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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-146753(P2019-146753A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20190809BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20190809BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20190809BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
   A61F13/15 141
   A61F13/15 145
   A61F13/53 300
   A61F13/53 100
   A61F13/537 220
   A61F13/534 100
   A61F13/534 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-33235(P2018-33235)
(22)【出願日】2018年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】中下 将志
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA04
3B200BB17
3B200BB22
3B200CA08
3B200CA11
3B200DB02
3B200DB05
3B200DB14
3B200DB16
3B200DB23
(57)【要約】
【課題】本発明は、繰り返し供給される体液に対してもpH調整剤の消臭機能を持続的に発揮することができるとともに、pH調整剤の構造や配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることのできる吸収性物品を提供するものである。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、体液と接触する位置にpH調整剤(7)を含む吸収性物品であって、前記pH調整剤(7)は、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部(71)と、該芯部(71)を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部(72)と、を有し、前記被覆部(72)は、前記pH調整剤(7)の外部と前記芯部(71)の表面とを通液可能に連通する連通部(722)を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液と接触する位置にpH調整剤を含む吸収性物品であって、
前記pH調整剤は、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部と、該芯部を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部と、を有し、
前記被覆部は、前記pH調整剤の外部と前記芯部の表面とを通液可能に連通する連通部を有する、
前記吸収性物品。
【請求項2】
前記芯部は、前記体液に溶解して3〜5の範囲内のpHを呈する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品は、高吸水性ポリマーを含む吸収体を有しており、
前記pH調整剤は、前記体液と接触してから少なくとも30秒経過後に、前記芯部の一部が前記体液に溶出する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記pH調整剤は、前記体液と接触してから60秒経過するまでの前記体液のpH変化量が0.5以下となる酸性徐放機能を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記被覆部は、前記芯部の表面上において複数の油脂粒子が積み重なることによって形成されており、
前記連通部は、前記複数の油脂粒子の粒子間の間隙によって形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された吸収体と、を有しており、
前記pH調整剤は、前記表面シート、前記表面シートと前記吸収体との間、及び前記吸収体のうちの少なくとも1つに配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品は、前記表面シートと前記吸収体との間に拡散性シートを更に有しており、
前記pH調整剤は、少なくとも前記拡散性シートに配置されている、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含む吸収コアと、該吸収コアを被覆するコアラップシートと、を有しており、
前記pH調整剤は、少なくとも前記吸収コアと前記コアラップシートとの間に配置されている、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿取りパッドや使い捨ておむつ等の吸収性物品に関し、特に、着用者の体液に起因する悪臭を低減し得る吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿取りパッドや使い捨ておむつ等の吸収性物品は、通常、着用者の肌に接触しながら長時間にわたって使用されるものであるため、着用者に違和感や不快感などを生じさせないように、日夜様々な改良が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、着用者の皮膚のかぶれを減少又は防止する吸収性物品として、(A)液体不透過性裏張りシート、(B)比較的疎水性の液体透過性トップシート、(C)前記裏張りシートと前記トップシートとの間に位置決めされた可撓性吸収芯(前記可撓性吸収芯は親水性繊維材料およびその酸性官能基の少なくとも50%が塩生成陽イオンで中和されている実質上水不溶性の高度に中和されたヒドロゲル物質の粒子からなる)、および(D)糞尿の存在下に皮膚pHを約3.0〜5.5の範囲内に維持するのに好適な1又はそれ以上のpH調整剤を具備し、前記の実質上水不溶性の高度に中和されたヒドロゲル粒子と前記pH調整剤とは前記吸収性物品内の別個のばらばらの帯域中に不均一に分布された、使い捨て吸収物品が開示されており、さらに、上記のpH調整剤としてクエン酸、アジピン酸等の有機酸が例示されている。ここで例示されているクエン酸等のpH調整剤は、尿などの体液から生じるアンモニア成分を中和するため、皮膚のかぶれのみならず、悪臭の発生を抑制することも期待される。
しかしながら、クエン酸等のpH調整剤は、水溶性であり、着用者から排出される尿などの体液に溶解して拡散し易いため、当該pH調整剤を所定位置に保持させておくことができず、体液が繰り返し供給される場合には、その機能を十分に発揮することができない虞があった。
【0004】
そして、このような問題に対処した吸収性物品として、特許文献2には、吸収体と、該吸収体の肌面側に配置されたフマル酸担持シートとを備え、前記フマル酸担持シートが、平均粒子径が30μm以下のフマル酸粒子を担持したシートおよび/または少なくとも一部の構成繊維がフマル酸で被覆されたシートである吸収性物品が開示されている。
この特許文献2に開示された吸収性物品は、水難溶性であるフマル酸が体液等に接触しても直ちに溶解せず、徐々に体液等に溶解するため、吸収性物品の体液等と接触し得る部分にフマル酸担持シートを配置することで、長期間にわたりかぶれや悪臭の発生を抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−28402号公報
【特許文献2】特開2014−204799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の吸収性物品のように、pH調整剤としてフマル酸等の水難溶性成分を用いる場合は、その機能を十分に発揮させるために所定サイズ以下の形態(例えば、30μm以下の平均粒子径等)で用いるなどの構造上の制約があり、さらに、それに付随して、pH調整剤の配置位置にも制約が生じるため、その配置位置によってはpH調整剤の機能(少なくとも消臭機能)を効率よく、十分に発揮させることができない虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、繰り返し供給される体液に対してもpH調整剤の消臭機能を持続的に発揮することができるとともに、pH調整剤の構造や配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることのできる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様(態様1)は、体液と接触する位置にpH調整剤を含む吸収性物品であって、前記pH調整剤は、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部と、該芯部を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部と、を有し、前記被覆部は、前記pH調整剤の外部と前記芯部の表面とを通液可能に連通する連通部を有する、前記吸収性物品である。
【0009】
