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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-190770(P2018-190770A)
(43)【公開日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20181102BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20181102BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/60
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-89765(P2017-89765)
(22)【出願日】2017年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 知敬
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142AA52
5F142AA56
5F142AA58
5F142BA03
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CA14
5F142CB03
5F142CB12
5F142CB22
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD34
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD49
5F142CD50
5F142CE01
5F142CE16
5F142CF03
5F142CF13
5F142CF23
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG25
5F142CG42
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA73
5F142DB44
5F142EA02
5F142EA08
5F142EA18
5F142FA03
5F142FA30
5F142FA31
5F142GA01
5F142GA06
5F142GA11
5F142GA21
(57)【要約】
【課題】小型であっても、接合強度を十分に確保することができる発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】長手方向と短手方向に延長する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面と隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面とを有する基材と、前記基材の正面上に配線層を備える基板と、前記基板の長手方向に並んで設けられた複数の発光素子と、前記複数の発光素子の側面及び前記基材の前記正面を被覆する被覆部材を備える発光装置であって、前記基板は、記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記長手方向の両側に配置された一対の第1窪みと、記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記一対の第1窪みの間に配置された、前記第1窪みよりも、前記短手方向における幅が広い第2窪みと、前記第1窪み内及び第2窪み内から前記背面にそれぞれ延長した第1金属膜及び第2金属膜と、記基材の前記背面上に位置する前記第1金属膜及び前記第2金属膜のそれぞれの少なくとも一部を被覆するソルダーレジストと、を有する発光装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向に延長する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面と隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面とを有する基材と、前記基材の正面上に配線層を備える基板と、
前記配線層に接続され、前記長手方向に並んで設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の側面及び前記基材の前記正面を被覆する光反射性の被覆部材を備える発光装置であって、
前記基板は、
前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記長手方向の両側に配置された一対の第1窪みと、
前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記一対の第1窪みの間に配置された、前記第1窪みよりも、前記短手方向における幅が広い第2窪みと、
前記第1窪み内及び第2窪み内から前記背面にそれぞれ延長した第1金属膜及び第2金属膜と、
前記基材の前記背面上に位置する前記第1金属膜及び前記第2金属膜のそれぞれの少なくとも一部を被覆するソルダーレジストと、を有する発光装置。
【請求項2】
前記基板は、第1ビアホールを有し、前記配線層は、前記第1ビアホールを介して、前記第1窪み内に配置された第1金属膜と接続されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板は、第2ビアホールを有し、前記配線層は、前記第2ビアホールを介して、前記第2金属膜とそれぞれ接続されている請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基材の前記背面において、前記第2金属膜と前記上面との間に前記基材の一部が露出している請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ソルダーレジストは、前記基材の前記上面と前記背面とが接する端部から前記基材の前記底面と前記背面とが接する端部まで設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1金属膜及び第2金属膜は、前記基材の前記背面において、前記ソルダーレジストから露出しており、該背面で露出した第1金属膜は、前記背面で露出した第2金属膜よりも、前記長手方向に幅広である請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子の正面に配置された透光性部材を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記被覆部材が、前記透光性部材の側面を被覆する請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記被覆部材の短手方向の側面と前記基材の短手方向の側面とが実質的に同一平面上にある請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板上に配設された半導体発光素子と、蛍光体板と、半導体発光素子および蛍光体板を取り囲み、光反射性の微粒子を含有する反射層とを備えるサイドビュー型の発光装置が提案されている。
