【解決手段】使い捨ておむつ1は、前記おむつ本体2と前記ファスニング部材60とが、反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物80により固定されており、前記反応性ウレタンホットメルト接着剤が、数平均分子量が500〜10000のポリエステルポリオールを含有するポリオール組成物と、ジイソシアネートを含有し、かつ、ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体を含有しないポリイソシアネート組成物とを反応させて得られたものであり、反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化前のイソシアネート基の含有率が0.8質量%〜5質量%であり、反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物の弾性率が0.1MPa〜50MPaであることを特徴とする。
前記ポリエステルポリオールが、構成成分として、炭素数が2以上のアルキレン構造を有するジオール、または、炭素数が2以上のアルキレン基を有するジカルボン酸を含有するものである請求項1に記載の使い捨ておむつ。
前記ジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、および、イソホロンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
前記ポリオール組成物中のヒドロキシ基とポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基とのモル比(イソシアネート基/ヒドロキシ基)が、1.2〜3.0である請求項1〜3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
前記ファスニング部材と、前記ファスニング部材と接合される前記おむつ本体の素材との剥離時間が1000分以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の使い捨ておむつは、ファスニング手段を有している。前記ファスニング手段は、おむつ本体に接合されたファスニング部材と、ファスニング部材の肌面側に設けられた第1止着部と、前記おむつ本体の前方側の部分における外面側に設けられ、前記第1止着部が着脱自在に止着される第2止着部とから構成されている。そして、前記ファスニング部材は、前記おむつ本体と、反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物により固定されている。
【0012】
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤は、湿気硬化型接着剤であり、空気中の水分と反応することで、三次元架橋を形成して硬化する。つまり、反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物は耐熱性が非常に優れている。よって、本発明の使い捨ておむつは、着用者が暖房器具を使用し、おむつ本体とファスニング部材との接合部が温められた場合でも、ファスニング部材のおむつ本体からの脱離を抑制できる。また、反応性ウレタンホットメルト接着剤は、従来のホットメルト同様に溶融状態で塗布することができ、かつ、冷却固化させることで非接着物を固定できる。よって、反応性ウレタンホットメルト接着剤を使用すれば、従来の製造設備を使用することができ、かつ、生産性の低下も抑制できる。
【0013】
(反応性ウレタンホットメルト接着剤)
まず、ファスニング部材の固定に使用する反応性ウレタンホットメルト接着剤について説明する。前記反応性ウレタンホットメルトは、湿気硬化型である。前記反応性ウレタンホットメルト接着剤は、分子鎖の末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを含有する。
【0014】
前記ポリウレタンプレポリマーは、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを反応させて得られたものである。
【0015】
前記ポリオール組成物は、数平均分子量が500〜10000のポリエステルポリオールを含有する。前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上であり、10000以下が好ましく、より好ましくは8000以下、さらに好ましくは5000以下である。前記ポリエステルポリオールの数平均分子量が500未満では硬化物の弾性率が高くなりすぎ、接着物の風合いが低下し、10000超では溶融粘度が高く塗布が困難となる。なお、ポリオール成分の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラムを用いて測定すればよい。
【0016】
前記ポリエステルポリオールは、分子中に2つのヒドロキシ基を有するジオールと、分子中に2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸とを、反応させて得られたものが好ましい。また、前記ポリエステルポリオールは、分子中に2つのヒドロキシ基を有するものが好ましい。
