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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203959(P2018-203959A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ポリイミド及び感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20181130BHJP
   G03F 7/037 20060101ALI20181130BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20181130BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   C08G73/10
   G03F7/037 501
   G03F7/004 501
   C08G59/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-113974(P2017-113974)
(22)【出願日】2017年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115118
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 和浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095588
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 登
(74)【代理人】
【識別番号】100094422
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 惠子
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 智典
(72)【発明者】
【氏名】森 亮
【テーマコード(参考)】
2H225
4J036
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AC24
2H225AD06
2H225AD07
2H225AD26
2H225AE15P
2H225AM10P
2H225AM77P
2H225AM79P
2H225AN10P
2H225AN84P
2H225BA01P
2H225CA12
2H225CC01
2H225CC13
4J036AA01
4J036EA03
4J036EA09
4J036JA09
4J036KA01
4J043PA04
4J043QB15
4J043QB31
4J043RA05
4J043RA34
4J043SA06
4J043SA49
4J043TA22
4J043TB02
4J043UA122
4J043UA132
4J043UB022
4J043UB121
4J043UB122
4J043UB152
4J043UB302
4J043VA021
4J043VA022
4J043XA19
4J043YA06
4J043ZB47
(57)【要約】
【課題】 複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する際に連続圧着が可能であり、薄膜かつ高精細な接着剤パターンを形成することができる絶縁膜用の材料を提供する。
【解決手段】 半導体素子に用いられる絶縁膜用の感光性樹脂組成物に適用される有機溶剤に可溶なポリイミドであって、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有し、前記ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有し、マレイミド基を有しないポリイミド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子に用いられる絶縁膜用の感光性樹脂組成物に適用される有機溶剤に可溶なポリイミドであって、
テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有し、前記ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有し、マレイミド基を有しないことを特徴とするポリイミド。
【請求項2】
前記ダイマー酸型ジアミンが、炭素数36の脂肪族ジアミンである請求項1に記載のポリイミド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリイミドと、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と、エポキシ樹脂と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に用いられる絶縁膜用の感光性樹脂組成物に適用可能なポリイミド及びこれを用いる感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の半導体チップが積層された多層構造を有する半導体パッケージにおいて、厚膜の半導体ウェハを予めハーフカットしておき、その後、バックグラインドを行うことで薄型化と同時にチップを個片化する方法(先ダイシング法)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、多層構造を有する半導体パッケージにおいて、感光性接着剤を予め半導体ウェハ上に形成し、その後、チップを分割する方式も提案されている(例えば、特許文献2)。この方式では、予め厚膜の半導体ウェハに接着剤層を形成した後に、前述の先ダイシング法を適用することも可能である。しかし、ワニス状態の感光性樹脂組成物を使用して、半導体ウェハの回路面上に、例えば10μm以下の薄膜の感光性樹脂層を形成した場合、感光性樹脂層の密着性が低下し、パター形成の精度が低下しやすい、という問題があった。
【0004】
また、複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する場合、分割した接着剤層付きの半導体チップの接着剤層面をダイボンド装置のコレットに吸着してピックアップし、これを他の半導体チップと圧着することにより、多層構造を形成するプロセスが必要になる。しかし、半導体チップを積層する工程を連続して繰り返すと、ダイボンド装置の熱板の熱がチップを吸着するコレットに伝わり、接着剤層の粘着性発現温度よりもコレット温度が高くなり、コレットに接着剤層が付着しやすくなるという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−335411号公報
【特許文献2】特開2009−009110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する際に連続圧着が可能であり、薄膜かつ高精細な接着剤パターンを形成することができる絶縁膜用の材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者らは、連続圧着性や薄膜のパターン形成時の密着性に関して鋭意検討を行った。その結果、連続圧着性を有し、且つ、薄膜で現像時の密着性に優れる感光性樹脂組成物に適用できるポリイミドを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のポリイミドは、半導体素子に用いられる絶縁膜用の感光性樹脂組成物に適用される有機溶剤に可溶なポリイミドであって、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有し、前記ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有し、マレイミド基を有しないことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のポリイミドは、前記ダイマー酸型ジアミンが、炭素数36の脂肪族ジアミンであってもよい。
