特開2018-21228(P2018-21228A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-21228犠牲電極材、電気防食工法、コンクリート構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-21228(P2018-21228A)
(43)【公開日】2018年2月8日
(54)【発明の名称】犠牲電極材、電気防食工法、コンクリート構造物
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/10 20060101AFI20180112BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20180112BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20180112BHJP
【FI】
   C23F13/10 A
   C23F13/02 L
   C23F13/02 A
   C23F13/10 Z
   E04B1/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-152981(P2016-152981)
(22)【出願日】2016年8月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [発行者名] 日本コンクリート工学会 [刊行物名] コンクリート工学年次論文集,Vol.38,No.1,2016,第1185〜1190頁 [発行年月日] 平成28年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】大野 晃
(72)【発明者】
【氏名】城者 孝文
【テーマコード(参考)】
2E001
4K060
【Fターム(参考)】
2E001DH26
2E001EA01
2E001HA01
2E001HA03
2E001HB04
2E001HB07
4K060AA02
4K060BA13
4K060EA08
4K060EB01
4K060FA03
(57)【要約】
【課題】犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の活性を維持することができる犠牲電極材を提供することを課題とする。
【解決手段】構造物に埋設された金属材料に対して電気的に接続される犠牲電極と、該犠牲電極が埋設されて所定形状を有する外装部とを備える犠牲電極材であって、
前記外装部は、犠牲電極の周囲のpHが3以上11以下となるように形成されることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に埋設された金属材料に対して電気的に接続される犠牲電極と、該犠牲電極が埋設されて所定形状を有する外装部とを備える犠牲電極材であって、
前記外装部は、犠牲電極の周囲のpHが3以上11以下となるように形成されることを特徴とする犠牲電極材。
【請求項2】
前記外装部は、水硬性材料と水との混練物が硬化することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の犠牲電極材。
【請求項3】
前記水硬性材料は、セメント、水酸化マグネシウム、石膏、ドロマイト、ベントナイト、粘土からなる群より選択される一種又は二種以上であることを特徴とする請求項2に記載の犠牲電極材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の犠牲電極材における犠牲電極と構造物に埋設された金属材料とを電気的に接続して金属材料の電気防食を行うことを特徴とする電気防食工法。
【請求項5】
金属材料が埋設された構造物本体と、金属材料と電気的に接続された犠牲電極と、該犠牲電極が埋設された埋設部とを備えており、
前記埋設部は、犠牲電極の周囲のpHが3以上11以下となるように形成されることを特徴とするコンクリート構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に埋設された金属材料に対して電気防食を行う際に用いられる犠牲電極材、斯かる犠牲電極材を用いた電気防食工法、及び、斯かる犠牲電極を備えるコンクリート構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等を用いて形成された構造物に埋設されている鉄筋などの鋼材は、表面に不動態被膜が形成されているため、本来、腐食から保護されている。ところが、斯かる構造物が経時的に劣化したりすることによって、構造物の表面に亀裂が生じたり、構造物の内部に間隙が生じたりする場合がある。斯かる場合、亀裂や隙間を通じて、水分や塩素成分が構造物の内部にまで侵入し、鋼材を部分的に腐食する(金属イオンが溶出する)虞がある。
【0003】
鋼材が部分的に腐食すると、腐食した部分と腐食していない部分とが鋼材に形成され、斯かる部分同士の間に電位差が生じることになる。このような電位差が生じることによって、腐食した部分から腐食していない部分へ向かって鋼材中に腐食電流が流れることになる。そして、このような腐食電流が鋼材中に流れることで、腐食した部分からの金属イオンの溶出が促進され、鋼材の腐食が更に進行する。
