【解決手段】支持体付基板1は、配線領域D1と、配線領域D1の外周側に設けられた外周領域D4と、を備え、外周領域D4に複数の支持体接合部E1が設けられた基板10と、配線領域D1を露出するように外周領域D4と対向配置される外枠部31を備え、外枠部31に複数の突起部33が設けられた金属製の支持体30と、を有し、支持体接合部E1と突起部33とが互いに接合されている。
前記貫通孔は、前記外枠部の外側に開口し前記突起部側に向かって開口の大きさが小さくなる第1の孔と、前記突起部の先端側に開口し前記第1の孔側に向かって開口の大きさが小さくなる第2の孔とが連通して形成され、
前記第1の孔と前記第2の孔とが連通する部分が前記最小開口部となる請求項6に記載の支持体付基板。
前記基板は、前記外周領域に囲まれた部分を複数の領域に分離する分離領域と、前記外周領域と前記分離領域により区画された複数の前記配線領域と、を備え、前記外周領域及び前記分離領域に前記支持体接合部が設けられ、
前記支持体は、前記外枠部と一体に形成され、前記分離領域と対向配置される架橋部を備え、前記外枠部の前記外周領域と対向する側及び前記架橋部の前記分離領域と対向する側に前記突起部が設けられ、
前記外周領域に設けられた前記支持体接合部と、前記外枠部に設けられた前記突起部とが互いに接合され、
前記分離領域に設けられた前記支持体接合部と、前記架橋部に設けられた前記突起部とが互いに接合されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の支持体付基板。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[支持体付基板の構造]
図1は、第1の実施の形態に係る支持体付基板を例示する図(その1)であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は
図1(a)のA−A線に沿う断面図である。又、
図2は、第1の実施の形態に係る支持体付基板を例示する図(その2)であり、
図2(a)は
図1(a)のB−B線に沿う断面図、
図2(b)は
図2(a)の外周領域D4近傍の部分拡大断面図、
図2(c)は
図2(b)から支持体30のみを抜き出して図示したものである。
図3は、第1の実施の形態に係る支持体付基板を構成する基板を例示する平面図である。
【0013】
図1〜
図3を参照するに、支持体付基板1は、基板10と、支持体30とを有している。支持体30は、基板10と略同一サイズであり、基板10上に接合されている。基板10と支持体30は、一例として、平面視して矩形状(長方形状)である。
【0014】
(基板10)
基板10において、個片化されて配線基板となる複数の領域C(本実施の形態の例では20個)が縦横に配列された第1配線領域D1と、個片化されて配線基板となる複数の領域C(本実施の形態の例では20個)が縦横に配列された第2配線領域D2とが、分離領域D3を介して並置されている。第1配線領域D1、第2配線領域D2、及び分離領域D3の外周側には、額縁状の外周領域D4が設けられている。
【0015】
言い換えれば、額縁状の外周領域D4と、外周領域D4に囲まれた部分を複数の領域に分離する分離領域D3とで2つに区画された領域が、第1配線領域D1及び第2配線領域D2である。分離領域D3は、例えば、外周領域D4に囲まれた部分を略2等分するように外周領域D4の長辺側の対向部分同士を橋渡しするように形成することができる。
【0016】
なお、基板10は、半導体チップを搭載可能な半導体チップ搭載用の基板である。そのため、基板10に半導体チップが搭載され、はんだボールの搭載や樹脂封止等の工程を経た後に、複数の領域Cが個片化される。
【0017】
基板10は、配線層11と、絶縁層12と、配線層13と、ソルダーレジスト層14と、金属層15及び16と、絶縁層22と、配線層23と、ソルダーレジスト層24と、金属層25及び26とを有している。
【0018】
なお、本実施の形態では、便宜上、支持体付基板1を構成する基板10のソルダーレジスト層14側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層24側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層14側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層24側の面を他方の面又は下面とする。但し、支持体付基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層12の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層12の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0019】
