【解決手段】リードフレームは、枠体と、単位リードフレーム形成領域と、補強部とを備える。枠体は、外周部を囲むように設けられる。単位リードフレーム形成領域は、枠体内に設けられ、複数の単位リードフレームがマトリックス状に並べられて、複数の単位リードフレームが所定の方向に沿って連結される。補強部は、単位リードフレーム形成領域内で所定の方向と交わる方向に延びる。
所定の金型を経由して前記樹脂部を構成する樹脂が注入される注入部と、前記所定の金型を経由して前記樹脂の余剰部分が排出される排出部とが、いずれも前記単位リードフレーム形成領域内に設けられること
を特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の樹脂付きリードフレーム。
所定の金型を経由して樹脂が注入される注入部と、前記所定の金型を経由して前記樹脂の余剰部分が排出される排出部とが、いずれも前記単位リードフレーム形成領域内に設けられる請求項1〜5のいずれか一つに記載のリードフレームを、前記注入部が前記金型の注入ランナーに接続され、前記排出部が前記金型の排出ランナーに接続されるように前記金型に組み付ける工程と、
前記注入ランナーと前記注入部とを経由して前記金型内に樹脂を注入する工程と、を含むこと
を特徴とする樹脂付きリードフレームの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するリードフレーム、樹脂付きリードフレーム、樹脂付きリードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<リードフレームおよび樹脂付きリードフレームの概要>
最初に、
図1A〜
図4Cを参照しながら、実施形態に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の概要について説明する。
図1Aは、実施形態に係るリードフレーム1の模式図および拡大図である。
【0011】
リードフレーム1は、平面視で四角枠状の枠体10を有しており、かかる枠体10内に複数の単位リードフレーム12がマトリックス状に並べられた単位リードフレーム形成領域11が複数(実施形態では4つ)設けられる。そして、単位リードフレーム12の外周部には、隣接する単位リードフレーム12同士を接続する接続部13が設けられる。
【0012】
単位リードフレーム12は、接続部13と、複数のパッド14とを有する。パッド14は、半導体素子(たとえば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子23(
図6A参照))が搭載される第1パッド14aと、ボンディングワイヤ24(
図6A参照)が接合される第2パッド14bとを有する。
【0013】
そして、第1パッド14aは隣接する単位リードフレーム12の第1パッド14aと接続部13で接続され、第2パッド14bは隣接する単位リードフレーム12の第2パッド14bと接続部13で接続される。なお、
図1Aには示していないが、第1パッド14aは隣接する単位リードフレーム12の第2パッド14bと接続部13で接続されてもよい。
【0014】
実施形態に係るリードフレーム1は、銅や銅合金などで構成される金属基板にエッチング加工が施されて、枠体10や単位リードフレーム形成領域11、単位リードフレーム12などが形成される。かかるエッチング加工には、
図1Bおよび
図1Cに示すように、両面をエッチング加工して開口部を形成するフルエッチング加工と、おもて面側または裏面側をエッチング加工して厚さを薄くするハーフエッチング加工とがある。
【0015】
なお、本願明細書の拡大平面図では、理解を容易にするため、ハーフエッチング加工が施されている部位には何らかのハッチングを施すこととし、同じ厚さでハーフエッチング加工されている部位には同じハッチングを施すこととする。
【0016】
なお、実施形態にかかるリードフレーム1は、エッチング加工で形成される場合に限られず、たとえば、スタンピング加工(打抜き加工)で形成してもよい。
【0017】
ここで、実施形態では、
図1Aに示すように、マトリックス状に並べられた単位リードフレーム12が、接続部13により所定の方向Aに沿った一方向にのみ連結されている。換言すると、単位リードフレーム形成領域11内において、所定の方向Aと垂直な方向では、パッド14同士が互いに分断されている。したがって、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12は、強度が低くなっている。
【0018】
そこで、実施形態では、単位リードフレーム形成領域11内に補強部17が設けられている。かかる補強部17は、少なくとも所定の方向Aと交わる方向(
図1Aでは所定の方向Aと垂直な方向)に延びている。実施形態では、補強部17が単位リードフレーム形成領域11の中央部にかかるように延びている。これにより、補強部17が設けられない場合と比べて、連結される複数の単位リードフレーム12の長さを短く(実施形態では約1/2に)することができる。
