(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-157025(P2019-157025A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】エポキシ系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20190823BHJP
C08G 59/50 20060101ALI20190823BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20190823BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20190823BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20190823BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20190823BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08G59/50
C08K3/04
C08L21/00
C09J163/00
C09J11/08
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-47830(P2018-47830)
(22)【出願日】2018年3月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100190300
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 修
(72)【発明者】
【氏名】宮永 俊明
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4J002AC032
4J002AC082
4J002AC112
4J002BG032
4J002CD051
4J002CD061
4J002CP032
4J002DA037
4J002EN036
4J002EN046
4J002EV216
4J002FD012
4J002FD017
4J002FD097
4J002FD146
4J002GJ01
4J002GL00
4J036AD08
4J036AF06
4J036DC06
4J036DC09
4J036DC10
4J036FA02
4J036FB05
4J036JA06
4J040CA042
4J040EC061
4J040EC442
4J040HA026
4J040JA13
4J040KA02
4J040KA03
4J040LA05
4J040MA02
4J040NA12
4J040PA28
(57)【要約】
【課題】 本発明は、構造用鋼構造物の接着において、その接着部がある一定以上の面積を有し、且つある一定以上の厚みを有する接着部に対して、その接着部の隙間へ接着剤を注入する工法が可能であり、且つ注入及び硬化後に高い接着強度を有する注入もしくは充填型厚膜接着用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明では、常温で液状のエポキシ樹脂に脂肪族ポリアミン系硬化剤を配合した無溶剤で0.05Pa・s以上、50Pa・s以下の粘度である常温硬化型のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを式(I)
カーボンブラック粒子の配合量/コアシェル型ゴム粒子の配合量
=0.05〜2.5 式(I)
の配合比で合計0.6〜7重量部含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で液状のエポキシ樹脂に脂肪族ポリアミン系硬化剤を配合した、無溶剤で1Pa・s以上、50Pa・s以下の粘度である常温硬化型のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを式(I)
カーボンブラック粒子の配合量/コアシェル型ゴム粒子の配合量
=0.05〜2.5 式(I)
の配合比で合計0.6〜7重量部含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
常温で液状のエポキシ樹脂が、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、前記エポキシ樹脂100重量部に対して、脂肪族ポリアミン系硬化剤20〜60重量部からなる請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
カーボンブラック粒子が、平均粒子径が1〜80nmであり、かつ、遠心沈降法で測定したモード径が100〜250nmであり、かつ、DBP吸収量が100〜200ml/100gである請求項1及び請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
