(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-197975(P2018-197975A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】過電流保護回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20181116BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20181116BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20181116BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-102629(P2017-102629)
(22)【出願日】2017年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】海瀬 兼介
(72)【発明者】
【氏名】久保田 仁史輝
(72)【発明者】
【氏名】宮島 一之
【テーマコード(参考)】
5F038
5H430
【Fターム(参考)】
5F038BH02
5F038BH06
5F038BH07
5F038BH20
5F038CD02
5F038EZ20
5H430BB01
5H430BB12
5H430EE04
5H430FF07
5H430FF11
5H430HH03
5H430JJ04
5H430LA07
5H430LA21
(57)【要約】
【課題】パワートランジスタと過電流検出トランジスタのゲート・ソース間電圧の差分を無くし、温度特性を解消し、製造バラツキも少なくする。
【解決手段】パワートランジスタM1に対して所定のゲート幅比に設定されドレインが出力端子3に接続された過電流検出トランジスタM2と、過電流検出トランジスタM2のソースと電源端子1との間に接続された過電流検出抵抗R1と、過電流検出抵抗R1に発生する過電流検出電圧と基準電圧を比較するオペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力電圧に応じてパワートランジスタM1と過電流検出トランジスタM2のゲートを過電流制御する過電流制御トランジスタM3と、カレントミラー回路と、カレントミラー回路の第1出力電流が流れることで基準電圧を発生する基準電圧発生抵抗R2と、パワートランジスタM1のゲートと過電流検出トランジスタM2のゲートとの間に接続された電圧補正抵抗R3とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力駆動回路によって駆動されドレインが出力端子に接続されソースが第1電源端子に接続された第1導電型のパワートランジスタ及び前記出力端子と第2電源端子との間に接続される負荷を過電流から保護する過電流保護回路において、
前記パワートランジスタに対して所定のゲート幅比に設定され前記出力駆動回路によって駆動されドレインが前記出力端子に接続された第1導電型の過電流検出トランジスタと、該過電流検出トランジスタのソースと前記第1電源端子との間に接続され過電流検出電圧を発生する過電流検出抵抗と、該過電流検出抵抗に発生する過電流検出電圧と基準電圧を比較するオペアンプと、該オペアンプの出力電圧に応じて前記パワートランジスタと前記過電流検出トランジスタのゲートを制御する第1導電型の過電流制御トランジスタと、電流源と、該電流源の電流を入力して第1出力電流及び第2出力電流を出力するカレントミラー回路と、該カレントミラー回路の前記第1出力電流が流れることで前記基準電圧を発生する前記過電流検出抵抗と同じ温度係数の基準電圧発生抵抗と、前記パワートランジスタのゲートと前記過電流検出トランジスタのゲートとの間に接続され前記カレントミラー回路の前記第2出力電流が流れることで補正電圧を発生する前記過電流検出抵抗と同じ温度係数の電圧補正抵抗とを備え、
前記過電流検出電圧が前記基準電圧と一致するとき、前記補正電圧が前記過電流検出電圧に一致することを特徴とする過電流保護回路。
【請求項2】
請求項1に記載の過電流保護回路において、
前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗は同じ抵抗値に設定され、前記カレントミラー回路の前記第1出力電流と前記第2出力電流は同じ電流に設定されていることを特徴とする過電流保護回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の過電流保護回路において、
前記過電流保護回路は前記パワートランジスタと共に半導体集積回路で構成され、前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗は前記半導体集積回路の同じアイランド上に形成されていることを特徴とする過電流保護回路。
【請求項4】
請求項3に記載の過電流保護回路において、
