特開2018-176131(P2018-176131A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 栗田工業株式会社の特許一覧
特開2018-176131アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法
<>
  • 特開2018176131-アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法 図000005
  • 特開2018176131-アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法 図000006
  • 特開2018176131-アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法 図000007
  • 特開2018176131-アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法 図000008
  • 特開2018176131-アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-176131(P2018-176131A)
(43)【公開日】2018年11月15日
(54)【発明の名称】アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び脱窒処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20181019BHJP
【FI】
   C02F3/34 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-83766(P2017-83766)
(22)【出願日】2017年4月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】武川 将士
(72)【発明者】
【氏名】徳富 孝明
【テーマコード(参考)】
4D040
【Fターム(参考)】
4D040BB05
4D040BB13
4D040BB25
4D040BB42
4D040BB57
4D040BB82
(57)【要約】
【課題】SBR式の一槽型ANAMMOXプロセスによるアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理において、原水にANAMMOX反応の阻害要因のBODやSSが含まれる場合でも、省スペースかつ管理容易な方法でBODを除去することができ、また、原水中のSSを安価に除去することができる技術を提供する。
【解決手段】SBR式の一槽型ANAMMOX反応槽の前段にSBR式の好気性生物処理槽を設け、好気性生物処理槽で原水中のBODを酸化分解すると共に、原水中のSSを沈降分離して除去する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥を収容した回分式の一槽型ANAMMOX反応槽と、
該ANAMMOX反応槽の前段に設けられた回分式の好気性生物処理槽と、
アンモニア性窒素含有排水を原水として該好気性生物処理槽に導入する手段と、
該好気性生物処理槽の処理水を前記ANAMMOX反応槽に導入する手段と、
該ANAMMOX反応槽の処理水を排出する手段と
を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記好気性生物処理槽内において沈降した前記原水中のSSの引抜手段を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記好気性生物処理槽と前記ANAMMOX反応槽との間に中継槽を有し、該好気性生物処理槽の処理水が該中継槽を経て該ANAMMOX反応槽に導入されることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ANAMMOX反応槽の後段に、硝化槽、脱窒槽及び再曝気槽、或いは循環式脱窒・硝化槽、或いは脱窒槽を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ANAMMOX反応槽の後段に、凝集・沈殿槽、凝集・加圧浮上分離槽、又は沈殿槽を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記原水が嫌気性消化液の脱水濾液であることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【請求項7】
アンモニア性窒素含有排水を原水として、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥を収容した一槽型ANAMMOX反応槽を用いて回分式で脱窒処理する方法において、
該ANAMMOX反応槽の前段に回分式の好気性生物処理槽を設け、
該原水を該好気性生物処理槽で処理した後、該ANAMMOX反応槽で処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【請求項8】
