FPCを備えた光変調器において、当該FPC上に形成される電極と回路基板上の電極との間の接続ばらつきを抑制して、これら電極を含む信号経路の高周波特性のばらつきを効果的に抑制すること。
回路基板400との間の電気的接続を行うフレキシブル配線板106を備えた光変調器100であって、前記フレキシブル配線板は、当該フレキシブル配線板の一の辺202に沿って当該フレキシブル配線板の一の面に設けられた複数の第1のパッド210等と、当該フレキシブル配線板の他の面の、複数の前記第1のパッドのそれぞれに対応する位置に設けられた複数の第2のパッド240等と、当該フレキシブル配線板の前記一の辺に沿う当該フレキシブル配線板の側面の、前記第1のパッドのそれぞれに対応する位置に設けられた複数の金属膜270等と、を備える。
【背景技術】
【0002】
高速/大容量光ファイバ通信システムにおいては、導波路型の光変調素子を組み込んだ光変調器が多く用いられている。中でも、電気光学効果を有するLiNbO
3(以下、LNともいう)を基板に用いた光変調素子は、光の損失が少なく且つ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、高速/大容量光ファイバ通信システムに広く用いられている。
【0003】
このLN基板を用いた光変調素子では、マッハツェンダ型光導波路と、当該光導波路に変調信号である高周波信号を印加するためのRF電極と、当該導波路における変調特性を良好に保つため種々の調整を行うためのバイアス電極と、が設けられている。そして、光変調素子に設けられたこれらの電極は、当該光変調素子を収容する光変調器の筺体に設けられたリードピンやコネクタを介して、光変調器に変調動作を行わせるための電子回路が搭載された回路基板(以下、回路基板と略す)に接続される。
【0004】
光ファイバ通信システムにおける変調方式は、近年の伝送容量の増大化の流れを受け、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やDP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や、多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットが主流となっており、基幹光伝送ネットワークにおいて用いられているが、メトロネットワークにも導入されつつある。
【0005】
QPSK変調を行う光変調器(QPSK光変調器)やDP−QPSK変調を行う光変調器(DP−QPSK光変調器)は、入れ子構造になった複数のマハツェンダ型光導波路を備え、複数の高周波信号電極及び複数のバイアス電極を備えることから(例えば、特許文献1参照)、光変調器の筺体のサイズが大型化する傾向があり、特に小型化の要請が強い。
【0006】
この小型化の要請に対応する一つの策として、従来、RF電極のインタフェースとして光変調器の筺体に設けられていたプッシュオン型の同軸コネクタを、バイアス電極のインタフェースと同様のリードピンに置き換え、これらのリードピンと外部の回路基板とを、電気的に接続するためのFPC(フレキシブル配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)を付加した光変調器が提案されている。
【0007】
例えば、DP−QPSK光変調器では、それぞれにRF電極を有する4つのマッハツェンダ型光導波路で構成される光変調素子が用いられる。この場合、光変調器の筺体に4つのプッシュオン型同軸コネクタを設けたのでは筺体の大型化は避けられないが、同軸コネクタに代えてリードピンとFPCとを用いれば、小型化が可能となる。
【0008】
また、光変調器の筺体のリードピンと、当該光変調器に変調動作を行わせるための電子回路が搭載された回路基板と、の間が、上記FPCを介して接続されるので、従来用いていた同軸ケーブルの余長処理を行う必要が無くなり、光送信装置内における光変調器の実装スペースを縮小することができる。
【0009】
光変調器に用いられるFPCは、例えば柔軟性のあるポリイミドベースの材料を基板(以下、FPC基板)として用いて作製され、一方の端部付近に設けられた複数のスルーホールのそれぞれが、配線パターンを介して、他方の端部に設けられたパッドのそれぞれに電気的に接続されている。そして、光変調器の筺体の底面又は側面から突き出た複数のリードピンが上記複数のスルーホールにそれぞれ挿通されて例えばハンダにより固定され且つ電気的に接続され、上記複数のパッドが回路基板に例えばハンダにより固定され且つ接続される。これにより、当該回路基板上のパッドから与えられる高周波信号が、それぞれ対応する上記スルーホールとリードピンとを介して、光変調素子の対応するRF電極に与えられて、高速光変調が行われる。
【0010】
上記のFPCを用いた光変調器では、上述のように、筺体を小型化することができ、回路基板上における光変調器の実装スペースも縮小することができるので、光送信装置の小型化に大きく貢献し得る。
【0011】
図20A、20B、20Cは、そのようなFPCを備える従来のDP−QPSK光変調器の構成を示す図であり、
図20AはDP−QPSK光変調器の上面図、
図20Bは正面図、
図20Cは底面図である。このDP−QPSK光変調器2000は、光変調素子2002と、光変調素子2002を収容する筺体2004と、フレキシブル配線板(FPC)2006と、光変調素子2002に光を入射するための光ファイバ2008と、光変調素子2002から出力される光を筺体2004の外部へ導く光ファイバ2010と、を備える。
【0012】
筺体2004には、光変調素子2002の4つのRF電極(不図示)にそれぞれ接続された4つのリードピン2020、2022、2024、2026が設けられており、当該リードピン2020、2022、2024、2026は、FPC2006に設けられた後述するスルーホール2120、2122、2124、2126に挿通されて例えばハンダにより固定され且つ電気的に接続されている。
【0013】
図21は、FPC2006の構成を示す図である。FPC2006の一の面(図示の面。以下、オモテ面と称する)には、図示下側の一の辺2102の近傍に、当該一の辺2102の方向に沿って4つのパッド2110、2112、2114、2116が並んで設けられている。また、辺2102に対向する他の辺2104の側には、例えば辺2104の方向に沿って、4つのスルーホール2120、2122、2124、2126が並んで設けられている。さらに、4つのパッド2110、2112、2114、2116は、それぞれ、配線パターン2130、2132、2134、2136によりスルーホール2120、2122、2124、2126に電気的に接続されている。なお、FPC2006のオモテ面に対向する面(ウラ面)は、例えば、パターンが何も形成されないか、又はグランドパターン(例えば、いわゆるベタパターン)が形成され得る。
【0014】
そして、4つのパッド2110、2112、2114、2116が外部の回路基板のパッドに対してそれぞれ例えばハンダにより固定され且つ電気的に接続されることにより、光変調器2000が収容する光変調素子2002のRF電極と当該回路基板上に構成された電子回路とが電気的に接続されて光送信装置内に実装される。なお、FPC2006の形状は、配線パターンを極力短くしてマイクロ波損失を低く抑えられるように、
図21に図示したように信号伝送方向に短い辺を持つ横長の長方形になるのが一般的であり、図示の例のように4つのパッド2110、2112、2114、2116を持つ場合には、長辺方向で約20mm以下、短辺方向で約10mm以下程度の長方形となる。
【0015】
図22A、22Bは、回路基板に光変調器2000を接続した状態の一例を示す図であり、
図22Aは光変調器2000の上面方向から見た図、
図22Bは
