【解決手段】第1絶縁層34と、第1絶縁層34に形成された四角形のキャビティCと、キャビティCに配置された第1電子部品40とを含み、キャビティCは、隣り合う2つの内壁面S1と、2つの内壁面S1からそれぞれ内側に突出する突起部34aと、2つの内壁面S1の反対側に配置され、内側に向かって下方に傾斜する隣り合う2つの傾斜内壁面S2とを備え、第1電子部品40が突起部34aに当接している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態の説明の前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項の記載は、発明者の個人的な検討内容であり、公知技術ではない新規な技術内容を含む。
【0015】
図1〜
図3は予備的事項の電子部品内蔵基板の製造方法の課題を説明するための図である。予備的事項の電子部品内蔵基板の製造方法では、
図1(a)及び(b)に示すように、多層配線層の製造途中の配線層100の上に層間絶縁層200を形成する。さらに、層間絶縁層200の上面から厚みの途中までレーザ加工によりキャビティCを形成する。
【0016】
次いで、
図2(a)及び(b)に示すように、マウンタ装置(不図示)に吸着された第1半導体チップ300を、位置合わせマーク(不図示)を画像認識することにより、キャビティCの底面に位置合わせして配置する。
【0017】
このとき、レーザ加工でキャビティCを形成する際の加工精度と、第1半導体チップ300を搭載する際の位置ずれ(X、Y、θ方向)とが組み合わさり、第1半導体チップ300がキャビティC内で位置ずれして配置される。
【0018】
実際には、
図3の平面図に示すように、複数の製品領域Rを備えた多面取り用の基板400が使用され、各製品領域RのキャビティCに第1半導体チップ300がそれぞれ搭載される。
【0019】
このとき、多面取り用の基板400の複数の製品領域Rの間で、キャビティC内での第1半導体チップ300の位置ずれ方向が異なり、第1半導体チップ300が相互にずれて配置される。
【0020】
キャビティCに配置された第1半導体チップ300はその上に形成される絶縁層(不図示)に埋設される。そして、第1半導体チップ300の接続端子300aにビアホールを介して接続される第1パッド(不図示)が接続端子300aの直上の絶縁層の上に形成される。
【0021】
また、半導体チップ300の横領域の絶縁層の上にビアホールを介して多層配線層に接続される第2パッド(不図示)が形成される。
【0022】
半導体チップ300がキャビティC内で位置ずれして配置されると、半導体チップ300の接続端子300aの直上の第1パッドと、多層配線層に接続された第2パッドとの位置関係が設計仕様からずれることになる。このため、第1パッド及び2パッドに第2半導体チップの接続端子を接続する際に、相互の位置がずれるため、接続の信頼性が低下する。
【0023】
また、第1半導体チップ300の位置ずれによって第1半導体チップ300とキャビティCの内壁面との間隔が狭くなりすぎると、第1半導体チップ300を埋め込む絶縁層を形成する際にボイドが発生しやすくなり、製造歩留りの低下の要因になる。
【0024】
以下に説明する実施形態の電子部品内蔵基板及びその製造方法では、前述した不具合を解消することができる。
【0025】
(実施形態)
図4〜
図17は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を説明するための図、
図18は実施形態の電子部品内蔵基板を示す図、
図19及び
図20は実施形態の電子部品装置を説明するための図である。
【0026】
以下、電子部品内蔵基板の製造方法を説明しながら、電子部品内蔵基板及び電子部品装置の構造を説明する。
【0027】
実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法では、まず、
図4に示すような製造途中の配線部材1aを用意する。配線部材1aは多面取り用の大型基板であり、
図4には、1つの製品領域Rが部分的に示されている。
【0028】
