【解決手段】フォールデットカスコード回路103を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、ミラー元となる第9のトランジスタ9が、正電源電圧と負電源電圧との間に、ミラー元用抵抗器である第5の抵抗器35、及び、ミラー元用定電流源としての第2の定電流源22と共に、正電源電圧側から第5の抵抗器35、第9のトランジスタ9、第2の定電流源22の順に直列接続されて設けられると共に、テール電流供給回路を構成するテール電流用カレントミラー回路の第2の出力トランジスタとなる第100のトランジスタ15が、第9のトランジスタ9と第5の抵抗器35の相互の接続点と負電源電圧との間にミラー電流を出力可能に設けられてなるものである。
第1及び第2のMOSトランジスタを用いてなる第1の差動対と、第3及び第4のMOSトランジスタを用いてなる第2の差動対とによって構成される入力段と、前記第1の差動対の差動出力を出力可能とするフォールデットカスコード回路と、前記第1の差動対へテール電流を供給するテール電流供給回路とを具備してなる差動増幅器において、
前記フォールデットカスコード回路を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、当該カレントミラー回路におけるミラー元となるダイオード接続されたミラー元用MOSトランジスタが、正電源電圧と負電源電圧との間に、ミラー元用抵抗器、及び、ミラー元用定電流源と共に、前記正電源電圧側から前記ミラー元用抵抗器、前記ミラー元用MOSトランジスタ、前記ミラー元用定電流源の順に直列接続されて設けられると共に、
前記テール電流供給回路を構成するテール電流用カレントミラー回路の第2の出力トランジスタとなるミラー出力増設用MOSトランジスタが、前記ミラー元用MOSトランジスタと前記ミラー元用抵抗器の相互の接続点と負電源電圧との間にミラー電流を出力可能に設けられてなることを特徴とする差動増幅器。
第1及び第2のMOSトランジスタを用いてなる第1の差動対と、第3及び第4のMOSトランジスタを用いてなる第2の差動対とによって構成される入力段と、前記第1の差動出力を出力可能とするフォールデットカスコード回路と、前記第1の差動対へテール電流を供給するテール電流供給回路とを具備してなる差動増幅器において、
前記フォールデットカスコード回路を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、当該カレントミラー回路におけるミラー元となるダイオード接続されたミラー元用MOSトランジスタが、正電源電圧と負電源電圧との間に、抵抗制御用抵抗器、ミラー元用抵抗器、及び、ミラー元用定電流源と共に、前記正電源電圧側から前記抵抗制御用抵抗器、前記ミラー元用抵抗器、前記ミラー元用MOSトランジスタ、前記ミラー元用定電流源の順に直列接続されて設けられる一方、
前記抵抗制御用抵抗器と並列接続されると共に、前記第2の差動対の動作の有無に応じて動作制御されるよう設けられた抵抗制御用MOSトランジスタとを備えてなることを特徴とする差動増幅器。
第1及び第2のMOSトランジスタを用いてなる第1の差動対と、第3及び第4のMOSトランジスタを用いてなる第2の差動対とによって構成される入力段と、前記第1の差動出力を出力可能とするフォールデットカスコード回路と、前記第1の差動対へテール電流を供給するテール電流供給回路とを具備してなる差動増幅器において、
前記フォールデットカスコード回路を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、当該カレントミラー回路におけるミラー元となるダイオード接続されたミラー元用MOSトランジスタが、正電源電圧と負電源電圧との間に、ミラー元用抵抗器、抵抗制御用抵抗器、及び、ミラー元用定電流源と共に、前記正電源電圧側から前記ミラー元用抵抗器、前記抵抗制御用抵抗器、前記ミラー元用MOSトランジスタ、前記ミラー元用定電流源の順に直列接続されて設けられる一方、
前記抵抗制御用抵抗器と並列接続されると共に、前記第2の差動対の動作の有無に応じて動作制御されるよう設けられた抵抗制御用MOSトランジスタとを備えてなることを特徴とする差動増幅器。
第1及び第2のMOSトランジスタを用いてなる第1の差動対と、第3及び第4のMOSトランジスタを用いてなる第2の差動対とによって構成される入力段と、前記第1の差動出力を出力可能とするフォールデットカスコード回路と、前記第1の差動対へテール電流を供給するテール電流供給回路とを具備してなる差動増幅器において、
前記フォールデットカスコード回路を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、当該カレントミラー回路におけるミラー元となるダイオード接続されたミラー元用MOSトランジスタが、正電源電圧と負電源電圧との間に、ミラー元用抵抗器、及び、ミラー元用定電流源と共に、前記正電源電圧側から前記ミラー元用抵抗器、前記ミラー元用MOSトランジスタ、ミラー元用定電流源の順に直列接続されて設けられる一方、
前記ミラー元用抵抗器と前記ミラー元用MOSトランジスタの相互の接続点に一端が接続された抵抗制御用抵抗器と、前記抵抗制御用抵抗器の他端と正電源電圧との間に直列接続されて、前記第2の差動対の動作の有無に応じて動作制御されるよう設けられた抵抗制御用MOSトランジスタとを備えてなることを特徴とする差動増幅器。
第1及び第2のMOSトランジスタを用いてなる第1の差動対と、第3及び第4のMOSトランジスタを用いてなる第2の差動対とによって構成される入力段と、前記第1の差動出力を出力可能とするフォールデットカスコード回路と、前記第1の差動対へテール電流を供給するテール電流供給回路とを具備してなる差動増幅器において、
前記フォールデットカスコード回路を構成するMOSトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し、かつ、当該カレントミラー回路におけるミラー元となるダイオード接続されたミラー元用MOSトランジスタが、正電源電圧と負電源電圧との間に、ミラー元用抵抗器、及び、ミラー元用定電流源と共に、前記正電源電圧側から前記ミラー元用抵抗器、前記ミラー元用MOSトランジスタ、ミラー元用定電流源の順に直列接続されて設けられる一方、
正電源電圧に一端が接続された抵抗制御用抵抗器が設けられると共に、前記抵抗制御用抵抗器の他端と、前記ミラー元用抵抗器と前記ミラー元用MOSトランジスタの相互の接続点との間に直列接続されて、前記第2の差動対の動作の有無に応じて動作制御されるよう設けられた抵抗制御用MOSトランジスタとを備えてなることを特徴とする差動増幅器。
