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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202572(P2018-202572A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】切断機
(51)【国際特許分類】
   B23D 15/06 20060101AFI20181130BHJP
   B23D 15/04 20060101ALI20181130BHJP
   B23D 33/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B23D15/06 Z
   B23D15/04
   B23D33/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-112895(P2017-112895)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(72)【発明者】
【氏名】臼田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】桐嶋 輝俊
(72)【発明者】
【氏名】永元 良治
【テーマコード(参考)】
3C039
3C051
【Fターム(参考)】
3C039AA02
3C039AA25
3C039AA31
3C039AA35
3C051AA14
3C051BB11
(57)【要約】
【課題】ワークを奥向きに押し込むワーク押し具の下面とテーブルとの間にある隙間に、ワークの後側辺縁部を噛み込まない切断機を提供する。
【解決手段】ワーク10を載置するテーブル20と、テーブル20の奥側辺縁部21でワーク10に対する切断予定線12を形成するように固定された下刃30と、下刃30に噛み合わせるための上下動作が可能な上刃40と、切断予定線12に対する直角な方向Xにワーク10を移動させるワーク送り手段50と、ワーク10をワーク送り手段50の停止中にテーブル20の上方から押圧して固定するワーク固定手段60と、テーブル20の載置面22のうち、ワーク固定手段60の押圧面61に干渉しない側方に配設された帯状スペーサ80と、を備えた。また、帯状スペーサ80の長辺は、テーブル20の載置面22のうち、ワーク固定手段60の押圧面に干渉しない最長の長さXLに設定した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを上方から厚さ方向にせん断して短冊状に切断する切断機であって、
ワークを載置するテーブルと、
該テーブルの奥側辺縁部で前記ワークに対する切断予定線を形成するように固定された下刃と、
該下刃に対して一定の隙間を保った状態で押し下げられることにより前記ワークに対してせん断力を付与する、上下動作が可能な上刃と、
前記切断予定線に対する直角な方向に前記ワークを移動させるワーク送り手段と、
前記ワーク送り手段の停止中に前記ワークを前記テーブルの上方から押圧して固定するワーク固定手段と、
前記テーブルの載置面における前記ワーク固定手段の押圧面に干渉しない側方で、前記切断予定線に対する直角な方向に延設されて、前記ワークを前記載置面から持ち上げる帯状スペーサと、
を備えた切断機。
【請求項2】
前記帯状スペーサの長辺は、前記テーブルの載置面のうち、前記ワーク固定手段の押圧面に干渉しない最長の長さに設定された請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
前記ワーク送り手段の前方には、
前記ワーク固定手段の押圧面と、前記帯状スペーサと、の何れにも干渉しない位置・姿勢でワーク押し具が付設され、
該ワーク押し具の前方下部には、前記載置面からの高さが前記帯状スペーサの高さを超えずに底部が前方へ突出するL字型凸条をさらに備えた請求項1又は2に記載の切断機。
【請求項4】
前記L字型凸条が前方に突出した長さは、前記ワークが切断される直前のタイミングで前記ワーク押し具が後退動作する後退距離よりも長く設定された請求項3に記載の切断機。
【請求項5】
前記ワーク押し具の前方上部には、さらに前方へ突出するL字型凸条を備えている請求項3又は4に記載の切断機。
【請求項6】
前記帯状スペーサで前記ワーク押し具が近接し得る手前側の端部には、先細りの上り勾配が設けられた請求項3〜5の何れかに記載の切断機。
【請求項7】
前記ワークは板厚5〜20mmの金属板である請求項1〜6の何れかに記載の切断機。
【請求項8】
前記板状ワークは純度が99.9重量%以上の電気ニッケル板である請求項1〜7の何れかに記載の切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材等を厚さ方向にせん断して切断する切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
電解法によるニッケルの製造においては、まず、ニッケルとは別種の金属であって繰り返し使用できる材質(例えば、ステンレスやチタン等)の母板をカソードとして用い、ニッケルを厚さ0.5〜1.5mmまで電着させ、剥ぎ取ったニッケル板を成形して種板を得る。次に、厚さが1mm程度の薄い種板に懸垂用の吊り手とクロスビームを取付け、カソードを作製する。そのカソードの表面に、電解槽内でニッケルを電着させて、厚さ10〜15mmの電気ニッケル板を得る。電解槽は横長の立方体形状のタンクであり、その電解槽内にカソードを立てて平行に等間隔で並べた間に、アノード単体か、あるいはアノード隔膜で覆ったアノードが電解槽中で交互に挿入されるように配置される。この電解槽に不純物を含まない電解液を供給しつつ、アノードとカソード間に高電流を流すことによって、ニッケルの電解精製、又は電解採取が行われている。
