特開2018-162361(P2018-162361A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-162361(P2018-162361A)
(43)【公開日】2018年10月18日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20180921BHJP
   C08K 5/55 20060101ALI20180921BHJP
   C08G 59/28 20060101ALI20180921BHJP
【FI】
   C08L63/00 C
   C08K5/55
   C08G59/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-59561(P2017-59561)
(22)【出願日】2017年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】新日鉄住金化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【弁理士】
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【弁理士】
【氏名又は名称】久本 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 奈央樹
(72)【発明者】
【氏名】篠原 周也
(72)【発明者】
【氏名】関谷 勝則
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4J002CD131
4J002EY016
4J002FD066
4J036AH02
4J036AH07
4J036AH09
4J036AH10
4J036DC31
4J036FA10
4J036FA14
4J036GA06
4J036JA11
(57)【要約】
【課題】グリシジルアミン系エポキシ樹脂の貯蔵安定性を改善したエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂(a)及びホウ酸エステル化合物(b)を含むエポキシ樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂及びホウ酸エステル化合物を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ樹脂100質量部に対して、ホウ酸エステル化合物を0.01〜10質量部の範囲で含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部のホウ酸エステル化合物を混合することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物及び硬化剤を含む硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
硬化剤が活性水素基を有するエポキシ樹脂硬化剤であり、硬化性樹脂組成物中の全エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、硬化剤の活性水素基が0.2〜1.5モルの範囲である請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシジルアミン系エポキシ樹脂の貯蔵安定性を高めたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック材料に使用される熱硬化性樹脂としては、繊維基材に良好に含浸するために、低粘度の液状樹脂が使用される一方、硬化は短時間で行うことができ、得られる硬化物が高耐熱性であることが要求される。
こうした熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂が汎用されており、グリシジルアミン系エポキシ樹脂も、耐熱性に優れていることで知られている。グリシジルアミン系エポキシ樹脂は、例えば、特許文献1〜3に開示されており、塩素含有量を低減し、信頼性を高めることが検討されている。
【0003】
一般に、エポキシ樹脂は硬化剤と混合しないと硬化反応が進まないため、貯蔵の際はエポキシ樹脂と硬化剤を別々にした2液タイプが一般的であり、これらを混合した1液タイプにおいて硬化を抑制するために保存安定剤が使用された。しかしながら、グリシジルアミン系エポキシ樹脂のように、エポキシ樹脂の中には硬化剤を配合しない1液タイプの場合でも安定性が悪いものがあり、低温での保管を必要とするものもあった。
例えば、特許文献4では安定剤として無機ホスフェート化合物を提案しているが、グリシジルアミン系エポキシ樹脂では効果が無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−139230号公報
【特許文献2】特開2000−44651号公報
【特許文献3】特開2005−314512号公報
【特許文献4】特表2013−506733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グリシジルアミン系エポキシ樹脂、特に1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂の貯蔵安定性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ホウ酸エステル化合物を使用することでグリシジルアミン系エポキシ樹脂の貯蔵安定性が改善され、硬化剤を配合した組成物の硬化性も阻害しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂(a)及びホウ酸エステル化合物(b)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0008】
上記エポキシ樹脂(a)100質量部に対して、上記ホウ酸エステル化合物(b)を0.01〜10質量部の範囲で含有することが好ましい。
【0009】
また、本発明は、1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂(a)100質量部に対して、0.01〜10質量部のホウ酸エステル化合物(b)を混合することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂組成物及び硬化剤を含む硬化性樹脂組成物である。
【0011】
上記硬化剤が活性水素基を有するエポキシ樹脂硬化剤であり、硬化性樹脂組成物中の全エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、上記硬化剤の活性水素基が0.2〜1.5モルの範囲であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記硬化性樹脂組成物からなる硬化物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性が良く、その組成物に硬化剤を配合した硬化性組成物においても硬化性に影響なく使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で使用する1分子中にグリシジルアミノ基とグリシジルオキシ基の両方を有するエポキシ樹脂(a)は、1分子中にアミノ基(−NH)とヒドロキシ基(−OH)の両方を有するアミノフェノール化合物(c)とエピハロヒドリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下で反応させる方法等の公知の方法で得ることができる。アミノフェノール化合物(c)としては、例えば、下記式(1)で表される化合物がある。