【背景技術】
【0002】
コンパレータやオペアンプは、同相入力電圧が広いこと、同相入力電圧に対してトランスコンダクタンスなどの諸特性が変動しないことが理想とされる。
このような観点から、同相入力電圧を負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧に対するトランスコンダクタンスgmの変動抑圧を可能とした回路構成のコンパレータやオペアンプは、様々なものが提案、実用化されている(例えば、非特許文献1、特許文献1、2等参照)。
【0003】
図20には、このような従来のコンパレータの回路構成例が示されており、以下、この従来回路について同図を参照しつつ説明する。
このコンパレータは、トランジスタM1,M2により構成された第1の差動対DEF1と、トランジスタM3,M4及び第1の定電流源CS1により構成された第2の差動対DEF2と、トランジスタM5〜M8を用いて構成されたフォールデットカスコード回路CASと、トランジスタM11,M12により構成されたテール電流供給回路TAIとに大別されて構成されたものとなっている。
【0004】
このコンパレータにおいては、第1の差動対DEF1を構成するトランジスタM1,M2には、NMOSFET(NチャンネルMOS電界効果トランジスタ)が、第2の差動対DEF2を構成するトランジスタM3,M4には、PMOSFET(PチャンネルMOS電界効果トランジスタ)が、それぞれ用いられている。
フォールデットカスコード回路CASは、第1の差動対DEF1と第2の差動対DEF2繋ぐ機能を有するもので、トランジスタM5,M6には、PMOSFETが、トランジスタM7,M8には、NMOSFETが、それぞれ用いられている。
【0005】
このフォールデットカスコード回路CASにおいて、トランジスタM5,M6は、PMOSFETを用いたトランジスタM9をミラー元とし、カレントミラー比1:1のカレントミラー回路を構成している。
なお、抵抗器R1、R2、R5の抵抗値を、便宜的に、それぞれR1、R2、R5とすると、これらの抵抗値は、R1=R2=R5と設定されている。
【0006】
テール電流供給回路TAIは、NMOSFETを用いたトランジスタM11,M12によるカレントミラー回路により構成されており、トランジスタM11がミラー元となっており、そのカレントミラー比は、1:1に設定されたものとなっている。
このテール電流供給回路TAIは、同相入力電圧に応じて第1の差動対DEF1にテール電流を流すための切り替え機能を果たすものとなっている。
【0007】
次に、上述の構成を有する従来回路におけるトランスコンダクタンスgmの一定性について説明する。
同相入力電圧が負電源電圧VSSと基準電圧Vref1との間にある場合、第1の定電流源CS1の電流I1は、第2の差動対DEF2に流れ、このときの第2の差動対DEF2におけるgmは、下記する式1により与えられる。
なお、Vref1は、PMOSFETを用いたトランジスタM10のゲートに印加される基準電圧である。
【0008】
gm
P=(2×I1×k´
P×W
P/L
P)
1/2・・・式1
【0009】
ここで、k´
Pは、トランジスタM3,M4の移動度と単位面積当たりのゲート酸化膜容量の積であり、W
Pは、トランジスタM3,M4のゲート幅であり、L
Pは、とトランジスタM3,M4のゲート長である。
【0010】
次に、同相入力電圧が、基準電圧Vref1と正電源電圧VDDとの間にある場合のgmを考えると以下の如くとなる。
まず、電流I1は、トランジスタM3,M4に流れずにトランジスタM10に流れる。トランジスタM10に流れた電流I1は、トランジスタM11,M12により第1の差動対DEF1のテール電流となる。
したがって、このときの第1の差動対DEF1のgmは、下記する式2により与えられる。
【0011】
gm
N=(2×I1×k´
N×W
N/L
N)
1/2・・・式2
【0012】
ここで、k´
Nは、トランジスタM1,M2の移動度と単位面積当たりのゲート酸化膜容量の積であり、W
Nは、トランジスタM1,M2のゲート幅であり、L
Nは、とトランジスタM1,M2のゲート長である。
この場合、W
P、L
P、W
N、L
Nを適切に選択することで、gm
P=gm
Nとすることができる。つまり、同相入力電圧に対して、第1及び第2の差動対DEF1,DEF2のgmを一定に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図16を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における差動増幅器の第1の基本実施例における回路構成について、
図1を参照しつつ説明する。
この第1の基本実施例における差動増幅器Aは、第1及び第2のトランジスタ(
図1においては、それぞれ「M1」、「M2」と表記)1,2により構成された第1の差動対101と、第3及び第4のトランジスタ(
図1においては、それぞれ「M3」、「M4」と表記)3,4、及び、第1の定電流源(
図1においては「CS1」と表記)21により構成された第2の差動対102と、第5乃至第8のトランジスタ(
図1においては、それぞれ「M5」、「M6」、「M7」、「M8」と表記)5〜8を用いて構成されたフォールデットカスコード回路103と、第10乃至第12のトランジスタ(
図1においては、それぞれ「M10」、「M11」、「M12」と表記)10,11,12により構成されたテール電流供給回路104とに大別されて構成されたものとなっている。
【0045】
第1の差動対101を構成する第1及び第2のトランジスタ1,2には、NMOSFET(NチャンネルMOS電界効果トランジスタ)が用いられている。
第1のトランジスタ1のドレインは、第1の抵抗器(
図1においては「R1」と表記)31を介して、第2のトランジスタ2のドレインは、第2の抵抗器(
図1においては「R2」と表記)32を介して共に、正電源電圧VDDが印加されるようになっている一方、各々のソースは、相互に接続されて第12のトランジスタ12のドレインに接続されている。
【0046】
また、第1のトランジスタ1のゲートは、反転入力端子(
図1においては「INM」と表記)41に、第2のトランジスタ2のゲートは、非反転入力端子(
図1においては「INP」と表記)42に、それぞれ接続されている。
【0047】
第2の差動対102を構成する第3及び第4のトランジスタ3,4には、PMOSFET(PチャンネルMOS電界効果トランジスタ)が用いられている。
第3及び第4のトランジスタ3,4のソースは相互に接続され、その接続点と正電源電圧端子43との間には、第1の定電流源(