図22AにおけるJJ断面矢視図である。なお、
図22Bにおいて光変調器2000の内部の構成については記載を省略している。
【0016】
光変調器2000と回路基板2200とは、例えば光送信装置の筺体内のベース2202に固定されている。
図22Aに示すように、光変調器2000のFPC2006は、リードピン2020、2022、2024、2026との接続部分から図示左方へ延在し、
図22Bに示すように、左側端部が回路基板2200に接するように図示斜め左下方向に曲げられ、これにより、FPC2006のパッド2110、2112、2114、2116が回路基板2200上のパッド2210、2212、2214、2216に例えばハンダにより固定され且つ電気的に接続される(
図22A)。
【0017】
ところで、上述したように、光ファイバ通信システムに求められる光伝送容量の増大化に伴って、光変調器に要求される変調動作は、より高速、より広帯域なものなっており、その一つの実現手段であるDP−QPSK等の複雑な変調動作を行う場合には、光変調器に入力される信号線の数、したがってFPCに設けるパッドの数は増大する。その一方で、光変調器のサイズの小型化への要請は不変であり、したがって、上記のように必要な電極数の増加に伴って、上述したFPC上に形成すべき各パッドのサイズは縮小されることとなる。一つの例として、一般的なDP−QPSK光変調器においては、例えば、信号電極の数は4本であり、FPC上に形成されるパッドのサイズは、幅が数百μmで長さが1mm程度である。
【0018】
このような電極やパッドサイズの小型化は光伝送容量の増大化要請に基づき更に厳しいものとなり得る。例えば更なる伝送容量の増大のため、複数のDP-QPSK変調素子を一つの筐体内に収容する事が検討されている。2つDP-QPSK光素子が一つの筐体に収容される場合、入力電気信号のパッド数は4カ所から倍の8カ所に増えるが、これに伴う筐体やFPC基板の大きさは現状とほぼ同じ大きさが求められる。従ってFPCの更なるサイズ小型化、電極やパッド部のサイズ縮小化の必要も生じ得る。
【0019】
また、例えば、メトロネットワーク用の光伝送装置に光変調器を用いる場合には、装置の小型化の要請から光変調器の小型化は更に強く求められることとなり、FPCのサイズの小型化等によりパッドサイズも縮小する必要が生じ得る。
【0020】
しかしながら、FPC上に形成されるパッドのサイズが小型化すれば、当該電極と、例えば光変調器が実装される回路基板上のパッドと、の間の接続部分の状態(例えば、当該接続に用いるハンダの厚さや均一性)の僅かなばらつきが、当該接続部分における高周波の伝搬特性を大きく変化させることとなり得る。その結果、FPC上に形成される複数のパッドのそれぞれについての上記接続部分の状態のばらつきに起因して、電極間において高周波伝搬特性に差を生じ、光変調器から出力される変調光の品質が低下して、光伝送特性に悪影響が生ずる事態も生じ得る。
【0021】
例えば、FPC2006を回路基板2200にハンダ付けする場合、
図23Aに示すように、FPC2006のオモテ面(図示下側の面)を、ハンダ材(不図示)(例えば、回路基板2200のパッド2210等に予め溶融されている)を介して回路基板2200に接触させ、FPC2006のウラ面(図示上側の面)から、ハンダゴテ2300によりオモテ面を回路基板2200に押圧すると共に、FPC2006と回路基板2200との間に介在するハンダ材を溶融することで、FPC2006のパッド2114等と回路基板2200のパッド2214等との間が溶融されて接続される。このとき、ハンダゴテ2300の熱はFPC2006のウラ面からオモテ面へ、当該FPC2006の基板素材部分(すなわち、熱伝導性の低い部分)を厚さ方向に伝導した後にハンダを溶融することとなるため、ハンダゴテ2300の押圧時間や押圧位置等の作業ばらつきによりハンダゴテ2300の熱が十分にハンダに伝わらない場合が生じ得て、例えば
図23Bに示すようにハンダ浮きが生じ得る。これにより、パッド2110等とパッド2210等との接触面積にばらつきが生じ、当該接触部分における高周波伝搬特性がばらつくこととなる。
【0022】
また、FPC2006と回路基板2200との間に介在するハンダの量が多過ぎた場合には、ハンダが十分に溶融しなかったり、あるいは、
図23Bに示すように、FPC2006と回路基板2200との接触部分からはみ出したハンダが回路基板2200の導体パターン上に島状に固化して局在することとなり得る(ハンダの島状固化部分を、
図23Bにおいて符号2302で示す)。このような導体パターンにおけるハンダの局在部分では、当該導体パターンにおける高周波インピーダンスが階段状に変化することとなり、当該導体パターンにおける高周波伝搬特性に製造ばらつきを生じさせる(したがって、当該導体パターンが複数ある場合は、導体パターン毎に高周波伝搬特性がばらつくこととなる)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1A、1B、1Cは、本発明の第1の実施形態に係る光変調器の構成を示す図である。
本光変調器100は、光変調素子102と、光変調素子102を収容する筺体104と、フレキシブル配線板(FPC)106と、光変調素子102に光を入射するための光ファイバ108と、光変調素子102から出力される光を筺体104の外部へ導く光ファイバ110と、を備える。
【0027】
光変調素子102は、例えばLN基板上に設けられた4つのマッハツェンダ型光導波路と、当該マッハツェンダ型光導波路上にそれぞれ設けられて光導波路内を伝搬する光波を変調する4つの高周波電極(RF電極)と、を備えたDP―QPSK光変調器である。光変調素子102から出力される2つの光は、例えばレンズ光学系(不図示)により偏波合成され、光ファイバ110を介して筺体104の外部へ導かれる。
【0028】
筺体104は、上記光変調素子102が備える4つのRF電極(不図示)のそれぞれに接続された4つの信号用リードピン120、122、124、126を備える。筺体104に設けられた信号用リードピン120、122、124、126は、FPC106に設けられた後述する信号用スルーホール220、222、224、226に挿通され、当該信号用スルーホール220、222、224、226と信号用リードピン120、122、124、126との間がそれぞれ例えばハンダにより接続され及び固定されている。
【0029】
図2A、2B、2Cは、FPC106の構成を示す図である。ここで、
図2Aは、FPC106の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図2Bは、
図2Aに示す辺202に沿うFPC106の側面図であり、
図2Cは、FPC106の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図3は、
図2Aに示すA部を斜め上方から見た斜視図である。
【0030】
FPC106は、例えばポリイミドを主原料とした基板(以下、FPC基板)を用いて作製されている。FPC106は、例えば平面視が矩形に構成されている。上述したように、FPC2006の形状は、配線パターンを極力短くしてマイクロ波損失を低く抑えるために、横長の長方形になるのが一般的である。このため、本実施形態では、FPC2006と同様に、FPC106は矩形形状を為すものとしている。ただし、FPC106の形状は、これに限らず任意の形状を有するものとすることができる。
【0031】
図2Aに示すFPC106のオモテ面には、図示下側の一の辺202の近傍に、当該一の辺202の方向に沿って4つのパッド210、212、214、216が並んで設けられている。また、辺202に対向する他の辺204の側には、例えば辺204の方向に沿って、4つの信号用スルーホール220、222、224、226が並んで設けられている。さらに、4つのパッド210、212、214、216は、それぞれ、配線パターン230、232、234、236により信号用スルーホール220、222、224、226に電気的に接続されている。