【0017】
前記ジオールとしては、アルカンジオール、アルカンジオールの重合体などが挙げられる。前記アルカンジオールの炭素数は、2以上が好ましく、10以下が好ましく、より好ましくは5以下である。前記アルカンジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレンジオール;1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの分岐鎖を有するアルカンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環構造を有するアルカンジオールが挙げられる。前記アルカンジオールの重合体としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。前記ジオールは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸、アリールジカルボン酸が好ましく、直鎖のアルキレンジカルボン酸がより好ましい。前記アルキレンジカルボン酸のアルキレン基の炭素数は、2以上が好ましく、10以下が好ましく、より好ましくは5以下である。前記アルキレンジカルボン酸としては、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)などの直鎖のアルキレンジカルボン酸が挙げられる。前記アリールジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。前記ジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
前記ポリエステルポリオールは、構成成分として、炭素数が2〜5のアルキレン構造を有するジオール、または、炭素数が2〜5のアルキレン基を有するジカルボン酸を含有するものが好ましい。このようなポリエステルポリオールを使用することで、適度な柔軟性や結晶性を付与することができる。
【0020】
前記ポリオール組成物は、数平均分子量が500〜10000のポリエステルポリオールを複数種類含有してもよい。前記数平均分子量が500〜10000のポリエステルポリオールの構成としては、例えば、構成成分として、炭素数2〜5のアルカンジオール、および、アルキレン基の炭素数が2〜5のアルキレンジカルボン酸を含有するポリエステルポリオール;構成成分として、炭素数2〜5のアルカンジオールの重合体、および、アリール基の炭素数が6〜10のアリールジカルボン酸を含有するポリエステルポリオール;構成成分として、炭素数2〜5のアルカンジオール、アルキレン基の炭素数が2〜5のアルキレンジカルボン酸、および、アリール基の炭素数が6〜10のアリールジカルボン酸を含有するポリエステルポリオール;などが挙げられる。
【0021】
前記ポリオール組成物は、前記ポリエステルポリオール以外の他のポリオール成分を含有してもよい。この場合、前記ポリオール組成物中の前記ポリエステルポリオールの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、前記ポリオール組成物が、前記数平均分子量が500〜10000のポリエステルポリオールのみを含有することも好ましい。特に、ポリオール組成物が、分子中に2つのヒドロキシ基を有する化合物(ジオール化合物)のみ含有することも好ましい。
【0022】
前記ポリオール組成物が含有する他のポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、数平均分子量が500未満または10000超のポリエステルポリオール、などが挙げられる。
【0023】
前記ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートを含有し、かつ、ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体を含有しない。
【0024】
前記ジイソシアネートは、分子中に2つのイソシアネート基を有する。前記ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、および、イソホロンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。これらの中でも反応性や経済的観点からジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。前記ジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体を含有しない。また、前記ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートのビュレット変性体、ジイソシアネートのアロファネート体を含有しないことが好ましい。
【0026】
前記ポリイソシアネート組成物は、分子中に3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含有してもよい。この場合、前記ポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、前記ポリイソシアネート組成物が、ジイソシアネートのみ含有することも好ましい。