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記ポリイミドと、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と、エポキシ樹脂と、光重合開始剤とを含有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリイミドを用いることによって、複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する際に連続圧着が可能であり、薄膜かつ高精細な接着剤パターンを形成することができる感光性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明のポリイミドは、原料としてシロキサン化合物を必須としないため、電子部品に悪影響を与える環状シロキサンからなる揮発成分の発生を防止できる。また、本発明のポリイミドは、イミド化した状態においても有機溶剤に可溶性であるため、閉環反応を必要とせず、熱処理の低温化を実現できる。また、本発明のポリイミドは、マレイミド基を有しないため、感光性樹脂組成物としての材料の選定において制限を受けない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態に係るポリイミドは、半導体素子に用いられる絶縁膜用の感光性樹脂組成物に適用される有機溶剤に可溶なポリイミドであって、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含有し、前記ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミンから誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有し、マレイミド基を有しないポリイミドである。ここで、ポリイミドは、特定の酸無水物とジアミン化合物とを反応させて得られる前駆体のポリアミド酸をイミド化して製造されるので、酸無水物とジアミン化合物を説明することにより、本実施の形態のポリイミドの具体例が理解される。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを意味し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを意味する。
【0014】
(テトラカルボン酸残基)
本実施の形態に係るポリイミドは、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「テトラカルボン酸残基(1)」、「テトラカルボン酸残基(2)」と記すことがある)を、合計で90モル部以上含有することが好ましい。本発明では、テトラカルボン酸残基(1)及び/又は(2)を、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して合計で90モル部以上含有させることによって、ポリイミドに溶剤可溶性を付与するとともに、ポリイミドの柔軟性と耐熱性の両立が図りやすくより好ましい。テトラカルボン酸残基(1)及び/又は(2)の合計が90モル部未満では、ポリイミドの溶剤溶解性が低下する傾向になる。
【0015】
【化1】
【0016】
一般式(1)中、Xは、単結合、または、下式から選ばれる2価の基を示し、一般式(2)中、Yで表される環状部分は、4員環、5員環、6員環、7員環又は8員環から選ばれる環状飽和炭化水素基を形成していることを示す。
【0017】
【化2】
【0018】
上記式において、Zは−C−、−(CH)n−又は−CH−CH(−O−C(=O)−CH)−CH−を示すが、nは1〜20の整数を示す。
【0019】
テトラカルボン酸残基(1)を誘導するためのテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物(BPADA)、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート(TMEG)などを挙げることができる。
【0020】
また、テトラカルボン酸残基(2)を誘導するためのテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、 1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−シクロオクタンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
【0021】
ポリイミドは、発明の効果を損なわない範囲で、上記一般式(1)又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物以外の酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を含有することができる。
【0022】
(ジアミン残基)
本実施に係るポリイミドは、ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミンから誘導されるダイマー酸型ジアミン残基を40モル部以上、例えば40モル部以上95モル部以下の範囲内、好ましくは50モル部以上、例えば50モル部以上95モル部以下の範囲内、より好ましくは80モル部以上、例えば80モル部以上95モル部以下の範囲内で含有する。ダイマー酸型ジアミン残基を上記の量で含有することによって、絶縁膜の誘電特性を改善させるとともに、絶縁膜のガラス転移温度の低温化による熱圧着特性の改善及び低弾性率化による内部応力を緩和することができる。また、ダイマー酸型ジアミン残基を40モル部以上とすることで、有機溶剤への可溶性と熱可塑性を付与し、ダイマー酸型ジアミン残基を50モル部以上とすることで、絶縁膜の吸水性を低下させることができる。一方で、ダイマー酸型ジアミン残基が95モル部を超えると、ガラス転移温度以上での弾性率が低下しすぎるため、樹脂成分が流れ出すことが懸念される。ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミン残基が40モル部未満であると、ポリイミドとしての溶剤可溶性が低下するとともに弾性率が増加することが懸念される。
【0023】
ここで、ダイマー酸型ジアミンとは、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(−COOH)が、1級のアミノメチル基(−CH−NH)又はアミノ基(−NH)に置換されてなるジアミンを意味する。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であり、その工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されており、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を粘土触媒等にて二量化して得られる。工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸が主成分であるが、精製の度合いに応じ、任意量のモノマー酸(炭素数18)、トリマー酸(炭素数54)、炭素数20〜54の他の重合脂肪酸を含有する。本発明では、ダイマー酸は分子蒸留によってダイマー酸含有量を90重量%以上にまで高めたものを使用することが好ましい。また、ダイマー化反応後には二重結合が残存するが、本発明では、更に水素添加反応して不飽和度を低下させたものもダイマー酸に含めるものとする。
【0024】