【0003】
上記電気ニッケル板は、純度が99.9重量%以上の高純度なものであるが、顧客における取扱いの容易性のため、さらに小片に切断して付加価値を高めた上で、荷造りされ出荷される。得られた電気ニッケル板は、切断工程にて、25〜100mm角の角形に切断されたニッケルピース(矩形ピース)に製品化される。
【0004】
具体的には、切断工程では、電気ニッケル板が、縦横の切断方向別に専用の切断機(以下、「1次切断機」、「2次切断機」又は両方を総称して「切断機」という)によって、例えば、縦横100mmのブロックに切断されて製品となる。
【0005】
電気ニッケル板は、吊り手が取り付けられた状態で1次切断機にセットされ、まず吊り手を切断し、引き続き電着部分(以下、「電気ニッケル板本体」ともいう)を切断する。1次切断された電気ニッケル板本体は短冊状であるが、さらに後続する別の2次切断機に長手方向に整列させて装入し、すなわち、切断方向を90度変更して切断することにより、ブロック状の製品を得ている。また、切断された吊り手リボンは回収されて別途再利用される。
【0006】
特許文献1には、厚さ10〜15mmの電気ニッケル板を25〜100mm角の角形に切断して製品化する方法において、商品価値の高い製品を歩留まり良く生産するために工夫された技術が記載されている。その技術は、切断される矩形ピース(ブロック状の製品)毎に孔径2〜7mmの透孔を設けた種板を使用することにより、種板の両面に電着させた電気ニッケルをピースに切断する際に種板面から剥離させないようにするというものである。
【0007】
しかしながら、種板面から剥離させない効果を得るため種板に設けた透孔について、その孔径の大きさは2mm以上であるが、それを孔径7mm以上にすると、カソードの電流密度が大きくなると共に、不均一になるため、製品の表面に凹凸が残るという副作用が生じる。このような副作用は、商品価値を落とすばかりでなく、切断工程において、切断機の円滑な動作に支障を及ぼす不具合をもたらすので避ける必要があった。これに限らず、諸般の原因によって切断前の元板には、その表面にある程度の凹凸が生じることがある。
【0008】
また、極薄の種板に電着させて形成される元板は、種板の段階から既に歪んでいることもあるので、たとえその表面に凹凸が少ないとしても、平坦度に相当のバラツキが生じている。このように歪んだ元板に対し、ローラー又はプレス等を用いて歪を平坦に矯正する作業も考えられる。さらに、電解操業中のアノードとカソードの位置関係等に起因する電流分布のバラツキの影響で、電気ニッケル板の両側端や下端は薄くなる傾向にある。特許文献2には、カソードの歪により生じるカソードとアノードとの接触を防ぎ、且つ切断時のプッシャー噛み込みの発生及びそれに伴うサイズ不良品の発生を抑えるためのカソードスペーサーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−33798号公報
【特許文献2】特開2011−162824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ローラー又はプレス等を用いて歪を平坦に矯正する作業は、作業負荷が高い上、期待どおりに完全な歪矯正を行うことができない。したがって、切断工程に臨む切断前の電気ニッケル板は、必ずしも表面が平坦で厚さが均一というものではなく、表面には凹凸があり、辺縁部では厚さが先細りに傾斜していたりすることを前提に工程設計及び工程管理する必要がある。
【0011】
これらの配慮が足りない場合、電気ニッケル板(ワーク)送り手段が形成するプッシャー(ワーク押し具)の前方下面と水平台(テーブル)との間に設けられた隙間に、厚さが先細りに傾斜したワークの後側辺縁部が挟まれて噛み込み等の不具合を生じて作業停止を余儀なくされるという問題がある。なお、ワーク送り手段が形成するワーク押し具の下面とテーブルとの間に設けられた隙間は、円滑動作の観点から無くすことはできない。
【0012】
これらの結果、設備の稼働率が低下して生産効率が低下する。それだけでなく、その復旧作業には、運転員が切断機のワーク押し具まで近づいて、その隙間に噛み込んだ元板を手作業により排除する必要があり、大きな危険が伴うという問題がある。なお、噛み込み等の不具合が発生する頻度は、切断前の電気ニッケル板に歪みや凹凸があるほか、辺縁部の厚さに先細りがある場合に甚だしい。
【0013】
切断前の電気ニッケル板、すなわち板状のワークに歪みや凹凸があるほか、その辺縁部の厚さに先細りがある場合に、ワーク送り手段が形成するワーク押し具の前方下面とテーブルとの間に設けられた隙間に発生しがちな噛み込み等の不具合を抑制できる切断機を提供することが求められていた。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ワークを奥向きに押し込むワーク押し具の下面と、テーブルと、の間にある隙間にワークの後側辺縁部を噛み込ませない切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために、ワークをテーブルから浮かせ、押し具の下端より持ち上げることで、テーブルの載置面と押し具の底面との間にワークの後側辺縁部が噛み込む不具合を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
