層状化合物マトリックスと金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を含む波長変換材料。殊に層状化合物が粘土鉱物、ニオブ酸塩、チタン酸塩、金属リン酸塩であり、金属錯体増感剤がパラジウム錯体、白金錯体、ルテニウムであり、多環芳香族化合物がアセン類、又は、フェナセン類であるアップコンバージョン波長変換材料。
層状化合物が、粘土鉱物、ニオブ酸塩、チタン酸塩、コバルト酸塩、マンガン酸塩、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属ホスホン酸塩、又は遷移金属酸素酸塩である請求項1に記載の波長変換材料。
アセン類又はフェナセン類が、アントラセン化合物、テトラセン化合物、ペンタセン化合物、フェナントレン、クリセン、ピセン、又はフェナセンである請求項6に記載の波長変換材料。
金属錯体増感剤の含有量が層状化合物1g対し、0.0001〜10,000gであり、かつ多環芳香族化合物の含有量が層状化合物1g対し、0.0001〜10,000gである請求項1〜7のいずれかに記載の波長変換材料。
【背景技術】
【0002】
現在、LED照明では、LED素子光源の紫色や紫外線などの短波長光を、蛍光体により、長波長光である青色光、緑色光、赤色光に波長変換するダウンコンバージョン蛍光体を用いた高輝度かつ高演色性のLED照明が求められている。
【0003】
また、環境・省エネデバイスの代表である太陽電池の高効率化及び低コスト化実現に関し、光マネージメント技術として波長変換技術が注目されている。単結晶Si系に代表される既存太陽電池では、太陽光と太陽電池の分光感度のミスマッチが存在し、太陽光中の紫外線(UV)及び赤外線(IR)が利用されていない。従って、UV及びIRを利用効率の高い可視光や近赤外光にせしめる波長変換する材料が望まれており、それを用いた波長変換太陽電池が望まれている。UVを可視光及び近赤外光に変換するダウンコンバージョン波長変換材料としては、無機蛍光体、有機色素、有機希土類錯体、量子ドット等が提案されている。UVよりも太陽光中のエネルギー量が多いIRを可視光及び近赤外光に変換し、発電に利用する為には、長波長光を短波長光に変換するアップコンバージョン波長変換材料が必要となる。
【0004】
一方、近年、農業用分野においてもLED光を使用した植物工場でのLED光や農業用施設、太陽光型植物工場での太陽光中のUV、青色光、IRを植物の成長に適した任意の波長の可視光にする波長変換材料が望まれている。植物成長の為には、光合成を行うテトラピロール環Mgのクロロフィルに良く吸収され、使用される赤色光と青色光への変換や、形態形成を掌る色素タンパク質であるフィトクロムに良く吸収され、使用される赤色光への変換が必要となる。無機蛍光体、有機色素、有機希土類錯体等のダウンコンバージョン波長変換材料をEVA、LDPE、LLDPEに添加し、フィルム化した波長変換フィルムが提案され、その効果が確認されている。
これに対してIRを青色光、赤色光に変換するアップコンバージョン波長変換材料を用いた農業用施設、太陽光型植物工場向けフィルムの提案は無く、実用化が望まれている。
【0005】
アップコンバージョン材料としては、Y
2O
3,La
2O
3,CeO
2,Gd
2O
3,Nb
2O
5,(Y,Gd)
2O
3,YTa
7O
19,NaYF
4,LaF
3−2xO
x等の無機系母材に励起準位が一つのYb
3+を増感イオン(980nm)とし、多くの励起準位を有するEr
3+やHo
3+、Tm
3+等の希土類イオンを多段階・多光子励起して赤外等の長波長光をより短波長光である可視光に変換するアップコンバージョンが提案されている。
しかし、この多段階・多光子励起アップコンバージョン材料には、レーザー光等の高密度光源が必須あり、強い励起光であっても量子収率が0.01〜数%と低く、実用上、セキュリティインク用途に限定されている。更に、太陽光のような低エネルギー密度光(0.1〜1W/cm
2程度)では極端に効率が低く、温度消光が顕著であり、100℃でも常温の70%程度に低下する。よって上記の太陽電池や農業向けの太陽電池用途アップコンバージョン波長変換材料には不適である。
【0006】
太陽光のアップコンバージョン波長変換の有効な方法としては、三重項−三重項消滅(TTA)アップコンバージョン波長変換材料が提案されている。例えば、非特許文献1では、2,7,8,12,13,17,18−オクタエチルポルフィリンPd(II)錯体を増感剤として用い、ジフェニルアントラセンを発光剤に用いて溶液中で波長532nmの緑色光を407nmの青色光へのアップコンバージョン変換を達成している。
【0007】
特許文献1では、増感剤のオクタエチルポルフィリンPd(II)錯体を発光剤のポリ(2,7−(9,9−ビズ(2−エチルヘキシル)フルオレン)にドープしたアップコンバージョン波長変換材料により532nmの緑色光を約450nmの青色光へのアップコンバージョン変換を達成している。
特許文献2では、高分子のポリスチレンに増感剤のメソテトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンPd(II)錯体と発光剤のペリレンを分散させたアップコンバージョン波長変換材料で630nmの赤色光を450nmの青色光へのアップコンバージョン変換を達成している。
【0008】
特許文献3では、イオン液体である1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド中に増感剤のメソテトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンPd(II)錯体と発光剤のペリレンを分散させたアップコンバージョン波長変換材料で630nmの赤色光を450nmの青色光へのアップコンバージョン変換を量子効率10.6%で達成している。特許文献4では、イオノゲル中に増感剤のメソテトラフェニル−テトラベンゾポルフィリンPd(II)錯体と発光剤のペリレンを自己組織化させたアップコンバージョン波長変換材料を用い、大気下中で635nmのレーザー光を470nmの青色光へのアップコンバージョン変換を達成している。
【0009】
しかしながら、これら従来の提案は、大気下で不安定であったり、酸素により消光するため、実用に耐える性能、耐久性、寿命、製造コストを達成する提案は見あたらない。特に、これまでに提案があったアップコンバージョン波長変換材料は、耐久性、寿命、製造コスト面で実用的に未達であることから、LED用蛍光体、太陽電池用フィルム、農業施設用フィルムには用いることが困難であった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の波長変換材料は、層状化合物マトリックスと金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を含む波長変換材料である。
層状化合物は、粘土鉱物、ニオブ酸塩、チタン酸塩、コバルト酸塩、マンガン酸塩、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属ホスホン酸塩、及び遷移金属酸素酸塩の群から少なくとも1つ選ばれる。層状化合物は、単一であっても、混合物であってもよい。
【0019】
粘土鉱物としては、天然物であっても、合成品であってもよい。具体例としては、下記のものが挙げられる。
スメクタイト族である、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイトなど;
バーミキュライト族である、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト、タルク・パイロフィライト族である、タルク、ウィレムサイト、ケロライト、ピメライト、パイロフィライト、フェリパイロフィライトなど;
サーペンティン・カオリン族である、リザーダイト、バーチェリン、アメサイト、クロンステダイト、ネーポアイト、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト、クリソタイル、アンチゴライト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハイロサイト、オーディナイトなど;