【0027】
前記分子中に3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートなどのトリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタン‐2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのテトライソシアネート;などが挙げられる。
【0028】
前記ポリオール組成物と前記ポリイソシアネート組成物とを反応させてポリウレタンプレポリマーを作製する方法は、従来公知の方法を採用すればよい。
【0029】
前記ポリウレタンプレポリマーを合成する際のポリオール組成物中のヒドロキシ基とポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基とのモル比(イソシアネート基/ヒドロキシ基)は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.6以上であり、3.0以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.0以下である。前記モル比が1.2以上であれば高分子量化して溶融粘度が上昇することが抑制され、合成が容易となり、3.0以下であれば湿気硬化時の発泡を抑制できる。
【0030】
前記ポリウレタンプレポリマーの数平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上であり、20000以下が好ましく、より好ましくは8000以下、さらに好ましくは6000以下である。前記ポリウレタンプレポリマーの数平均分子量が500以上であれば接着直後に実用的な初期接着性が得られやすくなり、20000以下であれば溶融時に塗布しやすくなる。なお、ポリウレタンプレポリマーの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラムを用いて測定すればよい。
【0031】
前記ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基の含有率は、0.8質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。前記イソシアネート基の含有率が0.8質量%以上であれば湿気硬化後の硬化物の耐熱性がより向上し、5.0質量%以下であれば湿気硬化時の発泡を抑制できる。前記イソシアネート基の含有率は、JIS K 1603−1(2007)のA法によって求められる。
【0032】
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤は、前記ポリウレタンプレポリマーに加えて、必要に応じて、ポリウレタン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル共重合体、スチレン−共役ジェンブロック共重合体等の熱可塑性ポリマー、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等の粘着付与樹脂、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリオクチルアミン等の触媒、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、充填剤などを含有してもよい。
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤中の前記ポリウレタンプレポリマーの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0033】
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化前のイソシアネート基の含有率は、0.8質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。前記イソシアネート基の含有率が0.8質量%未満では湿気硬化後に十分な耐熱性が得られない場合があり、5.0質量%超では湿気硬化時に発泡を生じやすくなる傾向がある。前記イソシアネート基の含有率は、JIS K 1603−1(2007)のA法によって求められる。
【0034】
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物の弾性率は、0.1MPa以上が好ましく、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.5MPa以上であり、50MPa以下が好ましく、より好ましくは20MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。前記硬化物の弾性率が0.1MPa未満では十分な接着性が得られない場合があり、50MPa超では接着物の風合いが低下する。
【0035】
(使い捨ておむつ)
