【解決手段】対象エリアの需要実績に基づいて需要を予測するエリア需要予測部と、前記需要の予測値に按分値を乗算して前記対象エリアを分割した地域毎の需要を予測する地域需要予測部と、前記地域毎の所定期間の電力の推定値に沿って電力需要曲線の相対値を定数倍することで当該地域での時間毎の電力需要曲線の絶対値を求める地域時間毎需要予測部と、地域毎の太陽光発電の認定設備量と気象予測に基づいて当該地域での時間毎の太陽光発電出力を予測する地域時間毎電力供給予測部と、前記地域時間毎電力供給予測部で求められた前記地域での時間毎の太陽光発電出力と、地域時間毎需要予測部で求められた前記地域での時間毎の電力需要曲線の絶対値との差を算出し、得られた差に基づいて余剰電力の評価値を求める地域時間毎余剰電力評価部とを備える。
前記地域時間毎余剰電力評価部は、前記評価値を算出する際に、前記余剰電力がある地域から余剰電力がない地域に電力融通を行なった場合におけるこれら地域の余剰電力を求め、前記評価値を算出する
請求項1に記載の余剰電力評価装置。
【背景技術】
【0002】
2012年7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入は、非住宅用の太陽光発電市場(公共・産業分野)を大きく変えることとなった。JPEA PV OUTLOOK 2030によると、国内総出荷に占める非住宅用の割合は、2012年度で(国内総出荷量3.8GWに対し)50%、2013年度で(同8.4GWに対し)73%、2014年度上半期で(上期国内総出荷量4.3GWに対し)77%と大幅に伸張している。
【0003】
太陽光発電の大量の設備認定量に伴い、それらが全て稼動した場合、電力需要の小さい軽負荷期に太陽光発電の供給電力量が需要電力量を上回る懸念が出てきたため、指定電気事業者において「無制限・無補償の出力抑制」を条件として系統接続を行うこととなった。今後、更なる太陽光発電の系統接続量の増加に伴い、電力需給調整を目的とした出力抑制実施は現実のものとなりつつある。
このような社会背景から、出力抑制に伴う余剰電力の発生量、頻度ともに増加が予想され、再生可能エネルギーの余剰電力を利用して一旦、水素を製造し、例えば電力需要が増加した際に必要に応じて貯蔵しておいた水素(以下、CO
2フリー水素と記す)を再度、電力に変換して街区で活用する技術が注目されている。
【0004】
一方で、わが国では、公共建物の他、住宅やオフィスビル、病院などの建築物において、年間の消費エネルギー量を大幅に削減する建築物(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、以下ZEBと記す)を目指す取組みを進めている。2014年のエネルギー基本計画において、2020年頃までに新築公共建築等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する事を目指すことが明記されている。
ZEB実現に向けては建築計画的な手法を最大限に活用して、庇やルーバー等で日射をコントロールした上で、建築設備の効率化と合わせてエネルギー需要を可能な限り削減して省エネルギー化を図った上で、残ったエネルギー需要をオンサイト(敷地内あるいは街区内)での再生可能エネルギーによる創エネで賄う。しかしながら、市街地における高層大規模建築物では太陽光発電が設置可能な屋上面積が限られており、オンサイトでの創エネには限界がある。
【0005】
以上のような状況を見据え、例えば半径数10km程度の広域範囲を地産地消エリアとして、オフサイト立地のメガソーラー等の再生可能エネルギー発電所にて、余剰電力を効率よく活用してCO
2フリー水素を製造し、高圧水素ガスとする。この高圧水素ガスを高圧水素輸送車両にて収集した後、当該エリア内の中核となる街区に輸送・利用することで、街区内で建物のZEB化に必要な創エネ相当量を賄い、ZEBの実現を目指すシステム検討が開始されている(例えば特許文献1)。
【0006】
建物に附帯した水素利用システムとして、輸送された水素を例えば難燃性の水素吸蔵合金を用いたタンク等で安全に貯蔵し、燃料電池コージェネレーションにより電力ならびに熱に変換し、蓄電池や蓄熱システム及びその他建築設備と組み合わせて効率的なエネルギーマネジメントを実施することで、ZEB実現の重要な手段になると共に、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の向上が期待できる。