基板10において、配線層11は、絶縁層12の下面に形成されている。配線層11の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層11の厚さは、例えば、2〜10μm程度とすることができる。
【0020】
絶縁層12は、配線層11の上面を被覆している。絶縁層12の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁樹脂を用いることができる。絶縁層12として用いる熱硬化性の絶縁樹脂は、非感光性絶縁樹脂であってもよいし、感光性絶縁樹脂であってもよい。又、絶縁層12は、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布からなる補強部材を有しても構わない。又、絶縁層12は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層12の厚さは、例えば10〜30μm程度とすることができる。
【0021】
配線層13は、絶縁層12の上面側に形成されており、配線層11と電気的に接続されている。配線層13は、絶縁層12を貫通し配線層11の上面を露出するビアホール12x内に充填されたビア配線13a、及び絶縁層12の上面に形成された配線パターン13bを含んで構成されている。配線層13の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層13を構成する配線パターン13bの厚さは、例えば、2〜10μm程度とすることができる。
【0022】
ビアホール12xは、例えば、配線層13側に開口されている開口部の径が配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール12xの配線層13側の開口部の径は、例えば200μm程度とすることができる。
【0023】
ソルダーレジスト層14は、絶縁層12の上面に、配線層13を被覆するように形成されている絶縁層である。ソルダーレジスト層14の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする絶縁性の感光性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層14は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0024】
ソルダーレジスト層14は、開口部14xを有し、開口部14x内には配線層13の一部が露出している。開口部14x内に露出する配線層13は、例えば、はんだボール等の外部接続端子が接続されるパッドとして機能する。ソルダーレジスト層14の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。開口部14xの平面形状は、例えば、直径が300μm程度の円形とすることができる。
【0025】
開口部14x内に露出する配線層13の上面には、金属層15及び16が順次積層されている。金属層15及び16は、はんだボール等の外部接続端子との接続信頼性を向上するための表面処理層であり、必要に応じて設けることができる。金属層15としては、例えば、ニッケル(Ni)等を用いることができる。金属層15の厚さは、例えば、0.2〜1μm程度とすることができる。金属層16としては、例えば、金(Au)等を用いることができる。金属層16の厚さは、例えば、0.01〜0.05μm程度とすることができる。金属層15と金属層16との間に、パラジウム(Pd)等の他の金属層を更に積層しても構わない。
【0026】
絶縁層22は、絶縁層12の下面に、配線層11の下面及び側面を被覆するように形成されている。絶縁層22の材料や厚さは、例えば、絶縁層12と同様とすることができる。絶縁層22は、ガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布からなる補強部材を有しても構わない。又、絶縁層22は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0027】