請求項7において、前記好気性生物処理槽において、前記原水中のSSを沈降させて引き抜くことにより、該原水中のSSを除去することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記好気性生物処理槽と前記ANAMMOX反応槽との間に中継槽を設け、該好気性生物処理槽の処理水を該中継槽を介して該ANAMMOX反応槽に導入することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項において、前記ANAMMOX反応槽の後段に、硝化槽、脱窒槽及び再曝気槽、或いは、循環式脱窒・硝化槽、或いは脱窒槽を設け、該ANAMMOX反応槽の処理水を更に脱窒処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項において、前記ANAMMOX反応槽の後段に凝集・沈殿槽、凝集・加圧浮上槽、又は沈殿槽を設け、該ANAMMOX反応槽の処理水を凝集・沈殿、凝集・加圧浮上、又は沈殿処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【請求項12】
請求項7ないし11のいずれか1項において、前記原水が嫌気性消化液の脱水濾液であることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回分式(SBR)の一槽型ANAMMOXプロセスで、アンモニア性窒素含有排水、特に、高濃度のアンモニア性窒素を含むと共に、微生物分解性の有機成分(BOD成分)と懸濁物質(SS)の両方またはいずれかを含む排水、具体的にはメタン発酵消化液の脱水濾液等を処理する際に、原水中のBODやSSによる問題を解決する方法に関する。ここで、一槽型ANAMMOXプロセスとは、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥によってアンモニア性窒素の亜硝酸化と脱窒を同一槽内で行って、窒素を除去する排水処理プロセスを指す。
【背景技術】
【0002】
アンモニア性窒素含有排水の脱窒処理プロセスとして、アンモニア性窒素を電子供与体とし、亜硝酸性窒素を電子受容体とする独立栄養性微生物であるANAMMOX細菌を利用し、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とを反応させて脱窒するANAMMOXプロセスが知られている。
【0003】
ANAMMOX反応を利用した排水処理プロセスは、従来、亜硝酸型硝化槽とANAMMOX脱窒槽とを設け、亜硝酸化→ANAMMOX反応の順に処理を行う二槽型で行われていたが、近年、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌を共生させた汚泥により、亜硝酸化とANAMMOX反応を一つの槽内で行う、一槽型ANAMMOXプロセスが開発された(特許文献1)。
また、一槽型ANAMMOXプロセスに有用なグラニュール汚泥として、ANAMMOX細菌を自己造粒させた一次生物膜体の表面をアンモニア酸化細菌で覆った生物膜二重構造体が提案されている(特許文献2)。
【0004】
一槽型ANAMMOXプロセスは、回分式(SBR)(特許文献3)と連続式(特許文献4)のいずれの反応槽でも処理を行うことができるが、固液分離装置が不要で装置構造が簡単であるSBR式反応槽が利用されることが多い。
【0005】
SBR式の一槽型ANAMMOX反応槽にBOD成分が流入した場合、
(1)ANAMMOX細菌と従属栄養脱窒細菌の間で亜硝酸性窒素による競合
(2)アンモニア酸化細菌と従属栄養脱窒細菌の間で酸素による競合
が起こり、結果として、汚泥中のアンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の割合が減少し、処理水質が悪化する問題がある。
【0006】
そこで、ANAMMOXプロセスにおいて、原水にBODが含まれるときに、前処理として活性汚泥処理を行って阻害要因のBODを事前に除去することが提案されている(特許文献5)。
【0007】
しかし、この方法は、活性汚泥によるBOD酸化槽の後段に沈殿池が必要であるため、前処理装置の設置スペースが過大であり、ANAMMOXプロセスの省スペース化のメリットが失われてしまう欠点がある。
また、沈殿池での汚泥引抜量、返送量の管理が難しいことも問題となっている。例えば、汚泥引抜量が不足し、汚泥滞留時間(SRT)が長くなってしまった場合、汚泥中に硝化細菌が増殖し、アンモニア性窒素が硝酸性窒素に酸化されてしまう。この場合、後段のANAMMOX細菌の基質が不足し、ANAMMOX反応の活性が大きく低下して処理水の水質が悪化する。反対に、SRTを短くして汚泥濃度が低下した場合には、BOD汚泥負荷が大きくなり活性汚泥中に糸状菌が優占化することで汚泥の沈降性が悪化(バルキング)し、沈殿池で固液分離障害を引き起こして、ANAMMOX反応槽にSSが大量に流入する可能性がある。
【0008】
