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特開2019-113482フレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-113482(P2019-113482A)
(43)【公開日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】フレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/34 20060101AFI20190621BHJP
【FI】
   G01N3/34 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-249096(P2017-249096)
(22)【出願日】2017年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107559
【弁理士】
【氏名又は名称】星宮 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100166257
【弁理士】
【氏名又は名称】城澤 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(72)【発明者】
【氏名】向井 大揮
(72)【発明者】
【氏名】矢熊 建太郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 真
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AB05
2G061BA15
2G061CA16
2G061CB01
2G061CB16
2G061CC01
2G061DA01
2G061DA16
(57)【要約】
【課題】試験時におけるフレキシブル回路基板の屈曲部の形状を制御することを可能にする。
【解決手段】耐屈曲性試験装置は、折り曲げ機構2と、形状制御部材4を備えている。折り曲げ機構2は、試験対象のフレキシブル回路基板である対象基板60が、平坦な状態と比べて形状が変化していない第1の非屈曲部および第2の非屈曲部と、第1の非屈曲部と第2の非屈曲部の間に位置して平坦な状態と比べて形状が変化した屈曲部とを含む形状になるように対象基板60を折り曲げ可能である。形状制御部材4は、対象基板60の屈曲部の形状を制御する。形状制御部材4は、第1の治具41と第2の治具42を含んでいる。第1および第2の治具41,42は、それぞれ屈曲部の形状を制御するための接触部41a,42aを有している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル回路基板の耐屈曲性の試験を行うためのフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置であって、
試験対象のフレキシブル回路基板を対象基板としたときに、前記対象基板が、平坦な状態と比べて形状が変化していない第1の非屈曲部および第2の非屈曲部と、前記第1の非屈曲部と第2の非屈曲部の間に位置して前記平坦な状態と比べて形状が変化した屈曲部とを含む形状になるように前記対象基板を折り曲げ可能な折り曲げ機構と、
前記折り曲げ機構を駆動する駆動装置と、
前記対象基板の前記屈曲部の形状を制御するための形状制御部材とを備えたことを特徴とするフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項2】
前記形状制御部材の少なくとも一部は、前記屈曲部の形状を変えることができるように交換可能であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項3】
前記形状制御部材の少なくとも一部は、前記屈曲部の形状を変えることができるように変形可能であることを特徴とする請求項1または2記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項4】
前記折り曲げ機構は、前記第1の非屈曲部の位置を決定するための固定部と、所定の中心軸を中心として回転可能で前記第2の非屈曲部の位置を変えるための可動部とを含み、
前記駆動装置は、前記可動部を駆動することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項5】
前記形状制御部材は、前記固定部に固定された第1の治具と、前記可動部に固定された第2の治具とを含み、
前記第1の治具は、前記屈曲部の外周面の一部に接触する第1の接触部を有し、
前記第2の治具は、前記屈曲部の外周面の他の一部に接触する第2の接触部を有し、
前記第1および第2の接触部によって、前記屈曲部の形状が制御されることを特徴とする請求項4記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項6】
前記第1の治具は、更に、前記第1の非屈曲部に接触する第1の平面部を有し、
前記第2の治具は、更に、前記第2の非屈曲部に接触する第2の平面部を有し、
前記折り曲げ機構は、前記第1の平面部と前記第2の平面部が向き合い且つ平行になる二つ折り状態を選択可能であり、且つ前記二つ折り状態における前記第1の平面部と前記第2の平面部との間隔を調整可能であることを特徴とする請求項5記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項7】
前記折り曲げ機構は、前記対象基板を前記平坦な状態とする展開状態を選択可能であり、且つ前記展開状態における前記第1の治具と前記第2の治具との間隔を調整可能であることを特徴とする請求項5または6記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項8】
前記形状制御部材は、前記屈曲部の内周面に接触することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項9】
前記形状制御部材は、前記対象基板に貼り付けられる弾性部材を含むことを特徴とする請求項8記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項10】
前記形状制御部材は、前記屈曲部の内周面に接触する接触部を有する軸状の部材を含むことを特徴とする請求項8記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項11】
前記折り曲げ機構は、前記第1の非屈曲部の位置を決定するための固定部と、所定の中心軸を中心として回転可能で前記第2の非屈曲部の位置を変えるための可動部とを含み、
前記駆動装置は、前記可動部を駆動することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項12】
前記折り曲げ機構は、更に、前記固定部に固定された第1の支持部材と、前記可動部に固定された第2の支持部材とを含み、
前記第1の支持部材は、前記第1の非屈曲部に接触する第1の平面部を有し、
前記第2の支持部材は、前記第2の非屈曲部に接触する第2の平面部を有することを特徴とする請求項11記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項13】
前記折り曲げ機構は、前記第1の平面部と前記第2の平面部が向き合い且つ平行になる二つ折り状態を選択可能であり、且つ前記二つ折り状態における前記第1の平面部と前記第2の平面部との間隔を調整可能であることを特徴とする請求項12記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【請求項14】