土木または建築工事における鋼構造物の接続部の接着剤として使用される請求項1〜3のいずれかに記載されたエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を、鋼構造物の接続部に設けられた開口幅2mm以上の接着隙間に注入もしくは充填して硬化させることで接合する構造用鋼構造物の接着工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造用鋼構造物の接着材料及びその接着工法に関するもので、従来のセメントやポリマーセメント、樹脂モルタルや樹脂組成物では実現できなかった簡便な接着工法を実現する注入型の接着材料を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
構造用構造物への接着剤の適用検討は古くから試みられてきた。しかしながら、構造用鋼構造物を化学的に接着させる工法は難しい面が多く、鋼構造物への接着接合における接合部の品質保証の方法の研究から、エポキシ接着剤やアクリル接着剤を使用した接着層内部には少なからず、はく離や欠陥が発生することが報告されている。
【0003】
特に大型の構造用鋼構造物は、その接着面積が必ずしも平面とは限らないことや、継手などでは必ず隙間が発生する。従ってその多くの接着の状態は、いわゆる一般の密着型の接着層とは異なってしまう。
【0004】
また、既存の接着剤では、接着層がある一定上の面積を有すると、本来の接着剤が有する接着強度が急激に低下することが知られているほか、接着層の厚みが厚くなるとその引張接着強度は急激に低下し、接着層の厚みが1mm程度であっても、密着時に比較して半分以下の強度になってしまうことも知られている。
【0005】
従って、例えば腐食部への接着接合継手の検討では、接着層が厚くなるほど、ボルトの軸力低下の程度が激しいことなどが指摘されてきた。
【0006】
特に鋼構造物は重量物であるために、通常材料の接着のように被接着体に接着剤を塗って被接着体どうしを重ねて接着させる例は稀有であり、最初に鋼構造物の構造を組み立てた後に、接着させるべき箇所の隙間に接着剤を注入して接着させることが多いのが現状である。
【0007】
すなわち、現在の鋼構造物の接着工法では、接着させる箇所はある一定上の厚みと接着面積を有しているのが一般的であり、また、接着部の隙間に接着剤を流し込む或いは注入する工法が求められているものの、前述の通り、従来の接着剤は、ある一定以上の接着面積や接着層の厚みを有すると急激にその接着強度は低下してしまう。
【0008】
そのため、鋼構造物の接着工法では、接着材料及びその工法でさまざまな検討がなされており、例えば、構造用材料の接着性を向上させるために、単に接着剤の機能向上のみを求めるのではなく、被接着物である構造体の構造の工夫や異種材料との組み合わせ策等が知られている。例えば、鋼材の継手間にゴム状弾性体を介在させる方法やH型鋼の一端のフランジの一部に空間層を介して被接着部材を覆設する工法などが報告されている。
【0009】
一方、接着性能をある程度犠牲にし、接着部の隙間を埋めて固定するという簡易接着工法があり、モルタルやセメントを流し込んで隙間を埋める工法が用いられている。しかしながら、モルタルやセメントは強度を発現する砕石等の骨材が含まれないため、それ自体の強度は得られず、比較的脆い接着体となってしまう。また、モルタルやセメントは施工後約15日以上の養生期間が必要であるために、工期が急がれる現場では必ずしも好ましい工法とは言えない。
【0010】
また一方、一般の接着剤に使用されているアクリル系樹脂組成物は、非常によい密着強度が得られる反面、硬化速度が速く、数分程度の可使時間となるため、通常の野外の施工現場で行われる作業においては逆に使いにくいという欠点がある。
【0011】
そこで近年、建築物の隙間を埋める材料としてエポキシ樹脂系のモルタル材料が普及してきた。これらは既に市販の多くの材料があり、一般のホームセンターでも購入することができ、建築物の小さな隙間やひび割れた箇所、欠けた箇所などに塗工したり流し込んだりすることによって簡便な補修工法用材料として広く普及し始めている。
【0012】
また、エポキシ樹脂は接着材料としても実績があり、施工後の硬化時間が半日から一晩程度であるために、モルタルやセメントと比較した場合に早期工期を実現できる材料であることや、一般の野外施工の作業においても扱いやすい可視時間であることから、モルタルのようなある程度の強度や剛性を実現するために、珪砂等の骨材を配合したエポキシ樹脂製モルタルは無機系のモルタルを代替する材料として着目されつつある。
【0013】