ANAMMOXプロセスではまた、原水に浮遊懸濁物質(SS)が含まれる場合、沈降速度の速いSSがANAMMOX反応槽内に蓄積することで、見掛けの汚泥増殖速度が変化し、汚泥の管理が難しくなるという問題もある。この問題に対して、ANAMMOX反応槽の前段に凝集・沈殿槽などの物理化学的処理手段を設けた場合、pH調整剤、無機凝集剤、ポリマー(高分子凝集剤)の添加が必要となり、ランニングコストが高くなる。特に、メタン発酵消化液の脱水濾液のような無機炭素(IC)濃度が高い原水では、凝集剤による凝集効果が低く、凝集剤を多量に添加する必要がある。
【0009】
このようなことから、従来の一槽型ANAMMOXプロセスでは、原水にANAMMOX反応の阻害要因のBODが含まれる場合でも、省スペースで管理が容易な脱窒処理技術が求められていた。また、安価な方法で原水中のSSを除去することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2001−506535号公報
【特許文献2】特許第4613474号公報
【特許文献3】特許第5347221号公報
【特許文献4】特開2010−221193号公報
【特許文献5】特許第4649911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決し、SBR式の一槽型ANAMMOXプロセスによるアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理において、原水にANAMMOX反応の阻害要因のBODやSSが含まれる場合でも、省スペースかつ管理容易な方法でBODを除去することができ、また、原水中のSSを安価に除去することができるアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置及び処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、SBR式の一槽型ANAMMOX反応槽の前段に、SBR式の好気性生物処理槽を設け、このSBR式の好気性生物処理槽で、原水中のBODやSSを除去することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
【0013】
[1] アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥を収容した回分式の一槽型ANAMMOX反応槽と、該ANAMMOX反応槽の前段に設けられた回分式の好気性生物処理槽と、アンモニア性窒素含有排水を原水として該好気性生物処理槽に導入する手段と、該好気性生物処理槽の処理水を前記ANAMMOX反応槽に導入する手段と、該ANAMMOX反応槽の処理水を排出する手段とを有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0014】
[2] [1]において、前記好気性生物処理槽内において沈降した前記原水中のSSの引抜手段を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0015】
[3] [1]又は[2]において、前記好気性生物処理槽と前記ANAMMOX反応槽との間に中継槽を有し、該好気性生物処理槽の処理水が該中継槽を経て該ANAMMOX反応槽に導入されることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0016】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記ANAMMOX反応槽の後段に、硝化槽、脱窒槽及び再曝気槽、或いは循環式脱窒・硝化槽、或いは脱窒槽を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0017】
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記ANAMMOX反応槽の後段に、凝集・沈殿槽、凝集・加圧浮上分離槽、又は沈殿槽を有することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0018】
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、前記原水が嫌気性消化液の脱水濾液であることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置。
【0019】
[7] アンモニア性窒素含有排水を原水として、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥を収容した一槽型ANAMMOX反応槽を用いて回分式で脱窒処理する方法において、該ANAMMOX反応槽の前段に回分式の好気性生物処理槽を設け、該原水を該好気性生物処理槽で処理した後、該ANAMMOX反応槽で処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【0020】
[8] [7]において、前記好気性生物処理槽において、前記原水中のSSを沈降させて引き抜くことにより、該原水中のSSを除去することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【0021】