前記折り曲げ機構は、前記対象基板を前記平坦な状態とする展開状態を選択可能であり、且つ前記展開状態における前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間隔を調整可能であることを特徴とする請求項12または13記載のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板の耐屈曲性の試験を行うためのフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置に関する。特に、フレキシブル回路基板のヒンジ部を保護する仕組みを有するフォルダブル電子機器にも対応可能なフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、ハードディスク装置、光ピックアップ装置、プリンタ等の電子機器において、フレキシブル回路基板が広く利用されている。フレキシブル回路基板は、折り曲げて使用することができることから、例えば、電子機器において繰り返し折り曲げられる部分に使用される。このようなフレキシブル回路基板には、高い耐屈曲性が要求される。
【0003】
特許文献1には、二つ折りに曲げて使用され得るフレキシブル回路基板の耐折り曲げ性の試験を行う試験装置が記載されている。この試験装置は、フレキシブル回路基板を折り曲げる動作と、折り曲げられたフレキシブル回路基板を展開する動作とが可能な折り曲げ機構と、フレキシブル回路基板を挟み込む挟み込み機構とを備えている。挟み込み機構は、フレキシブル回路基板が載置されるステージと、ステージの上方に配置されて上下動可能な接触子とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−125096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
折り曲げられた状態のフレキシブル回路基板は、平坦な状態と比べて形状が変化していない第1の非屈曲部および第2の非屈曲部と、第1の非屈曲部と第2の非屈曲部の間に位置して平坦な状態と比べて形状が変化した屈曲部とを含んでいる。
【0006】
実際に電子機器に組み込まれて繰り返し折り曲げられるフレキシブル回路基板では、折り曲げられた状態のフレキシブル回路基板の形状、特に屈曲部の形状は、電子機器に応じて異なる。
【0007】
そのため、フレキシブル回路基板の耐屈曲性の試験は、試験時における屈曲部の形状が、実際に電子機器に組み込まれて使用されるときの屈曲部の形状に近い形状になるようにして行うことが望ましい。
【0008】
しかし、特許文献1に記載された試験装置を含めて、フレキシブル回路基板の耐屈曲性の試験を行うための従来の試験装置では、試験時における屈曲部の形状を、所望の形状になるように制御することが難しいという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、試験時におけるフレキシブル回路基板の屈曲部の形状を制御できるようにしたフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置は、フレキシブル回路基板の耐屈曲性の試験を行うための装置である。本発明の試験装置は、折り曲げ機構を備えている。折り曲げ機構は、試験対象のフレキシブル回路基板を対象基板としたときに、対象基板が、平坦な状態と比べて形状が変化していない第1の非屈曲部および第2の非屈曲部と、第1の非屈曲部と第2の非屈曲部の間に位置して平坦な状態と比べて形状が変化した屈曲部とを含む形状になるように対象基板を折り曲げ可能な機構である。本発明の試験装置は、更に、折り曲げ機構を駆動する駆動装置と、対象基板の屈曲部の形状を制御するための形状制御部材とを備えている。
【0011】
本発明の試験装置において、形状制御部材の少なくとも一部は、屈曲部の形状を変えることができるように交換可能であってもよい。
【0012】
また、本発明の試験装置において、形状制御部材の少なくとも一部は、屈曲部の形状を変えることができるように変形可能であってもよい。
【0013】
また、本発明の試験装置において、折り曲げ機構は、第1の非屈曲部の位置を決定するための固定部と、所定の中心軸を中心として回転可能で第2の非屈曲部の位置を変えるための可動部とを含んでいてもよい。この場合、駆動装置は、可動部を駆動する。
【0014】
また、形状制御部材は、固定部に固定された第1の治具と、可動部に固定された第2の治具とを含んでいてもよい。第1の治具は、屈曲部の外周面の一部に接触する第1の接触部を有している。第2の治具は、屈曲部の外周面の他の一部に接触する第2の接触部を有している。そして、第1および第2の接触部によって、屈曲部の形状が制御される。
【0015】
第1の治具は、更に、第1の非屈曲部に接触する第1の平面部を有していてもよく、第2の治具は、更に、第2の非屈曲部に接触する第2の平面部を有していてもよい。この場合、折り曲げ機構は、第1の平面部と第2の平面部が向き合い且つ平行になる二つ折り状態を選択可能であり、且つ二つ折り状態における第1の平面部と第2の平面部との間隔を調整可能であってもよい。また、折り曲げ機構は、対象基板を平坦な状態とする展開状態を選択可能であり、且つ展開状態における第1の治具と第2の治具との間隔を調整可能であってもよい。
【0016】
また、本発明の試験装置において、形状制御部材は、屈曲部の内周面に接触するものであってもよい。この場合、形状制御部材は、対象基板に貼り付けられる弾性部材を含んでいてもよい。あるいは、形状制御部材は、屈曲部の内周面に接触する接触部を有する軸状の部材を含んでいてもよい。
【0017】
形状制御部材が屈曲部の内周面に接触するものである場合、折り曲げ機構は、第1の非屈曲部の位置を決定するための固定部と、所定の中心軸を中心として回転可能で第2の非屈曲部の位置を変えるための可動部とを含んでいてもよい。この場合、駆動装置は、可動部を駆動する。
【0018】
折り曲げ機構は、更に、固定部に固定された第1の支持部材と、可動部に固定された第2の支持部材とを含んでいてもよい。第1の支持部材は、第1の非屈曲部に接触する第1の平面部を有している。第2の支持部材は、第2の非屈曲部に接触する第2の平面部を有している。この場合、折り曲げ機構は、第1の平面部と第2の平面部が向き合い且つ平行になる二つ折り状態を選択可能であり、且つ二つ折り状態における第1の平面部と第2の平面部との間隔を調整可能であってもよい。また、折り曲げ機構は、対象基板を平坦な状態とする展開状態を選択可能であり、且つ展開状態における第1の支持部材と第2の支持部材との間隔を調整可能であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置によれば、形状制御部材を備えたことにより、試験時におけるフレキシブル回路基板の屈曲部の形状を制御することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置の正面図である。
図2図1に示した試験装置の側面図である。
図3図1に示した試験装置の平面図である。
図4図1に示した試験装置の一部を示す平面図である。
図5図1に示した試験装置における折り曲げ機構と形状制御部材とパラメータ調整装置を示す側面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図7】本発明の第1の実施の形態における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図8】本発明の第1の実施の形態における第2の治具の固定方法を説明するための説明図である。
図9】本発明の第1の実施の形態におけるスペース調整方法の一手順を示す説明図である。
図10図9に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図11図10に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図12図11に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図13】本発明の第1の実施の形態におけるギャップ調整方法の一手順を示す説明図である。