配線層23は、絶縁層22の下面側に形成されており、配線層11と電気的に接続されている。配線層23は、絶縁層22を貫通し配線層11の下面を露出するビアホール22x内に充填されたビア配線23a、及び絶縁層22の下面に形成された配線パターン23bを含んで構成されている。配線層23の材料や配線層23を構成する配線パターン23bの厚さは、例えば、配線層13と同様とすることができる。
【0028】
ビアホール22xは、例えば、配線層23側に開口されている開口部の径が配線層11の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール22xの配線層23側の開口部の径は、例えば200μm程度とすることができる。
【0029】
ソルダーレジスト層24は、絶縁層22の下面に、配線層23を被覆するように形成されている絶縁層である。ソルダーレジスト層24の材料や厚さは、例えば、ソルダーレジスト層14と同様とすることができる。ソルダーレジスト層24は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0030】
ソルダーレジスト層24は、開口部24xを有し、開口部24x内には配線層23の一部が露出している。開口部24x内に露出する配線層23は、例えば、半導体チップと接続されるパッドとして機能する。開口部24xの平面形状は、例えば、直径が300μm程度の円形とすることができる。
【0031】
開口部24x内に露出する配線層23の下面には、金属層25及び26が順次積層されている。金属層25及び26は、半導体チップと接続するためのボンディングワイヤ等との接続信頼性を向上するための表面処理層であり、必要に応じて設けることができる。金属層25及び26の材料や厚さは、例えば、金属層15及び16と同様とすることができる。金属層25と金属層26との間に、パラジウム(Pd)等の他の金属層を更に積層しても構わない。
【0032】
基板10の分離領域D3と外周領域D4には、複数の支持体接合部E1が離散的に設けられている。支持体接合部E1は、支持体30と接合される部分である。支持体接合部E1の個数及び支持体接合部E1を設ける位置は、基板10と支持体30との間に要求される接合強度等を考慮し、適宜決定することができる。
【0033】
支持体接合部E1は、基板10を構成する絶縁層12及び22並びにソルダーレジスト層14及び24内に設けられ導体部であり、基板10の第1配線領域D1及び第2配線領域D2と同一の配線層構造とされている。より詳しくは、支持体接合部E1は、金属層26、金属層25、配線パターン23b、ビア配線23a、配線層11、ビア配線13a、配線パターン13b、金属層15、及び金属層16の各々の平面形状が略円形に形成され、これらが略同心的に積層された柱状の構造を有する導体部である。なお、支持体接合部E1の配線層13及び23は、個片化されて配線基板となる領域Cの配線層13及び23と電気的に分離している。
【0034】
支持体接合部E1の柱状の構造は、絶縁層12に形成されたビア配線13aと、絶縁層22に形成されたビア配線23aとを含んでいる。そして、ビア配線13aとビア配線23aとは、配線層11を介して対向配置された所謂スタックビア構造とされており、導体部の柱状の構造の一部をなしている。
【0035】
支持体接合部E1は、複数の絶縁層(絶縁層12及び22、並びにソルダーレジスト層14及び24)にまたがって形成されており、金属層16の上面がソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する露出部となり支持体30と接合される。
【0036】
なお、支持体接合部E1には金属層25及び26は設けられていない。基板10では、配線層13及び23を形成後、配線層13及び23上に開口部14x及び24xを有するソルダーレジスト層14及び24を形成する。この際、支持体接合部E1の配線層23は、ソルダーレジスト層24で被覆される(ソルダーレジスト層24から露出させる必要がないため開口部24xが形成されない)。その後、ソルダーレジスト層14及び24の開口部14x及び24xから露出する配線層13及び23に、めっきにより金属層15、16、25及び26を形成する。よって、開口部24xが形成されていない支持体接合部E1の配線層23上には金属層25及び26は設けられない。
【0037】
基板10は、半導体チップを搭載可能な半導体チップ搭載用の基板である。基板10の総厚(ソルダーレジスト層24の下面からソルダーレジスト層14の上面までの厚さ)は50〜100μm程度であり、十分な強度を備えていない。そのため、基板10単独では半導体チップの実装やはんだボールの搭載等の半導体パッケージの製造工程におけるハンドリングが困難である。そこで、強度を向上するために、基板10には以下に説明する支持体30が接合されている。
