【実施例】
【0059】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
〔1.電気泳動用ゲルの弾性の比較〕
<実施例1>
(1)ゲル添加剤の精製
(i)三角フラスコに500mL蒸留水および撹拌バーを入れた。三角フラスコとは別の容器に1.5gのコンニャク精粉(製造元:茂木食品工業株式会社)を秤量し、5mLのエタノールに加え、これを懸濁した。得られた溶液を少量ずつスターラー上に設置した三角フラスコ中の蒸留水に撹拌しながら加えた。さらに、室温にて、約1時間、継続的に撹拌した。
(ii)得られた水溶液に1gの活性炭(クロマトグラフィー用、和光純薬製)と、防腐剤としてEDTA(終濃度1mM)とを加え、さらに1時間撹拌した。なお、活性炭はコンニャク精粉中の不純物を吸着除去するために用いた。この工程により、繊維状の不溶物を含む透明な水溶液が得られた。
(iii)繊維状の不溶物と活性炭とを除去するため、室温にて10000×g、10分間遠心分離にかけた後、上清を回収した。
(iv)残存している活性炭を除去するため、回収した上清を再度、工程(iii)と同じ条件で遠心分離した。
(v)遠心上清を回収し、0.3重量%のグルコマンナンを含むゲル添加剤として冷蔵保存した。
【0061】
(2)ゲルの作製
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが0.5重量%、アガーが0.2重量%、グルコマンナンが0.1重量%になるように、それぞれアガロース(Agarose S, ニッポンジーン社製)、アガー(精製寒天末、ナカライテスク株式会社製)、ゲル添加剤をTBE緩衝液50mL中に加えた。その後、マイクロウェーブオーブンで約100℃まで加熱し、これらを完全に溶解させた。これにより、ゲル化用溶液を得た。
【0062】
電気泳動装置(Mupidミニゲル泳動槽、ミューピッド社(旧アドバンス社)製)に付属しているゲルトレイ(幅50mm、長さ60mm、高さ10mm)をゲル作製用プレートにそれぞれセットした。当該ゲル作製用プレートにゲル化用溶液12mLを流し込んだ。ゲル化用溶液を室温で1時間放置し、ゲル化させることにより、厚さ4mm、幅50mm、長さ60mmのゲルを作製した。さらに、外科用ナイフと直角定規とを用いてこのゲルを長軸に沿って3等分し、厚さ4mm、幅16mm、長さ60mmの短冊状ゲルを作製した。なお、厚さ4mmは、分子生物学的実験では、理想的な厚さとして古くから推奨されている厚さに匹敵する(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, T. Maniatis et al., 1982, p163, Cold Springer Laboratory)。また、厚さが5mm以上のゲルを用いると不明瞭なバンドとなるため、ゲルの厚さは3〜4mmがよいと考えられている(Agarose gel electrophoresis Tips and Tricks, ThermoFisher Scientific)。
【0063】
(3)ゲル破断試験
短冊状ゲルの1つを120mlの蒸留水で満たした容器(内径:幅100mm、長さ106mm、容器の水深は約10mm)に静かに移した。容器の底にあるゲルを容器の一つの角をなす2辺に接するように配置した後、長軸方向に幅16mmのスポンジ片でゲルを静かに押した。ゲルを押す過程において、ゲルは湾曲しながら容器の壁に近づいていった。
【0064】
図1の(A)に、実施例のゲル破断試験において、ゲルを押し曲げる過程を示す。
図1の(B)に、実施例のゲル破断試験の模式図を示す。
図1の(A)の(b)〜(d)に示すように、ゲルの一方の短辺を透明トレーの縁に押し付けるように、ゲルの他方の短辺をスポンジでゆっくり押し曲げた。
図1の(B)の(c)のように、ゲルの一方の短辺がゲルの他方の短辺に接するまで、すなわち、ゲルの一方の短辺からゲルの他方の短辺までの距離Lが8mmとなるまでゲルを押し曲げることができた場合、ゲルは切断されなかったと判断した。さらに、残りの2つの短冊状ゲルを用いて同じ実験を行い、再現性を確認した。
【0065】
実施例1のゲルに対してゲル破断試験を行った結果、実施例1のゲルは切断されなかった。
【0066】
<実施例2>
電気泳動用ゲルにおいて、グルコマンナンが0.2重量%となるようにゲル添加剤を加えた以外は実施例1と同様に、実施例2のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、実施例2のゲルは切断されなかった。
【0067】
<実施例3>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが0.5重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガロース、ゲル添加剤を加え、アガーを加えなかった以外は実施例1と同様に、実施例3のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、実施例3のゲルは切断されなかった。
【0068】