しかしながら、従来のエポキシ樹脂系のモルタルでは、従来の接着剤同様に、接着させる箇所がある一定以上の接着面積や接着層の厚みを有した場合、その接着強度が低下することや、骨材を配合するがゆえに、骨材以下の隙間には流し込めないこと或いは圧力をもって注入できないなどの欠点があり、接着部の隙間に接着剤を流し込む或いは注入する工法に対しては必ずしも最適なものとは言えず、その使用箇所は制限されていた。
【0014】
そのため、近年では、エポキシ樹脂系接着剤を基本として、被接着体である鋼構造物の接着部の構造を改良とする方法や、エポキシ樹脂製接着剤に各種フィラーや添加剤を配合して、構造用鋼構造物向けの接着剤として開発を試みる事例が増えており、例えば特許文献1では、エポキシ樹脂系接着剤にカーボンブラックとアクリル樹脂系粉末樹脂を配合したスチール家具や車両用の構造接着材料が提案されている。
【0015】
しかしながら、当該特許文献のエポキシ樹脂組成物及び工法は、スポット溶接と併用することによって構造体を接着・固定するものであって、配合されているアクリル樹脂系粉末とカーボンブラックは、接着剤組成物のプレゲル化と溶接時のナゲット生成のための助剤としての効果を期待したものである。また、用途としても継手のような隙間に接着剤組成物を注入もしくは充填することによって構造物を樹脂組成物のみで接着・固定することを想定したものではない。
【0016】
また、特許文献2では、20℃で液状のエポキシ樹脂を主剤とし、NBRおよびSBRから選ばれるゴム成分を含み、カーボンブラックも配合可能な塗布時は低粘度な構造用接着剤が提案されている。しかしながら、鋼構造物の隙間に流し込むための低い粘性が求められる現場施工においては20℃における見掛け粘度が200〜500Pa・sであることは好ましいとは言えず、さらに潜在性硬化剤を使用しているので接着剤の硬化のために加熱処理が必要となるために作業が大掛かりとなり時間も要するため好ましいとは言えない。
【0017】
上述の通り、構造用鋼構造物の接着をエポキシ樹脂系接着剤で試みようとする研究事例や開発事例は多いものの、実用的な工法として効果的且つ大幅な接着強度の向上を簡便な方法で実現した事例は見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2016−56259号公報
【特許文献2】特開2013−253131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
鋼構造物等の接着に対して、樹脂系接着剤やモルタル、セメント、近年は、珪砂等を配合した樹脂製モルタルなどが存在するものの、簡便且つ安価な施工方法で、且つ、本来の接着性能を満たした事例は見られない。
本発明の目的は、構造用鋼構造物の接着において、その接着部がある一定以上の面積を有し、且つある一定以上の厚みを有する接着部に対して、その接着部の隙間へ接着剤を注入して硬化させることにより固定する工法が可能であり、且つ注入及び硬化後に高い接着強度を有する注入もしくは充填型の厚膜接着用エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明者らはこれらの欠点を改善すべく鋭意検討した結果、常温で液状であり、かつ速硬化型の熱硬化性樹脂と適切なコアシェル型ゴム粒子とある仕様の粒子構造を有するカーボンブラック粒子を、適切な配合比率で混合することによって、注入性に優れ、硬化後、鋼構造物との優れた接着性及び一般構造用圧延鋼材とのせん断強度を有する鋼構造用の無溶剤の液状樹脂系接着剤を実現した。
即ち、本発明の発明者は、常温で液状のエポキシ樹脂に脂肪族ポリアミン系硬化剤を配合した、無溶剤で1Pa・s以上、50Pa・s以下の粘度である常温硬化型のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを式(I)
カーボンブラック粒子の配合量/コアシェル型ゴム粒子の配合量
=0.05〜2.5 式(I)
の配合比で合計0.6〜7重量部含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物とすることにより、本発明を完成するに至った。
より詳細には、本発明は、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールF型エポキシ主剤と脂肪族ポリアミン系硬化剤からなる常温硬化型の熱硬化性エポキシ系樹脂組成物と、コアシェル型ゴム粒子及びカーボンブラック粒子を含有し、硬化前常温において流動性を有する粘度を有し、常温硬化型の熱硬化性エポキシ系樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを上記式(I)の配合比で合計0.6〜7重量部からなる厚み2mm以上の接着隙間を有する接着部に注入して硬化させることで前記鋼構造物を接着させることが可能なエポキシ樹脂組成物である。
【0021】
本願発明は、以下の(1)〜(5)に存する。