本発明の一態様は、板状のワーク(10)を上方から厚さ方向にせん断して短冊状に切断する切断機(100,200,300)であって、
ワーク(10)を載置するテーブル(20)と、
該テーブル(20)の奥側辺縁部(21)で前記ワーク(10)に対する切断予定線(12)を形成するように固定された下刃(30)と、
該下刃(30)に対して一定の隙間(G)を保った状態で押し下げられることにより前記ワーク(10)に対してせん断力を付与する、上下動作が可能な上刃(40)と、
前記切断予定線(12)に対する直角な方向(X)に前記ワーク(10)を移動させるワーク送り手段(50,59)と、
前記ワーク送り手段(50,59)の停止中に前記ワーク(10)を前記テーブル(20)の上方から押圧して固定するワーク固定手段(60)と、
前記テーブル(20)の載置面(22)における前記ワーク固定手段(60)の押圧面(61)に干渉しない側方で、前記切断予定線(12)に対する直角な方向(X)に延設されて、前記ワーク(10)を前記載置面(22)から持ち上げる帯状スペーサ(80,90)と、
を備えたものである。
【0017】
また、本発明の一態様において、前記帯状スペーサ(80,90)の長辺は、前記テーブル(20)の載置面(22)のうち、前記ワーク固定手段(60)の押圧面(61)に干渉しない最長の長さ(XL)に設定されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の一態様において、前記ワーク送り手段(50)の前方には、
前記ワーク固定手段(60)の押圧面と、前記帯状スペーサ(80,90)と、の何れにも干渉しない位置・姿勢でワーク押し具(51)が付設され、
該ワーク押し具(51)の前方下部には、前記載置面(22)からの高さ(Z)が前記帯状スペーサ(80)の高さ(H)を超えずに底部が前方へ突出するL字型凸条(52)をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
また、本発明の一態様において、前記L字型凸条(52)が前方に突出した長さ(XA)は、前記ワーク(10)が切断される直前のタイミングで前記ワーク押し具(51)が後退動作する後退距離(XB)よりも長く設定されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の一態様において、前記ワーク押し具(51)の前方上部には、さらに前方へ突出するL字型凸条(53)を備えていることが好ましい。
【0021】
また、本発明の一態様において、前記帯状スペーサ(90)で前記ワーク押し具(58)が近接し得る手前側の端部(98)には、先細りの上り勾配が設けられていることが好ましい。
【0022】
また、本発明の一態様において、前記ワーク(10)は板厚5〜20mmの金属板であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の一態様において、前記板状ワーク(10)は純度が99.9重量%以上の電気ニッケル板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ワークを奥向きに押し込むワーク押し具の下面と、テーブルと、の間にある隙間にワークの後側辺縁部を噛み込ませない切断機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る切断機(以下、「一次切断機」又は「本機」ともいう)を備えたニッケルピース(矩形ピース)形成用切断設備の概略を示す模式平面図である。
図2図1に示した本機の概略を示す平面図である。
図3図2に示した本機のうち、ワーク押し具の前方の上下部にL字型凸条を備えた実施例1を示す側面図である。
図4図3に示した本機において、ワーク押し具が板状ワーク(以下、単に「ワーク」ともいう)を押し込む状態を説明するための拡大側面図である。
図5図3及び図4に示したL字型凸条を備えたワーク押し具と、帯状スペーサにより持ち上げられたワークと、により噛み込みを回避する作用を説明するための斜視図であり、図5(A)はワーク押し具、図5(B)はワーク押し具が後退動作した状態を、それぞれ示している。
図6図3図5に示したワーク押し具により噛み込みを回避する作用を説明するための側面図であり、図6(A)は概略側面図、図6(B)は破線で囲んだP部をさらに拡大した拡大側面図、をそれぞれ示している。
図7図6に対し、L字型凸条を省略した実施例2に係る本機の問題点を説明するための側面図であり、図7(A)は概略側面図、図7(B)は破線で囲んだQ部をさらに拡大した拡大側面図、をそれぞれ示している。
図8図7に対し、手前側の端部に傾斜をつけた帯状スペーサに置き換えた実施例3に係る本機の作用を説明するための拡大側面図であり、図8(A)はワーク後方の辺縁部が上り勾配に差し掛かる手前の段階、図8(B)は上り勾配を超える段階を、それぞれ示している。
図9図1図8に示した本機におけるバックゲージの機能を説明するための側面図である。
図10図9に示した本機のバックゲージに対するワーク押し具の後退動作を説明するための側面図である。
図11図9及び図10に示した本機において、ワーク押し具の下面とテーブルの間にある隙間にワークの後側辺縁部が噛み込んだ状態を説明するための拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。また、各図にわたって、同一効果の部材及び箇所には、外形に多少の違いがあっても同一符号を付して説明の重複を避けている。
【0027】