図14図13に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図15図14に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図16図15に示した手順に続く手順を示す説明図である。
図17】本発明の第1の実施の形態における対象基板の平面図である。
図18図17に示した対象基板の配線部を拡大して示す平面図である。
図19図17に示した対象基板の一部を示す断面図である。
図20】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図21】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第1の例を示す説明図である。
図22】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第2の例を示す説明図である。
図23】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図24】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第1の例を示す説明図である。
図25】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第2の例を示す説明図である。
図26】本発明の第2の実施の形態における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図27】本発明の第2の実施の形態における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図28】本発明の第3の実施の形態における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図29】本発明の第3の実施の形態における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第1の例を示す説明図である。
図30】本発明の第3の実施の形態における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第2の例を示す説明図である。
図31】本発明の第3の実施の形態の変形例における、折り曲げ機構の展開状態での形状制御部材および対象基板を示す説明図である。
図32】本発明の第3の実施の形態の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第1の例を示す説明図である。
図33】本発明の第3の実施の形態の変形例における、折り曲げ機構の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板の第2の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置(以下、単に、試験装置と記す。)の概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る試験装置の正面図である。図2は、図1に示した試験装置の側面図である。図3は、図1に示した試験装置の平面図である。図4は、図1に示した試験装置の一部を示す平面図である。
【0022】
本実施の形態に係る試験装置1は、折り曲げられるフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験装置の試験を行うための装置である。以下、試験対象のフレキシブル回路基板を、対象基板と言い、符号60で表す。試験装置1は、複数の対象基板60に対して同時に試験を行うことが可能である。図1ないし図4に示したように、試験装置1は、対象基板60を折り曲げ可能な折り曲げ機構2と、折り曲げ機構2を駆動する駆動装置3と、上面6aおよび下面6bを有するベース6と、ベース6の上面6aの上に設けられた筐体7と、ベース6の下面6bに設けられた複数の脚部8とを備えている。
【0023】
ここで、図1ないし図4に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。本実施の形態では、ベース6の上面6aに垂直な一方向(図1および図2では上側に向かう方向)をZ方向とする。また、X方向とは反対の方向を−X方向とし、Y方向とは反対の方向を−Y方向とし、Z方向とは反対の方向を−Z方向とする。また、以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。折り曲げ機構2は、筐体7の上方に設けられている。
【0024】
試験装置1は、更に、折り曲げられたときの対象基板60の屈曲部の形状を制御するための形状制御部材4と、パラメータ調整装置5とを備えている。屈曲部については、後で詳しく説明する。なお、図4では、形状制御部材4を省略している。駆動装置3と、パラメータ調整装置5の大部分は、筐体7内に収容されている。折り曲げ機構2、駆動装置3、形状制御部材4およびパラメータ調整装置5の構成については、後で説明する。
【0025】
試験装置1は、更に、折り曲げ機構2と筐体7との間に配置された固定板9と、筐体7に設けられた設定入力部10とを備えている。なお、図1では、設定入力部10を省略している。設定入力部10は、試験を行う際の各種の設定情報の入力や試験装置1の各種の動作の指示(動作の有無を含む)を行うためのものである。本実施の形態では、設定入力部10は、入力装置と、試験装置1の各種の動作の状態の情報等を表示する表示装置とを兼ねたタッチパネルである。
【0026】
試験装置1は、更に、筐体7に設けられた電気的接続部11と、図示しない制御部とを備えている。電気的接続部11は、複数対のコネクタを含んでいる。一対のコネクタには、対象基板60の配線部に電気的に接続された一対のリードが接続されるようになっている。また、一対のコネクタには、図示しない抵抗測定器が接続されるようになっている。抵抗測定器は、後で説明する対象基板60の配線部の抵抗値を測定するものである。
【0027】
制御部は、設定入力部10における情報の表示を制御する機能と、設定入力部10によって入力された設定情報や試験装置1の各種の動作の指示を記憶する機能と、対象基板60の耐屈曲性の試験を行う際の試験装置1の一連の動作を制御する機能等を有している。制御部は、例えばマイクロコンピュータによって実現される。抵抗測定器は、制御部に接続されるようになっている。
【0028】
次に、図1図2図4および図5を参照して、折り曲げ機構2と駆動装置3の構成について説明する。図5は、折り曲げ機構2と形状制御部材4とパラメータ調整装置5を示す側面図である。折り曲げ機構2は、固定部21と可動部22とを含んでいる。図2に示したように、固定部21と可動部22は、筐体7の上方に設けられている。また、図4に示したように、固定部21と可動部22は、それぞれ、X方向に長い板状である。固定部21は、対象基板60の一部の位置を決定するためのものである。可動部22は、所定の中心軸C(図2参照)を中心として回転可能で、対象基板60の他の一部の位置を変えるためのものである。図2および図4に示したように、固定部21は、Z方向の端に位置する上面21aを有している。可動部22は、Z方向の端に位置する上面22aを有している。
【0029】
本実施の形態では、駆動装置3は、可動部22を駆動するように構成されている。駆動装置3は、ステッピングモータ31と、連結部材32と、2つのタイミングプーリ33A,33Bと、タイミングベルト34と、可動部22を支持する3つの支持部35A,35B,35Cとを含んでいる。連結部材32は、ステッピングモータ31の回転軸とタイミングプーリ33Aとを連結している。図1に示したように、ステッピングモータ31、連結部材32およびタイミングプーリ33Aは、筐体7内に収容されている。