(1)常温で液状を示すエポキシ樹脂と脂肪族ポリアミン系硬化剤を含む、0.05Pa・s以上50Pa・s以下の粘度である無溶剤の常温硬化型のエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを式(I)
カーボンブラック粒子の配合量/コアシェル型ゴム粒子の配合量
=0.05〜2.5 式(I)
の配合比で合計0.6〜7重量部含む、50Pa・s以下の粘度を示すエポキシ樹脂組成物。
(2)常温で液状を示すエポキシ樹脂組成物が、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、前記エポキシ樹脂100重量部に対して、脂肪族ポリアミン系硬化剤を20〜60重量部配合されているエポキシ樹脂組成物。
(3)カーボンブラック粒子が、平均粒子径が1〜80nmであり、かつ、遠心沈降法で測定したモード径が100〜250nmであり、かつ、DBP吸収量が100〜200ml/100gであるエポキシ樹脂組成物。
(4)土木または建築工事における鋼構造物の接続部の接着剤として使用されるエポキシ樹脂組成物
(5)鋼構造物の接続部に設けられた開口幅2mm以上の接着隙間にエポキシ樹脂組成物を注入もしくは充填して硬化させることにより接合する鋼構造物の接着工法。
【発明の効果】
【0022】
常温硬化型の熱硬化樹脂に対して選定された配合量のコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラック粒子を適切に複合化すると、注入工法での使用が可能、厚膜を形成した接着が可能な、鋼構造物用のエポキシ樹脂接着剤を得ることができる。
従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、厚膜を形成した接着に用いられることで、コアシェル型ゴム粒子等による弾性を有するが故に捻じれ等のせん断力以外の外力に対して強く、また、硬化後の樹脂自体も耐破壊性が増強されたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、鋼構造物の接着部に注入もしくは充填し、硬化させることで鋼構造物を接着、固定するためのものであり、常温硬化型で液状のエポキシ樹脂と、脂肪族ポリアミン硬化剤、コアシェル型ゴム粒子、及びカーボンブラックを含有する。
注入型で且つ、充分な接着強度を得るために、本発明では、室温硬化型の熱硬化樹脂に対して最適となるコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックの配合比率を見出した。これらの配合比率は、得られる樹脂組成物の粘度を下げるため、単に配合後の樹脂組成物の強化効果が得られるだけではなく、注入性などの施工面でのメリットを得ることも可能とする。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有するコアシェル型ゴム粒子及びカーボンブラック粒子は、エポキシ樹脂への柔軟性の付与と発生した亀裂の進展を抑制するためのものであって、常温硬化型で液状のエポキシ樹脂に脂肪族ポリアミン硬化剤を配合した樹脂組成物100重量部に対してコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラックとを次式(I)
カーボンブラックの配合量/コアシェル型ゴム粒子の配合量
=0.05〜2.5 式(I)
の配合比で合計0.5〜7重量部、好ましくは1〜5重量部配合される。
常温硬化型で液状エポキシ樹脂に脂肪族ポリアミン硬化剤を配合した樹脂組成物100重量部に対して、コアシェル型ゴム粒子とカーボンブラック粒子の配合量が上記範囲外となると補強効果を得るためのせん断強度が得られなくなるほか、配合量が多くなることによる樹脂組成物の粘度上昇で隙間への注入が困難になり、空隙を生じやすくなるために接着剤としての強度が低下してしまう。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化前は常温において鋼構造物の接着部である隙間に注入するため、粘度が50Pa・s以下であることが、簡便な注入が可能なために好ましく、より好ましくは30Pa・s以下、より更に好ましくは、25Pa・s以下である。
接着層の厚膜を形成するため、粘度1Pa・s以上であり、好ましくは、1.0Pa・s以上であり、より更に好ましくは、5.0Pa・s以上である。
なお、上記の粘度範囲は、例えば、1液型である場合は開封直後、施工前にエポキシ樹脂に硬化剤を配合する2液型である場合は、主剤と硬化剤を混合した直後の粘度である。
【0026】
〔エポキシ樹脂〕