[9] [7]又は[8]において、前記好気性生物処理槽と前記ANAMMOX反応槽との間に中継槽を設け、該好気性生物処理槽の処理水を該中継槽を介して該ANAMMOX反応槽に導入することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【0022】
[10] [7]ないし[9]のいずれかにおいて、前記ANAMMOX反応槽の後段に、硝化槽、脱窒槽及び再曝気槽、或いは、循環式脱窒・硝化槽、或いは脱窒槽を設け、該ANAMMOX反応槽の処理水を更に脱窒処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【0023】
[11] [7]ないし[10]のいずれかにおいて、前記ANAMMOX反応槽の後段に凝集・沈殿槽、凝集・加圧浮上槽、又は沈殿槽を設け、該ANAMMOX反応槽の処理水を凝集・沈殿、凝集・加圧浮上、又は沈殿処理することを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【0024】
[12] [7]ないし[11]のいずれかにおいて、前記原水が嫌気性消化液の脱水濾液であることを特徴とするアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、SBR式の一槽型ANAMMOX反応槽の前段にSBR式の好気性生物処理槽を設け、この好気性生物処理槽で原水中のBODを分解除去すると共に、原水由来のSSを沈降させて除去することができる。
SBR式の好気性生物処理槽は、沈殿池を必要としないため、省スペースであり、また、汚泥返送の必要もなく、汚泥引き抜き等の管理も容易に行えるため、汚泥引抜の過不足に起因する水質の悪化等の問題も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の実施の形態の一例を示す系統図である。
図2】本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の実施の形態の他の例を示す系統図である。
図3】本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の実施の形態の別の例を示す系統図である。
図4】本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の実施の形態の別の例を示す系統図である。
図5】実施例1におけるBOD酸化槽内の溶解性CODCr濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
本発明では、アンモニア性窒素含有排水を原水として、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥を収容したANAMMOX反応槽(以下「一槽型ANAMMOX槽」又は「ANAMMOX槽」と称す場合がある。)を用いてSBR式で脱窒処理するに当たり、反応槽の前段にSBR式の好気性生物処理槽(以下、「BOD酸化槽」と称す場合がある。)を設け、原水中のBODをこのBOD酸化槽で酸化分解すると共に、原水中のSSを沈降分離して除去した後、一槽型ANAMMOX槽に導入してANAMMOX処理する。
【0029】
[ANAMMOXプロセス]
本発明において処理対象となるアンモニア性窒素含有排水は、アンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌を含むグラニュールと接触させて窒素処理可能なアンモニア性窒素または有機性窒素を含む液であればよいが、本発明は特に高濃度アンモニア性窒素と、BOD及びSSの両方またはどちらかを含む排水に対して高い効果が得られる。このような排水の具体的な例としては、好気性消化液(メタン発酵消化液)の脱水濾液が挙げられる。嫌気性消化液の脱水濾液は、一般的に500mg−N/L以上のアンモニア性窒素を含有し、メタン発酵槽や脱水機の運転状況にもよるが1,000mg/L以上のBODとSSを含有している場合がある。また、原水中のSSやBOD濃度が低い場合でも、原水中にポリマーや殺菌剤などが含まれている場合にはアンモニア酸化細菌またはANAMMOX細菌を阻害して処理水の水質が悪化するため、このような場合にも本発明方法を適用するとよい。
【0030】
本発明においてアンモニア性窒素の亜硝酸化に用いられるアンモニア酸化細菌は、従来よりアンモニア性窒素の亜硝酸化に用いられている細菌であって、好気性下にアンモニア性窒素を酸化して亜硝酸性窒素に転換する細菌である。
【0031】
本発明において脱窒に用いられるANAMMOX細菌は、Planctomycetesに属す細菌であって、嫌気性雰囲気でアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を反応させて直接窒素ガスに変換させる脱窒細菌である。このようなANAMMOX細菌は従来の脱窒に用いられた従属栄養性の脱窒細菌とは異なり、独立栄養性の細菌であるため、脱窒に際して従来の脱窒細菌には必要であったメタノール等の栄養源の添加を必要としない。またANAMMOX細菌は、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を反応させて直接窒素ガスに変換させるため、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を同時に除去でき、しかも有害な副生物を生成しない。