配線部材1aは、厚み方向の中央にコア基板10を備えている。コア基板10は、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から形成される。
【0029】
コア基板10の両面側に配線層21がそれぞれ形成されている。コア基板10には厚み方向に貫通するスルーホールTHが形成され、スルーホールTH内に貫通導体TCが充填されている。
【0030】
そして、コア基板10の両面側の配線層21が貫通導体TCを介して相互に接続されている。スルーホールTHはドリルやレーザなどで形成され、配線層21及び貫通導体TCは、フォトリソグラフィ及びめっき技術などを使用して形成される。配線層21及び貫通導体TCは、例えば、銅から形成される。
【0031】
また、コア基板10の両面側には、配線層21を覆う絶縁層31がそれぞれ形成されている。絶縁層31は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの未硬化の樹脂シートを貼付し、加熱処理により樹脂シートを硬化させることにより形成される。
【0032】
さらに、両面側の絶縁層31には、配線層21に到達するビアホールVH1がそれぞれ形成されている。ビアホールVH1は、絶縁層31をレーザ加工することにより形成される。
【0033】
あるいは、絶縁層31を感光性樹脂から形成し、フォトリソグラフィに基づいて露光、現像を行うことによりビアホールVH1を形成してもよい。絶縁層31は、液状の樹脂を塗布して形成してもよい。以下に説明する他の絶縁層においても、同様な方法により形成される。
【0034】
また、両面側の絶縁層31の上に配線層22がそれぞれ形成されている。両面側の配線層22は、ビアホールVH1内のビア導体を介して配線層21にそれぞれ接続されている。
【0035】
配線層22は、セミアディティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成できる。セミアディティブ法を使用する場合は、まず、ビアホールVH1の内面及び絶縁層31の上にシード層を形成する。さらに、シード層の上に配線層22に対応する開口部が設けられためっきレジスト層を形成する。
【0036】
続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホールVH1内からめっきレジスト層の開口部に金属めっき層を形成する。さらに、めっきレジスト層を剥離した後に、金属めっき層をマスクにしてシード層をエッチングする。
【0037】
これにより、シード層及び金属めっき層から配線層22が形成される。以下に説明する他の配線層においても、同様な方法により形成される。
【0038】
また、両面側の絶縁層31の上に配線層22を覆う絶縁層32がそれぞれ形成されている。両面側の絶縁層32には、配線層22に到達するビアホールVH2がそれぞれ形成されている。
【0039】
両面側の絶縁層32の上に配線層23がそれぞれ形成されている。配線層23はビアホールVH2内のビア導体を介して配線層22に接続されている。
【0040】
また同様に、両面側の絶縁層32の上に配線層23を覆う絶縁層33がそれぞれ形成されている。両面側の絶縁層33には、配線層23に到達するビアホールVH3がそれぞれ形成されている。両面側の絶縁層33の上に配線層24がそれぞれ形成されている。配線層24はビアホールVH3内のビア導体を介して配線層23に接続されている。
【0041】
さらに、両面側の絶縁層33の上に配線層24を覆う絶縁層34がそれぞれ形成されている。上面側の絶縁層34が第1絶縁層の一例である。このようにして、第1絶縁層を備えた配線部材を用意する。
【0042】
図4の配線部材1aの例では、コア基板10の両面側に4層の配線層21,22,23,24を積層しているが、配線層の積層数は任意に設定することができる。
【0043】
また、
図4では、コア基板を有するリジッドタイプの配線部材を例示するが、コア基板を有さないフレキシブルタイプなどの各種の配線部材を使用することができる。
【0044】
配線部材1aは、キャビティが配置される部分の横領域に絶縁層34(第1絶縁層の一例)で被覆された配線層24(配線層の一例)を備えている。
【0045】
次いで、