【0032】
上述のように、4つの信号用スルーホール220、222、224、226は、それぞれ、筺体104が備える4つの信号用リードピン120、122、124、126に接続されており、外部の回路基板に設けられた電子回路の一部を構成するパッドに対して(例えばハンダにより)パッド210、212、214、216がそれぞれ電気的に接続されることにより、当該電子回路から出力される高周波信号が、FPC106およびリードピン120、122、124、126を介して光変調素子102の4つのRF電極のそれぞれに印加される。
【0033】
FPC106に設けられる配線パターン230、232、234、236は、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、グランデットコプレーナ線路など、高周波用の信号線路として公知の線路構造を用いて構成されるものとすることができ、当該構造に合わせて、FPC106上にはグランドパターンも設けられ得る(不図示)。
【0034】
FPC106のサイズは、上述した従来のFPC2006と同様に、配線パターン230、232、234、236を極力短くしてマイクロ波損失を低く抑えるために、例えば長辺方向(辺202の方向)の長さが約20mm以下、短辺方向(辺202に対し垂直な方向)の長さが約10mm以下となり得る。
【0035】
また、
図2Cに示すFPC106のウラ面には、オモテ面のパッド210、212、214、216に対応する位置(又は対向する位置)に、パッド240、242、244、246がそれぞれ設けられている。ここで、オモテ面のパッド210、212、214、216は、それぞれ第1のパッドに相当し、ウラ面のパッド240、242、244、246は、それぞれ第2のパッドに相当する。
【0036】
図4A、4Bは、電子回路が構成された回路基板に光変調器100を接続した状態の一例を示す図であり、
図4Aは光変調器100の上面方向から見た図、
図4Bは
図4AにおけるBB断面矢視図である。なお、
図4Bにおいて光変調器100の内部の構成については記載を省略している。
【0037】
光変調器100と回路基板400とは、例えば光送信装置の筺体内のベース402に固定されている。
図4Aに示すように、光変調器100のFPC106は、信号用リードピン120、122、124、126との接続部分から図示左方へ延在し、
図4Bに示すように、左側端部が回路基板400と接するように図示斜め左下方向に曲げられ、これにより、FPC106のウラ面のパッド240、242、244、246にそれぞれ対応するオモテ面の位置に設けられたパッド210、212、214、216が回路基板400上のパッド410、412、414、416に例えばハンダにより固定され且つ電気的に接続される(
図4Aにおいては、オモテ面のパッド210、212、214、216は、ウラ面のパッド240、242、244、246と重なる位置にあるため図示されていない)。また図示してはいないが、光変調器100が回路基板400上に固定されている構成もある。
【0038】
特に、本実施形態の光変調器100では、
図2A、2B、2Cに示すように、回路基板400のパッド410、412、414、416と電気的に接続されるFPC106のオモテ面のパッド210、212、214、216が、それぞれ対応するFPC106のウラ面のパッド240、242、244、246と、それぞれ3つのスルーホール250a、250b、250c、スルーホール252a、252b、252c、スルーホール254a、254b、254c、及びスルーホール256a、256b、256cにより接続されている。
【0039】
ここで、スルーホール250a、250b、250c、スルーホール252a、252b、252c、スルーホール254a、254b、254c、及びスルーホール256a、256b、256cは、それぞれ、その内面がメタライズされており、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており(すなわち、ビアとして構成されており)、したがって、FPC106のオモテ面のパッド210、212、214、216は、それぞれ対応するFPC106のウラ面のパッド240、242、244、246と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0040】
さらに、
図2B及び
図3に示すように、FPC106のオモテ面のパッド210、212、214、216と、それぞれ対応するFPC106のウラ面のパッド240、242、244、246とは、FPC106の辺202側の側面(又は端面)に形成された金属膜270、272、274、276によっても、それぞれ互いに熱的に接続されている。
図3には、一例として、オモテ面のパッド210とウラ面のパッド240とが、側面に設けられた金属膜270(図示ハッチング部分)を介して接続されていることが示されている。
【0041】
これにより、本実施形態では、FPC106のオモテ面のパッド210、212、214、216を回路基板400のパッド410、412、414、416にハンダ接続する際に、それぞれ、FPC106のウラ面の対応するパッド240、242、244、246にハンダゴテを接触させれば、ハンダゴテの熱は、スルーホール250a、250b、250c、スルーホール252a、252b、252c、スルーホール254a、254b、254c、及びスルーホール256a、256b、256c、並びにFPC106の辺202に設けられた金属膜270、272、274、276により、効果的にパッド210、212、214、216に伝達される。
【0042】
したがって、FPC106のパッド210、212、214、216と、回路基板400のパッド410、412、414、416との間に配されたハンダは効果的に加熱されることとなり、回路基板400のパッド410、412、414、416とFPC106のパッド210、212、214、216との間の、ハンダ浮き等の発生は抑制され、ハンダ接続状態のばらつきが抑制される。
【0043】
その結果、パッド210、212、214、216と、回路基板400のパッド410、412、414、416との間の、それぞれの接続部分における高周波伝搬特性のばらつきが抑制されるので、光変調器100の良好な変調動作が確保される。
【0044】
さらに、本実施形態では、FPC106の辺202の端部に金属膜270、272、274、276が設けられているため、例えばFPC106と回路基板400との間に介在する溶融したハンダ(溶融ハンダ)の量が多くパッド210等の金属膜の領域からはみ出た場合でも、当該はみ出た余剰の溶融ハンダは、
図5に示すように辺202端部の金属膜270等に接して、当該溶融ハンダの表面張力によりなだらかな曲面(メニスカス)を形成して固化する(固化したハンダの一例を、
図5において符号500で示す)。このため、本実施形態では、従来のように導体パターン(例えばパッド410等)上にハンダが局在(
図23B参照)することがなく、当該導体パターンに沿った高周波インピーダンスには階段状の変化が生じ難くなる。また、パッド210等と回路基板400のパッド410等との間の接続部のハンダ形状は、上記メニスカス曲面を有し、ばらつきの少ない形状となるので、上記ハンダ浮き等の抑制効果と相まって、当該接続部分及びその周辺における高周波伝搬特性のばらつきが更に抑制される。
【0045】