図1は、本機を備えたニッケルピース(矩形ピース)形成用切断設備の概略を示す模式平面図である。図1に示すように、ニッケルピース(矩形ピース)形成用切断設備900は、1次切断機100,200,300と、2次切断機410と、ニッケルカソード板搬入ロボット800、搬送手段500,600と、より構成されている。
【0028】
ニッケルカソード板搬入ロボット800は、板状ワーク10(図3図11)を1次切断機100に搬入し装填する。1次切断機100は、装填された板状ワーク10を切断して短冊状半製品(短冊状板)13にする。短冊状板13は、搬送手段500により、2次切断機410へ搬入される。2次切断機410は、短冊状板13が直角に方向転換されると共に、搬入された短冊状板13を切断してブロック状の製品(矩形ピース)14にする。矩形ピース14は、搬送手段600により搬出されると共に不図示の荷造り工程へ移動される。
【0029】
また、1次と2次と何れの切断機100〜300、410も電気ニッケル板(ワーク)を上方から厚さ方向にせん断して切断する。上述のように、板状ワーク10は、1次切断機100で短冊状板13に切断された後、2次切断機410で矩形ピース14に切断される。なお、板状ワーク10について、純度が99.9重量%以上のニッケルカソード板、すなわち、電気ニッケル板を例示したが、これは一例に過ぎない。すなわち、ワーク10は、板厚5〜20mmでニッケル以外の金属板であっても構わない。さらに、板状ワーク10が樹脂板であっても本発明を適用できる。
【0030】
図2は、図1に示した本機の概略を示す平面図である。図2に示す本機100,200,300、及び前提技術としての1次切断機400は、板状ワーク10を短冊状板13に切断する1次切断機である。一方、短冊状板13を矩形ピース14へと細分化する2次切断機410について、これ以降は詳細な説明を省略する。したがって、1次と2次との区別も不要である。
【0031】
なお、図2及び図4で示す後退距離XBについては後述するが、ワーク10を切断する直前のタイミングで押し具51が後退する。後退する理由は以下のとおりである。すなわち、ワーク10を切断する際、押し具51によるワーク10の押し付けを解消することにより、ワーク固定手段60の押圧面61によるワーク10の固定を確実にすると共に、押し具51を切断の衝撃から保護するためである。
【0032】
また、実施例1に係る1次切断機100と、実施例2に係る1次切断機200と、実施例3に係る1次切断機300と、前提技術としての1次切断機400と、の相違点については後述する。以下、これらの共通点も含めて、実施例1に係る切断機100により代表して説明する。
【0033】
[実施例1]
図3は、図2に示した本機のうち、ワーク押し具の前方の上下部にL字型凸条を備えた実施例1を示す側面図である。図3に示すように、切断機100は、板状のワーク10を上方から厚さ方向にせん断して短冊状に切断するものである。切断機100は、テーブル20と、下刃30と、上刃40と、ワーク送り手段50と、ワーク固定手段60と、バックゲージ70と、帯状スペーサ80と、を備えて構成されている。
【0034】
テーブル20は、ワーク10を載置するための水平面でなる載置面22を有する。下刃30は、このテーブル20の奥側辺縁部21でワーク10に対する切断予定線12を形成するように固定されている。上刃40は、その下刃30に対して一定の隙間Gを保った状態で押し下げられることによりワーク10に対してせん断力を付与するための上下動作が可能なように配設されている。また、各図に示した下刃30及び上刃40は、2本が互いに独立した角柱に近い直方体の金属ブロックからなる刃物である。
【0035】
なお、本機100〜400の機械動作を円滑にすると供に、不必要な刃の摩耗を避けるため、下刃30と上刃40とのすれ違い面どうしの間にわずかな隙間Gが設けられている。すなわち、下刃裏面32と上刃裏面42との隙間Gを10〜500μmに保持するように設計されている。
【0036】
一例として、隙間G=100μmの設定により、刃の摩耗が少なく、しかもワーク10の切断部における折れ曲がりや、切断面のバリ等が生じない点で好結果が得られる。なお、隙間Gを始めとして、各図の縮尺は適宜変化させている。特に図3図9及び図10に示す隙間Gは実際には微小であり、切断予定線12はテーブル20の奥側辺縁部21に概ね一致している。
【0037】
ワーク送り手段50は、切断予定線12に対する直角な方向Xに沿ってワーク10を手前から切断予定線12へ近づけることが可能に構成されている。ワーク送り手段50は、電気ニッケル板搬入ロボット800がワーク10をテーブル20の載置面22に装填する動作に連係して進退動作する。ワーク送り手段50の下面には、ワーク押し具51が付設されている。
【0038】
このワーク押し具51は、ワーク固定手段60の押圧面と、帯状スペーサ80と、の何れにも干渉しない位置及び姿勢で、配設備されている。バックゲージ70は、ワーク送り手段50に対し、短冊状板13に切断するためのピッチ設定用の位置規制部材である。
【0039】
図2及び図3に示すように、ワーク固定手段60は、切断予定線12に合わせて装填されたワーク10を、ワーク送り手段50の停止中に、テーブル20の上方から押圧して固定する。これらの連係動作についての詳細は後述する。切断機100,200において、帯状スペーサ80は、テーブル20の載置面22のうち、ワーク固定手段60の押圧面61に干渉しない側方で、少なくとも片側に配設されている。
【0040】