ダイマー酸型ジアミンの特徴として、ダイマー酸の骨格に由来する特性をポリイミドに付与することができる。すなわち、ダイマー酸型ジアミンは、分子量約560〜620の巨大分子の脂肪族であるので、分子のモル体積を大きくし、ポリイミドの極性基を相対的に減らすことができる。このようなダイマー酸型ジアミンの特徴は、ポリイミドの耐熱性の低下を抑制しつつ、誘電率と誘電正接を小さくして誘電特性を向上させることに寄与すると考えられる。また、2つの自由に動く炭素数7〜9の疎水鎖と、炭素数18に近い長さを持つ2つの鎖状の脂肪族アミノ基とを有するので、ポリイミドに柔軟性を与えるのみならず、ポリイミドを非対象的な化学構造や非平面的な化学構造とすることができるので、ポリイミドの低誘電率化及び低誘電正接化を図ることができ、例えば脂環式炭化水素などの非極性有機溶媒に対する現像性を高めることができると考えられる。
【0025】
ダイマー酸型ジアミンは、市販品が入手可能であり、例えばクローダジャパン社製のPRIAMINE1073(商品名)、同PRIAMINE1074(商品名)、同PRIAMINE1075(商品名)、BASFジャパン社製のバーサミン551(商品名)、同バーサミン552(商品名)等が挙げられる。これらの中でも、炭素数36のダイマー酸型ジアミンであるクローダジャパン株式会社製、PRIAMINE1074(商品名)、同PRIAMINE1075(商品名)が特に好ましい。
【0026】
また、本発明の実施に係るポリイミドは、下記の一般式(B1)〜(B7)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を、全ジアミン成分100モル部に対して、合計で1モル部以上40モル部以下の範囲内で含有することが好ましく、1モル部以上20モル部以下の範囲内で含有することがより好ましい。一般式(B1)〜(B7)で表されるジアミン化合物は、屈曲性を有する分子構造を持つため、これらから選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物を上記範囲内の量で使用することによって、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、溶剤可溶性と熱可塑性を付与することができる。また、一般式(B1)〜(B7)で表されるジアミン化合物を用いることによって、ポリイミドの溶剤可溶性を付与し、ポリイミドのガラス転移温度を高めることができ、また高温での加熱時における熱重量減少の抑制効果がある。これによって製造プロセスでの樹脂成分の流れ出しや分解ガスの発生を抑制することができる。下記の一般式(B1)〜(B7)で表されるジアミン化合物の合計量が全ジアミン成分の100モル部に対して40モル部を超えると、ポリイミドの柔軟性が不足し、またガラス転移温度が上昇し過ぎるため、熱圧着による残留応力が増加し、密着性が低下する傾向になる。
【0027】
【化3】
【0028】
式(B1)〜(B7)において、Rは独立に炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CH−、−C(CH−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。
なお、「独立に」とは、上記式(B1)〜(B7)の内の一つにおいて、または二つ以上において、複数の連結基A、複数のR若しくは複数のnが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。また、式(B1)〜(B7)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば−NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
【0029】
式(B1)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B1)」と記すことがある)は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B1)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B1)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−、−CH−、−C(CH−、−CO−、−SO−、−S−、−COO−が好ましい。
【0030】
ジアミン(B1)としては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
【0031】
式(B2)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B2)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B2)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B2)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
【0032】
ジアミン(B2)としては、例えば1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等を挙げることができる。
【0033】
式(B3)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B3)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B3)は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B3)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
【0034】
ジアミン(B3)としては、例えば1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等を挙げることができる。
【0035】
式(B4)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B4)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B4)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B4)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−、−CH−、−C(CH−、−SO−、−CO−、−CONH−が好ましい。
【0036】
ジアミン(B4)としては、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等を挙げることができる。
【0037】
式(B5)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B5)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B5)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
【0038】
ジアミン(B5)としては、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン等を挙げることができる。
【0039】
式(B6)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B6)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B6)は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B6)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−C(CH−、−O−、−SO−、−CO−が好ましい。