【0038】
(支持体30)
支持体30は、基板10の外周領域D4と対向配置される外枠部31と、基板10の分離領域D3と対向配置される架橋部32とを備えている。架橋部32は、例えば、外枠部31に囲まれた空間を略2等分するように外枠部31の長辺側の対向部分同士を橋渡しするように形成することができる。基板10の第1配線領域D1及び第2配線領域D2は、支持体30の外枠部31及び架橋部32から露出している。支持体30は金属製であり、外枠部31と架橋部32とは、例えば、銅(Cu)等の金属材料により一体に形成されている。
【0039】
支持体30において、外枠部31の基板10の外周領域D4と対向する側、及び架橋部32の基板10の分離領域D3と対向する側には、複数の突起部33が設けられている。突起部33は、例えば、先端側(基板10側)に行くに従って縮幅する形状とすることができる。突起部33の先端側の平面形状は例えば円形であり、この場合直径φ
1は例えば250μm程度とすることができる。外枠部31と架橋部32の厚さ(突起部33が形成されていない部分の支持体30の厚さ)T
1は、例えば、130μm程度とすることができる。突起部33の厚さT
2(突起量)は、例えば、70μm程度とすることができる。
【0040】
支持体30において、外枠部31及び突起部33を厚さ方向に貫通する貫通孔35が設けられている。同様に、架橋部32及び突起部33を厚さ方向に貫通する貫通孔35が設けられている。貫通孔35は、分割ライン(領域Cを示す破線)の延長線上から外れた位置に設けることが好ましい。このような配置とすることで、領域Cを個片化する際に、ブレードと支持体30との接触を抑えることができる。
【0041】
貫通孔35は、例えば、外枠部31又は架橋部32の外側に開口し突起部33側に向かって開口の大きさが小さくなる第1の孔35xと、突起部33の先端側に開口し第1の孔35x側に向かって開口の大きさが小さくなる第2の孔35yとが連通して形成されている。貫通孔35の内壁の厚さ方向の中央よりも支持体接合部E1側に、貫通孔35内で最も開口の小さい最小開口部35zが形成されている。最小開口部35zは、第1の孔35xと第2の孔35yとが連通する部分であり、かつ、貫通孔35内において最も中央側に張り出している部分である。
【0042】
第1の孔35xの最大開口部の平面形状は例えば円形であり、この場合、直径φ
2は例えば200μm程度とすることができる。第2の孔35yの最大開口部の平面形状は例えば円形であり、この場合、直径φ
3は例えば150μm程度とすることができる。最小開口部35zの平面形状は例えば円形であり、この場合、直径φ
4は例えば100μm程度とすることができる。
【0043】
突起部33は、基板10の外周領域D4及び分離領域D3に設けられた各支持体接合部E1と対応する位置に設けられている。そして、外周領域D4に設けられた支持体接合部E1と外枠部31に設けられた突起部33とが互いに接合され、分離領域D3に設けられた支持体接合部E1と、架橋部32に設けられた突起部33とが互いに接合されている。具体的には、ソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する支持体接合部E1の金属層16の上面と、突起部33の先端側とが接し、支持体接合部E1と突起部33とが互いに接合されている。
【0044】
なお、支持体30は突起部33の先端側のみで基板10と接合されており、基板10の外周領域D4と支持体30の外枠部31の下面(突起部33が形成されていない領域)との間には隙間が形成されている。同様に、基板10の分離領域D3と支持体30の架橋部32の下面(突起部33が形成されていない領域)との間には隙間が形成されている。
【0045】
支持体接合部E1と突起部33とは、例えば、溶接により接合することができる。この場合、支持体接合部E1と突起部33の少なくとも一部が一体化して溶接部Fが形成される。溶接により接合する場合には、支持体接合部E1の主要部と支持体30とを銅や銅合金等の同一材料で形成することが好ましい。
【0046】
例えば、支持体接合部E1の配線層11、13、及び23を銅又は銅合金から形成し、支持体30も銅又は銅合金により形成する。この場合、支持体接合部E1の配線層13と支持体30の突起部33との間に、他の材料からなる金属層15及び16が介在しても、支持体接合部E1と支持体30の突起部33とのレーザ溶接が可能である。