【0019】
これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12の強度が低下することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0020】
また、実施形態では、
図1Aに示すように、補強部17が単位リードフレーム形成領域11の一端から他端に渡るように設けられるとよい。これにより、単位リードフレーム形成領域11の全域において、連結される複数の単位リードフレーム12の長さを短くすることができる。
【0021】
したがって、実施形態によれば、連結される複数の単位リードフレーム12のすべての長さを短くすることができることから、単位リードフレーム形成領域11の全域において、連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0022】
また、実施形態では、
図1Aに示すように、補強部17が、単位リードフレーム形成領域11において十字形状を有するとよい。これにより、単位リードフレーム形成領域11全体の強度を向上させることができる。
【0023】
図2Aは、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2の模式図および拡大図である。
図2Aに示す樹脂付きリードフレーム2は、たとえば、LED素子23(
図6A参照)が搭載された半導体装置3(
図6C参照)の製造に用いられるリードフレームである。
【0024】
なお、実施形態ではLED素子23が搭載された半導体装置3の製造に用いられる樹脂付きリードフレーム2について示すが、その他のタイプの半導体装置の製造に用いられる樹脂付きリードフレーム2に適用するようにしてもよい。
【0025】
樹脂付きリードフレーム2は、単位リードフレーム12内に形成される空隙に樹脂部15が設けられる点が、上述のリードフレーム1と異なる。すなわち、樹脂付きリードフレーム2は、上述のリードフレーム1と、樹脂部15とを備える。
【0026】
樹脂部15は、単位リードフレーム12内(たとえば、複数のパッド14の間)に形成される空隙に設けられ、たとえば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、セラミック樹脂などの熱硬化性樹脂で構成される。なお、樹脂部15は、たとえば、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂で構成してもよい。樹脂部15は、接続部13やパッド14と一体で成型される。
【0027】
ここで、実施形態にかかる樹脂付きリードフレーム2は、リードフレーム1と同様に、単位リードフレーム形成領域11内に補強部17が設けられている。これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0028】
なお、
図2A〜
図2Cに示すように、補強部17には、ハーフエッチング加工されていない厚肉部17aと、裏面側がハーフエッチング加工された薄肉部17bとが交互に設けられているとよい。具体的には、接続部13が接続される部位にパッド14の幅に合わせた厚肉部17aが設けられ、それ以外の部位に薄肉部17bが設けられる。なお、厚肉部17aの幅は必ずしもパッド14の幅に合わせる必要はなく、任意でもよい。
【0029】
かかる厚肉部17aにより、接続される接続部13をしっかりと保持することができることから、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することをさらに抑制することができる。
【0030】
また、薄肉部17bにより、樹脂部15を形成する際に、かかる樹脂部15を構成する樹脂15A(
図5B)参照)を薄肉部17bの下面側に形成される隙間に通流させることができる。したがって、樹脂部15を形成する際に、樹脂15Aを単位リードフレーム形成領域11全体に行き渡らせることができる。
【0031】
また、実施形態では、
図2Aおよび
図2Bに示すように、接続部13の裏面側がハーフエッチング加工されているとよい。これにより、樹脂15Aを接続部13の下面側に形成される隙間に通流させることができることから、樹脂部15を形成する際に、樹脂15Aを単位リードフレーム形成領域11全体に容易に行き渡らせることができる。
【0032】
また、接続部13の裏面側がハーフエッチング加工されていることにより、後述する半導体装置3を製造する工程において、ダイシングラインDL(
図6B参照)に沿って回転刃物でダイシングする際に、回転刃物の摩耗を低減することができる。
【0033】
なお、実施形態では、接続部13の裏面側がハーフエッチング加工された例について示したが、接続部13のおもて面側がハーフエッチング加工されていてもよく、接続部13がハーフエッチング加工されていなくてもよい。
【0034】
また、実施形態では、上述のリードフレーム1と同様に、補強部17が、単位リードフレーム形成領域11において十字形状を有するとよい。これにより、単位リードフレーム形成領域11全体の強度を向上させることができる。