帯状スペーサ80は、ワーク10をテーブル20の載置面22から持ち上げるように配設されている。より詳しくは、この載置面22における指定された領域、すなわち、ワーク固定手段60の押圧面61に干渉しない側方の領域で、切断予定線12に対する直角な方向Xに長手方向を一致させるように延設されている。この帯状スペーサ80の長辺は、テーブル20の載置面22のうち、ワーク固定手段60の押圧面に干渉しない最長の長さXL(図2及び図3)に設定されている。これに反し、帯状スペーサ80が、ワーク固定手段60の押圧面61の下部に入り込む程の長さに延在させた場合、ワーク10がテーブル20の載置面22上で水平に固定されないため、切断後の短冊状板13に異形等の不具合が発生する。
【0041】
ここで、切断機200として、図3に示す切断機100の押し具51からL字型凸条52,53を省略した場合を考慮する。帯状スペーサ80はテーブル20の載置面22におけるX方向の1辺全てを占有することができない。この点をより詳しく説明する。例えば、縦1000mm横100mmの短冊状板13を8枚得たい場合、用意された縦1000mm横800mmの電気ニッケル板によるワーク10を切断して細分化する工程を7回繰り返して8枚の短冊状板13を得る。ここで、切断機200における7度目、すなわち最後の切断において、ワーク10は帯状スペーサ80から離れ、押し具51の下端より上部に載置される状態を保持することができなくなる。なお、実施例2に係る本機200について、そのワーク送り手段59の押し具58の前方にL字型凸条52,53が無いものを後述している。
【0042】
すなわち、押し具51のL字型凸条52によって、ワーク10は常に押し具51の下端よりも高く浮いた状態となる。そこで、図3に示す切断機100の押し具51にL字型凸条52を突設することによって、かかる不具合を解消できるようにした。
【0043】
次に、図4及び図6を用い、実施例1に係る切断機100の特徴的な構成及び作用効果について説明する。図4は、図3に示した本機において、ワーク押し具がワークを押し込む状態を説明するための拡大側面図である。図4に示すように、切断機100は、特徴的なワーク押し具51を備えている。このワーク押し具51は、その前方下部から、さらに前方へ突出するL字型凸条52を備えている。同様に、ワーク押し具51は、その前方上部から、さらに前方へ突出するL字型凸条53も備えている。
【0044】
L字型凸条52は、載置面22からの高さZが帯状スペーサ80の高さHを超えないように設定されている。なお、L字型凸条52とワーク押し具51と共通する底面は、載置面22との間に隙間Kが維持されている。この隙間Kは、ワーク送り手段50の円滑動作に不可欠であり適切に設定されている。また、L字型凸条53の機能については後述する。
【0045】
図5は、図3及び図4に示したL字型凸条を備えたワーク押し具と、帯状スペーサにより持ち上げられたワークと、により噛み込みを回避する作用を説明するための斜視図であり、図5(A)はワーク押し具、図5(B)はワーク押し具が後退動作した状態を、それぞれ示している。なお、図5において、ワーク送り手段50に対し、別部材のワーク押し具51が不図示のボルト締結等によって固定される構造を例示しているが、その構造に限定するものではない。
【0046】
また、図5(A)に示すワーク押し具51におけるL字型凸条52,53は、上方のものより下方のものが、より長く前方に突出している。これらは、試行錯誤により最適な結果が得られた一例を示したに過ぎない。つまり、L字型凸条52,53は、上下の長短関係や大小関係が逆であっても同一であっても構わない。なお、図3及び図4に示したワーク押し具51におけるL字型凸条52,53は、上下のものが同一形状であり、図5に示したものとは整合しないが、同一効果の部材であるため同一符号で示している。
【0047】
図5(B)では、ワーク10の後側辺縁部11が、帯状スペーサ80により持ち上げられている。その持ち上げられた下側の隙間を、ワーク押し具51の下側前方のL字型凸条52が、あたかも、ちり取りですくい上げるように係合している。そして、ワーク10の後側辺縁部11は、L字型凸条52の付け根に当接した状態で奥向きの方向Eへ押しやられる。
【0048】
しかし、図2及び図4で示すように、ワーク押し具51は、ワーク10が切断される直前のタイミングで後退距離XBだけ後退動作する。このため、ワーク10の後側辺縁部11がL字型凸条52の付け根に当接された状態は解除される。しかし、ワーク押し具51が規定ピッチだけワーク10を奥向きの方向Eへ押し進めた後に、後退距離XBだけ後退動作しても、図5(B)に示すように、ワーク10は落とされない。
【0049】
図6は、図3図5に示したワーク押し具により噛み込みを回避する作用を説明するための側面図であり、図6(A)は概略側面図、図6(B)は破線で囲んだP部をさらに拡大した拡大側面図、をそれぞれ示している。図6に示すように、帯状スペーサ80により持ち上げられたワーク10の後側辺縁部11は、L字型凸条52を備えたワーク押し具51により、すくい上げられるように、奥向きの方向Eへと円滑に押しやられる。
【0050】
このように、帯状スペーサ80によって、ワーク10をテーブル20の載置面22から浮いた状態にし、ワーク10とテーブル20の間にL字型凸条52を挿入させる。そうすると、帯状スペーサ80からワーク10が離れた際にも、ワーク10がL字型凸条52の上に保持される。その結果、噛み込みの不具合は発生しない。
【0051】
本発明の要点は以下のとおりである。すなわち、押し具51は、切断機100へ板状ワーク10を供給するワーク送り手段50の前方に位置する可動部材である。切断機100は、テーブル20の載置面22の側方に帯状スペーサ80を配設している。この帯状スペーサ80の上に板状ワーク10を保持し、この板状ワーク10を浮かせることが可能である。