図5に示すように、配線部材1aの上面側の絶縁層34をレーザ加工することにより、キャビティC(開口部)を形成する。絶縁層34が厚み方向に貫通加工され、その下の絶縁層33の上面が露出することでキャビティCが形成される。
【0046】
絶縁層34を貫通加工し、さらにその下の絶縁層33の厚みの途中まで加工することによりキャビティCを形成してもよい。あるいは、絶縁層34を上面から厚みの途中まで加工することによりキャビティCを形成してもよい。キャビティCの底面と配線層23の上面との間に絶縁層が残される。
【0047】
図6は、
図5のキャビティCを上側からみた部分平面図である。
図6に示すように、キャビティCは平面視において四角形で形成される。
図5に
図6を加えて参照すると、キャビティCは、隣り合う2つの内壁面S1と、それらの内壁面S1からそれぞれ内側に向けて突出する突起部34aとを備えている。
【0048】
突起部34aは半円柱状で形成され、平面視において、半円柱の直径部分がキャビティCの内壁面S1に繋がっており、円弧部分がキャビティCの内壁面S1から突出している。
図5を参照すると、突起部34aはキャビティCの内壁面S1と同じ高さで形成される。
【0049】
絶縁層34の厚み(キャビティCの高さ)は、例えば、100μm程度である。また、突起部34aの突出長さL(
図6)は、例えば、60μm程度である。
【0050】
キャビティCの突起部34aは、半導体チップを当接させて位置決めするガイドピンとして機能する。半導体チップを正確に位置決めするために、突起部34aは、2つの内壁面S1にそれぞれ2箇所に分離されて形成されている。
【0051】
また、
図5に
図6を加えて参照すると、キャビティCは、突起部34aが形成された2つの内壁面S1と反対側に、隣り合う2つの傾斜内壁面S2を備えている。傾斜内壁面S2は、外側から内側に向かって下方に傾斜するテーパー形状で形成される。キャビティCの傾斜内壁面S2の傾斜角度θ(
図5)は、30°〜60°の範囲、例えば、45°に設定される。
【0052】
例えば、絶縁層34の厚みが100μmで、キャビティCの傾斜内壁面S2の傾斜角度θが45°に設定される場合は、傾斜内壁面S2の平面視での幅W(
図6)は100μmとなる。
【0053】
キャビティCの傾斜内壁面S2は、半導体チップをキャビティC内に搭載しやすくするために形成される。
【0054】
図7には、キャビティCの傾斜内壁面S2を形成する方法が示されている。
図7に示すように、レーザ光は、平行光ではなく集束する光であるため、レーザ光のビームの前方に向かって集束する。
【0055】
本実施形態では、レーザ光の照射をその焦点(集光点)8が絶縁層34の表面に対して光軸方向にずれるようにデフォーカスした状態で行なう。レーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ(CO
2レーザ)が使用される。
【0056】
図7の断面イメージを参照すると、レーザ光の照射をデフォーカス状態で行なうと、レーザの1回のショットで形成される加工穴9の上端の直径9Aがジャストフォーカス時よりも大きくなり、加工穴9の下端の直径9Bはジャストフォーカス時とほぼ同じになる。ジャストフォーカスとは、レーザ光の焦点8を絶縁層34の表面に合わせた状態である。
【0057】
この特性を利用すると、レーザの1回のショットで形成される加工穴9の上端の直径9Aが下端の直径9Bよりも大きく形成される。よって、加工穴9の内壁面は外側から内側に向けて下方向に傾斜するテーパー形状で形成される。例えば、加工穴9の上端の直径9Aは、下端の直径9Bの2倍程度になる。
【0058】
図7の平面イメージのように、レーザ光の照射をデフォーカス状態とし、キャビティCの傾斜内壁面S2になる2つの線状領域に対応する絶縁層34に対してレーザ加工を順次行っていく。
【0059】
絶縁層34に対して加工穴9の一部が重なるようにレーザのショットを水平方向に順次ずらしてレーザ照射することにより、多数の加工穴9が連通してキャビティCの傾斜内壁面S2が得られる。
【0060】