【0035】
また、実施形態では、樹脂部15をシリコーン樹脂で構成するとよい。これにより、樹脂付きリードフレーム2を用いて製造され、高熱を発するLED素子23が搭載された半導体装置3の耐熱性を向上させることができる。
【0036】
なお、樹脂部15をシリコーン樹脂で構成した場合には、かかるシリコーン樹脂を成型した後に残る残留応力が大きいことから、樹脂付きリードフレーム2が反る恐れがある。
【0037】
しかしながら、実施形態では、補強部17が、単位リードフレーム形成領域11において十字形状を有することにより、単位リードフレーム形成領域11全体の強度が向上される。また、実施形態では、樹脂部15を所定の金型40(
図5A参照)で形成する際に、十字形状の補強部17を金型40で押さえることができる。
【0038】
さらに、実施形態では、樹脂成形の際に補強部17が金型40で押さえられることから、
図2B、
図2Cおよび
図3に示すように、単位リードフレーム12の上面側には所定の形状を有する樹脂部15が形成される一方で、補強部17の上面側には樹脂部15が形成されない。
【0039】
すなわち、樹脂部15には、補強部17の上面側に十字形状のスリット15aが形成される。そして、かかるスリット15aが形成されることにより、単位リードフレーム形成領域11において樹脂部15の応力が緩和される。
【0040】
したがって、実施形態によれば、樹脂部15をシリコーン樹脂で構成した場合でも、樹脂付きリードフレーム2の反りを低減することができる。
【0041】
なお、実施形態にかかるリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2では、補強部17を十字形状に形成した例について示したが、補強部17は必ずしも十字形状に限られない。たとえば、
図4Aに示すように、補強部17を所定の方向Aと交わる方向にのみ1本延ばしてもよい。
図4Aは、実施形態の変形例1に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の模式図である。
【0042】
これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12の長さを短くすることができることから、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0043】
また、
図4Bに示すように、補強部17を所定の方向Aと交わる方向にのみ2本並べて延ばしてもよい。
図4Bは、実施形態の変形例2に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の模式図である。
【0044】
これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12の長さをさらに短くすることができることから、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを効果的に抑制することができる。
【0045】
また、変形例2によれば、単位リードフレーム形成領域11のサイズが大きくなった場合でも、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12の長さを短くすることができる。したがって、より大きいサイズのリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2においても、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0046】
なお、変形例2では補強部17を2本並べて延ばした例について示したが、補強部17は3本以上並べて延ばしてもよい。たとえば、単位リードフレーム形成領域11のサイズが大きくなった場合に、並んで配置される補強部17の間隔が25mm程度になるように補強部17を複数並べればよい。
【0047】
さらに、
図4Cに示すように、補強部17を所定の方向Aと交わる方向に2本延ばすとともに、所定の方向Aに沿って補強部17を一本設けてもよい。
図4Cは、実施形態の変形例3に係るリードフレーム1および樹脂付きリードフレーム2の模式図である。
【0048】
これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12の長さをさらに短くすることができるとともに、単位リードフレーム形成領域11全体の強度を向上させることができる。
【0049】
したがって、変形例3によれば、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを効果的に抑制することができるとともに、単位リードフレーム形成領域11全体の強度を向上させることができる。
【0050】
また、実施形態では、
図1Aおよび
