【実施例】
【0039】
次に、本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0040】
フライアッシュの作製
以下のように製造例1〜7、参考製造例1、比較製造例2〜6のフライアッシュを製造した。
【0041】
(参考製造例1)
石炭火力発電所から得られたフライアッシュを原料フライアッシュとして用いた。
原料フライアッシュ中、原料フライアッシュの全量に対して約30体積%を目開き45μmの網ふるい法によって分級して除去し、JIS A6201のコンクリート用フライアッシュII種に規定される条件を満たすフライアッシュを作製した。表2において、原料フライアッシュに対して使用したフライアッシュの割合を、「原料に対するフライアッシュの使用比率」として表わした。
【0042】
(製造例1〜7)
原料フライアッシュをターボクラシファイア分級機(TC−15N、日清エンジニアリング株式会社製)を用いて45μm以上の粗粉を分級した。分級された粗粉フライアッシュを、ピン型粉砕機(自由粉砕機、M−2型、株式会社奈良機械製作所製)を用いて解砕して、解砕フライアッシュを得た。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT2000、日機装株式会社製)を用いて、測定した体積基準の粒度分布において、下記式(I)を満たすように、原料フライアッシュと解砕フライアッシュとを混合して、製造例1〜7の混合フライアッシュを得た。
0.24<(D50−D10)/(D90−D50)≦0.5 (I)
式(I)中、D10、D50及びD90は、それぞれフライアッシュの小径側からの累積頻度10%、累積頻度50%及び累積頻度90%に相当する粒径を示す。
表1に、製造例1〜7のフライアッシュのD10、D50、D90、及び後述する方法によって測定した強熱減量を示す。強熱減量は、フライアッシュ中の未燃カーボン量とした。また、式(I)の(D50−D10)/(D90−D50)で表される比を表2に示す。表2において、製造例1〜7のフライアッシュは、原料フライアッシュに対して、除去したフライアッシュはなく、原料のフライアッシュの全てを使用しているため、「原料に対するフライアッシュの使用割合(%)」は100%として表わした。
【0043】
(比較製造例2〜6)
原料フライアッシュをターボクラシファイア分級機(TC−15N、日清エンジニアリング株式会社製)を用いて45μm以上の粗粉を分級した。分級された粗粉フライアッシュを、ピン型粉砕機(自由粉砕機、M−2型、株式会社奈良機械製作所製)を用いて解砕して、解砕フライアッシュを得た。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT2000、日機装株式会社製)を用いて、測定した体積基準の粒度分布において、式(I)の(D50−D10)/(D90−D50)で表される比が表2に示す値となるように、原料フライアッシュと解砕フライアッシュとを混合して、比較製造例2〜6のフライアッシュを得た。
表1に、比較製造例2〜6のフライアッシュのD10、D50、D90及び後述する方法によって測定した強熱減量を示す。また、比較製造例2〜6のフライアッシュの(D50−D10)/(D90−D50)で表される比を表2に示す。表2において、比較製造例2〜6のフライアッシュは、原料フライアッシュに対して、除去したフライアッシュはなく、原料フライアッシュの全てを使用したため、「原料に対するフライアッシュの使用比率」は100(%)と表わした。
【0044】
【表1】
【0045】
フライアッシュの分析
製造例1〜7、参考例製造例1、比較製造例2〜6のフライアッシュについて、以下の測定を行った。結果を表2に示す。
【0046】
(ブレーン比表面積の測定)
JIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」のブレーン方法(比表面積)の測定方法に準拠して、得られたフライアッシュのブレーン比表面積を測定した。
【0047】
(フライアッシュ中の結晶相及び非晶質相量(質量%)の測定)
