【課題】フィールドプレートを有する半導体装置および半導体装置の製造方法において、トレンチ底部の電界集中による耐圧の低下が抑制された半導体装置および半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層上に設けられた第1導電型と異なる導電型の第2導電型の第2半導体層と、第2半導体層の表面に形成された第1導電型の不純物領域と、不純物領域と第2半導体層と第1半導体層とに第1絶縁膜を介して接する第1電極と、第1電極と第2絶縁膜を介して接すると共に第1半導体層と第3絶縁膜を介して接し、かつ、第3絶縁膜を介して第1半導体層と接する上部と第3絶縁膜を介して第1半導体層と接する下部との境界にPN接合を有する第2電極と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法では、耐圧を向上させる構造として、フィールドプレートの端部にPN接合ダイオードを設け、逆バイアスによる電圧降下を発生させることで、トレンチ底部の電界集中を緩和させる構成を採用している。すなわち、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、フィールドプレートの底部にPN接合を有することでフィールドプレートの端部のみ電圧の降下を生じさせ耐圧低下が抑制可能となっている。また、N−型ドリフト層内の不純物プロファイルが均一となるため、再現性が高く安定した耐圧を確保することが可能となっている。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1および
図2を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10について説明する。本実施の形態では、基板の一例として、N型シリコン基板(
図2参照)を用いている。
図1に示すように、半導体装置10は、ドレイン電極212、N+型ドレイン層201、N−型ドリフト層202、P型ボディ層203、N+型ソース層204、コンタクト電極205、ゲート電極206、絶縁膜207、P型フィールドプレート208、N型フィールドプレート209、ソース電極211を備えて構成されている。ソース電極211は、コンタクト電極205を介してN+型ソース層204に接続され、ドレイン電極212は、N+型ドレイン層201に接続されている。すなわち、半導体装置10は、縦型フィールドプレート構造を有する縦型MOS FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)として構成されている。なお、Nに付す+は、+が付されていない層よりも高い不純物濃度であることを意味し、Nに付す−は、−が付されていない層よりも低い不純物濃度であることを意味している。
【0016】
N−型ドリフト層202は、オン状態において電流の流路となり、オフ状態において耐圧を主に担う領域である。すなわち、N−型ドリフト層202は逆電圧印加時に空乏層が伸張し耐電圧を保持する。P型ボディ層203はP型ウェルの機能を有している。絶縁膜207は、ゲート電極206をソース電極211、ドレイン電極212から分離する機能を有している。
【0017】
本実施の形態に係る埋め込み型のフィールドプレート214は、ゲート電極206とともに、N型シリコン基板に形成されたトレンチ213の内部に埋め込まれており、周囲は絶縁膜207で覆われている。フィールドプレート214は、P型の不純物が添加されたポリシリコンで形成されたP型フィールドプレート208、およびN型の不純物が添加されたポリシリコンで形成されたN型フィールドプレート209を備えている。そして、P型フィールドプレート208とN型フィールドプレート209とは接して形成されており、その結果、フィールドプレート214の下端部に近い側にPN接合ダイオードが形成されている。なお、P型フィールドプレート208は、N+型ソース層204の電位にと同電位とされている(N+型ソース層204に短絡されている)。
【0018】
次に、
図2を参照して、半導体装置10の製造方法について説明する。
【0019】
まず、N型シリコンを材料とする半導体基板12を準備し、N+型ドレイン層301、N−型ドリフト層302を形成をする。
【0020】
次に、トレンチのパターンに転写したマスクを用いてN−型ドリフト層302内にトレンチ311を形成する。該マスクの材料としては、例えば酸化シリコンを用いる。(
図3(a))。トレンチ311の幅は例えば1.0から1.5μmとし、トレンチ311の深さは例えば5から6μmとする。
【0021】
次に、半導体基板12の表面と、トレンチ311の側壁と底部に絶縁膜303を成膜する(