図1においては「CS1」と表記)21が接続されている。
【0048】
また、第3のトランジスタ3のドレインは、第3の抵抗器(
図1においては「R3」と表記)33を介して、また、第4のトランジスタ4のドレインは、第4の抵抗器(
図1においては「R4」と表記)34を介して、共に、負電源電圧端子44に接続されて負電源電圧VSSが印加されるようになっている。
さらに、第3のトランジスタ3のゲートは、先の第1のトランジスタ1のゲートに、第4のトランジスタ4のゲートは、先の第2のトランジスタ2のゲートに、それぞれ接続されている。
【0049】
フォールデットカスコード回路103は、第1の差動対101と第2の差動対102繋ぐ機能を有するもので、第5及び第6のトランジスタ5,6には、PMOSFETが、第7及び第8のトランジスタ7,8には、NMOSFETが、それぞれ用いられている。
第5及び第6のトランジスタ5,6は、各々のゲートが相互に接続される一方、第5のトランジスタ5のソースは、第1のトランジスタ1のドレインに、第6のトランジスタ6のソースは、第2のトランジスタ2のソースに、それぞれ接続されている。
【0050】
また、第7及び第8のトランジスタ7,8は、各々のゲートと第7のトランジスタ7のドレインとが相互に接続されると共に、さらに、第5のトランジスタ5のドレインに接続されている。
また、第8のトランジスタ8のドレインは、第6のトランジスタ6のドレインに接続されている。
一方、第7のトランジスタ7のソースは、第3のトランジスタ3のドレインに、第8のトランジスタ8のソースは、第4のトランジスタ4のドレインに、それぞれ接続されている。
【0051】
フォールデットカスコード回路103における第5及び第6のトランジスタ5,6は、PMOSFETを用いた第9のトランジスタ(
図1においては「M9」と表記)9をミラー元とし、カレントミラー比1:1のカレントミラー回路を構成している。
すなわち、ミラー元用MOSトランジスタとしての第9のトランジスタ9は、そのゲートとドレインが相互に接続されてダイオード接続状態とされると共に、その接続点は、第5及び第6のトランジスタ5,6のゲートに接続されている。
【0052】
そして、第9のトランジスタ9のソースは、ミラー元用抵抗器としての第5の抵抗器(
図1においては「R5」と表記)35を介して正電源電圧端子43に接続されて正電源電圧VDDが印加されるようになっている一方、ドレインと負電源電圧端子44との間には、ミラー元用定電流源としての第2の定電流源(
図1においては「CS2」と表記)22が接続されている。
なお、第1、第2、及び、第5の抵抗器31,32,35の抵抗値を、便宜的に、それぞれR1、R2、R5とすると、これらの抵抗値は、R1=R2=R5と設定されている。
【0053】
さらに、第9のトランジスタ9のソースには、第100のトランジスタ(
図1においては「M100」と表記)15のドレインが接続されている。
ミラー出力増設用MOSトランジスタとしての第100のトランジスタ15には、NMOSFETが用いられており、そのソースには、負電源電圧VSSが印加されるようになっている一方、ゲートは、次述するテール電流供給回路104を構成する第11及び第12のトランジスタ11,12のゲートに接続されている。
【0054】
テール電流供給回路104を構成する第10のトランジスタ10には、PMOSFETが、第11及び第12のトランジスタ11,12には、共にNMOSFETが、それぞれ用いられており、次述するようにカレントミラー回路を構成するものとなっている。
まず、第10のトランジスタ10のゲートは、基準電圧端子45に接続されて基準電圧Vref1が外部から印加されるようになっている一方、ソースは、第3及び第4のトランジスタ3,4のソースに接続されている。
また、第10のトランジスタ10のドレインは、第11のトランジスタ11のドレインに接続されている。
【0055】
第11及び第12のトランジスタ11,12は、各々のゲートと第11のトランジスタ11のドレインとが相互に接続される一方、ソースには、共に、負電源電圧VSSが印加されるようになっている。
そして、第11のトランジスタ11がカレントミラー元となっており、そのカレントミラー比は1:1に設定されている。
先の第100のトランジスタ15は、上述の第11及び第12のトランジスタ11,12により構成されるカレントミラー回路における第2の出力トランジスタとしてミラー電流を出力するものとなっている。
【0056】
また、第1の定電流源21に流れる電流I1と第2の定電流源22に流れる電流I2との関係は、I1:I2=1:0.5に設定されている。
さらに、第11のトランジスタ11と第100のトランジスタ15のカレントミラー比は、1:0.5に設定されており、第100のトランジスタ15を流れる電流をI
M100とすると、I1:I
M100=1:0.5となる。
【0057】
また、フォールデットカスコード回路103の第5及び第6のトランジスタ5,6の相互に接続されたゲートには、出力トランジスタである第13のトランジスタ(
図1においては「M13」と表記)13のゲートが接続されている。
第13のトランジスタ13には、NMOSFETが用いられており、そのドレインと正電源電圧端子43との間には、第3の定電流源(
図1においては「CS3」と表記)23が直列接続されて設けられると共に、ドレインには、出力端子46が接続される一方、ソースには負電源電圧VSSが印加されるようになっている。
【0058】
次に、かかる構成における回路動作について説明する。
従来同様、コンパレータの応答特性は、伝搬遅延時間を指標とし、この伝搬遅延時間は、第13のトランジスタ13のゲート電位が変動する応答時間が主であるとの前提の下、以下説明する。
同相入力電圧が、負電源電圧VSSと基準電圧Vref1との間にある場合、換言すれば、第2の差動対102が動作している場合の応答時間を考えると、次のようになる。
【0059】
まず、第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Pは、下記する式11により表される。
【0060】
t
M13P=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
2・・・式11
【0061】
ここで、ΔVxは、第13のトランジスタ13のドレイン電流をオン・オフするのに必要なゲート電圧変動量であり、Cxは、第13のトランジスタ13のゲートと負電源電圧VSSとの間の寄生容量であり、I
M6は、第6のトランジスタ6に流れる電流である。
【0062】