【0020】
マイカ族である、黒雲母、白雲母、金雲母、鉄雲母、鱗雲母、砥部雲母、ソーダ雲母、真珠雲母、イーストナイト、シデロフィライト、テトラフェリ鉄雲母、ポリリシオナイト、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、イライト、海緑石、ブラマーライト、ウォンネサイト、クリントナイト、木下石、ビティ雲母、アナンダ石、タエニオライト、パラゴナイト、トベライト、キノシタライト、マーガライト、セリサイト、グロコナイト、セラドナイト、フルオロヘクトライト、雲母族のポリタイプ、膨潤性雲母など;
【0021】
クロライト族である、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイトなど;混合層鉱物である、コレンサイト、ハイドロバイオタイト、アリエッタイト、クルケアイト、レクトライト、トスダイト、ドジライト、ルニジャンライト、サライオタイト、繊維状粘土鉱物である、セピオライト、パリゴルスカイトなど;ナノカプセル・ナノチューブ状粘土鉱物である、アロフェン、イモゴライトなど;層状複水酸化物であるハイドロタルサイトなど;
その中でもモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ハイデライト、スティブンサイト、フルオロヘクトライト等が好ましい。
【0022】
粘土鉱物以外の上記層状化合物の具体例として下記のものが挙げられる。
ニオブ酸塩としては、K
4Nb
6O
17、KNb
3O
8等のニオブ酸塩、KCa
2Nb
3O
10、NaCa
2Nb
3O
10、RbLaNb
2O
7等のペロブスカイト型ニオブ酸塩、チタン酸塩としては、H
2Ti
4O
9、H
2Ti
3O
7等のチタン酸塩、KTiNbO
5等のチタンニオブ酸塩、KLaTiO
4、K
2La
2Ti
3O
10等のペロブスカイト型チタン酸塩、コバルト酸塩としては、LiCoO
2等、マンガン酸塩としては、バーネサイト等。
【0023】
金属ケイ酸塩としては、カネマイト、オクトケイ酸塩、RUB−18、マガディアイト、金属リン酸塩としては、ジルコニウムホスフェート、チタンホスフェート、金属ホスホン酸としては、アルキルホスホン酸ジルコニウム等の有機基置換ホスホン酸ジルコニウム、遷移金属酸素酸塩としては、K
0.2RuO
2.1、LiNbWO
6、H
2W
2O
7、等が挙げられる。
層状化合物としては、これらの中でも、粘土鉱物が好ましく、特に好ましくは、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ハイデライト、スティブンサイト、フルオロヘクトライト等である。
【0024】
上記の層状化合物は、そのまま用いてもよいが、有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物で疎水化処理された層状化合物が好ましい。
上記有機アンモニウム化合物としては、下記一般式(2)で示される有機アンモニウム化合物が好ましい。
【化1】
(式中、R
9、R
10、R
11、R
12は、水素、又は炭素数1〜50の炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、硝酸、酢酸、スルホン酸、リン酸、ポリリン酸、過ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸、ハロゲン間化合物、ボレート、又はホスフェートを表す。)
【0025】
R
9、R
10、R
11、R
12の上記炭化水素基の具体的例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、オレイル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−イコシル、n−ヘンイコシル、n−ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ナノコシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンチル、ヘキサトリアコンチル、ヘプタトリアコンチル、オクタトリアコンチル、ナノトリアコンチル、テトラコンチル、ヘンテトラコンチル、ドテトラコンチル、トリテトラコンチル、テトラテトラコンチル、ペンタテトラコンチル、ヘキサテトラコンチル、ヘプタテトラコンチル、オクタテトラコンチル、ノナテトラコンチル、ペンタコンチル;シクロブテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、1−アダマンチル;フェニル、トルイル、キシレニル、エチルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、ナフチル、アントラセニル、ベンジルなどが挙げられる。
【0026】
なかでも、R
9、R
10、R
11、R
12の少なくとも1つは、好ましくは炭素数10以上、特に、炭素数10〜30の炭化水素基が好ましく、具体的には、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、オレイル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−イコシル、n−ヘンイコシル、n−ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ナノコシル、又はトリアコンチルが好ましい。
Xとしては、ハロゲン、ヒドロキシ、硝酸、酢酸、スルホン酸、リン酸、ポリリン酸、過ハロゲン酸、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸、ハロゲン間化合物、ボレート、ホスフェートである。
【0027】
上記ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。スルホン酸としては、スルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸等が挙げられる。
過ハロゲン酸としては、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、ハロゲン酸としては、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、亜ハロゲン酸としては、亜塩素酸、亜臭素酸、次亜ハロゲン酸としては、次亜塩素酸が、それぞれ、挙げられる。
上記ハロゲン間化合物としては、Cl
2Br、Br
2Cl、ICl
2、IBr
2、ICl
4、BrF
4、Br
3、I
3、I
5、I
7が挙げられる。ボレートとしては、テトラフルオロボレート、ホスフェートとしては、ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
【0028】
上記一般式(2)で示される有機アンモニウム化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
n−デシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ウンデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−トリデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ペンタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘプタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オレイルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ノナデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−エイコシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−イコシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘンイコシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ドコシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリコシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラコシルトリメチルアンモニウムブロミド、ペンタコシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサコシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘプタコシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタコシルトリメチルアンモニウムブロミド、ナノコシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリアコンチルトリメチルアンモニウムブロミド、