前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗を、同じアイランド上に形成された第1導電型の第1デプレッショントランジスタ、第2デプレッショントランジスタ、及び第3デプレッショントランジスタにそれぞれ置き換えたことを特徴とする過電流保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は過電流からパワートランジスタ及び負荷を保護する過電流保護回路に係り、特に温度の影響を受け難く製造バラツキも少ない過電流保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PMOSのパワートランジスタM1と負荷6を過電流から保護する従来の過電流保護回路例10Gを
図7に示す(特許文献1,2)。1は高電位電圧VDDが印加する高電位電源端子、2は低電位電圧VSSが印加する低電位電源端子、3は出力端子、4は出力駆動回路、6は出力端子3と低電位電源端子2の間に接続された負荷、7は基準電圧VREFを生成する基準電圧源である。
【0003】
パワートランジスタM1は、ソースが高電位電源端子1に接続されドレインが出力端子2に接続されゲートが出力インピーダンス調整抵抗R4を介して出力駆動回路4に接続されている。M2はPMOSの過電流検出トランジスタであり、ソースが過電流検出抵抗R1を介して高電位電源端子1に接続されドレインが出力端子3に接続されゲートがパワートランジスタM1のゲートに接続されている。OP1はオペアンプであり、反転入力端子が基準電圧源7に接続され非反転入力端子が過電流検出トランジスタM2のソースに接続されている。M3はPMOSの過電流制御トランジスタであり、ソースが高電位電源端子1に接続されドレインがパワートランジスタM1、過電流検出トランジスタM2のゲートに接続され、ゲートがオペアンプOP1の出力端子に接続されている。
【0004】
図7の過電流保護回路10Gは、出力駆動回路4からの信号を受けて駆動されるパワートランジスタM1のソース・ドレイン間に流れる電流を、過電流検出トランジスタM2の電流に置き換えて検出するもので、過電流検出抵抗R1の両端に発生する電圧VR1は、過電流検出トランジスタM2に流れる電流をI2とし、過電流検出抵抗R1の抵抗値をR1とすると、
VR1=I2×R1 (1)
となる。
【0005】
この電圧VR1と基準電圧VREFがオペアンプOP1で比較され、そのオペアンプOP1の出力端子の電圧によって過電流制御トランジスタM3のゲートが制御される。このとき、過電流検出トランジスタM2のゲートは過電流制御トランジスタM3のドレインに接続されているので、過電流検出トランジスタM2と過電流制御トランジスタM3は、
VR1=VREF (2)
となるように負帰還制御される。そして、パワートランジスタM1のゲートも同時に制御されるので、これらによって、パワートランジスタM1に流れる電流が基準電圧VREFに対応した電流に制限され、過電流保護が行われる。
【0006】
ここで、パワートランジスタM1のゲート幅W1と過電流検出トランジスタM2のゲート幅W2をW1:W2=100:1に設定し、VREF=1V、R1=100Ωとする。このとき、パワートランジスタM1に過電流1.1Aが流れたとすると、過電流検出トランジスタM2の電流は、パワートランジスタM1に流れる電流の1/100となることから11mAとなる。そして、過電流検出抵抗R1の両端に発生する電圧VR1は、
VR1=11mA×100Ω=1.1V (3)
となる。
【0007】
これによって、オペアンプOP1は差分(1.1V−1.0V=0.1V)に応じて過電流制御トランジスタM3のゲート電圧を低下させるので、そのトランジスタM3のドレイン電圧が高くなり、過電流検出トランジスタM2のゲート電位が上昇して過電流検出抵抗R1に流れる電流を減少させ、過電流検出抵抗R1に発生する電圧VR1が1Vになるように、トランジスタM1とM2のゲート電圧がトランジスタM3によって引き上げられる。これにより、トランジスタM1,M2に流れる電流は制限され、パワートランジスタM1と負荷6が過電流から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−066984号公報
【特許文献2】特開2014−154669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、
図7の過電流保護回路10Gでは、電流制限時(VR1=VREF)において過電流検出トランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2が、パワートランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgs1に比べ、過電流検出抵抗R1に発生する電圧VR1の分だけ少なく印加されており、過電流検出トランジスタM2にはゲート幅比100:1の比に応じた電流は流れていない。このように、過電流検出トランジスタM2にパワートランジスタM1とのゲート幅比に正確に応じた電流を流すことができないので、過電流制限値に応じた正確な過電流保護動作を行うことができない。