次に、使い捨ておむつの構造について説明する。前記使い捨ておむつは、おむつ本体と、前記おむつ本体の後方部の両側縁部にそれぞれ接合され、前記おむつ本体から横方向の外方側に延びる左右のファスニング部材と、前記左右のファスニング部材の肌面側にそれぞれ設けられた第1止着部と、前記おむつ本体の前方部の外面側に設けられ、前記第1止着部が着脱自在に止着される第2止着部と、を有する。
【0036】
前記おむつ本体は、液体を吸収する吸収コアを有し、着用者にあてがわれる。前記おむつ本体は、前方部、股部、後方部を有する。前記前方部が着用者の腹側、前記後方部が着用者の背側、前記股部が着用者の股下にそれぞれあてがわれる。なお、前記おむつ本体およびファスニング部材において、着用時に着用者の肌に対向する側が肌側であり、この肌側の裏面が外面側である。
【0037】
前記おむつ本体は、液体を吸収する吸収コアを有する。吸収コアは、着用者が排泄した排泄液(例えば、尿、便に含まれる水分)を吸収し、保持する。具体的には、吸収コアは、吸水性樹脂粉末および/または吸水性繊維を含有する。前記吸水性樹脂粉末としては、従来吸収性物品に使用されているものを使用できる。前記吸水性繊維としては、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維などが挙げられる。前記吸収コアの平面視形状は特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型などが挙げられる。
【0038】
前記おむつ本体は、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシート、前記吸収コアの外面側に配置されたバックシートを有することが好ましい。
【0039】
前記トップシートは、透液性を有し、着用者からの排泄液を速やかに透過する。前記トップシートとしては、親水性繊維により形成された不織布が挙げられる。前記親水性繊維としては、セルロース、レーヨン、コットンなどが挙げられる。前記不織布としては、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布が挙げられる。
【0040】
前記バックシートは、透液性シートおよび不透液性シートのいずれでもよいが、不透液性シートが好ましい。不透液性シートであれば、バックシートに到達した排泄液が、おむつ本体の外面側にしみ出すのを防止できる。不透液性シートとしては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMMS(スパンボンド・メルトブロー・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用できる。また、前記バックシートは、不透液性シートと、この不透液性シートの外面側に張り合わされた不織布から構成された積層シートを使用してもよい。
【0041】
前記おむつ本体は、肌面側に左右のサイドシートを有してもよい。左右のサイドシートは、トップシートの肌面側において、横方向(幅方向)に間隔をあけて縦方向(前後方向)に沿って設けられ、トップシートから離反する方向(肌面側)に起立可能と構成される。左右のサイドシートの先端(起立した際の上端)に前後方向に伸長された弾性部材が配置されており、この弾性部材の収縮力によってサイドシートが着用者の肌面側に起立する。このサイドシートおよび弾性部材によって立体ギャザーが構成され、この立体ギャザーによって排泄された尿、便の横漏れが防止される。前記サイドシートは、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布が使用できる。
【0042】
前記おむつ本体は、前方部の外面側に第2止着部が設けられている。この第2止着部は、後述するファスニング部材に設けられた第1止着部が着脱自在に止着できる。前記第2止着部を設ける位置や範囲は、後述するファスニング部材の形状、第1止着部の位置に応じて適宜調節すればよい。
【0043】
本発明の使い捨ておむつは、ファスニング部材を有する。前記ファスニング部材の材質は特に限定されず、着用時に使い捨ておむつを止着できる強度を有していればよい。前記ファスニング部材の材質としては、不織布、樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0044】
前記左右のファスニング部材は、前記おむつ本体の後方部の両側縁部に接合されており、おむつ本体から横方向の外方側に延びるように形成されている。また、前記左右のファスニング部材は、肌面側に第1止着部が設けられている。これらの左右の一対のファスニング部材と、これらのファスニング部材に設けられた第1止着部と、前記おむつ本体に設けられた第2止着部とによって、ファスニング手段が構成される。前記ファスニング手段は、使い捨ておむつを着用する際に、おむつ本体の前方部と後方部とを止着し、腰回りを形成するのに用いられる。
【0045】
前記第1止着部と第2止着部は、これらを着脱自在に止着し得るものであれば特に限定されない。第1止着部と第2止着部との組合せとしては、例えば、第1止着部と第2止着部とが面ファスナーを構成する態様;第1止着部が粘着テープであり、第2止着部が粘着テープを着脱自在に付着できる付着シートである態様;が挙げられる。なお、面ファスナーを採用する場合、第1止着部にフック材を配置し、第2止着部にループ材を配置することが好ましい。