n−デシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ウンデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−トリデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−テトラデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ペンタデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ヘプタデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−オクタデシルトリエチルアンモニウムブロミド、オレイルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ノナデシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−エイコシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−イコシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ヘンイコシルトリエチルアンモニウムブロミド、n−ドコシルトエチルアンモニウムブロミド、トリコシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラコシルトリエチルアンモニウムブロミド、ペンタコシルトリエチルアンモニウムブロミド、ヘキサコシルトリエチルアンモニウムブロミド、ヘプタコシルトリエチルアンモニウムブロミド、オクタコシルトリエチルアンモニウムブロミド、ナノコシルトリエチルアンモニウムブロミド、トリアコンチルトリエチルアンモニウムブロミド、
n−デシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ウンデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ドデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−トリデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−テトラデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ペンタデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ヘプタデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−オクタデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、オレイルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ノナデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−エイコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−イコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ヘンイコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、n−ドコシルトプロピルアンモニウムブロミド、トリコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、テトラコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、ペンタコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、ヘキサコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、ヘプタコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、オクタコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、ナノコシルトリプロピルアンモニウムブロミド、トリアコンチルトリプロピルアンモニウムブロミド;
【0029】
n−デシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ウンデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ドデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−トリデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−テトラデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ペンタデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ヘプタデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−オクタデシルトリブチルアンモニウムブロミド、オレイルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ノナデシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−エイコシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−イコシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ヘンイコシルトリブチルアンモニウムブロミド、n−ドコシルトブチルアンモニウムブロミド、トリコシルトリブチルアンモニウムブロミド、テトラコシルトリブチルアンモニウムブロミド、ペンタコシルトリブチルアンモニウムブロミド、ヘキサコシルトリブチルアンモニウムブロミド、ヘプタコシルトリブチルアンモニウムブロミド、オクタコシルトリブチルアンモニウムブロミド、ナノコシルトリブチルアンモニウムブロミド、トリアコンチルトリブチルアンモニウムブロミド、
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オレイルトリメチルアンモニウムクロリド、n−ヘキサデシルトリエチルアンモニウムクロリド、オレイルトリエチルアンモニウムクロリド、n−ヘキサデシルトリプロピルアンモニウムクロリド、オレイルトリプロピアンモニウムクロリド、n−ヘキサデシルトリブチルアンモニウムクロリド、オレイルトリブチルアンモニウムクロリド;
【0030】
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩素酸、オレイルトリメチルアンモニウム塩素酸、n−ヘキサデシルトリエチルアンモニウム塩素酸、オレイルトリエチルアンモニウム塩素酸、n−ヘキサデシルトリプロピルアンモニウム塩素酸、オレイルトリプロピアンモニウム塩素酸、n−ヘキサデシルトリブチルアンモニウム塩素酸、オレイルトリブチルアンモニウム塩素酸;