先に述べたように、抵抗値R5=R2であり、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比は1:1である。したがって、電流I
M6の大きさは、第2の定電流源22の電流値I
2と同じとなる。
【0063】
次に、同相入力電圧が、基準電圧Vref1と正電源電圧VDDとの間にある場合、換言すれば、第1の差動対101が動作している場合の応答時間を考えると、次のようになる。
まず、この場合の第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Nは、下記する式12により表される。
【0064】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6・・・式12
【0065】
ここで、第100のトランジスタ15の動作に注目すると、第100のトランジスタ15は、第11のトランジスタ11が動作しているため、電流I
M100が流れる。したがって、電流I
M6の大きさは、下記する式13を満たすように定められる。
【0066】
R5×(I2+I
M100)+(2×I2×L
PP/k´
PP×W
PP)
1/2=R2×(I
M6+I1/2)+(2×I
M6×L
PP/k´
PP×W
PP)
1/2・・・式13
【0067】
ここで、k´
PPは、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9の移動度と単位面積当たりのゲート酸化膜容量の積であり、W
PPは、第6及び第9のトランジスタ6,9のゲート幅であり、L
PPは、第6及び第9のトランジスタ6,9のゲート幅である。
また、電流I
M100の大きさは、前述したように下記する式14の通りである。
【0069】
したがって、式13が成立する条件は、I
M6=I
2となる。よって、同相入力電圧が基準電圧Vref1と正電源電圧VDDとの間にある場合、すなわち、第1の差動対101が動作している場合の応答時間は、下記する式15の通り、第2の差動対102が動作している場合の応答時間と同じとなる。
【0070】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
2=t
M13P・・・式15
【0071】
図11には、この第1の基本実施回路における第6のトランジスタ6の電流I
M6の同相入力電圧依存性を示す特性線図が、
図12には、同じく第1の基本実施回路における伝搬遅延時間の同相入力電圧依存性を示す特性線図が、それぞれ示されており、以下、これらの図について説明する。
【0072】
図11においては、第1の基本実施回路の場合、同相入力電圧の変化に対して第6のトランジスタ6の電流I
M6がほぼ一定を保つことが確認できる。
また、
図12においては、第6のトランジスタ6の電流I
M6がほぼ一定を保つことができる結果、伝搬遅延時間の同相入力電圧による変動が確実に抑制されていることが確認できる。
【0073】
すなわち、第1の基本実施回路を用いたコンパレータに用いた場合、同相入力電圧の負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化による応答特性の変化が抑制されたものとなるということができる。
なお、上述した第1の基本実施回路例においては、トランジスタとしてMOSFETを用いたが、これに限定される必要はなく、例えば、バイポーラトランジスタであっても良い。
【0074】
次に、上述の第1の基本実施回路例における差動増幅器をオペアンプに適用した場合の第1の適用回路例について、
図6を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0075】
この第1の適用回路例におけるオペアンプが、
図1に示された第1の基本実施例の回路と異なる点は、出力端子46と第13のトランジスタ13のゲートとの間に、位相補償コンデンサ(
図6においては「Cc」と表記)24を接続する一方、
図1における寄生容量Cxを削除したことである。なお、以下の説明においては、必要に応じて、「Cc」の表記を便宜的に位相補償コンデンサ24の容量値とする。
なお、寄生容量Cxを削除したのは、一般的に、位相補償コンデンサ24の容量CcはCxより十分大きく、寄生容量Cxの影響を無視できるためである。
【0076】
次に、オペアンプの応答特性について説明する。
オペアンプの応答特性の指標となるスルーレートSRは、下記する式16で表される。
【0078】
ここで、第6のとトランジスタ6の電流I
M6は、先に
図11で説明したように同相入力電圧に対する変動が抑制されている。
したがって、この
図6に示されたオペアンプは、応答特性の一例が
図13に示されたように、同相入力電圧が変化しても従来と異なり、スルーレートSRの変動が十分抑制されたものとなる。
なお、
図1に示された第1の基本実施回路例同様、この
図6に示された回路においても、トランジスタがMOSFETに限定される必要はなく、例えば、バイポーラトランジスタであっても良い。
【0079】
次に、第2の基本実施回路例について、
図2を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の基本実施回路は、
図1に示された第1の基本実施回路の第100のトランジスタ15に代えて、第101のトランジスタ(
図2においては「M101」と表記)16、及び、第101の抵抗器(
図2においては「R101」と表記)36が次述するように設けられた構成を有するものである。
【0080】
まず、
図1に示された回路において、第9のトランジスタ9のソースは、第5の抵抗器35を介して正電源電圧端子43に接続されていたが、
図2に示された第2の基本実施回路においては、第5の抵抗器35と正電源電圧端子43との間に、第101の抵抗器(抵抗制御用抵抗器)36が直列接続されて増設されたものとなっている。
【0081】
次に、第101のトランジスタ(抵抗制御用MOSトランジスタ)16には、PMOSFETが用いられており、そのソースには正電原電圧VDDが印加されるようになっている一方、ドレインは、第101の抵抗器36と第5の抵抗器35の接続点に接続されている。
そして、第101のトランジスタのゲートは、第3及び第4のトランジスタ3,4のソースに接続されている。
【0082】
この第2の基本実施回路において、第1の定電流源21に流れる電流I1と第2の定電流源22に流れる電流I2との関係は、第1の基本実施回路例と同様に、I1:I2=1:0.5に設定されものとする。