【0032】
本発明において、ANAMMOX槽で用いるアンモニア酸化細菌とANAMMOX細菌の混合汚泥としては、特に、ANAMMOX細菌の自己造粒物の一次生物膜体の表面をアンモニア酸化細菌で覆った生物二重構造体であることが好ましい。
以下、この本発明に好適な処理汚泥について説明する。
【0033】
ANAMMOX細菌の自己造粒物は、常法に従って、ANAMMOX細菌を自己造粒させることによって形成することができる。
なお、ANAMMOX細菌の自己造粒物の場合、ANAMMOX細菌だけでは自己造粒に期間を要するので、核となる物質を添加し、その核の周りにANAMMOX細菌の生物膜を形成させる。この場合、核として用いられる微生物自己造粒物としては、メタン菌グラニュールの嫌気性微生物の自己造粒物を用いることができる。メタン菌自己造粒物は、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket;上向流嫌気性汚泥床)法もしくはEGSB(Expanded Granule Sludge Bed;展開粒状汚泥床)法でメタン発酵が行われているメタン発酵槽で使用されているものを適用できる。これらの自己造粒物はそのままの状態で、又はその破砕物として用いることができる。ANAMMOX細菌はこのような微生物自己造粒物に付着しやすく、自己造粒物の形成に要する時間が短縮される。また、核として非生物的な材料を用いるよりも経済的である。
【0034】
ANAMMOX細菌の自己造粒物である一次生物膜体の形状には特に制限はなく、粒状(球状、立方体状、その他の異形形状)、ひも状、棒状等の長尺状、フィルム状等の平面形状等の多種多様の形状を採用することができ、その大きさについても任意であるが、取り扱い性、生物膜二重構造体の形成効率等の面から、次のような大きさであることが好ましい。
粒状の場合:直径又は一辺の長さが3〜20mm
長尺状の場合:長さ3〜2000mm程度、太さ0.1〜5mmφ
平面状の場合:面積制限なし、厚み0.1〜5mm
【0035】
このような一次生物膜体の表面をアンモニア酸化細菌で覆って生物二重構造体とするには、例えば、この一次生物膜体を硝化槽に投入し、これを硝化槽から流出しないように保持する。硝化槽に一次生物膜体を投入したのみでは流出のおそれがある場合には、一次生物膜体が流出しないように、硝化槽にスクリーンを設けることが好ましい。または、一次生物膜体を硝化液と共に流出させ、沈殿槽に導入して固液分離し、分離した一次生物膜体を硝化槽に戻してもよい。
【0036】
硝化槽への一次生物膜体の投入量は、原水中のアンモニア濃度や、処理水量等の硝化槽負荷等に応じて適宜決定されるが、通常の場合、MLSSとして500〜5000mg/Lとなるように投入することが好ましい。
【0037】
硝化槽に一次生物膜体を投入して保持することにより、一次生物膜体の表面にアンモニア酸化細菌の生物膜が形成され、ANAMMOXプロセスに好適なANAMMOX細菌の一次生物膜体をアンモニア酸化細菌で覆った生物膜二重構造体を得ることができる。
【0038】
[回分式(SBR)の運転]
本発明では、BOD酸化槽とANAMMOX槽ともにSBR式で運転を行う。その運転方法は、原水導入工程→曝気工程→汚泥沈殿工程→汚泥引抜工程→処理水排出工程、または原水導入及び曝気工程(原水導入と曝気を同時に行う)→(必要に応じて更に曝気工程→)汚泥沈殿工程→汚泥引抜工程→処理水排出工程のいずれの運転方式でもよい。
なお、ANAMMOX槽では、汚泥引抜工程は、必ずしも実施する必要はなく、必要に応じて実施される。
【0039】
原水に微生物阻害性がある場合やpHが高い場合は、バッチの開始時に一度に基質を流入させるFill&Draw式ではANAMMOX槽内の阻害物質濃度やpHが高くなり、微生物活性を阻害することがあるため、Fed−Batch式を選択するのが好ましい。この場合は、後述の通り、BOD酸化槽とANAMMOX槽の間に中継槽を設置するのが望ましい。
槽内水の排出量については、BOD酸化槽およびANAMMOX槽ともに、満水時の水位に対して10〜80%の水位の範囲で適宜設定することができる。
【0040】
なお、原水のBOD濃度に変動がある場合には、BOD酸化槽の槽出口にスクリーン設置し、微生物担体を少量(5〜20%)添加することで、急なBOD濃度上昇に対して対応することができる。
【0041】
[BOD酸化槽における処理]
<フロックを形成しない浮遊性の汚泥(浮遊菌)による処理>
BOD酸化槽で細菌によりフロックが形成されると必要な細菌ごとSSとして引き抜かれて槽内に必要な細菌を保持することが難しくなる。この場合において、ある程度フロックが残留するようにSSの引き抜きをコントロールすると、経時的にフロックを足場にして硝化菌が増殖してしまい、原水中のアンモニア性窒素が硝酸性窒素にまで酸化されてしまい不適当である。よって、BOD酸化槽は浮遊式で行うことが好ましく、そのために、BOD酸化槽の運転条件は、回分式(SBR)に加え、SRTを短く、一過式かつ高BOD汚泥負荷とすることにより、浮遊菌の優占化を促進して処理することが好ましい。