【0047】
レーザ溶接では、例えば、突起部33の最小開口部35zを含む貫通孔35の内壁側、金属層15及び16の中心側、配線パターン13b及びビア配線13aの中心側が溶融して一体化し、溶接部Fを形成する。但し、溶接部Fが形成される範囲は、レーザを照射する位置やレーザの照射パワー等により異なるものであり、
図2(b)に示す溶接部Fは一例である。
【0048】
[支持体付基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る支持体付基板の製造方法について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る支持体付基板の製造工程を例示する図であり、
図2(a)に対応する断面を示している。
【0049】
まず、
図4(a)に示す工程では、支持体30を作製するための金属板300(例えば、銅板)を準備する。金属板300の厚さは、例えば、200μm程度とすることができる。次に、金属板300の上面の全面に感光性のドライフィルムレジスト等を形成し、露光及び現像し、開口部350xを備えたレジスト層350を形成する。同様に、金属板300の下面の全面に感光性のドライフィルムレジスト等を形成し、露光及び現像し、開口部360xを備えたレジスト層360を形成する。
【0050】
次に、
図4(b)に示す工程では、レジスト層350及び360をエッチングマスクとし、金属板300を両面側からハーフエッチングする。そして、ハーフエッチング後に、レジスト層350及び360を除去する。これにより、
図1に示す平面形状の外枠部31及び架橋部32を備え、外枠部31の下面及び架橋部32の下面に
図2に示す断面形状の突起部33(貫通孔35も含む)が設けられた金属製の支持体30が作製される。金属板300が銅板である場合には、例えば、塩化第二銅水溶液を用いてハーフエッチングすることができる。
【0051】
なお、平面視において開口部350xと開口部360xとが重複する領域では、金属板300が両面側からハーフエッチングされて貫通する。特に、貫通孔35形成部において、開口部350xの開口径を開口部360xの開口径よりも大きくすることで、第1の孔35xと第2の孔35yとが連通する部分である最小開口部35zの位置を貫通孔35の内壁の厚さ方向の中央よりも下側にすることができる。
【0052】
次に、
図4(c)に示す工程では、
図1〜
図3に示した基板10を準備する。基板10は、例えば、周知のビルドアップ工法等により形成することができる。そして、基板10に支持体30を接合する。ここでは、基板10に支持体30を溶接により接合する例を示す。
【0053】
具体的には、基板10の各支持体接合部E1の露出部である金属層16に支持体30の各突起部33の先端側が接するように、基板10上に支持体30を配置する。そして、第1の孔35x側から貫通孔35内にレーザ光Lを照射する。但し、レーザ光Lの一部が貫通孔35外に照射されてもよい。ここで用いるレーザは、支持体接合部E1及び突起部33を構成する材料に対して十分吸収される波長を照射可能なレーザを選択することができる。支持体接合部E1及び突起部33を構成する材料が銅又は銅合金であれば、例えば、グリーンレーザを用いることができる。
【0054】
ここで、最小開口部35zは貫通孔35内において最も中央側に張り出しているため、貫通孔35内に照射されたレーザ光Lは、最小開口部35zの近傍に照射されると共に貫通孔35を通り抜けて金属層16に照射される。そして、レーザ光Lが最小開口部35zの近傍に照射されることで最小開口部35zの近傍に生じた熱は、支持体接合部E1の最小開口部35zの近傍と平面視で重複する領域に伝達される。又、レーザ光Lが金属層16に照射されることで金属層16に生じた熱は、金属層16の周囲に伝達される。これにより、熱が伝達された部分が溶融して相互に接合され、溶接部F(
図2(b)参照)が形成される。この際、支持体接合部E1は柱状の構造を有しており十分に厚いため、レーザ光Lの照射によりダメージを受けるおそれがない。以上の工程により、支持体付基板1が完成する。
【0055】
引き続き、支持体付基板1に半導体チップを実装して半導体パッケージを製造する工程について説明する。
図5及び
図6は、第1の実施の形態に係る支持体付基板を用いた半導体パッケージの製造工程を例示する図であり、
図2(a)に対応する断面を示している。
【0056】
まず、
図5(a)に示す工程では、支持体付基板1を