また、第2、第5、及び、第101の抵抗器32,35,36の抵抗値は、R2=R5=R101に設定される。ここで、R2は、第2の抵抗器32の抵抗値、R5は第5の抵抗器35の抵抗値、R101は第101の抵抗器36の抵抗値とする。
【0083】
また、第1の基本実施回路例同様、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比、第11及び第12のトランジスタ11,12のカレントミラー比は、いずれも1:1である。
そして、第101のトランジスタ16にドレイン電流が流れなくなる際の、ゲート電位Vg
M101は、下記する式17を満足するように設定されるものとする。
【0084】
Vg
M101=Vref1+Vgs
M10・・・式17
【0085】
ここで、Vgs
M10は、電流I1が第10のトランジスタ10に流れる際の、第10トランジスタ10のゲートとソースとの間の電位差である。
かかる前提の下、この第2の基本実施例における回路の動作を説明する。
従来同様、コンパレータの応答特性は、伝搬遅延時間を指標とし、この伝搬遅延時間は、第13のトランジスタ13のゲート電位が変動する応答時間が主であるものとの前提の下で、以下の説明することとする。
【0086】
最初に、同相入力電圧が負電源電圧VSSと基準電圧Vref1との間にある場合、換言すれば、第2の差動対102が動作している場合の応答時間を考える。
第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Pは、下記する式18により表される。
【0087】
t
M13P=ΔVx×Cx/I
M6・・・式18
【0088】
ここで、ΔVxは、第13のトランジスタ13のドレイン電流をオン・オフするのに必要なゲート電圧変動量であり、Cxは、第13のトランジスタ13のゲートと負電源電圧VSSとの間の寄生容量であり、I
M6は、第6のトランジスタ6に流れる電流である。
このとき、第10のトランジスタ10には、電流I1は流れていない。
したがって、第101のトランジスタ16のゲート電位は、先の式17で表される電位より低い。よって、第101のトランジスタ16にはドレイン電流が流れており、ドレインとソース間の抵抗は小さい状態にある。
【0089】
そのため、正電源電圧VDDと第9のトランジスタ9のソースとの間の電圧降下は、下記する式19より表される。
【0090】
VDD−VS
M9≒I2×R5・・・式19
【0091】
なお、VS
M9は、第9のトランジスタ9のソース電位である。
ここで、先に述べたように、第2の抵抗器32の抵抗値R2と第5の抵抗器35の抵抗値R5は、R2=R5であり、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比は、1:1であるので、第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Pは、下記する式20により表される。
【0092】
t
M13P=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
2・・・式20
【0093】
次に、同相入力電圧が、基準電圧Vref1と正電源電圧VDDとの間にある場合、換言すれば、第1の差動対101が動作している場合の応答時間を考える。
第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Nは、下記する式21により表される。
【0094】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6・・・式21
【0095】
ここで、第101のトランジスタ16は、先の式17を満たした状態である。したがって、第101のトランジスタのドレイン電流は流れず、ドレインとソース間は、ハイインピーダンス状態となる。そのため、第9のトランジスタ9のソース電位VS
M9は、下記する式22により表される。
【0096】
VS
M9=VDD−I2×(R101+R5)・・・式22
【0097】
一方、第2の抵抗器32における電圧降V
R2は、下記する式23により表される。
【0098】
V
R2=VDD−(I
M6+I1/2)×R2・・・式23
【0099】
先に述べたように、R2=R5=R101、I1:I2=1:0.5であるのでの、式22と式23が等しくなる場合には、下記する式24が成立する。
【0101】
したがって、第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Nは、下記する式25により表され、その値は、第2の差動対102が動作している場合の応答時間と同一となる。
【0102】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
2=t
M13P・・・式25
【0103】
図14には、この第2の基本実施回路における第6のトランジスタ6の電流I
M6の同相入力電圧依存性を示す特性線図が、
図15には、同じく第2の基本実施回路における伝搬遅延時間の同相入力電圧依存性を示す特性線図が、それぞれ示されており、以下、これらの図について説明する。
【0104】
図14においては、第2の基本実施回路の場合、同相入力電圧の変化に対して第6のトランジスタ6の電流I
M6がほぼ一定を保つことが確認できる。
また、
図15においては、第6のトランジスタ6の電流I
M6がほぼ一定を保つことができる結果、伝搬遅延時間の同相入力電圧による変動が確実に抑制されていることが確認できる。
【0105】
すなわち、第2の基本実施回路を用いたコンパレータに用いた場合、同相入力電圧の負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化による応答特性の変化が抑制されたものとなるということができる。
先の
図1に示された第1の基本実施回路においては、第100のトランジスタ15に電流I
M100を流す構成であったのに対して、この第2の基本実施回路は、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要なため、第1の基本実施回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0106】
次に、上述の第2の基本実施回路例をオペアンプに適用した場合の第2の適用回路例について、
図7を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の適用回路例におけるオペアンプが、
図2に示された第2の基本実施例回路例と異なる点は、出力端子46と第13のトランジスタ13のゲートとの間に、位相補償コンデンサ24を接続する一方、