なお、FPC106のウラ面のパッド240、242、244、246からの、オモテ面のパッド210、212、214、216の加熱は、これらのパッドを形成する金属膜(例えば金(Au))の膜厚が大きく熱伝導率及び熱容量が大きいほど良好となるが、膜厚が厚くなれば当該パッド部分におけるFPC106の可撓性は低下し、ハンダ付け作業時におけるパッド210、212、214、216と回路基板400のパッド410、412、414、416との間の密着性が低下して、却ってハンダ接続部の接続状態は悪化する。
【0046】
図6は、FPC106のパッド210、212、214、216と回路基板400のパッド410、412、414、416との間のハンダ接続部の均一性及び仕上がり品質、並びにハンダ接続作業時におけるFPC106の可撓性の良否を、パッド210、212、214、216を構成する金属膜厚を変えて評価した結果である。ここで、FPC106のパッド210等に用いた金属はAu(金)、パッド210等の幅及び長さは350μm及び1.3mmである。
【0047】
ハンダ接続部の均一性及び仕上がり品質並びFPC106の可撓性は、◎(極めて良い)、○(良い)、△(十分でない)、×(悪い)、の4段階で判定した。ハンダ接続部の均一性及び仕上がり品質の判定は、社団法人日本溶接教会が制定した「マイクロソルダリング技術認定・検定試験における品質判定基準」(JWES−MS060801J)をベースに、仕上がりの均一性を加味して行った。この品質判定基準はJIS C 61191「プリント配線板実装」に記載されている高信頼性機器の品質基準に基づいており、当該JISの要求基準よりも具体的な品質判定基準が規定されている。また、FPC106の可撓性の評価は半田接合部(例えば
図5のパッド240の部分)の浮き、斜め固定、ずれ等により行った。
【0048】
上記評価の結果では、パッド210等の金属膜厚が10μm以上で、ハンダ接続部の均一性及び仕上がり品質が良好となるものの、当該金属膜厚が60μmを超えると、FPC106の可撓性が悪化し作業性が低下する、との知見が得られた。したがって、FPC上に設けるパッドの金属膜厚は、10μm以上60μm以下であることが望ましい。例えば、本実施形態に係る光変調器100では、パッド210、212、214、216は、厚さ40μmの金(Au)の厚膜を用いて構成されている。
【0049】
FPCに形成されるパッドを構成する金属(例えば金(Au))膜は、作製プロセスの工数や資材コストの観点等から、通常、厚さが数μm程度の薄膜であるのに対し、上記評価から得られた好ましい金属膜厚はその約10倍である。
【0050】
一般に、パッドを構成する金属の膜厚に対してハンダの量が多すぎたり加熱時間が長すぎると、パッドを構成する金属がハンダ中に溶け出してパッドが消失する(又は、パッドが異種金属による2層構造である場合には、上層金属が溶け出して下地金属のみが残留する)という、いわゆる「(ハンダ)食われ」現象が生じて、FPC上のパッドと回路基板のパッドとの間のハンダ浮きが生じ易くなる。特に、光変調器のFPCに用いるような幅1mm以下、長さが1mm程度の小さなパッドの場合には、使用するハンダ量を適正量に制度良く制御することは困難であり、一般的には、ハンダ不足による接続不良を避けるため、ハンダ量が多くなる傾向にある。さらに、光変調器に用いるFPCでは、複数のパッドを回路基板のパッドに同時に又は連続的にハンダ接続する必要が生ずることから、すべてのパッドがハンダ溶融に必要な温度まで上昇するように、当該FPCのパッド配列部分の加熱時間は長くなる傾向にある。その結果、光変調器に用いるFPCに設けるパッドを従来のような数μm程度の金属薄膜とした場合には、当該パッドにおけるハンダ食われ現象が生じやすい。
【0051】
これに対し、本実施形態に係る光変調器100では、上述のように厚さ10〜60μmの金属厚膜を用いてFPC106のパッド210、212、214、216を構成するので、上述したFPCウラ面からオモテ面への効率的な加熱の効果と相まって、上述のようなハンダ食われ現象に起因する当該パッドと回路基板パッドとの間のハンダ接続不良(例えばハンダ浮き)の発生は更に抑制される。
【0053】
〔第1の変形例〕
まず、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第1の変形例について説明する。
【0054】
図2A、2B、2C、
図3に示すFPC106では、辺202に沿う平坦な側面に設けられた金属膜270等により、オモテ面のパッド210等がウラ面のパッド240等と接続され、例えばハンダゴテにより加熱されたパッド240等の熱が、金属膜270等をも介してパッド210等に伝わり、パッド210等と回路基板400のパッド410等との間のハンダ接続が行われる。
【0055】
これに対し、本変形例では、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分の少なくとも一部には、(例えばオモテ面側から見て)平面視が半円状の凹部を有し、当該凹部を含む側面部分に金属膜が形成されている。
【0056】
図7A、7B、7Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC700の構成を示す図である。なお、
図7A、7B、7Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0057】
図7Aは、FPC700の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図7Bは、
図7Aに示す辺202に沿うFPC700の側面図であり、
図7Cは、FPC700の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図8は、
図7Aに示すC部の詳細を示す斜視図である。
【0058】
図7A、7B、7Cに示すFPC700は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド710、712、714、716が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド740、742、744、746が設けられている。
【0059】
また、FPC700のオモテ面のパッド710、712、714、716は、それぞれ対応するFPC700のウラ面のパッド740、742、744、746と、それぞれ2つのスルーホール750a、750b、スルーホール752a、752b、スルーホール754a、754b、及びスルーホール756a、756bにより接続されている。
【0060】
ここで、スルーホール750a、750b、スルーホール752a、752b、スルーホール754a、754b、及びスルーホール756a、756bは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC700のオモテ面のパッド710、712、714、716は、それぞれ対応するFPC700のウラ面のパッド740、742、744、746と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0061】
また、FPC700は、一の辺202に沿う側面のうちパッド710、712、714、716にそれぞれ対応する位置に金属膜770、772、774、776が設けられており、これらの金属膜により、オモテ面のパッド710、712、714、716と、ウラ面のパッド740、742、744、746と、がそれぞれ熱的に接続されている。
図8には、一例として、オモテ面のパッド710とウラ面のパッド740とが、側面に設けられた金属膜770(図示ハッチング部分)を介して接続されていることが示されている。
【0062】