【0046】
前記左右のファスニング部材は、前記おむつ本体と前記反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物により固定されている。
【0047】
前記ファスニング部材は、おむつ本体を構成する部材と接合される。前記ファスニング部材の接合態様としては、前記バックシートの外面側とファスニング部材の肌面側とが接合されている態様(態様1);前記トップシートの肌面側とファスニング部材の外面側とが接合されている態様(態様2);前記トップシートの外面側とファスニング部材の肌面側、ならびに、前記バックシートの肌面側とファスニング部材の外面側が接合されている態様(態様3);前記おむつ本体がサイドシートを有しており、前記サイドシートの外面側とファスニング部材の肌面側、ならびに、前記バックシートの肌面側とファスニング部材の外面側が接合されている態様(態様4);などが挙げられる。これらの中でも、前記態様3、4が好ましい。
【0048】
前記ファスニング部材が、肌面側および外面側の両面によっておむつ本体と接合されている場合、接合面の少なくとも一方が前記反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物により固定されていればよい。この場合、他の接合面には、従来のホットメルト接着剤を使用できる。
【0049】
前記反応性ウレタンホットメルト接着剤を用いた接合部において、反応性ホットメルト接着剤の塗布量は、5g/m
2以上が好ましく、より好ましくは10g/m
2以上、さらに好ましくは15g/m
2以上であり、100g/m
2以下が好ましく、より好ましくは80g/m
2以下、さらに好ましくは50g/m
2以下である。反応性ホットメルト接着剤の塗布量が、5g/m
2以上であれば接着強度がより向上し、100g/m
2以下であれば製造時におけるおむつからの反応性ホットメルト接着剤の滲み出しが抑制される。
【0050】
前記ファスニング部材と、前記ファスニング部材と接合される前記おむつ本体の素材との剥離時間は、1000分以上が好ましく、より好ましくは2000分以上、さらに好ましくは2500分以上である。剥離時間の測定方法は後述する。なお、従来の非反応性のホットメルト接着剤を用いた場合、ファスニング部材と接合される前記おむつ本体の素材との剥離時間は、通常200分未満である。
【0051】
(具体例)
以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら説明するが、本発明は図面に示された態様に限定されるものではない。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1を、展開した状態でトップシート10側から見た平面図である。
図2は、使い捨ておむつ1を、展開した状態でバックシート20側から見た平面図である。
図3は、使い捨ておむつ1を
図1中のV−V線で切断した断面図である。
図4は、
図1の使い捨ておむつの着用された状態を示す斜視図である。なお、
図1および
図2は、後述するサイドシート用弾性部材41、腰周り用弾性部材51、脚周り用弾性部材52を、いずれも伸長させた状態を示している。図では、矢印Aを前後方向とし、矢印Bを幅方向と定義付ける。また、矢印A,Bにより形成される面上の方向を、平面方向と定義付ける。また、矢印A,Bにより形成される面に対して垂直方向が上下方向Cを表す。
【0053】
図1〜
図3に示すように、使い捨ておむつ1は、透液性のトップシート10と、不透液性のバックシート20と、両シート10,20の間に介在する吸収コア30とを有する積層体であるおむつ本体2を備えている。
【0054】
おむつ本体2は、着用者の腹面にあてがわれる前方部2aと、着用者の背面にあてがわれる後方部2bと、前方部2aと後方部2bを繋ぐ股部2cとを有している。以下では、前腹部2a、股部2c、後背部2bが連なる方向を「前後方向」と称し、前後方向に直交しかつおむつ本体2の表面に沿う方向を「幅方向」と称する。おむつ本体2は、前方部2aから後方部2bにかけて前後方向にのび、その中間に位置する股部2cにおいて幅方向にくびれた形状となっている。
【0055】
トップシート10は、おむつ本体2の肌面側に配置された透液性のシートである。トップシート10は、前方部2aから後方部2bにかけて帯状にのび、その幅方向の寸法は、おむつ本体2の外縁の幅方向の寸法よりも小さい。
【0056】
バックシート20は、おむつ本体2の外面側に配置された不透液性のシートである。バックシート20は、平面視において、おむつ本体2とほぼ同等の形状を有する。すなわち、バックシート20は、おむつ本体2の下面全体を覆っている。
【0057】
吸収コア30は、トップシート10とバックシート20との間に固定され、吸液性および保液性を有する。
図3に示すように、吸収コア30は、トップシート10とバックシート20との間に、ホットメルト接着剤55により固定されている。また、
図1に示すように、吸収コア30は、平面視において、おむつ本体2の外縁より一回り小さく形成されている。
【0058】
前記バックシート20の前方部の外面側には、第2止着部70が設けられている。