【0042】
従って、本発明に係るSBR式BOD酸化槽では、以下のような運転を行うことが好ましい。
(1)汚泥沈殿工程で、沈降汚泥をSRT5日以下、好ましくは3日以下、例えば1〜2日になるように、沈殿したSSを引き抜く。SRTが下記下限より長いと硝化菌が増殖し易くなる。なお、汚泥の引き抜きは、間欠的に行う他、連続的に行ってもよい。
(2)BOD酸化槽を一過式とし、引き抜き汚泥の返送、供給を行わない。汚泥返送を行うと、硝化菌が増殖し易くなる。
(3)BOD酸化槽のBOD汚泥負荷は2〜20kg−BOD/kg−SS/dayとする。BOD酸化槽のBOD汚泥負荷が上記下限より低いとフロックを形成し易くなり、上記上限よりも高いと処理不十分となる傾向がある。
(4)BOD酸化槽の汚泥沈殿工程の時間を15分〜2時間とする。沈殿工程の時間が15分未満では、原水由来のSSを十分に除去し得ず、一方2時間程度を費やせば原水由来のSSの殆どが除去される。
即ち、ANAMMOX槽の汚泥沈殿工程で静置沈降分離するグラニュール(グラニュールの沈降速度は遅いもので1〜5m/hr)より沈降速度の速いSSは、BOD酸化槽からANAMMOX槽に供給されないようにする必要があるので、BOD酸化槽において沈降速度の速いSSを分離除去しておく必要がある。槽内のどの水位まで槽内水を引抜くかにもよるが、そのための大よその沈殿工程の時間は上記の通り設定される。
【0043】
このように、BOD酸化槽では、汚泥返送しない一過式とし、SRT5日以下、好ましくは3日以下とし、さらにBOD汚泥負荷を2kg−BOD/kg−SS/day以上の高い負荷で運転することで、フロックの形成を抑制して浮遊菌によってBOD除去を行うことが好ましい。
浮遊菌は、沈降速度0.01m/hr以下と非常に遅いため、BOD酸化槽の汚泥沈殿工程で沈降除去されず、BOD酸化槽の処理水と共にANAMMOX槽に流入するが、後述の通り、ANAMMOX槽でも同様に汚泥沈殿工程で除去されないため、槽内に蓄積することなく処理水として排出される。
【0044】
<BOD酸化に伴う固液分離手段の省略>
従来法では、BOD酸化槽にてフロックを形成する活性汚泥によりBODを分解し、沈殿池で固液分離を行っていた。
これに対して、本発明では、汚泥返送を行わずSRTを短く設定することで浮遊菌を優占化させてBODを除去するようにする。浮遊菌は、BOD酸化槽の処理水とともにANAMMOX槽に流入するが、非常に沈降速度が遅いため、ANAMMOX槽の汚泥沈殿工程において沈降して蓄積することなく、ANAMMOX槽の処理水(ANAMMOX処理水)と共に流出する。本発明では、このことで、BOD酸化槽とANAMMOX槽の間に沈殿池を設ける必要がなくなり、従来技術と比べて省スペース化を図ることができる。
【0045】
<原水由来のSSの選択的除去>
従来の一槽型ANAMMOX槽では、原水由来のSSが流入した場合、ANAMMOXグラニュールと同等の沈降速度を有するSSが汚泥沈殿工程で沈殿し、槽内に蓄積していく問題がある。
本発明では、BOD酸化槽の汚泥沈殿工程で、沈降速度の速いSSを沈降させて引き抜くことができ、原水由来のSSがANAMMOX槽に流入・蓄積することを抑制することができる。
このように、原水にSSが含まれる場合、本発明では、BOD酸化槽の汚泥沈殿工程を利用して、ANAMMOX槽に蓄積するような沈降速度の速い原水由来のSSを沈降させて引き抜くことで、原水由来のSSがANAMMOX槽へ蓄積されることを避けることができる。ANAMMOX槽では、通常沈降速度1〜5m/hr程度のグラニュールを沈殿させて槽内に維持するため、それより速い沈降速度を持つSSを除去できるように、前述の通り、BOD酸化槽の沈殿工程の時間を決定するのが好ましい。
BOD酸化槽で沈降したSSの引き抜きは、決められた頻度で行う必要はないが、硝化細菌の増殖を抑制するためSRTは5日以下、好ましくは3日以下で運転する。
【0046】
[ANAMMOX槽における処理]
アンモニア性窒素の亜硝酸化とANAMMOX反応の反応式は、下記式1、式2に示す通りである。式1と式2をまとめた、一槽型ANAMMOX反応は、下記式3の通りである。式3より、一槽型ANAMMOX反応では、アンモニア除去に伴ってpHが低下するが、高pHの原水が導入される場合には、必要に応じてpH調整剤(酸等)を添加して、ANAMMOX細菌を阻害しないpH域(pH 6.7〜8.3)に調整することが好ましい。
<アンモニア性窒素の亜硝酸化>
1.0NH+1.5O→1.0NO+HO+2.0H 式1
<ANAMMOX反応>
1.0NH+1.32NO+0.066HCO
1.02N+0.26NO+0.066CH0.50.15
+2.03HO+0.13OH 式2
<一槽型ANAMMOX反応による脱窒反応>
1.0NH+0.65O
0.44N+0.11NO+1.14H+1.43HO 式3
【0047】