特に、本変形例に係るFPC700では、辺202に沿うFPC700の側面のうち、金属膜770、772、774、776が設けられている部分のそれぞれに(例えばオモテ面から見て)平面視が半円状の4つの凹部780、782、784、786を有している。これにより、本変形例では、パッド710、712、714、716の辺202側端部からはみ出たハンダが、毛管現象により凹部780、782、784、786に入り込み、金属膜770、772、774、776と接合した状態でメニスカス曲面を形成して固化するため、当該はみ出たハンダが回路基板400のパッド410、412、414、416に流れ出すのを効果的に防止することができる。その結果、本変形例では、FPC106に比べて更に、パッド710、712、714、716と回路基板400のパッド410、412、414、414との間の接続部分におけるハンダ形状(固化後の形状)のばらつきを低減して、安定な高周波伝搬特性を得ることができる。
【0063】
〔第2の変形例〕
次に、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第2の変形例について説明する。
【0064】
図7A、7B、7Cに示す第1の変形例に係るFPC700では、辺202に沿う側面に凹部780、782、784、786が設けられ、これらの凹部を含む側面部の領域に設けられた金属膜770、772、774、776により、オモテ面のパッド710、712、714、716と、ウラ面のパッド740、742、744、746が熱的に接続されている。
【0065】
これに対し、本変形例では、オモテ面及びウラ面のパッドを互いに熱的に接続する金属膜が、FPCの側面に設けられた凹部の内面にのみ、且つ当該凹部内面の全面に亘って形成されている。
【0066】
図9A、9B、9Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC900の構成を示す図である。なお、
図9A、9B、9Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0067】
図9Aは、FPC900の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図9Bは、
図9Aに示す辺202に沿うFPC900の側面図であり、
図9Cは、FPC900の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図10は、
図9Aに示すD部の詳細を示す斜視図である。
【0068】
図9A、9B、9Cに示すFPC900は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド910、912、914、916が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド940、942、944、946が設けられている。
【0069】
また、FPC900のオモテ面のパッド910、912、914、916は、それぞれ対応するFPC900のウラ面のパッド940、942、944、946と、それぞれ2つのスルーホール950a、950b、スルーホール952a、952b、スルーホール954a、954b、及びスルーホール956a、956bにより接続されている。
【0070】
ここで、スルーホール950a、950b、スルーホール952a、952b、スルーホール954a、954b、及びスルーホール956a、956bは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC900のオモテ面のパッド910、912、914、916は、それぞれ対応するFPC900のウラ面のパッド940、942、944、946と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される
【0071】
また、FPC900は、一の辺202に沿う側面のうちパッド910、912、914、916にそれぞれ対応する位置に、(例えばオモテ面から見て)平面視が半円状の4つの凹部980、982、984、986を有している。そして、凹部980、982、984、986の内面にのみ、且つ当該内面の全面に亘って、金属膜970、972、974、975(図示ハッチング部分)が設けられており、これらの金属膜により、オモテ面のパッド910、912、914、916と、ウラ面のパッド940、942、944、946と、がそれぞれ熱的に接続されている。
図10には、一例として、オモテ面のパッド910とウラ面のパッド940とが、側面に設けられた金属膜970(図示ハッチング部分)を介して接続されていることが示されている。
【0072】
これにより、本変形例のFPC900では、
図7A、7B、7Cに示す第1の変形例に係るFPC700と同様に、パッドからはみ出たハンダが、毛管現象により凹部980、982、984、986の部分に入り込み、金属膜770、772、774、775と接合した状態でメニスカス曲面を形成して固化するので、ハンダ接続部の形状のばらつきを低減して安定な高周波伝搬特性を得ることができる。また、凹部980、982、984、986は、例えば大判のFPCに設けられたスルーホールの中心を通るように当該大判FPCを切断し、当該切断面を辺202としてFPC900を作製するものとすれば容易に設けることができるため、FPC900は、
図7A、7B、7Cに示す第1の変形例に係るFPC700よりも作製が容易となり得る。
【0073】
〔第3の変形例〕
次に、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第3の変形例について説明する。
【0074】
図9A、9B、9Cに示す第2の変形例に係るFPC900では、辺202に沿う側面に凹部980、982、984、986が設けられ、これら凹部の内面にのみ、且つ当該凹部内面の全面に亘って設けられた金属膜970、972、974、976により、オモテ面のパッド910、912、914、916と、ウラ面のパッド940、942、944、946が熱的に接続されている。
【0075】
これに対し、本変形例では、オモテ面及びウラ面のパッドを互いに熱的に接続する金属膜が、FPCの側面に設けられた凹部の内面の一部にのみ形成されている。
【0076】
図11A、11B、11Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC1100の構成を示す図である。なお、
図11A、11B、11Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0077】
図11Aは、FPC1100の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図11Bは、
図11Aに示す辺202に沿うFPC1100の側面図であり、
図11Cは、FPC1100の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図12は、
図11Aに示すE部の詳細を示す斜視図である。
【0078】
図11A、11B、11Cに示すFPC1100は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド1110、1112、1114、1116が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド1140、1142、1144、1146が設けられている。
【0079】
また、FPC1100のオモテ面のパッド1110、1112、1114、1116は、それぞれ対応するFPC1100のウラ面のパッド1140、1142、1144、1146と、それぞれ2つのスルーホール1150a、1150b、スルーホール1152a、1152b、スルーホール1154a、1154b、及びスルーホール1156a、1156bにより接続されている。
【0080】