図2では、第2止着部70の形状を矩形状としているが、この形状に限定されない。
【0059】
トップシート10の上面側には、側方への尿漏れを防止するための一対のサイドシート40が設けられている。一対のサイドシート40は、おむつ本体2の左右の側縁部を覆うように、前後方向にのびている。
図3に示したように、一対のサイドシート40は、幅方向外側の側縁部において、ホットメルト接着剤55を介して、他のシートの上面に貼着されている。サイドシート40の幅方向内側の側縁部は、トップシート10の上面に貼着されておらず、トップシート10に対して立ち上がり可能となっている。
【0060】
また、サイドシート40の幅方向内側の側縁部には、前後方向にのびる複数本のサイドシート用弾性部材41が配置されている。サイドシート用弾性部材41は、自然長よりも伸長された状態で、サイドシート40に接着剤(図示省略)により取り付けられている。このため、サイドシート用弾性部材41は、サイドシート40を長手方向に収縮させる弾性力を発生させる。
【0061】
使い捨ておむつを開いたときには、サイドシート用弾性部材41の弾性力により、サイドシート40の幅方向内側の側縁部が立ち上がる。これにより、おむつ本体2の上面に一対の起立した堰が形成され、着用者が排泄した尿の側方への漏れが防止される。
【0062】
前方部2aおよび後方部2bには、幅方向にのびる複数本の腰周り用弾性部材51が設けられている。腰周り用弾性部材51は、自然長よりも伸長された状態で、トップシート10とバックシート20との間に、接着剤(図示省略)により取り付けられている。このため、腰周り用弾性部材51は、前方部2aおよび後方部2bを、幅方向に収縮させる弾性力を発生させる。着用者が使い捨ておむつ1を着用したときには、腰周り用弾性部材51の収縮力により、前方部2aおよび後方部2bを、着用者の腰周りにフィットさせることができる。
【0063】
また、股部2cの幅方向の両側縁部には、前後方向にのびる複数本の脚周り用弾性部材52が設けられている。脚周り用弾性部材52は、自然長よりも伸長された状態で、サイドシート40とバックシート20との間に、接着剤(図示省略)により取り付けられている。このため、脚周り用弾性部材52は、股部2cの両側縁部を、長手方向に収縮させる弾性力を発生させる。着用者が使い捨ておむつ1を着用したときには、脚周り用弾性部材52の収縮力により、股部2cの両側縁部を、着用者の大腿部にフィットさせることができる。
【0064】
なお、サイドシート用弾性部材41、腰周り用弾性部材51、及び脚周り用弾性部材52には、例えば、ポリウレタン糸等の糸状の弾性部材を使用すればよい。また、糸状の弾性部材に代えて、ポリウレタンや天然ゴム等を素材とする平板状の弾性部材を使用してもよい。
【0065】
使い捨ておむつ1は、一対のファスニング部材60を備えている。各ファスニング部材60は、ファスニング基材61と、ファスニング基材61の自由端側の端辺から幅方向外側に張り出した2つの舌片状のつまみ部62とを有している。各つまみ部62の肌側面には、第1止着部63が設けられている。本実施形態の第1止着部63には、面ファスナーのフック材(雄部材)が用いられている。一方、
図2に示したように、おむつ本体2の前方部2aの外側面には、第1止着部63を着脱自在に止着させる第2止着部70が設けられている。本実施形態の第2止着部70には、面ファスナーのループ材(雌部材)が用いられている。
【0066】
各ファスニング部材60の基材61は、おむつ本体2の後方部2bのうち、股部2cより幅方向外側に張り出した部分に固定されている。具体的には、
図3に示すように、サイドシート40とバックシート20との間に、接着剤を介して、ファスニング部材60の基材61が固定されている。なお、本実施形態では、サイドシート40とファスニング基材61とが反応性ウレタンホットメルト接着剤の硬化物80により固定されており、バックシート20とファスニング基材61とがホットメルト接着剤55により固定されている。
【0067】
使い捨ておむつ1を着用するときには、まず、前方部2a、股部2c、後方部2bが、着用者の腹面、股間、背面にそれぞれ面するように、使い捨ておむつ1を着用者にあてがう。次に、両方のファスニング部材60を、着用者の側腰部に沿って腹面側まで引っ張り、第2止着部70に第1止着部63を付着させる。これにより、
図4に示すように、おむつ本体2の前方部2aと後方部2bが止着され、腰回りが形成される。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
[評価方法]
(硬化物の弾性率)
硬化物の弾性率はJIS K 7127(1999)及びJIS K 7161−1(2014)の手順に従って測定した。
具体的には、反応性ホットメルト接着剤組成物を剥離紙上に、乾燥後の膜厚が0.2mmとなるように塗工した。この塗膜を温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下に168時間静置し、硬化させた。硬化後の塗膜を剥離紙から剥がした後、打ち抜いて試験片(JIS K 6251(2017)に記載の試験片タイプ2号ダンベル(平行部の厚さ0.2mm、平行部の幅10mm、標線間距離20mm))を作製した。