また、ANAMMOX槽では、前述の通り、BOD酸化槽から流入した浮遊菌や沈降速度の遅いSSが、ANAMMOX槽の汚泥沈殿工程でANAMMOX汚泥と共に沈降せずに、処理水中に含まれてANAMMOX槽から流出するように、ANAMMOX槽における汚泥沈殿工程の時間は15分〜2時間(ただし、BOD酸化槽における汚泥沈澱工程の時間と同じかそれよりも短くする)となるように設定することが好ましい。
【0048】
[後処理]
前述の通り、ANAMMOXプロセスの反応式は式3の通りであり、原水のアンモニア性窒素1molに対して、0.11molの硝酸性窒素が生成することから、処理水に硝酸性窒素が残存する。この濃度が、排水処理の必要な基準を満たさない場合などには、ANAMMOX槽の後段に仕上げ処理として硝化−脱窒−再曝気プロセス、脱窒−硝化プロセス(循環法)、又は脱窒プロセスを設けることで、残存する硝酸性窒素を除去することが好ましい。
【0049】
また、ANAMMOX槽の処理水には、浮遊菌とBOD酸化槽で除去できなかった沈降速度の遅いSSが含まれている。これについても、排水処理の必要な基準を満たさない場合などには、ANAMMOX槽の後段に固液分離手段(凝集沈殿プロセス、凝集加圧浮上プロセス、又は沈殿プロセス)を設けることでSSを取り除いてもよい。
【0050】
[具体的な槽構成]
以下に図1〜4を参照して本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の具体的な槽構成を説明する。図1〜4は本発明のアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置の実施の形態の一例を示す系統図であり、同一機能を奏する部材には、同一符号を付してある。なお、いずれも、曝気のための曝気配管やブロアは図示を省略してある。
【0051】
図1は、BOD酸化槽1とANAMMOX槽2とを直列に接続したアンモニア性窒素含有排水の脱窒処理装置を示し、原水は、配管11よりBOD酸化槽1に導入され、SBS式で処理される。
このBOD酸化槽1の汚泥沈殿工程で沈降した原水由来のSSは、配管12より引き抜かれる。BOD酸化槽1の処理水は、アンモニア性窒素とBOD酸化槽1内の浮遊菌と沈殿工程で沈降しなかったSSを含むものであり、この処理水は、配管13よりANAMMOX槽2に導入され、SBR式でANAMMOX処理されてアンモニア性窒素が除去され、処理水は配管14より排出される。
このANAMMOX槽2の処理水には、BOD酸化槽1からの浮遊菌とANAMMOX槽2の沈殿工程で沈降しなかったSSが含まれる。
【0052】
前述の通り、原水に微生物阻害性がある場合やpHが高い場合は、バッチの開始時に一度に基質を流入させるFill&Draw式では槽内の阻害物質濃度やpHが高くなり、微生物活性を阻害することがあるため、Fed−Batch式を選択するのが好ましい。この場合において、図2に示すように、BOD酸化槽1とANAMMOX槽2の間に中継槽3を設置するのが望ましい。
図2は、BOD酸化槽1とANAMMOX槽2との間に中継槽3を設け、配管13からのBOD酸化槽1の処理水を中継槽3を介して配管15よりANAMMOX槽2に導入するようにしたこと以外は、図1に示す脱窒処理装置と同様の構成とされている。
【0053】
このように中継槽3を設けた場合、各槽の運転サイクルを下記表1に示すようにすることができ、各槽における曝気時間を長く確保することができるようになる。
【0054】
【表1】
【0055】
即ち、中継槽がない場合、BOD酸化槽からの排水時間(処理水排出工程)=ANAMMOX槽への流入時間(原水導入工程)となるため、ANAMMOX槽への流入時間を長くしようとすると、BOD酸化槽における排水時間も長くなり、BOD酸化槽における曝気時間を長くとることができなくなる。この場合において、中継槽を設けることで、BOD酸化槽からの排水時間=中継槽への流入時間、ANAMMOX槽への流入時間=中継槽からの排水時間となり、ANAMMOX槽への流入時間を長くとっても、BOD酸化槽から排水時間はこの時間とは関係なく設定できるため、BOD酸化槽における曝気時間を十分に確保することができるようになる。
【0056】
前述の通り、ANAMMOX処理水には硝酸性窒素が残存するため、この濃度が、排水処理の必要な基準を満たさない場合などには、ANAMMOX槽の後段に仕上げ処理として硝化−脱窒−再曝気プロセス、脱窒−硝化プロセス(循環法)、または脱窒プロセスを設けて、残存する硝酸性窒素を除去することが好ましい。
【0057】
図3(a)は、ANAMMOX槽2の後段に脱窒槽4を設けた装置を示し、図3(b)はANAMMOX槽2の後段に硝化槽5A、脱窒槽5B、再曝気槽5Cを設けた装置を示し、図3(c)は、ANAMMOX槽2の後段に循環式脱窒・硝化槽6を設けた装置を示す。
【0058】
図3(a)の装置では、ANAMMOX槽2からのANAMMOX処理水が配管14より脱窒槽4に送給されて、硝酸性窒素が嫌気性処理により窒素ガスに変換されて除去され、脱窒処理水は、配管16より系外へ排出される。図3(b)の装置では、ANAMMOX槽2からのANAMMOX処理水が配管14より硝化槽5A、脱窒槽5B、再曝気槽5Cで順次処理された後、配管16より系外へ排出される。図3(c)の装置では、ANAMMOX槽2からのANAMMOX処理水が、配管14より脱窒槽6Aを経て配管17より硝化槽6Bに導入され、硝化槽6Bの処理水の一部が配管18より脱窒槽6Aに循環されて処理されることで、ANAMMOX処理水中の窒素の硝化・脱窒処理が行われ、処理水は配管16より系外へ排出される。