このような発光装置は、近年の小型化に伴って、実装基板への接合強度が小さいことから、種々の接合強度の向上が検討されている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施の形態は、小型であっても、接合強度を十分に確保することができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施の形態の発光装置は、
長手方向と短手方向に延長する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面と隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面とを備え、基材と、前記基材の正面上に配線層を備える基板と、
前記配線層に接続され、前記長手方向に並んで設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の側面及び前記基材の前記正面を被覆する光反射性の被覆部材を備える発光装置であって、
前記基板は、
前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記長手方向の両側に配置された一対の第1窪みと、
前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記一対の第1窪みの間に配置された、前記第1窪みよりも、前記短手方向における幅が広い第2窪みと、
前記第1窪み内及び第2窪み内から前記背面にそれぞれ延長した第1金属膜及び第2金属膜と、
前記基材の前記背面上に位置する前記第1金属膜及び前記第2金属膜のそれぞれの少なくとも一部を被覆するソルダーレジストと、を有する発光装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態の発光装置によれば、小型であっても、接合強度を十分に確保することができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態を示す発光装置の中央部を長手方向に沿って切断した概略断面図である。
図2A図1に示す発光装置に用いられている基板の概略正面図である。
図2B図2Aの基板の概略背面図である。
図3A図1に示す発光装置の概略正面斜視図である。
図3B図1に示す発光装置の概略背面斜視図である。
図3C図1に示す発光装置の概略底面図である。
図3D図1に示す発光装置の概略上面図である。
図4図1の発光装置に対する比較のための発光装置の概略背面図である。
図5】別の実施形態を示す発光装置の概略背面図である。
図6】さらに別の実施形態を示す発光装置の概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
なお、本開示の発光装置においては、光取り出し面を正面、正面の反対側に位置する面を背面、正面と隣接する面を底面、底面の反対側に位置する面を上面と称する。
【0009】
本発明の一実施形態における発光装置10は、例えば、図1に示すように、基板20と、複数の発光素子13と、被覆部材14とを備える。発光装置10は、さらに、発光素子13の正面に配置された透光性部材18を含むことが好ましい。尚、発光素子13の正面とは、基材の正面と対向する発光素子の面の反対側に位置する面を指す。
図2Aに示すように、基板20は、基材15と配線層16とを備える。基材15は、長手方向Xと短手方向Yに延びる正面20aと、正面の反対側に位置する背面20bと、正面20aと隣接する底面20cと、底面20cの反対側に位置する上面20dと、正面20a、背面20b、底面20c及び上面20dと隣接する面を側面20eと、を有する。配線層は、基材の正面上に設けられる。発光装置をサイドビュー型に実装する場合には、底面20cが実装基板と対向する。また、基板の各面は、それぞれ基材の各面と対応する。つまり、基材の正面20aは、基板の正面と対応し、基材の背面20bは基材の背面と対応し、基材の底面20cは基材の底面と対応し、基材の上面20dは基材の上面と対応し、基材の側面20eは基材の側面と対応する。複数の発光素子13は、配線層に接続され、基材15の長手方向に並んで設けられる。被覆部材14は、光反射性を有し、複数の発光素子13の側面及び基材15の正面20aを被覆する。
【0010】
図2Bに示すように、基材15は、一対の第1窪み11と、第2窪み12と、有する。一対の第1窪11は、基材の背面と基材の底面とに開口する。また、一対の第1窪み11のそれぞれは、基板の長手方向の両側に配置される。第2窪み12は、基材の背面と底面とに開口し、一対の第1窪み11の間に配置され、第1窪みよりも、短手方向における幅が広い。基板20は、基材15を備えているので、基板20は、一対の第1窪み11と、第2窪み12と、を有する。また、基板20は、第1金属膜21と、第2金属膜22と、ソルダーレジスト19と、を有する。第1金属膜21及び第2金属膜22は、第1窪み11及び第2窪み12内から背面20bにそれぞれ延長して位置する。ソルダーレジスト19は、基材の背面上に位置する第1金属膜及第2金属膜のそれぞれの少なくとも一部を被覆する。
【0011】
発光装置10は、一対の第1窪み11及び第2窪み12内に形成した半田等の接合部材によって実装基板と接合する。短手方向における第2窪み12の幅を広くすることで、第2窪み12内の接合部材の体積を増加させることができる。このため、発光装置10の実装基板への実装の際に、接合強度を確保することができるとともに、実装不良の低減を図り、実装性を向上させることができる。また、ソルダーレジスト19が、第1金属膜21及び第2金属膜22を被覆することにより、接合部材によって第1金属膜21と第2金属膜22とが短絡することを抑制できる。さらに、ソルダーレジスト19が、第1金属膜21及び第2金属膜22を被覆することにより、第1金属膜21及び第2金属膜22の剥がれ等を防止することができ、実装の安定性を得ることができる。
【0012】
本開示における発光装置10は、サイドビュー型発光装置であることが好ましいが、トップビュー型発光装置であってもよい。なお、サイドビュー型の発光装置とは、例えば、発光装置が実装基板等に実装された際に、発光装置の光取り出し面(正面)が実装基板表面と略垂直となる構成を指す。トップビュー型の発光装置とは、例えば、発光装置の光取り出し面(正面)が、実装基板表面に対して略平行である構成を指す。
発光装置の正面(光取り出し面)形状は適宜選択できるが、矩形状とすれば、量産性が高まるため好ましい。特に、発光装置がバックライト用の光源として用いられる場合、その正面(光取り出し面)形状は、長手方向と短手方向を有する長方形が好ましく、発光装置がフラッシュ用の光源として用いられる場合には、正面(光取り出し面)形状は正方形が好ましい。
【0013】
(基板20)
基板20は、図2A及び2Bに示すように、発光素子を実装するためのものであり、基材15と、配線層16と、上述したように、一対の第1窪み11と、第2窪み12と、第1金属膜21及び第2金属膜22と、ソルダーレジスト19とを備える。
【0014】
(基材15)