【0015】
【化1】
【0016】
式(1)中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環及びビナフタレン環等の芳香族環基を示し、これらの芳香族環基は、炭素数1〜6の炭化水素基を置換基として有しても良く、置換基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rは直接結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、直接結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、直接結合がより好ましい。j及びkは独立に1又は2であり、1が好ましい。
【0017】
上記アミノフェノール化合物(c)としては、例えば、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、3−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、6−アミノ−3−メチルフェノール、2−アミノ−4−メチルフェノール、3−アミノ−4−メチルフェノール、2−アミノ−6−t−ブチルフェノール、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノール、3−(アミノメチル)フェノール、4−(アミノメチル)フェノール、4−(2−アミノエチル)フェノール、2,3−ジメチル−5−アミノフェノール、2−アミノ−3−メトキシフェノール、4−アミノ−3−メトキシフェノール、1−アミノ−2−ナフトール、3−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノ−3−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4’−アミノ−1,1’−ビフェニル−4−オール、2’−アミノ−1,1’−ビナフタレン−2−オール、8’−アミノ−1,1’−ビナフタレン−2−オール等の1個のアミノ基と1個のヒドロキシ基を有する化合物や、2−アミノ−1,4−ベンゼンジオール、5−アミノ−1,3−ベンゼンジオール、4−アミノ−1,2−ベンゼンジオール、4−アミノメチル−1,2−ベンゼンジオール、2−アミノ−1,4−ナフタレンジオール等の1個のアミノ基と2個のヒドロキシ基を有する化合物や、2,3−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、3,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、2,6−ジアミノフェノール、2−メチル−3,5−ジアミノフェノール、4,5−ジアミノ−1−ナフトール等の2個のアミノ基と1個のヒドロキシ基を有する化合物や、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジオール、2,4−ジアミノ−1,3−ベンゼンジオール、4,8−ジアミノ−1,5−ナフタレンジオール、1,4−ジアミノ−2,3−ナフタレンジオール、1,8−ジアミノ−2,7−ナフタレンジオール等の2個のアミノ基と2個のヒドロキシ基を有する化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、3−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、2−アミノ−4−メチルフェノール、3−アミノ−4−メチルフェノールが好ましい。
【0018】
エポキシ樹脂(a)は、例えば、特開平4−139230号公報、特開2000−44651号公報、特開2005−314512号公報に記載の製造方法で得ることができる。
【0019】
本発明で使用するエポキシ樹脂(a)のエポキシ当量は、原料のアミノフェノール化合物(c)にもよるが、79〜300g/eq.が好ましく、90〜200g/eq.がより好ましく、92〜150g/eq.が更に好ましい。エポキシ当量が高いと硬化性や耐熱性が損なわれ、低すぎる樹脂は製造が困難である。通常の反応では、アミノ基、ヒドロキシ基は、エピハロヒドリンと付加反応してほとんど残存しないが、残存したものでもよい。
【0020】
本発明で使用するホウ酸エステル化合物(b)としては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリイソブチル、ホウ酸トリt−ブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプチル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリノニル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリドデシル、ホウ酸トリヘキサデシル、ホウ酸トリオクタデシル、トリ(トリエチレングリコールメチルエーテル)ホウ酸エステル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリメンチル等の脂肪族ホウ酸エステルや、ホウ酸トリo−クレジル、ホウ酸トリm−クレジル、ホウ酸トリp−クレジル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリo−トリル、ホウ酸トリm−トリル、ホウ酸トリベンジル、ホウ酸トリナフチル等の芳香族ホウ酸エステルや、2,2’−オキシビス(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン)、2,2’−[2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイルビス(オキシ)]ビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン]、2,2’−(トリメチレンビスオキシ)ジ(1,3,2−ジオキサボリナン)等の環状ホウ酸エステルが挙げられる。これらのホウ酸エステル化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
ホウ酸エステル化合物(b)の配合量は、エポキシ樹脂(a)100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜8質量部がより好ましく、0.2〜6質量部がさらに好ましく、0.3〜5質量部が特に好ましい。ホウ酸エステル化合物(b)をこの範囲で配合することにより、貯蔵安定性を満足し、硬化剤との硬化反応において必要十分な硬化速度を維持し、物性が良好な樹脂硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法は、通常のエポキシ樹脂組成物の製造方法と同様な一般的な撹拌混合設備と混合条件が適用される。使用される設備としては、例えば、ミキシングロール、ディゾルバー、プラネタリミキサ、ニーダ、押し出し機等である。混合条件としてはエポキシ樹脂等を溶解及び/又は低粘度化して撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために冷却してもよい。撹拌混合の時間は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
【0023】
エポキシ樹脂組成物に硬化剤を配合することで本発明の硬化性樹脂組成物が得られる。上記硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されず、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等の硬化剤を使用することができる。これらの硬化剤は単独で使用してもよいし、同一系の硬化剤を2種類以上併用してもよく、また、異なる系の硬化剤を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