【0004】
上記のようにして生じる鋼材の腐食を防止する方法としては、構造物内の鋼材と該鋼材よりもイオン化傾向の高い金属(以下、犠牲電極とも記す)とを電気的に接続することで、鋼材よりも先に犠牲電極を腐食させて鋼材の腐食を抑制する方法が知られている。斯かる方法では、犠牲電極は、セメントを含有するセメント組成物と水とが混練されて硬化することで形成されるセメント硬化体内に埋設された状態で使用される。具体的には、セメント硬化体内に犠牲電極が埋設されてなる犠牲電極材が提案されており(特許文献1,2参照)、該犠牲電極材中の犠牲電極と鋼材とを電気的に接続することで鋼材の腐食を抑制する電気防食工法が知られている。
【0005】
ここで、犠牲電極の腐食は、犠牲電極の周囲のpH環境に影響を受けるため、犠牲電極が腐食しやすいpH環境を犠牲電極の周囲で維持することが要求される。例えば、上記のような犠牲電極材を用いて行う電気防食工法では、犠牲電極材を構成するセメント硬化体内のpHは、通常、犠牲電極の腐食前で12.5以上であるが、犠牲電極として用いる亜鉛メッシュの腐食に伴って11.5程度にまで低下することになる。そして、このようなpH環境に変化すると、犠牲電極に不動態皮膜が形成されて犠牲電極が腐食し難くなる(活性が低下する)ため、電気防食の効果を継続させることが困難になる。
【0006】
そこで、セメント硬化体を形成する際に硝酸リチウムや臭化リチウムを添加することで、セメント硬化体における犠牲電極の周囲のpHを12.5以上に維持する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−501859号公報
【特許文献2】特表2002−536544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように硝酸リチウムや臭化リチウムを添加する方法であっても、犠牲電極材の経時的な使用によって、犠牲電極材を構成するセメント硬化体内のpHが低下することになる。このため、pH12.5以上という狭いpH範囲に維持する方法では、犠牲電極の活性を効果的に維持することが困難である。
【0009】
そこで、本発明は、犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の活性を維持することができる犠牲電極材及び電気防食工法を提供すると共に、該犠牲電極材を用いた電気防食工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る犠牲電極材は、構造物に埋設された金属材料に対して電気的に接続される犠牲電極と、該犠牲電極が埋設されて所定形状を有する外装部とを備える犠牲電極材であって、前記外装部は、犠牲電極の周囲のpHが3以上11以下となるように形成されることを特徴とする。
【0011】
斯かる構成によれば、犠牲電極が埋設された外装部のpHが上記の範囲であることで、犠牲電極と金属材料とを電気的に接続して金属材料の電気防食を行った際に、外装部における犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の表面に不動態皮膜が形成されて電気防食の効果が低下する(活性が低下する)のを防止することができる。これにより、犠牲電極の活性を効果的に維持することができる。
【0012】
前記外装部は、水硬性材料と水との混練物が硬化することで形成されることが好ましい。
【0013】
前記水硬性材料は、セメント、水酸化マグネシウム、石膏、ドロマイト、ベントナイト、粘土からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る電気防食工法は、上記何れかに記載の犠牲電極材における犠牲電極と構造物に埋設された金属材料とを電気的に接続して金属材料の電気防食を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコンクリート構造物は、金属材料が埋設された構造物本体と、金属材料と電気的に接続された犠牲電極と、該犠牲電極が埋設された埋設部とを備えており、前記埋設部は、犠牲電極の周囲のpHが3以上11以下となるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の活性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る犠牲電極材を示した斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の一部を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図1を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0019】
本実施形態に係る犠牲電極材1は、図1に示すように、構造物に埋設された金属材料に対して電気的に接続される犠牲電極2と、該犠牲電極2が埋設されて所定形状を有する外装部3とを備える。また、犠牲電極材1は、犠牲電極2と前記金属材料とを電気的に連結する連結部4を更に備える。そして、犠牲電極材1は、犠牲電極2が連結部4を介して構造物中の金属材料と電気的に接続されることで、金属材料の電気防食を行うことが可能となる。