【0040】
ジアミン(B6)としては、例えば、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等を挙げることができる。
【0041】
式(B7)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B7)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B7)は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B7)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、−O−が好ましい。
【0042】
ジアミン(B7)としては、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等を挙げることができる。
【0043】
本実施の形態に係るポリイミドは、発明の効果を損なわない範囲で、上記ダイマー酸型ジアミン及びジアミン(B1)〜(B7)以外のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むことができる。
【0044】
また、本実施の形態に係るポリイミドは、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
【0045】
本実施の形態のポリイミドのイミド基濃度は、20重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(−(CO)−N−)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が20重量%を超えると、ポリイミドの有機溶剤に対する溶解性が低下するとともに極性基の増加によって低吸湿性も悪化し、弾性率が上昇する。
【0046】
本実施の形態に係るポリイミドの重量平均分子量は、10,000〜400,000の範囲内が好ましく、より好ましくは20,000〜350,000の範囲内がよい。重量平均分子量が10,000未満であると、硬化膜の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際に接着層の厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
【0047】
本実施の形態に係るポリイミドは、導体回路層を被覆するものであることから、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm−1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm−1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出することができる。
【0048】
本実施の形態のポリイミドは、上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜50重量%の範囲内、好ましくは10〜40重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5〜50重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
【0049】
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps〜100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
【0050】
ポリアミド酸をイミド化させてポリイミドを形成させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
【0051】
本実施の形態に係るポリイミドは、例えば炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、エポキシ樹脂、光重合開始剤等を配合して、感光性樹脂組成物とすることができる。すなわち、本実施の形態の感光性樹脂組成物は、上記ポリイミドに加え、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、エポキシ樹脂、光重合開始剤等を含有する。
【0052】
炭素−炭素不飽和結合を有する化合物としては、特に制限はないが、例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、特に、エチレン性不飽和基として、(メタ)アクリル基を有する単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどが好ましい。なお、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
エポキシ樹脂としては、特に制限はないが、分子内にフルオレン骨格を持つエポキシ樹脂が好ましい。なお、エポキシ樹脂は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
光重合開始剤としては、特に制限はないが、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等が好ましい。なお、光重合開始剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
本実施の形態の感光性樹脂組成物は、さらに、硬化剤、硬化促進剤、フィラー、カップリング剤、イオン補足剤、増感剤、熱ラジカル発生剤、有機溶媒等を含有することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
【0057】
[重量平均分子量(Mw)の測定]
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC−8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた。
【0058】
本実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸無水物
BPADA:2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物
DSDA:3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸無水物
BAPP:2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
BAFL:ビスアニリンフルオレン
3,4’−DAPE:3,4’−ジアミノジフェニルエーテル
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、アミン価;210mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマージアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
A−LEN−10:新中村化学社製、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート
EG−250:大阪ガスケミカル社製:フルオレン骨格含有エポキシ樹脂(エポキシ当量393)
LA−7052:DIC社製、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂
I−819:チバ・ジャパン社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