傾斜内壁面S2以外の領域のキャビティCを形成するためのレーザ加工は、レーザ光の焦点8を絶縁層34の表面にジャストフォーカスにした状態で行われる。このため、傾斜内壁面S2以外のキャビティCの内壁面S1は、垂直面又は垂直面に近いテーパーの緩い傾斜面となって形成される。
【0061】
レーザ加工でキャビティCを形成することにより、キャビティCの内壁面S1にそれと同じ高さの半円柱状の突起部34aを容易に形成することができる。
【0062】
あるいは、ルータなどの機械加工とレーザ加工とを組み合せることにより、上記した構造のキャビティCを形成してもよい。
【0063】
図8には、配線部材1aの全体の様子が示されている。
図8に示すように、配線部材1aには複数の製品領域Rが区画されており、各製品領域Rに、突起部34aが設けられた内壁面S1と、傾斜内壁面S2とを備えたキャビティCがそれぞれ形成される。
【0064】
次いで、
図9に示すように、表面側に接続端子42を備えた第1半導体チップ40と、マウンタ装置6とを用意し、マウンタ装置6に第1半導体チップ40の表面側を吸着させる。第1半導体チップ40の背面には未硬化の接着剤(不図示)が塗布されている。
【0065】
第1半導体チップ40は、第1電子部品の一例であり、キャパシタ素子、抵抗素子、インダクタ素子などの各種の電子部品を使用することができる。
【0066】
上記した
図8の配線部材1aの各製品領域Rの周囲にはアライメントマーク(不図示)が形成されており、マウンタ装置6はそのアライメントマークを認識する画像認識手段を備えている。
【0067】
図9に示すように、第1半導体チップ40を吸着したマウンタ装置6が配線部材1aのアライメントマークを画像認識することに基づいて、第1半導体チップ40を配線部材1aのキャビティCに位置合わせする。
【0068】
そして、
図10に示すように、マウンタ装置6に吸着された第1半導体チップ40の背面を配線部材1aのキャビティCの底面に配置し、マウンタ装置6を第1半導体チップ40から取り外す。
【0069】
図10の例では、第1半導体チップ40の全体の厚みがキャビティCの深さより厚くなっており、第1半導体チップ40の表面が絶縁層34の表面より多少高い位置に配置される。
【0070】
マウンタ装置6は画像認識による位置合わせ機能を備えているが、各装置仕様により一定の位置ずれが発生する(例えば、±15μm)。
【0071】
本実施形態では、キャビティCが一方側に2つの傾斜内壁面S2を備えることで、キャビティCの開口寸法が大きくなっているため、第1半導体チップ40を搭載しやすくなる。
【0072】
図11(a)に示すように、マウンタ装置6で第1半導体チップ40をキャビティCに搭載する際には、キャビティCの中央部に第1半導体チップ40が配置されるように位置合わせする。
図11(b)には、位置ずれによって第1半導体チップ40の2辺がキャビティCの傾斜内壁面S2の上に配置された例が示されている。
【0073】
第1半導体チップ40をキャビティCに搭載する際には、第1半導体チップ40がキャビティCの突起部34aに接触しないように突起部34aと間隔を空けて配置される。
【0074】
さらに、後述するように、第1半導体チップ40をキャビティCに搭載した後に、キャビティCの他方側の2つの内壁面S1に形成された突起部34aに第1半導体チップ40を移動させて当接させる。
【0075】
これにより、第1半導体チップ40がキャビティC内の基準位置に位置決めされて配置される。このように、キャビティCの2つの内壁面S1に形成された突起部34aが第1半導体チップ40を位置決めするガイドピンとして機能する。
【0076】
図12には、配線部材1aの全体の様子が示されている。
図12に示すように、配線部材1aの各製品領域RのキャビティCにマウンタ装置6によって第1半導体チップ40が位置合わせされて配置される。
【0077】
実際には、配線部材1aの各製品領域RのキャビティCに配置される各第1半導体チップ40は、相互に違う方向(X、Y、θ方向)に位置ずれして配置される。
【0078】
次に、キャビティCに搭載した第1半導体チップ40を2つの内壁面S1に形成された突起部34aに当接させる方法について説明する。
図13に示すように、
図12の配線部材1aをキャビティCの突起部34aが形成された2つの内壁面S1がV字状に配置されるように回転させる。
