特開2019-101547(P2019-101547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000003
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000004
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000005
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000006
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000007
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000008
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000009
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000010
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000011
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000012
  • 特開2019101547-データ書き込み方法及び記憶装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-101547(P2019-101547A)
(43)【公開日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】データ書き込み方法及び記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/06 20060101AFI20190603BHJP
【FI】
   G06F12/06 515N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-229044(P2017-229044)
(22)【出願日】2017年11月29日
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】山内 索
【テーマコード(参考)】
5B060
【Fターム(参考)】
5B060CA12
5B060MM15
(57)【要約】
【目的】短い処理時間で複数の記憶装置にユニークデータの書き込みを行うことが可能なデータ書き込み方法を提供する。
【構成】複数の記憶装置及び複数の記憶装置にデータを書き込む書込装置が実行するデータ書き込み方法であって、書込装置において、複数の記憶装置の各々に対する書き込み対象のデータを保持するステップと、複数の記憶装置の各々に割り当てられた識別情報を複数の記憶装置から取得するステップと、複数の記憶装置についての識別情報と書き込み対象のデータとを対応付けて結合させた結合データを生成するステップと、結合データを複数の記憶装置に送信するステップと、複数の記憶装置の各々において、結合データを受信するステップと、識別情報に基づいて当該記憶装置に対応する書き込み対象のデータを結合データから抽出するステップと、結合データから抽出した書き込み対象のデータを記憶するステップと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶装置及び前記複数の記憶装置にデータを書き込む書込装置が実行するデータ書き込み方法であって、
前記書込装置において、
前記複数の記憶装置の各々に対する書き込み対象のデータを保持するステップと、
前記複数の記憶装置の各々に割り当てられた識別情報を前記複数の記憶装置から取得するステップと、
前記複数の記憶装置についての前記識別情報と前記書き込み対象のデータとを対応付けて結合させた結合データを生成するステップと、
前記結合データを前記複数の記憶装置に送信するステップと、
前記複数の記憶装置の各々において、
前記結合データを受信するステップと、
前記識別情報に基づいて当該記憶装置に対応する前記書き込み対象のデータを前記結合データから抽出するステップと、
前記結合データから抽出した前記書き込み対象のデータを記憶するステップと、
を含むことを特徴とするデータ書き込み方法。
【請求項2】
前記書込装置において、前記複数の記憶装置に前記書き込み対象のデータを並列に書き込むことを示す書込信号を前記複数の記憶装置に送信するステップと、
前記複数の記憶装置の各々において、前記書込信号を受信するステップと、
を含み、
前記複数の記憶装置の各々において、前記結合データから抽出した前記書き込み対象のデータを記憶するステップでは、前記書込信号に応答して前記書き込み対象のデータを記憶することを特徴とする請求項1に記載のデータ書き込み方法。
【請求項3】
前記複数の記憶装置の各々において、
受信した前記結合データを一時的にバッファに格納するステップを含み、