【0030】
図1および図4に示したように、3つの支持部35A,35B,35Cは、固定板9に固定され、X方向にこの順に並んでいる。支持部35A,35B,35Cは、それぞれ、軸部と、軸部を回転可能に支持する回転支持部材と、可動部22と軸部の一端部とを連結する連結部材とを含んでいる。軸部の回転中心は、可動部22の中心軸Cに対応する。タイミングプーリ33Bは、支持部35Bにおける軸部の他端部に取り付けられている。タイミングベルト34は、タイミングプーリ33A,33B間に掛け渡されている。なお、図3および図4では、タイミングベルト34を省略している。
【0031】
可動部22は、駆動装置3によって、中心軸Cを中心して回転駆動される。本実施の形態では、可動部22の位置は、図5に示した位置を0°として、この0°の位置から回転した角度で表わされる。図5において、記号Rを付した矢印は、可動部22が、0°の位置から角度が増加するように回転するときの、可動部22の回転方向を示している。なお、試験動作時の可動部22の回転駆動範囲は、0°から180°までの範囲内に限られない。例えば、可動部22は、0°から、0°よりも大きく180°よりも小さい角度までの範囲内で回転駆動されてもよいし、0°よりも大きく180°よりも小さい角度から、180°の範囲内で回転駆動されてもよいし、0°よりも大きく180°よりも小さい第1の角度から、第1の角度よりも大きく180°よりも小さい第2の角度までの範囲内で回転駆動されてもよい。
【0032】
折り曲げ機構2は、対象基板60を平坦な状態とする展開状態と、二つ折り状態とを選択可能である。図1ないし図5には、展開状態の折り曲げ機構2を示している。展開状態は、可動部22の位置が0°の状態でもある。二つ折り状態については、後で詳しく説明する。
【0033】
次に、図2図4および図5を参照して、パラメータ調整装置5の構成について説明する。なお、図5では、便宜上、パラメータ調整装置5の形状を、単純化して描いている。図2および図5に示したように、パラメータ調整装置5は、第1の調整部51と、第2の調整部52と、第3の調整部53とを含んでいる。
【0034】
第1の調整部51は、駆動装置51Aと、駆動装置51Aに連結されたスライダ部材51Bとを含んでいる。駆動装置51Aは、筐体7内に設けられている。スライダ部材51Bは、筐体7の内部から外部に向かってZ方向に突出するように設けられている。スライダ部材51BのZ方向の端部には、固定部21が固定されている。駆動装置51Aは、ボールねじ、ステッピングモータ等によって構成され、スライダ部材51BをZ方向に平行な方向に移動可能である。これにより、固定部21は、Z方向に平行な方向に移動可能である。
【0035】
第2の調整部52は、駆動装置52Aと、駆動装置52Aに連結されたスライダ部材52Bと、連結部材52Cとを含んでいる。駆動装置52A、スライダ部材52Bおよび連結部材52Cは、筐体7内に設けられている。連結部材52Cは、スライダ部材52Bと、第1の調整部51の駆動装置51Aとを連結している。駆動装置52Aは、ボールねじ、ステッピングモータ等によって構成され、スライダ部材52BをY方向に平行な方向に移動可能である。これにより、第1の調整部51の駆動装置51Aおよびスライダ部材51Bと、固定部21は、Y方向に平行な方向に移動可能である。
【0036】
第3の調整部53は、駆動装置53Aと、駆動装置53Aに連結されたスライダ部材53Bと、スライダ部材53Bに固定された2つの当接部材53C1,53C2(図4参照)とを含んでいる。駆動装置53Aおよびスライダ部材53Bは、筐体7内に設けられている。当接部材53C1,53C2は、筐体7の内部から外部に向かってZ方向に突出するように設けられている。また、当接部材53C1,53C2は、X方向にこの順に並んでいる。当接部材53C1は、支持部35Aと支持部35Bの間に配置されている。当接部材53C2は、支持部35Bと支持部35Cの間に配置されている。
【0037】
当接部材53C1,53C2は、可動部22の近傍においてZ方向に平行な方向に移動可能である。図4に示したように、可動部22は、当接部材53C1が移動する領域を囲むように形成された切り欠き部22bと、当接部材53C2が移動する領域を囲むように形成された切り欠き部22cとを有している。
【0038】
駆動装置53Aは、ボールねじ、ステッピングモータ等によって構成され、スライダ部材53BをZ方向に平行な方向に移動可能である。これにより、当接部材53C1,53C2は、Z方向に平行な方向に移動可能である。
【0039】
次に、図6および図7を参照して、形状制御部材4と対象基板60について説明する。図6および図7は、形状制御部材4と対象基板60を模式的に示す説明図である。図6は、平坦な状態の対象基板60を示している。前述のように、折り曲げ機構2(図1ないし図4参照)を展開状態にすると、対象基板60は平坦な状態になる。
【0040】
図7は、折り曲げ機構2によって折り曲げられた対象基板60を示している。図7に示したように、折り曲げ機構2は、対象基板60が、平坦な状態と比べて形状が変化していない第1の非屈曲部61および第2の非屈曲部62と、第1の非屈曲部61と第2の非屈曲部62の間に位置して平坦な状態と比べて形状が変化した屈曲部63とを含む形状になるように対象基板60を折り曲げる。図7では、特に、折り曲げ機構2を二つ折り状態にして、対象基板60を折り曲げている。二つ折り状態は、可動部22(図5等参照)の位置が180°の状態でもある。
【0041】
形状制御部材4は、対象基板60の屈曲部63の形状を制御するためのものである。本実施の形態では、形状制御部材4の少なくとも一部は、屈曲部63の形状を変えることができるように交換可能である。なお、形状制御部材4の少なくとも一部が交換可能であるというのは、形状制御部材4が1つの部材からなり、その1つの部材が交換可能である場合と、形状制御部材4が複数の部材からなり、その複数の部材のうちの少なくとも1つが交換可能である場合とを含む。本実施の形態では、形状制御部材4が2つの部材からなり、この2つの部材が交換可能である場合を例にとって説明する。
【0042】
本実施の形態では、形状制御部材4は、第1の治具41と第2の治具42とを含んでいる。第1の治具41は、固定部21に固定される(図2等参照)。第2の治具42は、可動部22に固定される(図2等参照)。第1および第2の治具41,42の固定方法については、後で説明する。
【0043】
対象基板60は、折り曲げ機構2が展開状態であるときに、長手方向がY方向に向くように、第1および第2の治具41,42上に載置される。対象基板60のうち、折り曲げられたときに第1の非屈曲部61になる部分は、例えば粘着テープによって、第1の治具41に固定される。同様に、対象基板60のうち、折り曲げられたときに第2の非屈曲部62になる部分は、例えば粘着テープによって、第2の治具42に固定される。固定部21は、第1の非屈曲部61の位置を決定するためのものである。可動部22は、第2の非屈曲部62の位置を決定するためのものである。
【0044】
図6および図7に示したように、第1の治具41は、屈曲部63の外周面の一部に接触する第1の接触部41aと、第1の非屈曲部61に接触する第1の平面部41bとを有している。第2の治具42は、屈曲部63の外周面の他の一部に接触する第2の接触部42aと、第2の非屈曲部62に接触する第2の平面部42bとを有している。なお、折り曲げ機構2が展開状態であるときには、第1および第2の接触部41a,42aは、対象基板60に接触していなくてもよい。また、図7にしたように、二つ折り状態は、第1の平面部41bと第2の平面部42bが向き合い且つ平行になる状態でもある。
【0045】
図6および図7に示した例では、第1および第2の接触部41a,42aの各々は、凹んだ円筒面状の曲面である。屈曲部63の形状は、第1および第2の接触部41a,42aによって制御される。具体的には、例えば、第1および第2の接触部41a,42aの寸法や曲面の形状を変えることによって、屈曲部63の形状を制御することができる。