例えば、CO
2フリー水素を製造して、ZEBの実現を目指すシステムの一例としては、メガソーラー等の再生可能エネルギー発電所を複数設置し、これらから得られる電力を既存の電力系統に供給し、電力系統から複数の街区に電力を供給するシステムが考えられる。この場合、各街区で利用される電力を超えて各再生可能エネルギー発電所で発電が行なわれた場合には、余剰電力が生じてしまい、この余剰電力は活用できないことになってしまう。
【0007】
これに対し、各再生可能エネルギー発電所において余剰電力が生じた場合には、この余剰電力から水素を製造すれば、この水素を各街区に輸送し、それら街区で電力又は熱に変換して利用することができる。
【0008】
また、特許文献2には、複数の熱的なプラントの相互間で熱エネルギーを共有する複数の施設において、統合エネルギーを最適化する技術が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る余剰電力評価システム1の概略構成図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る余剰電力評価システム1は、余剰電力評価装置10と、情報提供サーバ20とからなる。余剰電力評価装置10と情報提供サーバ20との間は、ネットワーク30を介して接続されている。
【0017】
余剰電力評価装置10は、メガソーラー等の再生可能エネルギー発電所の余剰電力発生量の評価を行う機能を有する。すなわち、メガソーラー等の再生可能エネルギー発電所の立地は、土地の広さや日射量が主たる制約条件になるため、一般的な好適地は当該都道府県において地域偏在性がある。さらには当該都道府県の人口分布、産業立地、そして都市部/農村部の差異によって電力需要は地域間で大きく異なる。余剰電力評価装置10は、これらの情報に基づいて、再生可能エネルギー発電所の余剰電力発生量の評価を行う。
【0018】
情報提供サーバ20は、再生可能エネルギー発電に基づく余剰電力発生量の評価を行うのに必要な各種の情報を提供(配信)する。余剰電力発生量の評価を行うのに必要な各種の情報としては、需要実績、長期エネルギー見通し、製造品出荷額、建物延床面積、世帯数、自動車保有台数、電力需要曲線、気象情報、太陽光発電の認定設備量等が含まれる。
この例では、情報提供サーバ20は1台のみ図示しているが、情報提供サーバ20は複数設けても良い。また、需要実績、長期エネルギー見通し、製造品出荷額、建物延床面積、世帯数、自動車保有台数、電力需要曲線、気象情報、太陽光発電の認定設備量等を別々のサーバで提供しても良い。また、長期エネルギー見通し、製造品出荷額、建物延床面積、世帯数、自動車保有台数等は、国や地方公共団体のサーバから取得できる。また、電力需要曲線は電力会社のサーバから取得できる。また、気象情報は気象情報機関のサーバから取得できる。この場合、情報提供サーバ20は、これら国や地方公共団体のサーバ、気象情報機関のサーバ等も含むものとする。
【0019】
次に、本発明の第1の実施形態に係る再生可能エネルギー発電に基づく余剰電力発生量の評価の概要について説明する。
本実施形態では、都道府県(対象エリア)を複数の地域に分割し、各地域の余剰電力の評価を行う。すなわち、本実施形態では、余剰電力評価装置10は、ネットワーク30を介して、情報提供サーバ20をアクセスし、情報提供サーバ20から、余剰電力発生量の評価を行うのに必要な各種の情報を取得する。
【0020】
まず、余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、都道府県の年間電力需要実績(直近5年程度)及び政府の長期エネルギー需給の見通しを表す情報を受信する。そして、余剰電力評価装置10は、都道府県の年間電力需要実績を基に、政府の長期エネルギー見通しを参照して、産業、業務、家庭、運輸の4区分で、将来の当該都道府県の年間電力需要(kWh)を推定する。その際に、余剰電力評価装置10は、産業、業務、家庭、運輸の4区分での電力消費が、今後、増加/低減のどちらの傾向にあるかを考慮する事で推定値の精度向上を行う。
【0021】