本態様の吸収性物品は、体液と接触する位置に配置されるpH調整剤が、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部と、該芯部を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部と、を有し、さらに、被覆部がpH調整剤の外部と芯部の表面とを通液可能に連通する連通部を有しているため、着用者から排出された尿などの体液がpH調整剤に接触したときに、体液が被覆部の連通部を通って芯部に到達して当該芯部を部分的に溶解し、当該芯部の酸性成分をpH調整剤から徐々に溶出させることができる。これにより、本態様の吸収性物品は、着用者から尿などの体液が供給されるたびに、pH調整剤が酸性成分を徐々に放出するため、かかる酸性成分による消臭機能を長期間にわたって持続的に発揮させることができる。
また、本態様の吸収性物品は、芯部を被覆する被覆部によってpH調整剤の酸性成分の放出を制御しているため、粒子径等の構造上の制約やそれによる配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることができる。
【0010】
また、本発明の別の態様(態様2)では、上記態様1の吸収性物品において、前記芯部は、前記体液に溶解して3〜5の範囲内のpHを呈する。
【0011】
本態様の吸収性物品は、芯部が体液に溶解して3〜5の範囲内のpHを呈するものであるため、所定の消臭機能を発揮させつつ、pH調整剤に接触した後の体液が着用者の肌に接触した場合(すなわち、芯部から溶出した弱酸性の酸性成分が着用者の肌に接触した場合)には、肌のpHを弱酸性にしてかぶれ等の皮膚炎を生じ難くすることもできる。
【0012】
本発明の更に別の態様(態様3)では、上記態様1又は2の吸収性物品において、前記吸収性物品は、高吸水性ポリマーを含む吸収体を有しており、前記pH調整剤は、前記体液と接触してから少なくとも30秒経過後に、前記芯部の一部が前記体液に溶出する。
【0013】
本態様の吸収性物品は、高吸水性ポリマー(SAP)が体液を吸収して一定以上膨潤する(完全膨潤の7割〜8割程度膨潤する)のに要する時間(通常、30秒程度)を経過してから、pH調整剤の芯部の一部が酸性成分として体液に溶出するため、当該酸性成分がSAPの吸収及び膨潤(保持)を阻害しないようにしつつ、所定の消臭機能を十分に発揮させることができる。
【0014】
本発明の更に別の態様(態様4)では、上記態様1〜3のいずれかの吸収性物品において、前記pH調整剤は、前記体液と接触してから60秒経過するまでの前記体液のpH変化量が0.5以下となる酸性徐放機能を有する。
【0015】
本態様の吸収性物品は、pH調整剤が所定の酸性徐放機能を有しており、体液に接触してから徐々に酸性成分が放出されるため、当該酸性成分による消臭機能をより持続的に発揮させることができる。
【0016】
本発明の更に別の態様(態様5)では、上記態様1〜4いずれかの吸収性物品において、前記被覆部は、前記芯部の表面上において複数の油脂粒子が積み重なることによって形成されており、前記連通部は、前記複数の油脂粒子の粒子間の間隙によって形成されている。
【0017】
本態様の吸収性物品は、pH調整剤の被覆部が、芯部の表面上において複数の油脂粒子が積み重なることによって形成され、さらに、連通部が、複数の油脂粒子の粒子間の間隙によって形成されているため、芯部の表面を外部に露出させないように被覆しつつ、通液可能な連通部を確保することができ、上述のpH調整剤における酸性成分の徐放性をより確実に実現することができる。
【0018】
本発明の更に別の態様(態様6)では、上記態様1〜5のいずれかの吸収性物品において、前記吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された吸収体と、を有しており、前記pH調整剤は、前記表面シート、前記表面シートと前記吸収体との間、及び前記吸収体のうちの少なくとも1つに配置されている。
【0019】
本態様の吸収性物品は、pH調整剤が表面シート、表面シートと吸収体との間、及び吸収体のうちの少なくとも1つ、すなわち体液と接触する可能性の高い位置に配置されているため、かかるpH調整剤を効率よく体液と接触させることができ、消臭機能をより的確に発揮させることができる。特に、pH調整剤が吸収体の肌対向面側に配置されている場合(すなわち、pH調整剤が表面シート、及び表面シートと吸収体との間のうちの少なくとも一方に配置されている場合)は、pH調整剤をより一層効率よく体液と接触させることができる。
【0020】
本発明の更に別の態様(態様7)では、上記態様6の吸収性物品において、前記吸収性物品は、前記表面シートと前記吸収体との間に拡散性シートを更に有しており、前記pH調整剤は、少なくとも前記拡散性シートに配置されている。
【0021】
本態様の吸収性物品は、表面シートと吸収体との間に拡散性シートを更に有しており、pH調整剤が少なくとも拡散性シートに配置されているため、体液を拡散性シートによって面方向に拡散させながらpH調整剤に接触させることができ、かかるpH調整剤による消臭機能をより効率よく発揮させることができる。
また、本態様の吸収性物品は、着用者の肌とpH調整剤との間に表面シートが介在し、pH調整剤が着用者の肌に直に接触し難くなっているため、着用者にpH調整剤が肌に付着することによる違和感や不快感などを生じさせ難くすることができるという利点もある。
【0022】
本発明の更に別の態様(態様8)では、上記態様6又は7の吸収性物品において、前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含む吸収コアと、該吸収コアを被覆するコアラップシートと、を有しており、前記pH調整剤は、少なくとも前記吸収コアと前記コアラップシートとの間に配置されている。
【0023】
本態様の吸収性物品は、pH調整剤が少なくとも吸収コアとコアラップシートとの間に配置されているため、pH調整剤の脱落を抑制しつつ、効率よく消臭機能を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、繰り返し供給される体液に対してもpH調整剤の消臭機能を持続的に発揮することができるとともに、pH調整剤の構造や配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることのできる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1を、展開した状態で表面シート2側から厚さ方向Tに見た平面図である。
図2図2は、図1における尿取りパッド1のII−II線に沿った断面の端面図である。
図3図3は、図1における尿取りパッド1のIII−III線に沿った断面の端面図である。
図4図4は、尿取りパッド1に用いられる第2吸収層42の平面図である。
図5図5は、尿取りパッド1に用いられるpH調整剤7の断面模式図である。
図6図6は、図5におけるpH調整剤7の囲み線IXで囲まれた要部の拡大断面模式図である。
図7図7は、pH調整剤の被覆部の形態が異なる本発明の別の実施形態におけるpH調整剤の、図6に対応する要部の拡大断面模式図である。
図8図8(a)〜(c)は、それぞれpH調整剤の配置形態が異なる本発明の更に別の実施形態における第2吸収層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、尿取りパッド(吸収性物品)、吸収体等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。特に、対象物が吸収性物品の場合は、「吸収性物品を着用者の肌面側(すなわち、表面シート側)から厚さ方向に見ること」を単に「平面視」という。
【0027】
本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、吸収性物品、吸収体等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、「縦長の対象物の幅方向の中央部に位置し且つ長手方向に延びる軸線」を「長手方向の中央軸線」又は「長手方向に延びる中央軸線」といい、「縦長の対象物の長手方向の中央部に位置し且つ幅方向に延びる軸線」を「幅方向の中央軸線」又は「幅方向に延びる中央軸線」という。これに関連して、「縦長の対象物の長手方向において、幅方向の中央軸線に対して相対的に近位側」を「長手方向の内方側」といい、「縦長の対象物の長手方向において、幅方向の中央軸線に対して相対的に遠位側」を「長手方向の外方側」という。同様に、「縦長の対象物の幅方向において、長手方向の中央軸線に対して相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「縦長の対象物の幅方向において、長手方向の中央軸線に対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。
また、本明細書では、「吸収性物品の長手方向において、吸収性物品の着用時に着用者の腹部に対して相対的に近位側となる一方側」を、「吸収性物品の前方側」といい、「吸収性物品の長手方向において、吸収性物品の着用時に着用者の腹部に対して相対的に遠位側(すなわち、着用者の背部に対して相対的に近位側)となる他方側」を、「吸収性物品の後方側」という。