前記識別情報に基づいて当該記憶装置に対応する前記書き込み対象のデータを前記結合データから抽出するステップでは、前記バッファに格納された前記結合データから前記書き込み対象のデータを抽出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ書き込み方法。
【請求項4】
前記複数の記憶装置の各々において、前記識別情報に基づいて当該記憶装置に対応する前記書き込み対象のデータを前記結合データから抽出するステップは、
当該記憶装置の前記識別情報と、受信した前記結合データに含まれる複数の前記識別情報と、を比較するステップと、
比較結果に基づいて、前記結合データに含まれる複数の前記書き込み対象のデータのうち、当該記憶装置の前記識別情報と一致する識別情報に対応する前記書き込み対象のデータを抽出するステップと、
抽出した前記書き込み対象のデータを一時的にバッファに格納するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ書き込み方法。
【請求項5】
データを記憶する記憶装置であって、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリにデータを書き込む書込回路と、
前記不揮発性メモリに書き込むデータを一時格納するバッファと、
複数の記憶装置についての識別情報と書き込み対象のデータとを対応付けて結合させた結合データと、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを指示する書込信号と、を受信する受信部と、
前記識別情報記憶部に記憶されている前記識別情報と、前記結合データに含まれる前記複数の記憶装置についての識別情報と、を比較する比較部と、
を有し、
前記比較部は、比較結果に基づいて前記結合データから前記記憶装置に対応する書き込み対象のデータを抽出し、
前記バッファは、前記比較部により抽出された前記書き込み対象のデータを一時格納し、
前記書込回路は、前記バッファから読み出した前記書き込み対象のデータを、前記書込信号に応答して前記不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ書き込み方法及び記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置に対して、装置の組み立て後且つ製品の出荷前にその装置に固有のデータ(以下、ユニークデータと称する)を書き込む処理が行われている。例えば、半導体記憶装置の製造プロセスにおいて、製造上のばらつきを調整するためのトリミングデータを書き込む処理が行われる。その際、書き込み対象の半導体装置が複数存在する場合には、装置毎に異なるユニークデータの書き込みを行う。
【0003】
複数の半導体記憶装置に対するトリミングデータの書き込みにおいて、工数の複雑化やエラーを避けるため、各半導体記憶装置の内部でトリミング値を算出する手段を備えた半導体記憶装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、書き込み対象のユニークデータが各半導体記憶装置の内部で生成できないデータである場合には、ライター等の書き込み装置が、各半導体記憶装置にデータをシリアルに書き込む必要がある。例えば、書き込み装置は自身のデータベースからユニークデータを読み出し、読み出したユニークデータを対応する半導体記憶装置に書き込む動作を複数回(すなわち、半導体記憶装置の個数分)繰り返すことにより、複数の半導体装置へのユニークデータの書き込みを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−164865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなユニークデータのシリアルな書き込みでは、書き込み動作を1つ1つの半導体記憶装置に対して順番に行うため、半導体記憶装置の数に比例した長さの処理時間がかかるという問題があった。また、ユニークデータを書き込む際には、その都度、書き込み対象の半導体記憶装置の電源をオンにする必要があり、半導体記憶装置の立ち上がりに要する時間も半導体記憶装置の数に比例して増大するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、短い処理時間で複数の記憶装置にユニークデータの書き込みを行うことが可能なデータ書き込み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ書き込み方法は、複数の記憶装置及び前記複数の記憶装置にデータを書き込む書込装置が実行するデータ書き込み方法であって、前記書込装置において、前記複数の記憶装置の各々に対する書き込み対象のデータを保持するステップと、前記複数の記憶装置の各々に割り当てられた識別情報を前記複数の記憶装置から取得するステップと、前記複数の記憶装置についての前記識別情報と前記書き込み対象のデータとを対応付けて結合させた結合データを生成するステップと、前記結合データを前記複数の記憶装置に送信するステップと、前