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭素酸、オレイルトリメチルアンモニウム臭素酸、n−ヘキサデシルトリエチルアンモニウム臭素酸、オレイルトリエチルアンモニウム臭素酸、n−ヘキサデシルトリプロピルアンモニウム臭素酸、オレイルトリプロピアンモニウム臭素酸、n−ヘキサデシルトリブチルアンモニウム臭素酸、オレイルトリブチルアンモニウム臭素酸;
【0031】
n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムトルエンスルホン酸、オレイルトリメチルアンモニウムトルエンスルホン酸、n−ヘキサデシルトリエチルアンモニウムトルエンスルホン酸、オレイルトリエチルアンモニウムトルエンスルホン酸、n−ヘキサデシルトリプロピルアンモニウムトルエンスルホン酸、オレイルトリプロピアンモニウムトルエンスルホン酸、n−ヘキサデシルトリブチルアンモニウムトルエンスルホン酸、オレイルトリブチルアンモニウムトルエンスルホン酸。
【0032】
上記有機ケイ素化合物としては、下記一般式(3)で示される有機ケイ素化合物が好ましい。
【化2】
(式中、R
13、R
14、R
15、R
16は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜50の酸素含有炭化水素基を表し、R
13、R
14、R
15、R
16の少なくとも1つは、酸素含有炭化水素基である。)
【0033】
R
13、R
14、R
15、R
16の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
9、R
10、R
11、R
12の場合に挙げたもの同じものが挙げられる。
R
13、R
14、R
15、R
16の上記炭素数1〜50の酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert.−ブトキシ、シクロブトキシ、n−ペントキシ、tert.−アミロキシ、シクロペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−トリデシルオキシ、n−テトラデシルオキシ、n−ペンタデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、n−ヘプタデシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、オレイルオキシ、n−ノナデシルオキシ、n−エイコシルオキシ、n−イコシルオキシ、n−ヘンイコシルオキシ、n−ドコシルオキシ、トリコシルオキシオキシ、テトラコシルオキシオキシ、ペンタコシルオキシオキシ、ヘキサコシルオキシオキシ、ヘプタコシルオキシ、オクタコシルオキシ、ナノコシルオキシ、トリアコンチルオキシ、ヘントリアコンチルオキシ、ドトリアコンチルオキシ、トリトリアコンチルオキシ、テトラトリアコンチルオキシ、ペンタトリアコンチルオキシ、ヘキサトリアコンチルオキシ、ヘプタトリアコンチルオキシ、オクタトリアコンチルオキシ、ナノトリアコンチルオキシ、テトラコンチルオキシ、ヘンテトラコンチルオキシ、ドテトラコンチルオキシ、トリテトラコンチルオキシ、テトラテトラコンチルオキシ、ペンタテトラコンチルオキシ、ヘキサテトラコンチルオキシ、ヘプタテトラコンチルオキシ、オクタテトラコンチルオキシ、ノナテトラコンチルオキシ、ペンタコンチルオキシ、
シクロブテニルオキシ、シクロペンタジエニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、シクロオクテニルオキシ、シクロオクタジエニルオキシ、1−アダマンチルオキシ、
フェノキシ、トルイルオキシ、キシレニルオキシ、エチルフェノキシ、イソプロピルフェノキシ、ブチルフェノキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ、ベンジルオキシを等挙げることができる。
好ましくは、炭素数4以下のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert.−ブトキシであり、特に好ましくは、メトキシ、エトキシである。
【0034】
R
13、R
14、R
15、R
16の少なくとも1つは、好ましくは炭素数10以上、特に、炭素数10〜30の炭化水素基が好ましく、具体的には、上記R
9、R
10、R
11、R
12の場合に挙げたのと同じものが好ましい。
【0035】
上記一般式(3)の有機ケイ素化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
n−デシルトリメトキシシラン、n−ウンデシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−トリデシルトリメトキシシラン、n−テトラデシルトリメトキシシラン、n−ペンタデシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−ヘプタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、オレイルトリメトキシシラン、n−ノナデシルトリメトキシシラン、n−エイコシルトリメトキシシラン、n−イコシルトリメトキシシラン、n−ヘンイコシルトリメトキシシラン、n−ドコシルトリメトキシシラン、トリコシルトリメトキシシラン、テトラコシルトリメトキシシラン、ペンタコシルトリメトキシシラン、ヘキサコシルトリメトキシシラン、ヘプタコシルトリメトキシシラン、オクタコシルトリメトキシシラン、ナノコシルトリメトキシシラン、トリアコンチルトリメトキシシラン;
【0036】
n−デシルトリエトキシシラン、n−ウンデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−トリデシルトリエトキシシラン、n−テトラデシルトリエトキシシラン、n−ペンタデシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−ヘプタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、オレイルトリエトキシシラン、n−ノナデシルトリエトキシシラン、n−エイコシルトリエトキシシラン、n−イコシルトリエトキシシラン、n−ヘンイコシルトリエトキシシラン、n−ドコシルトリエトキシシラン、トリコシルトリエトキシシラン、テトラコシルトリエトキシシラン、ペンタコシルトリエトキシシラン、ヘキサコシルトリエトキシシラン、ヘプタコシルトリエトキシシラン、オクタコシルトリエトキシシラン、ナノコシルトリエトキシシラン、トリアコンチルトリエトキシシラン;
【0037】
n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ウンデシルメチルジメトキシシラン、n−ドデシルメチルジメトキシシラン、n−トリデシルメチルジメトキシシラン、n−テトラデシルメチルジメトキシシラン、n−ペンタデシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−ヘプタデシルメチルジメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシラン、オレイルメチルジメトキシシラン、n−ノナデシルメチルジメトキシシラン、n−エイコシルメチルジメトキシシラン、n−イコシルメチルジメトキシシラン、n−ヘンイコシルメチルジメトキシシラン、n−ドコシルメチルジメトキシシラン、トリコシルメチルジメトキシシラン、テトラコシルメチルジメトキシシラン、ペンタコシルメチルジメトキシシラン、ヘキサコシルメチルジメトキシシラン、ヘプタコシルメチルジメトキシシラン、オクタコシルメチルジメトキシシラン、ナノコシルトメチルジメトキシシラン、トリアコンチルメチルジメトキシシラン;
【0038】