【0079】
さらに、キャビティCの突起部34aが形成された2つの内壁面S1が下側になり、2つの傾斜内壁面S2が上側になるように、配線部材1aを傾ける。
【0080】
図14に示すように、
図13の配線部材1aは支持部材52に連結された傾斜ステージ50の上に固定され、傾斜ステージ50を傾けることにより、
図13のように、配線部材1aが傾けられる。
【0081】
これにより、
図13の部分拡大図を参照すると、重力によって第1半導体チップ40の隣り合う2辺が配線部材1aのキャビティCの2つの内壁面S1に形成された突起部34aに移動して当接する。
【0082】
これにより、
図13に示すように、複数の第1半導体チップ40が配線部材1aの各キャビティC内の同じ位置にそれぞれ位置決めされて配置される。その後に、第1半導体チップ40の背面に塗布された未硬化の接着剤を加熱処理することにより完全に硬化させる。
【0083】
第1半導体チップ40の背面とキャビティCの底面と間に接着剤が介在した状態で第1半導体チップ40を移動させて突起部34aに当接させるため、接着剤として、低粘度タイプの熱硬化型接着剤が使用される。
【0084】
あるいは、第1半導体チップ40の背面に接着剤を設けずに、キャビティCの底面に接着剤を塗布してもよい。
【0085】
以上のように、マウンタ装置6で第1半導体チップ40を配線部材1aのキャビティCに搭載する際に、一定の位置ずれが生じる。しかし、本実施形態では、配線部材1aを傾けることにより、重力によって第1半導体チップ40をキャビティCの内壁面S1の突起部34aに当接させて位置決めしている。
【0086】
このようにすることにより、マウンタ装置6で第1半導体チップ40をキャビティCに搭載する際の位置ずれがキャンセルされる。よって、第1半導体チップ40の設計仕様からの位置ずれ量は、絶縁層34をレーザ加工してキャビティCの突起部34aを形成する際の加工精度のみに依存する。
【0087】
このため、キャビティC内での第1半導体チップ40の接続端子42の位置ずれ量が小さくなり、設計仕様からの位置ずれをより小さく抑えることができる。
【0088】
また、配線部材1aの複数のキャビティCの間で、第1半導体チップ40の接続端子42がほぼ同じ位置に配置されるため、多面取りの大型基板を使用する際の製造歩留りを向上させることができる。
【0089】
また、配線部材1aのキャビティCは、突起部34aが形成された2つの内壁面S1と反対側に、2つの傾斜内壁面S2を備えている。このため、キャビティCの開口寸法が大きくなるため、第1半導体チップ40を搭載しやすくなる。
【0090】
また、キャビティCの傾斜内壁面S2の傾斜角度θが小さい場合は、第1半導体チップ40の外周がキャビティCの傾斜内壁面S2に留まって配置されることがある。この場合でも、配線部材1aを傾けることにより、第1半導体チップ40を傾斜内壁面S2から突起部34a側に滑らせて位置決めすることができる。
【0091】
このように、第1半導体チップ40の外周がキャビティCの傾斜内壁面S2に配置される場合でも、第1半導体チップ40の外周がキャビティCの傾斜内壁面S2から底面に移動して水平に配置される。
【0092】
次いで、
図15に示すように、第1半導体チップ40及び絶縁層34の上に絶縁層35を形成する。絶縁層35が第2絶縁層の一例である。絶縁層35は、未硬化の樹脂フィルを第1半導体チップ40及び絶縁層34の上に真空ラミネータにより加圧・加熱しながら積層することにより形成される。
【0093】
これにより、第1半導体チップ40と、キャビティCの内壁面S1及び傾斜内壁面S2との間に絶縁層35が充填され、絶縁層35は上面が平坦になって形成される。
【0094】
第1半導体チップ40はキャビティC内に位置精度よく配置されるため、第1半導体チッ40とキャビティCの内壁面S1との間隔が狭くなりすぎることがない。よって、第1半導体チップ40を埋め込む絶縁層35を形成する際にボイドが発生することが防止される。
【0095】
また、第1半導体チップ40とキャビティCの傾斜内壁面S2との間は間隔が広くなるため、絶縁層35をさらに信頼性よく充填することができる。
【0096】