【0020】
犠牲電極2を構成する素材としては、電気防食の対象となる金属材料よりもイオン化傾向の高い金属(具体的には、金属単体、合金又は擬合金)が用いられる。犠牲電極2を構成する金属成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム等の金属、これらの金属の合金あるいは擬合金等が挙げられる。犠牲電極2の形状としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、板状の形状を有する。また、犠牲電極2は、連結部4と接続される。本実施形態では、四角形状の犠牲電極2の各角部の近傍に連結部4が接続される。
【0021】
前記外装部3は、埋設された犠牲電極2の周囲のpHが3以上11以下、好ましくは4以上8.5以下となるように構成される。犠牲電極2の腐食は、外装部3のpHが低いほど効果的に生じるが、外装部3に接する構造物(犠牲電極材1を取り付ける対象物)が外装部3のpHの影響によって変性する虞がある。このため、外装部3における犠牲電極2の周囲のpHは、下限値が3である。なお、外装部3における犠牲電極2の周囲のpHは、下記の実施例に記載の方法で測定されるものである。
【0022】
外装部3は、例えば、水硬性材料と水との混練物が硬化することで形成することができる。水硬性材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、セメント、水酸化マグネシウム、石膏、ドロマイト、ベントナイト、粘土からなる群より選択される一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
外装部3を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、水硬性材料としてセメントを用いた場合には、セメントと細骨材と水とを混練して混練物を形成し、該混練物を型枠に充填すると共に、該混練物中に犠牲電極2を埋設する。この際、犠牲電極2に接続された連結部4の一部が混練物の外側に位置するように配置される。そして、型枠内で混練物を硬化させることで外装部3が形成される。その後、型枠から外装部3を取り出すことで、所定形状を有する外装部3に犠牲電極2が埋設されてなる犠牲電極材1を得ることができる。
【0024】
連結部4は、導電性を有する素材を用いて形成される。連結部4を構成する素材としては、例えば、鉄、ステンレス、チタンなどが挙げられる。連結部4の形状としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、棒状の形状を有する。そして、連結部4は、一端部が犠牲電極2と接続される。
【0025】
次に、上記のように構成される犠牲電極材1を用いて金属材料の電気防食を行う電気防食工法について説明する。具体的には、コンクリート構造物中に金属材料(鋼材)が埋設されている場合、まず初めに、コンクリート構造物の表面をはつり取ることで、金属材料をコンクリート構造物の表面に露出させる。次に、はつり取った箇所に犠牲電極材1を配置すると共に、棒状の連結部4の他端部を金属材料に連結する。これにより、犠牲電極2と金属材料とが電気的に接続された状態となる。そして、コンクリート構造物のはつり取った箇所を犠牲電極材1ごとモルタル等で埋め戻すことで、犠牲電極材1を備えるコンクリート構造物が形成される。これにより、コンクリート構造物中の金属材料よりも早く犠牲電極2が腐食するため、コンクリート構造物中の金属材料の電気防食を行うことができる。
【0026】
以上のように、本発明に係る犠牲電極材、電気防食工法、及び、コンクリート構造物では、犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の活性を効果的に維持することができる。
【0027】
即ち、犠牲電極が埋設された外装部のpHが上記の範囲であることで、犠牲電極と金属材料とを電気的に接続して金属材料の電気防食を行った際に、外装部における犠牲電極の周囲のpHが低下しても犠牲電極の表面に不動態皮膜が形成されて電気防食の効果が低下する(活性が低下する)のを防止することができる。これにより、犠牲電極の活性を効果的に維持することができる。
【0028】
なお、本発明に係る犠牲電極材、電気防食工法、及び、コンクリート構造物は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0029】
具体的には、上記実施形態では、水硬性材料と水とが混練されて硬化することで外装部3が形成されているが、所定の形状を維持できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、粘土等のように硬化しない状態であっても所定の形状を維持できるもので外装部が形成されてもよい。
【0030】