ここで、スルーホール1150a、1150b、スルーホール1152a、1152b、スルーホール1154a、1154b、及びスルーホール1156a、1156bは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC1100のオモテ面のパッド1110、1112、1114、1116は、それぞれ対応するFPC1100のウラ面のパッド1140、1142、1144、1146と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0081】
また、FPC1100は、一の辺202に沿う側面のうちパッド1110、1112、1114、1116にそれぞれ対応する位置に、(例えばオモテ面から見て)平面視が半円状の4つの凹部1180、1182、1184、1186を有している。そして、凹部1180、1182、1184、1186の内面の一部に、それぞれ、オモテ面のパッド1110、1112、1114、116に接続された金属膜1170、1172、1174、1176が設けられている。
図12には、一例として、凹部1180内の内面の一部に設けられた、オモテ面のパッド1110に接続された金属膜1170(図示ハッチング部分)が示されている。
【0082】
これにより、FPC1100では、
図9A、9B、9Cに示す第2の変形例に係るFCP900と同様に、パッドからはみ出たハンダが毛管現象により凹部1180、1182、1184、1186の金属膜1170、1172、1174、1176の部分に集まり、これらの金属膜と接合した状態でメニスカス曲面を形成して固化するので、ハンダ接続部の形状のばらつきを低減して安定な高周波伝搬特性を得ることができる。
【0083】
なお、凹部1180、1182、1184、1186の内面の金属膜1170、1172、1174、1176は、例えば、FPC上に設けた金属のパターンを円形の型で打ち抜いてスルーホールを作製する際の、当該スルーホール内部への当該金属のカエリを応用して作製することができる。例えば、大判のFPC上にパッド1110、1112、1114、1116となるべき長い4つの矩形の金属パターンを並べて形成し、それぞれの金属パターンに一つずつ、全体として一列となるように、円形の型による打ち抜きによりスルーホールを形成し(各スルーホールの内面の一部には、上述のように、金属パターンの金属のカエリにより、当該金属パターンと接続した金属膜が形成される)、当該形成した各スルーホールの中心を通る線に沿って当該大判のFPCを切断して辺202とすればよい。
【0084】
なお、スルーホール1150a、1150b、1150c、1152a、1152b、1152c、1154a、1154b、1154c、1156a、1156b、1156cについても、その内面の全面に金属膜を設けるのではなく、上記と同様に、円形の型を用いた打ち抜きにより、その内面の一部に、対応するパッド1110、1112、1114、1116と接続する金属膜を設けるものとすることができる。この場合でも、FPC1100のウラ面のパッド1140、1142、1144、1146からオモテ面のパッド1110、1112、1114、1116への熱伝導性が高くなるので、ウラ面に押圧されたハンダゴテ等によりオモテ面のパッド1110、1112、1114、1116と回路基板400のパッド410、412、414、416との間の接続部のハンダ形状及び接続品質のばらつきを低減することができる。
【0085】
また、本変形例では、凹部1180、1182、1184、1186の内面の一部に、それぞれ、オモテ面のパッド1110、1112、1114、116に接続された金属膜1170、1172、1174、1176が設けられるものとしたが、これに限らず、さらに、凹部1180、1182、1184、1186の内面のうち金属膜1170、1172、1174、1176が設けられていない領域の一部に、それぞれウラ面のパッド1140、1142、1144、1146に接続された金属膜を設けるものとしてもよい。この場合には、凹部1180、1182、1184、1186の内面に設けられたそれらの金属膜により、より効果的に、パッド1110等からはみ出たハンダを毛管現象により凹部1180等に集めて固化させ、ハンダ接続部の形状のばらつきを低減して安定な高周波伝搬特性を得ることができる。
【0086】
〔第4の変形例〕
次に、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第4の変形例について説明する。
【0087】
図2A、2B、2C、
図3に示すFPC106では、辺202に沿う平坦な側面に設けられた金属膜270等により、オモテ面のパッド210等がウラ面のパッド240等と接続され、例えばハンダゴテにより加熱されたパッド240等の熱が、金属膜270等をも介してパッド210等に伝わり、パッド210等と回路基板400のパッド410等との間のハンダ接続が行われる。
【0088】
これに対し、本変形例では、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分に、対応するパッドと同じ幅の、(例えばオモテ面から見て)平面視が矩形状の凹部を有しており、当該凹部の底面の全域に上記金属膜が形成されている。
【0089】
図13A、13B、13Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC1300の構成を示す図である。なお、
図13A、13B、13Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0090】
図13Aは、FPC1300の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図13Bは、
図13Aに示す辺202に沿うFPC1300の側面図であり、
図13Cは、FPC1300の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図14は、
図13Aに示すF部の詳細を示す斜視図である。
【0091】
図13A、13B、13Cに示すFPC1300は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド1310、1312、1314、1316が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド1340、1342、1344、1346が設けられている。
【0092】
また、FPC1300のオモテ面のパッド1310、1312、1314、1316は、それぞれ対応するFPC1300のウラ面のパッド1340、1342、1344、1346と、それぞれ3つのスルーホール1350a、1350b、1350c、スルーホール1352a、1352b、1352c、スルーホール1354a、1354b、1354c、及びスルーホール1356a、1356b、1356cにより接続されている。
【0093】
ここで、スルーホール1350a、1350b、1350c、スルーホール1352a、1352b、1352c、スルーホール1354a、1354b、1354c、及びスルーホール1356a、1356b、1356cは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC1300のオモテ面のパッド1310、1312、1314、1316は、それぞれ対応するFPC1300のウラ面のパッド1340、1342、1344、1346と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0094】