未硬化の樹脂フィルムを積層して絶縁層35を形成する際に、キャビティCの傾斜内壁面S2側から突起部34a側に向けて樹脂フィルムを貼り付けることが好ましい。
【0097】
前述した
図13の部分拡大図を参照して説明すると、配線部材1aのキャビティCの傾斜内壁面S2側からキャビティCの突起部34aが形成された内壁面S1側(矢印方向)に向けて樹脂フィルムが貼り付けられる。
【0098】
これにより、樹脂フィルムを貼り付ける際に、第1半導体チップ40にキャビティCの突起部34a側に押される力がかかる。しかし、第1半導体チップ40は突起部34aに当接しているため、樹脂フィルムを貼り付ける際に第1半導体チップ40が移動して位置ずれするおそれがない。
【0099】
次いで、
図16に示すように、絶縁層35及び絶縁層34をレーザ加工することにより、配線層24に到達するビアホールVH4を形成する。また、絶縁層35をレーザ加工することにより、第1半導体チップ40の接続端子42に到達するビアホールVH5を形成する。
【0100】
第1半導体チップ40上のビアホールVH5が第1ビアホールの一例であり、配線層24上のビアホールVH4が第2ビアホールの一例である。
【0101】
さらに、コア基板10の下面側の絶縁層34に、配線層24に到達するビアホールVH4を形成する。
【0102】
続いて、
図17に示すように、上面側の絶縁層35の上に配線層25を形成する。配線層25はビアホールVH4内のビア導体を介して配線層24に接続される。また、配線層25はビアホールVH5内のビア導体を介して第1半導体チップ40の接続端子42に接続される。
【0103】
配線層25は、第1半導体チップ40の接続端子42の直上に配置される第1パッドP1と、下側の配線層24に接続される第2パッドP2とを備えて形成される。
【0104】
前述したように、第1半導体チップ40は、キャビティCの突起部34aに当接することにより、キャビティC内に位置精度よく配置されている。
【0105】
これにより、第1半導体チップ40の接続端子42に接続された第1パッドP1(ビアホールVH5)と、第1半導体チップ40の横領域に配置された配線層24に接続された第2パッドP2(ビアホールVH4)とが位置精度よく配置される。
【0106】
また、下面側の絶縁層34の上に、ビアホールVH4内のビア導体を介して配線層24に接続される配線層25を形成する。
【0107】
次いで、
図18に示すように、上面側の絶縁層35の上に、第1パッドP1及び第2パッドP2の上に開口部36aが設けられたソルダレジスト層36が形成される。
【0108】
また同様に、下面側の絶縁層34の上に、配線層25の接続部上に開口部37aが設けられたソルダレジスト層37が形成される。以上により、実施形態の電子部品内蔵基板1が製造される。
【0109】
次に、
図18の電子部品内蔵基板1を使用して電子部品装置を構築する方法について説明する。
【0110】
図19に示すように、下面側に接続端子62を備えた第2半導体チップ60を用意する。そして、第2半導体チップ60の接続端子62をはんだなどのバンプ電極63によって電子部品内蔵基板1の第1パッドP1及び第2パッドP2にフリップチップ接続する。第2半導体チップ60が第2電子部品の一例である。
【0111】
このとき、前述したように、電子部品内蔵基板1の第1パッドP1及び第2パッドP2は、第2半導体チップ60の接続端子62に対応するように位置精度よく配置されている。このため、第2半導体チップ60の接続端子62を第1パッドP1及び第2パッドP2に信頼性よく接続することができる。
【0112】
さらに、第2半導体チップ60と電子部品内蔵基板1との間にアンダーフィル樹脂64を充填する。
【0113】
その後に、
図20に示すように、
図19の構造体を前述した各製品領域Rが得られるように切断した後に、下面側の配線層25の接続部にはんだボールを搭載するなどして外部接続端子Tを形成する。以上により、実施形態の電子部品装置2が得られる。
【0114】
図20に示すように、電子部品装置2は、電子部品内蔵基板1に第2半導体チップ60が接続されて構築される。電子部品内蔵基板1は、前述した
