特開2018-185595(P2018-185595A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-185595(P2018-185595A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】定電圧電源回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20181026BHJP
【FI】
   G05F1/56 310L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-85769(P2017-85769)
(22)【出願日】2017年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】永井 俊幸
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF04
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
5H430JJ01
5H430LB05
(57)【要約】
【課題】ロードレギュレーションの改善を図った定電圧電源回路を提供する。
【解決手段】反転入力端子61と非反転入力端子62を備えた誤差増幅器6と、該誤差増幅器6の反転入力端子61に接続された基準電圧源5と、ソースが電源端子1に接続されドレインが回路出力端子3に接続されゲートが誤差増幅器6の出力端子63に接続された出力用のトランジスタMP1と、回路出力端子3と電源端子2の間に接続され回路出力端子3の電圧を検出して誤差増幅器6の非反転入力端子62に入力する出力電圧検出回路7とを備えた定電圧電源回路において、誤差増幅器6の出力端子63とトランジスタMP1のゲートとの間に、正帰還回路8を接続した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転入力端子と非反転入力端子を備えた誤差増幅器と、該誤差増幅器の前記反転入力端子に接続された基準電圧源と、ソースが第1電源端子に接続されドレインが回路出力端子に接続されゲートが前記誤差増幅器の出力端子に接続された出力用の第1導電型の第1トランジスタと、前記回路出力端子と第2電源端子の間に接続され前記回路出力端子の電圧を検出して前記誤差増幅器の非反転入力端子に入力する出力電圧検出回路とを備えた定電圧電源回路において、
前記誤差増幅器の出力端子と前記第1導電型の第1トランジスタのゲートとの間に、正帰還回路を接続したことを特徴とする定電圧電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の定電圧電源回路において、
前記正帰還回路は、前記誤差増幅器の出力端子にゲートが接続されソースが前記第1電源端子に接続された第1導電型の第2トランジスタと、該第1導電型の第2トランジスタのドレインにドレインとゲートに接続されソースが前記第2電源に接続された第2導電型の第1トランジスタと、ドレインが前記誤差増幅器の出力端子に接続されソースが前記第2電源端子に接続されゲートが前記第2導電型のトランジスタのゲートに接続された第2導電型の第2トランジスタと、からなることを特徴とする定電圧電源回路。
【請求項3】
請求項2に記載の定電圧電源回路において、
前記第1導電型の第2トランジスタのドレインと前記第2導電型の第1トランジスタのドレインとの間に、第1抵抗を挿入接続したことを特徴とする定電圧電源回路。
【請求項4】
請求項2に記載の定電圧電源回路において、
前記第1導電型の第2トランジスタのドレインと前記第2導電型の第1トランジスタのドレインとの間に、ドレインが前記第1導電型の第2トランジスタのドレインに接続されソースとゲートが前記第2導電型の第1トランジスタのドレインに接続される第2導電型のデプレッショントランジスタを挿入接続したことを特徴とする定電圧電源回路。
【請求項5】
請求項2、3、又は4に記載の定電圧電源回路において、
前記第2導電型の第2トランジスタのソースと前記第2電源端子との間に第2抵抗を挿入接続したことを特徴とする定電圧電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力電流の全領域に亘ってロードレギュレーション特性の優れた定電圧電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に従来の定電圧電源回路10Eを示す(例えば、特許文献1)。1は電圧がVDDの高電位電源端子、2は電圧がVSS(<VDD)の低電位電源端子、3は出力電圧がVREGの回路出力端子、4は電流がISの電流源、5は電圧がVRの基準電圧源である。MN4,MN5,MN6は差動回路を構成するNMOSトランジスタ、MP3,MP4はその差動回路の能動負荷を構成するカレントミラー接続のPMOSトランジスタである。これらトランジスタMN4〜MN6,MP3,MP4により誤差増幅器6が構成され、その誤差増幅器6の反転入力端子61が基準電圧源5に接続されている。MN7はトランジスタMN6とカレントミラー接続されたNMOSトランジスタであり、電流源4の電流ISをトランジスタMN6にバイアス電流として供給する。MP1は誤差増幅器6の出力端子63にゲートが接続される出力用のPMOSトランジスタであり、そのドレインが回路出力端子3に接続されている。抵抗R3,R4は出力電圧VREGを検出する出力電圧検出回路7を構成し、回路出力端子3と電源端子2との間に接続され、その抵抗R3,R4の共通接続点が誤差増幅器6の非反転入力端子62に接続されている。