図2における寄生容量Cxを削除したことである。
【0107】
オペアンプの応答特性は、スルレートを指標として、下記する式26により表される。
【0109】
ここで、電流I
M6は、先に
図14に示されたように同相入力電圧に対する変動た抑制されている。
したがって、この第2の適用回路例におけるオペアンプは、
図16に示されたように、スルーレートの同相入力電圧に対する変動が従来と異なり確実に抑制されるものとなっている。
つまり、同相入力電圧を負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化に対する応答特性の変化が、従来と異なり、確実に抑制可能なオペアンプであるということができる。
【0110】
なお、この第2の適用回路例には、先に、
図6に示された第1の適用回路例と異なり、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要な構成であるため、第1の適用回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0111】
次に、第3の基本実施回路について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の基本実施回路は、
図1に示された第1の基本実施回路の第100のトランジスタ15に代えて、第102のトランジスタ(
図3においては「M102」と表記)17、及び、第102の抵抗器(
図3においては「R102」と表記)37が次述するように設けられた構成を有するものである。
【0112】
まず、
図1に示された回路において、第9のトランジスタ9のソースは、第5の抵抗器35を介して正電源電圧端子43に接続されていたが、
図3に示された第3の基本実施回路例においては、第5の抵抗器35と第9のトランジスタ9のソースとの間に、第102の抵抗器(抵抗制御用抵抗器)37が直列接続されて増設されたものとなっている。
【0113】
また、第102のトランジスタ(抵抗制御用MOSトランジスタ)17には、PMOSFETが用いられており、そのソースは、第102の抵抗器107と第5の抵抗器35の接続点に接続される一方、ドレインは、第9のトランジスタ9のソースに接続されている。
そして、第102のトランジスタ17のゲートは、第3及び第4のトランジスタ3,4のソースに接続されている。
【0114】
また、第1の基本実施回路例同様、第1の定電流源21に流れる電流I1と第2の定電流源22に流れる電流I2との関係は、I1:I2=1:0.5に設定されている。
さらに、第1の基本実施回路例同様、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比、第11及び第12のトランジスタ11,12のカレントミラー比は、いずれも1:1である。
【0115】
また、第2、第5、及び、第102の抵抗器32,35,37の抵抗値は、R2=R5=R102に設定される。ここで、R2は、第2の抵抗器32の抵抗値、R5は第5の抵抗器35の抵抗値、R102は第102の抵抗器37の抵抗値とする。
【0116】
そして、第102のトランジスタ17にドレイン電流が流れなくなる際の、ゲート電位Vg
M102は、下記する式27を満足するように設定されるものとする。
【0117】
Vg
M102=Vref1+Vgs
M10・・・式27
【0118】
ここで、Vgs
M10は、電流I1が第10のトランジスタ10に流れる際の、第10のトランジスタ10のゲートとソースとの間の電位差である。
この第3の基本実施回路の動作は、
図2に示された第2の基本実施回路の動作と基本的に同様である。
したがって、第6のトランジスタ6の電流I
M6の同相入力電圧依存性は、先の
図14に示された特性線と同様となり、第3の基本実施回路における伝搬遅延時間の同相入力電圧依存性は、
図15に示された特性線と同様となる。
【0119】
よって、この第3の基本実施回路をコンパレータに用いた場合、同相入力電圧の負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化による応答特性の変化が抑制されたものとなるということができる。
先の
図1に示された第1の基本実施回路においては、第100のトランジスタ15に電流I
M100を流す構成であったのに対して、この第3の基本実施回路は、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要なため、第1の基本実施回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0120】
次に、上述の第3の基本実施回路例をオペアンプに適用した場合の第3の適用回路例について、
図8を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図3に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0121】
この第3の適用回路例におけるオペアンプは、出力端子46と第13のトランジスタ13のゲートとの間に、位相補償コンデンサ24を接続する一方、
図3における寄生容量Cxを削除した点が、
図3に示された第3の基本実施回路例と異なるものである。
【0122】
回路動作は、先に
図7に示された第2の適用回路例と基本的に同様である。
すなわち、この第3の適用回路におけるオペアンプは、
図16に示されたように、スルーレートの同相入力電圧に対する変動が従来と異なり確実に抑制されるものとなっている。
つまり、同相入力電圧を負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化に対する応答特性の変化が、従来と異なり、確実に抑制可能なオペアンプであるということができる。
【0123】
なお、この第3の適用回路例には、先に、
図6に示された第1の適用回路例と異なり、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要な構成であるため、第1の適用回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0124】
次に、第4の基本実施回路について、
図4を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図3に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の基本実施回路は、
図1に示された第1の基本実施回路の第100のトランジスタ15に代えて、第103のトランジスタ(