【0052】
また、押し具51は、その前方の少なくとも下側に、L字型凸条52を備えている。このL字型凸条52の上に板状ワーク10を保持することが可能な構成であるため、板状ワーク10が押し具51の下に潜り込んで噛み込む不具合を防止することが可能である。
【0053】
なお、ワーク押し具51は、ワーク10が切断される直前のタイミングで後退距離XBだけ後退動作する。それは、切断の際、ワーク10からワーク押し具51及びワーク送り手段50へと伝達される衝撃を遮断して和らげるためである。また、L字型凸条52がワーク押し具51の前方に突出した長さXAは、ワーク押し具51の後退距離XBよりも長く設定されている。
【0054】
これにより、ワーク押し具51が後退動作しても、L字型凸条52の上にワーク10が保持される。その結果、ワーク押し具51の後退動作時にワーク10がL字型凸条52の上から落下して噛み込みの不具合が発生することもない。つまり、L字型凸条52の突出した長さXAを、ワーク押し具51の後退距離XBよりも十分に長く設定することで、ワーク押し具51の後退動作時に噛み込みの不具合が発生することを避けられる。
【0055】
ただし、L字型凸条52の突出した長さXAは長い程好ましいが、このL字型凸条52が切断機100の切断動作に干渉しない程度の長さに制限することは言うまでもない。なお、ワーク押し具51の前方上部に配設備されたL字型凸条53には以下の作用効果がある。
【0056】
すなわち、1次切断機100が1枚の板状ワーク10を短冊状板13に切断する作業が連続的に進行した結果、軽くなった板状ワーク10は、その後側辺縁部11が切断の衝撃により跳ね上がる不具合が生じやすくなる。ワーク押し具51の前方上部に配設備されたL字型凸条53には、その跳ね上がりによって後側辺縁部11がワーク押し具51から外れることを防止し、その跳ね上がりの不具合を抑制する作用効果がある。
【0057】
[実施例2]
図7は、図6に対し、L字型凸条を省略した実施例2に係る本機の問題点を説明するための側面図であり、図7(A)は概略側面図、図7(B)は破線で囲んだQ部をさらに拡大した拡大側面図、をそれぞれ示している。図7に示すように、実施例2に係る本機200において、そのワーク送り手段59の押し具58の前方には、L字型凸条52,53が無い。そのため、ワーク10の後側辺縁部11は、押し具58の前方の垂直且つ扁平な壁57により奥向き方向Eに押し込まれる。
【0058】
このとき、ワーク10はワーク移動方向Xに対して例えば下向きに傾いている場合がある。その場合、押し具58の推進力は、ワーク10の後側辺縁部11に対し、奥向きの方向Eに作用するほか、斜め下方向Fにも分力して曲げ応力も作用する。また、帯状スペーサ80の手前上方の角部89は直角な稜線であり、その稜線を支点にして、ワーク10の底面19の一部を押圧して折り曲げるように作用することがある。
【0059】
その結果、帯状スペーサ80の手前端部88と、押し具58の壁57との間に噛み込まれる不具合が生じることがある。図6に示した実施例1に係る切断機100によれば、この噛み込みの不具合を回避できるという優れた効果があることは上述の通りである。
【0060】
[実施例3]
上述のとおり、図7に示した実施例2に係る本機200において、帯状スペーサ80の手前端部88と、押し具58の壁57との間にワーク10が噛み込まれる不具合が生じることがある。これに対し、実施例1に係る本機100とは異なる解決手段を備えた実施例3について、図8を用いて以下に説明する。
【0061】
図8は、図7に対し、手前側の端部に傾斜をつけた帯状スペーサに置き換えた実施例3に係る本機の作用を説明するための拡大側面図であり、図8(A)はワーク後方の辺縁部が帯状スペーサの手前端部に差し掛かる手前の段階、図8(B)は上り勾配を超える段階を、それぞれ示している。
【0062】
図8に示すように、実施例3に係る本機300において、帯状スペーサ90でワーク押し具58が近接し得る手前側の端部98には、先細りの上り勾配が設けられ、傾斜面91を形成している。つまり、帯状スペーサ90の手前上方の角部99は直角よりも広い角度θ、例えば120度以上の鈍角に設定されている。この勾配の有無について、図7に示した実施例2に係る本機200と対比することにより、その作用効果を説明する。
【0063】
図8(A)に示すように、ワーク10の後側辺縁部11が、帯状スペーサ90の手前端部98に差し掛かる手前の段階では、ワーク10の底面19が帯状スペーサ90の手前上方の角部99の上を円滑に摺動している。この角部99は鈍角であるため、これに摺動する相手、すなわち、ワーク10の底面19を引っ掛けることが少ない。その結果、図8(B)に示すように、ワーク10の後側辺縁部11が、上り勾配98を円滑に超えられるので、図7に示した噛み込みの不具合は避けられる。
【0064】
<ワークの用途>
ワーク10が、例えば、電解採取の方法で得られた電気ニッケル板(カソード板)である場合がある。すなわち、含ニッケル硫化物を塩素浸出して塩化ニッケル液を得た後、この塩化ニッケル液中の不純物を分別除去して高純度の塩化ニッケル液とし、この液を電解液として電解採取することにより得られる電気ニッケル板である場合が該当する。電気ニッケル板は、その端部の厚さが中心部に比べて薄い。また、端部が曲がった形状を持つカソード板(異形カソード板)も一部存在する。この場合、噛み込みの不具合が顕著に発生し易い。
【0065】