次に、余剰電力評価装置10は、都道府県を更に地域に区分(分割)し、各地域毎の年間電力需要を推定する。このとき、余剰電力評価装置10は、産業、業務、家庭、運輸の4区分の分類毎に各地域に電力需要を按分する。すなわち、余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、当該都道府県全体及びその地域での製造品出荷額、建物延床面積、世帯数、自動車保有台数等の情報を取得する。そして、余剰電力評価装置10は、これらの情報を用いて、当該都道府県の年間電力需要推定値(kWh)を、産業、業務、家庭、運輸の4区分の分類毎に各地域に電力需要を按分する。各区分(分類)の重み係数として利用するのは例えば以下の指標である。この実施形態において、この指標は4つである場合について説明するが、電力を利用する部門を分けることができるものであれば、4つ以外の分割数であってもよい。また、指標としては、産業、業務、家庭、運輸以外の指標を用いて部門を分割するようにしてもよい。
【0022】
産業の按分値:地域毎の製造品出荷額と全製造品出荷額の比率
業務の按分値:地域毎の建物延床面積と全建物延床面積の比率
家庭の按分値:地域毎の世帯数と全世帯数の比率
運輸の按分値:地域毎の自動車保有台数と全自動車保有台数の比率
【0023】
余剰電力評価装置10は、当該都道府県の4区分(分類)での年間電力需要推定値に、上述の按分値を乗算することで、当該地域での4区分(分類)での年間電力需要推定値を計算する。そして、余剰電力評価装置10は、当該地域での4区分(分類)での年間電力需要推定値を合計することで、当該地域の年間電力需要量(kWh)を推定する。
【0024】
図2は、各地域での年間電力需要の推定値を求める処理の説明図である。
図2(A)に示す都道府県毎の4区分(分類)の年間電力需要推定値に対して、上述の按分値(産業の按分値、業務の按分値、家庭の按分値、運輸の按分値)を乗算することで、
図2(B)に示すように、この都道府県を更に分割した地域(地域A1、A2、A3、A4)毎の4区分(分類)での年間電力需要推定値を求めることができる。これらを合計することで、当該地域の年間電力需要量が推定できる。この
図2では、地域を4つに分割した場合を一例として説明したが、4つ以外に分割してもよい。
【0025】
次に、余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、当該都道府県に電力供給する電力会社の電力需要曲線(24時間、365日)の相対値を取得する。そして、余剰電力評価装置10は、各地域の年間電力需要推定値が再現できるように、当該都道府県に電力供給する電力会社の電力需要曲線(24時間、365日)の相対値を定数倍することで、当該地域の電力需要曲線(24時間、365日)の絶対値を決定する。以上のようにして、各地域毎の電力需要量(24時間、365日)を推定することができる。
【0026】
次に、余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、地域毎の太陽光発電の認定設備量と、気象予測(日射量、気温等)を取得する。そして、余剰電力評価装置10は、地域毎の太陽光発電の認定設備量と気象予測(日射量、気温等)を利用して、当該地域での太陽光発電出力(24時間、365日)を予測する。以上のようにして、各地域毎の電力供給量(24時間、365日)を推定することができる。
【0027】
ここで、余剰電力は、各地域毎の電力供給量と電力需要量との差分を求めることで得ることでできる。余剰電力評価装置10は、上述の各地域毎の太陽光発電出力(24時間、365日)と、各地域毎の電力需要量(24時間、365日)との差分を求める。余剰電力評価装置10は、この差分がプラスになる時間帯は余剰電力が発生し、マイナスの場合は余剰電力は発生していないと判定できる。
【0028】
図3は、各地域での太陽光発電出力と、各地域での余剰電力との関係を示した模式図である。ここでは、地域A1、A2、A3、A4の4つの地域での関係が示されている。
図3(A)は、各地域での太陽光発電出力を模式的に示したものであり、縦軸が太陽光発電電力量を表し、横軸が時間を表す。
図3(B)は、その地域での余剰電力を模式的に示したものであり、縦軸が余剰電力量を表し、横軸が時間を表す。このように、各地域について、それぞれ、時間の経過に応じた太陽光発電電力量と余剰電力量についてのデータがえられ、これらを余剰電力評価装置10内の記憶装置に記憶しておく。