【0059】
いずれの場合も、原水中の窒素を高度に除去した高水質の脱窒処理水を得ることができる。
【0060】
図4(a)〜(c)は、それぞれ、ANAMMOX処理水中のSSを除去するための沈殿槽7、凝集槽8と沈殿槽7、又は凝集・加圧浮上分離槽9を設けた装置を示し、ANAMMOX槽2からのANAMMOX処理水は、脱窒槽4で処理された後、それぞれ、沈殿槽7、凝集槽8と沈殿槽7、又は凝集・加圧浮上分離槽9に導入されてSSの除去処理がなされた後、配管19より系外へ排出される。
【0061】
なお、図4(a)〜(c)における沈殿槽7、凝集槽8と沈殿槽7、又は凝集・加圧浮上分離槽9は、ANAMMOX槽2の後段に直接設けてもよく、図3(b)における再曝気槽5cの後段に設けてもよく、また、図3(c)における硝化槽6Bの後段に設けてもよい。
また、図3,4に示す装置において、図2におけると同様にBOD酸化槽1とANAMMOX槽2との間に中継槽3を設けてもよい。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0063】
[実施例1]
アンモニア性窒素1,800mg/Lに調整した合成排水に、酢酸、プロピオン酸をCODCr2,000mg/Lになるように添加し、さらに活性汚泥をSS3,000mg/Lになるように添加することで、BODとSSを含む模擬排水を調製した。
この模擬排水を原水として、SBR式BOD酸化槽の試験装置で処理を行い、処理水をSBR式一槽型ANAMMOX槽のラボ試験装置で処理することで、本発明の実施例の模擬試験を行った。
【0064】
BOD酸化槽の容積は2L、一槽型ANAMMOX槽の容積は3Lとした。装置の水温は30℃に設定した。pHは一槽型ANAMMOX槽のみpH調整剤を用いて7.8に調整した。種汚泥として、BOD酸化槽には合成排水で培養した活性汚泥をMLSS1,000mg/Lになるように投入し、ANAMMOX槽には合成排水で培養した一槽型ANAMMOXグラニュール(前述の生物二重構造体)を、沈降体積で槽容積の30%になるように投入した。
【0065】
BOD酸化槽の1バッチあたりの交換水量は1L(槽容積の50%)とした。SBRサイクルは、原水の導入工程5min、曝気工程8.15hr、汚泥沈殿工程15min、汚泥引抜工程3min、処理水排出工程5minとした。SRTは3dayである。
ANAMMOX槽にはBOD酸化槽の処理水を通水し、交換水量は槽容積の33%(1L)とした。SBRサイクルは、被処理水の導入工程5min、曝気工程8.4hr、沈殿工程15min、処理水排出5minとした(窒素負荷1.5kg−N/m/day)。
なおバッチ数を2.8バッチ/日と想定し、BOD酸化槽のBOD汚泥負荷を5kg−BOD/kg−SS/バッチと設定した。
【0066】
BOD酸化槽を30日運転した後、1バッチ中のBOD酸化槽内の溶解性CODCr濃度変化を測定した。この結果を図1に示す。図1に示されるように、溶解性CODCrは、時間と共に減少し、4hr後には40mg/L以下になった。1バッチ終了後の酢酸とプロピオン酸の濃度を分析した結果、それぞれ検出下限値以下となっていた。BOD酸化槽の処理水の窒素濃度は、アンモニア性窒素が1,760mg/L、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素は1mg/L以下であったことから、BOD酸化槽で硝化は起こらなかったことが分かる。また、BOD酸化槽では沈降速度の速いSSが除去され、処理水のSSは241mg/Lとなった。
【0067】
このBOD酸化槽の処理水を30日間、一槽型ANAMMOX槽に通水して処理したところ、処理水(ANAMMOX処理水)の窒素濃度は、アンモニア性窒素0.9mg/L、亜硝酸性窒素5.6mg/L、硝酸性窒素146mg/Lとなり、十分に窒素が除去された。また、このときのSV(スラッジボリューム)は34%であり、SSの蓄積はほとんど見られなかった。
実施例1の試験結果を表2にまとめて示す。
【0068】
[比較例1]
実施例1において、BOD酸化槽を省略したこと以外は同様に模擬試験を行った。
その結果、処理水(ANAMMOX処理水)中には、アンモニア性窒素が678mg/L程度残存し、窒素除去率は59%と低くなった。
これは、ANAMMOX槽に有機物が流入したことで、アンモニア酸化細菌と従属栄養脱窒細菌の間で酸素による競合が生じ、アンモニア酸化速度が低下したことが原因と考えられる。また、このときのSVは63%であり、ANAMMOXグラニュールとは異なるフロックが蓄積していることが確認された。これは原水由来のSSやBODによって増殖した従属栄養細菌と考えられた。
比較例1の試験結果を表2にまとめて示す。
【0069】
【表2】
【符号の説明】
【0070】
1 BOD酸化槽
2 ANAMMOX槽
3 中継槽
4,5B,6A 脱窒槽
5A,6B 硝化槽
5C 再曝気槽
7 沈殿槽
8 凝集槽
9 凝集・加圧浮上分離槽
図1
図2
図3
図4
図5