【解決手段】カメラ100は、第1の実施の形態における自動撮影モードでは、ターゲット追尾処理と焦点検出処理を実行する。カメラ100は、ターゲット追尾処理により被写体Xを追尾する。カメラ100は、物体Yまでの距離L
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置のブロック構成図である。
図1に例示された撮像装置はデジタルカメラ100(以降、カメラ100と略記する)である。カメラ100は、撮影モードと再生モードと自動撮影モードとを有する。
【0009】
カメラ100の撮影レンズ11を透過した被写体光束は、撮像素子12で撮像され、その撮像信号は画像処理部13に入力される。画像処理部13を構成する画像処理回路13aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成する。画像データは、表示回路13bによる処理を経て液晶モニタ14に画像として表示される。液晶モニタ14は、例えばカメラの背面に設けられる。
【0010】
カメラ100が撮影モードに設定されているときは、上記撮像(表示のための撮影)が繰り返され、その都度得られる画像データに基づく画像が液晶モニタ14に逐次更新表示される。この逐次更新表示は、ライブビュー表示またはスルー画表示と呼ばれる。撮影者は、ライブビュー表示により表示される画像を見ながら構図を決定する。
【0011】
ライブビュー表示が行われているときに撮影者が操作部17を用いてレリーズ操作を行うと、改めて撮像(記録のための撮影)が行われる。その撮像によって生成された画像データは、コンピュータで扱うことが可能な画像ファイルとして、記録/再生回路13cによりメモリカード等の記録媒体15へ記録される。なお、カメラ100は、静止画像撮影、連写撮影、動画像撮影を行うことができる。
【0012】
カメラ100が再生モードに設定されているときは、記録媒体15に記録された画像データ(静止画像、動画像)が記録/再生回路13cにより読み出される。そして、その画像データは、画像処理回路13aおよび表示回路13bを経て、液晶モニタ14に画像として表示される。
【0013】
CPU16は、操作部17からの入力に応答して、画像処理部13やAF駆動回路18、その他の不図示の回路を制御し、上述したライブビュー表示、撮影(撮像)、再生等の種々の動作を行う。また、CPU16は、位相差検出方式による焦点検出処理を実行して、AF駆動回路18へ光学系の駆動に関する指示を行う。AF駆動回路18は、CPU16からの指示に応じてAFモータ19を駆動し、撮影レンズ11の焦点調節を行う。さらに、CPU16は、撮影者が指定した被写体を追尾するターゲット追尾処理を実行する。
【0014】
操作部17は、レリーズボタン、録画ボタン、電源ボタン、液晶モニタ14上に配置されたタッチパネル、その他の複数の操作部材を含む。
【0015】
カメラ100の自動撮影モードについて説明する。カメラ100が自動撮影モードに設定されているとき、撮影者は、ライブビュー画面(撮影画面)の中から被写体を指定する。この被写体がターゲット追尾処理による追尾対象となる。さらに撮影者は、実空間上の位置を指定するため、ライブビュー画面の中からその位置にある物体を指定する。カメラ100は、その物体を用いて指定された実空間上の位置に被写体が達したとき、CPU16の制御により自動的に記録のための撮影動作を開始する。
【0016】
図2(a)および(b)を用いてカメラ100の自動撮影モードについて説明する。
図2(a)および(b)には、カメラ100と被写体Xと物体Yが図示されている。
図2(a)および(b)の例では、被写体Xは陸上選手であり、物体Yはハードルである。被写体Xは物体Yに向けて走っている。カメラ100は、物体Yを挟んで被写体Xの反対側に設置されており、被写体Xを撮影するため撮影レンズ11(
図2では不図示)が被写体Xに向けられている。
【0017】
カメラ100の液晶モニタ14(
図2では不図示)には、ライブビュー画面が表示されており、そのライブビュー画面には被写体Xと物体Yとが含まれている。撮影者は、そのライブビュー画面の中から被写体Xと物体Yを選択している。
【0018】
被写体Xの位置と物体Yの位置Pは、焦点検出処理により繰り返し測距される。また、被写体Xは、ターゲット追尾処理により追尾される。カメラ100は、
図2(b)のように被写体Xが物体Yの位置Pに到達したときに静止画撮影の撮影動作を開始する。
【0019】
カメラ100が物体Yを繰り返し測距しているため、撮影者がカメラ100を光軸方向に動かす場合や物体Yがカメラ100の画角内で移動した場合などでも、カメラ100は適切なタイミングで撮影動作を開始することができる。
【0020】
図3は、自動撮影モードにおけるカメラ100の動作に関するフローチャートである。
図3に示される処理は、CPU16によって実行される。ステップS1000では、CPU16は、カメラ100から物体Yまでの距離L