基材15は、例えば、樹脂、繊維強化樹脂、セラミックス、ガラス、金属、紙等により構成することができる。樹脂又は繊維強化樹脂としては、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミド等が挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン又はこれらの混合物等が挙げられる。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン又はこれらの合金などが挙げられる。なかでも、絶縁性の材料からなることが好ましい。また、これらセラミックス、樹脂又はガラス等の中に、フィラー等が含有されていてもよい。
【0015】
基材15は、発光素子の線膨張係数に近い物性を有する材料を用いて形成することが好ましい。これにより、基板と発光素子との剥離、発光素子が基板の熱膨張係数との差によって破壊されるおそれを低減することができる。基材15の線膨張係数は、15ppm/℃以下であることが好ましく、10ppm/℃以下であることがより好ましい。基材15の線膨張係数の下限値については、例えば1ppm/℃以上である。尚、発光素子の線膨張係数は、用いる半導体材料の種類等によって変動するが、発光素子において、支配的な体積を有する材料の線膨張係数に近似する。従って、発光素子が、サファイア基板を伴う場合は、通常、サファイア基板の体積が支配的であるために、その線膨張係数はサファイア基板の線膨張係数に近似し、例えば、7.7ppm/℃程度である。発光素子が、サファイア基板を伴わず、半導体層のみで構成される場合には、その線膨張係数は用いる半導体層の線膨張係数に近似し、GaN系半導体層からなる発光素子では、例えば、5.5ppm/℃程度である。
【0016】
基材15の正面から背面方向における厚みは、基板の強度確保の観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。また、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。
基材15は、後述するように、正面20aから背面20bに貫通する、1以上のビアホール17を有していることが好ましい。ビアホール17を備えることで、基材の正面上に位置する配線層と、第1金属膜及び/又は第2金属膜と、を電気的に接続することができる。ビアホール17は、第1ビアホール17aと、第2ビアホール17bと、を備えることが好ましい。第1ビアホール17aは、第1金属膜21と配線層16とを電気的に接続する。つまり、配線層は、第1ビアホールを介して、第1窪み内に配置された第1金属膜と接続されている。第2ビアホール17bは、第2金属膜22と配線層16とを電気的に接続する。つまり、配線層は、第2ビアホールを介して、第2窪み内に配置された第2金属膜と接続されている。第1ビアホール17a及び/又は第2ビアホール17bは1つでもよいが複数あることが好ましい。第1ビアホール17a及び/又は第2ビアホール17bが複数あることで、発光素子からの熱が第1ビアホール17a及び/又は第2ビアホール17bから窪み16内に位置する第1金属膜及び/又は第2金属膜に効率的に伝わることができる。第1金属膜及び/又は第2金属膜に伝わった熱は、接合部材を介して実装基板に伝わるので発光装置の放熱性が向上する。発光装置10の中央付近に位置する第2ビアホール17bが、複数あることで発光装置の放熱性が向上しやすい。
【0017】
(配線層16)
基材15の正面20a上には、少なくとも一対の配線層16が形成されている。これらの配線層16は、上面のみならず、基材15の側面、背面等に配置されていてもよいし、基材の内部に配置されていてもよい。例えば、基材15は、正面20aから背面20bに貫通するビアホール17を有し、ビアホール17内にも配線層16が配置されていることが好ましい。
配線層16は、導電性材料によって形成されていればよく、当該分野で公知のものを使用することができる。配線層16は、単層でも積層構造でもよい。例えば、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム又はこれらの合金で形成することができる。なかでも、放熱性の観点から、銅又は銅合金を用いることが好ましい。配線層16は、例えば、基材側からCu/Ni/Au等の積層材料によって形成することができる。配線層16の表面には、後述する接合部材等の濡れ性及び/又は光反射性などを確保するという観点から、銀、白金、アルミニウム、ロジウム、金又はこれらの合金などの層が設けられていてもよい。少なくとも一対の配線層16は、同じ材料及び/又は構造でなくてもよいが、同じ材料及び/又は構造であることが好ましい。
配線層16の厚みは、放熱性向上の観点から、5μm以上であることが好ましい。
ビアホール17は、ビアホール内に位置する配線層16と、正面視において配線層16に囲まれる充填部材を備えていてもよい。充填部材は、導電性でも絶縁性でもよい。充填部材には、樹脂材料を使用することが好ましい。一般的に硬化前の樹脂材料は、硬化前の金属材料よりも流動性が高いのでビアホール内に充填しやすい。このため、充填部材に樹脂材料を使用することで基板の製造が容易になる。充填しやすい樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。充填部材として樹脂材料を用いる場合は、線膨張係数を下げるために添加部材を含有することが好ましい。このようにすることが、ビアホール内に位置する配線層16との線膨張係数の差が小さくなるので、発光素子からの熱によってビアホール内に位置する配線層16と充填部材との間に隙間ができることを抑制できる。添加部材としては、例えば酸化珪素が挙げられる。また、充填部材に金属材料を使用した場合には、放熱性を向上させることができる。
【0018】
配線層16は、基材15の正面20aにおいて、一列に配列されていることが好ましい。
配線層16の形状は、用いる発光素子の電極形態によって調整することができ、基材15の正面20aにおいて、平面形状が四角形等の多角形、円又は楕円形等が挙げられる。なかでも、四角形が好ましい。
【0019】
(第1窪み11及び第2窪み12)
発光装置10は、基材15の背面20bと底面20cとに開口を有する一対の第1窪み11と、第2窪みと12を有する。
第1窪み11及び第2窪み12の形状は、適宜設定することができ、例えば、背面20b及び底面20cにおける形状が三角形、四角形等の多角形、半円形、半楕円形等が挙げられる。なかでも、略半円形状、略半楕円形状が好ましい。背面において、窪みの開口形状が角部のない略半円形状であることで窪みに係る応力が集中することを抑制できるので、基材が割れることを抑制することができる。
【0020】
一対の第1窪み11のそれぞれは、基材15の長手方向Xの両側に配置されている。上述したように、基材15が第1ビアホール17aを有し、配線層16が第1ビアホール17a内に配置されている場合、正面視又は背面視において、一対の第1窪み11は、それぞれ第1ビアホール17に重複せずに配置されていることが好ましい。一対の第1窪み11が、それぞれ第1ビアホール17と重複しないことで、第1窪み11が第1ビアホール17と重複する場合よりも基材の厚みを厚くすることができるので基材の強度が向上する。