記複数の記憶装置の各々において、前記結合データを受信するステップと、前記識別情報に基づいて当該記憶装置に対応する前記書き込み対象のデータを前記結合データから抽出するステップと、前記結合データから抽出した前記書き込み対象のデータを記憶するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る記憶装置は、データを記憶する記憶装置であって、不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリにデータを書き込む書込回路と、前記不揮発性メモリに書き込むデータを一時格納するバッファと、複数の記憶装置についての識別情報と書き込み対象のデータとを対応付けて結合させた結合データと、前記不揮発性メモリへのデータの書き込みを指示する書込信号と、を受信する受信部と、前記識別情報記憶部に記憶されている前記識別情報と、前記結合データに含まれる前記複数の記憶装置についての識別情報と、を比較する比較部と、を有し、前記比較部は、比較結果に基づいて前記結合データから前記記憶装置に対応する書き込み対象のデータを抽出し、前記バッファは、前記比較部により抽出された前記書き込み対象のデータを一時格納し、前記書込回路は、前記バッファから読み出した前記書き込み対象のデータを、前記書込信号に応答して前記不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るデータ書き込み方法によれば、短い処理時間で複数の記憶装置にユニークデータの書き込みを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のデータ書き込みシステムの構成を示すブロック図である。
図2】実施例1の書き込み装置及び記憶装置の構成を示すブロック図である。
図3A】ユニークデータDBに格納されているデータの例を模式的に示す図である。
図3B】結合データの内容を模式的に示す図である。
図4】実施例1の結合データの送信を模式的に示す図である。
図5】実施例1のデータ書き込み処理のプロセスを示すフローチャートである。
図6】実施例1の記憶装置におけるデータ格納処理のフローチャートである。
図7】比較例のユニークデータの送信を模式的に示す図である。
図8】比較例のデータ書き込み処理のプロセスを示すフローチャートである。
図9】実施例2の書き込み装置及び記憶装置の構成を示すブロック図である。
図10】実施例2の記憶装置におけるデータ格納処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例のデータ書き込みシステムの構成を示すブロック図である。本実施例のデータ書き込みシステム100は、書き込み装置10及び複数の記憶装置20−1〜20−n(n:2以上の整数)から構成されている。書き込み装置10及び記憶装置20−1〜20−nは、データバスラインDBLを介して接続されている。
【0014】
記憶装置20−1〜20−nには、各々を識別するための識別情報として、ユニークIDが割り当てられている。例えば、記憶装置20−1にはID−1、記憶装置20−2にはID−2、記憶装置20−3にはID−3、記憶装置20−4にはID−4、記憶装置20−5にはID−5、記憶装置20−6にはID−6、記憶装置20−(n−1)にはID−(n−1)、記憶装置20−nにはID−nが割り当てられている。
【0015】
図2は、書き込み装置10と、記憶装置20−1〜20−nのうちの1つ(記憶装置20と称する)の構成を示すブロック図である。
【0016】
書き込み装置10は、例えば半導体記憶装置にデータを書き込むライターであり、ユニークデータDB(データベース)11、処理制御部12及びインタフェース部13を有する。
【0017】
図3Aに示すように、ユニークDB11には、記憶装置20−1〜20−nの各々に対応する固有のデータであるユニークデータ(UD1〜UDn)が各記憶装置のユニークID(ID−1〜IDn)と対応付けて格納されている。ユニークデータUD1〜UDnは、本実施例のデータ書き込みシステム100が実行するデータ書き込み処理において、記憶装置20−1〜20−nへの書き込み対象となるデータである。
【0018】
また、ユニークデータDB11には、記憶装置20−1〜20−n以外の他の記憶装置(例えば、記憶装置20−1〜20−nとは異なる機会でデータの書き込みを行う記憶装置)のユニークデータ(例えば、UDX)も、当該他の記憶装置のユニークID(例えば、ID−X)と対応付けて格納されている。
【0019】
再び図2を参照すると、処理制御部12は、本実施例のデータ書き込み処理における各種のデータ処理及び書き込み装置10の各ブロックの制御を行う。具体的には、処理制御部12は、インタフェース部13が記憶装置20−1〜20−nから受信したユニークIDに基づいて、ユニークデータDB11から対応するユニークデータを読み出す。
【0020】