【0010】
また、上記のような構成では、過電流検出抵抗R1が正の温度特性を持っていた場合、高温になるに従いその過電流検出抵抗R1に発生する電圧VR1は大きくなり、基準電圧VREFが温度特性を持たないとすると、過電流制限値が下降して、過電流状態でないにも拘わらず過電流保護動作が行われる。逆に過電流検出抵抗R1が負の温度特性を持つ場合は、過電流制限値が上昇して過電流状態であるにも拘わらず過電流保護動作が行われなくなる。
【0011】
そこで、基準電圧VREFにも温度特性を持たせて、過電流検出抵抗R1の温度特性をキャンセルすることも可能であるが、過電流検出抵抗R1は基準電圧VREFと独立した製造バラツキを持つため、安定してキャンセルすることは期待できない。このように
図7の過電流保護回路10Gでは、電流制限値が温度によって大きく変動したり製造バラツキの影響を受ける問題があった。
【0012】
本発明の目的は、温度特性を解消し、さらに製造バラツキも少なくし、過電流制限値に応じた正確な過電流保護動作が行われるようにした過電流保護回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、出力駆動回路によって駆動されドレインが出力端子に接続されソースが第1電源端子に接続された第1導電型のパワートランジスタ及び前記出力端子と第2電源端子との間に接続される負荷を過電流から保護する過電流保護回路において、前記パワートランジスタに対して所定のゲート幅比に設定され前記出力駆動回路によって駆動されドレインが前記出力端子に接続された第1導電型の過電流検出トランジスタと、該過電流検出トランジスタのソースと前記第1電源端子との間に接続され過電流検出電圧を発生する過電流検出抵抗と、該過電流検出抵抗に発生する過電流検出電圧と基準電圧を比較するオペアンプと、該オペアンプの出力電圧に応じて前記パワートランジスタと前記過電流検出トランジスタのゲートを制御する第1導電型の過電流制御トランジスタと、電流源と、該電流源の電流を入力して第1出力電流及び第2出力電流を出力するカレントミラー回路と、該カレントミラー回路の前記第1出力電流が流れることで前記基準電圧を発生する前記過電流検出抵抗と同じ温度係数の基準電圧発生抵抗と、前記パワートランジスタのゲートと前記過電流検出トランジスタのゲートとの間に接続され前記カレントミラー回路の前記第2出力電流が流れることで補正電圧を発生する前記過電流検出抵抗と同じ温度係数の電圧補正抵抗とを備え、前記過電流検出電圧が前記基準電圧と一致するとき、前記補正電圧が前記過電流検出電圧に一致することを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の過電流保護回路において、前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗は同じ抵抗値に設定され、前記カレントミラー回路の前記第1出力電流と前記第2出力電流は同じ電流に設定されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の過電流保護回路において、前記過電流保護回路は前記パワートランジスタと共に半導体集積回路で構成され、前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗は前記半導体集積回路の同じアイランド上に形成されていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の過電流保護回路において、前記過電流検出抵抗、前記基準電圧発生抵抗、及び前記電圧補正抵抗を、同じアイランド上に形成された第1導電型の第1デプレッショントランジスタ、第2デプレッショントランジスタ、及び第3デプレッショントランジスタにそれぞれ置き換えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電圧補正抵抗によってパワートランジスタと過電流検出トランジスタのゲート・ソース間電圧の差分を無くすことができるので、過電流検出トランジスタにパワートランジスタとのゲート幅比に応じた正確な電流を流すことができ、過電流制限値に応じた正確な過電流保護動作を行うことができる。また、過電流検出抵抗、基準電圧発生抵抗、及び電圧補正抵抗が同じ温度係数を持つので、過電流制限値が温度特性を持つことを防止できる。さらに、基準電圧を特別な基準電圧源を使用せずそれら過電流検出抵抗や電圧補正抵抗と同じ抵抗素子である基準電圧発生抵抗で生成するので製造バラツキも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【
図2】本発明の第2の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【
図3】本発明の第3の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【