【0046】
次に、第1および第2の治具41,42の固定方法について説明する。始めに、図3および図4を参照して、第1の治具41の固定方法について説明する。第1の治具41は、図示しない複数のボルトによって、固定部21に固定される。図3に示したように、第1の治具41には、第1の治具41をZ方向に貫通する複数のボルト用孔41cが設けられている。また、図4に示したように、固定部21には、複数のボルト用孔41cに対応する位置に、複数の雌ねじ部21bが設けられている。図3には、2つの第1の治具41を固定部21に固定した例を示している。
【0047】
次に、図3図4および図8を参照して、第2の治具42の固定方法について説明する。図8は、第2の治具42の固定方法を説明するための説明図である。本実施の形態では、第2の治具42を可動部22に固定するために、板状の連結部材43が用いられる。なお、図8では、便宜上、可動部22、第2の治具42および連結部材43の形状を、単純化して描いている。
【0048】
図4に示したように、連結部材43は、図示しない複数のボルトによって、可動部22に固定される。図8に示したように、連結部材43には、連結部材43をY方向に貫通する複数のボルト用孔43aが設けられている。複数のボルト用孔43aの各々は、Z方向に長い形状を有している。また、図8に示したように、可動部22には、複数のボルト用孔43aに対応する位置に、複数の雌ねじ部22dが設けられている。図8では、対応するボルト用孔43aと雌ねじ部22dを破線で結んでいる。
【0049】
また、図8に示したように、第2の治具42は、図示しない複数のボルトによって、連結部材43に固定される。図3に示したように、第2の治具42には、第2の治具42をZ方向に貫通する複数のボルト用孔42cが設けられている。複数のボルト用孔42cの各々は、Y方向に長い形状を有している。また、図4に示したように、連結部材43には、複数のボルト用孔42cに対応する位置に、複数の雌ねじ部43bが設けられている。このように、本実施の形態では、第2の治具42は、連結部材43を介して、可動部22に固定される。図3には、2つの第2の治具42を連結部材43に固定した例を示している。
【0050】
なお、本実施の形態では、固定部21に対する第1の治具41の固定位置を変えることはできない。一方、本実施の形態では、可動部22に対するZ方向についての連結部材43の位置を変えることができ、連結部材43に対するY方向についての第2の治具42の固定位置を変えることができる。これにより、可動部22に対するY方向の位置とZ方向についての第2の治具42の固定位置を変えることができる。
【0051】
次に、図5ないし図7を参照して、パラメータ調整装置5によるパラメータの調整方法について説明する。パラメータ調整装置5は、屈曲部63の形状を制御するための複数のパラメータのうちの少なくとも1つを調整するものである。屈曲部63の形状を制御するための複数のパラメータとしては、前述の第1および第2の接触部41a,42aの形状の他に、対象基板60を平坦な状態とする展開状態における第1の治具41と第2の治具42との間隔(以下、第1の間隔Sと言う。)と、第1の平面部41bと第2の平面部42bが向き合い且つ平行になる二つ折り状態における第1の平面部41bと第2の平面部42bとの間隔(以下、第2の間隔Gと言う。)がある。パラメータ調整装置5は、第1の間隔Sと第2の間隔Gを調整するためのものである。なお、第1の間隔Sは、図6に示している。第2の間隔Gは、図7に示している。
【0052】
本実施の形態では、折り曲げ機構2は、パラメータ装置5によって、第1の間隔Sと第2の間隔Gを調整可能である。第1の間隔Sは、第1の治具41が固定される固定部21のY方向の位置と、可動部22に対するY方向についての第2の治具42の固定位置を変えることによって調整することができる。また、第2の間隔Gは、第1の治具41が固定される固定部21のZ方向の位置と、可動部22に対するZ方向についての第2の治具42の固定位置を変えることによって調整することができる。以下、第1の間隔Sの調整を、スペース調整とも言い、第2の間隔Gの調整を、ギャップ調整とも言う。
【0053】
以下、スペース調整方法とギャップ調整方法について具体的に説明する。ここでは、折り曲げ機構2を展開状態にしたときの第1の治具41と第2の治具42との間隔S(図6参照)を、0mmから20mmに変更し、折り曲げ機構2を二つ折り状態にしたときの第1の平面部41bと第2の平面部42bとの間隔G(図7参照)を20mmから10mmに変更する場合を例にとって説明する。この場合、スペース調整およびギャップ調整の順に実行される。
【0054】
まず、図5図9ないし図12を参照して、スペース調整方法について説明する。スペース調整方法は、順に実行される第1ないし第5の手順を含んでいる。第1の手順では、まず、第1の調整部51のスライダ部材51Bと、第2の調整部52のスライダ部材52Bと、第3の調整部53のスライダ部材53Bを、それぞれ基準位置に移動させる。基準位置は、例えば、可動範囲の中央である。なお、スライダ部材53Bが基準位置にある場合、第3の調整部53の当接部材53C1,53C2の各々のZ方向の端に位置する上端部は、可動部22の上面22aよりも下方に位置する。
【0055】
次に、第1の治具41を固定部21に固定し、連結部材43を可動部22に固定し、第2の治具42を連結部材43に固定する。図5は、第1および第2の治具41,42ならびに連結部材43を固定した状態を示している。図5に示したように、第2の治具42は、第1の治具41に当接した状態で、連結部材43に固定される。図5に示した状態では、第1の治具41と第2の治具42との間隔S(図6参照)は0mmである。
【0056】
図9は、第2の手順を示す。この手順では、第2の治具42を連結部材43から取り外す。図10は、第3の手順を示す。この手順では、第2の調整部52のスライダ部材52BをY方向に10mm移動させることにより、固定部21および第1の治具41をY方向に10mm移動させる。
【0057】
図11は、第4の手順を示す。この手順では、第2の治具42を連結部材43に固定する。図11に示したように、第2の治具42は、第1の治具41に当接した状態で、連結部材43に固定される。図5に示した状態を基準にすると、第2の治具42の固定位置は、Y方向に10mm移動している。
【0058】
図12は、第5の手順を示す。この手順では、第2の調整部52のスライダ部材52Bを−Y方向に20mm移動させることにより、固定部21および第1の治具41を−Y方向に20mm移動させる。これにより、第1の治具41と第2の治具42との間隔S(図6参照)は20mmになる。図5に示した状態を基準にすると、固定部21および第1の治具41の位置は、−Y方向に10mm移動している。
【0059】
次に、図13ないし図16を参照して、ギャップ調整方法について説明する。ギャップ調整方法は、順に実行される第1ないし第4の手順を含んでいる。ギャップ調整方法の第1の手順は、図12に示したスペース調整方法の第5の手順の後に実行される。図12に示した状態では、第1の平面部41bと第2の平面部42bとの間隔G(図7参照)は20mmになる。
【0060】
図13は、第1の手順を示す。この手順では、第1の調整部51のスライダ部材51BをZ方向に5mm移動させることにより、固定部21および第1の治具41をZ方向に5mm移動させる。
【0061】
図14は、第2の手順を示す。この手順では、第2の治具42を連結部材43に固定したまま、連結部材43を可動部22から取り外す。
【0062】
図15は、第3の手順を示す。この手順では、第3の調整部53の当接部材53C1,53C2の各々の上端部の位置が、可動部22の上面22aからZ方向に5mmだけ高い位置になるように、第3の調整部53のスライダ部材53BをZ方向に移動させる。