フライアッシュ中の結晶相及び非晶質相量(質量%)の測定は、粉末X線回折装置により、内部標準物質を用いて、リートベルト解析法により測定した。粉末X線回折装置としては、D8 Advance(Bruker AXS(ブルカー・エイエックス)社製)を用いた。測定条件、内部標準物質、リートベルト解析条件を以下に記載した。
測定条件
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
回折角2θの測定範囲: 開始角5°,終了角70°/75°
※内部標準物質としてルチル型二酸化チタンを添加した場合、終了角を70°とすると70°付近の二酸化チタンのピーク形状が正しく取得できない。このため二酸化チタンを添加した試料については終了角を75°とした。
ステップ幅:0.025°/step
計数時間:60sec./step
内部標準物質:ルチル型二酸化チタン
【0048】
リートベルト解析条件
リートベルト解析ソフト:TOPAS Ver.4.2(Bruker AXS(ブルカー・エイエックス)社製)
ゼロ点補正:無し
試料面の高さの補正:有り
解析対象鉱物:石英、ムライト(3:2)、無水石膏、石灰石、マグネタイト、ヘマタイト、二酸化チタン(内部標準物質として添加した試料のみ)
ヘマタイト相の選択配向関数:ヘマタイト相の選択配向は回折角2θ=35.5°付近の(110)面の回折線に生じるものとし、March Dollase関数を用いて、係数の初期値を1として精密化を行なった。マグネタイト相に関しては、選択配向が生じないものとした。
【0049】
フライアッシュ中のマグネタイト、ヘマタイトなどの結晶相及び非晶質の測定手順を以下に記載した。
(i)内部標準物として、ルチル型二酸化チタンを20質量%添加したフライアッシュ(試料1)と、内部標準物質を添加しないフライアッシュ(試料2)を作製した。
(ii)内部標準物質を添加しないフライアッシュ(試料2)を、粉末X線回折装置を用いて測定し、得られたフライアッシュ(試料2)の粉末X線回折パターンと、解析対象鉱物の石英、ムライト(3:2)、無水石膏、石灰石、マグネタイト、ヘマタイトのそれぞれの理論プロファイルのフィッティングを行ない、フライアッシュ中に含まれる各解析対象鉱物の定量分析を行い、解析ソフトによって、各解析対象鉱物の量(質量%)を算出した。マグネタイト、ヘマタイトについては、内部標準物質を添加しないフライアッシュ(試料2)のみから、石炭灰中のマグネタイト、ヘマタイトの量(質量%))を算出した。
マグネタイトとヘマタイトの定量分析に内部標準物質を添加しない試料2を用いるのは、マグネタイト、ヘマタイトの回折角2θ=35.5°〜35.6°付近のピークと、ルチル型二酸化チタンの回折角2θ=36.1°付近のピークとが近接するためである。特に内部標準物質として粒子径が小さく、結晶子サイズが小さいルチル型二酸化チタンを用いた場合、ピークのブロードニングが起こり、ルチル型二酸化チタンの回折角2θ=36.1°付近のピークのボトム付近が、マグネタイト、ヘマタイトのピークと重なり(オーバーラップ)、特にマグネタイトやヘマタイトの含有量が少ない場合に、定量した値に大きく影響を及ぼすからである。
(iii)内部標準物質であるルチル型二酸化チタンを添加したフライアッシュ(試料1)を、粉末X線回折装置を用いて測定し、得られたフライアッシュ(試料1)の粉末X線回折パターンと、解析対象鉱物の石英、ムライト(3:2)、無水石膏、石灰石、ヘマタイト、マグネタイト、二酸化チタンのそれぞれの理論プロファイルのフィッティングを行ない、内部標準物質を添加したフライアッシュ(試料1)に含まれる各解析対象鉱物の定量分析を行い、解析ソフトによって、各解析対象鉱物の量(質量%)を算出した。
(iv)試料1のルチル型二酸化チタンの定量値から、以下の(A)式により、未燃カーボンを含む総非晶質相量G
total(質量%)を算出した。
総非晶質相量G
total=100×(Y−X)/{Y×(100−X)/100} (A)
ただし、式(A)中、Xは内部標準物質の添加量(20質量%)、Yはルチル型二酸化のリートベルト解析値(質量%)である。