本発明のエポキシ樹脂組成物の用途に対しては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の常温硬化型の熱硬化樹脂も使用することができるが、施工面への接着性や硬化物の強度等などからエポキシ樹脂の使用が好ましい。前記エポキシ樹脂は、液状であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。前記エポキシ樹脂は、例えば、ポリオールから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、活性水素を複数有するアミンより得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸より得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシドなどが用いられる。かかるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができるが、性能並びに経済性上、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、クレゾールノボラック型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の2官能以上の液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の粘度は25℃で1〜50Pa・sの範囲にあることが望ましく、より好ましくは5〜25Pa・sである。粘度が1Pa・s以下であると、エポキシ樹脂組成物としたときに塗工時に垂れやすく、厚膜を形成することが難しくなるほか、必要な強度が得られない等の問題がある。また、粘度が50Pa・s以上であるとフィラーの混練がし難くなるほか、エポキシ樹脂組成物の粘度が高すぎて塗工が出来なくなる問題が起きる。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させるために使用する硬化剤は、常温での硬化が可能となるものであれば酸無水物系やアミン系等、特に制限されないが、現場での可使時間や環境等を考慮するとアミン系硬化剤が好ましい。アミン系硬化剤は、例えば、ジエチレントリアミンといった脂肪族ポリアミンやイソホロンジアミンといった脂環式ポリアミン、ジアミノジフェノルスルフォンといった芳香族アミン、およびこれらの変性物が挙げられるが、特に粘度が0.01〜10Pa・sの範囲にある液状の脂肪族ポリアミンおよびその変性物が室温で短時間硬化が可能であり、実施工時に容易に混合できるために、より好ましく使用できる。
また、硬化剤の配合比については特に制限するものではないが、主剤となるエポキシ樹脂100重量部に対して、硬化剤の割合が20〜60重量部になるようなアミン価を有するものが好ましい。
【0028】
〔コアシェル型ゴム粒子〕
本発明で使用されるゴム粒子は、コア部がゴム成分で、シェル部にマトリックス樹脂と相溶し易い成分からなる2層構造を有する。ゴム成分を特に制限するものではなく、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム(PB)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレンーエチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SEBS)などが一般的である。シェル部の成分も特に制限するものではないが、本特許においてはエポキシ樹脂組成物をマトリックスとするため、コア部であるゴム成分の周りのシェル部の分子鎖がビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型のエポキシ成分や臭素化エポキシ成分、グリシリルアミン型エポキシ成分で構成していることが好ましく、原材料コストを考えた汎用的な面で、ビスフェノールA型エポキシ成分及び/又はビスフェノールF型エポキシ成分、フェノールノボラック型エポキシ成分であることがより好ましい。
上記コアシェル型ゴム粒子を配合することによって、エポキシ樹脂組成物が柔軟性を付与することができるため、硬化時の収縮による応力の緩和や鋼構造体の膨張・収縮、外部からの衝撃に追従可能な、接着剤として好ましい性質を有するエポキシ樹脂組成物を得ることができる。なお、コアシェル型ゴム単味での配合量としては0.5〜2重量部の範囲内となるように調整されることが好ましい。
【0029】
〔カーボンブラック粒子〕
本発明に使用されるカーボンブラック粒子は、平均粒子径が1〜80nmであり、かつ、遠心沈降法で測定したモード径が100〜250nmであり、かつ、DBP吸収量が100〜200ml/100gであることが好ましい。
【0030】
本発明において、カーボンブラック粒子の一次粒子径とは、カーボンブラック粒子の一次粒子を球として近似した場合の直径を意味し、具体的には、透過型電子顕微鏡で直接測定した一次粒子径を指す。本発明のカーボンブラック粒子は、一次粒子径が30〜60nmの範囲にあり、35〜45nmの範囲にあることが好ましい。一次粒子径が30nmに満たないと、カーボンブラック粒子の凝集が生じやすくなり、エポキシ樹脂に混合した際に、樹脂マトリックス内に分散している粒子の大きさが必ずしも一次粒子径と等しくなくなる為に好ましくなく、また、60nmを超えると粒子を起点とする応力集中が生じやすくなり、せん断強度を十分に発現する性能が得られない為、好ましくない。