図4】本発明の第4の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【
図5】本発明の第5の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【
図6】本発明の第6の実施例の過電流保護回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施例>
図1に本発明の第1実施例の過電流保護回路10Aを示す。
図7で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明は省略する。
図1において、5は電流Iaを流す電流源である。Q4,Q5,Q6はミラー比が1:1:1のカレントミラー回路を構成するNPNトランジスタであり、電流源5の電流IaがトランジスタQ4のコレクタとベースに入力することにより、トランジスタQ5,Q6のコレクタから同様の電流Iaが出力する。オペアンプOP1の反転入力端子と正電位電源端子1との間には、基準電圧源7に代えて過電流検出抵抗R1と同じ温度係数の基準電圧発生抵抗R2が接続されており、この基準電圧発生抵抗R2にトランジスタQ5のコレクタ電流Iaが流れることにより、そこに基準電圧VREFが発生する。トランジスタQ6のコレクタには、過電流検出トランジスタM2のゲートが接続され、さらに電圧補正抵抗R3を介してパワートランジスタM1のゲートが接続されている。この電圧補正抵抗R3には過電流検出抵抗R1に発生する電圧に対応した電圧が発生する。
【0017】
このように、本実施例は、
図7の過電流保護回路10Gとは、基準電圧VREFを電流源5の電流Iaとカレントミラー回路を用いて基準電圧発生抵抗R2にその電流Iaを流すことで発生している点と、過電流検出トランジスタM2のゲート電圧Vg2をパワートランジスタM1のゲート電圧Vg1から基準電圧VREF相当分だけ減算する電圧補正抵抗R3による減算回路を追加している点が異なる。
【0018】
抵抗R1,R2,R3の抵抗値をR1,R2,R3とすると、R1=R2=R3に設定されている。そして、追加された基準電圧発生抵抗R2の両端子に発生する電圧VR2は、
VR2=Ia×R2 (4)
となる。
【0019】
また、電圧補正抵抗R3に発生する電圧VR3は、
VR3=Ia×R3 (5)
であり、過電流検出トランジスタM2に印加されるゲート電圧Vg2は、パワートランジスタM1のゲート電圧Vg1とすると、
Vg2=Vg1−VR3 (6)
のように、電圧Vg1よりも電圧VR3だけ減算された電圧となる。
【0020】
さらに、過電流検出トランジスタM2に検出電流I2が流れることで、過電流検出抵抗R1の両端に発生する検出電圧VR1は、
VR1=I2×R1となる。 (7)
【0021】
ここで、電流制限の境界条件は、VR1=VR2であることから、過電流制限時には式(7)と(4)から
I2×R1=Ia×R2 (8)
となり、R1=R2であるので、
I2=Ia (9)
となる。
【0022】
そして、R2=R3であるので式(4)と(5)と(9)から、過電流制限時には、
VR2=VR3 (10)
となり、結局、
VR1=VR2=VR3 (11)
となる。
【0023】
以上から、過電流制限時には、パワートランジスタM1と過電流検出トランジスタM2のゲート・ソース間電圧は同一となり、過電流検出トランジスタM2にパワートランジスタM1とのゲート幅比に応じた正確な電流を流すことができ、過電流制限値に応じた正確な過電流保護動作を行うことができる。
【0024】
また、過電流検出抵抗R1、基準電圧発生抵抗R2、電圧補正抵抗R3は、同じ半導体集積回路の同じアイランド上に同じ製法で形成することで同じ温度特性を持つことから、全温度範囲に渡って過電流制限値にバラツキの少ない良好な過電流保護が実現できる。
【0025】
さらに、過電流検出抵抗R1、基準電圧発生抵抗R2、電圧補正抵抗R3は、同じ半導体集積回路の同じアイランド上に同じ製法で形成することで、それらの抵抗R1,R2,R3の製造バラツキも少なくでき、過電流制限値にさらにバラツキの少ない良好な過電流保護が実現できる。
【0026】
さらに、本実施例では基準電圧を基準電圧発生抵抗R2に電流Iaを流すことで発生しているので、その電流Iaの値を適宜設定することで、過電流制限値を適宜設定することができる。このとき、式(11)の関係が崩れることはない。
【0027】
さらに、トランジスタQ4,Q5,Q6を半導体集積回路の同じアイランド上に形成することにより、カレントミラー比の精度を高くすることができる。
【0028】
<第2実施例>
図2に本発明の第2実施例の過電流保護回路10Bを示す。
図1で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明は省略する。本実施例では、カレントミラー回路を構成するバイポーラのNPNトランジスタQ4,Q5,Q6を、それぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成されるNMOSのトランジスタM4,M5,M6に置き換えている。このように、バイポーラトランジスタをMOSトランジスタに置き換えても、