図4(c)に対して上下反転させ、平板部410と突起部420とを備えたヒータプレート400上に配置する。この際、支持体30が平板部410の上面と接し、ソルダーレジスト層14が突起部420の上面と接した状態で、支持体付基板1がヒータプレート400上に保持される。次に、支持体付基板1の各々の領域Cに半導体チップ110を実装する。具体的には、例えば、各々の領域Cのソルダーレジスト層24上に、ダイアタッチフィルム等(図示せず)を介して、半導体チップ110をフェイスアップ状態で固着する。そして、例えば、半導体チップ110の電極(図示せず)と、ソルダーレジスト層24の開口部24x内に露出する金属層26とを、ヒータプレート400で加熱しながら、銅線や金線等の金属線120をワイヤボンディングして電気的に接続する。なお、支持体付基板1上に半導体チップ110をフリップチップ実装してもよい。
【0057】
次に、
図5(b)に示す工程では、半導体チップ110が実装された支持体付基板1をヒータプレート400から取り外して上下反転させ、樹脂封止用の金型にセットする。具体的には、半導体チップ110が実装された支持体付基板1を、枠部510とキャビティ部520とを備えた下型500と、平板部610と突起部620とを備えた上型600とで挟持する。この際、支持体接合部E1のソルダーレジスト層24が枠部510の上面と接し、支持体30が平板部610の下面と接し、第1配線領域D1及び第2配線領域D2のソルダーレジスト層14が突起部620の下面と接した状態で、支持体付基板1が下型500及び上型600との間に保持される。そして、キャビティ部520内に樹脂を注入して硬化させ、半導体チップ110及び金属線120を被覆する封止樹脂130を形成する。
【0058】
次に、
図6(a)に示す工程では、封止樹脂130が形成された支持体付基板1を下型500及び上型600から取り外し、ソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する金属層16上に、はんだボール140を形成する。はんだボール140は、例えば、開口部14x内に露出する金属層16上に表面処理剤としてのフラックスを塗布した後、はんだボールを搭載し、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより形成できる。
【0059】
次に、
図6(b)に示す工程では、スライサー等を用いて、各々の領域Cを個片化する。これにより、複数の半導体パッケージ100が完成する。同時に、基板10の外周領域D4及び分離領域D3は、支持体30と共に半導体パッケージ100と分離される。なお、半導体パッケージ100は、封止樹脂130により十分な強度を得ているため、支持体30が設けられていなくとも、その後のハンドリングに問題は生じない。
【0060】
このように、支持体付基板1では、基板10と略同一サイズの金属製の支持体30が基板10上に接合されているため、半導体パッケージの製造工程におけるハンドリングを向上することができる。
【0061】
又、基板10の第1配線領域D1及び第2配線領域D2は、支持体30から露出しているため、支持体が設けられていない従来の基板と同一のプロセスフローを採用することができる。すなわち、基板10の第1配線領域D1及び第2配線領域D2の表裏面に形成されたパッドにプローブを当てて電気試験を行うことや、第1配線領域D1及び第2配線領域D2の表裏面の外観の品質確認が可能となる。そのため、支持体付基板1単体状態での良品不良品の判定が可能となり、良品のみを半導体パッケージの製造工程に投入できるため、半導体パッケージの歩留まりを向上できる。
【0062】
又、支持体30の基板10への接合は、支持体30の突起部33を基板10の支持体接合部E1に接合することで行うが、支持体接合部E1の突起部33と接合される露出部(金属層16の上面)はソルダーレジスト層14の表面から一段下がった凹部である。そのため、突起部33を凹部内の金属層16の上面へ容易に位置決めすることができる。
【0063】
又、支持体30の突起部33の部分には貫通孔35が設けられており、貫通孔35内には貫通孔35内において最も中央側に張り出した最小開口部35zが設けられている。そのため、支持体30を基板10にレーザ溶接で接合する場合、貫通孔35内に照射されたレーザ光Lは、最小開口部35zの近傍に照射されると共に貫通孔35を通り抜けて金属層16に照射される。そのため、小さな照射パワーで支持体30を基板10に接合することができる。これにより、基板10の熱ダメージを抑制することが可能となる。