前記試験片について、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフ(登録商標)AGS−X)を用いて、引張試験を行った。測定条件は、試験速度10mm/min、試験雰囲気23℃、50%RH、つかみ具間距離90mmとした。下記の式により、引張弾性率を求めた。
引張弾性率(MPa)=(σ
2−σ
1)/(0.0025−0.0005)
[式中、σ
1は、ひずみ0.0005における応力、σ
2はひずみ0.0025における応力を表す。]
【0070】
(剥離時間)
作成後、常温で5日以上経過した使い捨ておむつから、試験片を切り出した。試験片は、ファスニング部材より幅方向内方に位置するおむつ本体から、ファスニング部材とおむつ本体が重なる部分(接合部)を介し、おむつ本体より幅方向外方に位置するファスニング部材に到る領域を含む。試験片は、長さ(おむつの幅方向)100mm、幅25mmとし、接合部の長さを26.5mmとした。なお、接合部における反応性ホットメルト接着剤の塗布量は、30g/m
2である。次に、ファスニング部材に500gの錘を取り付けた後、おむつ本体側を上にして、ファスニング部材と反応性ホットメルト接着剤で固定されている部材を吊り上げ、40℃雰囲気下でファスニング部材がおむつ本体から離れて落下するまでの時間を測定した。
【0071】
[反応性ウレタンホットメルト接着剤の調製]
以下、接着剤について具体的に説明するが、これらの材料組成に限定されるものではない。用いた原料と調製方法は、以下のとおりである。
ポリオール化合物(A):ポリエステルポリオール(エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸、イソフタル酸を構成成分とするポリエステル化合物、数平均分子量:2000)
ポリオール化合物(B):ポリエステルポリオール(ジエチレングリコール、フタル酸を構成成分とするポリエステル化合物、数平均分子量:2000)
ポリオール化合物(C):ポリエステルポリオール(エチレングリコール、アジピン酸を構成成分とするポリエステル化合物、数平均分子量:2000)
ポリイソシアネート化合物:ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー社製、商品名「ミリオネートMT」)
添加剤(A):合成ゴム(SBS)と粘着付与剤とオイル成分とを混合して得たコンパウンド
【0072】
(1)反応性ホットメルト接着剤No.1
ポリオール化合物(A)150質量部、ポリオール化合物(B)150質量部、ポリオール化合物(C)200質量部、添加剤(A)50質量部を1Lのガラス製丸底フラスコに投入し、内温95℃で撹拌しながら減圧下で1時間脱水した。その後、窒素で常圧に戻し、ポリイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート)100質量部を加えて内温を120℃に昇温させ、窒素気流下で1時間反応させた。なお、ポリオール化合物(A)〜(C)が有するヒドロキシ基の総数とポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基とのモル比は1.6である。その後、さらに120℃で1時間減圧脱泡することによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型の反応性ホットメルト接着剤を得た。反応性ホットメルト接着剤はウレタンプレポリマーと添加剤等から構成されている。また、ウレタンプレポリマーの数平均分子量は4100である。得られた反応性ホットメルト接着剤は、25℃で固体であり、イソシアネート基の含有率は1.9質量%である。また、この反応性ホットメルト接着剤の硬化物の引張弾性率は1.5MPaであった。
【0073】
[使い捨ておむつの作製]
図1〜
図3に示した使い捨ておむつを作製した。なお、ファスニング部材の固定方法以外は従来どおりに作製した。ファスニング部材の取付方法は、下記のとおりとした。まず、スパンボンド不織布(目付け67g/m
2)からなるファスニング基材の肌面側に反応性ホットメルト接着剤を塗布し、SMMS(スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド)不織布(目付け16g/m
2)からなるサイドシートの外面側と接合した。なお、接合部において、反応性ホットメルト接着剤は、1.5mm幅の線状塗布部を3.5mmずつ間隔を設けて、おむつの幅方向に延びるように6本形成した。接合部における反応性ホットメルト接着剤の塗布量は、30g/m
2とした。
【0074】
次に、バックシートを構成するSMMS不織布(目付け15g/m
2)の肌面側に3mm幅の線状のホットメルト接着剤の塗布部を1mmずつ間隔を設けて5本形成し、ファスニング基材およびサイドシートの外面側と接合することにより、ファスニング部材を固定した。作製後の使い捨ておむつは、温度15〜35℃、湿度40〜70%RHの雰囲気下に72時間静置し、反応性ホットメルト接着剤を硬化させた。
【0075】
得られた使い捨ておむつは、ファスニング部材とおむつ本体との接合部の風合いが良好であった。また、この接合部の剥離時間は、2500分以上であった。