図1の過電流保護回路10Aと同様に動作する。
【0029】
<第3実施例>
図3に本発明の第3実施例の過電流保護回路10Cを示す。
図2で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明は省略する。本実施例では、過電流検出抵抗R1、基準電圧発生抵抗R2、電圧補正抵抗R3を、それぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成されるデプレッションのPMOSトランジスタM7,M8,M9で実現している。製造工程が異なることのある抵抗と比較して、デプレッショントランジスタを用いる場合は同一の製造工程であることから、エンハンスメントのPMOSトランジスタM1,M2と同じ温度特性を容易に実現できる利点がある。
【0030】
<第4実施例>
図4に本発明の第4実施例の過電流保護回路10Dを示す。
図1の過電流保護回路10Aではソース電流に対して過電流保護を行っていたのに対し、本実施例ではシンク電流に対して過電流保護を行うようにしている。11は高電位電圧VDDが印加する高電位電源端子、12は低電位電圧VSSが印加する低電位電源端子、13は出力端子、14は出力駆動回路、16は出力端子13と高電位電源端子11の間に接続された負荷である。
【0031】
M11はNMOSのパワートランジスタであり、ソースが低電位電源端子12に接続されドレインが出力端子13に接続されゲートが出力インピーダンス調整抵抗R14を介して出力駆動回路14に接続されている。M12はNMOSの過電流検出トランジスタであり、ソースが過電流検出抵抗R11を介して低電位電源端子12に接続されドレインが出力端子13に接続されている。OP11はオペアンプであり、反転入力端子が基準電圧発生抵抗R12を介して低電位電源端子12に接続され非反転入力端子がトランジスタM12のソースに接続されている。M13はNMOSの過電流制御トランジスタであり、ソースが低電位電源端子12に接続されドレインがトランジスタM11のゲートに接続され、ゲートがオペアンプOP11の出力端子に接続されている。電圧補正抵抗R13はパワートランジスタM11と過電流検出トランジスタM12のゲート・ソース間電圧を同一にするための加算回路として働く。15は電流源であり、PNPトランジスタQ14,Q15,Q16からなるカレントミラー回路に対して電流Iaを供給している。
【0032】
過電流検出抵抗R11、基準電圧発生抵抗R12、電圧補正抵抗R13は、それぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成される。また、トランジスタQ14,Q15,Q16もそれぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成される。本実施例の過電流保護回路10Dは、
図1で説明した過電流保護回路10Aと同様に動作するので、詳細説明は省略する。
【0033】
<第5実施例>
図5に本発明の第5実施例の過電流保護回路10Eを示す。
図4で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明は省略する。本実施例では、カレントミラー回路を構成するバイポーラのトランジスタQ14,Q15,Q16を、それぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成されるPMOSのトランジスタM14,M15,M16に置き換えている。このように、バイポーラトランジスタをMOSトランジスタに置き換えても、
図4の過電流保護回路10Dと同様に動作する。
【0034】
<第6実施例>
図6に本発明の第6実施例の過電流保護回路10Fを示す。
図5で説明したものと同じものには同じ符号をつけて重複説明は省略する。本実施例では、過電流検出抵抗R11、基準電圧発生抵抗R12、電圧補正抵抗R13を、それぞれ半導体集積回路の同じアイランド上に形成されるデプレッションのNMOSトランジスタM17,M18,M19で実現している。製造工程が異なることのある抵抗と比較して、デプレッショントランジスタを用いる場合は同一の製造工程であることから、エンハンスメントのNMOSトランジスタM11、M12と同じ温度特性を容易に実現できる利点がある。
【符号の説明】
【0035】
10A,10B,10C,10D,10E,10E,10F:過電流保護回路
1,11:高電位電源端子、2,12:低電位電源端子、3,13:出力端子、4,14:出力駆動回路、5,15:電流源、6,16:負荷、7:基準電圧源
M1,M11:パワートランジスタ、M2,M12:過電流検出トランジスタ、M3,M13:過電流制御トランジスタ
R1,R11:過電流検出抵抗、R2,R12:基準電圧発生抵抗、R3,R13:電圧補正抵抗