n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ウンデシルメチルジメトキシシラン、n−ドデシルメチルジメトキシシラン、n−トリデシルメチルジメトキシシラン、n−テトラデシルメチルジメトキシシラン、n−ペンタデシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−ヘプタデシルメチルジメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシラン、オレイルメチルジメトキシシラン、n−ノナデシルメチルジメトキシシラン、n−エイコシルメチルジメトキシシラン、n−イコシルメチルジメトキシシラン、n−ヘンイコシルメチルジメトキシシラン、n−ドコシルメチルジメトキシシラン、トリコシルメチルジメトキシシラン、テトラコシルメチルジメトキシシラン、ペンタコシルメチルジメトキシシラン、ヘキサコシルメチルジメトキシシラン、ヘプタコシルメチルジメトキシシラン、オクタコシルメチルジメトキシシラン、ナノコシルトメチルジメトキシシラン、トリアコンチルメチルジメトキシシラン;
【0039】
n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ウンデシルエチルジエトキシシラン、n−ドデシルエチルジエトキシシラン、n−トリデシルエチルジエトキシシラン、n−テトラデシルエチルジエトキシシラン、n−ペンタデシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ヘプタデシルエチルジエトキシシラン、n−オクタデシルエチルジエトキシシラン、オレイルエチルジエトキシシラン、n−ノナデシルエチルジエトキシシラン、n−エイコシルエチルジエトキシシラン、n−イコシルエチルジエトキシシラン、n−ヘンイコシルエチルジエトキシシラン、n−ドコシルエチルジエトキシシラン、トリコシルエチルジエトキシシラン、テトラコシルエチルジエトキシシラン、ペンタコシルエチルジエトキシシラン、ヘキサコシルエチルジエトキシシラン、ヘプタコシルエチルジエトキシシラン、オクタコシルエチルジエトキシシラン、ナノコシルトエチルジエトキシシラン、トリアコンチルエチルジエトキシシラン等。
これらの有機ケイ素化合物は、単独または2種以上の混合物として使用される。
【0040】
本発明において、層状化合物を疎水化処理する際の層状化合物に対する有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物量は、層状化合物1gに対し、有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物が0.01〜10,000gが好ましく、特に好ましくは、0.1g〜1,000gの範囲で使用される。
層状化合物を、有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物で疎水化処理する際の条件は、特に限定はされるものではないが、層状化合物を反応媒体中に懸濁させ、有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物を反応させることで疎水化処理をするのが好ましい。
【0041】
上記反応媒体としては、特に限定されるものでなく、例えば、水;n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類;トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert.−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類;アセトニトリル、オクタノニトリル、デカノニトリル、ペンタデカノニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルりん酸トリアミド等のヘテロ原子含有溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等を使用することができる。また、これらの混合溶媒も使用することができる。
【0042】
層状化合物を有機アンモニウム化合物及び/又は有機ケイ素化合物で疎水化処理する際の温度については、通常、−100〜200℃の範囲が好ましく、特に好ましくは−85〜150℃の範囲である。圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれであっても可能である。
【0043】
本発明における金属錯体増感剤としては、パラジウム錯体、白金錯体、又はルテニウム錯体が好ましく、特に、下記一般式(1)で示される金属錯体が好ましい。
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜50の酸素含有炭化水素基を表し、R
1とR
2、R
3とR
4、R
5とR
6、R
7とR
8は、互いに結合してもよい。X
1、X
2、X
3、X
4は、窒素原子、又はメチン基、炭素数1〜20の炭化水素基が置換したメチン基を表す。Mは、パラジウム、白金、又はルテニウムを表す。)
【0044】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
9、R
10、R
11、R
12の場合に挙げたもの同じものが挙げられる。好ましくは炭素数2以上、特に、炭素数4〜30の炭化水素基が好ましい
【0045】
また、炭素数1〜50の酸素含有炭化水素基としては、
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert.−ブトキシ、シクロブトキシ、n−ペントキシ、tert.−アミロキシ、シクロペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−トリデシルオキシ、n−テトラデシルオキシ、n−ペンタデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、n−ヘプタデシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、オレイルオキシ、n−ノナデシルオキシ、n−エイコシルオキシ、n−イコシルオキシ、n−ヘンイコシルオキシ、n−ドコシルオキシ、トリコシルオキシオキシ、テトラコシルオキシオキシ、ペンタコシルオキシオキシ、ヘキサコシルオキシオキシ、ヘプタコシルオキシ、オクタコシルオキシ、ナノコシルオキシ、トリアコンチルオキシ、ヘントリアコンチルオキシ、ドトリアコンチルオキシ、トリトリアコンチルオキシ、テトラトリアコンチルオキシ、ペンタトリアコンチルオキシ、ヘキサトリアコンチルオキシ、ヘプタトリアコンチルオキシ、オクタトリアコンチルオキシ、ナノトリアコンチルオキシ、テトラコンチルオキシ、ヘンテトラコンチルオキシ、ドテトラコンチルオキシ、トリテトラコンチルオキシ、テトラテトラコンチルオキシ、ペンタテトラコンチルオキシ、ヘキサテトラコンチルオキシ、ヘプタテトラコンチルオキシ、オクタテトラコンチルオキシ、ノナテトラコンチルオキシ、ペンタコンチルオキシ、
シクロブテニルオキシ、シクロペンタジエニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、シクロオクテニルオキシ、シクロオクタジエニルオキシ、1−アダマンチルオキシ、
フェノキシ、トルイルオキシ、キシレニルオキシ、エチルフェノキシ、イソプロピルフェノキシ、ブチルフェノキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ、ベンジルオキシ、
メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル
を挙げることができる。
好ましくは、炭素数4以下のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert.−ブトキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチルであり、特に好ましくは、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチルである。
【0046】
また、R
1とR
2、R
3とR
4、R
5とR
6、R
7とR