【0063】
図16は、第4の手順を示す。この手順では、まず、連結部材43を可動部22に固定する。図12に示した状態を基準にすると、第2の治具42の固定位置は、Z方向に5mm移動している。これにより、第1の平面部41bと第2の平面部42bとの間隔G(図7参照)は10mmになる。次に、第3の調整部53の当接部材53C1,53C2の各々の上端部の位置が、可動部22の上面22aよりも下方に位置するように、第3の調整部53のスライダ部材53Bを−Z方向に移動させる。
【0064】
次に、図17ないし図19を参照して、対象基板60の構成の一例について詳しく説明する。この対象基板60は、試験用に作製されたものである。図17は、対象基板60の平面図である。図18は、図17に示した対象基板60の配線部を拡大して示す平面図である。図19は、図17に示した対象基板60の一部を示す断面図である。
【0065】
図17は、展開状態の対象基板60を示している。前述のように、対象基板60は、長手方向がY方向に向くように、第1および第2の治具41,42上に載置される。対象基板60は、パターン化された導体よりなる配線部64と、配線部64を保持する保持部65とを備えている。
【0066】
図18に示した例では、配線部64は、試料の長手方向(Y方向)に延びる複数の直線状部分71と、パターン化された導体の全体がミアンダ形状となるように、隣接する2つの直線状部分の端部同士を連結する複数の連結部分72とを有している。
【0067】
図19は、Y方向に垂直な断面を示している。この断面において、複数の直線状部分71は、X方向に並んでいる。X方向についての直線状部分71の幅を線幅LWと定義し、隣接する2つの直線状部分71の間隔を線間幅SWと定義する。線幅LWと線間幅SWは、いずれも、例えば10〜1000μmの範囲内であり、汎用的には50〜500μmの範囲内である。
【0068】
図19に示したように、保持部65は、例えば、ベース層73と、このベース層73の上面上に順に積層された接着層74およびカバー層75を含んでいる。配線部64は、ベース層73の上面上に配置され、接着層74によって覆われている。試験の際には、対象基板60は、ベース層73が外側になるように折り曲げられる。
【0069】
ベース層73、接着層74およびカバー層75は、いずれも、絶縁材料よりなり、柔軟性を有している。ベース層73およびカバー層75の材料としては、例えば絶縁性樹脂が用いられ、その中でも柔軟性および耐熱性が良好なポリイミド樹脂または液晶ポリマーを用いることが好ましい。接着層74の材料としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤等の合成系接着剤が用いられる。配線部64の材料としては、銅等の金属が用いられる。
【0070】
ベース層73の厚みは、例えば5〜100μmの範囲内であり、好ましくは9〜50μmの範囲内である。配線部64の厚みは、例えば2〜50μmの範囲内であり、好ましくは9〜35μmの範囲内である。ベース層73とカバー層75との間における接着層74の厚みは、配線部64の厚み以上である。カバー層75の厚みは、例えば3〜100μmの範囲内であり、好ましくは10〜75μmの範囲内である。
【0071】
なお、対象基板60は、カバー層75を備えていなくてもよい。この場合には、接着層74の代わりに、絶縁材料よりなり、柔軟性を有する絶縁層を設けてもよい。
【0072】
図17および図18に示したように、X方向の両端に位置する2つの直線状部分71は、他の直線状部分71よりもY方向に長く延びている。対象基板60は、この2つの直線状部分71の端部に電気的に接続された端子66,67を備えている。端子66,67は、図示しない一対のリードによって、電気的接続部11(図1ないし図4参照)の一対のコネクタに電気的に接続される。図示しない抵抗測定器は、配線部64の抵抗値を測定する。
【0073】
また、図17に示したように、対象基板60は、配線部64のX方向の両側に配置された導体層68,69を備えている。この導体層68,69は、配線部64と同じ材料によって形成され、ベース層73の上に配置されている。導体層68,69は、試験用に作製された対象基板60の剛性等の性質が、電子機器に実際に使用されるフレキシブル回路基板に近いものとなるように設けられている。
【0074】
次に、本実施の形態におけるフレキシブル回路基板の耐屈曲性試験方法(以下、単に、試験方法と記す。)について説明する。本実施の形態における試験方法は、対象基板60の耐屈曲性の試験を行う方法である。この試験方法は、折り曲げ手順と展開手順とを繰り返し実行する。折り曲げ手順では、第1および第2の治具41,42上に載置された対象基板60を折り曲げる。その際、第1および第2の治具41,42によって、対象基板60の屈曲部63の形状が制御される。展開手順では、折り曲げられた対象基板60を展開する。折り曲げ手順と展開手順の繰り返し回数の上限値は、例えば、設定入力部10を用いて入力される。
【0075】
折り曲げ動作では、折り曲げ機構2の可動部22を回転駆動することによって、対象基板60を折り曲げる。展開動作では、折り曲げ動作とは反対方向に可動部22を回転駆動することによって、折り曲げられた対象基板60を展開する。図示しない制御部は、上記試験方法が実行されるように、駆動装置3を制御する。試験は、折り曲げ手順と展開手順の繰り返し回数が上限値に達した場合に終了する。なお、試験は、繰り返し回数が上限値に達した場合の他、配線部64の抵抗値が、配線部64が断線したと判断される値に達したときに終了してもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態によれば、形状制御部材4の第1および第2の治具41,42によって、対象基板60の屈曲部63の形状を制御することができる。屈曲部63の形状を制御するパラメータとしては、第1および第2の接触部41a,42aの形状と、第1の間隔Sと、第2の間隔Gがある。なお、第1の間隔Sを大きくすると、対象基板60の全体に対する屈曲部63の割合が大きくなる。第2の間隔Gを大きくすると、屈曲部63の曲率半径が大きくなる。このように、本実施の形態によれば、屈曲部63の形状を制御するパラメータを調整することにより、屈曲部63の形状を、実際に電子機器に組み込まれて使用されるときのフレキシブル回路基板の屈曲部の形状に近い形状になるようにすることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、第1および第2の治具41,42は、交換可能である。従って、本実施の形態によれば、第1の接触部41aの形状を変えた複数の第1の治具41と、第2の接触部42aの形状を変えた複数の第2の治具42を用意しておき、第1の治具41と第2の治具42を交換することによって、様々な試験内容に対応することが可能である。
【0078】
[変形例]
次に、本実施の形態の第1および第2の変形例について説明する。始めに、図20ないし図22を参照して、第1の変形例について説明する。図20ないし図22は、第1の変形例における、形状制御部材4および対象基板60を示す説明図である。図20は、折り曲げ機構2(図2等参照)の展開状態での形状制御部材4および対象基板60を示している。図21は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第1の例を示している。図22は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第2の例を示している。
【0079】
第1の変形例では、形状制御部材4は、第1および第2の治具41,42の代わりに、第1の治具44および第2の治具45を含んでいる。第1の治具44は、第1の治具41と同様の方法によって、折り曲げ機構2の固定部21(図2等参照)に固定される。第2の治具45は、第2の治具42と同様の方法によって、折り曲げ機構2の可動部22(図2等参照)に固定される。