【0029】
余剰電力が発生した場合、この余剰電力でCO
2フリー水素を製造し、貯蔵できる。また、各地域間を連絡する送電線の送電容量データを利用して、送電線を介した余剰電力融通によって一部相殺される余剰電力を補正できる。これに加えて、各地域に発電所或いは節電所が立地する場合には、それら各発電所/節電所の定格出力から最下限の出力範囲を余剰電力の調整力と位置付けて補正できる。
【0030】
図4は、4地域毎に余剰電力評価を行った後、地域を相互に連結する送電線での融通ならびに発電所/節電所による電力調整によって補正することの説明図である。
図4に示すように、上述のようにして余剰電力の評価を行った際に、地域A1及び地域A4では余剰電力がなく、地域A2及び地域A3では余剰電力が発生したと評価されたとする。この場合、地域A2で発生した余剰電力は、送電線を介して地域A1及びA4(あるいはいずれか一方)に送ることで、地域A1及びA4の電力として融通できる。また、地域A3で発生した余剰電力は、送電線を介して地域A1及びA4(あるいはいずれか一方)に送ることで、地域A1及びA4の電力として融通できる。更に、地域A2及び地域A3では余剰電力は、発電所B1や節電所B2で水素に変換して蓄積することができる。
【0031】
図5は、本発明の実施形態での処理を示すフローチャートである。
(ステップS1)余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、都道府県の年間電力需要実績を表す情報を取得し、ステップS2に処理を進める。
(ステップS2)余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、政府の長期エネルギー見通しを表す情報を取得し、ステップS3に処理を進める。
(ステップS3)余剰電力評価装置10は、都道府県の年間電力需要実績を基に、政府の長期エネルギー見通しを表す情報を参照して、4区分での将来の当該都道府県の年間電力需要を推定する。
(ステップS4)余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、当該都道府県全体及びその地域での製造品出荷額、建物延床面積、世帯数、自動車保有台数等の情報を取得して、処理をステップS5に進める。
【0032】
(ステップS5)余剰電力評価装置10は、これらの情報を用いて、当該都道府県の年間電力需要推定値を、産業、業務、家庭、運輸の4区分の分類毎に各地域に電力需要を按分し、地域毎に4区分での電力需要を合計して地域の年間電力需要を推定する。按分値は、前述したように、産業の按分値(地域毎の製造品出荷額と全製造品出荷額の比率)、業務の按分値(地域毎の建物延床面積と全建物延床面積の比率)、家庭の按分値(地域毎の世帯数と全世帯数の比率)、運輸の按分値(地域毎の自動車保有台数と全自動車保有台数の比率)である。
【0033】
(ステップS6)余剰電力評価装置10は、当該都道府県に電力供給する電力会社の電力需要曲線の相対値を取得して、処理をステップS7に進める。
(ステップS7)余剰電力評価装置10は、当該都道府県に電力供給する電力会社の電力需要曲線の相対値を定数倍して、当該地域の電力需要曲線(24時間、365日)の絶対値を決定して、処理をステップS8に進める。
(ステップS8)余剰電力評価装置10は、情報提供サーバ20から、地域毎の太陽光発電の認定設備量と、気象予測(日射量、気温等)を取得して、処理をステップS9に進める。
【0034】
(ステップS9)余剰電力評価装置10は、地域毎の太陽光発電の認定設備量と気象予測(日射量、気温等)を利用して、当該地域での太陽光発電出力(24時間、365日)を予測する。この予測は、太陽光発電による発電電力の予測値を求める一般的な手法で求めるようにしてもよい。
(ステップS10)余剰電力評価装置10は、ステップS9で求められた太陽光発電出力と、ステップS7で求められた電力需要との差分を算出する。
(ステップS11)余剰電力評価装置10は、この差分がプラスであるか、マイナスであるかを判定する。
【0035】
(ステップS12)ステップS11で、差分がプラスである場合には、余剰電力評価装置10は、余剰電力ありと判定する。