また、処理制御部12は、読み出したユニークデータに基づいて、結合データCDを生成する。すなわち、処理制御部12は、本実施例におけるユニークデータの書き込み対象である記憶装置20−1〜20−nのユニークID(ID−1〜ID−n)を取得し、取得したユニークIDに基づいて対応するユニークデータ(UD1〜UDn)をユニークデータDB11から検索及び抽出し、ユニークID及びユニークデータを結合して結合データCDを生成する。
【0021】
図3Bは、結合データCDに含まれるデータ内容の例を模式的に示す図である。結合データCDは、複数のユニークID(ID−1〜ID−n)及びこれに対応するユニークデータ(UD1〜UDn)が結合した1つのデータとして構成されている。
【0022】
再び図2を参照すると、処理制御部12は、記憶装置20−1〜20−nに並列にユニークデータを書き込むことを示す並列書込信号PWSを生成する。
【0023】
インタフェース部13は、記憶装置20−1〜20−nからデータバスラインDBLを介してユニークIDを受信する。また、インタフェース部13は、データバスラインDBLを介して、結合データCD及び並列書込信号PWSを記憶装置20−1〜20−nに送信する。
【0024】
図4に示すように、書き込み装置10から記憶装置20−1〜20−nには、データバスラインDBLを介して、同じ結合データCD及び並列書込信号PWSが供給される。
【0025】
再び図2を参照すると、記憶装置20は、フラッシュコントローラ21及びフラッシュメモリ22を有する。フラッシュコントローラ21は、不揮発性記憶装置であるフラッシュメモリ22を制御する制御部である。フラッシュコントローラ21は、インタフェース部23、バッファ24、ユニークID記憶部25、CPU26、書き込み回路27及び読み出し回路28を含む。
【0026】
インタフェース部23は、書き込み装置10からデータバスラインDBLを介して送信された結合データCD及び並列書込信号PWSを受信する。また、インタフェース部23は、ユニークID記憶部25に記憶されているユニークIDを書き込み装置10に送信する。
【0027】
バッファ24は、インタフェース部23が受信した結合データCDを一時的に格納する。ユニークID記憶部25は、記憶装置20に割り当てられた固有の識別情報であるユニークIDを記憶する。
【0028】
CPU(Central Processing Unit)26は、フラッシュコントローラ21内の各ブロックの制御を行う。また、CPU26は、ユニークID記憶部25からユニークIDを読み出し、バッファに格納された結合データCDから当該ユニークIDに対応するユニークデータを抽出し、書き込み回路27に供給する。
【0029】
書き込み回路27は、インタフェース部23が受信した並列書込信号PWSに応答してフラッシュメモリ22へのデータの書き込みを行う。読み出し回路28は、フラッシュメモリ22からのデータの読み出しを行う。
【0030】
フラッシュメモリ22は、書き込み回路27によるユニークデータの書き込みにおける書き込み先となるユニークデータ格納部29を有する。
【0031】
次に、本実施例のデータ書き込みシステムにおけるデータ書き込み処理の処理動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
まず、書き込み装置10のインタフェース部13は、データバスラインDBLを介して記憶装置20−1〜20−nからユニークIDを受信する。処理制御部12は、インタフェース部13が受信した記憶装置20−1〜20−nのユニークIDを取得する(ステップS101)。
【0033】
処理制御部12は、ユニークデータDB11にアクセスし、ステップS101で取得したユニークID(すなわち、ID−1〜ID−n)に対応するユニークデータを検索する(ステップS102)。
【0034】
処理制御部12は、検索したユニークデータ(すなわち、UD1〜UDn)をユニークDB11から抽出する(ステップS103)。
【0035】
処理制御部12は、抽出したユニークデータUD1〜UDn及びこれらに対応するユニークID−1〜IDnを結合して、結合データCDを生成する(ステップS104)。
【0036】
インタフェース部13は、処理制御部12の制御に応じて、結合データCDを記憶装置20−1〜20−nに並列に送信する(ステップS105)。
【0037】
処理制御部12は、全ての記憶装置への結合データCDの送信が完了した後、インタフェース部13を介して、記憶装置20−1〜20−nに並列にユニークデータを書き込むことを示す並列書込信号PWSを記憶装置20−1〜20−nに送信する(ステップS106)。
【0038】
記憶装置20−1〜20−nは、データ格納処理を行う(ステップS107)。
【0039】
次に、記憶装置20−1〜20−nの各々が実行するデータ格納処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
記憶装置20−1〜20−nのインタフェース部23は、結合データCDを受信する(ステップS201)。バッファ24は、受信した結合データCDを一時的に格納する(ステップS202)。
【0041】