【0080】
第1の治具44は、第1の治具本体44Aと、板状の形状を有する複数の第1の支持材44Bとを有している。第1の治具本体44Aは、複数の第1の支持材44Bを収容する溝部44Aaと、対象基板60の第1の非屈曲部61に接触する第1の平面部44Abとを有している。図20に示した姿勢では、複数の第1の支持材44Bの各々は、溝部44Aaの底部からZ方向に延びている。図21に示したように、複数の第1の支持材44Bは、屈曲部63の外周面の一部に接触する。複数の第1の支持材44Bは、本発明における第1の接触部に対応する。
【0081】
第2の治具45は、第2の治具本体45Aと、板状の形状を有する複数の第2の支持材45Bとを有している。第2の治具本体45Aは、複数の第2の支持材45Bを収容する溝部45Aaと、対象基板60の第2の非屈曲部62に接触する第2の平面部45Abとを有している。図20に示した姿勢では、複数の第2の支持材45Bの各々は、溝部45Aaの底部からZ方向に延びている。図21に示したように、複数の第2の支持材45Bは、屈曲部63の外周面の他の一部に接触する。複数の第2の支持材45Bは、本発明における第2の接触部に対応する。
【0082】
第1の治具44は、複数の第1の支持材44Bの各々の溝部44Aaの底部からの長さを調整することができるように構成されている。例えば、第1の治具44は、複数の第1の支持材44Bを交換できるように構成されていてもよい。この場合、使用する複数の第1の支持材44Bは、予め用意された長さの異なる複数の組の第1の支持材44Bから選択される。
【0083】
同様に、第2の治具45は、複数の第2の支持材45Bの各々の溝部45Aaの底部からの長さを調整することができるように構成されている。例えば、第2の治具45は、複数の第2の支持材45Bを交換できるように構成されていてもよい。この場合、使用する複数の第2の支持材45Bは、予め用意された長さの異なる複数の組の第2の支持材45Bから選択される。
【0084】
第1の変形例では、複数の第1の支持材44Bと複数の第2の支持材45Bの長さを調整することによって、屈曲部63の形状を制御することができる。図22は、図21に示した状態よりも、複数の第1の支持材44Bと複数の第2の支持材45Bの長さを短くした状態を示している。図21および図22に示したように、複数の第1の支持材44Bと複数の第2の支持材45Bの長さを短くすることによって、屈曲部63の曲率半径を大きくすることができる。
【0085】
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例では、形状制御部材4の少なくとも一部は、対象基板60の屈曲部63の形状を変えることができるように変形可能である。形状制御部材4の少なくとも一部が変形可能であるというのは、形状制御部材4が1つの部材からなり、その1つの部材が変形可能である場合と、形状制御部材4が複数の部材からなり、その複数の部材のうちの少なくとも1つが変形可能である場合とを含む。
【0086】
また、形状制御部材4の少なくとも一部が、屈曲部63の形状を変えることができるように変形可能であるというのは、少なくとも、対象基板60が折り曲げられた状態すなわち対象基板60が屈曲部63を含む状態における形状制御部材4の少なくとも一部の形状が変化可能であるという意味である。これは、対象基板60を展開状態にしたときにおける形状制御部材4の形状が一定である場合を含む。
【0087】
なお、第2の変形例においても、形状制御部材4の少なくとも一部が交換可能であってもよい。この場合、変形可能な部材を複数種類用意しておき、この複数種類の変形可能な部材の中から、使用する部材を選択してもよい。
【0088】
以下、図23ないし図25を参照して、第2の変形例について具体的に説明する。図23ないし図25は、第2の変形例における、形状制御部材4および対象基板60を示す説明図である。図23は、折り曲げ機構2(図2等参照)の展開状態での形状制御部材4および対象基板60を示している。図24は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第1の例を示している。図25は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第2の例を示している。
【0089】
第2の変形例では、形状制御部材4は、第1および第2の治具41,42の代わりに、第1の治具46および第2の治具47を含んでいる。第1の治具46は、第1の治具41と同様の方法によって、折り曲げ機構2の固定部21(図2等参照)に固定される。第2の治具47は、第2の治具42と同様の方法によって、折り曲げ機構2の可動部22(図2等参照)に固定される。
【0090】
図23および図24に示したように、第1の治具46は、対象基板60の屈曲部63の外周面の一部に接触する第1の接触部46aと、対象基板60の第1の非屈曲部61に接触する第1の平面部46bとを有している。第2の治具47は、屈曲部63の外周面の他の一部に接触する第2の接触部47aと、対象基板60の第2の非屈曲部62に接触する第2の平面部47bとを有している。屈曲部63の形状は、第1および第2の接触部46a,47aによって制御される。第1および第2の接触部46a,47aの各々は、凹んだ円筒面状の曲面である。
【0091】
第1の治具46は、更に、第1の接触部46aの近傍に位置する中空部46cを有している。第1の治具46のうち、第1の接触部46aと中空部46cの周囲の部分は、変形可能な弾性部材によって構成されている。中空部46cは、その内部の圧力を任意の値に設定することによって、その大きさを変化させることができる。また、中空部46cの大きさを変化させることによって、第1の接触部46aの形状を変化させることができる。
【0092】
第2の治具47は、更に、第2の接触部47aの近傍に位置する中空部47cを有している。第2の治具47のうち、第2の接触部47aと中空部47cの周囲の部分は、変形可能な弾性部材によって構成されている。中空部47cは、その内部の圧力を任意の値に設定することによって、その大きさを変化させることができる。また、中空部47cの大きさを変化させることによって、第2の接触部47aの形状を変化させることができる。
【0093】
上述のように中空部46c,47cの内圧によって、第1および第2の接触部46a,47aの形状を変化させることによって、屈曲部63の形状を制御することができる。図25は、図24に示した状態よりも、中空部46c,47cの内圧を小さくした状態を示している。図24および図25に示したように、中空部46c,47cの内圧を小さくし、中空部46c,47cの大きさを小さくすることによって、屈曲部63の曲率半径を大きくすることができる。
【0094】
[第2の実施の形態]
次に、図26および図27を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図26および図27は、本実施の形態における形状制御部材および対象基板を示す説明図である。図26は、折り曲げ機構2(図2等参照)の展開状態での形状制御部材および対象基板60を示している。図27は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材および対象基板60を示している。
【0095】
本実施の形態に係る試験装置1は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る試験装置1は、第1の実施の形態における形状制御部材4の代わりに、形状制御部材104を備えている。形状制御部材104は、対象基板60の屈曲部63の形状を制御するためのものである。本実施の形態では特に、形状制御部材104は、屈曲部63の内周面に接触するものである。
【0096】