【0003】
さて、この定電圧電源回路10Eで得られる出力電圧VREGは、
となる。ここで、回路出力端子3から出力電流が引かれる場合を考える。
【0004】
出力電流が全くない無負荷の場合には、トランジスタMP1は抵抗R3,R4に流れる電流のみを供給する。通常では、極力低消費電流化が求められるため、抵抗R3、R4には数MΩの高い抵抗値のものが用いられる。このとき、負荷を駆動するトランジスタMP1は、サブスレショールド領域で動作するよう誤差増幅器により制御される。出力電流が徐々に増加すると、トランジスタMP1は飽和領域での動作へ移り、さらに出力電流が増大すると非飽和領域での動作に移り、出力電圧VREGは出力電流の増加に応じて直線的に下降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−079653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この出力電流の特性を図6に示した。実線で表された特性Bが図5の定電圧電源回路10Eの出力電流に対する出力電圧の変化を示す特性である。この出力電圧特性は、定電圧電源回路の性能指標の1つとして用いられ、この特性の良し悪しが回路選択の重要な要素となる。
【0007】
図6の特性では、先述したように、出力電流が少ない領域では、トランジスタMP1がサブスレショールド領域で動作するため、電圧が大きく変動する。出力電流がより増大すると、飽和領域での動作となり出力電流に対して2乗の特性へと移り、最終的には非飽和領域での動作となり、直線的に電圧が下降する軌跡を辿る。
【0008】
この出力電圧特性は、ロードレギュレーション特性として表すことができ、このロードレギュレーション特性は出力電流の任意の2点I1,I2の間での出力電圧VREGの下降傾斜の度合で表され、一般に以下の式(2)で定義される。
VR1は出力電流がI1のときの出力電圧、VR2は出力電流がI2の出力電圧である。図6では図5の定電圧電源回路10Eのロードレギュレーション特性をLRbで示した。
【0009】
図6からも分かるように、出力電流の全領域に渡ってロードレギュレーション特性を改善するためには、出力電流が少ない領域での特性改善が求められる。ロードレギュレーションは、式(2)のLRの値が小さい方が“良し”‘とされる。
【0010】
本発明の目的は、このようなロードレギュレーションの改善を図った定電圧電源回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、反転入力端子と非反転入力端子を備えた誤差増幅器と、該誤差増幅器の前記反転入力端子に接続された基準電圧源と、ソースが第1電源端子に接続されドレインが回路出力端子に接続されゲートが前記誤差増幅器の出力端子に接続された出力用の第1導電型の第1トランジスタと、前記回路出力端子と第2電源端子の間に接続され前記回路出力端子の電圧を検出して前記誤差増幅器の非反転入力端子に入力する出力電圧検出回路とを備えた定電圧電源回路において、前記誤差増幅器の出力端子と前記第1導電型の第1トランジスタのゲートとの間に、正帰還回路を接続したことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の定電圧電源回路において、前記正帰還回路は、前記誤差増幅器の出力端子にゲートが接続されソースが前記第1電源端子に接続された第1導電型の第2トランジスタと、該第1導電型の第2トランジスタのドレインにドレインとゲートに接続されソースが前記第2電源に接続された第2導電型の第1トランジスタと、ドレインが前記誤差増幅器の出力端子に接続されソースが前記第2電源端子に接続されゲートが前記第2導電型のトランジスタのゲートに接続された第2導電型の第2トランジスタとからなることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の定電圧電源回路において、前記第1導電型の第2トランジスタのドレインと前記第2導電型の第1トランジスタのドレインとの間に、第1抵抗を挿入接続したことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の定電圧電源回路において、前記第1導電型の第2トランジスタのドレインと前記第2導電型の第1トランジスタのドレインとの間に、ドレインが前記第1導電型の第2トランジスタのドレインに接続されソースとゲートが前記第2導電型の第1トランジスタのドレインに接続される第2導電型のデプレッショントランジスタを挿入接続したことを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項2、3、又は4に記載の定電圧電源回路において、前記第2導電型の第2トランジスタのソースと前記第2電源端子との間に第2抵抗を挿入接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、誤差増幅器の出力端子と出力トランジスタとしての第1導電型の第1トランジスタのゲートとの間に正帰還回路を挿入接続したことによって、ロードレギュレーション特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施例の定電圧電源回路の回路図である。
図2】本発明の第2の実施例の定電圧電源回路の回路図である。
図3】本発明の第3の実施例の定電圧電源回路の回路図である。
図4】本発明の第4の実施例の定電圧電源回路の回路図である。
図5】従来の定電圧電源回路の回路図である。