【0031】
また、カーボンブラック粒子の微細構造において、一次粒子は1個単体で存在しているか又は複数個が凝集してストラクチャーを形成している。一次粒子の凝集状態は、遠心沈降法で測定したモード径を尺度として示すことができる。本発明に使用されるカーボンブラックの遠心沈降法で測定されたモード径は、100〜250nmの範囲にあることが好ましく、150〜200nmの範囲にあることが特に好ましい。ここでいう遠心沈降法で測定されたモード径とは、遠心沈降法で測定した円相当径を示すものである。粒子(モード)径が100nmより小さくなると、カーボンブラック粒子の凝集等が生じやすく、逆に一次粒子径が250nmより大きくなると期待するせん断強度の向上が得られない。
【0032】
また、本発明で使用するカーボンブラック粒子は、その粒子のつながり長さを示すDBP吸収量が100〜200ml/100gの範囲にあることが好ましい。ここでいうDBP吸収量とは、一般的にカーボンブラック粒子の品質管理等に用いられるフタル酸ジブチル又はパラフィンオイルのオイル吸収量であり、例えば、JIS K6217 ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験法に記載された測定方法によって得ることができる。DBP吸収量が100ml/100gに満たないと期待するせん断強度の向上が得られず、逆にDBP吸収量が200ml/100gを超えるとカーボンブラック粒子の製造が困難となるため、汎用的に使用するには現実的ではない。
【0033】
上記より、本発明で使用するカーボンブラック粒子は、遠心沈降法で測定されたモード径が100〜250nmであり、かつその粒子のつながり長さを示すDBP吸収量が100〜200ml/100gであることが好ましい。このようなカーボンブラック粒子を配合することにより、粘度の大幅な上昇を招くことなく樹脂組成物内に発生した亀裂の進展をカーボンブラック表面で抑止し、コアシェル型ゴム粒子との併用によって大きな効果を発揮する。なお、カーボンブラック単味の配合量としては、0.1〜5重量部の範囲内に入るように調整されることが好ましい。
【0034】
本発明で使用されるカーボンブラック粒子は、上記特性を示すものであれば特に製法は限定されないが、好ましくはファーネス法、チャンネル法、アセチレン法がよく、より好ましくはファーネス法により製造されたカーボンブラック粒子がよい。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その粘度を調整するために反応性希釈材を添加することができる。ここで、反応性希釈剤とは、1官能性もしくは2官能性の低分子量のエポキシ樹脂であり、粘度が1Pa・s以下であることが特徴の低粘性のエポキシ樹脂のことを意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることができる反応性希釈剤は、例えば、YED111N、YED122、YED216(いずれも三菱化学社製)、ネオトートS、YH−300、PG−207GS、ZX−1658(いずれも新日鉄住金化学社製)、BGE−C、BEG−R、SY−25L、SY−35M、SY−40M、PGE、SY−OCG、m,p−CGE、SY−OPG、SR−NPG、SR−14BL、SR−14BJ、SR−16H、SR−16HL、SR−16HJ、SR−TMP、SR−TMPL、SRB−301、SR−PG、SR−TPG、SR−4PG、SR−PTMG、SR−CF2、SR−HHPA、SR−2EGS、SR−8EGS、SR−GLG、SR−DGE(いずれも阪本薬品工業社製)、Epodil741、Epodil749、Epodil757(いずれもAir Products社製)、エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(いずれも共栄社化学社製)等が例示されるが、これらに限られるものではない。
【0036】
また、本発明では充填もしくは注入型接着用樹脂組成物として求められる物性を損なわない範囲内で、マトリックス樹脂に使用したエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂、無機フィラー、有機フィラーの併用混合、さらには紫外線防止剤や熱劣化防止剤、酸化防止剤、流動調整剤等の添加剤を併用混合しても良い。
【0037】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(主剤)と硬化剤が別々に提供され、使用者が使用直前に両者を混合する二液型の材料が好ましい。二液型とすることによって、反応性の高い硬化剤を使用することができ、現場での短時間の施工が可能となる他、主剤と硬化剤を別々に保管するため、保管条件に特に制限なく長期保管でき、必要に応じて速やかに施工を行うことができる。