図4で説明した配線部材1aを備えている。配線部材1aの絶縁層34に平面視で四角形のキャビティCが形成されている。絶縁層34が第1絶縁層の一例である。
【0115】
前述した
図6で説明したように、キャビティCは、隣り合う2つの内壁面S1と、それらの内壁面S2からそれぞれ内側に突出する突起部34aとを備えている。また、キャビティCは、2つの内壁面S1の反対側に、内側に向かって下方に傾斜する隣り合う2つの傾斜内壁面S2を備えている。
【0116】
そして、第1半導体チップ40(第1電子部品)がキャビティCに配置され、キャビティCの内壁面S1に形成された突起部34aに当接している。
【0117】
このようにして、第1半導体チップ40を搭載する際に生じる位置ずれがキャンセルされており、第1半導体チップ40が位置精度よくキャビティC内に配置されている。
【0118】
配線部材1aでは、第1半導体チップ40の横領域に多層配線層の一部の配線層24が形成されており、配線層24は絶縁層34で被覆されている。
【0119】
さらに、絶縁層34及び第1半導体チップ40の上に絶縁層35が形成されている。絶縁層35が第2絶縁層の一例である。
【0120】
また、絶縁層35に、第1半導体チップ40の接続端子42に到達するビアホールVH5が形成されている。ビアホールVH5が第1ビアホールの一例である。さらに、絶縁層35及び絶縁層34に、配線層24に到達するビアホールVH4が形成されている。ビアホールVH4が第2ビアホールの一例である。
【0121】
そして、絶縁層35の上に、ビアホールVH5内のビア導体を介して第1半導体チップ40の接続端子42に接続された第1パッドP1が形成されている。また、絶縁層35の上に、ビアホールVH4内のビア導体を介して配線層24に接続された第2パッドP2が形成されている。
【0122】
また、絶縁層35の上に、第1パッドP1及び第2パッドP2の上に開口部36aが設けられたソルダレジスト層36が形成されている。
【0123】
配線部材1aの下面側では、絶縁層34に配線層24の接続部に到達するビアホールVH4が形成されている。絶縁層34の下面にビアホールVH4内のビア導体を介して配線層24に接続された配線層25が形成されている。
【0124】
また、絶縁層34の下面に、配線層25の接続部上に開口部37aが設けられたソルダレジスト層37が形成されている。ソルダレジスト層37の開口部37a内の配線層25に外部接続端子Tが形成されている。以上のようにして、実施形態の電子部品内蔵基板1が構築されている。
【0125】
さらに、電子部品内蔵基板1の第1パッドP1及び第2パッドP2に第2半導体チップ60(第2電子部品)の接続端子62がバンプ電極63によってフリップチップ接続されている。また、第2半導体チップ60と電子部品内蔵基板1との間にアンダーフィル樹脂64が充填されている。これにより、実施形態の電子部品装置2が構築されている。
【0126】
前述したように、本実施形態の電子部品内蔵基板1では、キャビティCは、突起部34aが形成された隣り合う2つの内壁面S1と、その反対側に配置された隣り合う2つの傾斜内壁面S2とを備えている。
【0127】
キャビティCの傾斜内壁面S2は第1半導体チップ40を搭載しやすくするために形成されている。第1半導体チップ40はキャビティCの突起部34aに当接して位置決めされている。
【0128】
これにより、第1半導体チップ40の設計仕様からの位置ずれ量は、絶縁層34をレーザ加工してキャビティCの突起部34aを形成する際の加工精度のみに依存するため、小さく抑えられる。
【0129】
よって、第1半導体チップ40の接続端子42に接続される第1パッドP1(ビアホールVH5)の位置精度は、第1半導体チップ40の横領域に配置された配線層24に接続された第2パッドP2(ビアホールVH4)と同等になって相互に位置が整合される。
【0130】
これにより、第2半導体チップ60の接続端子62を電子部品内蔵基板1の第1パッドP1及び第2パッドP2に信頼性よく接続できるため、電子部品装置2の信頼性を向上させることができる。
【0131】
また、特に多面取りの大型基板を使用して電子部品内蔵基板1及び電子部品装置2を製造する際に、製造歩留りの向上に寄与し、低コスト化を図ることができる。