そして、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。ここで、「着用時」とは、着用者が吸収性物品を着用した時点(すなわち、使用可能な状態を形成した時点)から、その状態を維持している間(着用している間)を意味する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1を、展開した状態で表面シート2側から厚さ方向Tに見た平面図であり、図2及び図3は、それぞれ図1における尿取りパッド1のII−II線及びIII−III線に沿った断面の端面図である。また、図4は、尿取りパッド1に用いられる第2吸収層42の平面図である。さらに、図5は、尿取りパッド1に用いられるpH調整剤7の断面模式図であり、図6は、図5におけるpH調整剤7の囲み線IXで囲まれた要部の拡大断面模式図である。
【0029】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る尿取りパッド1は、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有する縦長の外形形状を有しており、更に具体的には、長手方向Lの略中央部分(すなわち、後述する中央領域Aに対応する部分)が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有している。
なお、本発明において、吸収性物品の外形形状は、このようなものに限定されず、長手方向Lの長さ寸法が幅方向Wの幅寸法よりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の外形形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0030】
また、本実施形態の尿取りパッド1は、図1に示すように長手方向Lにおいて、着用時に着用者の腹部に対応する前方領域Aと、着用時に着用者の背部又は臀部に対応する後方領域Aと、これら両領域の間に位置し、着用時に着用者の股間部に対応する中央領域Aと、を有している。なお、本明細書では、図1に示すように、尿取りパッド1の長手方向Lにおいて、着用時に着用者の腹部に対して相対的に近位側を前方側Dといい、着用時に着用者の背部又は臀部に対して相対的に近位側を後方側Dという。
【0031】
尿取りパッド1は、図2及び図3に示すように、厚さ方向Tにおいて、尿取りパッド1の肌対向面側に位置する液透過性の表面シート2と、尿取りパッド1の非肌対向面側に位置する裏面シート3と、これら両シートの間に配置された吸液性を有する吸収体4と、尿取りパッド1の幅方向Wの両端部において表面シート2の肌対向面側に位置する一対のサイドシート5、5と、を主な構成部材として備えている。
なお、上述の一対のサイドシート5、5は、尿取りパッド1の着用時に、幅方向Wの内方側のそれぞれの端部が該端部近傍に設けられた糸ゴム等の弾性部材(不図示)の収縮によって起立し、尿などの体液の漏洩を防止するための防漏壁部を形成することができる。
【0032】
さらに、吸収体4は、図2及び図3に示すように、厚さ方向Tにおいて、相対的に肌対向面側に位置する第1吸収層41と、相対的に非肌対向面側に位置する第2吸収層42との2層の吸収層によって構成されている。なお、本実施形態においては、第1吸収層41は、高吸水性ポリマー(SAP)及び親水性繊維を含む吸収性材料によって構成され、さらにその肌対向面側の位置に配置された親水性シート6とホットメルト型接着剤等の任意の接合手段(不図示)で接合されることによって、その形状が保持されている一方、第2吸収層42は、SAP及び親水性繊維を吸収性材料として含む吸収コア421が親水性のコアラップシート422で被覆されることによって、その形状が保持されている。
【0033】
そして、本実施形態の尿取りパッド1は、図2乃至図4に示すように、着用者から排出される尿などの体液と接触する位置(本実施形態においては、第2吸収層42の吸収コア421とコアラップシート422との間の位置)にpH調整剤7を含み、さらに、このpH調整剤7は、図5及び図6に示すように、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部71と、該芯部71を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部72と、を有し、当該被覆部72は、pH調整剤7の外部と芯部71の表面とを通液可能に連通する連通部722を有している。
【0034】
このように、本実施形態の尿取りパッド1は、体液と接触する位置に配置されたpH調整剤7が、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部71と、該芯部71を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部72と、を有し、さらに、被覆部72がpH調整剤7の外部と芯部71の表面とを通液可能に連通する連通部722を有しているため、着用者から排出された尿などの体液BがpH調整剤7に接触したときに、体液B図6に示すように被覆部72の連通部722を通って芯部71に到達して当該芯部71を部分的に溶解し、当該芯部71の酸性成分をpH調整剤7から徐々に溶出させることができる。これにより、尿取りパッド1は、着用者から尿などの体液Bが供給されるたびに、pH調整剤7が酸性成分を徐々に放出するため、かかる酸性成分による消臭機能を長期間にわたって持続的に発揮させることができる。
また、尿取りパッド1は、芯部71を被覆する被覆部72によってpH調整剤7の酸性成分の放出を制御しているため、粒子径等の構造上の制約やそれによる配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤7の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態の尿取りパッド1においては、pH調整剤7が第2吸収層42の吸収コア421とコアラップシート422との間に配置されているため、pH調整剤7の脱落を抑制しつつ、効率よく消臭機能を発揮させることができるという利点もある。
なお、本発明の吸収性物品において、pH調整剤の配置位置は、後述するように、体液と接触する位置であれば上述の実施形態のような位置に限定されず、pH調整剤は、所望の消臭機能や吸収性能等を考慮した任意の位置に配置することができる。
【0036】
以下、本発明の吸収性物品を構成する各種部材について、上述の実施形態に係る尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0037】
[表面シート]
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、表面シート2は、図1乃至図3に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの前方側端部から後方側端部にわたって延在するとともに、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端部近傍から他方側端部近傍にわたって延在する、長手方向Lに長い縦長の略矩形状の外形形状を有している。かかる表面シート2は、図1乃至図3に示すように、尿取りパッド1の厚さ方向Tにおいて、相対的に肌対向面側の位置に配置され、着用者の肌面に当接し得る接触面を形成するとともに、着用者から排出される尿などの体液を非肌対向面側に透過させるように機能する、液透過性のシート状部材によって構成されている。
なお、本発明の吸収性物品において、表面シートの外形形状は、このような態様のものに限定されず、吸収体の肌対向面側の表面を少なくとも中央領域において露出しないように覆うことができるものであれば、各種用途等に応じた任意の外形形状及びサイズのものを採用することができる。
【0038】
表面シートとして用い得る液透過性のシート状部材は、吸収性物品の表面シートとして用い得る諸特性(例えば、液透過性(液はけ性)や肌触り、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、親水性繊維によって形成されたスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ポイントボンド不織布等の不織布;熱可塑性樹脂繊維等の疎水性繊維によって形成された不織布の表面に親水化処理が施された不織布;複数の開口を有する樹脂フィルムなどの任意のシート状部材を用いることができる。また、表面シートとして不織布を用いる場合、その構成繊維の種類は特に制限されず、例えば、セルロース系繊維;親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維(例えば、オレフィン系樹脂繊維やポリエステル系樹脂繊維等)などの任意の親水性繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0039】
さらに、表面シートとして用い得るシート状部材の構造も特に制限されず、開口や凹凸等を有しない平坦なシート状構造のほか、例えば、複数の開口を有する多孔構造や複数の凸部と凹部を有する凹凸構造(例えば、複数の中空の凸部と凹部を有し、断面形状が波形となる凹凸構造や複数の中実の凸部と凹部を有する畝溝構造等)などの任意の構造を採用することができる。
【0040】
なお、表面シートとして用い得るシート状部材(不織布等)の坪量や厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液透過性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の坪量や厚み等を採用することができるが、尿などの体液の液戻りが生じ難くなる等の点から、表面シートは、比較的厚みの厚い液透過性のシート状部材を用いることが好ましい。