図6】ロードレギュレーション特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例の定電圧電源回路10Aを示す。図1において、図5で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明を省略する。8は正帰還回路であり、PMOSトランジスタMP2とNMOSトランジスタMN1,MN2とで構成されている。トランジスタMP2は、ソースが電源端子1に接続されゲートが誤差増幅器6の出力端子63に接続されている。トランジスタMN1は、ゲートとドレインがトランジスタMP2のドレインに接続され、ソースが電源端子2に接続されている。トランジスタMN2は、ドレインが誤差増幅器6の出力端子63に接続されゲートがトランジスタMN1のゲートに接続されソースが電源端子2に接続されている。これらトランジスタMN1,MN2はカレントミラーを構成し、トランジスタMP2のドレイン電流をトランジスタMN2のドレインにミラーする。
【0015】
トランジスタMP2はトランジスタMP1とゲート長が等しく、ゲート幅の比はMP2:MP1=1:nに設定されている(n>1)。これにより、トランジスタMP2のドレイン電流は、トランジスタMP1のドレイン電流の1/nとなる。
【0016】
トランジスタMN1,MN2は、そのゲート幅比がMN1:MN2=m:1に設定されている(m>1)。このため、トランジスタMN2のドレインを、誤差増幅器6の出力端子63に接続したときは、トランジスタMN2は誤差増幅器6の出力端子63からトランジスタMP1の出力電流量の1/(m×n)の電流を引き込み、誤差増幅器6の出力特性を大きく遷移させることができる。
【0017】
このように、本実施例の定電圧電源回路10Aでは、誤差増幅器6が本来持つ利得に加えて正帰還回路8の利得が加えられるので、トランジスタMP1のゲート電圧を変化させることができ、出力電流の全領域においてのロードレギュレーション特性を改善できる。
【0018】
以上の結果、図6に示す特性Aのように、図5の定電圧電源回路の特性Bと比較して電圧降下を大幅に緩やかな特性に改善できる特徴がある。図6では、出力電流がI2になる点での出力電圧の値が、VR2からVR2’へと変化しており、そのロードレギュレーション特性LRaの値が大きく改善されているのが分かる。
【0019】
<第2実施例>
図2に第2実施例の定電圧電源回路10Bを示す。図1で説明した第1実施例の定電圧電源回路10Aでは、誤差増幅器6の出力端子63の電圧から作り出した電流により誤差増幅器6の出力端子63に正帰還を掛ける構成となっているため、帰還量によっては発振のリスクを伴うことも考えられる。
【0020】
そこで、図2に示す第2実施例の定電圧電源回路10Bでは、正帰還回路8のトランジスタMP2のドレインとトランジスタMN1のドレインの間に抵抗R1を挿入している。これによって、トランジスタMP2のドレイン電流が大きく増加した場合(トランジスタMP1の出力電流も同様に増加)には、誤差増幅器6の出力端子63への帰還量を減らし、発振のリスクを低減させることができる。
【0021】
<第3実施例>
図3に第3実施例の定電圧電源回路10Cを示す。図2で説明したように、正帰還回路8に抵抗R1を挿入接続した第2実施例の定電圧電源回路10Bでも発振のリスクが低減できない場合には、図3に示すように、抵抗R1に代えて、デプレッション型のNMOSトランジスタMN3をゲート・ソースを接続した構成で挿入接続する。
【0022】
このようにすると、トランジスタMP2に流れるドレイン電流が増加することで、トランジスタMN3のドレイン電圧が上昇するため、トランジスタMN3のソース・バックゲート間の電位差が拡大する。この結果、トランジスタMN3のバックゲート効果により、そのスレショルド電圧が高くなり、ドレイン・ソース間の抵抗がより高抵抗化する。これにより、トランジスタMP1が大きな出力電流を流す際には、誤差増幅器6への帰還量をさらに減らすことができる。
【0023】
以上から、図2で説明した定電圧電源回路10Bに比べ、さらに発振のリスクを低減できる。なお、NMOSトランジスタMN3のスレッショルド電圧Vthは、バックゲート効果の式として以下の式(3)のように表される。
ここで、Vth0はゼロバイアス時のスレショルド電圧、γは基板効果係数、VSBはソース・バックゲート間電圧、φFはP型基板のフェルミ準位である。
【0024】
<第4実施例>
図4に第4実施例の定電圧電源回路10Dを示す。本実施例では、図1で説明した定電圧電源回路10Aにおける正帰還回路8の出力側のトランジスタMN2のソース・バックゲート端子と電源端子2との間に抵抗R2を挿入し、電流制限を行うようにしたものである。この場合も、図2及び図3で説明した定電圧電源回路10B,10Cと同様に、トランジスタMP1が大きな出力電流を流す際には、誤差増幅器6への帰還量を減らすことができる。
【0025】
<その他の実施例>
なお、以上の実施例では、電源電圧がVDD>VSSの条件の場合で説明したが、電源電圧の高低関係が逆になる場合は、PMOSトランジスタをNMOSトランジスタに置き換え、NMOSトランジスタをPMOSトランジスタに置き換えればよい。また、請求項ではPMOSトランジスタとNMOSトランジスタの一方を第1導電型、他方を第2導電型として記載している。
【符号の説明】
【0026】
10A〜10E:定電圧電源回路
1:高電圧電源端子、2:低電圧電源端子、3:回路出力端子、4:電流源、5:基準電圧源、6:誤差増幅器、61:反転入力端子、62:非反転入力端子、63:出力端子、7:出力電圧検出回路、8:正帰還回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6