図2Aに示すように、樹脂部15を形成する際に、金型40を経由して樹脂15Aが注入される注入部18と、金型40を経由して樹脂15Aの余剰部分が排出される排出部19とが、いずれも単位リードフレーム形成領域11内に設けられるとよい。
【0051】
たとえば、
図1Aおよび
図2Aに示すように、単位リードフレーム形成領域11の一隅(図では左上の隅)に注入部18が設けられ、かかる注入部18から単位リードフレーム形成領域11の対角線方向に対向する一隅(図では右下の隅)に排出部19が設けられるとよい。かかる注入部18および排出部19の機能については後述する。
【0052】
<製造方法の詳細>
つづいて、
図5A〜
図6Cを参照しながら、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2および半導体装置3の製造方法の詳細について説明する。
図5A〜
図5Cは、各処理を断面視した図である。なお、
図5A〜
図5Cでは、左側に記載の図面が注入部18の近傍を示し、右側に記載の図面が排出部19の近傍を示している。
【0053】
最初に、
図5Aに示すように、所定の箇所にエッチング加工が施されたリードフレーム1が準備される。かかるリードフレーム1には、
図1Aに示したように、単位リードフレーム形成領域11内の所定の位置に補強部17が設けられるとともに、所定の二隅にそれぞれ注入部18と排出部19とが設けられる。また、
図5Aに示すように、注入部18および排出部19は空洞状である。
【0054】
また、単位リードフレーム12内に設けられる第1パッド14aや第2パッド14bの両面には、めっき膜21が形成される。かかるめっき膜21の材料は、Ag、Ni、Pd、Auのいずれか、又は組み合わせてもよい。
【0055】
そして、所定の形状に加工されたリードフレーム1を所定の金型40に組み付ける。金型40は上金型41と下金型42とを有し、かかる上金型41と下金型42とでリードフレーム1を上下から挟み込むように組み付けられる。なお、実施形態では、下金型42がパッド14の搭載面14cに向かい合うように組み付けられる。
【0056】
かかる上金型41と下金型42とを組み付ける際、上金型41とリードフレーム1および下金型42とリードフレーム1との間には、モールド充填性および離型性の向上を目的として、フィルム43が挿間される。
【0057】
また、上金型41には、所定の位置に注入ランナー41aと排出ランナー41bとが設けられる。そして、上金型41をリードフレーム1に組み付けた際に、注入ランナー41aが注入部18に接続され、排出ランナー41bが排出部19に接続される。
【0058】
また、注入ランナー41aと注入部18との接続部、および排出ランナー41bと排出部19との接続部に配置されるフィルム43には、それぞれ貫通孔43a、43bが形成される。
【0059】
さらに、下金型42には、注入部18に接続される凹部42aと、排出部19に接続される凹部42bと、単位リードフレーム12の搭載面14c側を囲むように設けられる凹部42cとが形成される。
【0060】
なお、実施形態では、注入ランナー41aがトップゲート方式の場合について示すが、注入ランナー41aはサイドゲート方式でもよい。
【0061】
次に、
図5Bに示すように、注入ランナー41a、貫通孔43aおよび注入部18を経由して、金型40内に樹脂部15を構成する樹脂15Aが注入される。そして、かかる金型40内に樹脂15Aが充填され、リードフレーム1の空隙に残っていた空気や、充填された樹脂15Aの余剰部分が排出部19、貫通孔43bおよび排出ランナー41bを経由して金型40から排出される。
【0062】
ここで、実施形態では、注入部18の下部に凹部42aを形成することにより、かかる凹部42aに樹脂15Aをいったん溜めてから金型40内に充填できることから、金型40内に樹脂15Aを円滑に充填することができる。また、排出部19の下部に凹部42bを形成することにより、かかる凹部42bに樹脂15Aがいったん溜まった後に金型40内から排出されることから、金型40内から樹脂15Aを円滑に排出することができる。
【0063】
そして、樹脂15Aが充填された金型40に所定の熱処理が行われ、樹脂15Aが硬化されて樹脂部15となる。
【0064】
次に、
図5Cに示すように、上金型41および下金型42が取り外されて、樹脂付きリードフレーム2が完成する。ここで、単位リードフレーム12におけるパッド14の搭載面14c側には、第1パッド14aおよび第2パッド14bを囲むように凸部15bが形成される。
【0065】
また、注入部18には、凹部42aが形成された箇所(すなわち、注入部18におけるパッド14の搭載面14c側)にバリ18aが形成され、排出部19には、凹部42bが形成された箇所(すなわち、排出部19におけるパッド14の搭載面14c側)にバリ19aが形成される。
【0066】
なお、上金型41を取り外した際に、上金型41に当接するフィルム43は上金型41とともに樹脂付きリードフレーム2から剥離される。また、下金型42を取り外した際には、下金型42に当接するフィルム43は樹脂付きリードフレーム2に残る。そこで、上金型41および下金型42を取り外した後に、樹脂付きリードフレーム2に残るフィルム43を別途剥離する。