【0041】
また、本発明の吸収性物品においては、表面シートは、肌対向面側に位置する一対のサイドシートの非肌対向面側の表面の一部、吸収体の肌対向面側若しくは非肌対向面側の表面の少なくとも一部、及び/又は裏面シートの肌対向面側の表面の一部と接合されていてもよい。かかる接合の手段は、特に制限されず、ホットメルト型接着剤や加熱融着等の任意の手段を採用することができる。
【0042】
[裏面シート]
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、裏面シート3は、図1乃至図3に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの前方側端部から後方側端部にわたって延在するとともに、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端部から他方側端部にわたって延在しており、尿取りパッド1の外形形状と同様の、長手方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって括れた略砂時計形の外形形状を有している。かかる裏面シート3は、図2及び図3に示すように、尿取りパッド1の厚さ方向Tにおいて、相対的に非肌対向面側の位置に配置され、着用者から排出される尿などの体液の透過を防止して、体液が尿取りパッド1の外部へ漏れ出ないように機能する、液不透過性のシート状部材によって構成されている。
なお、本発明の吸収性物品において、裏面シートの外形形状は、このような態様のものに限定されず、吸収体の非肌対向面側の表面全体を覆うことができるものであれば、各種用途等に応じた任意の外形形状及びサイズのものを採用することができる。
【0043】
裏面シートとして用い得る液不透過性のシート状部材は、吸収性物品の裏面シートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性(防漏性)や強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂繊維等の疎水性繊維によって形成されたスパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布、エアスルー不織布等の不織布;ポリエチレンやポリプロピレン等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された、複数の開口を有する又は有しない樹脂フィルム;樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層シートなどの任意のシート状部材を用いることができる。また、裏面シートとして不織布を用いる場合、その構成繊維(疎水性繊維)の種類は特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂繊維;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維;芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維などの任意の疎水性繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0044】
さらに、裏面シートとして用い得るシート状部材の構造も特に制限されず、開口や凹凸等を有しない平坦なシート状構造のほか、例えば、複数の開口を有する多孔構造や複数の凸部と凹部を有する凹凸構造(例えば、複数の中空の凸部と凹部を有し、断面形状が波形となる凹凸構造等)などの任意の構造を採用することができる。
【0045】
なお、裏面シートとして用い得るシート状部材の坪量や厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液不透過性や強度、通気性等に応じた任意の坪量や厚み等を採用することができる。
【0046】
また、本発明の吸収性物品においては、裏面シートと吸収体との間の位置に、液不透過性の防漏シートを更に備えていてもよい。かかる防漏シートとしては、所定の液不透過性(防漏性)を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の任意の熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムなどを採用することができる。
なお、このような防漏シートを備えることは、本発明の吸収性物品においては必須の構成要件ではないものの、吸収性物品がこのような防漏シートを備えていると、尿などの体液の漏出をより効果的に抑制することができる。
【0047】
また、本発明の吸収性物品においては、裏面シートは、一対のサイドシートの非肌対向面側の表面の一部、表面シートの非肌対向面側の表面の一部、及び/又は吸収体の非肌対向面側の表面の少なくとも一部と接合されていてもよい。かかる接合の手段は、特に制限されず、ホットメルト型接着剤や加熱融着等の任意の手段を採用することができる。
【0048】
[サイドシート]
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、一対のサイドシート5、5は、図1乃至図3に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の幅方向Wの両端部においてそれぞれ尿取りパッド1の長手方向Lの前方側端部から後方側端部にわたって延在する、一対の帯状のシート状部材によって構成されている。かかる一対のサイドシート5、5の各々は、図1乃至図3に示すように、尿取りパッド1の厚さ方向Tにおいて、表面シート2の肌対向面側の位置に配置されるとともに、幅方向Wの外方側端部が裏面シート3の肌対向面側の表面に接合されて固定端部を形成している一方、幅方向Wの内方側端部が表面シート2等のいずれの構成部材とも接合されておらず、自由端部を形成している。
【0049】
さらに、一対のサイドシート5、5の各々は、幅方向Wの内方側端部近傍において、当該一対のサイドシート5、5を長手方向Lに収縮させて幅方向Wの内方側端部(自由端部)を起立させるための糸ゴム等の弾性部材(不図示)が長手方向Lに沿って設けられている。この弾性部材の収縮によって、一対のサイドシート5、5は、幅方向Wの内方側端部(自由端部)が起立して、尿などの体液の漏洩を防止するための防漏壁部を形成することができる。
【0050】
サイドシートとして用い得る帯状のシート状部材は、吸収性物品のサイドシートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性(防漏性)や肌触り、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、上述の裏面シートと同様の、疎水性繊維によって形成された不織布;疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された樹脂フィルム;樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層シートなどの任意のシート状部材を用いることができる。
【0051】
また、サイドシートとして用い得る帯状のシート状部材の外形形状やサイズ、坪量、厚み等は、所定の防漏壁部を形成し得るものであれば特に制限されず、所望の防漏性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状やサイズ、坪量、厚み等を採用することができる。
【0052】
なお、このようなサイドシートを備えることは、本発明の吸収性物品においては必須の構成要件ではないものの、吸収性物品がこのようなサイドシートを備えていると、尿などの体液の漏出(特に、吸収性物品の幅方向への漏出)をより効果的に抑制することができる。
【0053】
[吸収体]
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、吸収体4は、図1乃至図3に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の前方領域A(より具体的には、長手方向Lの前方側端部近傍)から後方領域A(より具体的には、長手方向Lの後方側端部近傍)にわたって長手方向Lに延在するとともに、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端部近傍から他方側端部近傍にわたって延在しており、全体として、長手方向Lに長く且つ長手方向Lの中央領域Aに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有している。
なお、本発明の吸収性物品において、吸収体の外形形状は、本実施形態の態様に限定されず、少なくとも長手方向長さが吸収性物品の中央領域の長手方向長さ以上となる程度に長い長形状のものであれば、各種用途等に応じた任意の外形形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)を採用することができる。
【0054】
本実施形態の尿取りパッド1においては、吸収体4は、図2及び図3に示すように、厚さ方向Tにおいて表面シート2と裏面シート3の間の位置に配置され、表面シート2を透過してきた着用者の尿などの体液を吸収して保持するように機能する2層の吸収層、すなわち、相対的に肌対向面側に位置する第1吸収層41と、相対的に非肌対向面側に位置する第2吸収層42とによって構成されている。
