閉となる。これにより、時刻t以降、ピット1d内の水位が徐々に低下すると共に、電気伝導度が徐々に上昇し、時刻tの状態になる。以下、上記一連の動作が繰り返される。
【0024】
このように、ピット1d内の水位が下限値Hと上限値Hとの間になるようにボールタップ21が作動し、この間、冷却水の電気伝導度が中間値Cを超えると冷却水のRO処理が開始し、中間値C(C<C)を下回るとRO処理が停止する。そのため、冷却水の電気伝導度が過度に上昇することがなく、また冷却水が過剰にRO処理されることも防止される。
【0025】
図1では、電気伝導度計24が設置されているが、電気伝導度計の代わりに比抵抗計を設置し、比抵抗計で測定される比抵抗に基づいて制御を行ってもよい。この場合、冷却塔の運転の経過に伴ってピット1d内の水の比抵抗が所定の中間値Rにまで低下すると(時刻t)、制御器10からの信号により水中ポンプ8が作動開始する。水中ポンプ8からの送水は、除濁器11を通った後、RO装置13にてRO処理され、透過水がピット1dに戻されることにより、ピット1d内の冷却水の比抵抗の低下は緩慢になるが、時刻t後も比抵抗は徐々に低下し、ピット1d内の水位も徐々に低下する。水中ポンプ8は作動を継続する。
【0026】
時刻tになると、ピット1d内の水位が下限値Hに到達するので、ボールタップ21が開弁し、補給水がピット1dに供給される。これにより、ピット1d内の冷却水の比抵抗は上昇し始める。ボールタップ21は、水位が上限値Hに到達する時刻tまで開となっている。このt〜tの間、比抵抗は徐々に上昇する。
【0027】
〜tの間の時刻tで、比抵抗は所定の中間値Rにまで上昇する。そうすると、制御器10からの信号により、水中ポンプ8が停止する。ボールタップ21は時刻t後も開となっているので、補給水がピット1d内に供給され、水位がさらに上昇し、比抵抗がさらに上昇する。時刻tで水位が上限値Hに到達するので、ボールタップ21が閉となる。これにより、時刻t以降、ピット1d内の水位が徐々に低下すると共に、比抵抗が徐々に低下し、時刻tの状態になる。以下、上記一連の動作が繰り返される。
【0028】
冷却水の電気伝導度は、ボールタップが開→閉となる時刻tで最も低い極小値Cとなり、ボールタップが閉→開となる時刻tで極大値Cとなる。何らかの理由で電気伝導度が所定の上限値C(C>C)以上となったときには、強制補給水弁22を開(又は開度大)とし、補給水をピット1dに注水する自動ブローを行うことが好ましい。(なお、比抵抗は、ボールタップが開→閉となる時刻tで最も高い極大値Rとなり、ボールタップが閉→開となる時刻tで極小値Rとなる。何らかの理由で電気伝導度が所定の下限値R(R>R)以下となったときには、強制補給水弁22を開(又は開度大)とし、補給水をピット1dに注水する自動ブローを行うことが好ましい。)
【0029】
この実施の形態では、図2に示したボールタップ作動及び水中ポンプ作動が行われることにより、自動ブローの回数が少なくなるか、又は自動ブローは殆ど行われないものとなる。
【0030】
この実施の形態では、補給水の供給は、主としてボールタップ21によって行われる。
【0031】
なお、冷却水循環用のポンプ2の動作信号又はセンサ26の流水検知信号に基づいて冷却塔1の稼働を検知し、冷却塔1が稼働している間は、強制補給水弁22を開として少量(例えば、冷却塔1からの単位時間当りの蒸発・飛散損失量の1〜20%程度)の補給水を連続的にピット1dに供給するようにしてもよい。
【0032】
この冷却塔システムの運転中に系外に排出されるブロー水はRO装置13の濃縮水だけであり、補給水の回収率が高い。また、水中ポンプ8は冷却水の電気伝導度又は比抵抗に応じてON,OFF制御されるので、制御が簡単である。
【0033】
この実施の形態では、ピット1dに薬注されたスライムやスケールの防止剤等の薬剤成分が、除濁器11を通過してRO装置13に供給されることにより、RO装置13でのスライムやスケールの防止効果も得られる。
【0034】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の構成とされてもよい。例えば、水中ポンプ以外のポンプを用いてRO装置13に給水するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、ピット1d内の水位がオーバーフロー管7の上端の流入口7aよりも高くなると、ピット1d内の流入口7aよりも高位の冷却水がオーバーフロー管7を介してブロー水槽8に流入する構成となっているが、配管3(特にポンプ2の吐出側)に排水用管路を接続すると共に該管路にバルブを設け、ピット1d内の冷却水の水位が規定水位(流入口7aの水位)よりも高くなると該バルブが開き、ピット1d内の該規定水位よりも高位の冷却水が該管路を介して排出される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 冷却塔
4 熱交換器
8 水中ポンプ
11 除濁器
13 RO装置
15 補給水槽
24 電気伝導度計
図1
図2