I−OXE02:チバ・ジャパン社製、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
パークミルD:日油社製、ジクミルパーオキサイド
NMP:関東化学社製、N−メチル−2−ピロリドン
【0059】
(実施例1)
<有機溶剤に可溶性のポリイミドの調製>
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、38.67gのBPADA(0.0743モル)、23.05gのODPA(0.0743モル)、32.01gのDDA(0.0599モル)、26.27gのAPB(0.0899モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、30gのNMP及び82gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液aを調製した。ポリイミド溶液aにおける固形分は29.8重量%であり、ポリイミド溶液aに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は61,100であった。
【0060】
<感光性樹脂組成物の調製>
上記で調製したポリイミド溶液a(100重量部)、A−LEN−10(20重量部)、EG−250(20重量部)、LA−7052(10重量部)、I−819(2重量部)、I−OXE02(1重量部)、パークミルD(1重量部)及びNMP(100重量部)、キシレン(100重量部)を用いて、感光性樹脂組成物を調製した。
【0061】
<感光性樹脂層の形成>
調製した感光性樹脂組成物を、50μm厚みの6インチシリコンウェハの鏡面加工側に、乾燥後の膜厚が5μmになるように所定量滴下し、スピンコータを用いて、700rpmで10秒間、さらに1200rpmで30秒間スピンコートし、薄膜を形成した。その後、温度を100℃に設定したホットプレート上に10分間放置した。このようにして、感光性樹脂組成物から形成された絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0062】
(実施例2)
<有機溶剤に可溶性のポリイミドの作製>
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、25.40gのBTDA(0.0788モル)、24.45gのODPA(0.0788モル)、42.46gのDDA(0.0795モル)、27.69gのBAFL(0.0795モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、30gのNMP及び82gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液bを調製した。ポリイミド溶液bにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド溶液bに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は68,600であった。
【0063】
<感光性樹脂組成物の調製>
ポリイミド溶液bを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0064】
<感光性樹脂層の形成>
ポリイミド溶液bを用いて調製した感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0065】
(実施例3)
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、19.17gのBPDA(0.0652モル)、33.91gのBPADA(0.0652モル)、56.14gのDDA(0.1051モル)、26.27gのBAPP(0.0263モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液cを調製した。ポリイミド溶液cにおける固形分は30.2重量%であり、ポリイミド溶液cに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は72,300であった。
【0066】
<感光性樹脂組成物の調製>
ポリイミド溶液cを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0067】
<感光性樹脂層の形成>
ポリイミド溶液cを用いて調製した感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0068】
(実施例4)
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、45.82gのBTDA(0.1422モル)、72.75gのDDA(0.1362モル)、1.435gの3,4’−DAPE(0.0072モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液dを調製した。ポリイミド溶液dにおける固形分は29.1重量%であり、ポリイミド溶液dに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は68,100であった。
【0069】
<感光性樹脂組成物の調製>
ポリイミド溶液dを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0070】
<感光性樹脂層の形成>
ポリイミド溶液dを用いて調製した感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0071】
(実施例5)
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、15.99gのPMDA(0.0733モル)、26.27gのDSDA(0.0733モル)、75.02gのDDA(0.1404モル)、2.72gのBAPB(0.0074モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液eを調製した。ポリイミド溶液eにおける固形分は30.1重量%であり、ポリイミド溶液eに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は62,500であった。
【0072】
<感光性樹脂組成物の調製>
ポリイミド溶液eを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0073】
<感光性樹脂層の形成>
ポリイミド溶液eを用いて調製した感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0074】
(実施例6)
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、44.92gのBTDA(0.1394モル)、75.08gのDDA(0.1405モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液fを調製した。ポリイミド溶液fにおける固形分は30.1重量%であり、ポリイミド溶液fに含まれるポリイミドの重量平均分子量(Mw)は79,400であった。
【0075】
<感光性樹脂組成物の調製>
ポリイミド溶液fを用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0076】
<感光性樹脂層の形成>
ポリイミド溶液fを用いて調製した感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、絶縁膜を有するシリコンウェハを調製した。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。