【0067】
つづいて、作製された樹脂付きリードフレーム2を用いて半導体装置3を製造する工程について、
図6A〜
図6Cを参照しながら説明する。
図6A〜
図6Cは、各処理を断面視した図である。なお、
図6A〜
図6Cは、注入部18の近傍を示しており、パッド14の搭載面14cを上側にしている。
【0068】
まず、
図6Aに示すように、第1パッド14aの搭載面14c上にLED素子23が搭載される。そして、LED素子23の各電極と、第1パッド14aの搭載面14c側のめっき膜21、および第2パッド14bの搭載面14c側のめっき膜21との間を、それぞれボンディングワイヤ24により電気的に接続する。
【0069】
ここで、仮に注入部18または排出部19の少なくとも一方が単位リードフレーム形成領域11ではなく枠体10に設けられた場合、ボンディングワイヤ24を接合する前に枠体10を所定の押さえ治具(図示せず)で保持する際に、バリ18aまたはバリ19aがかかる押さえ治具と干渉する恐れがある。
【0070】
これにより、リードフレーム1を十分に保持することができないことから、ボンディングワイヤ24の接合強度が低下してしまう場合がある。したがって、半導体装置3(
図6C参照)の信頼性が低下する恐れがある。
【0071】
しかしながら、実施形態では、注入部18および排出部19を単位リードフレーム形成領域11に設けていることから、ボンディングワイヤ24を接合する際に、バリ18aまたはバリ19aを除去することなく枠体10を押さえ治具で十分に保持することができる。したがって、実施形態によれば、ボンディングワイヤ24の十分な接合強度が確保された半導体装置3を製造することができる。
【0072】
また、実施形態によれば、ボンディングワイヤ24を接合する際に、あらかじめバリ18a、19aを除去する工程を省くことができることから、半導体装置3を効率よく製造することができる。
【0073】
さらに、実施形態によれば、上述の押さえ治具で樹脂付きリードフレーム2を保持する際に、枠体10だけでなく、樹脂部15に形成されるスリット15aを介して補強部17も直接押さえることができる。これにより、樹脂付きリードフレーム2をさらに十分に保持することができることから、ボンディングワイヤ24のさらに十分な接合強度が確保された半導体装置3を製造することができる。
【0074】
次に、ここまで作製した構造体を所定の金型にセットして、透明な熱硬化性樹脂でモールド処理することにより、
図6Bに示すように、樹脂付きリードフレーム2の搭載面14c側に透明樹脂部25が形成される。かかる透明樹脂部25は、LED素子23およびボンディングワイヤ24を封止するとともに、LED素子23から出射される光を透過する。
【0075】
次に、隣接する単位リードフレーム12同士の間に仮想的に設けられるダイシングラインDLに沿って回転刃物でダイシングする。これにより、
図6Cに示すように、個別の半導体装置3毎に分割されて、半導体装置3が完成する。
【0076】
かかる半導体装置3では、凸部15bがLED素子23を取り囲むように形成されていることから、凸部15bでLED素子23から出射される光を上方に反射させることができる。したがって、実施形態によれば、発光効率の高い半導体装置3を実現することができる。
【0077】
つづいて、
図7を参照しながら、実施形態の変形例4に係るリードフレーム1について説明する。
図7は、実施形態の変形例4に係るリードフレーム1の拡大図である。なお、
図7では、実施形態と同じ部位には同じ符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0078】
また、図示してはいないが、変形例4に係るリードフレーム1を上述のように金型40に組み付け、樹脂部15を形成することにより、変形例4に係る樹脂付きリードフレーム2を製造することができる。
【0079】
変形例4のリードフレーム1は、おもて面側に枠体10に沿って凹部10aが形成される。かかる凹部10aは、たとえば、金属基板のおもて面側にハーフエッチング加工を施すことにより溝状に形成される。
【0080】
変形例4によれば、上述の樹脂付きリードフレーム2を製造する工程の際に、リードフレーム1のおもて面と下金型42との間に挿間されるフィルム43を凹部10aに押し込むことにより、枠体10の外側に樹脂15Aが漏れることを抑制することができる。
【0081】
変形例4において、凹部10aは、枠体10の全周に形成されているとよい。これにより、枠体10の外側に樹脂15Aが漏れることを効果的に抑制することができる。なお、凹部10aは、枠体10の全周に形成されている場合に限られず、枠体10の一部に形成されていてもよい。
【0082】
また、凹部10aが枠体10の一部に形成されている場合、凹部10aは溝状に限られず、リードフレーム1のおもて面から裏面まで貫通するように形成されていてもよい。
【0083】