【0021】
第1窪み11の大きさは、基材15の強度を確保し得る程度とすることができる。例えば、第1窪み11は、基材15の背面の底面20c側の幅Mが、発光装置の長手方向Xの長さの1/10から1/5が挙げられ、1/8から1/6が好ましい。具体的には、発光装置の長手方向Xの長さが2から3mmの場合、0.2から0.7mmが挙げられる。第1窪み11は、背面20bにおける高さHが、発光装置の短手方向Yの長さの1/4から1/2が挙げられる。具体的には、発光装置の短手方向Yの長さが0.3から0.4mmの場合、0.075から0.2mmが挙げられる。第1窪み11は、背面20bからの深さ(図3Cの深さD参照)が、基材15の厚みの1/5から1/1.5が挙げられる。具体的には、基材15の厚みが0.3から0.4mmの場合、0.15から0.2mmが挙げられる。第1窪み11は、背面20bの側面20e側の端部に連結していてもよいが、その端部から離間していることが好ましい。具体的には、第1窪み11は、側面20e側の端部から0.1mm以上の距離Qで離間していることが好ましく、0.2mm以上で離間していることがより好ましい。
一対の第1窪み11は、基材15の背面20bにおいて、それぞれ端部から異なる距離で、異なる大きさで、異なる形状で配置されていてもよいが、短手方向Yに平行な基材15の中心線及び/又は長手方向Xに平行な基材15の中心線に対して、左右対称であることが好ましい。このようにすることで、発光装置を実装基板に接合部材を介して実装される際にセルフアライメントが効果的に働き、発光装置を実装範囲内に精度よく実装することができる。
【0022】
第2窪み12は、一対の第1窪み11の間に、第1窪み11よりも、基板20の短手方向Yにおける幅(図2B中、高さJ)が広い形状で配置されている。第2窪み12は、例えば、第1窪み11の短手方向Yにおける高さHの2〜20%高い高さJを有することが挙げられる。また、第2窪み12の長手方向Xにおける幅Nは第1窪み11の幅Mよりも広いことが好ましい。第2窪み12の幅Nは、例えば、第1窪み11の長手方向Xにおける幅Mよりも、5〜30%広いものとすることができる。
【0023】
上述したように、基材15が第2ビアホール17bを有し、配線層16が第2ビアホール17b内に配置されている場合、正面視において、第2窪み12は第2ビアホール17bに重複せずに配置されていることが好ましい。このようにすることで、正面視において、第2窪み12と第2ビアホール17bとが重なる場合よりも基材の強度を向上させることができる。
【0024】
第1窪み11及び第2窪み12は、当該分野で公知の方法、例えば、ドリル等を利用して形成することができる。
【0025】
(第1金属膜21及び第2金属膜22)
第1金属膜21及び第2金属膜22は、それぞれ、第1窪み11内及び第2窪み12内から背面20bにそれぞれ延長して配置されている。
第1金属膜21及び第2金属膜22は、それぞれ、第1窪み11内及び第2窪み12の内壁の全部を被覆していることが好ましい。また、上述したように、第1ビアホール17a内に配線層16が配置されている場合には、第1金属膜21は、それらの第1ビアホール17a内の配線層16と接続されていることが好ましい。さらに、第2ビアホール17bが形成され、そのビアホール17b内に配線層16が配置されている場合には、第2金属膜22は、そのビアホール17b内の配線層16と接続されていることが好ましい。
【0026】
第1金属膜21及び/又は第2金属膜22は、基材の背面20bにおいて広い面積で配置していることが好ましい。これにより、発光装置の放熱性が向上する。また、基材の背面20bにおける上面20d側の端部において、基材15の一部が露出していることが好ましい。発光装置の上面側に第1金属膜21及び/又は第2金属膜22が位置しないことで、発光装置が短絡することを抑制できる。例えば、第1金属膜21及び/又は第2金属膜22と基材の上面20dとの間に、基材15の背面20bの一部が露出していることが好ましい。この露出の幅Lは、例えば、0.05から0.3mmが挙げられる。第1金属膜21と基材の上面20dとの間の基材15の露出の幅Lと、第2金属膜22と基材の上面20dとの間の基材15の露出幅とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
第1金属膜21及び/又は第2金属膜22の背面20bにおける形状は、底面20c側の端部に連結し、かつ、上面20d側の端部とは連結しない、四角形や、T字又はL字のように四角形の角部に凹凸を有する形状等が挙げられる。また、これら第1金属膜21及び第2金属膜22は互いに離間している。第1金属膜21と第2金属膜22の距離は、適宜設定することができ、電気的な絶縁が確保される距離であればよい。例えば、0.01から0.1mmが挙げられる。
第1金属膜21は、第2金属膜22と同じ大きさであってもよいが、異なる大きさであることが好ましい。例えば、第2金属膜22は、長手方向及び/又は短手方向において、第1金属膜21よりも大きいものが好ましく、長手方向及び短手方向の双方において、第1金属膜21よりも大きいものがより好ましい。
【0028】
第1金属膜21及び第2金属膜22は、上述した導電性材料のなかから選択して、単層構造又は積層構造によって形成することができる。これら第1金属膜21及び第2金属膜22は、当該分野で公知の方法、例えば、スパッタ法、蒸着法、メッキ等種々の方法によって形成することができる。なかでも、Ni−Auからなるメッキ膜により形成されていることが好ましい。これらの厚みは、例えば、0.05〜1μmが挙げられる。
【0029】
(ソルダーレジスト19)
ソルダーレジスト19は、基材15の背面20b上に位置する第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの少なくとも一部を被覆する。
ソルダーレジスト19は、当該分野において、公知の材料であり、通常、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等によって構成されており、任意の樹脂を用いることができる。ソルダーレジストは、例えば、第1金属膜21及び第2金属膜22の保護等のために、厚みが0.01〜0.02mmで形成されていることが好ましい。
【0030】
ソルダーレジスト19は、1つでも、複数でもよい。ソルダーレジスト19は、基材15の背面20bにおいて、第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの長手方向Xにおける端部を被覆するものが好ましい。更に、ソルダーレジスト19が、第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの長手方向における端部の全部を被覆するものがより好ましい。これにより、第1金属膜21及び第2金属膜22の剥がれを効果的に防止することができる。また、ソルダーレジスト19が、第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの長手方向における端部を被覆することで、接合部材によって第1金属膜21と第2金属膜22とが短絡することを抑制できる。ソルダーレジスト19は、基材15の背面20bにおいて、第1金属膜21及び/又は第2金属膜22の上面20d側の端部の一部又は全部を被覆するものが好ましい。なかでも、第2金属膜22の上面20d側の端部の全部を被覆するもの及び/又は第1金属膜21の上面20d側の端部の一部のみを被覆するものがより好ましい。更に、第2金属膜22の上面20d側の端部の全部と、第1金属膜21の上面20d側の端部の一部のみとを被覆するものが好ましい。また、ソルダーレジスト19は、基材の上面と背面とが接する端部から基材の底面と背面とが接する端部まで設けられていることが好ましい。このようにすることで、更に第1金属膜21及び/又は第2金属膜22が剥がれることを防止することができる。