硬化性樹脂組成物において、硬化剤の使用量は、樹脂組成物中の全エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して、硬化剤の活性水素基が0.2〜1.5モルが好ましく、0.5〜1.5モルがより好ましく、0.8〜1.2モルが更に好ましい。エポキシ基1モルに対して活性水素基が、0.2モル未満又は1.5モルを超える場合は、硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。例えば、フェノール系硬化剤やアミン系硬化剤や活性エステル系硬化剤を使用した場合はエポキシ基に対して活性水素基をほぼ等モル配合し、酸無水物系硬化剤を使用した場合はエポキシ基1モルに対して酸無水物基を0.5〜1.2モル、好ましくは、0.6〜1.0モル配合する。
【0025】
本明細書でいう活性水素基とは、エポキシ基と反応性の活性水素を有する官能基(加水分解等により活性水素を生ずる潜在性活性水素を有する官能基や、同等な硬化作用を示す官能基を含む。)のことであり、具体的には、酸無水物基やカルボキシル基(−COOH)やアミノ基やヒドロキシ基等が挙げられる。なお、活性水素基に関して、カルボキシル基やヒドロキシ基は1モルと、アミノ基は2モルと計算される。また、活性水素基が明確ではない場合は、測定によって活性水素当量を求めることができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ当量が既知のモノエポキシ樹脂と活性水素当量が未知の硬化剤を反応させて、消費したモノエポキシ樹脂の量を測定することによって、使用した硬化剤の活性水素当量を求めることができる。なお、本明細書中では、各当量の単位は「g/eq.」で表す。
【0026】
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、第3級アミン類、ホスフィン類等の有機リン化合物、金属化合物、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら硬化促進剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
また、硬化性樹脂組成物には以上の成分の他に、必要により通常のエポキシ樹脂組成物に添加される成分を加えてもよい。例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機充填材、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、可塑剤、染料、顔料、カップリング剤、湿潤材、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、消泡剤等が挙げられる。
【0028】
これら必要に応じて添加される任意成分についても、本発明のエポキシ樹脂組成物に、硬化剤と同様に混合することにより、硬化性樹脂組成物が得られる。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは7000mPa・s以下、より好ましくは6000mPa・s以下、さらに好ましくは4000mPa・s以下の低粘度であり、しかも貯蔵安定性に優れ、保管7日後においても、粘度上昇率が70%以下である。
【実施例】
【0030】
実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。特に断りがない限り、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。分析方法、測定方法を以下に示す。
【0031】
(1)エポキシ当量:
JIS K7236規格に準拠して測定した。具体的には、電位差滴定装置を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いた。単位は「g/eq.」である。
(2)粘度:
JIS K7233規格、単一円筒回転粘度計法に準拠して測定した。具体的には、500mLの円筒缶にエポキシ樹脂樹脂組成物400gをはかりとり、25±0.2℃の恒温水槽で5時間放置して恒温にする。回転粘度計のローターを樹脂に浸漬して測定を行った。単位は「mPa・s」である。
(3)ゲルタイム:
JIS C2105規格、熱板法に準拠して測定した。熱板の温度は150℃で行った。
(4)ガラス転移温度:
JIS K7121規格、示差走査熱量測定に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量測定の2サイクル目に得られたDSCチャートの補外ガラス転移開始温度(Tig)で表した。示差走査熱量測定装置は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「EXSTAR6000 DSC6200」を使用した。測定は、10℃/分の昇温速度で室温から240℃までを2サイクル行った。
(5)曲げ強さ、曲げ弾性率:
JIS K6911規格に準拠して測定した。具体的には、3点曲げ試験法により、25℃で測定した。測定には、株式会社島津製作所製の「オートグラフAGS−H」を使用した。
【0032】
実施例及び比較例で使用した略号は、以下の通りである。
【0033】
(エポキシ樹脂)
・TX−1321:パラアミノフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、TX−1321C、エポキシ当量101)
・YD−128:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYD−128、エポキシ当量187)
(ホウ酸エステル化合物)
・TBB:ホウ酸トリブチル(試薬)
(硬化剤)
・DICY:ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製、DIHARD、活性水素当量21)
(硬化促進剤)
・DCMU:3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレア(保土谷化学工業株式会社製)
【0034】
実施例1
100部のTX−1321中に、1.0部のTBBを加え、40℃にて30分間撹拌混合して均一なエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を50±1℃に温度管理されているオーブン中で一定期間保管して、エポキシ当量及び粘度の変化を上昇率で表した。なお、上昇率は変化分を対象としているため、上昇率100%は保管前の物性値の2倍値を意味する。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例2〜3、比較例1
表1に記載の配合比率(部)により、実施例1と同様の操作で、エポキシ樹脂組成物を得た。実施例1同様の試験を行い、その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例4〜6、比較例2
表2に記載の配合比率(部)により、硬化性樹脂組成物を作成し、その硬化性樹脂組成物を、100℃×1時間+140℃×2時間+160℃×2時間硬化させて得られた硬化物を試験片とした。組成物でゲルタイムについて、硬化物で曲げ強さ、曲げ弾性率及びガラス転移温度について、それぞれ試験を行い、その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】