また、変形例4では、
図7に示すように、複数の貫通孔10bが溝状の凹部10aに沿って並んで形成されているとよい。かかる貫通孔10bは、溝状の凹部10aと、隣接する単位リードフレーム12同士の間に仮想的に設けられるダイシングラインDLとが交差する箇所に形成される。
【0084】
これにより、上述の半導体装置3を製造する工程において、ダイシングラインDLに沿って回転刃物でダイシングする際に、かかる回転刃物の位置決めを貫通孔10bにより行うことができる。また、ダイシングラインDLに沿って回転刃物でダイシングする際に、回転刃物の摩耗を低減することができる。
【0085】
なお、上述の変形例4では、溝状の凹部10aがリードフレーム1のおもて面側に形成された例について示したが、溝状の凹部10aはリードフレーム1の裏面側に形成されていてもよい。
【0086】
<製造工程の処理手順>
つづいて、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2および半導体装置3の製造工程の際に実行する処理について、
図8および
図9を参照しながら説明する。
図8は、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2の製造工程で実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
最初に、所定の箇所にエッチング加工が施されて、枠体10や単位リードフレーム形成領域11などが形成されたリードフレーム1を準備する(ステップS101)。かかるリードフレーム1には、単位リードフレーム形成領域11内の所定の位置に補強部17が設けられるとともに、所定の二隅にそれぞれ注入部18と排出部19とが設けられる。
【0088】
次に、金型40(具体的には上金型41)の注入ランナー41aを注入部18に接続し、排出ランナー41bを排出部19に接続するように、リードフレーム1を金型40に組み付ける(ステップS102)。
【0089】
なお、ステップS102では、下金型42がパッド14の搭載面14cに向かい合うように組み付けられる。また、上金型41と下金型42とを組み付ける際、上金型41とリードフレーム1および下金型42とリードフレーム1との間には、モールド充填性および離型性の向上を目的として、フィルム43が挿間される。
【0090】
そして、上金型41の注入ランナー41aおよび注入部18を経由して、金型40内に樹脂15Aを注入する(ステップS103)。
【0091】
次に、金型40に対して所定の熱処理を施して、樹脂15Aを硬化する(ステップS104)。これにより、単位リードフレーム12内の空隙に樹脂部15が形成される。
【0092】
最後に、リードフレーム1から金型40を脱離させて(ステップS105)、実施形態にかかる樹脂付きリードフレーム2が得られる。なお、リードフレーム1から金型40を脱離させた際に形成されるバリ18a、19aを除去する必要はない。
【0093】
図9は、実施形態に係る半導体装置3の製造工程で実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0094】
最初に、樹脂付きリードフレーム2の単位リードフレーム12に設けられるパッド14(具体的には第1パッド14a)の搭載面14c上に、LED素子23を搭載する(ステップS201)。かかるLED素子23は、たとえば、はんだ材や銀ペースト、アクリル系ペースト、絶縁ペーストなどを用いてパッド14に固定される。
【0095】
次に、注入部18の近傍に形成されるバリ18aや排出部19の近傍に形成されるバリ19aを除去しないままで、樹脂付きリードフレーム2の枠体10を押さえ治具で保持する(ステップS202)。
【0096】
次に、かかる押さえ治具で保持された樹脂付きリードフレーム2に搭載されるLED素子23およびパッド14に、ボンディングワイヤ24を接合する(ステップS203)。かかるボンディングワイヤ24は、たとえば、ワイヤボンダなどを用いてLED素子23やパッド14に接合される。
【0097】
次に、ここまで作製した構造体を所定の金型にセットして、透明な熱硬化性樹脂でモールド処理することにより、リードフレーム1の搭載面14c側に透明樹脂部25を形成する(ステップS204)。
【0098】
最後に、隣接する単位リードフレーム12同士の間に仮想的に設けられるダイシングラインDLに沿って回転刃物でダイシングして(ステップS205)、実施形態にかかる半導体装置3が得られる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上述の実施形態では、樹脂付きリードフレーム2に用いられるリードフレーム1について示したが、実施形態にかかるリードフレーム1は樹脂付きリードフレーム2に用いられる場合に限られない。
【0100】
また、上述の実施形態において、リードフレーム1の金属基板やめっき膜21の表面を所定の粗化処理により粗化してもよい。これにより、リードフレーム1と樹脂部15との密着性や、めっき膜21と透明樹脂部25との密着性をさらに向上させることができる。