Y(
図2)を測距する。測距した距離L
Yは、RAMなどに一時的に記録される。
【0021】
ステップS1001では、CPU16は、被写体Xまでの距離L
Xを測距する。ステップS1002では、CPU16は、ターゲット追尾処理により被写体Xを追尾する。ステップS1003では、CPU16は、被写体Xが物体Yの位置Pに到達したか否かを判定する。すなわち、被写体Xまでの距離L
Xと物体Yまでの距離L
Yとが一致したか否かを判定する。CPU16は、ステップS1003が肯定判定された場合はステップS1004に処理を進め、ステップS1003が否定判定された場合はステップS1000に処理を進める。ステップS1004では、CPU16は、静止画撮影の撮影動作を開始する。
【0022】
(第2の実施の形態)
本発明による第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、自動撮影モードにおけるカメラ100の動作内容が異なっている。なお、自動撮影モードの動作内容以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0023】
図4を用いて第2の実施の形態における自動撮影モードの動作内容について説明する。
図4には、
図2と同様にカメラ100と被写体Xとが図示されており、
図2の物体Yの代わりに物体Y1およびY2が図示されている。
図4の例では、物体Y1およびY2は、
図2の物体Yと同様にハードルである。物体Y2の位置P2は、物体Y1の位置P1より被写体Xから遠く離れている。
【0024】
カメラ100の液晶モニタ14(
図4では不図示)には、ライブビュー画面が表示されており、そのライブビュー画面には被写体Xと物体Y1と物体Y2が含まれる。撮影者は、そのライブビュー画面から被写体Xと物体Y1と物体Y2を選択している。
【0025】
被写体Xの位置と物体Y1の位置P1と物体Y2の位置P2は、焦点検出処理により繰り返し測距される。カメラ100は、被写体Xが物体Y1の位置P1に到達したとき連写撮影または動画撮影を開始し、被写体Xが物体Y2の位置P2に到達したとき連写撮影または動画撮影を終了する。
【0026】
図5は、第2の実施の形態における自動撮影モードの動作内容に関するフローチャートである。
図5に示される処理は、CPU16によって実行される。なお、
図3と同様の処理には、
図3と同一の符号を付して、その処理の説明を省略する。
【0027】
ステップS2000では、CPU16は、カメラ100から物体Y1およびY2までの距離L
Y1(
図4)および距離L
Y2(
図4)を測距する。測距した距離L
Y1および距離L
Y2は、RAMなどに一時的に記録される。
【0028】
ステップS2003では、CPU16は、被写体Xが物体Y1の位置P1に到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS2003が肯定判定された場合はステップS2004に処理を進め、ステップS2003が否定判定された場合はステップS2005に処理を進める。ステップS2004では、CPU16は、静止画像の連写撮影または動画撮影の撮影動作を開始する。
【0029】
ステップS2005では、CPU16は、被写体Xが物体Y2の位置P2に到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS2005が肯定判定された場合はステップS2006に処理を進め、ステップS2005が否定判定された場合はステップS2000に処理を進める。ステップS2006では、CPU16は、ステップS2004で開始した静止画像の連写撮影または動画撮影の撮影動作を終了する。
【0030】
(第3の実施の形態)
本発明による第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、自動撮影モードにおけるカメラ100の動作内容が異なっている。なお、自動撮影モードの動作内容以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0031】
図6を用いて第3の実施の形態における自動撮影モードの動作内容について説明する。
図6には、
図2と同様にカメラ100と被写体Xと物体Yが図示されている。第3の実施の形態では、物体Yを測距する際に静止画の連写撮影または動画像の撮影を行う自動撮影範囲Aを設定する。自動撮影範囲Aは、撮影レンズ11を物体Yに合焦させたときの撮影レンズ11の被写界深度と一致する。被写界深度の端点A1および端点A2は、撮影レンズ11の焦点距離、物体Yまでの距離L
Yなどに基づいてCPU16が公知の方法で算出する。
【0032】
第3の実施の形態では、カメラ100は、被写体Xが端点A1に到達したとき連写撮影または動画撮影の撮影動作を開始し、被写体Xが端点A2に到達したとき連写撮影または動画撮影の撮影動作を終了する。