【0064】
又、最小開口部35zの位置を貫通孔35の内壁の厚さ方向の中央よりも下側にすることで、支持体30と基板10の溶融する部分同士が近づくため、より小さな照射パワーで支持体30を基板10に接合することができる。これにより、基板10の熱ダメージを更に抑制することが可能となる。
【0065】
又、支持体30に突起部33を設けたことにより、基板10の外周領域D4と支持体30の外枠部31の下面との間、基板10の分離領域D3と支持体30の架橋部32の下面との間には隙間が形成されている。そのため、個片化の際に支持体30と反対側から切断することにより、切断に用いるブレードの歯が支持体30と接触にしないようにすることが可能となり、ブレードの寿命を縮めることを回避できる。
【0066】
なお、基板10の第1配線領域D1及び第2配線領域D2において、領域Cの個数を20個としたのは一例であり、第1配線領域D1及び第2配線領域D2における領域Cの個数は任意に決定することができる。又、分離領域D3を設けずに、外周領域D4のみで1つの配線領域を区画してもよい。或いは、複数の分離領域D3を設け、複数の分離領域D3と外周領域D4とで複数の配線領域を区画してもよい。或いは、十字状等の分離領域D3を設け、十字状等の分離領域D3と外周領域D4とで複数の配線領域を区画してもよい。支持体30の形状は、基板10の分離領域D3及び外周領域D4の形状に合わせて決定され、何れの場合も配線領域を露出する形状とされる。
【0067】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態では基板のはんだボール搭載側に支持体30を設ける例を示したが、第1の実施の形態の変形例1では、基板の半導体チップ搭載側に支持体30を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0068】
図7は、第1の実施の形態の変形例1に係る支持体付基板を例示する図であり、
図7(a)は
図2(a)に対応する断面図、
図7(b)は
図7(a)の外周領域D4近傍の部分拡大断面図である。
【0069】
図7を参照するに、支持体付基板1Aは、支持体接合部E1を有する基板10が支持体接合部E2を有する基板10Aに置換された点が、支持体付基板1(
図2等参照)と相違する。基板10Aでは、支持体接合部E2を構成する金属層16がソルダーレジスト層14に被覆され、支持体接合部E2を構成する金属層26の下面がソルダーレジスト層24の開口部24x内に露出している。なお、第1の実施の形態と同様の理由により、支持体接合部E2には金属層15及び16は設けられていない。
【0070】
支持体付基板1Aでは、基板10Aのソルダーレジスト層24側に支持体30を接合している。具体的には、支持体付基板1Aでは、ソルダーレジスト層24の開口部24x内に露出する支持体接合部E2の金属層26の下面と、突起部33の先端側とが接し、支持体接合部E2と突起部33とが互いに接合されている。支持体接合部E2と突起部33とは、例えば、溶接により接合することができる。
【0071】
支持体付基板1Aは、第1の実施の形態の
図4に示す工程と同様にして作製することができる。但し、基板10Aの各支持体接合部E2の露出部である金属層26に、支持体30の各突起部33の先端側を接合する。
【0072】
引き続き、支持体付基板1Aに半導体チップを実装して半導体パッケージを製造する工程について説明する。
図8及び
図9は、第1の実施の形態の変形例1に係る支持体付基板を用いた半導体パッケージの製造工程を例示する図であり、
図7(a)に対応する断面を示している。
【0073】
まず、
図8(a)に示す工程では、支持体付基板1Aを
図7(a)に対して上下反転させ、平板状のヒータプレート700上に配置する。この際、ソルダーレジスト層14がヒータプレート700の上面と接した状態で、支持体付基板1Aがヒータプレート700上に保持される。次に、第1の実施の形態の
図5(a)に示す工程と同様にして、支持体付基板1Aの各々の領域Cに半導体チップ110を実装する。
【0074】
次に、
図8(b)に示す工程では、半導体チップ110が実装された支持体付基板1Aをヒータプレート700から取り外して上下反転させ、樹脂封止用の金型にセットする。具体的には、半導体チップ110が実装された支持体付基板1Aを、平板部810と平板部810から突起する枠部820とを備えた下型800と、平板状の上型900とで挟持する。この際、支持体30が平板部810の上面と接し、支持体接合部E2のソルダーレジスト層24が枠部820の上面と接し、上型900の下面がソルダーレジスト層14と接した状態で、支持体付基板1Aが下型800及び上型900との間に保持される。そして、枠部820で囲まれた領域に樹脂を注入して硬化させ、半導体チップ110及び金属線120を被覆する封止樹脂130を形成する。