また、上記実施形態では、コンクリート構造物は、犠牲電極材1が埋め込まれたものが例示されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図2に示すように、金属材料10bが埋設された構造物本体10aと、金属材料10bと電気的に接続された犠牲電極2と、該犠牲電極2が埋設された埋設部10cとを備えるコンクリート構造物10であってもよい。具体的には、構造物本体10aをはつり取って金属材料10bを構造物本体10aの表面に露出させた後、はつり取った箇所に犠牲電極2を配置する。そして、該犠牲電極2と金属材料10bとを連結部4を介して電気的に接続した後、モルタル等ではつり取った箇所を犠牲電極2ごと埋め戻すことで埋設部10cを形成する。これにより、埋設部10cに犠牲電極2が埋設されたコンクリート構造物10が形成される。斯かる場合には、埋設部10cにおける犠牲電極2の周囲のpHは、3以上11以下、好ましくは、8以上8.5以下となるように調整される。
【0031】
また、上記実施形態では、外装部3は、均質となるように形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、犠牲電極2の周囲(外装部3の内側)の性質と外装部3の表面側の性質とが異なるように構成されてもよい。例えば、犠牲電極2の周囲(外装部3の内側)を軟質なもの(スポンジ等)で形成し、外装部3の表面側をモルタル等の硬化体で被覆するように構成してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、犠牲電極2は、板状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、網目状(メッシュ)や棒状であってもよい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
<使用材料>
1.早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
2.軽焼ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製)
3.半水石膏(吉野石膏株式会社製)
4.硫酸第一鉄(堺化学社製)
5.水
6.犠牲電極(導電性を有する連結部を備える亜鉛メッシュ、サイズ:30mm×30mm×3mm)
7.コンクリート構造物(金属材料として鋼材が埋設されたもの)
【0035】
<各実施例及び各比較例の犠牲電極材の作成>
実施例1〜8及び比較例1〜5については、上記の1〜5の材料を下記表1の配合で混練して混練物を形成した。そして、該混練物を型枠に流し込むと共に、犠牲電極が備える連結部が混練物の外側に位置するように混練物中に犠牲電極を埋め込んだ。そして、混練物が硬化した後、型枠から外装部を取り外して犠牲電極材を得た。
【0036】
<外装部のpH>
実施例1〜8及び比較例1〜5については、上記の混練物を形成した直後のpHを飽和カロメル電極を用いたpH計で測定し、その測定結果を形成後3日の外装部における犠牲電極の周囲のpHとした。測定結果については、下記表2に示す。また、外装部を形成後10日、30日の外装部の犠牲電極の周囲のpHを測定した。具体的には、各日にちの外装部を粉末処理(乳鉢等で粉砕)し、イオン交換水(又は蒸留水)と重量比1:1で混合した。そして、混合物を吸引濾過した後、濾過水のpHをpH計で測定した。測定結果については、下記表2に示す。
【0037】
<分極抵抗・自然電位の測定>
上記のコンクリート構造物中の金属材料に、作製した犠牲電極材の連結部を連結し、金属材料と犠牲電極とを電気的に連結した。そして、外装部を形成後3日、10日、30日の分極抵抗及び自然電位を測定した。自然電位は、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として測定した。分極抵抗は、交流2極式により、1mHzにおけるインピーダンスをCPE(Constant Phase Element)解析して求めた。測定結果については、下記表2に示す。
なお、下記表2では、自然電位が−600mVより貴(+)側で、分極抵抗が5000Ω・cm以上を「×」とし、自然電位が−1000〜−600mVで、分極抵抗が1000〜5000Ω・cmを「○」とし、自然電位が−1000mVより卑(−)側で、分極抵抗が1000Ω・cm以下を「◎」とした。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
<まとめ>
表2の各実施例と比較例1とを比較すると、30日後の分極抵抗及び自然電位は、各実施例の方が小さいことが認められる。また、各実施例と比較例2〜5とを比較すると、各実施例の方が各測定時期において分極抵抗及び自然電位が低いことが認められる。また、各実施例では、外装部を形成した後3日から30日に亘って分極抵抗及び自然電位が低くなるように変化するのに対し、比較例1では、30日後に分極抵抗及び自然電位が急激に高くなり、比較例2〜5では、分極抵抗及び自然電位が比較的高い値で維持されることが認められる。つまり、外装部のpHを本願発明の範囲にすることで、分極抵抗及び自然電位が比較的低い値で長期的に維持されるため、犠牲電極の活性が効果的に維持することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…犠牲電極材、2…犠牲電極、3…外装部、4…連結部、10…コンクリート構造物、10a…構造物本体、10b…金属材料、10c…埋設部
図1
図2