図3(b))。絶縁膜303としては、例えば熱絶縁膜やLP−TEOS(Low Pressure Tetraethyl Orthosilicats)膜を用いる。
【0022】
次に、トレンチ311の内部にN型のポリシリコンによるN型ポリシリコン層304を充填する。この際、トレンチ311がポリシリコンによって完全に埋め込まれるようにする(
図3(c))。
【0023】
次に、N型ポリシリコン層304をエッチバックして除去し、トレンチ311の底部にのみ残存させる(
図3(d))。
【0024】
次に、トレンチ311の内部にP型のポリシリコンによるP型ポリシリコン層305を充填する。この際、トレンチ311がポリシリコンによって完全に埋め込まれるようにする(
図3(e))。
【0025】
次に、P型ポリシリコン層305を半導体基板12の表面(主面)と同じ位置までエッチバックする(
図3(f))。N型ポリシリコン層304およびP型ポリシリコン層305によって本実施の形態に係るフィールドプレート313が形成される。
【0026】
次に、絶縁膜303の一部をエッチバックして除去し、ゲートトレンチ306を形成する。この際のエッチバックは、絶縁膜303を半導体基板12の表面(主面)から、例えば1.0〜1.2μmの深さまで行い、絶縁膜303の一部を残留させる(
図3(g))。
【0027】
次に、半導体基板12の表面(主面)とゲートトレンチ306の側壁と底部にゲート酸化膜307を成膜し、その後ゲートトレンチ306にポリシリコン308を充てんする(
図3(h))。
【0028】
次に、ポリシリコン308を半導体基板12の表面(主面)より低い位置までエッチバックし、ゲート電極312を形成する(
図3(i))。
【0029】
次に、トレンチ311のパターンに反転したマスクを用いて、半導体基板12の表面(主面)からP型の不純物(例えばボロン等)を注入し、さらに熱拡散を行って、P型ボディ層309を形成する(
図3(i))。
【0030】
次に、トレンチ311のパターンに反転したマスクを用いて、半導体基板12の表面(主面)から、N型の不純物(例えば砒素等)を注入し、さらに熱拡散を行って、N+型ソース層310を形成する(
図3(i)。
【0031】
以上の製造工程を経て、本実施の形態に係る半導体装置10が製造される。なお、
図3(i)におけるN−型ドリフト層302、P型ボディ層309、N+型ソース層310、ゲート電極312、絶縁膜303、P型ポリシリコン層305、N型ポリシリコン層304、フィールドプレート313の各々が、
図1に示すN−型ドリフト層202、P型ボディ層203、N+型ソース層204、ゲート電極206、絶縁膜207、P型フィールドプレート208、N型フィールドプレート209、フィールドプレート214に相当する。
【0032】
以上詳述したように、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法では、埋め込み型のフィールドプレート214に不純物が導入されたポリシリコンを用いている。また、P型フィールドプレート208の端部にN型フィールドプレート209を設けている。その結果、フィールドプレート214はPN接合ダイオードを構成している。この際、P型フィールドプレート208はN+型ソース層204の電位に短絡する。
【0033】
そして、
図1に示すフィールドプレート214のP型フィールドプレート208によるポリシリコン電極を接地し(グランド(GND)に接続し)、ドレイン電極212に正電圧を印加した場合、フィールドプレート214の端部に位置するN型フィールドプレート209によるポリシリコン電極は、GNDとドレイン電極212に印加した正電圧の間の電位をとる。このため、PN接合は逆バイアスとなり、フィールドプレート214の端部(N型フィールドプレート209)のみに電圧降下が発生する。すなわち、フィールドプレート214の端部(フィールドプレート214)の電位は、ソース電位とドレイン電位の間の電位となる。その結果、トレンチ213の底部にかかる電位が弱くなり、耐圧の低下を抑制することが可能となる。このことにより、従来技術に係る半導体装置の基本的なデバイス構造を変更することなく、フィールドプレートの構成を変更することで、耐圧を向上させることができるようになった。
【0034】
<第1の実施の形態の変形例>
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Aについて説明する。半導体装置10Aは、上記の半導体装置10において、ゲート電極206をゲート電極215に、P型フィールドプレート208およびN型フィールドプレート209の各々をP型フィールドプレート216およびN型フィールドプレート217に、フィールドプレート214をフィールドプレート214Aに置き換えた形態である。従って、半導体装置10と同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0035】