また、FPC1300は、一の辺202に沿う側面(又は端面)のうちパッド1310、1312、1314、1316にそれぞれ対応する位置に、金属膜1370、1372、1374、1376が設けられており、これらの金属膜により、オモテ面のパッド1310、1312、1314、1316と、ウラ面のパッド1340、1342、1344、1346と、がそれぞれ熱的に接続されている。
【0095】
特に、本変形例に係るFPC1300では、辺202に沿うFPC1300の側面のうち、金属膜1370、1372、1374、1376が設けられている部分のそれぞれに、対応するパッド1310、1312、1314、1316と同じ幅の、(例えばオモテ面から見て)平面視が矩形状の4つの凹部1380、1382、1384、1386を有している。すなわち、凹部1380、1382、1384、1386の底面(すなわち、辺202に平行な面)の全域に、金属膜1370、1372、1374、1376が設けられている。
図14には、一例として、凹部1380の底面に設けられた、オモテ面のパッド1310とウラ面のパッド1340とを接続する金属膜1370(図示ハッチング部分)が示されている。
【0096】
これにより、本変形例では、回路基板400のパッド410、412、414、416の幅がFPC1300のパッド1310、1312、1314、1316の幅より広い場合でも、パッド1310、1312、1314、1316の辺202側の端部からはみ出たハンダは、その大部分が凹部1380、1382、1384、1386の内部に留まって、金属膜1370、1372、1374、1376に接してなだらかなメニスカス曲面を形成するので、回路基板400のパッド410等とFPC1300のパッド1310等との間の接続部におけるハンダ形状及び高周波伝搬特性のばらつきが抑制される。
【0097】
〔第5の変形例〕
次に、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第5の変形例について説明する。
【0098】
図13A、13B、13Cに示す第4の変形例に係るFPC1300では、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分が、対応するパッドと同じ幅の矩形状の凹部を有し、当該凹部の底面の全域に金属膜が形成されている。
【0099】
これに対し、本変形例では、第4の変形例に係るFPC1300と同様に、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分に平面視が矩形状の凹部が形成されているが、当該凹部は対応するパッドの幅よりも広い幅を有し、当該凹部の底面の一部に上記金属膜が形成されている。
【0100】
図15A、15B、15Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC1500の構成を示す図である。なお、
図15A、15B、15Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0101】
図15Aは、FPC1500の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図15Bは、
図15Aに示す辺202に沿うFPC1500の側面図であり、
図15Cは、FPC1500の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図16は、
図15Aに示すF部の詳細を示す斜視図である。
【0102】
図15A、15B、15Cに示すFPC1500は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド1510、1512、1514、1516が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド1540、1542、1544、1546が設けられている。
【0103】
また、FPC1500のオモテ面のパッド1510、1512、1514、1516は、それぞれ対応するFPC1500のウラ面のパッド1540、1542、1544、1546と、それぞれ3つのスルーホール1550a、1550b、1550c、スルーホール1552a、1552b、1552c、スルーホール1554a、1554b、1554c、及びスルーホール1556a、1556b、1556cにより接続されている。
【0104】
ここで、スルーホール1550a、1550b、1550c、スルーホール1552a、1552b、1552c、スルーホール1554a、1554b、1554c、及びスルーホール1556a、1556b、1556cは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC1500のオモテ面のパッド1510、1512、1514、1516は、それぞれ対応するFPC1500のウラ面のパッド1540、1542、1544、1546と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0105】
また、FPC1500は、一の辺202に沿う側面のうちパッド1510、1512、1514、1516にそれぞれ対応する位置に金属膜1570、1572、1574、1576が設けられており、これらの金属膜により、オモテ面のパッド1510、1512、1514、1516と、ウラ面のパッド1540、1542、1544、1546と、がそれぞれ熱的に接続されている。
【0106】
特に、本変形例に係るFPC1500では、辺202に沿うFPC1500の側面のうち、金属膜1570、1572、1574、1576が設けられている部分のそれぞれに、対応するパッド1510、1512、1514、1516より広い幅を持つ、(例えばオモテ面から見て)平面視が矩形状の4つの凹部1580、1582、1584、1586を有している。
図16には、一例として、凹部1580の底面の一部に設けられた、オモテ面のパッド1510とウラ面のパッド1540とを接続する金属膜1570(図示ハッチング部分)が示されている。
【0107】
本構成により、本変形例では、凹部1580等の幅がパッド1510等の幅よりも広く形成されているため、回路基板400上に形成された対応するパッド410等を上部より目視確認し易いので、回路基板400上のパッド410等の幅が非常に小さい場合でも、パッド410等とパッド1510等との間の位置ずれ等の組み立てばらつきを小さくすることができる。また、パッド部の接続強度や熱伝導を大きくとるためにハンダ量を多くした場合でも、凹部1580等の幅が広く形成されているため、凹部1580等の側面において余分なハンダをより多く固化させることができるので、余分なハンダの許容量を大きくすることができる。結果として、ハンダ接続部の仕上がり品質及び接続形状が安定し、高周波特性のバラツキをより安定化させることができる、などの効果を得ることができる。
【0108】
〔第6の変形例〕
次に、
図1に示す光変調器100に用いられるFPC106の第6の変形例について説明する。
【0109】
図13A、13B、13Cに示す第4の変形例に係るFPC1300では、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分が、対応するパッドと同じ幅の矩形状の凹部を有し、当該凹部の底面の全域に金属膜が形成されている。
【0110】
これに対し、本変形例では、第4の変形例に係るFPC1300と同様に、オモテ面及びウラ面のパッドを接続する金属膜が設けられるFPCの側面部分に平面視が矩形状の凹部が形成されているが、当該凹部は対応するパッドの幅よりも狭い幅を有し、当該凹部の内面の全域に上記金属膜が形成されている。
【0111】
図17A、17B、17Cは、本変形例に係る、FPC106に代えて用いることのできるFPC1700の構成を示す図である。なお、
図17A、17B、17Cにおいて、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同じ構成要素については、