【0075】
次に、
図9(a)に示す工程では、封止樹脂130が形成された支持体付基板1Aを下型800及び上型900から取り外し、第1の実施の形態の
図6(a)に示す工程と同様にして、ソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する金属層16上に、はんだボール140を形成する。
【0076】
次に、
図9(b)に示す工程では、スライサー等を用いて、各々の領域Cを個片化する。これにより、複数の半導体パッケージ100が完成する。同時に、基板10Aの外周領域D4及び分離領域D3は、支持体30と共に半導体パッケージ100と分離される。なお、半導体パッケージ100は、封止樹脂130により十分な強度を得ているため、支持体30が設けられていなくとも、その後のハンドリングに問題は生じない。
【0077】
このように、基板10Aの半導体チップ搭載側に支持体30を設けた場合も、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0078】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、支持体接合部の層構造が第1の実施の形態とは異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0079】
図10は、第1の実施の形態の変形例2に係る支持体付基板を例示する図であり、
図10(a)は
図2(a)に対応する断面図、
図10(b)は
図10(a)の外周領域D4近傍の部分拡大断面図である。
【0080】
図10を参照するに、支持体付基板1Bは、支持体接合部E1を有する基板10が支持体接合部E3を有する基板10Bに置換された点が、支持体付基板1(
図2等参照)と相違する。基板10Bの支持体接合部E3は、支持体接合部E1と異なり金属層15、16、25、及び26を有していなく、ソルダーレジスト層14の開口部14x内に配線層13の上面が露出している。
【0081】
支持体付基板1Bでは、基板10Bのソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する配線層13に支持体30を接合している。具体的には、支持体付基板1Bでは、ソルダーレジスト層14の開口部14x内に露出する支持体接合部E3の配線層13の上面と、突起部33の先端側とが接し、支持体接合部E3と突起部33とが互いに接合されている。支持体接合部E3と突起部33とは、例えば、溶接により接合することができる。
【0082】
基板10Bを作製するには、第1配線領域D1及び第2配線領域D2にめっき法等により金属層15、16、25、及び26を形成する工程で、支持体接合部E3の配線層13の上面及び配線層23の下面をマスクしておけばよい。
【0083】
配線層13及び突起部33を銅又は銅合金で形成した場合、配線層13と突起部33との間に異種金属からなる金属層15及び16が存在せずに、同種の金属からなる配線層13と突起部33とが直接接する。そのため、配線層13と突起部33とを溶接により接合する場合、第1の実施の形態や変形例1に比べて、より小さな照射パワーで支持体30を基板10Bに接合することができる、これにより、基板10Bの熱ダメージを更に抑制することが可能となる。
【0084】
なお、要求仕様によっては、第1配線領域D1及び第2配線領域D2並びに支持体接合部E3の全てに、金属層15、16、25、及び26を形成しなくても良い。
【0085】
又、第1の実施の形態の変形例1においても、支持体接合部E3を採用することが可能であり、その場合も上記と同様の効果を奏する。
【0086】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0087】
例えば、第1の実施の形態並びに変形例1及び2では、基板と支持体とを溶接により接合する例を示した。しかし、これには限定されず、基板と支持体とを溶接以外の方法により接合してもよい。基板と支持体とは、例えば、はんだや接着剤を用いて接合することができる。この場合、支持体の突起部に形成された貫通孔内にペースト状のはんだや接着剤を流し込んで硬化させてもよい。