【0055】
かかる吸収体4を構成する2層の吸収層のうち、第1吸収層41は、図1に示すように、平面視にて、吸収体4と略同様の外形形状、すなわち、尿取りパッド1の長手方向Lの前方側端部近傍から後方側端部近傍にわたって長手方向Lに延在するとともに、尿取りパッド1の幅方向Wの一方側端部近傍から他方側端部近傍にわたって延在しており、全体として、長手方向Lに長く且つ長手方向Lの中央領域Aに対応する部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の外形形状を有している一方、第2吸収層42は、図1及び図4に示すように、平面視にて、尿取りパッド1の長手方向Lの前方側端部近傍(より具体的には、第1吸収層41の前方側端部よりも前方側に位置する部分)から後方側端部近傍(より具体的には、第1吸収層41の後方側端部よりも後方側に位置する部分)にわたって長手方向Lに延在するとともに、幅方向Wの両端部がそれぞれ第1吸収層41の幅方向Wの両端部よりも幅方向内方側に位置するように(より具体的には、幅方向Wの両端部がそれぞれ第1吸収層41の細く括れた部分の幅方向Wの両端部と厚さ方向Tに略重複するように)幅方向Wに延在しており、全体として、長手方向Lに長い略長方形の外形形状を有している。相対的に非肌対向面側の位置に配置される第2吸収層42がこのような外形形状を有していると、第1吸収層41及び第2吸収層42の幅方向Wの端部における段差が着用者に感取され難くすることができる。
したがって、本実施形態においては、図1に示すように、第1吸収層41が、吸収体4の平面視における幅方向Wの両端部の外形形状を形成し、第2吸収層42が、吸収体4の平面視における長手方向Lの両端部の外形形状を形成している。
【0056】
なお、本発明の吸収性物品においては、吸収体は、このような2層の吸収層によって構成されている必要はなく、吸収体は、1層の吸収層からなる単層構造を有していても、3層以上の吸収層からなる複層構造を有していてもよい。また、吸収体を構成する一又は複数の吸収層の外形形状は、吸収性物品の吸収体として機能し得る諸特性(例えば、吸液性、液保持性、柔軟性等)を有するものであれば特に制限されず、上述の実施形態の略砂時計形や長方形の形状のほか、各種用途等に応じた任意の外形形状(例えば、楕円形、瓢箪形、正方形、円形など)を採用することができる。
【0057】
また、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、図2及び図3に示すように、第1吸収層41は、高吸水性ポリマー(SAP)及び親水性繊維を含む吸収性材料によって構成され、さらにその肌対向面側の表面に接合された親水性シート6で部分的に被覆されることによって、その形状が保持されている一方、第2吸収層42は、SAP及び親水性繊維を吸収性材料として含む吸収コア421が親水性のコアラップシート422で被覆されることによって、その形状が保持されている。なお、第2吸収層42は、図2乃至図4に示すように、コアラップシート422が吸収コア421を非肌対向面側から覆うように配置され、さらに、吸収コア421の肌対向面側において、コアラップシート422の幅方向Wの一方側端部422E近傍部分と他方側端部422E近傍部分が重なり合うように、コアラップシート422が吸収コア421の全体を被覆している。第2吸収層をこのように構成することは、本発明の吸収性物品においては必須の構成要件ではないものの、第2吸収層をこのように構成すると、吸収コアに含まれる吸収性材料や後述するpH調整剤の脱落をより生じ難くすることができるという利点がある。
なお、親水性シート6及びコアラップシート422は、いずれもティッシュ等の親水性のシート状部材によって構成されている。
【0058】
本発明の吸収性物品において、吸収体を構成する吸収層の吸収性材料は、尿などの体液を吸収して保持することができるものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意の吸収性材料を用いることができる。そのような吸収性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸水性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維;アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸水性ポリマー(SAP)からなる粒状物;これらを任意に組み合わせた混合物などが挙げられる。
なお、吸収体を上述の実施形態のように複数の吸収層によって構成する場合、すべての吸収層に同じ吸収性材料又はその組み合わせを用いてもよく、吸収層ごとに異なる吸収性材料又はその組み合わせを用いてもよい。したがって、吸収体が上述の実施形態のように第1吸収層及び第2吸収層の2層の吸収層によって構成されている場合、第1吸収層の吸収性材料としてSAPのみを採用し、第2吸収層の吸収性材料としてSAP及び親水性繊維の組み合わせを採用してもよい。
【0059】
また、本発明の吸収性物品においては、吸収体を構成する吸収層が、上述の実施形態のような親水性シートやコアラップシート以外の手段によって又は吸収性材料のみによって、その形状を保持し得る場合は、上述の実施形態のような親水性シートやコアラップシートを備えていなくてもよい。
【0060】
さらに、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、図1及び図2に示すように、第1吸収層41は、当該第1吸収層41を厚さ方向Tに貫通するとともに、平面視にて、幅方向Wの中央部に位置し且つ尿取りパッド1の前方領域Aの後方側部分から中央領域Aの前方側部分にわたって長手方向Lに延在するように形成された貫通孔41Sを備えている。かかる貫通孔41Sは、尿などの体液を排出する着用者の排泄口の位置に対応するように設けられており、排出直後の尿などの体液の吸収を、吸収体4の厚さ方向Tにおいて促進することができるため、より優れた吸収性能(特に、吸収速度や液移行性等)を発揮することができ、結果的に悪臭の発生も抑制することができる。
【0061】
なお、本実施形態の尿取りパッド1においては、貫通孔は、第1吸収層41のみに形成されていて、第2吸収層42には形成されていないが、本発明の吸収性物品においては、第2吸収層にも同様の貫通孔が形成されていてもよい。第2吸収層に貫通孔を形成する場合は、第1吸収層の貫通孔と厚さ方向に重複する位置において、平面視にて第1吸収層の貫通孔よりも小さい寸法形状(平面視面積)を有するように形成することが好ましい。第2吸収層の貫通孔をこのように形成すると、第1吸収層の貫通孔と第2吸収層の貫通孔とが厚さ方向に連通し、全体として、吸収体の厚さ方向において開孔面積が段階的に狭くなる貫通孔を形成することができるため、排出直後の尿などの体液をより効率よく吸収体に吸収させることができる。
【0062】
なお、吸収体にこのような貫通孔を形成することは、本発明の吸収性物品においては必須の構成要件ではないため、吸収体にはこのような貫通孔が形成されていなくてもよい。
【0063】
また、本発明の吸収性物品において、吸収体を構成する吸収層の坪量や厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性等に応じた任意の坪量や厚み等を採用することができる。
【0064】
そして、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、図2乃至図4に示すように、第2吸収層42の吸収コア421とコアラップシート422との間における、平面視にて第2吸収層42の前方側半分の領域(すなわち、pH調整剤配置領域A)に、尿などの体液に含まれる又は体液の含有成分から生成されるアンモニアやアミン類等の悪臭の原因物質を中和したり、当該悪臭の原因物質の発生原因となる細菌の繁殖を抑制したりすることのできる(すなわち、消臭機能を有する)、pH調整剤7が配置されている。
【0065】
以下、本発明の吸収性物品に用いられるpH調整剤について、上述の実施形態に係る尿取りパッド1を用いて更に詳細に説明する。
【0066】
[pH調整剤]
上述の実施形態に係る尿取りパッド1において、pH調整剤7は、図5及び図6に示すように、水に溶解して酸性を呈する固体状の芯部71と、該芯部71を被覆し、常温で固体の油脂からなる被覆部72と、を有していて、当該被覆部72は、pH調整剤7の外部と芯部71の表面とを通液可能に連通する連通部722を有している。
なお、本明細書において、「常温」とは、20℃をいう。
【0067】
着用者の体液と接触する位置に配置されたpH調整剤7が、このように構成されていると、着用者から排出された尿などの体液BがpH調整剤7に接触したときに、体液Bが、図6に示すように被覆部72の連通部722を通って芯部71に到達して当該芯部71を部分的に溶解し、当該芯部71の酸性成分をpH調整剤7から徐々に溶出させることができる。これにより、尿取りパッド1は、着用者から尿などの体液Bが供給されるたびに、pH調整剤7が酸性成分を徐々に放出するため、かかる酸性成分による消臭機能(すなわち、尿などの体液に含まれる又は体液の含有成分から生成されるアンモニアやアミン類等の悪臭の原因物質を中和したり、当該悪臭の原因物質の発生原因となる細菌の繁殖を抑制したりすることのできる機能)を、長期間にわたって持続的に発揮させることができる。