ワーク(カソード板)10については、電解採取法により製造された電気ニッケル板であり、純度が99.9重量%以上である。なお、ワーク10について、電気ニッケル板以外に特定の材質名まで例示しないが、板厚5〜20mmの金属板のほか、樹脂材料等を切断することも想定している。
【0066】
電気ニッケル板の主な用途の一つに、ニッケルめっき用のアノードがある。かかる用途には、電解採取で得られた電気ニッケルを、種々のサイズの矩形ピース、例えば縦横100mm,50mm,25mmに切断した製品が供される(特許文献1参照)。ここでは、縦横100mm×厚さ10mmの矩形ピースに製品化する場合を例示して説明する。
【0067】
[前提技術]
以下、図9図11を用いて、本発明の前提となる技術について簡単に説明する。図9は、図1図8に示した本機におけるバックゲージの機能を説明するための側面図である。図10は、図9に示した本機のバックゲージに対するワーク押し具の後退動作を説明するための側面図である。図9に示すように、本機400において、ワーク送り手段59によりワーク10の後側辺縁部11は、押し具58の前方の垂直且つ扁平な壁60により奥向き方向Eに押し込まれる。ここで、ワーク10の前側辺縁部18が、最奥部で対面するバックゲージ70の当接面71に当接し、ワーク移動方向Xに対する位置決めがされる。
【0068】
図9及び図10に示すように、バックゲージ70の当接面71から切断予定線12までの距離Wは、短冊状板13の幅Wと一致するように設定されている。バックゲージ70により位置決めされたワーク10上面は、ワーク固定手段60の押圧面61でテーブル20の載置面22に押圧して固定される。このとき押圧される位置は、下刃30の直上より少し手前(Eの逆方向M)寄りの位置である。
【0069】
このようにワーク10が載置面22に固定された状態で、ワーク押し具59が後退距離XBだけ方向Mに後退する。それから、上刃40が下降動作しながら下刃30とすれ違う際、固定されたワーク10は、切断予定線12で切断される。このとき、バックゲージ70の当接面71から切断予定線12までの距離Wに合わせた幅Wに短冊状板13が切断されて半製品となる。
【0070】
<ニッケルワークの切断方法>
目的製品が縦横100mm×厚さ10mmのニッケルピース(矩形ピース)である場合、例えば、幅800mm(ワーク10の移動方向X)×長さ1000mm×厚さ10mmのワーク10を切断するために、図1に概略を示したニッケルピース形成用切断設備900が用いられる。ワーク10は、その設備900における1次切断機100,200,300のテーブル20までカソード搬入ロボット800により自動的に載置された後、押し具51で、テーブル20の奥に設けられたバックゲージ70に、前側辺縁部18を押し付けられる。このバックゲージ70は、位置決めストッパーであり、ワーク10に対して長さ方向の切断幅Wを100mmに規定する。
【0071】
位置決めされたワーク10は、ワーク固定手段60で上方からテーブル20に対して固定され、切断刃により、幅Wに短冊状板13が切断されて半製品となる。また、図10に示すように、切断された短冊状板13が離脱した残りのワーク10は、その前側辺縁部18を切断予定線12からバックゲージ70の当接面71に当接させるように、ワーク送り手段59で方向Eに押し込まれる。上述した動作を規定された回数、例えば7回だけ繰り返すことによって、ワーク10から短冊状板13へと切り進められる。
【0072】
その結果、図1に示すように、長さ1000mm×幅100mm×厚さが10mmである8枚の短冊状板13に切断される。得られた8枚の短冊状の板材は、搬送手段500により2次切断機410まで自動的に送られた後、2次切断機410において、縦100mm×横100mm×厚さ10mmの矩形状ピース14に切断される。かかる作業を繰り返すことにより、幅800mm×長さ1000mm×厚さ10mmのワーク10から、合計80枚の矩形ピースが得られる。
【0073】
図11は、図9及び図10に示した本機400において、ワーク押し具の下面とテーブル20の間にある隙間にワークの後側辺縁部が噛み込んだ状態を説明するための拡大側面図である。図11に示すように、本発明を実施する以前の前提技術を示す本機400によれば、ワーク押し具58の下面とテーブル20載置面22との間にある隙間にワーク10の後側辺縁部11が噛み込む不具合が生ずる。この不具合の原因は上述したとおりである。
【0074】
<噛み込み>
噛み込みの不具合は、ワーク送り手段59により、その前方の押し具58で、ワーク10をバックゲージ70の当接面71に当接させる方向Eへ押し込む際に生じる。すなわち、ワーク10が1次切断機400のテーブル20上に載置され、押し具58でバックゲージ70に押し付けられる際、図11に示すように、ワーク送り手段59の押し具58とテーブル20の載置面22との隙間Kにワーク10の後側辺縁部11が入って噛み込む。噛み込むと、ワーク送り手段59は過負荷を検知して自動停止する。その解除に無駄な時間と労力を要する。その結果、稼働率が低下する。また、例えば、押し具58の変形、送り手段59のシリンダーロッドの曲がり等の故障に至る場合もあり、そうするとさらなる停止時間の延長が発生し、修理、交換費用が必要となる。
【0075】
<噛み込みの安直な解決策>
噛み込みの不具合に対し、押し具58の下面とテーブル20の載置面22との間に設けた隙間Kを無くすという安直な解決策も考えられる。しかしながら、かかる方策では、押し具58の下面とテーブル20の載置面22との間に生じる摩擦抵抗が著しく増加してワーク送り手段59の円滑な運転が妨げられる。そればかりでなく、押し具58の下面とテーブル20の載置面22が摩耗し、いずれは、噛み込みの原因となる隙間が発生するため解決にならない。