【0031】
第1金属膜21及び第2金属膜22は、基材15の背面20bにおいて、ソルダーレジスト19から露出している。基材15の背面20bで露出した第1金属膜21は、背面20bで露出した第2金属膜22よりも、長手方向Xに幅広であることが好ましい。第1金属膜21が長手方向Xに幅広であることで発光装置の放熱性が向上する。
【0032】
(発光素子13)
発光素子13は、配線層に導電性接合部材を介して接続され、基材15の長手方向に並んで設けられている。導電性接合部材としては、当該分野で公知のものを使用することができる。発光素子13は、基材15の正面20aにおいて、長手方向に一列に配列されていることが好ましい。一列に配列される場合には、発光装置の薄型化を実現することができる。
発光素子13は、少なくとも半導体積層体を備える。半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層を含み、活性層をその間に介している。半導体材料としては、窒化物半導体、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素等が挙げられる。なかでも、蛍光体を効率良く励起できる短波長の光を発光可能な材料である、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。
【0033】
発光素子の発光ピーク波長は、半導体材料やその混晶比によって、紫外域から赤外域まで選択することができる。発光素子の発光ピーク波長は、発光効率並びに蛍光体の励起及びその発光との混色関係等の観点から、400〜530nmが好ましく、420〜490nmがより好ましく、450〜475nmがさらに好ましい。
発光素子は、半導体積層体に加え、半導体積層体を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板を有していてもよいし、結晶成長用基板から分離した半導体積層体に接合させる接合用基板を有していてもよい。素子基板としては、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコン、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウム燐、インジウム燐、硫化亜鉛、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。なかでも、サファイアが好ましい。素子基板は透光性を有することにより、フリップチップ実装を採用しやすく、また光の取り出し効率を高めやすい。素子基板の厚さは、例えば0.02〜1mmが挙げられる。
また、発光素子は、正負電極及び/又は絶縁膜を含んでもよい。正負電極は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。絶縁膜は、珪素、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素の酸化物又は窒化物で構成することができる。
【0034】
発光素子は、平面形状が、矩形、特に正方形状又は一方向に長い長方形状であることが好ましいが、六角形状等であってもよい。発光素子又はそれらの素子基板の側面は、上面及び/又は下面に対して、垂直であってもよいし、内側又は外側に傾斜していてもよい。発光素子は、同一面側に正負(p、n)電極を有することが好ましい。
1つの発光装置に搭載される発光素子の個数は2つでもよいし、3つ以上でもよい。この場合、発光素子の発光波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
なお、本開示の発光装置は、発光素子のほかに、当該分野で公知の保護素子を有していてもよい。
【0036】
(透光性部材18)
発光装置10は、発光素子13の光取り出し面上、つまり、正面に、透光性部材18を有することが好ましい。透光性部材を備えることで発光素子を外部応力から保護することができる。また、透光性部材は、発光素子から発せられる光を透過させて発光装置の外部に出射する部材である。透光性部材18は、複数の発光素子に対して1つであってもよいが、それぞれの発光素子に対して1つ配置されることが好ましい。
透光性部材は、発光素子の発光ピーク波長における光透過率が、60%以上、好ましくは80%以上又は90%以上であるものが好ましい。
透光性部材は、例えば、透光性を有する母材により形成することができる。透光性部材は、発光素子の光を吸収して発光する蛍光体及び/又はフィラーを含むことが好ましい。また、透光性部材は、蛍光体と、例えば、アルミナなどの無機物との焼結体又は蛍光体の板状結晶などを用いてもよい。
【0037】
透光性部材は、蛍光体及び/又はフィラーを含有してもよい。また、透光性部材は、単層構造でも積層構造でもよい。透光性部材が蛍光体を含有する場合には、蛍光体を含有する層の上に実質的に蛍光体を含有しない層があることが好ましい。このようにすることで、蛍光体を実質的に含有しない層が保護層としても機能を果たすので蛍光体の劣化を抑制できる。
透光性部材は、高信頼性の発光装置とするために、その母材をガラス、アルミナなどの無機物の焼結体を用いて形成してもよい。
【0038】
(透光性部材の母材)
透光性部材の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又はこれらの変性樹脂、ガラス等が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐光性に優れることからシリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂が好ましい。具体的なシリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル−メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。透光性部材は、これらの母材のうちの1種又は2種以上を積層して構成することができる。
【0039】
(フィラー)
フィラーとしては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。フィラーは、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、熱膨張係数の小さい酸化珪素が好ましい。また、フィラーとして、ナノ粒子を用いることで、発光素子の青色光のレイリー散乱を含む散乱を増大させ、蛍光体の使用量を低減することができる。なお、ナノ粒子とは、粒径が1〜100nmの粒子とする。「粒径」は、例えば、D50で定義することができる。