半導体装置10Aのゲート電極215、P型フィールドプレート216およびN型フィールドプレート217も絶縁膜207の内部に埋め込まれている点は半導体装置10と同様である。しかしながら、半導体装置10Aでは、
図3に示すように、ゲート電極215、P型フィールドプレート216およびN型フィールドプレート217が縦方向に配列されている点が、半導体装置10と異なる。P型フィールドプレート216およびN型フィールドプレート217によってフィールドプレート214Aが構成されている。ゲート電極215、P型フィールドプレート216およびN型フィールドプレート217(フィールドプレート214A)を
図3に示すように配置しても、上述した半導体装置10と同様の効果を奏することができる。なお、半導体装置10Aは、上述した半導体装置10の製造方法に準じて製造することができる。
【0036】
[第2の実施の形態]
図4および
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Bについて説明する。
半導体装置10Bは、上記の半導体装置10において、P型フィールドプレートおよびN型フィールドプレートを各々2つずつ配置した形態である。従って、半導体装置10と同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、半導体装置10Bは、P型フィールドプレート208−1、208−2およびN型フィールドプレート209−1、209−2を備え、P型フィールドプレート208−1、208−2およびN型フィールドプレート209−1、209−2によってフィールドプレート214Bが構成されている。
【0038】
上記半導体装置10は、フィールドプレートの端部を下げるためPN接合を1個設ける形態であったが、本実施の形態に係る半導体装置10Bでは2個のPN接合を設けている。すなわち、フィールドプレート214Bに用いられるポリシリコンを最端部(最下端部)から、N型、P型、N型、P型と繰り返す構造を設けている。このことによって、フィールドプレート214Bの端部(N型フィールドプレート209−1)の電位をより下げることができる。なお、本実施の形態では、P型フィールドプレート208およびN型フィールドプレート209を2つずつ配置する形態を例示して説明したが、これに限られず、3つずつ以上のP型フィールドプレート208およびN型フィールドプレート209を設ける形態としてもよい。すなわち、P型、N型の繰り返し構造の数は所望の耐圧に応じて、自由に設定できる。
【0039】
次に
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Bの製造方法について説明する。
【0040】
まず、N型シリコンを材料とする半導体基板12を準備し、N+型ドレイン層501、N−型ドリフト層502を形成をする。その後、
図2(a)〜(d)と同様にして、N型ポリシリコン層504を形成する(
図5(a)〜(d))。
【0041】
次に、トレンチ513の内部にP型ポリシリコン層505を充填する。この際、トレンチ513の内部がポリシリコンによって完全に埋め込まれるようにする(
図5(e))。
【0042】
次に、P型ポリシリコン層505をエッチバックして除去し、トレンチ513の底部のN型ポリシリコン層504の上部に残存させる(
図5(f))。
【0043】
次に、トレンチ513の内部にN型ポリシリコン層506を充填する。この際、トレンチ513の内部がポリシリコンによって完全に埋め込まれるようにする(
図5(g))。
【0044】
次に、N型ポリシリコン層506をエッチバックして除去し、トレンチ513の底部に残存させる(
図5(h))。
【0045】
次に、トレンチ513の内部にP型ポリシリコン層507を充填する。この際、トレンチ513の内部がポリシリコンによって完全に埋め込まれるようにする(
図5(i))。
【0046】
次に、P型ポリシリコン層507を半導体基板の表面(主面)と同じ位置までエッチバックする(
図5(j))。
【0047】
次に、
図2(g)、(h)、(i)と同様にして、ゲート酸化膜509、ポリシリコン510(ゲート電極515)、P型ボディ層511、N+ソース層512、フィールドプレート514を備えた半導体装置10Bを形成する(
図5(k)、(l)、(m))。
図5(k)の符号508はゲートトレンチを示している。ここで、PN接合を3つ以上とする場合には、
図5(e)〜
図5(h)に示す工程をさらに繰り返せばよい。なお、