【0076】
<実施例1の作用効果>
図4及び図5(B)に示すように、実施例1に係る切断機100において、ワーク10がテーブル20上に載置される際に、帯状スペーサ80上にワーク10の1辺が乗ることにより、ワーク10をテーブル20から浮かせることができる。かかる状態において、ワーク10は押し具51のL字型凸条52の上面に載置されるため、押し具51噛み込みは発生しない。
【0077】
<実施例2の作用効果>
図2及び図7に示すように、実施例2に係る切断機200は、実施例1,3に係る切断機100,300の作用効果をより鮮明に説明するためのモデルのような実施例である。この本機200であっても、ワーク10を奥向きに押し込むワーク押し具58の下面と、テーブル20と、の間にある隙間Kにワーク10の後側辺縁部11を噛み込ませない、という本発明の課題を解決することができる。特に、ワーク10における表面の凹凸や後側辺縁部11の先細りの程度が軽微な場合は、十分に有用である。ただし、この本機200は、帯状スペーサ80の手前端部88と、押し具58の壁57との間にワーク10の後側辺縁部11が噛み込まれる不具合が生じる場合もある。
【0078】
<実施例3の作用効果>
図8に示すように、実施例3に係る切断機300において、帯状スペーサ90の手前端部98に形成された傾斜面91には、ワーク10の底面19が引っ掛かりなく摺動可能なので、図7に示したような、帯状スペーサ90と、ワーク送り手段59の押し具58と、の間にワーク10が挟まる不具合を抑制できる。
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、ワーク10を奥向きE方向に押し込むワーク送り手段50のワーク押し具51の下面と、テーブル20と、の間にある隙間Kにワーク10の後側辺縁部11を噛み込ませない切断機100,200,300を提供することができる。
【0080】
より詳しくは、切断前の元板、すなわち板状のワーク10に歪みや凹凸があるほか、その辺縁部11の厚さに先細りがある場合に、ワーク送り手段50が形成するワーク押し具51の前方下面とテーブルとの間に設けられた隙間Kに発生しがちな噛み込み等の不具合を抑制できる切断機100,200,300を提供することができる。このように、本発明の切断機100,200,300は、従来の切断機400及び押し具58の構造を大幅に変更すること無く、異形ワーク10の切断においても押し具58への噛み込みを抑制できるため、その工業的価値は極めて大きい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、電解採取法により製造されたニッケル板を、まず1次切断機で短冊状に切断してから、その次に2次切断機で方形のブロック状に切断するという、1次・2次切断機を備えたニッケルピース(矩形ピース)形成用切断設備において、1次切断機に採用される可能性がある。
【0082】
なお、前記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0083】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、切断機の構成、動作、及び切断方法も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、例えば、1次切断機と2次切断機とを1台で兼用した切断機として使用することを含め、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 電気ニッケル板、ニッケルカソード板、板状ワーク(ワーク)、11 (ワーク10の)後側辺縁部、12 切断予定線、13 短冊状半製品(短冊状板)、14 矩形ピース(ブロック状の製品)、18 (ワーク10の)前側辺縁部、19 (ワーク10の)底面、20 テーブル、21 (テーブル20の)奥側辺縁部、22 テーブル20の載置面、30 下刃、31 下刃稜線、40 上刃、42 上刃裏面、50,59 ワーク送り手段、51,58 ワーク押し具 、52,53 L字型凸条、57 (押し具58の前方の垂直且つ扁平な)壁、60 ワーク固定手段、61 (ワーク固定手段60)の押圧面、70 バックゲージ、80,90 帯状スペーサ、88,98 (帯状スペーサ80,90の)手前端部、89,99 (帯状スペーサ80,90の)手前上方の角部、91 (帯状スペーサ90の手前端部98に形成された)傾斜面、100,200,300 切断機(本機)、400 前提技術としての切断機、410 (短冊状板13を切断する)2次切断機、500 (短冊状板13を搬送する)搬送手段、600 (矩形ピース13を搬送する)搬送手段、800 ニッケルカソード板搬入ロボット、900 ニッケルピース(矩形ピース)形成用切断設備、E (奥向きの)方向、F (曲げ応力の)方向、G (下刃30と上刃の噛み合う)隙間、K (ワーク押し具51及びL字型凸条52に共通する底面と、載置面22との間の)隙間、M 後退方向、W (短冊状板13の)幅、X (ワーク10の)移動方向、XA (L字型凸条52が前方に突出する)長さ、XB (ワーク10の)後退距離、XL (テーブル20の載置面22のうち、ワーク固定手段60の押圧面に干渉しない最長の)長さ、Z (ワーク10の厚さ方向、θ (角部99の)角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11