8の互いに結合した例としては、ベンゾ、ナフト、アントラ等のベンゼン環縮合置換基、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8として例示した置換基で置換されたベンゼン環縮合置換基などを挙げることができる。
X
1、X
2、X
3、X
4は、窒素原子、メチン基、又は炭素数1〜19の炭化水素基又は炭素数1〜19の酸素含有炭化水素基で置換されたメチン基である。
【0047】
上記メチン基を置換する炭素数1〜20の炭化水素基としては、下記一般式(4)ので示される炭化水素基が好ましい。
【化4】
(R
17は、水素、炭素数1〜19の炭化水素基、又は炭素数1〜19の酸素含有炭化水素基である。)
R
17の炭素数1〜19の炭化水素基の具体例としては、上記R
9、R
10、R
11、R
12の場合に挙げたもの同じものが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜15の炭化水素基、特に好ましくは、炭素数1〜15の炭化水素基である。
【0048】
R
17の酸素含有炭化水素基としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合に挙げたもの同じものが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜15の酸素含有炭化水素基、特に好ましくは、炭素数1〜15の酸素含有炭化水素基である。
本発明における金属増感剤には、2分子以上の多分子の上記一般式(1)の金属錯体がR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8を架橋部位として連結された多核錯体や高分子錯体も包含される。
【0049】
上記一般式(1)の金属錯体の具体例としては、下記の式(1−1)〜式(1−96)で示される化合物が例示される。
【化5】
【0062】
多環芳香族化合物としては、芳香環の3つ以上が縮合した化合物が好ましく、その例としては、アセン類、フェナセン類、ピレン類、ペリレン類を挙げることができる。
アセン類としては、例えば、アントラセン化合物、テトラセン化合物、ペンタセン化合物等が挙げられる。
【0063】
アセン類におけるアントラセン化合物の具体例としては、下記一般式(5)で示されるものが挙げられる。
【化18】
(式中、R
18は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
18は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。)
R
18の炭素数1〜50の炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
【0064】
上記一般式(5)のアントラセン化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メチルフェニル)アントラセン、9,10−ビス(3−メチルフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリメチルシリル)アントラセン、9,10−ビス(ターシャリーブチルジメチルシリル)アントラセン、9,10−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラセン、9,10−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジフェニルアントラセン、9−(1−ナフタレニル)−10−フェニルアントラセン、9,10−ジ(1−ナフタレニル)アントラセン、10−(1−ナフタレニル)−9−(2−ナフタレニル)アントラセン、9,10−ジ(2−ナフタレニル)アントラセン、9−[1,1’−ビフェニル−4−イル]−10−(1−ナフタレニル)アントラセン、9−[1,1’−ビフェニル−4−イル]−10−(2−ナフタレニル)アントラセン、9,10−ビス([1,1’−ビフェニル−4−イル)アントラセン、2−ターシャリーブチル−9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス[4−(2−ナフタレニル)フェニル]アントラセン、2−エチル−9,10−ジフェニルアントラセン、ベンゾ[a]アントラセン、9,10−ジメチル−1,2−ベンゾアントラセン、1,2,5,6−ジベンゾアントラセン、1,2、3,4−ジベンゾアントラセン。
【0065】
アセン類におけるテトラセン化合物の具体例としては、下記一般式(6)で示されるものが挙げられる。
【化19】
(式中、R
19は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
19は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。)
R
19の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
【0066】
上記一般式(6)のテトラセン化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
テトラセン、2−メチルテトラセン、2,8−ジメチルテトラセン、1,12−ジメチルテトラセン、2−メチル−8−イソプロピルテトラセン、2−イソプロピルテトラセン、2−ターシャリーブチルテトラセン、2−フェニルテトラセン、5,12−ジエチニルテトラセン、5,12−ビズ(2−フェニルエチニル)テトラセン、5,6,11,12−テトラフェニルテトラセン、5,12−ビズ(4−ターシャリーブチルフェニル)テトラセン、5,12−ビズ(2−トメチルシリル)テトラセン、5,12−ビズ(2−ターシャリージメチルシリル)テトラセン、5,12−ビズ(2−トエチルシリルエチニル)テトラセン、5,12−ビズ(2−トリイソプロピルシリルエチニル)テトラセン、
ベンゾ[a]テトラセン、ジベンゾ[a,c]テトラセン、ジベンゾ[a,l]テトラセン、ジベンゾ[a,j]テトラセン、ジベンゾ[fg,op]テトラセン、ジベンゾ[a,j]テトラセン、ナフト[2,1−a] テトラセン、ナフト[2,1,8−qra] テトラセン、シクロペンタ[fg]テトラセン、シクロペンタ[de]テトラセン。
【0067】
また、アセン類におけるペンタセン化合物の具体例としては、下記一般式(7)で示されるものが挙げられる。
【化20】
(式中、R
20は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
20は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。)
【0068】
R
20の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
【0069】
上記一般式(7)のペンタセン化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
ペンタセン、6,13−ジエチニルペンタセン、6,13−ジフェニルペンタセン、6,13−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペンタセン、6,13−ビス[2−(4−ペンチルフェニル)エチニル)ペンタセン、5,7,12,14−テトラフェニルペンタセン、5,7,12,14−テトラキス(2−フェニルエチニル)ペンタセン、6,13−ビス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)ペンタセン、6,13−ビス−(2−フェニルエチニル)ペンタセン、6,13−ビス(トリメチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13−ビス(トリエチルシリルエチニル)ペンタセン、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、ベンゾ[a]ペンタセン、ジベンゾ[a,c]ペンタセン、ジベンゾ[a,l]ペンタセン、ジベンゾ[fg,st]ペンタセン、ジベンゾ[de,uv]ペンタセン、ナフト[2,1,8,uva]ペンタセン、テトラベンゾ[a,c,l,n]ペンタセン、テトラベンゾ[a,c,hi,qr]ペンタセン、ベンゾ[qr]ナフト[2,1,8,7−fghi]ペンタセン、ベンゾ[st]ナフト[2,1,8,7−defg]ペンタセン、ジナフト[3,2,1−fg:1’,2’,3’−st]ペンタセン、2,3,9,10−テトラメトキシペンタセン、6,13−ビス(トリフルオロメチル)ペンタセン、2,2’−(6,13−ペンタセンジイル)ビスチオフェン、2,2’−(6,13−ペンタセンジイル)ビス(5−メチルチオフェン)、5−(13−[2,2’−ビチオフェン]−5−イル−6−ペンタセニル)−2,2’−ビチオフェン、2,2’−(6,13−ペンタセンジイル)ビス(5−トリメチルシリル)−チオフェン、2,2’−(6,13−ペンタセンジイル)ビス(5−ヘキシル)−チオフェン。