【0033】
図7は、第3の実施の形態における自動撮影モードの動作内容に関するフローチャートである。
図7に示される処理は、CPU16によって実行される。なお、
図3および
図5と同様の処理には、
図3および
図5と同一の符号を付して、その処理の説明を省略する。
【0034】
ステップS3000では、CPU16は、カメラ100から物体Yの距離L
Y(
図6)を測距し、撮影レンズ11の焦点距離、物体Yの距離L
Yから被写界深度の端点A1と端点A2の位置を算出する。
ステップS3003では、CPU16は、被写体Xが端点A1の位置に到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS3003が肯定判定された場合は
図7のステップS2004に処理を進め、ステップS3003が否定判定された場合はステップS3005に処理を進める。
ステップS3005では、CPU16は、被写体Xが端点A2の位置に到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS3005が肯定判定された場合は
図7のステップS2006に処理を進め、ステップS3005が否定判定された場合はステップS3000に処理を進める。
【0035】
(第4の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、自動撮影モードにおけるカメラ100の動作内容が異なっている。なお、自動撮影モードの動作内容以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0036】
図8を用いて第4の実施の形態における自動撮影モードの動作内容について説明する。
図8には、
図2と同様にカメラ100と被写体Xと物体Yが図示されている。第4の実施の形態では、被写体Xを測距する際に範囲Bを設定する。範囲Bは、撮影レンズ11を被写体Xに合焦させたときの撮影レンズ11の被写界深度と一致する。被写界深度の端点B1および端点B2は、撮影レンズ11の焦点距離、物体Xの距離L
Xなどに基づいてCPU16が公知の方法で演算する。
【0037】
第4の実施の形態では、カメラ100は、端点B2が物体Yの位置に到達したとき連写撮影または動画撮影の撮影動作を開始し、端点B1が物体Yに到達したとき連写撮影または動画撮影の撮影動作を終了する。
【0038】
図9は、第4の実施の形態における自動撮影モードのカメラ100の動作内容に関するフローチャートである。
図9に示される処理は、CPU16によって実行される。なお、
図3、
図5、
図7と同様の処理には、それぞれ同一の符号を付して、その処理の説明を省略する。
ステップS4001では、CPU16は、被写体Xまでの距離L
Xを測距し、範囲Bの端点B1およびB2の位置を算出する。
ステップS4003では、CPU16は、端点B2が物体Yの位置Pに到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS4003が肯定判定された場合は
図9のステップS2004に処理を進め、ステップS4003が否定判定された場合はステップS4005に処理を進める。ステップS4005では、CPU16は、端点B1が物体Yの位置Pに到達したか否かを判定する。CPU16は、ステップS4005が肯定判定された場合は
図9のステップS2006に処理を進め、ステップS4005が否定判定された場合は
図9のステップS1000に処理を進める。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)本発明の第1の実施の形態による撮像装置は、ターゲット追尾処理と焦点検出処理を実行するCPU16を備える。CPU16は、ユーザが選択した物体Yまでの距離L
Yを測距して(
図3のステップS1000)、実空間内に位置Pを設定する。CPU16は、ターゲット追尾処理により被写体Xを追尾して(
図3のステップS1002)、被写体Xが物体Yの位置Pに到達したとき撮影動作を開始する。これにより、被写体が意図した位置にいるタイミングで適切に撮影できる。
【0040】
(2)本発明の第2の実施の形態による撮像装置は、ターゲット追尾処理と焦点検出処理を実行するCPU16を備える。CPU16は、ユーザが選択した物体Y1およびY2までの距離L
Y1およびL
Y2を測距して(
図5のステップS2000)、実空間内に位置P1およびP2を設定する。CPU16は、ターゲット追尾処理により被写体Xを追尾する(
図5のステップS1002)。CPU16は、被写体Xが物体Y1の位置P1に到達したとき(
図5のステップS2003 YES)撮影動作を開始する(
図5のステップS2004)。CPU16は、被写体Xが物体Y2の位置P2に到達したとき(
図5のステップS2005 YES)静止画像の連写撮影や動画撮影の撮影動作を終了する(