(v)試料1の解析対象鉱物の結晶相の含有量(質量%)から総非晶質相を定量した後、試料2の解析対象鉱物の含有量(質量%)から、以下の(B)式により、総非晶質相を考慮に入れた結晶相の含有量を算出した
結晶相(総非晶質相量G
total考慮)=結晶相(試料2解析値)×(100−G
total)/100 (B)
ただし、式(B)中、G
totalは試料1の解析値と(A)式より得られた総非晶質定量値(%)である。
(vi)具体的には、下記式(1)により、(A)式より算出した総非晶質相量G
total(質量%)からフライアッシュ中の未燃カーボン含有量(質量%)を差し引いた値をフライアッシュ中の非晶質相量G
FA(質量%)とした。未燃カーボン量は、JIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」に準拠して測定した強熱減量をフライアッシュ中の未燃カーボン含有量(質量%)とした。
フライアッシュ中の非晶質相量G
FA(質量%)=リートベルト解析による総非晶質相量G
total(質量%)−未燃カーボン含有量(質量%) (1)
【0050】
(フライアッシュの非晶質相中のFe量(質量%)の測定)
フライアッシュの非晶質相中のFe量は、蛍光X線分析方法、リートベルト解析により、下記式(2)により算出した。
フライアッシュの非晶質相中のFe量(質量%)=[{(a)フライアッシュ中のFe総量(蛍光X線分析値)−((b)リートベルト解析から求めたヘマタイト及びマグネタイト中のFeの合計量)}/((c)リートベルト解析から求めた非晶質量(質量%)−(d)未燃カーボン量(質量%))]×100 (2)
前記式(2)において、(a)フライアッシュ中のFe総量は、JIS R5204「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定した酸化物換算のFe量(酸化鉄(III):Fe
2O
3)の測定値1から下記式(3)によりFe量を換算して算出することができる。
(a)フライアッシュ中のFe総量(質量%)=測定値1×2Fe/Fe
2O
3(111.6/159.69) (3)
前記式(2)において、(b)リートベルト解析から求めたヘマタイト、マグネタイト中のFe量は、後述する実施例の方法によりリートベルト解析によって測定されたヘマタイトの測定値2、マグネタイトの測定値3から下記式(4)、(5)によって算出することができ、ヘマタイト中のFe量及びマグネタイト中のFe量の合計量である。
(c−1)ヘマタイト中のFe量(質量%)=測定値2×2Fe/Fe
2O
3(111.6/159.69) (4)
(c−2)マグネタイト中のFe量(質量%)=測定値3×3Fe/Fe
3O
4(167.4/231.5) (5)
【0051】
(フライアッシュ中の未燃カーボン量(質量%))
フライアッシュ中の未燃カーボン量は、JIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」に準拠して測定した強熱減量を、(d)フライアッシュ中の未燃カーボン量(質量%)とした。
【0052】
(粒径212μmを超える未燃カーボン量(質量%))
フライアッシュ中の粒径212μmを超える未燃カーボンの量(質量%)は、JIS Z8801-1「試験用ふるい-第1部:金属製網ふるい」に準拠して、目開き212μmフルイ上残分のフライアッシュの強熱減量を、フライアッシュ中の粒径212μmを越える未燃カーボン量(質量%)として求めることができる。
【0053】
(フライアッシュ中の未燃カーボンに対する粒径212μmを超える未燃カーボンの質量比率(%))
フライアッシュ中の未燃カーボン量に対するフライアッシュ中の粒径212μmを超える未燃カーボンの質量比率(粒径212μmを超える未燃カーボン/未燃カーボン)は、下記式(6)により算出した。
粒径212μmを超える未燃カーボン/未燃カーボン(%)=フライアッシュ中の粒径212μmを超える未燃カーボン(質量%)÷フライアッシュ中の未燃カーボン(質量%)×100 (6)
【0054】
セメント組成物
(実施例1〜10)
製造例1〜7で製造したフライアッシュを、表2に示す配合割合で普通ポルトランドセメントと混合して、実施例1〜10のセメント組成物を製造した。