また、尿取りパッド1は、体液Bに溶出しない油脂からなる被覆部72によって芯部71からの酸性成分の放出(具体的には、体液Bと芯部71の接触機会や芯部71からの酸性成分の溶出量等)を制御しているため、粒子径等の構造上の制約やそれによる配置位置の制約が生じ難く、かかるpH調整剤7の消臭機能を効率よく、十分に発揮させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態の尿取りパッド1においては、pH調整剤7の被覆部72は、図6に示すように、芯部71の表面上において複数の油脂粒子721が積み重なることによって形成されており、上述の連通部722は、かかる複数の油脂粒子721の粒子間の間隙によって形成されている。pH調整剤7の被覆部72及び連通部722がこのように形成されていると、芯部71の表面を外部に露出させないように被覆しつつ、通液可能な連通部722を確保することができ、上述のpH調整剤7における酸性成分の徐放性をより確実に実現することができる。
【0069】
なお、本発明の吸収性物品において、pH調整剤の被覆部(連通部を含む。)の形態は、本願発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、被覆部は、例えば、芯部の表面全体を被覆する油脂からなる被覆層と、当該被覆層に形成された一又は複数の亀裂乃至開口(連通部)とによって構成されていてもよい。
ここで、図7は、pH調整剤の被覆部の形態が異なる本発明の別の実施形態におけるpH調整剤の、図6に対応する要部の拡大断面模式図である。なお、この別の実施形態においては、上述の実施形態と異なる構成以外の構成は基本的に上述の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
この別の実施形態においては、図7に示すように、pH調整剤の被覆部73は、芯部71の表面全体を被覆し且つ常温で固体の油脂からなる油脂被覆層731と、当該油脂被覆層731に形成された複数の亀裂732からなる連通部とによって構成されている。pH調整剤の被覆部73がこのように構成されていても、着用者から排出された尿などの体液BがpH調整剤に接触したときに、体液Bが、図7に示すように油脂被覆層731に形成された亀裂732(連通部)を通って芯部71に到達して当該芯部71を部分的に溶解し、当該芯部71の酸性成分をpH調整剤から徐々に溶出させることができるため、かかるpH調整剤を備えた尿取りパッドは、着用者から尿などの体液Bが供給されるたびに、pH調整剤が酸性成分を徐々に放出することができ、かかる酸性成分による消臭機能を、長期間にわたって持続的に発揮させることができる。
【0071】
(芯部)
本発明の吸収性物品において、pH調整剤の芯部は、水に溶解して酸性を呈する固体状のものであれば任意の酸性化合物を用いることができ、そのような酸性化合物としては、例えば、クエン酸、アジピン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルタン酸、レブリン酸、グリコール酸、コハク酸、フマル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、乳酸、2−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシカプリル酸、サリチル酸、β−ヒドロキシブタン酸、トロパ酸、トレトカン酸、ソルビン酸、安息香酸、ベンジル酸、ノニル安息香酸、などの有機酸;リン酸、ホウ酸等の無機酸などが挙げられる。中でも、尿などの体液に含まれる又は体液の含有成分から生成されるアンモニアやアミン類等の悪臭の原因物質を中和する中和作用と、悪臭の原因物質の発生原因となる細菌の繁殖を抑制する抗菌作用の両方の作用を有する点で、クエン酸、アジピン酸等の有機酸を用いることが好ましく、さらに、着用者の肌を弱酸性にしてかぶれ等の皮膚炎を生じ難くする点で、クエン酸を用いることが特に好ましい。
【0072】
なお、本明細書において、「水に溶解して酸性を呈する」とは、常温(20℃)、標準大気圧(1atm)下において、水溶性を有し且つその水溶液が1〜5の範囲内のpHを示すことをいう。ここで、水溶液のpHは、pH試験紙を測定対象の水溶液に接触させることにより測定することができる。
さらに、本明細書において、「固体状」とは、常温、標準大気圧下において固体状態であることをいう。
【0073】
また、pH調整剤における芯部の質量割合は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、pH調整剤の粒子質量を100質量%としたときに、通常20質量%〜99質量%の範囲内であり、好ましくは50質量%〜99質量%の範囲内、更に好ましくは75質量%〜95質量%の範囲内である。
【0074】
また、本発明の吸収性物品においては、pH調整剤の配置位置等により、pH調整剤に接触した後の体液(すなわち、芯部が溶解した体液)が着用者の肌に接触しないような場合には、pH調整剤の芯部として、体液に溶解したときのpHが3未満を呈するもの(すなわち、強酸性を呈するもの)も用いることができるが、pH調整剤の芯部は、体液に溶解して3〜5の範囲内のpHを呈するもの(すなわち、弱酸性を呈するもの)が好ましい。pH調整剤の芯部が体液に溶解して3〜5の範囲内のpHを呈するものであると、所定の消臭機能を発揮させつつ、pH調整剤に接触した後の体液が着用者の肌に接触した場合(すなわち、芯部から溶出した弱酸性の酸性成分が着用者の肌に接触した場合)には、肌のpHを弱酸性にしてかぶれ等の皮膚炎を生じ難くすることもできる。
【0075】
ここで、本明細書において、体液に溶解したときのpHは、疑似体液として生理食塩水を用い、当該生理食塩水に溶解したときの溶液のpHをいう。本発明の吸収性物品は、尿や汗、血液、唾液等の様々な体液を吸収対象としており、生理食塩水は、このような人間の体液とほぼ等張となる食塩水濃度(塩化ナトリウム0.9w/v%)を有しており、実際の体液を代替するものとして、当分野に限らず様々な分野の研究や分析、試験等に用いられている。なお、本明細書において、かかる体液(生理食塩水)のpHの測定は、上述の水溶液のpHの測定と同様に、pH試験紙を生理食塩水に接触させることにより測定することができる。
【0076】
(被覆部)
本発明の吸収性物品において、pH調整剤の被覆部は、上述の芯部を被覆することができ且つ常温で固体の油脂であれば任意の油脂を用いることができ、そのような油脂としては、例えば、硬化油、高級アルコール、高級脂肪酸、植物性又は動物性脂肪、ロウ、ポリエチレングリコールなどを含む油脂を用いることができる。ここで、硬化油としては、例えば、硬化菜種油、硬化ヒマシ油、硬化大豆油等が挙げられ、高級アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール、セタノール等が挙げられ、さらに、植物性又は動物性脂肪としては、例えば、豚脂、牛脂、鶏脂、鯨脂、鮪油、鰯油、鯖油、サンマ油、カツオ油、乳脂肪、バター、パーム油、シソ脂、エゴマ油、カカオ油、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、ホホバ油等が挙げられる。また、pH調整剤の被覆部として、50℃以上の融点を有する極度硬化油(すなわち、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油等を沃素価が10以下になるまで水素添加したもの)も好適に用いることができ、中でも、構成脂肪酸中にエルシン酸を20%〜60%の範囲内で含む菜種油の極度硬化油を、特に好適に用いることができる。
【0077】
被覆部の被覆量(すなわち、pH調整剤における被覆部の質量割合)は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、pH調整剤の粒子質量を100質量%としたとき、通常1質量%〜80質量%の範囲内であり、好ましくは1質量%〜50質量%の範囲内、更に好ましくは5質量%〜25質量%の範囲内である。
【0078】
また、被覆部の形成手段、すなわち、芯部の表面に油脂を被覆させる手段は、特に制限されず、例えば、被覆部形成用の複数の油脂粒子を、任意の吹付手段又は混合手段を用いて固体状(例えば、顆粒状、粉末状等)の芯部表面に加熱又は非加熱下で付着させることにより(以下、このような方法を「粒体付着法」と称することがある。)、上述の油脂からなる被覆部を形成してもよいし、また、被覆部形成用の油脂を融点以上に加熱して融解液とし、該融解液を固体状の芯部に噴霧又は滴下により付着させた後、冷却・乾燥することにより(以下、このような方法を「液体付着法」と称することがある。)、上述の油脂からなる被覆部を形成してもよい。
【0079】
(連通部)
本発明の吸収性物品において、pH調整剤の被覆部に形成される連通部は、pH調整剤の外部と上述の芯部の表面とを通液可能に(すなわち、体液が通過可能に)連通するものであれば特に制限されず、例えば、上述の実施形態のような複数の油脂粒子の粒子間の間隙;油脂被覆層に形成される一又は複数の亀裂や開口などによって構成することができる。このような間隙や亀裂、開口等(以下、「間隙等」と称することがある。)の数やサイズ、面積等の態様は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、かかる間隙等は、所望の消臭機能(より具体的には、芯部の徐放性等)に応じた任意の態様で形成することができる。
【0080】