図5のステップS2006)。これにより、被写体が意図した位置にいるタイミングで適切に連写撮影や動画撮影の開始と終了を行うことができる。
【0041】
(3)本発明の第3の実施の形態による撮像装置は、ターゲット追尾処理と焦点検出処理を実行するCPU16を備える。CPU16は、ユーザが選択した物体Yまでの距離を測距して端点A1と端点A2を含む被写界深度Aを算出する(
図7のステップS3000)。そして、CPU16は、ターゲット追尾処理により被写体Xを追尾する(
図7のステップS1002)。CPU16は、被写体Xが端点A1に到達したとき(
図7のステップS3003 YES)、静止画像の連写撮影や動画撮影の撮影動作を開始する(
図7のステップS2004)。また、被写体Xが端点A2に到達したとき(
図7のステップS3005 YES)、静止画像の連写撮影や動画撮影の撮影動作を終了する(
図7のステップS2006)。これにより、実空間上の位置を一つ指定するだけで、被写体Xと物体Yの両方が合焦状態となるタイミングで適切に連写撮影や動画撮影の開始と終了を行うことができる。
【0042】
(4)本発明の第4の実施の形態による撮像装置は、ターゲット追尾処理と焦点検出処理を実行するCPU16を備える。CPU16は、ユーザが選択した物体Yまでの距離を測距して(
図9のステップS1000)、実空間内に位置Pを設定する。CPU16は、被写体追尾処理により被写体Xを追尾する(
図9のステップS1002)。CPU16は、被写体Xを測距するとき被写界深度Bを算出する(
図9のステップS4001)。CPU16は、被写界深度Bの端点B2が位置P1に到達したとき(
図9のステップS4003 YES)、静止画像の連写撮影や動画撮影の撮影動作を開始する(
図9のステップS2004)。また、被写界深度Bの端点B1が位置P1に到達したとき(
図9のステップS4005 YES)、静止画像の連写撮影や動画撮影の撮影動作を終了する(
図9のステップS2006)。これにより、被写体が意図した位置に到達するまでに、確実に連写撮影や動画撮影を開始することができる。
【0043】
(変形例1)本発明は、一眼レフデジタルカメラ、コンパクトカメラ、カメラ付き携帯端末など、様々な撮像装置に適用できる。
【0044】
(変形例2)第2および第3の実施の形態では、被写体Xが位置P2や端点A2に到達したとき(たとえば、被写体Xがカメラ100に接近する猫の場合、猫の頭が位置P2に到達したとき)静止画撮影の連写撮影や動画撮影を終了することとした。しかし、被写体Xが位置P2や端点A2を通過したとき(たとえば、前述の猫の尻尾が位置P2に到達したとき)に静止画撮影の連写撮影や動画撮影を終了することにしてもよい。
【0045】
(変形例3)第2の実施の形態では、被写体Xが位置P1に到達したとき静止画像の連写撮影または動画撮影の撮影動作を開始し、被写体Xが位置P2に到達したとき静止画像の連写撮影または動画撮影の撮影動作を終了することとした。しかし、被写体Xが位置P1に到達したときと位置P2に到達したときにそれぞれ静止画像撮影の撮影動作を行うことにしてもよい。第3の実施の形態および第4の実施の形態についても同様である。
【0046】
(変形例4)上記の実施の形態では、カメラ100から物体Y、物体Y1、物体Y2までの距離をパッシブ方式で測距したが、それ以外の方法で測距してもよい。たとえば、カメラ100に超音波測距部やレーザ測距部を備えて、物体Y、物体Y1、物体Y2までの距離をアクティブ方式で測距することにしてもよい。
【0047】
(変形例5)第2の実施の形態と第3の実施の形態とは組み合わせて実施をしてもよい。すなわち、物体Y1に合焦して測距するときに物体Y1の位置P1を基準とする被写界深度Cを算出し、物体Y2に合焦して測距するときに物体Y2の位置P2を基準とする被写界深度Dを算出することにしてもよい。そして、被写体Xが被写界深度Cおよび被写界深度Dの中にいるとき、連写撮影や動画撮影を行うことにしてもよいし、被写界深度CおよびDの各々の両端で被写体Xが到達したときに静止画撮影の撮影動作を開始することにしてもよい。
【0048】
(変形例6)第1の実施の形態では、
図3のステップS1003が肯定判定されて撮影動作を開始するまでの間、CPU16は、物体Yまでの距離L
Yを繰り返し測距することとした。しかし、
図3の処理を開始したときのみ物体Yまでの距離L
Yを測距することにしてもよい。すなわち、
図3のステップS1003が否定判定されたとき、ステップS1000ではなくステップS1001に進むことにしてもよい。また、カメラ100の姿勢が大きく変化したときにのみ物体Yまでの距離L
Yを再び測距することにしてもよい。
【0049】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、以上で説明した実施の形態や変形例は発明の特徴が損なわれない限り組み合わせて実行してもよい。