図5(m)におけるN−型ドリフト層502、P型ボディ層511、N+型ソース層512、ゲート電極515、絶縁膜503、フィールドプレート514の各々が、
図4に示すN−型ドリフト層202、P型ボディ層203、N+型ソース層204、ゲート電極206、絶縁膜207、フィールドプレート214に相当する。
【0048】
半導体装置10Bによれば、
図4に示すフィールドプレート214Bの端部とドレイン電位の電位差がより小さくなり、耐圧の低下をより効果的に抑制することができる。すなわち、従来技術に係る半導体装置の基本的なデバイス構造を変更することなく、フィールドプレートの構成を変更することで、耐圧を向上させることができるようになった。N型、P型の繰り返し構造の数を増やすほど、フィールドプレート214Bの端部(主として、N型フィールドプレート209−1の部分)の電位は低くなり、トレンチ213の底部における電界緩和効果が高くなる。一方、フィールドプレート214Bの端部の電位が低くなりすぎるとトレンチ213の底部付近の空乏層の形成が阻害される場合もあるため、フィールドプレートとしての機能が十分に果たせなくなることも想定される。従って、N型、P型の繰り返し構造の数は限定されるものではなく、このような側面も加味した上で所望の仕様(耐圧等)に応じて、自由に選択してよい。
【0049】
[第3の実施の形態]
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Cおよび半導体装置10Cの製造方法について説明する。本実施の形態は、PNダイオードの形成にイオン注入(イオンインプランテーション)を用いた形態である。
【0050】
N+型ドレイン層601、N−型ドリフト層602、トレンチ608の形成、絶縁膜603の形成、およびポリシリコン604の充填までの工程は、
図5(a)〜(c)と同様である(
図6(a))。
【0051】
次に、ポリシリコン604を半導体基板12の表面(主面)と同じ位置までエッチバックする(
図6(b))。
【0052】
次に、フィールドプレート形成部以外の部分をフォトレジスト605で保護する(
図6(c))。
【0053】
フォトレジスト605を介してP型不純物、N型不純物をエネルギー量を変えて注入し、フィールドプレートの端部となる位置に複数のPNダイオードを作り込む(
図6(d))。
図6(d)の例では2つのPNダイオードを形成する場合を例示しており、P型フィールドプレート607−1、607−2、N型フィールドプレート606−1、606−2が形成されている。そして、P型フィールドプレート607−1、607−2、N型フィールドプレート606−1、606−2によって本実施の形態に係るフィールドプレート609が構成されている。フォトレジスト605を除去した後の製造工程は、
図5(k)〜(m)と同様である。
【0054】
図5に示す半導体装置10Bの製造方法では、フィールドプレート内にN型およびP型のフィールドプレート電極を積層するに際し、複数回のエッチバック処理が必要であった。これに対し、本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、イオン種およびエネルギー量の異なる注入処理を行うことで、N型およびP型のフィールドプレート電極を作り込むので、エッチバック処理は1回ですむという効果がある。
【0055】
[第4の実施の形態]
図7を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Dおよび半導体装置10Dの製造方法について説明する。本実施の形態は、P型フィールドプレートとN型フィールドプレートとの間に積層酸化膜を形成した形態である。
【0056】
N+型ドレイン層701、N−型ドリフト層702、トレンチ708の形成、絶縁膜703の形成、およびN型ポリシリコン層704の充填までの工程は、
図5(a)〜(c)と同様である(
図7(a))。
【0057】
次に、トレンチ708の内部に埋め込まれたN型ポリシリコン層704をエッチバックして、トレンチ708の底部にN型ポリシリコン層704を残存させる。この際残存したN型ポリシリコン層704が、N型フィールドプレート706−1となる。その後、積層酸化膜の膜厚を考慮し、絶縁膜703をエッチバックする(
図7(b))。
【0058】
次に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により、酸化膜を積層して積層酸化膜705−1を形成する(
図7(c))。
【0059】
次に、P型ポリシリコン層を成膜し、さらにP型ポリシリコン層のエッチバックを行いP型フィールドプレート707−1を形成する。続けて、絶縁膜703のエッチバックを行って積層酸化膜705−2を形成し、N型ポリシリコン層の成膜、N型ポリシリコン層のエッチバックを行ってN型フィールドプレート706−2を形成し、絶縁膜703エッチバックを行って積層酸化膜705−3を形成し、P型ポリシリコン層を充填してP型フィールドプレート707−2を形成する(