連通部の形成手段は、特に制限されず、例えば、上述の被覆部の形成手段として粒体付着法を用いた場合は、複数の油脂粒子の粒子間の間隙によって連通部を形成することができ、また、上述の被覆部の形成手段として液体付着法を用いた場合は、油脂の融解液を固体状の芯部に付着させた後の冷却・乾燥条件を調節することで生じる油脂被覆層の亀裂によって、或いは、固体状の芯部の表面に油脂からなる被覆部(油脂被覆層)を形成した後に穿孔や切削等の機械的手段を用いて形成した開口や切込み等によって、上述の連通部を形成することができる。
【0081】
また、本発明の吸収性物品において、pH調整剤の粒子径(平均粒子径)は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、50μm〜1500μmの範囲内であり、好ましくは100μm〜1200μmの範囲内、更に好ましくは300μm〜1000μmの範囲内である。pH調整剤の粒子径が50μm以上であると、吸収性物品内に配置したpH調整剤が脱落し難くなり、また、pH調整剤の粒子径が1500μm以下であると、芯部からの酸性成分の溶出量を適度な程度に制御し易くなり、さらに、pH調整剤が着用者の肌に接触するような位置に配置されるような場合には、着用者にpH調整剤の粒子の感触が感取され難く、良好な着用感を維持し易いという利点がある。なお、pH調整剤の粒子径(平均粒子径)は、篩分け法によって測定することができる。
【0082】
さらに、本発明の吸収性物品においては、吸収性物品が高吸水性ポリマー(SAP)を含む吸収体を有している場合、pH調整剤は、体液と接触してから少なくとも30秒経過後に、芯部の一部が体液に溶出するものが好ましい。かかるpH調整剤は、SAPが体液を吸収して一定以上膨潤する(完全膨潤の7割〜8割程度膨潤する)のに要する時間(通常、30秒程度)を経過してから、pH調整剤の芯部の一部が酸性成分として体液に溶出するため、当該酸性成分がSAPの吸収及び膨潤(保持)を阻害しないようにしつつ、所定の消臭機能を十分に発揮させることができる。
【0083】
このように芯部の溶出開始時期の遅いpH調整剤は、被覆部に形成される連通部の態様、すなわち、複数の油脂粒子の粒子間の間隙や油脂被覆層に形成される一又は複数の亀裂や開口等の数やサイズ、面積等の態様を、芯部が溶出し難くなるように調節したり、芯部を形成する酸性化合物として水に対する溶解度が低いものを用いたりすることによって、容易に得ることができる。
【0084】
なお、芯部の溶出開始時期は、測定対象のpH調整剤を模擬体液(生理食塩水)に溶解した溶液のpHを測定することで得ることができる。具体的には、まず、100mlのビーカーに模擬体液として生理食塩水50gを測り取り、pHメータ(例えば、東亜ディーケーケー株式会社製pH計)を用いてビーカー内の生理食塩水のpHを測定する。さらに、pHの測定を継続しながら、測定対象のpH調整剤0.25gをビーカー内に添加し、一定時間ごと(例えば、10秒ごと)にpHメータで測定されるpHを記録する。なお、pHの変化がなくなった時点でpHの測定を終了する。そして、測定されるpHが0.1以上低下した時点を芯部の溶出開始時期とする。
【0085】
また、本発明の吸収性物品においては、pH調整剤は、体液と接触してから60秒経過するまでの体液のpH変化量が0.5以下となる酸性徐放機能を有するものが好ましい。pH調整剤がこのような所定の酸性徐放機能を有していると、体液に接触してから徐々に酸性成分が放出されるため、当該酸性成分による消臭機能をより持続的に発揮させることができる。
【0086】
このような酸性徐放機能を有するpH調整剤は、被覆部に形成される連通部の態様、すなわち、複数の油脂粒子の粒子間の間隙や油脂被覆層に形成される一又は複数の亀裂や開口等の数やサイズ、面積等の態様を、芯部が徐々に溶出するように調節したり、芯部を形成する酸性化合物として水に対する溶解度が低いものを用いたりすることによって、容易に得ることができる。
【0087】
なお、pH調整剤と接触してからの体液のpH変化量は、上述の芯部の溶出開始時期の場合と同様に、測定対象のpH調整剤を模擬体液(生理食塩水)に溶解した溶液のpHを測定することで得ることができる。
【0088】
(pH調整剤の配置位置)
また、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、pH調整剤7が上述の第2吸収層42の吸収コア421とコアラップシート422との間に配置されているため、pH調整剤7の脱落を抑制し易く、効率よく消臭機能を発揮させることができる。
しかしながら、本発明の吸収性物品においては、pH調整剤の配置位置は、pH調整剤が体液と接触する位置であれば上述の実施形態のような位置に限定されず、pH調整剤は、所望の消臭機能や吸収性能等を考慮した任意の位置に配置することができる。中でも、pH調整剤は、表面シート、表面シートと吸収体との間、及び吸収体のうちの少なくとも1つに配置されていることが好ましい。pH調整剤がこのような体液と接触する可能性の高い位置に配置されていると、かかるpH調整剤を効率よく体液と接触させることができるため、消臭機能をより的確に発揮させることができる。特に、pH調整剤が吸収体の肌対向面側に配置されている場合(すなわち、pH調整剤が表面シート、及び表面シートと吸収体との間のうちの少なくとも一方に配置されている場合)は、pH調整剤をより一層効率よく体液と接触させることができる。
【0089】
なお、本明細書において、pH調整剤が表面シートに配置されるとは、表面シートの肌対向面側の表面、非肌対向面側の表面及び表面シートの内部のうちの少なくとも1つに配置されることをいう。また、pH調整剤が吸収体や後述する拡散性シートに配置されることも同様である。
【0090】
また、本発明の吸収性物品においては、表面シートと吸収体との間に拡散性シートを更に有していて、pH調整剤は、少なくともその拡散性シートに配置されていてもよい。pH調整剤がこのような拡散性シートに配置されていると、体液を拡散性シートによって面方向に拡散させながらpH調整剤に接触させることができるため、かかるpH調整剤による消臭機能をより効率よく発揮させることができる。さらに、着用者の肌とpH調整剤との間に表面シートが介在し、pH調整剤が着用者の肌に直に接触し難くなっているため、着用者にpH調整剤が肌に付着することによる違和感や不快感などを生じさせ難くすることができるという利点もある。
【0091】
なお、pH調整剤が繊維密度の小さい不織布等のシート状部材に配置される場合は、脱落防止の観点から、pH調整剤をバインダー等の固定手段によって固定してもよい。
【0092】
さらに、上述の実施形態に係る尿取りパッド1においては、pH調整剤7は、図4に示すように、平面視にて、第2吸収層42の前方側半分の領域(すなわち、pH調整剤配置領域A)に配置されているが、本発明の吸収性物品において、pH調整剤の平面視における配置領域は、pH調整剤が体液と接触する位置であればこのような態様に限定されず、pH調整剤は、平面視にて任意の配置領域に配置することができる。
ここで、図8(a)〜(c)は、それぞれpH調整剤の配置形態が異なる本発明の更に別の実施形態における第2吸収層の平面図である。
【0093】
図8(a)に示す本発明の更に別の実施形態における第2吸収層42aは、pH調整剤配置領域A7aが平面視にて第2吸収層42aの前方側半分の領域の一部の領域として形成されており、さらに、このpH調整剤配置領域A7aは、上述の第1吸収層41の貫通孔41Sと厚さ方向Tに重複する位置(すなわち、着用者の排泄口の位置に対応する位置)に配置されている。pH調整剤配置領域A7aがこのような態様で配置されていると、すべてのpH調整剤7aが着用者から排出される体液に接触し易くなるため、かかるpH調整剤7aによる消臭機能を更に効率よく発揮させることができる。
なお、pH調整剤は、平面視にて、吸収体を構成する吸収層の全面に配置されていても、長手方向の前方側端部近傍及び/又は後方側端部近傍において幅方向に延びる帯状の領域に部分的に配置されていてもよい。pH調整剤が前者のように配置されていると、pH調整剤が着用者から排出される体液に接触する可能性がより高くなるため、かかるpH調整剤による消臭機能をより確実に発揮させることができ、また、pH調整剤が後者のように配置されていると、着用者の肌と接触し続ける時間が多く、着用者の汗により蒸れが生じ易い長手方向の前方側端部近傍及び/又は後方側端部近傍において、pH調整剤の芯部が着用者から排出される汗に溶出し、上述の消臭機能をより効果的に発揮させることができる。
なお、pH調整剤配置領域の数や面積は、本発明の効果や吸収性能を阻害しない限り特に制限されず、pH調整剤配置領域は、任意の数や面積で配置することができる。また、pH調整剤配置領域の平面視形状も、図4及び図8(a)に示す矩形状のものに限定されず、かかるpH調整剤配置領域の平面形状は、例えば、円形状、楕円形状、その他の幾何学的形状であってもよい。
【0094】
また、図8(b)に示す本発明の更に別の実施形態における第2吸収層42bは、pH調整剤配置領域A7bが平面視にて幅方向Wの中央部及び幅方向Wの両端部の各々において、長手方向Lの前方側端部から後方側端部まで延びる3本の帯状の領域によって形成されている。pH調整剤配置領域A7bがこのような態様で形成されていると、幅方向Wに隣り合うpH調整剤配置領域A7bの間の領域において、着用者から排出される尿などの体液を吸収しつつ、長手方向Lへの拡散を促すことができるため、体液を第2吸収層42bの長手方向Lの広範囲の領域から吸収させることができる上、pH調整剤7bを長手方向Lの広範囲の領域で体液と接触させることができる。これにより、吸収体による吸収性能及びpH調整剤による消臭機能を、より効率よく発揮させることができる。