【0038】
〔製造方法〕
本発明の製造方法を限定するわけではないが、本発明の注入型接着用樹脂組成物の製造では、一般のヘリカルミキサーやヘンシェルミキサー、ダルトン型ミキサー、遠心分離ミキサー等の混合機を使用することが好ましい。これらの混合において減圧すると、混合物に内包される気泡が除去できるため、より好ましい。
【0039】
また、本発明の樹脂組成物と製造方法を限定するものではないが、野外の施工現場での塗工作業性の簡便さより、樹脂と硬化剤は塗工作業直前に混合することが望ましい為、例えば、主剤樹脂ワニスへコアシェル型ゴム粒子及びカーボンブラック粒子を事前に混合した混合物を準備し、注入作業直前にその混合物に必要量の主剤樹脂ワニス又は硬化剤を添加混合して使用することが好ましい。なお、その際、事前に準備する混合物は、主剤とコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラック粒子を混合したものでもよいし、どちらか一方を混合し、且つ使用する硬化剤にカーボンブラック粒子を混合したものを準備する方法でもよい。施工時の簡便性を考えれば、主剤樹脂ワニスとコアシェル型ゴム粒子とカーボンブラック粒子を混合した混合物ワニスを準備し、塗工作業直前に硬化剤を混合する方法が好ましい。一方、硬化剤とカーボンブラック粒子を混合した混合物ワニスを準備し、塗工作業直前に主剤樹脂ワニスを混合する方法も好ましいが、より好ましくは、主体となる混合物を粘度の高いものとし、粘度が低い方を添加する方式の方が実施工上的にはハンドリング性がよい。施工現場での混合方法については特に制限するものではないが、ドラム缶装着型の混合機や、ハンディタイプの混合機で混合する方法が、簡便で、施工時の作業負担が少ないという観点から好ましい。ドラム缶装着型の混合機の例としては、清健製マゼール等が、ハンディタイプの混合機の例としては、ハンディタイプの大塚刷毛製マザール等が挙げられる。
【0040】
本発明の樹脂組成物を限定するものではないが、主剤樹脂ワニスと硬化剤を混合した混合物について、その可使時間は、施工作業上、30分以上、好ましくは、1時間以上であり、5時間以下、より好ましくは、3時間以下である。
【0041】
〔施工方法〕
注入方法
注入方法は、主剤ワニスと硬化剤ワニスを混合したエポキシ樹脂組成物を、構造用鋼構造物の接着部の隙間に注入もしくは充填できる方法であれば特に制限がなく、一般に用いられているコーキングガンや電動式注入器、ポンプを使用した注入器などを用いることができる。硬化方法は、常温硬化が可能であるが、必要に応じて加熱する等、一般的に用いられる方法を用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の注入型接着用樹脂組成物について実施例と比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
【0043】
[カーボンブラックの一次粒子径]
カーボンブラックの一次粒子径は、透過式電子顕微鏡(TEM)にて樹脂内に分散されたカーボンブラック粒子の撮影を行い、その画像解析にて測定を行った。
【0044】
[カーボンブラックの比表面積]
カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217−2:2001 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法の試験法に基づいて測定を行った。
【0045】
[カーボンブラックの遠心沈降法により測定されたモード径]
カーボンブラックのモード径は、JIS K6217−6:2008 ゴム用カーボンブラック−基本特性−第6部:ディスク遠心光沈降法による凝集体分布の求め方に基づいて測定を行った。
【0046】
[DBP吸収量]
カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217−4:2008 ゴム用カーボンブラックの基本特性−第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)の試験法に基づいて測定を行った。
【0047】
[せん断接着強度の測定]
本発明における熱可塑性樹脂組成物と一般構造用圧延用鋼材SS400との引張せん断強度による接着強度の評価測定は、JIS K6850 接着剤−剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法に準じた2面せん断試験を行った。
【0048】
〔粘度の測定〕
東機産業(株)製B型粘度計、TVB−10を用いて25℃での粘度を測定した。
【0049】
〔可使時間〕