図7(d))。以降の製造工程は、
図5(j)〜(m)に準ずる。
【0060】
本実施の形態に係る半導体装置10Dおよび半導体装置10Dの製造方法によれば、N型フィールドプレートとP型フィールドプレートとの間に酸化膜が形成されているので、N型フィールドプレート、P型フィールドプレートを浮遊電極とすることができる。
【0061】
[第5の実施の形態]
図8を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Eおよび半導体装置10Eの製造方法について説明する。半導体装置10Eおよび半導体装置10Eの製造方法は、上記半導体装置10Bおよび半導体装置10Bの製造方法の変形例である。
【0062】
まず、N型シリコンを材料とする半導体基板12を準備し、N+型ドレイン層801、N−型ドリフト層802を形成する。
【0063】
次に、N−型ドリフト層802の上面全面に酸素を注入し、N−型ドリフト層802の表面に酸素を不純物とする酸素不純物層803を形成する(
図8(a))。
【0064】
次に、酸素不純物層803を形成したN−型ドリフト層802の上にN型エピタキシャル層810−1、P型エピタキシャル層811−1、N型エピタキシャル層810−2、P型エピタキシャル層811−2を順番に形成する(
図8(b))。
【0065】
次に、フィールドプレート形成部以外のエピタキシャル層をドライエッチングにより除去し、柱状のPN接合ダイオードを形成する。この際、酸化膜806をハードマスクとして使用し、ドライエッチング後は酸化膜806を残した状態で次工程へ進める(
図8(c))。本工程により形成された柱状のPN接合ダイオードにより、N型フィールドプレート804−1、804−2、P型フィールドプレート805−1、805−2が形成され、N型フィールドプレート804−1、804−2、P型フィールドプレート805−1、805−2が本実施の形態に係るフィールドプレート812を構成する。
【0066】
次に、N型フィールドプレート804−1、804−2、P型フィールドプレート805−1、805−2を覆って、例えば熱酸化により酸化膜807を形成する。この際、N型フィールドプレート804−1とN−型ドリフト層802との間には酸素の不純物層が存在するため、フィールドプレート812の底部にも酸化膜が形成される(
図8(d))。
【0067】
次に、酸化膜807をエッチバックし、N−型ドリフト層802上の酸化膜を除去し、N−型ドリフト層802を露出させる(
図8(e))。この際、フィールドプレート812(柱状PN接合ダイオード)の上部はドライエッチング時のハードマスク(酸化膜806)の厚さの分だけ酸化膜が厚くなっているためエッチバックした後も酸化膜が残留し、フィールドプレート812(柱状PN接合ダイオード)の外周は全て酸化膜807で覆われた状態となる。
【0068】
次に、N型エピタキシャル層808を形成する。エピタキシャル成長の初期の段階ではN−型ドリフト層802から縦方向にエピタキシャル成長が進む。エピタキシャル層がフィールドプレート812(柱状PN接合ダイオード)の上部まで達すると、横方向にもエピタキシャル成長が進み、フィールドプレート812(柱状PN接合ダイオード)はN型エピタキシャル層808で覆われ、フィールドプレート812は埋め込みフィールドプレートとなる(
図8(f))。
【0069】
次に、N型エピタキシャル層808を、フィールドプレート812の上部の酸化膜が露出するまでエッチバックする。その後、酸化膜807をエッチバックする(
図8(g))。
図8(g)における符号809はゲートトレンチを示している。以降の製造工程は、
図5(l)、(m)に準ずる。なお、N型エピタキシャル層808はN−型ドリフト層802と連続し、N−型ドリフト層802の一部となる。
【0070】
本実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、酸化膜807で埋め込まれたフィールドプレート812内のPN接合ダイオードの特性を容易にコントロールすることが可能となるという効果がある。すなわち、酸化膜807で埋め込まれたフィールドプレート812を構成するダイオードをエピタキシャル成長によって形成しているため、エピタキシャル層の厚さおよびエピタキシャル層の濃度の調整により所望の特性のダイオードを形成することができるという効果がある。
【0071】
[第6の実施の形態]
図9を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10Fおよび半導体装置10Fの製造方法について説明する。