図4においては「M103」と表記)18、及び、第103の抵抗器(
図4においては「R103」と表記)38が次述するように設けられた構成を有するものである。
【0125】
まず、第103のトランジスタ(抵抗制御用MOSトランジスタ)18には、PMOSFETが用いられており、そのソースには、正電源電圧VDDが印加されるようになっている一方、ドレインは、第103の抵抗器(抵抗制御用抵抗器)38を介して第9のトランジスタ9のソースに接続されている。
そして、第103のトランジスタ18のゲートは、第3及び第4のトランジスタ3,4のソースに接続されている。
【0126】
かかる構成において、第1の基本実施回路例同様、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比、第11及び第12のトランジスタ11,12のカレントミラー比は、いずれも1:1である。
また、第1の定電流源21に流れる電流I1と第2の定電流源22に流れる電流I2との関係は、I1:I2=1:0.5に設定されている。
【0127】
そして、第2、第5、及び、第103の抵抗器32,35,38の抵抗値は、2×R2=R5=R103に設定される。ここで、R2は、第2の抵抗器32の抵抗値、R5は第5の抵抗器35の抵抗値、R103は第103の抵抗器38の抵抗値とする。
【0128】
かかる前提の下、第103のトランジスタ18にドレイン電流が流れなくなる際の、ゲート電位Vg
M103は、下記する式28を満足するように設定されるものとする。
【0129】
Vg
M103=Vref1+Vgs
M10・・・式28
【0130】
ここで、Vgs
M10は、電流I1が第10のトランジスタ10に流れる際の、第10トランジスタ10のゲートとソースとの間の電位差である。
かかる前提の下、この第4の基本実施回路の動作を説明する。
従来同様、コンパレータの応答特性は、伝搬遅延時間を指標とし、この伝搬遅延時間は、第13のトランジスタ13のゲート電位が変動する応答時間が主であるものとの前提の下で、以下の説明することとする。
【0131】
最初に、同相入力電圧が負電源電圧VSSと基準電圧Vref1との間にある場合、換言すれば、第2の差動対102が動作している場合の応答時間を考える。
第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Pは、下記する式29により表される。
【0132】
t
M13P=ΔVx×Cx/I
M6・・・式29
【0133】
ここで、ΔVxは、第13のトランジスタ13のドレイン電流をオン・オフするのに必要なゲート電圧変動量であり、Cxは、第13のトランジスタ13のゲートと負電源電圧VSSとの間の寄生容量であり、I
M6は、第6のトランジスタ6に流れる電流である。
このとき、第10のトランジスタ10には、電流I1は流れていない。
したがって、第103のトランジスタ18のゲート電位は、先の式28で表される電位より低い。よって、第103のトランジスタ18にはドレイン電流が流れており、ドレインとソース間の抵抗は小さい状態にある。
そのため、正電源電圧VDDと第9のトランジスタ9のソースとの間の電圧降下は、下記する式30より表される。
【0134】
VDD−VS
M9≒I2×(R5//R103)・・・式30
【0135】
なお、VS
M9は、第9のトランジスタ9のソース電位である。
また、(R5//R103)は、第5の抵抗器35と第103の抵抗器38の並列抵抗値を意味する。
ここで、先に述べたように、第2の抵抗器32の抵抗値R2、第5の抵抗器35の抵抗値R5、第103の抵抗器38の抵抗値R103の関係は、(2×R2)=R5=R103であり、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比は、1:1であるので、第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Pは、下記する式31により表される。
【0136】
t
M13P=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
2・・・式31
【0137】
次に、同相入力電圧が、基準電圧Vref1と正電源電圧VDDとの間にある場合、換言すれば、第1の差動対101が動作している場合の応答時間を考える。
第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Nは、下記する式32により表される。
【0138】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6・・・式32
【0139】
ここで、第103のトランジスタ18は、先の式28を満たした状態である。したがって、第103のトランジスタ18のドレイン電流は流れず、ドレインとソース間は、ハイインピーダンス状態となる。そのため、第9のトランジスタ9のソース電位VS
M9は、下記する式33により表される。
【0140】
VS
M9=VDD−I2×R5・・・式33
【0141】
一方、第2の抵抗器32における電圧降V
R2は、下記する式34により表される。
【0142】
V
R2=VDD−(I
M6+I1/2)×R2・・・式34
【0143】
先に述べたように、(2×R2)=R5、I1:I2=1:0.5であるのでの、式33と式34が等しくなる場合には、下記する式35が成立する。
【0145】
したがって、第13のトランジスタ13の応答時間t
M13Nは、下記する式36により表され、その値は、第2の差動対102が動作している場合の応答時間と同一となる。
【0146】
t
M13N=ΔVx×Cx/I
M6=ΔVx×Cx/I
M2=t
M13P・・・式36
【0147】
この第4の基本実施回路における第6のトランジスタ6の電流I
M6の同相入力電圧依存性は、先の第2の基本実施回路同様、
図14に示された特性線となり、また、伝搬遅延時間の同相入力電圧依存性も、先の第2の基本実施回路同様、
図15に示された特性線となる。
よって、この第4の基本実施回路をコンパレータに用いた場合、同相入力電圧の負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化による応答特性の変化が抑制されたものとなるということができる。
【0148】
なお、先の
図1に示された第1の基本実施回路においては、第100のトランジスタ15に電流I