【0070】
フェナセン類としては、フェナントレン、クリセン、ピセン、フルミネン、フェナセン化合物等が挙げられる。
フェナセン類の具体例としては、下記一般式(8)で示されるフェナセン類化合物が好ましい。
【化21】
(式中、R
21は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
21は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。nは、0〜3の整数である。)
【0071】
R
21の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
上記一般式(8)のフェナセン類の具体例としては、フェナントレン、クリセン、ピセン、5−メチルピセン、2,5−ジメチルピセン、1,8−ジメチルピセン、ベンゾ[b]ピセン、ベンゾ[c]ピセン、ベンゾ[pqr]ピセン、ジベンゾ[c,m]ピセン、ジベンゾ[b,n]ピセン、フェナセンを挙げることができる。
【0072】
ピレン類の具体例としては、下記一般式(9)で示されるピレン化合物が好ましい。
【化22】
(式中、R
22は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
22は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。)
R
22の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
上記一般式(9)のピレン化合物の具体例としては、ピレン、9−メチルピレン、ベンゾ[ghi]ピレンなどを挙げることができる。
【0073】
上記ペリレン類の具体例としては、下記一般式(10)で示されるものが好ましい。
【化23】
(式中、R
23は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、又は炭素数1〜20のシリル基を表し、各R
23は、同一であっても異なってもよく、互いに結合してもよい。)
R
23の上記炭化水素基の具体例としては、上記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8の場合と同様のものが挙げられる。上記シリル基としては、トリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、トリエチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル等が挙げられる。
【0074】
上記一般式(10)のペリレン化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
ペリレン、1−メチルペリレン、2−メチルペリレン、3−メチルペリレン、3,4,9,10−テトラメチルペリレン、2−ターシャリーブチルペリレン、1−n−ヘキシルペリレン、3−n−ヘキシルペリレン、3、10−ジn−ヘキシルペリレン、3−シクロヘキシルペリレン、3−ビニルペリレン、1−エチニルペリレン、3−エチニルペリレン、3−ベンジルペリレン、3−(1−ナフタレニル)ペリレン、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,9−ビス([1,1’−ビフェニル]−2−イル)ペリレン、ベンゾ[a]ペリレン、ベンゾ[b]ペリレン、ベンゾ[ghi]ペリレン、ジベンゾ[a,j]ペリレン、ジベンゾ[fg,ij]ペリレン、ジベンゾ[fg,qr]ペリレン、ジベンゾ[a,o]ペリレン、ジベンゾ[a,n]ペリレン、ジベンゾ[cd,lm]ペリレン、ナフト[8,1,2−bcd]ペリレン、フェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン。
【0075】
多環芳香族化合物としては、なかでも、アセン類、ピレン類、又はペリレン類が好ましく、特に好ましくは、アントラセン化合物、テトラセン化合物、ペンタセン化合物、ピレン化合物、又はペリレン化合物である。
【0076】
本発明の波長変換材料における金属錯体増感剤の含有量は、層状化合物1g対し、0.0001〜10,000gが好ましく、特に好ましくは0.001〜1,000gである。また、多環芳香族化合物の含有量は、層状化合物1g対し、0.0001〜10,000gが好ましく、特に好ましくは0.001〜1,000gである。
【0077】
本発明の上記の層状化合物と金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を含む波長変換材料の調製整方法は、特に限定されるものではないが、層状化合物を溶媒に溶解させた溶液若しくは分散させた分散液に対し、金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を混合する方法、金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を溶解させた溶液若しくは分散させた分散液に対し、層状化合物を添加し、混合する方法、層状化合物の溶液又は分散液に対し、金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を溶解させた溶液若しくは分散させた分散液を混合する方法等、既存の混合方法を使用することができる。
【0078】
上記のように得られる層状化合物と金属錯体増感剤と多環芳香族化合物との混合液は、そのまま、若しくはガラスフィルター、焼結多孔体等を用いた濾過を用いて精製して波長変換材料液として用いることができる。また、上記混合液から溶媒を留去し、固形物とした波長変換材料とすることもできる。
更に、本発明の波長変換材料は、層状化合物と金属錯体増感剤と多環芳香族炭化水素とを混合し、溶媒共存下若しくは無溶媒下に混練して混練物として調製することができる。
【0079】
本発明の波長変換材料の調製における上記溶媒としては、例えば、水;n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類;トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert.−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類;アセトニトリル、オクタノニトリル、デカノニトリル、ペンタデカノニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルりん酸トリアミド等のヘテロ原子含有溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
【0080】
層状化合物と金属錯体増感剤と多環芳香族化合物を含む波長変換材料を製造する際の反応温度については、通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲が好ましく、特に好ましくは−85〜150℃の範囲である。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれであっても可能である。
【実施例】
【0081】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、吸収スペクトル測定は、島津製作所社製、UV−3100を用いて行なった。