【0040】
(蛍光体)
蛍光体は、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する物質である。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光、例えば白色光を発する発光装置とすることができる。
蛍光体としては、緑色発光する蛍光体として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY3(Al,Ga)512:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu3(Al,Ga)512:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb3(Al,Ga)512:Ce)系蛍光体、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)2SiO4:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCa8Mg(SiO44Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6-zAlzz8-z:Eu(0<z<4.2))、SGS系蛍光体(例えばSrGa24:Eu)などが挙げられる。黄色発光の蛍光体として、αサイアロン系蛍光体(例えばMz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素)などが挙げられる。
【0041】
透光性部材18は、蛍光体を実質的に含まない部分を有していてもよい。蛍光体含有部の上方に蛍光体を実質的に含まない部分を配置する場合には、蛍光体を水分等の外部環境から保護することができる。
【0042】
発光素子13が複数ある場合において、それぞれの発光素子の正面に配置された透光性部材18は、同じ蛍光体を含んでいてもよいし、異なる蛍光体を含んでいてもよい。例えば、複数の発光素子を第1発光素子と第2発光素子とし、第1発光素子の正面に配置された透光性部材を第1透光性部材、第2発光素子の正面に配置された透光性部材を第2透光性部材とする。第1透光性部材は、第1発光素子からの光を吸収して第1発光素子からの光と混合した白色系の光を出射し、第2透光性部材は、第2発光素子からの光を吸収して第2発光素子からの光と混合した橙色系の光を出射させてもよい。
透光性部材18は、発光素子の正面上に、接着剤を介して又は介さないで接合されている。接着剤は、透光性を有し、発光素子と透光性部材との密着性を確保し得るものが好ましい。接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂又はこれらの変性樹脂が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐光性に優れるシリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル−メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。また、接着剤は、透光性部材と同様にフィラーを含有してもよい。
【0043】
(被覆部材14)
被覆部材14は、複数の発光素子13の側面及び基材15の正面20aを被覆する。
被覆部材14は、発光装置の光取り出し効率を向上させる観点から、光反射性であることが好ましい。光反射性とは、例えば、発光素子の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることを意味する。
正面から見た場合、被覆部材14の外形の形状は、四角形が好ましく、上述したように、上述した配線層16が配列された方向に長尺である四角形であることがより好ましい。これにより、発光装置をバックライト用の光源として好ましく用いることができる。
透光性部材18が、発光素子の光取り出し面上に接合されている場合、透光性部材18の側面は、被覆部材14で被覆されていることが好ましい。この場合、透光性部材18の側面の一部のみを被覆していてもよいが、全ての側面を被覆していることが好ましい。ただし、透光性部材18を接合する接着剤が、発光素子の側面の一部を被覆している場合には、被覆部材14は、接着剤を介して発光素子13の側面の全部を被覆するように配置することが好ましい。
また、透光性部材18の正面は、被覆部材14の正面と同一平面上にあることが好ましい。
【0044】
被覆部材14は、母材と光反射性物質とから構成されることが好ましい。
(被覆部材の母材)
被覆部材14は、製造の容易さから、液状の状態から硬化して固体となる母材を用いることが好ましい。被覆部材14は、トランスファ成形、射出成形、圧縮成形、ポッティングなどにより形成することができる。
被覆部材の母材としては、樹脂を用いることができる。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れる点で好ましい。具体的なシリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル−メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。
【0045】
(光反射性物質)
光反射性物質としては、例えば、白色顔料が挙げられる。
白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。白色顔料の形状は、不定形又は破砕状でもよいが、流動性の観点から、球状であるものが好ましい。白色顔料の粒径は、例えば、0.1〜0.5μm程度が挙げられるが、光反射及び被覆の効果を高めるために小さい程好ましい。被覆部材中の光反射性物質の含有量は、光反射性及び液状時における粘度などの観点から、被覆部材の全重量に対して10〜80wt%が好ましく、20〜70wt%がより好ましく、30〜60wt%がさらに好ましい。
被覆部材は、さらに、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、熱膨張係数の小さい酸化珪素が好ましい。
【0046】
実装基板と発光装置を接合する接合部材としては、銀、金、銅、プラチナ、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダを含む金属ペースト、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系などの半田、低融点金属などのろう材等が挙げられる。
【0047】
以下に、本願における発光装置の具体例を図面に基づいて詳細に説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1の発光装置10は、図1、2A、2B、3A〜3Dに示すように、横3.1mm、縦0.4mm、奥行き0.7mmの側面発光型の発光装置である。