(ステップS13)ステップS11で、差分がマイナスである場合には、余剰電力評価装置10は、余剰電力なしと判定する。
【0036】
ステップS1からステップS13の処理により、都道府県を更に分割した各地域毎に、24時間、365日の余剰電力が評価できる。
【0037】
このような処理を行なうことで、ステップS12またはステップS13の判定結果に基づいて、各地域についてCO
2フリー水素を有効利用するシステム構築の適地選定をするための判断材料として活用することができる。また、上述のステップS12あるいはステップS13の処理の後、各地域について評価が行なわれた際、この各地域間において、余剰電力がある地域から余剰電力がない地域へ電力融通をした場合における各地域においての余剰電力を再度算出するようにしてもよい。
例えば余剰電力がプラスである地域から余剰電力がマイナスである地域に対して余剰電力を配分することで、電力融通をした場合について算出することができ、これにより、余剰電力を地域間において融通することで相殺される余剰電力を補正した上での評価をすることができ、これにより、電力融通を行なうことも踏まえた上でのシステム構築の適地選定を行なうことも可能である。例えば、余剰電力評価装置10は、評価値を算出する際に、余剰電力がある地域から余剰電力がない地域に電力融通を行なった場合におけるこれら地域の余剰電力を求め、評価値を算出する。より具体的には、地域A1において、a1kWhの余剰電力があり、地域A2において−a2kWhの(マイナスの)余剰電力がある(すなわち余剰電力がない)場合には、地域A1における余剰電力の一部(例えばa0)を地域A2に融通することで、地域A1における余剰電力を(a1−a0)kWhとして算出し、地域A2における余剰電力を(−a2+a0)kWhとして算出し、これらの算出結果を評価値として得ることができる。
また、各地域のいずれかに発電所または節電所が既に設けられている場合には、それらの発電所や節電所の定格出力から最下限までの出力範囲を余剰電力の調整力として用い、この調整力の範囲内で各地域間における余剰電力を補正するようにしてもよい。
【0038】
図6は、余剰電力評価装置10の機能に基づく機能ブロック図である。
図6に示すように、余剰電力評価装置10は、年間需要予測部51と、地域年間需要予測部52と、地域時間毎需要予測部53と、地域時間毎電力供給予測部54と、地域時間毎余剰電力評価部55とから構成できる。
【0039】
年間需要予測部51は、都道府県年間需要実績と、長期エネルギー需給の見通しとから、都道府県の年間需要を予測する。
【0040】
地域年間需要予測部52は、都道府県の年間需要に按分値を乗算して、都道府県を更に細分した地域毎に、都道府県の年間需要を予測する。より具体的には、産業の按分値と、業務の按分値と、家庭の按分値と、運輸の按分値の4区分の按分値を用いて、地域での4区分での年間電力需要推定値を求め、これらを合計して地域での需要を求める。
【0041】
地域時間毎需要予測部53は、電力需要曲線(24時間、365日)の相対値を取得し、地域での年間電力の推定値に沿って電力需要曲線の相対値を定数倍することで、地域での時間毎(24時間、365日)の電力需要曲線の絶対値を求める。
【0042】
地域時間毎電力供給予測部54は、地域毎の太陽光発電の認定設備量と気象予測(日射量、気温等)を利用して、地域での時間毎(24時間、365日)の太陽光発電出力を予測(算出)する。
【0043】
地域時間毎余剰電力評価部55は、地域時間毎電力供給予測部54で求められた地域での時間毎(24時間、365日)の太陽光発電出力と、地域時間毎需要予測部53で求められた地域での時間毎(24時間、365日)の電力需要曲線の絶対値との差分を求め、余剰電力の評価値を出力する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、各地域(例えば、都道府県単位)での当該システムの成立性を議論するために、再生可能エネルギー由来の余剰電力の年間発生量を評価でき、CO
2フリー水素の有効利用するシステム構築の適地選定が容易にできる。
【0045】
なお、余剰電力評価システム1の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。