【0055】
(比較例1〜6)
参考例製造例1、及び比較製造例2〜6で製造したフライアッシュを、表2に示す配合割合で普通ポルトランドセメントと混合して、比較例1〜6のセメント組成物を製造した。
【0056】
得られたセメント組成物について、セメント組成物中の粒径212μmを超える未燃カーボンの質量比率(%)、流動性、モルタル圧縮強さ、凝結時間の測定を行った。以下に測定方法を記載する。また、測定結果を表2に示す。
【0057】
(セメント組成物中の粒径212μmを超える未燃カーボン量(質量%))
セメント組成物中の粒径212μmを超える未燃カーボン量(質量%)は、下記式(7)により算出した。
セメント組成物中の粒径212μmを超える未燃カーボン量(質量%)=セメント組成物中のフライアッシュの含有量(質量%)×フライアッシュ中の粒径212μmを超える未燃カーボン量(質量%)÷100 (7)
【0058】
(流動性:モルタルの流動性の評価)
各実施例及び比較例のフライアッシュを混合したセメント組成物を用いて、JIS R5201「セメントの物理試験」に準拠して、混和剤を用いることなく、環境温度20℃、環境温度30℃のそれぞれの温度で、フロー試験を行い、モルタルのフロー値を測定した。環境温度20℃の場合は、フロー値が180mm以上のモルタルは流動性が良好と評価し、フロー値が180mm未満のモルタルは流動性が低いと評価した。環境温度が30℃の場合は、フロー値が165mm以上のモルタルは流動性が良好と評価し、フロー値が165mm未満のモルタルは流動性が低いと評価した。
【0059】
(凝結試験)
各実施例及び比較例のフライアッシュを混合したセメント組成物を用いて、測定用の試料の作製及び試験を行う試験室の温度を30±2℃としたこと以外は、JIS R5201「セメントの物理試験方法」の「付属書A(規定)凝結試験」に準拠して、凝結試験を行った。始発が110分以上であり、凝結が160分以上のモルタルを凝結時間が長いと評価した。始発が110分未満であり、凝結が160分未満のモルタルを凝結時間が短いと評価した。
【0060】
(3日材齢、28日材齢及び91日材齢のモルタル圧縮強さ)
各実施例及び比較例のフライアッシュを混合したセメント組成物を用いて、JIS R5201「セメントの物理試験方法」の「11.強さ試験」に準拠して、3日材齢、28日材齢及び91日材齢のモルタル圧縮強さを測定した。3日材齢のモルタル圧縮強さが22N/mm
2以上のモルタルを初期の圧縮強さが高いと評価し、3日材齢のモルタル圧縮強さが22N/mm
2未満のモルタルを初期の圧縮強さが低いと評価した。また、28日材料のモルタル圧縮強さが50N/mm
2以上のモルタルを圧縮強さが高いと評価し、28日材齢のモルタル圧縮強さが50N/mm
2未満のモルタルを圧縮強さが低いと評価した。91日材齢のモルタル圧縮強さが75N/mm
2以上のモルタルを長期の圧縮強さが高いと評価した。91日材齢のモルタル圧縮強さが75N/mm
2未満のモルタルを長期の圧縮強さが低いと評価した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示すように、(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.3を超えて0.5以下である製造例1〜5のフライアッシュを用いた実施例1〜8のセメント組成物は、20℃におけるフロー値が180mm以上、30℃におけるフロー値が165mm以上と良好であり、3日材齢の初期のモルタル圧縮強さ及び28日材齢のモルタル圧縮強さがともに高い数値を示していた。また、実施例1〜7のセメント組成物は、91日材齢の長期のモルタル圧縮強さも76.3N/mm
2以上と高く、長期の強度発現性がより向上していた。
【0063】
実施例7のセメント組成物は、セメント組成物中の製造例4のフライアッシュ含有量が11質量%と少ないため、流動性及び圧縮強さは良好であるものの、凝結時間が短くなった。
【0064】