<実施例4>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが0.7重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガロース、ゲル添加剤を加えた以外は実施例3と同様に、実施例4のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、実施例4のゲルは切断されなかった。
【0069】
<実施例5>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが1.0重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガロース、ゲル添加剤を加えた以外は実施例3と同様に、実施例5のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、実施例5のゲルは切断されなかった。
【0070】
<比較例1>
ゲル添加剤を加えなかった以外は実施例1と同様に、比較例1のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例1のゲルは切断された。
【0071】
<比較例2>
電気泳動用ゲルにおいて、グルコマンナンが0.05重量%となるようにゲル添加剤を加えた以外は実施例1と同様に、比較例2のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例2のゲルは切断された。
【0072】
<比較例3>
アガーおよびゲル添加剤を加えなかった以外は実施例1と同様に、比較例3のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例3のゲルは切断された。
【0073】
<比較例4>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが1重量%となるように、アガロースを加え、アガーおよびゲル添加剤を加えなかった以外は実施例1と同様に、比較例4のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例4のゲルは切断された。
【0074】
<比較例5>
電気泳動用ゲルにおいて、アガーが0.5重量%となるように、アガーを加え、アガロースおよびゲル添加剤を加えなかった以外は実施例1と同様に、比較例5のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例5のゲルは切断された。
【0075】
<比較例6>
電気泳動用ゲルにおいて、アガーが0.5重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガー、ゲル添加剤を加え、アがロールを加えなかった以外は実施例1と同様に、比較例6のゲルを作製した。その後、当該ゲルを用いて、ゲル破断試験を行った結果、比較例6のゲルは切断された。
【0076】
<結果>
実施例1および実施例2の結果より、グルコマンナンを0.1重量%以上含むアガロース/アガーゲルは、半分に折り曲げても切断されなかったことから、取扱い性に優れることがわかった。比較例1および2の結果より、グルコマンナンの含有量が0.1重量%以下であるアガロース/アガーゲルは、半分に折り曲げると切断されたことから、ゲルの作製時等に破壊される可能性があり、取扱いにくいことがわかった。
【0077】
さらに、実施例1および実施例3の結果より、混合したアガーはアガロースに添加したグルコマンナンの効果を抑制しないことがわかった。実施例3および比較例3の結果からは、グルコマンナンを0.1重量%以上含むアガロースゲルの場合は、半分に折り曲げても切断されなかったことから、取扱い性に優れることがわかった。
【0078】
また、比較例3および比較例4の結果より、0.5重量%〜1重量%のアガロースを含む電気泳動用ゲルは切断されることがわかった。一方、実施例3〜5の結果より、0.5重量%〜1重量%のアガロースを含む電気泳動用ゲルであっても、0.1重量%のグルコマンナンを含む場合は、電気泳動用ゲルは切断されないことがわかった。
【0079】
さらに、比較例5および比較例6の結果から、アガーゲルに0.1重量%のグルコマンナンを加えても切断されることがわかった。よって、アガーゲルではグルコマンナンはゲルの弾性の向上に貢献しないと考えられる。なお、0.5重量%以下のアガーゲルは壊れやすいために作製が困難であり、0.5重量%以上のアガーゲルは、作製がより容易であるが、弾性が低いことが知られている。
【0080】
〔2.サブマリン型電気泳動用ゲルの分離能の比較〕
<実施例6>
(1)ゲルの作製
〔1.電気泳動用ゲルの弾性の比較〕における「(1)ゲル添加剤の精製」と同じ手順を用いて、ゲル添加剤を得た。
【0081】
その後、〔1.電気泳動用ゲルの弾性の比較〕における「(2)ゲルの作製」と同じ手順を用いて、ゲル化溶液を得た。
【0082】
電気泳動装置(Mupidミニゲル泳動槽、ミューピッド社(旧アドバンス社)製)に付属しているサンプルコーム(8ウェル用)およびゲルトレイ(幅54mm、長さ60mm、高さ10mm)をゲル作製用プレートにそれぞれセットした。当該ゲル作製用トレーにゲル化用溶液12mLを流し込んだ。ゲル化用溶液を室温で1時間放置し、ゲル化させた。
【0083】
(2)電気泳動