さらに、pH調整剤配置領域A7bがこのような態様で形成されていると、pH調整剤7bが、繰り返し供給されて幅方向Wに拡散する体液に対して段階的に接触することができ、かかるpH調整剤7bによる消臭機能をより長期間にわたって持続的に発揮させることができるという利点もある。
なお、pH調整剤配置領域をこのような帯状の領域で形成する場合、かかる帯状の領域の数は、上述の3本に限定されず、例えば、1本や2本、4本以上であってもよい。また、このような帯状のpH調整剤配置領域は、例えば、幅方向の中央部において長手方向に延びる帯状の領域のみに配置されていても、長手方向の中央部において幅方向に延びる帯状の領域のみに配置されていてもよい。
【0095】
さらに、図8(c)に示す本発明の更に別の実施形態における第2吸収層42cは、pH調整剤配置領域A7cが平面視にて第2吸収層42cの前方側半分の領域において、長手方向Lに長径を有する二重の楕円形状の領域として形成されており、さらに、この二重の楕円形状のpH調整剤配置領域A7cの内側の楕円形状領域の中心(すなわち、楕円形の長径及び短径の中心)は、上述の第1吸収層41の貫通孔41Sと厚さ方向Tに重複する位置(すなわち、着用者の排泄口の位置に対応する位置)に配置されている。pH調整剤配置領域A7cがこのような態様で形成されていると、pH調整剤配置領域A7cの内側の楕円形状領域の中心に到達した体液が繰り返し供給されて長手方向L及び幅方向Wに拡散する際に、pH調整剤7cと段階的に接触することができるため、かかるpH調整剤7cによる消臭機能をより長期間にわたって持続的且つ効率的に発揮させることができる。
なお、pH調整剤配置領域をこのような環状の領域で形成する場合、かかる環状の領域の数は、上述の二重(2本)に限定されず、例えば、一重(1本)や三重(3本)以上であってもよい。また、環状の領域の平面視形状も上述の楕円形状に限定されず、例えば、円形状、矩形状等の任意の環状形状であってもよい。
【0096】
また、本発明の吸収性物品においては、開口部や低坪量部、圧搾部等の体液の流動(例えば、面方向への拡散流動や厚さ方向の透過流動等)を制御する手段を用いて、pH調整剤と体液との接触効率を高めてもよい。
【0097】
本発明は、上述した実施形態の尿取りパッドのほかに、例えば、大人用又は乳幼児用の使い捨ておむつ、軽失禁パッド、パンティライナー、生理用ナプキン、汗取りパッド、母乳パッド等の様々な吸収性物品に適用することができる。また、本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態や後述する実施例等に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
【実施例】
【0098】
以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0099】
実施例1
坪量22g/mのスパンボンド不織布からなる表面シートと、坪量14g/mのティッシュからなる親水性シートと、高吸水性ポリマー(略称:SAP、住友精化株式会社製の「アクアキープ」)100g/m及びパルプ200g/mの混合物からなる第1吸収層と、SAP(住友精化株式会社製の「アクアキープ」)100g/m及びパルプ200g/mの混合物からなる吸収コアの肌対向面側の表面に、芯部(クエン酸:80質量%)及び該芯部の表面に複数の油脂粒子(菜種硬化油:20質量%)が積み重なってなるpH調整剤(平均粒子径:940μm)0.18gが配置された複合体を、14g/mのティッシュで非肌対向面側から被覆してなる第2吸収層と、ポリエチレン製の樹脂フィルムからなる裏面シートと、を構成部材として用意し、これらの構成部材をホットメルト型接着剤で厚さ方向に接合することにより、図1乃至図3に示す実施形態の尿取りパッド1と同様の構造を有する、実施例1の尿取りパッドを作製した。
【0100】
比較例1
pH調整剤を配置しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の尿取りパッドを作製した。
【0101】
比較例2
pH調整剤として被覆部のないクエン酸粒子(平均粒子径:350μm)0.15gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の尿取りパッドを作製した。
【0102】
作製した実施例1、比較例1及び2の各尿取りパッドについて、下記の<吸収性評価方法>及び<臭気の官能評価及び臭気成分濃度の測定方法>に従って、それぞれの尿取りパッドの吸収性評価及び臭気の官能評価を行い、さらに、臭気成分濃度を測定した。
これらの評価結果(リウェット液のpHを含む。)及び測定結果は、下記の表1に示す。
【0103】
<吸収性評価方法>
(1)作製した尿取りパッドを伸張させて平坦な状態としながら、表面シートが上方に向くようにして試験台の水平な測定面上に固定する。なお、本評価方法は、20℃の室温下で行う。
(2)尿取りパッドの幅方向の中央であって、吸収体の前方側端部から150mm後方側の位置が中心となるように、尿取りパッドの表面シート上に円筒(内径60mm、重さ200g)を設置する。
(3)人工尿150mlを入れた滴下漏斗を用意し、滴下漏斗の先端が表面シートから10mmの高さに位置するように、滴下漏斗を円筒内に設置する。
なお、人工尿は、イオン交換水10Lに、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム8g、塩化カルシウム3g及び色素:青色1号約1gを溶解させることにより調製する。
(4)滴下漏斗より人工尿を10ml/秒の滴下速度ですべて滴下する。
(5)人工尿の滴下を開始してから円筒内の表面シート上の人工尿がなくなるまでの時間(秒)を測定し、これを吸収時間(秒)とする。
(6)人工尿の滴下を開始してから5分経過後に、円筒及び滴下漏斗を取り除き、人工尿を滴下した位置の中心に、pH試験紙(pH2−9、Johnson Test Papers)と予め重量(g)を測定した約50gの濾紙(アドバンテックNo.2,100mm×100mm)を設置し、さらに、その濾紙の上に100mm角の錘(3.5kg)を設置する。
(7)pH試験紙の変色状態から、リウェット液のpHを求める。
(8)人工尿の滴下を開始してから8分経過後に、表面シート上の錘と濾紙を取り除き、リウェット液を吸収した濾紙の重量(g)を測定する。
(9)リウェット液を吸収した濾紙の重量(g)から濾紙の初期重量(g)を差し引くことにより、リウェット液の重量(g)を算出し、これをリウェット量(g)とする。
(10)人工尿の滴下を開始してから10分経過後に、上記(2)から(9)までの操作を2回繰り返し、それぞれの操作(最初の操作を含む合計3回の操作)で得られた吸収時間(秒)、リウェット量(g)及びpHを、人工尿の滴下量(150ml、300ml及び450ml)ごとに記録する。
【0104】
<臭気の官能評価及び臭気成分濃度の測定方法>
(1)作製した尿取りパッドを伸張させて平坦な状態としながら、表面シートが上方に向くようにして試験台の水平な測定面上に固定する。なお、本評価方法は、20℃の室温下で行う。
(2)尿取りパッドの幅方向の中央であって、吸収体の前方側端部から150mm後方側の位置に、65歳以上の高齢者から採取した実尿150gを滴下し、吸収体に吸収させる。
(3)実尿を吸収した尿取りパッドを、表面シートが内側となるように長手方向に2つ折りにし、チャック付きアルミ袋に入れてチャックを閉じる。
(4)尿取りパッドを入れたアルミ袋を40℃に設定されたオーブン内に載置する。
(5)所定時間(0時間、3時間、6時間及び24時間)経過ごとに、アルミ袋をオーブンから取り出し、アルミ袋内の臭気を以下の臭気評価基準に基づいて評価するとともに、検知管式気体測定器(株式会社ガステック製)を用いて臭気成分(アンモニア及びアミン類)の濃度を測定する。
(臭気評価基準)
0点:無臭
1点:微かに悪臭を感じる
2点:少し悪臭を感じる
3点:悪臭を感じる
4点:悪臭を強く感じる
【0105】
【表1】
【0106】
表1に示すように、芯部(クエン酸:80質量%)及び該芯部の表面に複数の油脂粒子(菜種硬化油:20質量%)が積み重なってなるpH調整剤を用いた実施例1の尿取りパッドは、繰り返し供給される尿に対しても、吸収性能が低下することなく、pH調整剤の消臭機能を持続的且つ十分に発揮できることが分かった。一方、pH調整剤を用いていない比較例1の尿取りパッドは、臭気を抑制することができず、また、pH調整剤として被覆部のないクエン酸粒子を用いた比較例2の尿取りパッドは、臭気をある程度抑制できるものの、リウェット量が大きくなり(人工尿に接触してすぐに溶出するクエン酸により、SAPの吸収及び膨潤が阻害されていることに起因するものと推認される。)吸収性能が低下していることが分かった。さらに、比較例2の尿取りパッドは、時間の経過に伴い臭気の抑制効果が弱まり、pH調整剤による消臭機能が持続的に発揮できていないことが分かった。
【符号の説明】
【0107】
1 尿取りパッド(「吸収性物品」の一例)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 第1吸収層
42 第2吸収層
421 吸収コア
422 コアラップシート
5 サイドシート
6 親水性シート
7 pH調整剤
71 芯部
72 被覆部
721 油脂粒子
722 連通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8