基材15は、線膨張係数が約3ppm/℃のBT樹脂製(例えば、三菱瓦斯化学社製:HL832NSF typeLCA)の直方体状の小片であり、その大きさは、横3.1mm、縦0.4mm、奥行き(厚さ)0.36mmである。基材15の正面には、配線層16が配置されており、基材15の正面側から銅/ニッケル/金が積層されて構成されている。配線層16は、それぞれ、正極端子と負極端子の対で構成されており、長手方向に配列されている。さらに、これらの間に、配線層16がさらに1つ配置している。基板20は2つの第1ビアホール17aと、2つの第2ビアホール17bとを有しており、正面20a上に形成された配線層16が、ビアホール17a、17b内にも配置されている。
【0048】
背面視において、基板20は、背面20bと底面20cとに開口を有する、半円形の一対の第1窪み11と、それらの間に配置された、半円形の第2窪み12とを有する。一対の第1窪み11のそれぞれは、基板20の長手方向Xの両側に配置されている。一対の第1窪み11及び第2窪み12は、それぞれ、基板20のビアホール17a、17bと離間して配置されている。
【0049】
第1窪み11は、基板20の背面20bの底面20c側の幅Mが0.35mmであり、その高さHは0.15mmである。第1窪み11は、背面20bからの深さDが、0.21mmである。第1窪み11は、背面20bの側面20e側端部から0.25mm離間しており、両端側に2つの第1窪み11が配置されている。2つの第1窪み11は、基材15の背面20bにおいて、短手方向Yに平行な基材15の中心線に対して、左右対称である。
【0050】
第2窪み12は、基材15の背面20bの長手方向における最大の幅Nが0.45mmであり、その高さJは0.2mmである。第2窪み12は、背面20bからの深さDが、0.21mmである。
【0051】
第1金属膜21及び第2金属膜22は、それぞれ、第1窪み11内及び第2窪み12の内壁の全部を被覆し、そこから背面20bにそれぞれ延長して配置されている。また、ビアホール17a内の配線層16と、第1金属膜21とが接続されている。さらに、第2ビアホール17b内の配線層16が第2金属膜22と接続されている。
第1金属膜21及び第2金属膜22は、背面20bにおいて広い面積で配置しており、背面20bにおける上面20d側の端部において、基材15の一部が露出している。つまり、第1金属膜21及び第2金属膜22は、上面20d側において、基材15の一部が露出するように配置されている。その露出の幅Lは0.08mmである。
【0052】
第1金属膜21及び第2金属膜22の背面20bにおける形状は、底面20c側の端部に連結し、かつ、上面20d側の端部とは連結しない形状であり互いに離間している。第1金属膜21は、第2金属膜22よりも、長手方向X及び短手方向Yの双方において小さい。例えば、第1金属膜21は、0.87×0.3mmであり、第2金属膜22は、1.06×0.35mmである。
第1金属膜21及び第2金属膜は、Ni−Auの電界メッキにより形成された膜であり、その膜厚は0.2μmである。
【0053】
基材15の背面20bには、ソルダーレジスト19が、第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの少なくとも一部を被覆するように配置されている。ソルダーレジスト19は、アクリレート系樹脂によって構成されている。ソルダーレジスト19の厚みは、0.35mmで形成されている。
ソルダーレジスト19は、基材15の背面20bにおいて、4つあり、それぞれ、第1金属膜21及び第2金属膜22のそれぞれの長手方向Xにおける端部の全部を被覆している。また、第1金属膜21の上面20d側の端部一部を被覆し、第2金属膜22の上面20d側の端部の全部を被覆している。ソルダーレジスト19は、基材15の背面20bにおいて、第1金属膜21及び第2金属膜22を露出するが、その背面20bで露出した第1金属膜21は、背面20bで露出した第2金属膜22よりも、長手方向Xに幅広である。
なお、基材15の背面20bは、第1金属膜21の上面20d側で、第1金属膜21の長手方向Xの幅よりも狭い範囲で、基材15の一部を露出している。
【0054】
基材15の正面上の配線層16上には、2つの発光素子13が金−錫系半田(Au:Sn=79:21)からなる接合部材を介してフリップチップ実装されている。発光素子13はそれぞれ、サファイア基板上に窒化物半導体のn型層、活性層、p型層が順次積層された、青色(発光ピーク波長452nm)発光可能な、横1.1mm、縦0.2mm、奥行き(厚さ)0.12mmの直方体状のLEDチップである。
【0055】
発光素子13の正面上には、それぞれ、透光性部材18が透光性の接着剤を介して接着されている。透光性部材18は、それぞれ、フェニル−メチルシリコーン樹脂である母材中に、蛍光体としてマンガン賦活フッ化物蛍光体とβサイアロン系蛍光体を含有する。透光性部材18は、それぞれ、横1.21mm、縦0.24mm、奥行き(厚さ)0.16mmの直方体状の小片である。透光性部材18は、それぞれ、発光素子13側から、母材と蛍光体からなる層及び母材からなる層が積層されている。接着剤は、ジメチルシリコーン樹脂によって形成されている。
【0056】
基材15の正面上には、配線層16上と、発光素子13及び透光性部材18の側方の全周を包囲する、光反射性の被覆部材14が形成されている。被覆部材14は、フェニル−メチルシリコーン樹脂中に、白色顔料として酸化チタンを60wt%含有している。被覆部材14の正面は、透光性部材18の正面と実質的に同一面を構成している。被覆部材の短手方向の側面と基材の短手方向の側面とが実質的に同一平面上にあることが好ましい。また、被覆部材の長手方向の側面と基材の長手方向の側面とが実質的に同一平面上にあることが好ましい。このようにすることで、発光装置を小型化することができる。
【0057】
上述した発光装置に対する比較のために、上述した一対の第1窪み11と、第2窪み12と、第1金属膜21及び第2金属膜22と、ソルダーレジスト19に代えて、基板の背面において、図4に示すような、3つの窪み41と、3つの金属膜42と、3つの金属膜42を同等に被覆し、かつ、上面側において基材を同様に露出するソルダーレジスト43を用いた以外、実質的に実施形態1と同様の発光装置40を作製した。
なお、図4において、a=0.65、b=2.85、c=0.35、d=0.25mmとした。
【0058】
実施形態1の発光装置10と、上述した発光装置40とについて、金−錫系半田(Au:Sn=79:21)からなる半田を用いて実装基板上に接合した際の、実装基板に対する固着強度と、実装性をn=24又は25で評価した。
ここで、固着強度は、まず、発光装置10及び発光装置40の底面と実装基板とを対向させて実装基板に実装し、発光装置の光取り出し面(正面)全体と接するステンレス製の平面板で発光装置10及び発光装置40に荷重印加した。そして、発光装置10及び発光装置40が実装基板から剥がれる時の荷重を測定した。
実装性は、発光装置10及び発光装置40を実装基板に半田を介して載置し、リフロー後に発光装置10及び発光装置40が実装基板上で傾斜したり、基板の背面が実装基板と対向して立ち上がったりするマンハッタン現象の発生の割合を確認した。