電気泳動装置にゲルをセットし、ゲルに形成されたウェルに、電気泳動試料を10μLずつ加えた。電気泳動試料は、レーン1においてLambda phage/Sty I digest (λ/Sty I)(ニッポンジーン社製)、レーン2において0.1〜20kbpのDNA(Gene Ladder wide 2,ニッポンジーン社製)をそれぞれ用いた。また、各電気泳動試料には、あらかじめGelRED
TM(Gene One社製)を電気泳動試料中のGelRED
TMの濃度が、市販原液の10000倍希釈相当量となるように添加した。
【0084】
100Vで、ローディング液(製品名:6×Loading Buffer Orange G、ニッポンジーン社製)2μLがゲルの先端に到達するまで泳動を行った。泳動バッファーとしては、TBE緩衝液(pH8.0;89mM トリス、89mM ホウ酸、2mM エチレンジアミン四酢酸)を用いた。なお、電気泳動は、Molecular Cloning: A LABORATORY MANUAL, T. Maniatis, EF Fritsch, J. Sambrook, Cold Spring Harbor Laboratory, 1982を参考にして常法により実施した。
【0085】
(3)ゲルの撮影
アガロースゲル撮影装置(UVイルミネーター;Model BioDoc-It(登録商標) Imaging system, UVP社製)を用いて電気泳動を行った後の電気泳動用ゲルを撮影した。
【0086】
<実施例7>
グルコマンナンが0.2重量%となるようにゲル添加剤を加えた以外は実施例6と同様に、実施例7のゲルを作製した。なお、実施例7のレーン1、2の電気泳動試料は、それぞれ実施例6のレーン1、2の電気泳動試料と同じ電気泳動試料を用いた。また、実施例7のレーン3の電気泳動試料は、0.1〜2kbpのDNA(Gene Ladder 100, ニッポンジーン社製)である。
【0087】
<比較例7>
ゲル添加剤を加えなかった以外は実施例6と同様に、比較例7のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。なお、比較例7のレーン1〜3の電気泳動試料は、それぞれ実施例7のレーン1〜3の電気泳動試料と同じ電気泳動試料を用いた。
【0088】
<比較例8>
電気泳動用ゲルにおいて、グルコマンナンが0.05重量%となるように、ゲル添加剤を加えた以外は実施例6と同様に、比較例8のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。
【0089】
<結果>
図2に、実施例6、実施例7、比較例7および比較例8の電気泳動の結果を示す。なお、
図2において「*」は、レーン2に基づく2kbpのDNAバンドを示す。実施例6および実施例7の結果より、泳動バッファーとしてTBEを用いて電気泳動を行い、さらに、電気泳動試料にGelREDをあらかじめ加える方法により染色を行った場合であっても、グルコマンナンを0.1重量%含むアガロース/アガーゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。0.1〜2kbpの領域は、PCR反応の結果解析に多用される領域である。ゆえに、本発明の一実施形態に係る電気泳動用ゲルは、DNAの電気泳動において将来的に汎用され得ることが示唆される。さらに、実施例6と実施例7との比較により、グルコマンナンを多く含む実施例7のアガロース/アガーゲルの方が、0.1〜2kbpの領域において分離能が高いことがわかる。一方、比較例7および比較例8の結果より、グルコマンナンの含有量が0.05重量%以上であるアガロース/アガーゲルを用いると、実施例6には及ばないまでも、DNA分離能が向上することがわかる。
【0090】
<実施例8>
実施例7と同様に、実施例8のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。その後、エチジウムブロマイド(0.5μg/mL)を溶かしたTAE緩衝液に、電気泳動後のゲルを15分間浸漬した。さらに、当該ゲルを蒸留水に5分間、静置浸漬した。ゲルの撮影は、上述の「(3)ゲルの撮影」と同様に行った。
【0091】
<実施例9>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが0.8重量%、グルコマンナンが0.15重量%となるように、それぞれアガロース、ゲル添加剤を加え、アガーを加えなかった以外は実施例8と同様に、実施例9のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。
【0092】
<実施例10>
電気泳動用ゲルにおいて、アガーが0.5重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガー、ゲル添加剤を加え、アガロースを加えなかった以外は実施例8と同様に、実施例10のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。
【0093】
<比較例9>
電気泳動用ゲルにおいて、アガーが0.5重量%となるように、アガーを加え、アガロースおよびゲル添加剤を加えなかった以外は実施例8と同様に、比較例9のゲルを作製し、当該ゲルを用いて、電気泳動を行った。
【0094】
<結果>
図3に、実施例8〜10、比較例9の電気泳動の結果を示す。なお、