図2A、2B、2Cにおける符号と同じ符号を用いるものとし、上述した
図2A、2B、2Cについての説明を援用する。
【0112】
図17Aは、FPC1700の一の面(オモテ面と称する)の構成を示す図であり、
図17Bは、
図17Aに示す辺202に沿うFPC1700の側面図であり、
図17Cは、FPC1700の他の面(ウラ面と称する)の構成を示す図である。また、
図18は、
図17Aに示すF部の詳細を示す斜視図である。
【0113】
図17A、17B、17Cに示すFPC1700は、
図2A、2B、2Cに示すFPC106と同様の構成を有するが、そのオモテ面には、パッド210、212、214、216に代えて、パッド1710、1712、1714、1716が設けられている。また、そのウラ面には、パッド240、242、244、246に代えて、パッド1740、1742、1744、1746が設けられている。
【0114】
また、FPC1700のオモテ面のパッド1710、1712、1714、1716は、それぞれ対応するFPC1700のウラ面のパッド1740、1742、1744、1746と、それぞれ3つのスルーホール1750a、1750b、1750c、スルーホール1752a、1752b、1752c、スルーホール1754a、1754b、1754c、及びスルーホール1756a、1756b、1756cにより接続されている。
【0115】
ここで、スルーホール1750a、1750b、1750c、スルーホール1752a、1752b、1752c、スルーホール1754a、1754b、1754c、及びスルーホール1756a、1756b、1756cは、それぞれ、その内面がメタライズされ、及び又はその内部がハンダ等の導電材料により満たれており、したがって、FPC1700のオモテ面のパッド1710、1712、1714、1716は、それぞれ対応するFPC1700のウラ面のパッド1740、1742、1744、1746と、これらのスルーホールを介して熱的に接続される。
【0116】
また、FPC1700は、一の辺202に沿う側面のうちパッド1710、1712、1714、1716にそれぞれ対応する位置に金属膜1770、1772、1774、1776が設けられており、これらの金属膜により、オモテ面のパッド1710、1712、1714、1716と、ウラ面のパッド1740、1742、1744、1746と、がそれぞれ熱的に接続されている。
【0117】
特に、本変形例に係るFPC1700では、辺202に沿うFPC1700の側面のうち、金属膜1770、1772、1774、1776が設けられている部分のそれぞれに、対応するパッド1710、1712、1714、1716より狭い幅を持つ、(例えばオモテ面から見て)平面視が矩形状の4つの凹部1780、1782、1784、1786を有している。これにより、本変形例では、
図7A、7B、7Cに示す第1の変形例に係るFPC700と同様に、パッド1710、1712、1714、1716の辺202側端部からはみ出たハンダが毛管現象により凹部1780、1782、1784、1786に入り込むため、当該はみ出たハンダが回路基板400のパッド410、412、414、416に流れ出すのを効果的に防止することができる。その結果、本変形例では、FPC106に比べて更に、パッド1710、1712、1714、1716と回路基板400のパッド410、412、414、414との間の接続部分におけるハンダ形状(固化後の形状)のばらつきを低減して、安定な高周波伝搬特性を得ることができる。
【0118】
なお、本変形例では、凹部1780、1782、1784、1786のそれぞれの、3つの内側面の全域に、それぞれ金属膜1770、1772、1774、1776が設けられる構成としたが、これに限らず、当該3つの内側面の少なくとも一つの少なくとも一部に、オモテ面のパッド1710等とウラ面のパッド1740等とを接続する金属膜1770等を設けるものとしてもよい。
【0119】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態に示した光変調器100(
図7A、7B、7C、
図8、
図9A、9B、9C、
図10、
図11A、11B、11C,
図12、
図13A、13B、13C,
図14、
図15A、15B、15C,
図16、
図17A、17B、17C、
図18に示す任意の変形例に係るFPCを備えた光変調器を含む)を搭載した光送信装置である。
【0120】
図19は、本実施形態に係る光送信装置の構成を示す図である。本光送信装置1900は、光変調器1902と、光変調器1902に光を入射する光源1904と、変調信号生成部1906と、変調データ生成部1908と、を有する。
【0121】
光変調器1902は、
図1に示す光変調器100である(FPC106に代えて、
図7A、7B、7C、
図8、
図9A、9B、9C、
図10、
図11A、11B、11C,
図12、
図13A、13B、13C,
図14、
図15A、15B、15C,
図16、
図17A、17B、17C、
図18に示すFPC700、900、1100、1300、又は1700のいずれかを備えていてもよい)。変調データ生成部1908は、外部から与えられる送信データを受信して、当該送信データを送信するための変調データ(例えば、送信データを所定のデータフォーマットに変換又は加工したデータ)を生成し、当該生成した変調データを変調信号生成部1906へ出力する。
【0122】
変調信号生成部1906は、光変調器1902に変調動作を行わせるための電気信号を出力する電子回路であり、変調データ生成部1908が出力した変調データに基づき、光変調器1902に当該変調データに従った光変調動作を行わせるための高周波信号である変調信号を生成して、光変調器100に入力する。当該変調信号は、光変調器100が備える光変調素子102の4つのRF電極(不図示)に対応する4つのRF信号から成る。
【0123】
当該4つのRF信号は、光変調器100のFPC106(上述したとおり、FPC106についての上述した変形例のいずれかであってもよい)のパッド210、212、214、216にそれぞれ入力され、配線パターン230、232、234、236、信号用スルーホール220、222、224、226、及び信号用リードピン120、122、124、126を介して上記RF電極にそれぞれ印加される。
【0124】
これにより、光源1904から出力された光は、光変調器100により変調され、変調光となって光送信装置1900から出力される。
【0125】
特に、本光送信装置1900では、上述した構成を有する光変調器100を用いるので、光変調器100を光送信装置1900に組み込む際に、光変調器100のFPC106上に形成されるパッド210等と光送信装置1900の回路基板(不図示)上の対応するパッドとの間の接続部の、ハンダ接続形状及び高周波伝搬特性ばらつきを効果的に抑制して、良好な光伝送品質を確保することができる。
【0126】
なお、上述した各実施形態では、LNを基板として用いた4つのRF電極を有する光変調素子を備える光変調器を示したが、本発明は、これに限らず、4つ以外の数のRF電極を持つ光変調器、及び又はLN以外の材料を基板として用いる光変調器にも、同様に適用することができる。また、
図2A、2B、2Cに示すFPC106の構成、及び
図7A、7B、7C、
図8、
図9A、9B、9C、
図10、
図11A、11B、11C,
図12、
図13A、13B、13C,
図14、
図15A、15B、15C,
図16、
図17A、17B、17C、
図18に示した当該FPC106の変形例の構成は、それぞれ個別のFPCとして単独に用いることができるだけでなく、それらの構成を適宜組み合わせて一つのFPCを構成して用いるものとすることもできる。