発光スペクトル測定は、励起光源として波長532nmのNd:YAGのCWレーザーであるChangchun New Industries Optoelectronics Technology Co., Ltd.製MGL−532を用い、Ndフィルターにより出力調整した後、4面光学セル中のサンプルを励起し、マルチチャンネル分光器である浜松ホトニクス社製PAM−11によって検出して行った。
【0082】
実施例1
[疎水化合成サポナイトの調製]
攪拌装置を備えた100mL(ミリリットル)のガラス反応器に合成粘土であるNa型サポナイト(クニミネ工業社製スメクトン−SA)0.5gと純水25mlを仕込み、40℃で2時間撹拌した。この反応器に滴下濾斗中のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド1.3gを純水25mlに溶解した溶液をゆっくりと滴下した後、40℃で2時間撹拌した。
反応後、室温で24時間静置し、3000rpm、5分間の条件で遠心分離機により水層と疎水化合成サポナイト分離し、水層を除去した。更に、純水5mlを加え、超音波により分散後、3000rpm、5分間の条件で遠心分離機により水層と疎水化合成サポナイト分離する洗浄操作を3回行った。得られた疎水化合成サポナイトを真空乾燥したところ、収量は、0.17gであった。
【0083】
[アップコンバージョン波長変換材料の調製と発光スペクトルの測定]
金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00728g(10μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.0330g(100μmol)をクロロホルム5mlに溶解した溶液に、上記で調製した疎水化合成サポナイト0.025gを添加し、混合液を撹拌し、凍結真空脱気処理(液体窒素で冷却し、真空脱気)を行った。
得られたアップコンバージョン波長変換材料を532nm、1mWのレーザー光で励起したところ、380nm〜517nm範囲で435nmをピークとするアップコンバージョン発光が観られた。アップコンバージョン発光の相対発光強度(a.u.)は、86667であった。
【0084】
比較例1
[アップコンバージョン波長変換材料の調製と発光スペクトルの測定]
金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00728g(10μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.0330g(100μmol)をクロロホルム5mlに溶解した溶液を凍結真空脱気処理(液体窒素で冷却し、真空脱気)を行った。
得られたアップコンバージョン波長変換材料を実施例1と同条件の532nm、1mWのレーザー光で励起したところ、380nm〜517nm範囲で435nmをピークとするアップコンバージョン発光が観られた。
アップコンバージョン発光の相対発光強度(a.u.)は、60278であり、実施例1の層状化合物を含有する波長変換材料の発光強度の69.6%であった。すなわち、実施例1と比較例1との対比から、波長変換材料が層状化合物を含有することによりアップコンバージョン発光強度が1.44倍に向上することが解った。
【0085】
実施例2
[アップコンバージョン波長変換材料の調製と発光スペクトルの測定]
金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00728g(10μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.0165g(50μmol)をトルエン5mlに溶解した溶液に、疎水化合成サポナイト(クニミネ工業社製スメクトン−SAN)0.025gを添加し、混合液を撹拌した。
得られた混合液に凍結真空脱気処理を行なわずにアップコンバージョン波長変換材料として使用し、532nm、16.9mWのレーザー光で励起したところ、400nm〜516nm範囲で437nmをピークとするアップコンバージョン発光が観られた。アップコンバージョン発光の相対発光強度(a.u.)は、5265であった。
【0086】
比較例2
[アップコンバージョン波長変換材料の調製と発光スペクトルの測定]
金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00728g(10μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.0165g(50μmol)をトルエン5mlに溶解した溶液を調製した。
得られた混合液に凍結真空脱気処理を行なわずにアップコンバージョン波長変換材料として使用し、532nm、16.9mWのレーザー光で励起したところ、アップコンバージョン発光が全く観られなかった。
上記実施例2と比較例2との対比から、層状化合物を含有することにより、酸素が共存する大気中であっても、アップコンバージョン発光することが解った。
【0087】
比較例3
実施例1において、9,10−ジフェニルアントラセン0.0330g(100μmol)と疎水化合成サポナイト0.025gを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に混合液を調製した。
得られたアップコンバージョン波長変換薄膜を532nm、15.0mWのレーザー光で励起したが、400nm〜519nm範囲に発光は観られず、オクタエチルポルフィリン白金錯体のダウンコンバージョン発光の648nmの発光が観られた。
【0088】
比較例4
[アップコンバージョン波長変換材料の調製と発光スペクトルの測定]
ポリメタクリル酸メチル(和光純薬社製)0.100gをアニソール5mlに溶解し、
これに金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00100g(1.37μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.0227g(68.7μmol)を加え、溶解した。
得られたアップコンバージョン溶液をガラス基板上に300μL塗布し、減圧乾燥して
アップコンバージョン薄膜を得た。
得られたアップコンバージョン薄膜を532nm、10mWのレーザー光で励起したところ、アップコンバージョン発光が全く観られなかった。
【0089】
実施例3
[アップコンバージョン波長変換薄膜の作製と発光スペクトルの測定]
金属錯体増感剤として、オクタエチルポルフィリン白金錯体0.00728g(10μmol)、及び多環芳香族化合物として、9,10−ジフェニルアントラセン0.165g(500μmol)を、トルエン5mlに溶解した溶液に疎水化合成サポナイト(クニミネ工業社製スメクトン−SAN)0.025gを添加し、混合液を撹拌した後、凍結真空脱気処理を行った。
【0090】
得られたアップコンバージョン波長変換材料混合液を、100μLをガラス基板上に
落とし、室温で8時間乾燥し、アップコンバージョン波長変換薄膜とした。
得られたアップコンバージョン波長変換薄膜を532nm、15.0mWのレーザー光で励起したところ、400nm〜519nm範囲で436nmをピークとするアップコンバージョン発光が観られた。
アップコンバージョン発光の相対発光強度(a.u.)は、1498であった。
【0091】
実施例4
[アップコンバージョン波長変換薄膜の作製と発光スペクトルの測定]
実施例3で得られたアップコンバージョン波長変換材料混合液の200μLをガラス基板上に、200μl、1000rpm、室温の条件でスピンコートし、室温で8時間乾燥して、アップコンバージョン波長変換薄膜とした。
得られたアップコンバージョン波長変換薄膜を532nm、15.0mWのレーザー光で励起したところ、400nm〜519nm範囲で453nmをピークとするアップコンバージョン発光が観られた。
アップコンバージョン発光の相対発光強度(a.u.)は、165であった。
【0092】
比較例5
実施例3において疎水化合成サポナイト(クニミネ工業社製スメクトン−SAN)0.025gを添加しなかったこと以外は、実施例3と同様にアップコンバージョン波長変換薄膜を作製した。
得られたアップコンバージョン波長変換薄膜を532nm、15.0mWのレーザー光で励起したが、400nm〜519nm範囲に発光は観られなかった。