図3において「*」は、レーン2に基づく2kbpのDNAバンドを示す。実施例8〜10の結果より、泳動バッファーとしてTBEを用いて電気泳動を行い、さらに、電気泳動を行った後の電気泳動用ゲルをエチジウムブロマイドで震盪することにより染色を行った場合であっても、グルコマンナンを0.1重量%含む電気泳動用ゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。
【0095】
また、実施例9の結果により、グルコマンナンを0.1重量%含むアガロースゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。
【0096】
さらに、実施例10と比較例9との結果の比較により、グルコマンナンを0.1重量%含むアガーゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて分離能が向上することがわかる。
【0097】
<実施例11>
電気泳動用ゲルにおいて、アガロースが0.7重量%、グルコマンナンが0.1重量%となるように、それぞれアガロース、ゲル添加剤を加え、アガーを加えなかった以外は実施例6と同様に、実施例11のゲルを作製した。TAE緩衝液(pH8.0;40mM Tris−HCl、20mM 酢酸ナトリウム、2mM EDTA)を用いた。
【0098】
<比較例10>
電気泳動用ゲルにおいて、アガーが0.7重量%となるように、アガーを加え、アガロースおよびゲル添加剤を加えなかった以外は実施例3と同様に、比較例8のゲルを作製した。TAE緩衝液(pH8.0;40mM Tris−HCl、20mM 酢酸ナトリウム、2mM EDTA)を用いた。なお、比較例10のレーン1およびレーン2の電気泳動試料は、それぞれ実施例6のレーン1およびレーン2の電気泳動試料と同じ電気泳動試料を用いた。
【0099】
<結果>
図3に、実施例11および比較例10の電気泳動の結果を示す。なお、
図3において「*」は、レーン2に基づく2kbpのDNAバンドを示す。実施例11の結果より、泳動バッファーとしてTAEを用いて電気泳動を行い、さらに、電気泳動を行った後の電気泳動用ゲルをエチジウムブロマイドで震盪することにより染色を行った場合であっても、グルコマンナンを0.1重量%含むアガロースゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて格段に高い分離能を示すことがわかる。また、実施例11と比較例10との結果の比較により、グルコマンナンを0.1重量%含むアガーゲルを用いることにより、特に0.1〜2kbpにおいて分離能が向上することがわかる。
【0100】
〔3.スラブ型電気泳動用ゲルの分離能の観察〕
加熱溶解により後述の組成のゲル化用溶液を調製し、3辺がシールされた2mm厚のガラス製のゲル板に流し込んだ。これに2mm厚の16サンプル用コームをセットし、室温に放置することでゲル化用溶液をゲル化させた。コームをゲル板から静かに外した後、ゲルを泳動槽に装着し、各スロットに5μLの電気泳動試料を静かに添加した。室温にて以下の条件で泳動後、ガラス板の間にスパーテルを挿入し一方側を持ち上げた。他方のガラス板に残っているゲルを静かに染色液に押し出し、所定時間、染色後、写真撮影した。ゲルの染色およびゲルの撮影は、実施例8と同様に行った。
図4にスラブ型電気泳動を用いた電気泳動用ゲルの泳動結果を示す。
【0101】
<泳動等の条件>
ゲル化用溶液:アガロースが1重量%、グルコマンナンが0.2重量%になるように、それぞれアガロース(Agarose S, ニッポンジーン社製)、ゲル添加剤をTAE緩衝液に加えた。;
ゲル板のサイズ(内寸):幅100mm、縦長100mm、厚さ1mm;
泳動槽:スラブ型(第一化学薬品株式会社、商品名 カセット電気泳動槽「DAIICH」ミニ二連式);
泳動条件:泳動バッファー;TAE、6V/cm、90min;
電気泳動試料:レーン1;0.1〜20KbpのDNA(Gene Ladder wide 2, ニッポンジーン社製); レーン2;0.1〜10KbpのDNA(Gene Ladder Fast 2, ニッポンジーン社製); レーン3;50bp DNA Ladder (TAKARA社製); レーン4;0.1〜2KbpのDNA(Gene Ladder 100,ニッポンジーン社製)。;一番左のレーン;PCR増幅により調製した550 bp,700bpの二つを加えたLambda phage/HindIII I digest(λ/HindIII)(ニッポンジーン社製)。
【0102】
<結果>
図4は、スラブ型電気泳動を用いた電気泳動用ゲルの電気泳動の結果を示す図である。左右の2セットでは、上記電気泳動試料をそれぞれ泳動している。サブマリン型電気泳動用ゲルと同様に、スラブ型電気泳動用ゲルでも、グルコマンナンの添加によってDNAの分離能の向上することがわかった。
図4には、撮影されたゲル全体を示しているが、作製したスラブ型電気泳動用ゲルは、電気泳動後であっても破れることがない十分な弾性を有する、取扱い性に優れたゲルであることがわかる。また、
図4より、各スロットに対応したDNAの泳動が観察されたことがわかる。
【0103】
なお、グルコマンナンを含まず1%アガロースを含むスラブ型電気泳動用ゲルは壊れてしまい、作製できなかった。