図26に示したように、形状制御部材104は、対象基板60に貼り付けられる弾性部材141を含んでいる。本実施の形態では、弾性部材141は、板状の形状を有している。弾性部材141は、対象基板60が展開状態のときに、対象基板60に貼り付けられる。なお、対象基板60が複数の場合には、複数の対象基板60の各々に1つの弾性部材141が貼り付けられてもよい。
【0097】
弾性部材141は、対象基板60の屈曲部63の形状を変えることができるように変形可能である。これは、対象基板60が折り曲げられた状態すなわち対象基板60が屈曲部63を含む状態における弾性部材141の形状が変化可能であるという意味である。具体的には、例えば、弾性部材141は、Y方向に伸縮可能な部材であってもよい。この場合、展開状態の対象基板60に貼り付けるときの、弾性部材141のY方向の長さを変えることによって、対象基板60の屈曲部63の形状を変えることができる。
【0098】
また、本実施の形態では、折り曲げ機構2は、第1の支持部材23と第2の支持部材24とを含んでいる。第1の支持部材23は、対象基板60の第1の非屈曲部61(図27参照)に接触する第1の平面部23aを有している。第2の支持部材24は、対象基板60の第2の非屈曲部62(図27参照)に接触する第2の平面部24aを有している。第1の支持部材23は、第1の実施の形態における第1の治具41と同様の方法によって、折り曲げ機構2の固定部21(図2等参照)に固定される。第2の支持部材24は、第1の実施の形態における第2の治具42と同様の方法によって、折り曲げ機構2の可動部22(図2等参照)に固定される。
【0099】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、第1の支持部材23が固定される固定部21のY方向の位置と、可動部22に対するY方向についての第2の支持部材24の固定位置を変えることによって、展開状態における第1の支持部材23と第2の支持部材24との間隔を調整可能である。
【0100】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、第1の支持部材23が固定される固定部21のZ方向の位置と、可動部22に対するZ方向についての第2の支持部材24の固定位置を変えることによって、二つ折り状態における第1の平面部23aと第2の平面部24aとの間隔を調整可能である。
【0101】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0102】
[第3の実施の形態]
次に、図28ないし図30を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図28ないし図30は、本実施の形態における形状制御部材および対象基板を示す説明図である。図28は、折り曲げ機構2(図2等参照)の展開状態での形状制御部材104および対象基板60を示している。図29は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第1の例を示している。図30は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第2の例を示している。
【0103】
本実施の形態に係る試験装置1は、以下の点で第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、形状制御部材104は、第2の実施の形態における弾性部材141の代わりに、対象基板60の屈曲部63(図29および図30参照)の内周面に接触する接触部を有する軸状の部材142を含んでいる。部材142は、X方向に長い形状を有している。
【0104】
部材142は、上記接触部を有する円筒状部材142Aと、円筒状部材142Aの内部に配置された円柱状部材142Bとによって構成されている。円筒状部材142Aは、変形可能な弾性部材によって構成されており、その内部の圧力を任意の値に設定することができる。円柱状部材142Bは、第1の実施の形態における図1等に示した支持部35A,35B,35Cのうちの2つの軸部に固定される。円筒状部材142Aは、円柱状部材142Bに固定されている。
【0105】
円筒状部材142Aは、屈曲部63が接触することによって変形し得る。本実施の形態では、円筒状部材142Aの内圧によって、屈曲部63の形状を制御することができる。図30は、図29に示した状態よりも、円筒状部材142Aの内圧を小さくした状態を示している。図29および図30に示したように、円筒状部材142Aの内圧を小さくすることによって、円筒状部材142Aの変形量が大きくなり、屈曲部63の曲率半径が小さくなる。
【0106】
[変形例]
次に、図31ないし図33を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。図31ないし図33は、形状制御部材104および対象基板60を示す説明図である。図31は、折り曲げ機構2(図2等参照)が展開状態での形状制御部材104および対象基板60を示している。図32は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第1の例を示している。図33は、折り曲げ機構2の二つ折り状態での形状制御部材4および対象基板60の第2の例を示している。
【0107】
変形例では、形状制御部材104は、部材142の代わりに、対象基板60の屈曲部63(図32および図33参照)の内周面に接触する接触部を有する軸状の部材143を含んでいる。部材143は、X方向に長い形状を有している。
【0108】
部材143は、円筒状部材143Aと、円筒状部材143Aの外周面から放射状に延びる複数の板状の接触子143Bと、円筒状部材143Aの内部に挿入される円柱状部材143Cとを含んでいる。接触子143Bは、上記の接触部を有している。円柱状部材143Cは、第1の実施の形態における図1等に示した支持部35A,35B,35Cのうちの2つの軸部に固定される。円筒状部材143Aは、円柱状部材143Cに固定されている。
【0109】
円筒状部材143Aは、変形可能な弾性部材によって構成されており、円柱状部材143Cの断面形状を変えることによって、その形状を変化させることができる。変形例では、円柱状部材143Cの断面形状によって、屈曲部63の形状を制御することができる。図32には、円柱状部材143Cの断面形状を円とした例を示している。図33には、円柱状部材143Cの断面形状を、長軸がY方向に平行な方向となる楕円とした例を示している。図32および図33に示したように、円柱状部材143Cの断面形状によって、屈曲部63の曲率半径を変えることができる。
【0110】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0111】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、形状制御部材4,104の形状は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。例えば、第2の実施の形態における形状制御部材104の弾性部材141は、円柱状部材であってもよいし、円筒状部材であってもよいし、これらの部材を2つ以上結合して構成された部材であってもよい。また、図17ないし図19に示した対象基板の構成もこれに限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…試験装置、2…折り曲げ機構、3…駆動装置、4…形状制御部材、5…パラメータ調整装置、6…ベース、7…筐体、8…脚部、9…固定板、21…固定部、22…可動部、41…第1の治具、42…第2の治具、51…第1の調整部、52…第2の調整部、53…第3の調整部、60…対象基板、61…第1の非屈曲部、62…第2の非屈曲部、63…屈曲部。
図1
図2
図3
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