【0059】
これらの結果、固着強度は、発光装置10及び発光装置40とでは同等であったが、実装性は、実装不良品の数が発光装置40では25%であったものが、発光装置10では0%にまで低減することができた。従って、発光装置10は、接合強度の向上によってマンハッタン現象の発生を抑制することができた。これにより、発光装置と実装基板の固定が安定するので、発光装置の配向性が良好になったり、発光装置の放熱性が良好になったり、する。
【0060】
<実施の形態2>
実施の形態2の発光装置は、図5に示すように、発光装置の背面が異なる点以外は、実質的に実施の形態1の発光装置10と同様の構成を有する。
基材55の背面50bと底面50cに開口する第1窪み51及び第2窪み52の内部から背面50bにわたってそれぞれ形成された第1金属膜53及び第2金属膜54は、Y方向の幅が略同じである。第1金属膜53は、発光装置10の第1金属膜21よりもX方向に短尺であり、第2金属膜54は、発光装置10の第2金属膜22よりもX方向に長尺となっている。ソルダーレジスト56は、第2窪み52の形状に沿って背面50b上の第2金属膜54を被覆している。
このような構成の基板50を備える発光装置においても、実施の形態1の発光装置10と同様の効果を有する。
【0061】
<実施の形態3>
実施の形態3の発光装置は、図6に示すように、発光装置の背面が異なる点以外は、実質的に実施の形態1及び2の発光装置と同様の構成を有する。
基材65の背面60bと底面60cに開口する第1窪み61及び第2窪み62の内部から背面60bにわたってそれぞれ形成された第1金属膜63及び第2金属膜64は、Y方向の幅が略同じである。第1金属膜63は、発光装置10の第1金属膜21よりもX方向に短尺であり、第2金属膜64は、発光装置10の第2金属膜22よりもX方向に長尺となっている。ソルダーレジスト66は、第2窪み62の形状に沿って背面60b上の第2金属膜64を被覆している。
また、第2金属膜64と接続された第2ビアホール67bは、発光装置10の第1ビアホール17bよりも、第2窪み62により近く配置されている。さらに、第1金属膜63を接続された第1ビアホール67aは、それぞれ2つずつ配置されている。
このような構成の基板60を備える発光装置においても、実施の形態1の発光装置10と同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の一実施の形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10、40 発光装置
11、51、61 第1窪み
12、52、62 第2窪み
13 発光素子
14 被覆部材
15 基材
16 配線層
17 ビアホール
17a、67a 第1ビアホール
17b、67b 第2ビアホール
18 透光性部材
19、43、56、66 ソルダーレジスト
20、50、60 基板
20a 正面
20b、50b、60b 背面
20c、50c、60c 底面
20d、50d、60d 上面
20e 側面
21、53、63 第1金属膜
22、54、64 第2金属膜
41 窪み
42 金属膜
X 長手方向
Y 短手方向
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2018年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向に延長する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面と隣接する底面と、前記底面の反対側に位置する上面とを有する基材と、前記基材の正面上に配線層を備える基板と、
前記配線層に接続され、前記長手方向に並んで設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の側面及び前記基材の前記正面を被覆する光反射性の被覆部材を備える発光装置であって、
前記基板は、
前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記長手方向の両側に配置された一対の第1窪みと、
正面視において前記複数の発光素子の間に位置し、前記基材の前記背面と前記底面とに開口し、前記一対の第1窪みの間に配置された、前記第1窪みよりも、前記短手方向における幅が広い第2窪みと、
前記第1窪み内及び第2窪み内から前記背面にそれぞれ延長した第1金属膜及び第2金属膜と、
前記基材の前記背面上に位置する前記第1金属膜及び前記第2金属膜のそれぞれの少なくとも一部を被覆するソルダーレジストと、を有する発光装置。
【請求項2】
前記基板は、第1ビアホールを有し、前記配線層は、前記第1ビアホールを介して、前記第1窪み内に配置された第1金属膜と接続されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板は、第2ビアホールを有し、前記配線層は、前記第2ビアホールを介して、前記第2金属膜とそれぞれ接続されている請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基材の前記背面において、前記第2金属膜と前記上面との間に前記基材の一部が露出している請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記ソルダーレジストは、前記基材の前記上面と前記背面とが接する端部から前記基材の前記底面と前記背面とが接する端部まで設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1金属膜及び第2金属膜は、前記基材の前記背面において、前記ソルダーレジストから露出しており、該背面で露出した第1金属膜は、前記背面で露出した第2金属膜よりも、前記長手方向に幅広である請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子の正面に配置された透光性部材を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記被覆部材が、前記透光性部材の側面を被覆する請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記被覆部材の短手方向の側面と前記基材の短手方向の側面とが実質的に同一平面上にある請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3B
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3C
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3C
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3D
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3D
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6