【0072】
図4および
図5に示す第2の実施の形態では、トレンチ513の内部に絶縁膜503を形成した後、ポリシリコン層を形成、エッチバックを繰り返し、所望のPN積層構造を形成していた。しかしながら、本製造方法によると、エッチバックによってポリシリコンの膜厚を制御しなければならないこと、PN積層数が多くなると工程数が多くなることが想定される。
【0073】
これに対し、本実施の形態では、トレンチの内部に絶縁膜を形成した後、所望のPN積層数に応じてポリシリコン層を積層する。このことにより、ポリシリコンの厚さの制御がしやすくなる。その後、所望のパターンでPN積層構造を形成した後、トレンチの脇にある絶縁膜をエッチバックし、ゲート電極となる部分を形成する。このことにより、PN積層構造を形成するエッチバック工程を減らすことができるので、工程数が削減できるという効果ある。
【0074】
まず、N型シリコンを材料とする半導体基板12を準備し、N+型ドレイン層901、N−型ドリフト層902を形成する。その後、N−型ドリフト層902の内部に、例えば1μmの幅のトレンチ903を形成する(
図9(a))。
【0075】
次に、絶縁膜904を成膜する(
図9(b))。絶縁膜904は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)を用い、膜厚を一例として2000Å程度とする。
【0076】
次に、P型、N型の不純物がドーピングされているポリシリコン層を積層しトレンチ903を埋め込む(
図9(c))。本実施の形態では、一例として、膜厚約2000ÅのN型のポリシリコンを成膜し、その後、膜厚約2000ÅのP型ポリシリコンを成膜する。その結果、N型フィールドプレート905、P型フィールドプレート906が形成される。
【0077】
次に、所望のPN積層構造を得るために、パターンニングを行う(
図9(d))。
図9(e)は、本工程の平面図を示している。本工程では、PN積層構造へのコンタクトをとるための構成、すなわちPN積層フィールドプレート電極コンタクト908、PN積層フィールドプレート電極907も形成する。
【0078】
次に、絶縁膜904をエッチバックする(
図9(f))。
【0079】
次に、ゲート酸化膜909を成膜する(
図9(g))。ゲート酸化膜909の膜厚は、例えば1000Åとする。
【0080】
次に、ポリシリコンを成膜し、エッチバックしてゲート電極910を形成する(
図9(h))。ゲート電極910を形成するためのポリシリコンの膜厚は、例えば2000Åとする。
【0081】
本実施の形態では、トレンチ903の内部に、1対のP型、N型のポリシリコンが埋め込まれているが、用途により、さらに積層することも可能である。その場合でも、PN積層構造を形成するエッチングは、1回ですむという効果がある。
【符号の説明】
【0082】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、100 半導体装置
12 半導体基板
101、201、301、501、601、701、801、901 N+型ドレイン層102、202、302、502、602、702、802、902 N−型ドリフト層103、203、309、511 P型ボディ層
104、204、310、512 N+型ソース層
105、205 コンタクト電極
106、206、215、312、515、910 ゲート電極
107、207、303、503、603、703、904 絶縁膜
108 フィールドプレート電極
208、208−1、208−2、216、607−1、607−2、707−1、707−2、805−1、805−2、906 P型フィールドプレート
209、209−1、209−2、217、606−1、606−2、706−1、706−2、804−1、804−2、905 N型フィールドプレート
211 ソース電極
214、214A、214B、313、514、609、812 フィールドプレート
109、212 ドレイン電極
304、504、506、704 N型ポリシリコン層
305、505、507 P型ポリシリコン層
306、508、809 ゲートトレンチ
308、510、604 ポリシリコン
110、213、311、513、608、708、903 トレンチ
307、509、909 ゲート酸化膜
605 フォトレジスト
705−1、705−2、705−3 積層酸化膜
803 酸素不純物層
806、807 酸化膜
808、810−1、810−2 N型エピタキシャル層
811−1、811−2 P型エピタキシャル層
907 PN積層フィールドプレート電極
908 PN積層フィールドプレート電極コンタクト