実施例8のセメント組成物は、製造例5のフライアッシュを用いており、製造例5のフライアッシュの非晶質相中のFe量が3.3質量%と小さいため、28日材齢又は91日材齢の長期の強度発現性が低下した。
【0065】
実施例9のセメント組成物は、製造例6のフライアッシュを用いており、製造例6のフライアッシュはブレーン比表面積が2800cm
2/gであり、粗粉を比較的多く含み、28日材齢又は91日材齢の長期の強度発現性が低下した。
【0066】
実施例10のセメント組成物は、製造例7のフライアッシュを用いており、製造例7のフライアッシュはフライアッシュ中の非晶質相量が51.5質量%と少ないため、28日材齢又は91日材齢の長期の強度発現性が低下した。
【0067】
表2に示すように、JIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」に規定されるフライアッシュII種と同様の参考製造例1のフライアッシュは、JISの規格を満たすために、原料フライアッシュの約30体積%のフライアッシュを除去しなければならず、原料に対するフライアッシュの使用比率が70%であり、原料フライアッシュの全てを有効に利用していない。
【0068】
表2に示すように、比較例1は、セメント組成物に用いた参考製造例1のフライアッシュの(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.17と低く、3日材齢の初期のモルタル圧縮強さ、28日材齢のモルタル圧縮強さ、及び91日材齢の長期のモルタル圧縮強さは、ともに比較的高い数値であるものの、20℃におけるフロー値及び30℃おけるフロー値ともに評価の基準値(20℃:180mm以上、30℃:165mm以上)を満たしておらず、流動性が低下した。
【0069】
表2に示すように、比較例2は、セメント組成物に用いた比較製造例2のフライアッシュの(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.18と小さく、フライアッシュ中の未燃カーボン量に対する粒径212μmを超える未燃カーボンの質量比率(粒径212μmを超える未燃カーボン/未燃カーボン)が35%を超えて大きく、粗大でポーラスな形状の未燃カーボンが多く、流動性が低下し、28日材齢又は91日材齢の長期の強度発現性が低下した。
【0070】
表2に示すように、比較例3に用いた比較製造例3のフライアッシュは、製造例4に用いたフライアッシュと、ブレーン比表面積及び(D50−D10)/(D90−D50)の比は同じであるが、セメント組成物中のフライアッシュ含有量が30質量%を超えており、流動性は良好であるものの、3日材齢の初期の圧縮強さが低くなり、28日材齢のモルタル圧縮強さも低くなった。
【0071】
表2に示すように、比較例4は、セメント組成物に用いた比較製造例4のフライアッシュの(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.19と小さく、粗大でポーラスな未燃カーボンが比較的多く含まれているため、20℃における流動性及び30℃における流動性が低下し、28日材齢のモルタル圧縮強さも低く、91日材齢のモルタル圧縮強さも低くなった。
【0072】
表2に示すように、比較例5は、セメント組成物に用いた比較製造例5のフライアッシュ(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.14と小さく、セメント組成物中の粒径212μmを超える未燃カーボン量も1.6質量%と大きいため、粗大でポーラスな未燃カーボンが多く含まれており、20℃における流動性及び30℃における流動性も低下し、28日材齢のモルタル圧縮強さも低くなった。
【0073】
表2に示すように、比較例6は、セメント組成物に用いた比較製造例6のフライアッシュ(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.51と0.5を超えて大きく、ブレーン比表面積も4650cm
2/gと大きく、フライアッシュ中に比較的小さな粒子が多く含まれ、20℃における流動性及び30℃における流動性が低下した。さらに、30℃における凝結時間も短くなった。