記憶装置20−1〜20−3のCPU26は、バッファ24に格納されている結合データCDから当該記憶装置のユニークID(すなわち、ユニークID記憶部25に記憶されているユニークID)に対応するユニークデータを検出する(ステップS203)。
【0042】
インタフェース部23は、並列書込信号PWSを受信する(ステップS204)。書き込み回路27は、並列書込信号PWSに応答して、ステップS203で検出されたユニークデータをフラッシュメモリ22のユニークデータ格納部29に格納する(ステップS205)。
【0043】
以上のステップにより、記憶装置20−1〜20−nへのユニークデータの書き込みが完了する。
【0044】
このように、本実施例のデータ書き込みシステム100では、結合データCDを記憶装置20−1〜20−nに並列に送信し、各記憶装置において、当該記憶装置に対応するユニークデータの検出及び格納を行う。
【0045】
次に、本実施例のデータ書き込みシステム100とは異なり、書き込み装置10が結合データCDを送信せず、各記憶装置に対応するユニークデータのみを送信して書き込みを行う場合の例を比較例として、図7及び図8を参照して説明する。
【0046】
図7に示すように、比較例のデータ書き込みシステムでは、書き込み装置10は、記憶装置20−1〜20−nに対して、夫々の記憶装置に固有のユニークデータ(UD−1〜UD−n)のみを送信する。すなわち、書き込み装置10は、記憶装置20−1に対してユニークデータUD1、記憶装置20−2に対してユニークデータUD2、記憶装置20−3に対してユニークデータUD3、記憶装置20−4に対してユニークデータUD4、記憶装置20−(n−1)に対してユニークデータUD(n−1)、記憶装置20−nに対してユニークデータUDnを、それぞれ送信する。
【0047】
図8は、比較例のデータ書き込みシステムにおけるデータ書き込み処理の処理動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、書き込み装置10のインタフェース部13は、データバスラインDBLを介して記憶装置20−1〜20−nからユニークIDを受信する。処理制御部12は、記憶装置20−1〜20−nのユニークデータUD1〜UDnを取得する(ステップS301)。
【0049】
次に、データ書き込みシステムの外部に設けられている外部電源(図示せず)から記憶装置20−1〜20−nへの電源供給を停止し、記憶装置20−1〜20−nの全てをいったん電源OFFの状態にする(ステップS302)。
【0050】
処理制御部12は、ユニークデータの書き込み先である記憶装置を示す値m(すなわち、記憶装置20−m)をm=1に設定する(ステップS303)。
【0051】
処理制御部12は、ユニークデータDB11から、記憶装置20−mのユニークIDであるID−mに対応するユニークデータUDmを検索し、抽出する(ステップS304)。
【0052】
外部電源から記憶装置20−mへの電源供給を再開し、記憶装置20−mの電源をONにする(ステップS305)。
【0053】
インタフェース部13は、処理制御部12の制御に応じて、ユニークデータUDmを記憶装置20−mに送信する(ステップS306)。
【0054】
記憶装置20−mは、ユニークデータUDmをメモリに格納する(ステップS307)。
【0055】
書き込み装置10の処理制御部12は、記憶装置20−nまでユニークデータの格納が完了したか否か(すなわち、m=nになったか否か)を判定する(ステップS308)。
【0056】
記憶装置20−nまでユニークデータの格納が完了していないと判定すると(ステップS308:No)、処理制御部12は、mの値を1だけインクリメントして、ステップS304に戻る(ステップS309)。ステップS304〜309をm=nまで繰り返すことにより、記憶装置20−1〜20−nへのユニークデータの格納が完了する。
【0057】
比較例のデータ書き込みシステムでは、以上のようなステップを経て、記憶装置20−1〜20−nへのユニークデータの書き込みが完了する。
【0058】
比較例のデータ書き込み処理では、上記のステップS304〜309の処理を繰り返し行う。従って、(1)書き込み対象である記憶装置の電源のON、(2)ユニークデータの送信、(3)記憶装置へのユニークデータの格納、という一連の処理が記憶装置の数であるn回、繰り返し行われる。
【0059】
これに対し、図5を参照して説明したように、本実施例のデータ書き込み処理では、結合データCDを各記憶装置に並列に送信する。結合データCDは個々のユニークデータに比べてデータサイズが大きいが、比較例とは異なりデータ送信をシリアルに繰り返し行う必要がないため、トータルでのデータ送信時間は増大しない。また、本実施例では、記憶装置20−1〜20−nの全てが電源ONである状態で一連の処理を行うため、比較例のように各記憶装置の電源をその都度ONにする必要がない。また、本実施例では、各記憶装置へのユニークデータの格納は並列書込信号PWSに応じてパラレルに行われるため、比較例のように各記憶装置へのユニークデータの格納をシリアルに繰り返し行う必要がない。
【0060】