M100を流す構成であったのに対して、この第4の基本実施回路は、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要なため、第1の基本実施回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0149】
次に、上述の第4の基本実施回路をオペアンプに適用した場合の第4の適用回路例について、
図9を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図3、
図4に示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の適用回路例におけるオペアンプは、出力端子46と第13のトランジスタ13のゲートとの間に、位相補償コンデンサ24を接続する一方、
図4における寄生容量Cxを削除した点が、
図4に示された第4の基本実施例回路例と異なるものである。
【0150】
オペアンプの応答特性について説明する。オペアンプの応答特性は、スルレートを指標として、下記する式37により表される。
【0152】
ここで、電流I
M6は、先に
図14に示されたように同相入力電圧に対する変動た抑制されている。
したがって、この第4の適用回路例におけるオペアンプは、
図16に示されたように、スルーレートの同相入力電圧に対する変動が従来と異なり確実に抑制されるものとなっている。
【0153】
つまり、この第4の適用回路例におけるオペアンプは、同相入力電圧を負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化に対する応答特性の変化が、従来と異なり、確実に抑制可能なものであるということができる。
なお、この第4の適用回路例には、先に、
図6に示された第1の適用回路例と異なり、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要な構成であるため、第1の適用回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0154】
次に、第5の基本実施回路例について、
図5を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図4のいずれかに示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第5の基本実施回路は、
図1に示された第1の基本実施回路の第100のトランジスタ15に代えて、第104のトランジスタ(
図5においては「M104」と表記)19、及び、第104の抵抗器(
図5においては「R104」と表記)39が次述するように設けられた構成を有するものである。
【0155】
まず、第104のトランジスタ(抵抗制御用MOSトランジスタ)19には、PMOSFETが用いられており、そのソースには、第104の抵抗器(抵抗制御用抵抗器)39を介して正電源電圧VDDが印加されるようになっている一方、ドレインは、第9のトランジスタ9のソースに接続されている。
【0156】
かかる構成において、第1の基本実施例同様、第6のトランジスタ6と第9のトランジスタ9のカレントミラー比、第11及び第12のトランジスタ11,12のカレントミラー比は、いずれも1:1である。
また、第1の定電流源21に流れる電流I1と第2の定電流源22に流れる電流I2との関係は、I1:I2=1:0.5に設定されている。
【0157】
そして、第2、第5、及び、第104の抵抗器32,35,39の抵抗値は、(2×R2)=R5=R104に設定される。ここで、R2は、第2の抵抗器32の抵抗値、R5は第5の抵抗器35の抵抗値、R104は第104の抵抗器39の抵抗値とする。
【0158】
かかる前提の下、第104のトランジスタ19にドレイン電流が流れなくなる際の、ゲート電位Vg
M104は、下記する式38を満足するように設定されるものとする。
【0159】
Vg
M104=Vref1+Vgs
M10・・・式38
【0160】
ここで、Vgs
M10は、電流I1が第10のトランジスタ10に流れる際の、第10トランジスタ10のゲートとソースとの間の電位差である。
【0161】
この第5の基本実施回路の回路動作は、
図4に示された第4の基本実施回路の動作と基本的に同様である。
したがって、第6のトランジスタ6の電流I
M6の同相入力電圧依存性は、先の
図14に示された特性線と同様となり、第5の基本実施回路における伝搬遅延時間の同相入力電圧依存性は、
図15に示された特性線と同様となる。
【0162】
よって、この第4の基本実施回路をコンパレータに用いた場合、同相入力電圧の負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化による応答特性の変化が抑制されたものとなるということができる。
先の
図1に示された第1の基本実施例の回路においては、第100のトランジスタ15に電流I
M100を流す構成であったのに対して、この第3の基本実施回路は、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要なため、第1の基本実施回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。
【0163】
次に、上述の第5の基本実施回路例をオペアンプに適用した場合の第5の適用回路例について、
図10を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図5のいずれかに示された回路における構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第5の適用回路例におけるオペアンプは、出力端子46と第13のトランジスタ13のゲートとの間に、位相補償コンデンサ24を接続する一方、
図5における寄生容量Cxを削除した点が、
図3に示された第3の基本実施回路例と異なるものである。
【0164】
回路動作は、先に
図9に示された第4の適用回路例と基本的に同様である。
すなわち、この第5の適用回路におけるオペアンプは、
図16に示されたように、スルーレートの同相入力電圧に対する変動が従来と異なり確実に抑制されるものとなっている。
【0165】
つまり、この第5の適用回路例におけるオペアンプは、同相入力電圧を負電源電圧から正電源電圧まで印加可能とし、同相入力電圧の変化に対する応答特性の変化が、従来と異なり、確実に抑制可能なものであるということができる。
なお、この第5の適用回路例には、先に、
図6に示された第1の適用回路例と異なり、電流消費を伴う第100のトランジスタ15が不要な構成であるため、第1の適用回路に比してより低消費電力化が可能なものとなっている。