可使時間は、JIS K6870:2008の多成分接着剤のポットライフ(可使時間)の求め方に準じた試験法に基づいて測定を行った。
【0050】
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
新日鉄住金化学株式会社製のエポキシ樹脂YD−128(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、粘度12Pa・s)と株式会社T&K TOKA製硬化剤FDX−821F(変性脂環式ポリアミン硬化剤、粘度0.05Pa・s)を各種配合比で混合した樹脂組成物100重量部に対して、カネカ製コアシェルゴム粒子MX−154(ゴム成分は40%)と、一次粒子径40nm、モード径165nm、給油量160ml/100gの新日鉄住金化学株式会社製のカーボンブラック粒子を各種配合比で添加して、混合機にてエポキシ樹脂系組成物を製造し、それぞれの2面せん断強度と可使時間を測定した。これらの製造及び試験体の作製はすべて室温条件下にて実施した。2面せん断試験用の試験体では、SS400の鋼材試験体を使用し、スペーサによって厚み3mmの接着厚みとして、接着長さ40mm、接着巾を13mmとした接着層隙間を設け、その隙間に注射器にて評価用樹脂組成物を注入し、そのまま室温下で一晩放置して硬化させ、さらに放置後7日後に2面せん断試験を実施した。一方、可使時間の測定は主剤と硬化剤を混合した100gの混合後の硬化発熱量を測定し、最大温度到達時間より求めた。表1に実施例1〜4と比較例1〜3を示す。表1中、重量部は、主剤と硬化剤を配合した樹脂組成物100重量部に対しての値である。
【0051】
【表1】
【0052】
〔実施例5、比較例4〜6〕
新日鉄住金化学株式会社製のエポキシ樹脂YD−128(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、粘度12Pa・s)と株式会社T&K TOKA製硬化剤FDX−821F(変性脂環式ポリアミン硬化剤、粘度0.05Pa・s)を各種配合比で混合した樹脂組成物100重量部に対して、カネカ製コアシェルゴム粒子MX−154を2重量部(ゴム成分は40%の0.8重量部)、一次粒子径40nm、モード径165nm、給油量160ml/100gの新日鉄住金化学株式会社製のカーボンブラック粒子2重量部を添加して、混合機にてエポキシ樹脂系組成物を製造し、それぞれの2面せん断強度と可使時間を測定した。また、比較のために、構造用接着剤3M製アクリル樹脂系組成物DP−810についても同様の評価を行った。これらの製造及び試験体の作製はすべて室温条件下にて実施した。2面せん断試験用の試験体では、SS400の鋼材試験体を使用し、スペーサによって厚み6mmの接着厚みとして、接着長さ40mm、接着巾を13mmとした接着層隙間を設け、その隙間に注射器にて評価用樹脂組成物を注入し、そのまま室温下で一晩放置して硬化させ、さらに放置後7日後に2面せん断試験を実施した。一方、可使時間の測定は主剤と硬化剤を混合した100gの混合後の硬化発熱量を測定し、最大温度到達時間より求めた。表2に実施例5と比較例4〜6を示す。表2中、重量部は、主剤と硬化剤を配合した樹脂組成物100重量部に対しての値である。
【0053】
【表2】
【0054】
〔実施例6、比較例7〜8〕
新日鉄住金化学株式会社製のエポキシ樹脂YD−128(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、粘度12Pa・s)と株式会社T&K TOKA製硬化剤FDX−821F(変性脂環式ポリアミン硬化剤、粘度0.05Pa・s)を各種配合比で混合した樹脂組成物100重量部に対して、カネカ製コアシェルゴム粒子MX−154を2重量部(ゴム成分は40%の0.8重量部)、各種構造を有する新日鉄住金化学株式会社製のカーボンブラック粒子0.5重量部を添加して、混合機にてエポキシ樹脂系組成物を製造し、それぞれの2面せん断強度と可使時間を測定した。これらの製造及び試験体の作製はすべて室温条件下にて実施した。2面せん断試験用の試験体では、SS400の鋼材試験体を使用し、スペーサによって厚み6mmの接着厚みとして、接着長さ40mm、接着巾を13mmとした接着層隙間を設け、その隙間に注射器にて評価用樹脂組成物を注入し、そのまま室温下で一晩放置して硬化させ、さらに放置後7日後に2面せん断試験を実施した。一方、可使時間の測定は主剤と硬化剤を混合した100gの混合後の硬化発熱量を測定し、最大温度到達時間より求めた。表3に実施例6と比較例7〜8を示す。表3中、重量部は、主剤と硬化剤を配合した樹脂組成物100重量部に対しての値である。
【0055】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、構造用鋼構造物の厚膜接着に用いることができ、一般的な鋼構造物を初め、金属管の接合等、幅広い分野の構造用接着に用いることができる。