従って、本実施例のデータ書き込みシステムでは、記憶装置の電源のON及び記憶装置へのユニークデータの格納に要する時間が短縮されるため、短い処理時間で複数の記憶装置にユニークデータの書き込みを行うことが可能となる。
【実施例2】
【0061】
図9は、本実施例のデータ書き込みシステムにおける書き込み装置10と、記憶装置20−1〜20−nのうちの1つ(記憶装置20と称する)の構成を示すブロック図である。
【0062】
書き込み装置10は、ユニークデータDB11、処理制御部12及びインタフェース部13を有する。これらの各部の構成及び動作は、実施例1と同様である。
【0063】
記憶装置20は、フラッシュコントローラ21及びフラッシュメモリ22を有する。フラッシュコントローラ21は、インタフェース部23、バッファ24、ユニークID記憶部25、書き込み回路27及び読み出し回路28を含む。また、記憶装置20は、比較器30を有する。
【0064】
比較器30は、ユニークID記憶部25に記憶されているユニークIDと書き込み装置10から送信された結合データCD(すなわち、インタフェース部23が受信した結合ID)に含まれるユニークIDとを比較する。比較器30は、ユニークIDが一致すると、当該ユニークIDに対応するユニークデータを結合データCDから抽出し、バッファ24に格納する。
【0065】
次に、本実施例のデータ書き込み処理において記憶装置20が実行するデータ格納処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施例のデータ書き込み処理のうち、データ格納処理に至るまでの処理については、図5に示す実施例1の処理と同様である。
【0066】
記憶装置20のインタフェース部23は、結合データCDを受信する(ステップS401)。
【0067】
比較器30は、ユニークID記憶部25からユニークIDを読み出し、結合データCDに含まれるユニークIDと比較する(ステップS402)。
【0068】
比較器30は、比較の結果、一致するユニークIDがある場合には、当該ユニークIDに対応するユニークデータを結合データCDから抽出し、バッファ24に格納する(ステップS403)。
【0069】
インタフェース部23は、並列書込信号PWSを受信する(ステップS404)。書き込み回路27は、バッファ24に格納されているユニークデータを読み出し、並列書込信号PWSに応答して、フラッシュメモリ22のユニークデータ格納部29に格納する(ステップS405)。
【0070】
以上のステップにより、本実施例におけるユニークデータの書き込みが完了する。
【0071】
このように、本実施例のデータ書き込みシステムでは、実施例1と同様、記憶装置20−1〜20−nの電源をONにした状態で処理を行い、各記憶装置へのユニークデータの格納をパラレルに行うため、記憶装置の電源のON及び記憶装置へのユニークデータの格納に要する時間が短縮される。このため、短い処理時間で複数の記憶装置にユニークデータの書き込みを行うことが可能となる。
【0072】
また、本実施例のデータ書き込みシステムでは、記憶装置20は、自身のユニークID(すなわち、ユニークID記憶部25に記憶されているユニークID)と一致するユニークIDに対応するユニークデータのみをバッファ24に格納する。従って、結合データCDをバッファ24に格納する場合と比べて、バッファ24に格納されるデータのデータ量を低減することができる。従って、バッファサイズを小さく抑えることが可能となる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、記憶装置がデータを記憶するメモリとしてフラッシュメモリを有する場合について説明した。しかし、メモリの種類はフラッシュメモリに限られず、記憶装置は不揮発性のメモリを有していれば良い。
【0074】
また、上記実施例では、ユニークIDの一致を条件として結合データCDからのユニークデータの検索を行う場合を例として説明した。しかし、ユニークIDに対してCRC(Cyclic Redundancy Check)等のエラー検知符号やECC(Error Correction Code)等のエラー訂正符号を付加し、ユニークID及び符号の一致を条件としてユニークデータを特定する構成としても良い。かかる構成によれば、入力されたユニークIDがノイズなどによりビット化けし、ユニークIDのみの検索では選択するデータに誤り(例えば、半導体記憶装置間でのデータの重複)が生じうるような場合でも、高精度にユニークデータの特定を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
100 データ書き込みシステム
10 書き込み装置
11 ユニークデータDB
12 処理制御部
13 インタフェース部
20 記憶装置
21 フラッシュコントローラ
22 フラッシュメモリ
23 インタフェース部
24 バッファ
25 ユニークID記憶部
26 CPU
27 書き込み回路
28 読み出し回路
29 ユニークデータ格納部
30 比較器
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10