【0101】
以上のように、実施形態に係るリードフレーム1は、枠体10と、単位リードフレーム形成領域11と、補強部17とを備える。枠体10は、外周部を囲むように設けられる。単位リードフレーム形成領域11は、枠体10内に設けられ、複数の単位リードフレーム12がマトリックス状に並べられて、複数の単位リードフレーム12が所定の方向Aに沿って連結される。補強部17は、単位リードフレーム形成領域11内で所定の方向Aと交わる方向に延びる。これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0102】
また、実施形態に係るリードフレーム1において、補強部17は、単位リードフレーム形成領域11の一端から他端に渡るように設けられる。これにより、単位リードフレーム形成領域11の全域において、連結される複数の単位リードフレーム12が変形することを抑制することができる。
【0103】
また、実施形態に係るリードフレーム1において、補強部17は、単位リードフレーム形成領域11において十字形状を有する。これにより、単位リードフレーム形成領域11全体の強度を向上させることができる。
【0104】
また、実施形態に係るリードフレーム1において、補強部17は、ハーフエッチング加工されている部位(薄肉部17b)と、ハーフエッチング加工されていない部位(厚肉部17a)とが交互になって設けられる。これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することをさらに抑制することができるとともに、樹脂部15を形成する際に、かかる樹脂部15を構成する樹脂15Aを単位リードフレーム形成領域11全体に行き渡らせることができる。
【0105】
また、実施形態に係るリードフレーム1において、枠体10には、枠体10に沿った凹部10aが形成される。これにより、枠体10の外側に樹脂15Aが漏れることを抑制することができる。
【0106】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2は、上述のリードフレーム1と、単位リードフレーム12内に形成される空隙に設けられる樹脂部15と、を備える。これにより、所定の方向Aに沿って連結される複数の単位リードフレーム12が変形することが抑制された樹脂付きリードフレーム2を実現することができる。
【0107】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2において、樹脂部15には、補強部17の上面側にスリット15aが形成される。これにより、単位リードフレーム形成領域11において樹脂部15の応力が緩和される。
【0108】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2において、樹脂部15は、シリコーン樹脂で構成される。これにより、樹脂付きリードフレーム2を用いて製造され、高熱を発するLED素子23が搭載された半導体装置3において、耐熱性を向上させることができる。
【0109】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2において、所定の金型40を経由して樹脂部15を構成する樹脂15Aが注入される注入部18と、所定の金型40を経由して樹脂15Aの余剰部分が排出される排出部19とが、いずれも単位リードフレーム形成領域11内に設けられる。これにより、ボンディングワイヤ24の十分な接合強度が確保された半導体装置3を製造することができる。
【0110】
また、実施形態に係る樹脂付きリードフレーム2の製造方法は、所定の金型40を経由して樹脂15Aが注入される注入部18と、所定の金型40を経由して樹脂15Aの余剰部分が排出される排出部19とが、いずれも単位リードフレーム形成領域11内に設けられる上述のリードフレーム1を、注入部18が金型40の注入ランナー41aに接続され、排出部19が金型40の排出ランナー41bに接続されるように金型40に組み付ける工程(ステップS102)と、注入ランナー41aと注入部18とを経由して金型40内に樹脂15Aを注入する工程(ステップS103)と、を含む。これにより、ボンディングワイヤ24の十分な接合強度が確保された半導体装置3を製造可能な樹脂付きリードフレーム2を製造することができる。
【0111】
また、実施形態に係る半導体装置3の製造方法は、上述の樹脂付きリードフレーム2の単位リードフレーム12内に半導体素子(LED素子23)を搭載する工程(ステップS201)と、枠体10を押さえ治具で保持する工程(ステップS202)と、搭載された半導体素子(LED素子23)にボンディングワイヤ24を接合する工程(ステップS203)と、を含む。これにより、ボンディングワイヤ24の十分な接合強度が確保された半導体装置3を製造することができる。
【0112】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。